中国では18才未満が週に3時間以上ゲームをプレイするのを禁じられたばかりですが、それに続いてApp Storeを含むオンラインゲームの新作リリースが1本も許可されなくなっていると報じられています。
香港メディアThe South China Morning Post(SCMP)によると、中国規制当局はテンセントやネットイースといった大手ゲーム開発企業との会議を行い、そこで新作ゲームのライセンス発行を停止する決定を下したとのことです。その会議には出席していないが説明を受けた関係者が「すべてが保留になっている」と述べています。
別の関係者によると、この発行停止は「しばらくの間」続くとのこと。規制当局は、2021年前半にライセンス発行を「少し積極的に行いすぎた」と考えているそうです。その目的は「新作ゲームの本数を削減する」ことにあり、それにより中国政府の「ゲームの追加を減らす」意図を助けるつもりだと伝えられています。
この会議に参加していた別の関係者は、「発行を凍結する」と具体的に決められたわけではないとも語っています。むしろ、ゲーム依存症を減らす計画を「円滑かつ成功裏に展開する」ために、認可プロセスを遅らせると議論されたとのこと。つまり、今後は新作のリリースを一切認めないわけではなく、ペースに歯止めを掛けることが狙いと示唆されている模様です。
この会議は水曜日(9月8日)に行われたと報じられてはいますが、SCMPは今年8月にはライセンスが承認されなかったとも伝えています。新作ゲームに対する締め付けは、もっと早くから始まっていた可能性があるわけです。
中国が新作ゲームのライセンス発行を停止したことは、今回が初めてではありません。まず2018年3月~12月にかけて停止され、中国ゲーム市場の成長が大幅に鈍化したこともありました。
もともと中国では2016年以降、有料またはアプリ内購入を提供しているゲームはすべて事前に規制当局に提出し、公開前にライセンスの取得が義務づけられています。それがアップルのApp Storeでは数年にわたってお目こぼしされていましたが、2020年には厳密に実施されるようになりました。
中国でのライセンス取得の義務化は、これまでもApp Storeの収益に大きな影響を与えてきました。ティム・クックCEOとルカ・マエストリCFO(最高財務責任者)は、2018年のライセンス発行停止の際に、App Storeにとって財務上の逆風の原因になっていると述べていたことがあります。
すでに中国は世界最大のゲーム市場となっており、App Storeにおいてもゲームの収益は66%を占め、iOS用ゲームで最も稼いでいるのは中国企業テンセントの『王者栄耀』という調査結果もあります。今回のライセンス発行“保留”は、アップルにとって大きな痛手となるのかもしれません。
(Source:The South China Morning Post。Via AppleInsider。Engadget日本版より転載)