MITで行われている研究は大胆不敵で、人をあっと言わせるものが多い。この、無人機の編隊を使った写真撮影用の自動照明装置も、その例外ではない。プロトタイプは8月に行われる、「グラフィクスと視覚化と画像処理におけるコンピュータ利用の美学」(Computational Aesthetics in Graphics, Visualization and Imaging)に関する国際シンポジウムでデモされるが、それは軽量の無人機を一機だけ使ってバックライティング(逆光照明)を作り出し、被写体の縁(ふち)の部分の光を強調する。
Joseph MooreとRick CoryとRuss Tedrakeが書いた論文には、その概要が説明されている。機は複数のセンサとモーターを利用しながら空中停止を開始し、機首を上げ、フックを正しい位置に移動する。あえて複雑難解な操作を避けているため、このシステムは必要とする機器もごく少なく、軽量のドローンにも実装できる。ドローンは小鳥のように停泊し、電力をたっぷり食べたら、再びエンジンを始動して飛び去っていく。
ShilkrotとPh.Dの学生にインタビューしたところ、FingerReaderは視覚障害を持つ人のみを対象としたものではないと述べていた。万人向けのデバイスとして進化させていく予定で、たとえば翻訳機能を持たせるというような方向性を考えているのだそうだ。視覚障害者専用のものでないというのは、障害を持つ人の心理的障壁を低める効果もあるのだとのこと。ちなみにイギリスの王立盲人協会(Royal National Institute of the Blind)が行った2011年の調査によれば、大活字版や音読版ないし点字版が用意されている書籍は、電子版も含めて全体の7%に過ぎないのだとのこと。大活字版を有効に活用できるデバイスが登場してくれば、これまでは大活字版などを考えたこともなかったような書籍も前向きに検討されるようになるかもしれない。