Magic Leapに投じられた26億ドルはいったい何だったのか

【編集部注】本稿はJosh Evans氏による寄稿記事である。同氏は、HappyFunCorpエンジニアリング担当CTOだ。グラフィックノベル、紀行本など6作品を発表し、受賞歴もある著述家でもある。2010年よりTechCrunchの週末コラムを担当。

筆者は2年前、Industrial Light & Magicが開催した「Innovation in Immersive Storytelling」というイベントに参加した。そのイベントでは、Magic LeapのChief Game Wizardが紹介されていた。魔法のような製品であるというイメージを植え付けようとするイベントの題名を見た時に、この製品の終焉が不可避であることに気づくべきだった。しかし実際は、イベントに出席する前はMagic Leapに対して半信半疑だったのに、イベントが終わった頃にはその疑念が半減していたのである。

Magic Leapは数年の間に多くの信奉者を引き付け、26億ドル相当の資金を集めた。Andreessen Horowitz(a16z)、Kleiner Perkins、Google(Google VenturesではなくGoogle本体)をはじめ、多数の企業が出資に加わった。また、Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏はMagic Leapの取締役会に名を連ねた。そして、これらの出資者たちはMagic Leapを大絶賛したのである。ベンチャーキャピタルが自社の出資先を絶賛するのはよくあることだが、Magic Leapの場合はそれとは違った。

これは画期的だ。ピクセル数やフレームレートが桁違いになったではなく、センサー、光学機能、モバイル機器側のボリューム、さらには飛躍的に向上したコンピュータビジョンなど、常々私が夢見ていた機能がすべて搭載されている。この製品は驚くほど素晴らしく、他の製品と一線を画している。

Kleiner PerkinsBing Gordon

没入感が信じられないほど自然で、部屋の中にいるのに、自分の周りを本当にドラゴンが飛び回っているようだった。開いた口がふさがらないほど驚いて、顔がニヤけて仕方がなかったよ。
— Legendary PicturesのCEO、Thomas Tull

Legendary Picturesとa16zは、Magic Leapに出資する前に、Oculus Riftに出資していたことがある。Tull(タル)氏は「Magic Leapのアプローチは他社とはまったく異なっている」とTechCrunchに語ったことがあるほどだ。この発言は興味深い。というのは、Magic Leapが5年の歳月と16億ドルの資金を注ぎ込んでやっとリリースしたMagic Leap Oneという製品について、OculusのPalmer Luckey(パーマー・ラッキー)氏が手厳しく批判するレビューを発表したからだ。確かに同氏の批判は想定の範囲内だった。しかし、その詳細は非常に印象的だった。

その製品は「Lightwear」と呼ばれている。Magic Leapが主に「フォトニック明視野チップ」、「ファイバ走査型レーザーディスプレイ」、「デジタル明視野をユーザーの目に投影」、さらにはヘッドマウントディスプレイ開発者を何十年にもわたって悩ませてきた輻輳調節矛盾を解決するという夢のような話について延々と語ることで注目を集めてきたのが、このLightwearである。(長いので中略)「フォトニック明視野チップ」とやらは単にシーケンシャルカラー反射型液晶ディスプレイやLED照明を導波管と組み合わせたものにすぎない。Microsoftの最新世代のHoloLensをはじめ、他社がこれまで何年も使ってきた技術と同じものだ。Magic Leap Oneは、一般的に受け入れられているどんな定義に照らしても「明視野プロジェクター」や「明視野ディスプレイ」とは言えない。

「他社とはまったく異なっている」と言われたMagic Leapのアプローチに何が起きたのだろうか。

ほとんど見かけ倒しのテクノロジーに投資家の関心を何とかつなぎとめようと策が講じられたことは注目に値する。Magic Leapは「当社の社員が今まさにオフィスでプレイしているゲームの映像です」と言って、動画付きのメールをプレス関係者に配信した。しかし後に、その動画はすべてWeda Digitalが制作した特殊効果映像だったことがThe Informationによって暴露された

Magic Leapは次に、「Magic Leapのヘッドセットを通して見た映像を直接撮影したものです。撮影日は2015年10月14日。特殊効果や合成は一切使用していません」と言って、別の動画を公開した。信じていいのか。前回の動画の件を考えると、疑うのは当然だ。しかし、総合的に考えてみると「おそらく大丈夫」という答えになりそうだ。Kevin Kelly氏が、2016年にWired誌でMagic Leapの目玉機能についてあまり詳細に触れていないことにも注目してほしい。

主な3つのMR(複合現実)ヘッドセットのいずれにおいても、半透明の物体(大抵はナノスケールのリッジ加工が施されたガラス)に対して斜めに投影される画像が使用されている。ユーザーが、そのガラスを通して外の世界を見ると、バーチャルな物体はガラス部分の横にある光源から投影され、ガラスに施されたビーム分割ナノリッジ加工によって反射されて、目に届く。Magic Leapは、光線を目に届けるこの方法は自社独自の技術だと話しているが、その詳細については現時点で説明することを拒否している。

このことが、Magic Leapの超目玉である「Lightwear」テクノロジーはまったく特別なものではないとするLuckey氏の報告(筆者の知る限り反論は出ていない)とどのように整合するのか。投資家やジャーナリストを歓喜、熱狂させた社内デモ版のような手ごたえが感じられる製品をリリースできなかったという点については言うまでもない。

答えは簡単だ。「The Beast」である。

ザ・インフォメーションのReed Albergotti(リード・アルベルゴッティ)氏が3年以上前に報じたように、The BeastというのはMagic Leapの最初のデモ機だった。これは注目の的になった。驚くほど素晴らしく、夢のような、画期的なテクノロジーだった。そして、重さは100kg以上もあった

The Beastの後継モデルである「The Cheesehead」は人間の頭部にフィットする大きさで、「Magic Leapが発明した明視野発信機を小型化できる可能性を示した」モデルだと言われた。しかし、依然として重さは10kg以上あり、実用化するには明らかに重量オーバーだった(この2つのモデルの写真はCNETのリンク記事で見ることができる)。

The BeastとThe Cheeseheadを見れば、複数回にわたって多額のベンチャー投資が行われたことにも納得がいく。しかし重要なのは、Magic Leapがその後、自社の画期的テクノロジーを実用化可能なレベルまで小型化できたのかということである。

明らかにできなかった。そして、それこそが問題の核心、つまり、Magic Leapが26億ドル(約2800億円)の資金を集め、従業員の半数をリストラしながら7年間ほとんど何の製品もリリースしてこなかった理由である。Vanity Fair誌はMagic LeapのCEOであるRony Abovits(ロニー・アボビッツ)氏がThe Informationに語った言葉を引用し、こう書いている。

アボビッツ氏はThe Informationに対し、The Beastに使われているテクノロジーは「当社が最終的に実用製品として発表するものではない」と語った。また、プロトタイプは投資家をはじめとする関係者に、製品の「長所と短所」を紹介するためだけのものであるとも語った。

悪意があったかどうかにかかわらず(筆者は、悪意があったとは考えていない)、Magic Leapは26億ドルの見かけ倒しプロジェクトとなってしまった。この先どうなるかは明白だ。

TechCrunchライターのLucas Matney(ルーカス・マトニー)は、1年前に「なぜMagic Leapに大金を投ずるのか?」という記事を書いている。Magic Leapのデバイスの売上は散々だ。同社は先月、100億ドルという金額で身売り先を探したが、TechCrunchライターのJosh Constine(ジョシュ・コンスティン)がこれを「馬鹿げている」と評したのも当然である。その後、同社は従業員の半数をリストラして会社を守った。こうなると、次の問題は「Magic Leapが倒産したらどうなるのか」ということである。

「The Beast」のテクノロジーがいつか実用化されて、一般家庭、学校、オフィスなどで使用されるようになる可能性はあるのだろうか。ないとは言えない。2014年から6年間かけて26億ドルを注ぎ込む価値はあったのか。やはり、なかったとは言えない。しかし、投資に見合う利益をあげることはできなかった。結局のところ、Magic Leapの一件で、ハードウェアの開発、さらには人間の感覚(特に視覚)を操るプラットフォームの開発は困難だと投資家が嘆くことはあっても、彼らがMagic Leapに対して激怒したり腹を立てたりすることはないだろう。

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(翻訳:Dragonfly)

謎のVR企業、Magic LeapのヘッドセットがAT&Tストアの一部で売り出される

Magicfirst(マジックファースト)の最初の一般向けVR(仮想現実)ヘッドセットは、同社がこれまで宣伝してきたような画期的なものではなかった。それでも同社はデバイスがさらに広くコンシューマーの目に触れるようにするため大企業との提携を勝ち取った。来週、2295ドル(約25万円)のヘッドセットがボストン、サンフランシスコ、シカゴのAT&Tのフラグシップ店舗にお目見えする。

これまで通販だけに限定されていた販売チャンネルを広げることができたのはMagic Leapにとってひとつの成果であることは間違いない。AT&Tにとっても最新のテクノロジーの普及に力を入れている企業というイメージを作るのに役立つだろう。しかしMagic Leap Oneはデベロッパー向けの初期モデルであり、それ以外の消費者でこの高価なプロダクトに関心を持つ人間がどれだけいるかは疑問だ。

最新のテクノロジーを実地に試すという興味はあるだろうが、それ以外に消費者がこの製品を買う理由は考えにくい。

VRプラットフォームについて、OculusとValveはすでに店舗における販売チャンネルを確立しており、後発のMagic Leapが独力で戦うのは厳しくなっていた。Magic Leapは短いデモ映像こそ多数公開していたものの、実際にプレイできる有力なゲームはほとんどない。Magic Leap One以外に同社からコンシューマー向けの画期的製品が出るというのも望み薄だった。AT&Tのストアにおけるデモでは大ヒット中のHBOのドラマ、「ゲーム・オブ・スローンズ」のVRが体験できるという。

Magic Leapにとっては今のところ企業ユースが現実的なターゲットだろう。「ゲーム・オブ・スローンズ」のVRでMagic Leap Oneを消費者に広く体験してもらい理解を得ることができれば将来の販売にも追い風になるかもしれない。

画像:agsandrew (opens in a new window) / Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Oculusの共同創設者が競合他社製Magic Leapヘッドセットを「悲劇の誇大広告」と痛烈批判

企業の創業者が、競合他社の新製品をこき下ろすレビュー記事を書くというのは尋常なことではないが、Oculusの共同創設者Palmer Luckeyは、ずっと尋常ではない起業家で通ってきた。

昨日(アメリカ時間8月27日)、Luckeyは、自身の個人ブログに『Magic Leapは悲劇の誇大広告』と題したMagic Leapの開発者向けキットのレビュー記事を掲載した。その中で彼は、いくつかお世辞を述べてはいるものの、大部分は、その新製品の欠点の列挙と、同社の重役たちがAR技術のたわごとを並べていながら、結局は、彼が言うところの3年前のHoloLensに毛が生えたようなものに収まってしまった理由の説明に割いている。

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「Magic Leap ML 1に関する私のレビュー。メディアでは大きく取り上げられておらず、分析もされていない、いくつかの点に焦点を当てている」
「Magic Leapは悲劇的な誇大広告:このレビューのタイトルはよく考えて付けた。軽率な言葉ではない。私はVRにとって最高のものを、そして現実-仮想連続体のための最高の技術を求めているのだ」

 

彼は、いくつもの問題点をレビューの中で掘り下げている。おそらく、もっとも深い洞察が行われているのは、ヘッドセットとコントローラーに使われているトラッキング技術に関するものだろう。それがユーザーエクスペリエンスを後退させているという。Magic Leap Oneのコントローラーには、磁気トラッキング・システムが使われている。Oculusを含むほとんどのVRメーカーが採用している光学トラッキング・システムとは大幅に違うものであり、概して複雑な仕組みになっている。クリック式のトラックパッドがないことを批判している段落を読めば、それがLuckeyの単なる個人的な好みの問題ではないことがわかる。

Magic Leap One Lightwear

 

現在、LuckeyはVRの日々を卒業して、(ほぼ)転職を果している。彼の新しい会社Anduril Industriesは、国境警備のための技術開発に特化した企業だ。しかし、彼はまだハードコアなVR愛好家としての評判が高く、VR世界では大きな発言力を持ち続けている。

彼の不満の原因は明らかだ。Magic LeapのCEO、Rony Abovitzは、この数年間、多額の資金を調達して、秘密裏に技術開発を行い、公には既存の技術をこき下ろしていた。Luckeyは、それがARやVRの分野への投資意欲を削いでしまうと心配していた。目の前に非現実的な期待をぶら下げられた投資家は、比較的保守的なアプローチで売り込みをかける既存の企業への興味を失ってしまうからだ。

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Palmer Luckey「驚き!」
Fernando Serrano「悪いけど、こうするしかなかった」

 

もっとも辛辣な言葉は、Magic Leap Oneのディスプレイ技術のために残されていた。Luckeyは、他のメーカーの視野にあるものと、まったく変わらないと指摘している。Magic Leapの開発チームは、彼らが作っているものを説明するときに、独自の専門用語を作り出すほどだったのに、自分たちで言い出した技術を完成できなかったとLuckeyは言っている。

彼らはそれを「Lightware」と呼んでいる。長年にわたり、彼らの宣伝文句の中心的な存在だった。また彼らは、「フォトニック・ライトフィールド・チップ」、「ファイバースキャンイング・レーザーディスプレイ」、「デジタル・ライトフィールドをユーザーの目の中に投影する」技術、さらには、数十年間にわたってヘッドアップディスプレイの世界を悩ませ続けている「輻輳(ふくそう)調整不調和を解決」する方法、つまり、両方の目の焦点と「ふくそう」を常に一致させるための、「恒久的神経疾患」や脳障害を予防するために必須であるとMagic Leapも訴えてきた、この世界では聖杯とも言うべき技術について、繰り返し語ってきた。ふくそう調整不調和の解消技術は、VRよりも、デジタル要素と現実の要素との整合性を保たなければならないARにおいて重要になる。

要約:「フォトニック・ライトフィールド・チップ」は、反射型シーケンシャルカラーLCOSディスプレイとLED照明とを組み合わせた、単なる導波管に過ぎない。同じ技術は、もう何年も前から広く使われている。Microsoftの最終世代のHoloLensもそうだ。Magic Leap Oneは、「ライトフィールド・プロジェクター」ではない。または、広く認知された定義によるディスプレイでもない。「2焦点ディスプレイ」なので、ひとつかふたつの焦点面にすべてのUIと環境要素を配置した怪しいデモで、ふくそう調整不調和を解決したように見せかけている。それ以外の距離では、不調和が起きる。止まった時計でも、1日かならず2回は正確な時刻を示すというのと同じだ。

彼はまた、ヘッドセットの視野の狭さも指摘している。ただ正直なところ、彼は、もっと単純な光学システムを使った他社製のARヘッドセットと比較しているので、ちょっと不公平に思える。Magic Leapのディスプレイの視野範囲は、HoloLensのものよりも40パーセント大きいと見積もられているが、それでも人によっては狭いと感じるのかも知れない。

もしこれが、鳴り物入りで登場した製品に対する誰かさんの辛口批評に聞こえたなら、そのとおりかも知れない。Luckeyは、同社の注文番号のシステムから、売り上げを試算している。

Magic Leapの注文状況は、発売から数日の間は、じつに簡単に把握できた。私は友人から注文番号を見せてもらい、注文した時間と比べてみた。そこから、私は最初の1週間の売り上げを予測できると確信した。残念ながら、彼らは私がこのことをツイートした直後に、システムを変更してしまった。私が集めた情報を元に計算すると、最初の週で2000台が売れている。しかし、それは最初の48時間に大きく集中している。そこから推測するに、現時点での販売台数は、3000台を下回る。これは残念なことだが、確かな理由がある。私はMagic Leap Oneを持っている人を100人以上知っているが、彼らの中にAR開発者はわずかしかいない。ほとんどが、技術系企業の重役か、「インフルエンサー」か、初期のころに業界にいたが、ARアプリを開発しようという気がもうない人たちだ。黎明期のVR業界にとって、これは大問題だ。何千何万という開発者がいて、何千何万という開発キットが売れているにも関わらずだ。この問題の桁数が大きくなれば、Magic Leapにはとても厳しいことになる。

Luckeyは、このレビューの続編を書くつもりはないようだが、レビュー用にしばらく遊んだ後、彼は個人で買ったMagic Leap OneをiFixitに渡して分解を依頼している。

このレビュー記事が公開されると、Magic LeapのCEO、Rony Abovitzは、アニメ『アバター 伝説の少年アン』のキャラクターとLuckeyとを比較した、じつに奇妙なツイートをしている。それに続いてもうひとつ、さらに奇妙なツイートを出している。

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「この社会は不和に満ちてる。人々を団結させよう。私たちのデジタルとフィジカルの世界を統合しよう。創造しよう。そして、アーティストとなって作って遊ぼう」

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「Magic Leapの旅もパーティーも、これから面白くてクリエイティブで物凄いものになる。目標ははっきり見えている。誰でも歓迎する。ただし、どうかお行儀よく」

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(翻訳:金井哲夫)

Magic Leap One、開発者版リリース――謎のスタートアップのARヘッドセットの価格はiPhone Xの2倍

なにかと批判された長い道のりだったが、この夏、ついにMagic Leapが拡張現実ヘッドセットの実物を出荷する運びとなった。

われわれはデバイスの価格に注目していたが、これも正式に発表された。Creator Edition、つまりデベロッパー向けのMagic Leap Oneヘッドセットの価格は2295ドルからとなる。

このキットはメインストリームのコンシューマーを狙ったものではない。Magic Leapの戦略はかなり変化したように思える。Magic LeapのファウンダーはVergeのインタビューで「もうすぐ誰もが普通に使えるようになる」と力説していたのだが、どうやらまずデベロッパー向けヘッドセットを出荷し、コンテンツを充実させることで将来のコンシューマーを引き入れるという方向に舵を切ったようだ。

CNETによれば、余分の接続ケーブル、本体が故障した場合の迅速な交換サービスなどを含むプロキットにはさらに495ドル必要だ。(一部のデベロッパーには必須となる)処方箋によるメガネのレンズなどのエクストラはまた別に購入する必要がある。これらを合わせると価格はiPhone Xの3台分に近い。

われわれのCrunchbaseのデータによればこの拡張現実スタートアップは過去に少なくとも23億ドルの資金を調達している。投資家にはGoogle、Alibaba、Andreessen Horowitzといった著名な名前が並んでいるが、今回のクリエーター・バージョンが発売されるのは「アラスカ、ハワイを除くアメリカの特定の都市」だそうだ。

購入者希望者はウェブサイトのフォームにまず郵便番号を入力して自分が購入可能かどうかチェックする必要がある。ただし購入可能な都市は「急速に数を増やしている」そうだ。

われわれも郵便番号を入力したが、サンフランシスコは(当たり前だが)購入可能な地域だった。

CNETの報道では、現在購入可能なのはシカゴ、ロサンゼルス、マイアミ、ニューヨーク、サンフランシスコ(シリコンバレーを含む)、シアトルの6都市だという。

Magice Leapはデバイスは「直接配送される」ことを強調している。Magic Leapの専門家がパッケージを届けるだけでなく、自らセットアップも行う。高価な最初の製品がデベロッパーの期待を裏切らないよう努力していることがうかがえる。

Magic Leapではこの製品が「現在のコンピューティングのパラダイムを大きくシフトさせる」ことを狙っているが、これには熱心なデベロッパー、クリエーターによる「スペーシャル・コンピューティング」のコンテンツの創造が不可欠だろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


なにかと批判された長い道のりだったが、この夏、ついにMagic Leapが拡張現実ヘッドセットの実物を出荷する運びとなった。

われわれはデバイスの価格に注目していたが、これも正式に発表された。Creator Edition、つまりデベロッパー向けのMagic Leap Oneヘッドセットの価格は2295ドルからとなる。

Magic Leap Oneがこの夏やってくる――謎のスタートアップのARヘッドセットはNvidia Tegra X2で動く

何年も待たされたが、いよいよこの夏、Magic Leapが実際にハードウェア製品を出荷する。同社は以前にMagic Leap Oneの概要を発表し2018年中に出荷されるとしていたが、その後の情報はほとんどなかった。このため本当にこのスケジュールを守って製品を出すことができるのかと疑う声も少なくなかった。

Magic Leapはこれまでに23億ドルのベンチャー資金を調達しているが、Crunchbaseによれば出資者のリストにはGoogle、Alibaba、Andreessen Horowitz他、オールスターメンバーが並ぶ。同社は今日(米国時間7/11)、AT&Tが63億ドルを投じて独占販売権を得たと発表して大きな反響を呼んでいる。

そのARヘッドセットだが、Twitchのデベロッパー向けストリームにいくつかの解説が上がっている。最初にビデオではMagic Leapを作動させるハードウェアはNvidia
Tegra X2になるという。おそらく強力なバージョンが用いられるはずだが、モバイルデバイスに用いるにはサイズが大きすぎるのでMagic Leapでは腰に下げる専用のパックを製作している。

価格などの詳細は依然不明だ。

同社の以前の説明ではMagic Leap Oneはモバイルではあるが、ホームユースを主として考えているということだった。

疑問は多数残っている。たとえば、デバイスに用いられているディスプレイのテクノロジー、デバイスが実際に用いられたときの視野角など核心的な部分はまだ明らかにされていない。ヘッドセットはハンドトラッキング、アイトラッキングに加えて物理的なコントローラーを用いる。こうした複数のトラッキング方式がどのように相互作用するのか、デベロッパーが制御できる部分はどの程度かなども大きなクエスチェンマークのままだ。またバッテリー駆動時間についても知りたい。

Magic Leapは自社の技術がいかに革命的なものであるか十分に鼓吹してきたが、製品を宣伝するビデオに登場するデモ自体はごく短く、ARを実現する際のソフトウェア上の大きなハードルがどう解決されたのか、ヘッドセットはサングラス式に着用できる洗練されたデザインだが、このハードウェアを十分なスケールで量産できるのかなどわれわれが知りたいことは多い。

CEOのRony Abovitzは「今週中にさらにアップデートがある」とTwitterで予告している。これにはMagic Leap Nextという次世代製品(Oneもまだリリースされていないわけだが)についての情報も含まれるという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

謎のARスタートアップ、Magic Leapがサウジから4.61億ドル調達

Magic Leap依然として何のプロダクトもリリースしていない。しかし多額の資金の調達は続けている。今日(米国時間3/7)、フロリダ州フォートマイヤーズに本拠を置くARスタートアップはサウジアラビア王国の国営投資機関、The Public Investment Fundを始めとする投資家から4億6100万ドルを調達したことを発表した。 同社によると、サウジのファンドが4億ドル、「新たな投資家」が6000万ドルを出資したという。

今回の投資はシリーズDを補完するもので、Magic Leapは昨年10月、Temasekのリードで5億200万ドルのシリーズDを実行している。今回の新たな投資でシリーズのDラウンドの総額は9億6300万ドルになったとMagic Leapは発表した。

Magic Leapが集めた資金の総額は23億ドルに達した。

しかしMagic Leapはなぜかくも多額の資金を必要とし続けるのだろう?  この疑問はだいぶ前から多くの人々が抱いているが、Magic
Leapが「全てを自前でやる」方針なのは確実だ。

Magic Leapが製作しようとしているプロダクトはこれまでに全く存在しなかったものなので、ハードウェアもゼロから開発しており、ディスプレイ・テクノロジーやセンサーの開発には途方もなく大規模なりソースを必要とする。このプロダクトはユーザーの周囲の環境を素早く効果的に認識できる。また同社はプロダクトに適合する独自のOSも開発している。従来のOSと似た部分もあるがユニークなアイディアを必要とする部分も多い、という。

この何もかも同時に「自前でやる」戦略は、Magic Leapのスケジュールに多大の遅延をもたらしている。しかしヘッドセットを1台も完成させていなくても巨額の資金を投ずる有名投資家が次々に現れるためMagic Leapは資金にこと欠く心配はないらしい。ヘッドセットといえば同社のMagic Leap OneのCreator Editionは今年、2018年にリリースが予定されている。ともあれ同社が広く信任を集めるためには、数多くの疑問に答える必要があるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Magic LeapがARヘッドセットMagic Leap One ‘Creator Edition’をお披露目、出荷は2018年の予定

お待ちかね。ようやくその日が来た。 Magic Leapが、GoogleやAlibabaなどから集めた現金で開発しているものの、最初の姿を披露したのだ。

本日(米国時間12月20日)、この恐ろしく評価額の上がっている拡張現実スタートアップが、そのMagic Leap One “Creator Edition” の、最初の詳細を公表した。これは開発者のための(「クリエイターのために作られた」)ARヘッドセットで、同社によれば2018年に出荷されるということだ。まだ価格については不明だし、コンシューマー版がいつ登場するのかの情報もないが、ともあれ、何かはあるってことだ!

おそれくこれまで世間が目にしたプロダクトの中で、一番控え目ものとは言えないと思うが、少なくともヘルメットではない。Magic Leap One “Creator Edition”は、3つのハードウェアで構成されてる。

  • Lightwear:同社の”Digital Lightfield”表示テクノロジーを利用するヘッドセット。空間情報を収集するための複数の統合センサを備えている。
  • Lightpack:ヘッドセットにコンピューティングパワーを供給し、ゴーグルに接続される、かなり重い丸型のベルト式ヒップパック。
  • Control:ユーザーのメニュー選択やMagic Leapが構築する世界を、空中でナビゲートする手助けをするために、利用されるハンドヘルドコントローラ。
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ヘッドセットのデザインは、特許やリークによって以前から伝えられきたものに、かなり似ているが、ヘッドセットの前面のゴツさは少々驚きだ。しかしフレームのサイズは、Magic Leapがヘッドセットの視野をどの程度広げることができたのだろうか、という疑問を生じさせる。同社は”Digital Lightfield”(デジタル光照射野)テクノロジーを使用しているとは語っているものの、それが実際に何を意味しているのかを私たちは知らないし、真に光照射野テクノロジーを利用しているのか、それともそれを単純に模倣しているだけなのかということについても分かっていない。スタートアップは、コントローラ以外の入力として、ヘッドセットから、音声、ジェスチャ、頭部のポーズ、および視線追跡を取り込むと説明している。

Rolling Stoneとのインタビューで同社は、ユーザーは処方レンズを購入することができ、ヘッドセット自体は2つのサイズになると述べている。

ソフトウェア側では、Magic Leapはプラットフォームの能力を強調している。2018年初頭にはCreator Portalが登場する予定で、開発者たちにはより多くの文書、ツール、リソースなどが提供される筈だ。

同社がコンシューマー向けリリースで目指していることはまだ不明な点が多いが、このデザインはMagic Leapが達成できると考えていることを基にしているということは間違いない。もちろん「製品は継続的に進化しており、出荷時には異なるものになる可能性があります」というアナウンスにも注意しておこう。

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(翻訳:sako)

秘密主義のMR/AR企業Magic LeapがシリーズDで5億200万ドルを調達

複合現実と拡張現実のスタートアップMagic Leapは、本日(米国時間10月17日)シリーズDで5億200万ドルを調達したことを公表した。このラウンドはTemasekによって主導され、EDBI、Grupo Globo、Janus Henderson、Alibaba Group、Fidelity Managementなどが参加している。ちょうど先週デラウェア州の記録によってMagic Leapの調達は最大10億ドル分に達することが判明していた。

「私たちはTemasekとその他の新しい投資家の皆さんを、Magic Leapファミリーにお迎えすることができて感激しています」と、Magic Leapの創業者で社長であるRony Abovitzはリリースの中で語っている。「私たちはまた、既存の株主の皆さまからの、強力なサポートとパートナーシップに対しても感謝しています」。

Magic Leapが何をしているのかは、いまだに完全には判明していない。しかし同社が、現在行っているもののために、既に莫大な資金(19億ドル以上)を調達したことは確かである。これまでのところ、私たちが知っているのは、同社が”Magic Leap One”という名前のデバイスを発売するだろうということである。そして先月にはBloombergが、Magic Leapが次の6ヶ月程の間にデバイスを「少数のユーザーグループ」に対して出荷するかもしれないと報じている。

先週Equityポッドキャストのキャスターが、Magic Leapの野望について語った内容は、以下のリンクから聞くことができる。

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(翻訳:sako)