自動車に搭載される情報システムの発達は目を見張るばかりだ。AppleやGoogleのスマートフォン機能を内蔵する新車も数多く登場している。しかしこうしたシステムに共通する大きな問題は数秒にせよドライバーの注意を道路から逸らすところにある。Navdyから発売された後付可能なダッシュボードHUD〔ヘッドアップディスプレイ〕はこの問題を根本的に解決する。数ヶ月にわたってNavdyをテストした結果、このことはますますはっきりしてきたと思う。
デザイン
Navdyは最近大幅に定価を下げて499ドルとした。当初の800ドルから比べればだいぶ手頃になったとはいえ、後付デバイスとしては決して安くない。しかしハードウェアには十分に高級感がある。フィニッシュも含めて品質には問題ない。肝心のフロントガラスへの表示だが、光学像は明瞭かつ完全に透明で道路を見通すのに全く妨げにならない。
このハードウェアで気にいったのはセットアップが簡単なこと、さらにダッシュボードからの取り外し、再取り付けが簡単なことだ。昨今の治安ではこういう高価なデバイスを外から丸見えの状態でダッシュボード上に残したまま車を離れたい人間はいないだろう。泥棒の注意を引くに決まっている。磁石を内臓した取付ベースはあまり目立たない。ディスプレイ本体を取り付けるとカチリと気持ちのいい音を立てるので正しくセットされたことがわかる。
ダッシュボードのマウントは電源部も兼ねており、OBD-IIプラグにケーブルで接続される(OBD-IIの位置は車種によって異なるが、多くの場合ハンドルの下だ)。この接続により電力と同時に車速など各種の車両情報が供給される。車速はHUDによりフロントガラスに表示される。
フロントガラスに表示される情報の主要部分はスマートフォンから来る。ユーザーはセットアップの際にBluetootでスマートフォンをペアリングしておく必要がある。最初のペアリングを済ませた後はNavdyは安定して私のiPhoneを認識した。ハンドルに取り付けるダイヤル式のマニュアル・コントロールの動作も安定していた。これもBluetoothでNavdyに接続するが、数秒でセットアップできるし、多くの同種のメーカー・オプションよりも使いやすいと感じた。
いちばん重要な点だが、HUDの画像自体は明るくクリアで多色利用のマップ、メニューは外界の照明条件によらず非常に見やすい。自動車の通常のフロントガラスに投影されているに過ぎないことを考えれば驚くべき画質だ。Navdayの素晴らしさは写真やビデオではなかなか伝えにくい。実はHUDの投射角度はドライバーの位置に最適化されているので同乗者も正確には判断できないだろう。ここは私の言うことを信頼してもらうしかないがNavdyのディスプレイは優秀だ。
ソフトウェア
Navdyのソフトウェアは単純で使いやすいことを目標にしている。そしておおむね成功しているといっていいだろう。 Navdyのソフト自体は極めて複雑だが、それは背後に隠されており、ユーザーはメニューからオプションを選択するだけでよい。ユーザーは自宅を含め、スマートフォンのナビに登録された地点をダイヤルを回して簡単に選択できる。
通話や通知の着信は多少の程度の差はあるが(デフォールトでは少なく設定されている)HUDに表示される。
ターン・バイ・ターンのナビを利用している場合、曲がり角が近づいてくるとNavdyの画面にそれが表示される。ビジュアルが巧みにデザインされており、曲がるべき地点までの距離などが直感的に判断できる。これは単に距離を数字で表示するずっと分かりやすい。【略】
Navdyのソフトウェアでいちばん優れているところは、ユーザーがいちいち操作する必要がほとんどないことだろう。通常の場合、ハンドルに取り付けたダイヤルを操作することもまずない。スマートフォンのNavdyアプリで必要な行き先を順次入力しておけば、HUDは自動的にナビを表示してくれる。
アップデートはOTA
ソフトウェアは専用アプリを通じて携帯網を通じてアップデートされる。Navdyはユーザーからのフィードバックを重視しており、プロダクトは頻繁に改良されている。すでにv1.1というメジャー・アップデートが行われており、新しいメニューや音声で目的地を検索するなどの機能が追加された。【略】
またNavdyのナビ情報のソースはGoogleであるため、頻繁なアップデートと将来に向けての継続性が期待できる。この点は他のプロダクトにない重要なメリットだろう。
結論
数ヶ月にわたってNavdyをテストしてきた結果、機能も信頼性も十分だと判断する。私の車は CarPlayを装備しているが、Navdyaはこれに較べても大きなステップアップだ。従来の車載ディスプレイに較べてNavdyのHUDは道路から注意をそらすことが格段に少ない。使い勝手もユーザー・フレンドリーであり、運転中に目的地を変更したりハンズフリーで通話したりするのもはるかに楽だ。このプロダクトは完全ではない(たとえば私が通常使うルートに較べて脇道に入り込む頻度が高いように思う)。しかしHUDが付属するというので新車を買うのに較べてNavdyの後付HUDは圧倒的なコストパフォーマンスだと思う。
〔日本版〕NavdyはKickstarterで爆発的な人気を集めた製品だが、日本では道交法の確認を取っておらず利用できなかったという情報がある。記事にもあるとおりHUDナビは通常タイプのディスプレイに較べて格段に安全性が高いため一刻も早く国内で利用できるようにすべきだろう。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)