NVIDIAは11月9日、ロボットや医療機器などのAIエッジコンピューティング機器に組み込める超小型の「AIスーパーコンピューター」Jetson(ジェットソン)シリーズの新世代機種「AGX Orion」(オライオン)を発表した。
前世代のAGX Xavier(ゼイビアー)とフォームファクター(100x87mm)は同じながら処理速度は6倍、200TOPS(1秒間に200兆回の命令処理が可能)という性能を誇る。NVIDIA AmpereアーキテクチャーGPUとArm Cortex-A78AE CPU、次世代の深層学習セラレーター、ビジョンアクセラレーターを搭載し、複数の並列AIアプリケーション・パイプラインにフィードできるため、高速インターフェース、高速なメモリー帯域、多彩なセンサーのサポートが可能になっている。消費電力は15W。最大でも50Wとのこと。ソフトウェアは、NVIDIA CUDA-Xアクセラレーテッド・コンピューティング・スタック、NVIDIA JetPack SDK、クラウドネイティブな開発ワークフローを含むアプリケーション開発と最適化のための最新のNVIDIAツールが利用できる。また、トレーニング済みのNVIDIA NGCカタログもある。
またJetsonには、85万人の開発者、Jetson搭載製品を製造する6000社以上の企業からなる巨大なエコシステムがあり、センサー、キャリアボード、ハードウェア設計サービス、AIおよびシステムソフトウェア、開発者ツール、カスタムソフトウェア開発といったサービスや製品が利用できる。これにより、「かつては不可能と思われていた自律動作マシンとエッジAIアプリケーションを開発および展開できるようになる」と、NVIDIAのバイスプレジデント、ディープゥ・タッラ氏は話している。
NVIDIA Jetson AGX Orinモジュールと開発者キットの発売は、2022年第1四半期を予定している。
Jeston AGX Orionモジュール仕様
- AI性能: 200 TOPS (INT8)
- GPU:2048基のNVIDIA CUDAコアと64基のTensorコア搭載、NVIDIA Ampereアーキテクチャー
- GPUの最大周波数:1GHz
- CPU:12コア Arm Cortex A78AE v8.2 64ビットCPU 3MB L2+6MB L3
- CPUの最大周波数:2GHz
- DLアクセラレータ−:NVDLA v2.0×2
- ビジョンアクセラレーター:PVA v2.0
- メモリー:32GB 256ビットLPDDR5 204.8GB/秒
- ストレージ:64GB eMMC 5.1
- CSIカメラ:最大6台のカメラ(仮想チャネル経由で16台)。16レーン MIPI CSI-2。D-PHY 1.2(最大40Gbps)| C-PHY 1.1(最大164Gbps)
- ビデオエンコード:2x 4K60 | 4x 4K30 | 8x 1080p60 | 16x 1080p30(H.265)
- ビデオデコード:1x 8K30 | 3x 4K60 | 6x 4K30 | 12x 1080p60| 24x 1080p30(H.265)
- UPHY:2 x8(または 1×8+2×4)、1 x4、2 x1(PCIe Gen4、ルートポート&エンドポイント)。USB 3.2×3。シングルレーンUFS
- ネットワーキング:1GbE×1、10GbE×4
- ディスプレイ:1x 8K60 マルチモードDP 1.4a(+MST)/eDP 1.4a/HDMI 2.1
- その他の I/O:USB 2.0×4、4×UART、3×SPI、4×I2S、8×I2C、2×CAN、DMIC&DSPK、GPIOs
- 消費電力:15W | 30W | 50W
- サイズとコネクタ−:100mm×87mm、699ピンMolex Mirror Mezzコネクター、一体型熱伝導プレート