もはや敵ではない。Uberがインドネシア第2位のタクシー会社とパートナー契約

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Uberは世界中のタクシー運転手の厄病神だが、時として同じ方向に進むこともある。例えば今日(米国時間12/19)インドネシアでは、Uberが同国第2位のタクシー会社、Express Groupと契約を結び、同社のドライバーがUberのサービスを使って収入を上げることを可能にした。

なお、これは3ヵ月間のトライアルではあるが、Uberとタクシー会社が相互の利益のために手を組むという興味深く稀な事例だ。Expressドライバーの一部(両社とも人数は明らかにしていない)は、ジャカルタのUberXサービスに参加が許される。こうしてドライバーが収入を増やす機会を得ると同時に、Uberは非常に競争の激しい市場で運行台数を増やせる。

数ヵ月前と比べて実に大きな変化だ。当時インドネシアのタクシードライバー集団が、自分たちの客を奪うUberを始めとするサービスの禁止を求める抗議活動を起こし、数千人ものExpressドライバーが参加した。

このタクシー会社と組むことによって、Uberはインドネシアのライバル2社と直接競合することになる。東南アジアは2020年までにインターネット経済が年間2000億ドルに達すると予想されており、インドネシアはその主戦場として競争が激化している。東南アジア最大の経済規模をもつインドネシアの首都ジャカルタは、人口1000万人を超える巨大都市であり交通の需要も渋滞も大きい。

Uberの東南アジア最大のライバルであるGrabは、自家用四輪車・二輪車のオンデマンドサービスを始める前に、認可タクシー向けの予約プラットフォームとしてスタートした。新たな挑戦者で最近時価総楽10億ドルに達したGo-Jekは、オートバイのオンデマンドサービスだが、インドネシア最大のタクシー会社 ― Blue Bird ― とパートナー契約を結びアプリを通じて4輪タクシーも提供している。

Uberは韓国でも認可タクシーの配車を行っているが、こちらは現地の規制によるものだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

LINE、タイでオンデマンド配達サービス「LINE MAN」を開始

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未来のモバイルメッセージングは、サービスへと向かっているが、それは送金やショッピングといったデジタルサービスに限らない。世界で最も多く使われているチャットアプリの一つである日本のLINEが、オンデマンド・サービスに向かって動きだした。

試行はまずタイで行われる。タイはLINEの最大市場の一つであり、以前音楽ビデオのストリーミングサービスのテストもここで行われた。新しい “LINE MAN” アプリを使って、3000万人以上のユーザーが宅配便や食品・雑貨等の配達サービスを利用できる。今年の2月に本誌は、デジタル執事サービスがやってくる、という記事を書いたが、まさしくこれがそうだ。

LINE MANサービスを請負うのは、2000万ドル以上の資金を調達しているLalamoveという物流スタートアップで、オートバイで配達するスタッフは、グリーンのジャケットにLineのマンガチックな絵文字キャラクターをつけて走る。LINEによると、タイは同サービスの最初の市場だが、成功すれば世界の他の地域にも広げていくつもりだ。

LINEは、最新データによると2.18億人のアクティブユーザーを持ち、うち69%が、日本、タイ、台湾、およびインドネシアが拠点だ。メッセージング市場の成熟は、殆どの国で上位のアプリが大半のユーザーを抱えていることを意味しており、トップにいないアプリがユーザーベースを伸ばすことは極めて困難だ。LINEのアジア ― 同社がリソースを集中している地域 ― の他地域での成長見込みは厳しいが、上記4ヵ国のようにLINEが高い人気を持つ強力な市場では、LINE MANのようなサービスに大きな可能性がある。

LINEの競合には、FoodPandaを始めとする既存の宅配サービスに加えて、オンデマンド乗車サービスがある。Grabは最近インドネシアで配達サービスを開始したが、そこではGo-Jekというオンデマンドスタートアップが既に活動している。Uberは米国で非タクシー事業を展開しているが、アジアにはまだ進出していない ― ただし、同社はアジアの一部地域でオートバイタクシーを運行していることから、今後は変わるかもしれない。Uber Motoは、現在インド、タイ、およびインドネシアで営業しているが、将来アジアの他の地域にも広がる可能性は高い。

多事業展開に関して、実はLINEはUberに似たサービスを2015年から日本で運用しているが、海外展開については不明だ。

LINEは2年前に株式公開した。同社は、米国・日本の二元上場を2014年と2015年に中止したと報じられており、今年改めて取り組むとも噂されている。成長を示すことは、株式公開で最も重要な鍵であり、今回のサービス参入は、「メッセージアプリだけではない」と言う同社の取り組みの表れだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

カフェインのイヤリングはいかが?―Amazon、カスタマイズできる3Dプリント製品ストアをオープン

Amazonは3Dプリント製品のストアをオープンした。このストアでは消費者はサイズ、色、素材、デザインの一部などを好みに応じてカスタマイズすることができる。取り扱い分野は宝飾品、エレクトロニクス製品、おもちゃ、ゲーム、インテリア製品、キッチン用品などで、MixeeSculpteo、3DLTなど多数のパートナーが製品を提供する。

Amazonは「このストアのデビューによって、従来よりはるかに柔軟に消費者の要求に応じることができるようになる」としている。Amazonのマーケットプレイス販売部門のディレクター、Petra Schindler-Carterはプレスリリースで「3Dプリント製品ストアはオンライン通販のパラダイムシフトの開始を告げるものだ。製造業は消費者の要求にこれまでよりはるかに機敏に対応することができる」と述べた。

ストアのオープンにともなってAmazonは3Dプリント製品を消費者が簡単にカスタマイズできるツールもリリースした。このウィジェットでは、基本的なデザインを選択し、色や素材(プラスティック、金属など)を指定すと360°全周方向から3Dでプレビューができる。また顧客は厚さ、直径などデザインのいくつかの部分をカスタマイズできる。

分野や素材によって価格はさまざまだが、安い製品の場合は30ドル台だ。

多くの主要国で最大級の小売企業であるAmazonが、消費者が直接カスタマイズ可能な3Dプリント製品の販売を始めたことは、製造業そのもののターニングポイントとなる可能性を秘めている。受注生産や小ロット生産の製品は3Dプリンターを利用することで製造コストが劇的に下がる。3Dプリント・テクノロジーが今後も発達を続けるなら、カバーされる製品の分野も加速度的に広がっていくだろう。

今のところAmazonは予めカタログに載せた製品しか販売しない。Shapewaysのようにユーザーがアップロードしたデータを3D出力するサービスは提供していない。しかし将来は、その方向へのドアも開かれるかもしれない。

〔日本版〕 カット写真は分子モデルアクセサリーで、写真はカフェインだというが、砂糖、ドーパミン、アスピリンなどいろいろなオプションがある。イヤリングとネックレスがあり、サイズは大中小、素材はナイロンかステンレスが選べる。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


BBCのオンデマンドサービスiPlayerで初めてタブレットがモバイルを抜く

ここにも、タブレットの急速な普及の兆候が見られる。イギリスのBBCがインターネットから番組をオンデマンドで提供しているサービスiPlayerでは先月、初めてタブレットがモバイルを抜いた。番組リクエスト数はタブレット4100万に対して、モバイルからが4000万だった。PCなどすべてのデバイスを合わせると3月の番組リクエスト数は2億7200万だった(番組本体のみ、紹介編などを除く)。

3月のリクエスト総数の中でタブレットとモバイルはどちらも約15%を占める。下のグラフを見ると、長期的な傾向としてタブレットとモバイルは、これまでの主なiPlayerアクセスデバイスであるコンピュータ(PC)のシェアを蚕食していることが分かる。2012年3月ではPCのシェアは59%、今年の3月では47%だ。同じ時期にタブレットは6%から15%に、モバイルは9%から15%に伸びている。

これはBBCだけの特異な現象ではなく、業界全体としてもPCの売上は落ち込み、タブレットやスマートフォンのようなネット接続型のスマートデバイスが売れている。Gartnerの予測では今年の全世界のタブレットの売上台数はほぼ2億で、前年比70%の伸びとなる(IDCの予測では78.4%増)。これに対しPCの売れ行きは今年7.3%減少する。今回のBBCの数字と似た例としては、先月Adobe Digital Indexの場合、やはりタブレットからのアクセスが初めてスマートフォンを抜いている。

BBCのオンデマンドTVは、今放送中のテレビ番組と放送後の過去番組を見られるサービスだが、デバイスの形状やサイズからして、いかにもタブレット向きのアプリだ。ポータブルでありながら、画面サイズと解像度は不満感を与えない。BBCのiPlayerのデータでも、タブレットは圧倒的にラジオよりはテレビ番組用に使われている。

上記のデータはすべてiPlayer全体だが、テレビコンテンツに限ると、タブレットは3月の番組リクエストの19%を占め、モバイルは17%だった。一方ラジオだけでは、タブレット4%に対してモバイル10%だ。ラジオではPCのシェアが68%と高く、iPlayerが主に仕事などのバックグラウンドとして利用されていることがうかがわれる。PCの画面は、お仕事用に使われているのだろう。

iPlayerの利用のされ方でもうひとつおもしろいのは、テレビは主に(3月ではリクエストの88%)過去番組を見るために使われ、今放送中の通常番組の視聴は少ない。これに対しラジオでは、リクエストの83%でその日の通常番組が聴かれている。

iPlayerで今放送中の通常番組を見るためには視聴料を払わなければならない(ラジオは無料)。しかしその通常番組の視聴料収入はこのところ一貫して減少傾向にある。また通常のテレビ視聴者に比べてiPlayerの視聴者の年齢は下の方に偏っていて、2012Q4ではiPlayerユーザの76%が55歳以下だった。昨年8月にはiPlayerの通常番組視聴者がテレビリクエスト全体の32%(平常時の倍以上)に急増したが、それはおそらくオリンピックのためだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))