Snapchatの最新機能Snap Mapは、ソーシャルマッピング企業Zenlyの買収と深く関係しているようだ。TechCrunchでは、Snapchatが5月末にZenlyを2億5000万〜3億5000万ドルで買収していたという情報を入手した。買収金額の大方は現金で支払われ、残りは株式の譲渡でまかなわれたようだ。また、買収後もZenlyは独立した企業として運営され、FacebookとInstagramのような関係になると見られている。
Zenlyのアプリでは、バックグラウンドでGPSが常に位置情報を把握しており、ユーザーは友人の居場所を地図上で確認できるようになっている。そして、近くにいる友人にメッセージを送って、遊ぶ計画を立てることができるのだ。
Sensor Towerのデータによれば、パリに拠点を置くZenlyのアプリはこれまでに400万回もダウンロードされており、その28%がフランスのユーザーによるものだが、アジアでも人気を呼んでおり、ダウンロード数の12%が韓国、8%が日本のユーザーによるものだとわかっている。メインのユーザー層は10代の若者で、街中や学校やコンサート会場などで友人とリアルタイムでコミュニケーションをとるのに使われている。さらにZenlyはこれまでに合計で3510万ドルを調達しており、昨年9月に行われた2250万ドルのシリーズBでは、シリコンバレーの名門VCであるBenchmarkがリードインベスターを務めていた。
今朝(現地時間6月21日)Snapchatは、ユーザーが位置情報を共有したり、自分の近くに何があるかを発見したりするのに使える新機能Snap Mapをローンチした。Snapchatはアプリが開かれた状態でないと位置情報を取得しないので、仕組みに若干の違いはあるものの、それ以外に関してはSnap MapとZenlyは酷似しており、私たちはSnapchatがZenlyのサービスをコピーしたのではないかと考えている。情報筋によれば、Snapから買収の話を持ちかけたようだが、当初Zenlyはそれを断ったという。
さらに本件について探ったところ、買収についてよく知る関係者から、Snapが実際にZenlyを買収したという情報を手に入れた。5月25日にはZenlyのサービス利用規約が変更されており、これはSnapによる買収と関係しているのかもしれない。さらにSnapの社員が、Zenlyのファウンダーをお祝いする内容のツイートをリツイートしている様子も確認された。
SnapはZenlyをシャットダウンしてSnapchatに組み込むのではなく、ある程度独立した企業として扱っていくようだ。買収について両社にコンタクトしたが、Snapはコメントを控えており、Zenlyからは返答を受け取っていない。代わりに、昨年Londonで行われたDisruptにおけるZenly CEO Antoine Martinのインタビューの様子を以下にお届けしたい。
Snap MapとZenlyを共存させることで、Snapはソーシャルコンテンツの分野におけるリスクをヘッジしようとしているようだ。InstagramやFacebookをはじめとする他社のアプリが、Stories機能を次々にコピーしていることもあり、ユーザーがオフラインで会うのを促進するような方向に機能を拡大したのはSnapchatの賢い選択だったと言える。しかも、今や消費者のスマートフォンのホームスクリーン上に、Snapのアプリが2つインストールされている可能性さえあるのだ。
友人との予定には色々な活動(食事やアクティビティなど)が含まれているため、将来的には広告掲載やパートナーシップなどさまざまな可能性が考えられる。例えば飲食店や映画スタジオであれば、ZenlyもしくはSnap Mapのユーザー向けに広告を掲載したいと感じるだろう。
2億5000万〜3億5000万ドルという金額はZenlyの買収額としては高く感じられるが、Snapchatはこれまでにも大型買収をプロダクトとしてうまく昇華してきた。例えば、1億5000万ドルの現金とボーナスで買収したLookseryは、Snapchatの代名詞となるARフェイスフィルター機能の原動力になり、6420万ドルで買収したBitstripsは、ユーザーの顔を型どった絵文字Bitmojiのローンチに繋がった。さらにSotiresの検索機能やSnapcode(QRコード)、Spectaclesも、それぞれVerb、Scan.me、Vergence Labsの買収から生まれた機能やプロダクトだ。
Zenly自体は、カメラ企業になるというSnapのミッションにはマッチしないように見える。しかし、ユーザーが友人とオフラインで会うためのアプリを買収したことで、Snapchatはカメラにおさめたくなるような瞬間を生み出そうとしているのかもしれない。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)