NFTゲーム開発のdouble jump.tokyoと日本発のブロックチェーン「Plasm Network」のStakeが提携発表

NFTゲーム開発のdouble jump.tokyoと日本発のブロックチェーン「Plasm Network」のStakeが提携発表

日本発のパブリックブロックチェーン「Plasm Network」(プラズムネットワーク)を手がけるStake Technoloiges(ステイク・テクノロジーズ)と、ブロックチェーン技術を用いたアプリ開発を行うdouble jump.tokyo(ダブルジャンプ・トウキョウ)は6月14日、パートナーシップを締結し、双方のエコシステム拡大に向けた協業を行うと発表した。

マルチチェーン設計のブロックチェーン「Polkadot」(ポルカドット)のR&Dチェーン「Kusama」(クサマ)において、「Shiden Network」(紫電ネットワーク)が(パラチェーンスロットを獲得し)接続した後、doublejump.tokyoがNFTコンテンツなど自社関連プロダクトのShiden Networkへの対応を開始する予定。Plasm Networkにも対応する。

doublejump.tokyoによると、ブロックチェーンゲーム開発支援サービス「MCH+」のブロックチェーンゲームのマルチチェーン対応を支援する「Asset Mirroring System」(AMS)を通じて、MCH+参画タイトルのShiden Network対応を行うという。すでにテストネットにおける実装は完了しているそうだ。

またdouble jump.tokyoは、Plasm NetworkおよびShiden Networkのバリデーターの運用を行い、ネットワークの地理的な分散性に貢献する予定。

「Polkadot」と「Plasm Network」、研究開発が主目的の姉妹チェーン「Kusama」と「Shiden Network」

PolkadotとPlasm Network、またKusamaとShiden Networkがそれぞれどのような存在で、どう関係しているのかは、Stake TechnoloigesのShunP氏による「中学生でもわかるPlasmとShiden」がわかりやすい。

Polkadotは、Web3 Foundation(Web3財団)による、複数の異なるブロックチェーンを相互接続・相互運用するためのオープンソースプロジェクトで、ブロックチェーンの課題である運用性とスケーラビリティーが解決されるものと期待されている。Kusamaは、研究開発が主目的とするPolkadotの姉妹チェーンにあたる。Kusamaでは、より挑戦的でイノベーティブなユースケースがKusama上で展開されるという。

PolkadotおよびKusamaは、本体にあたるブロックチェーン「リレーチェーン」(RelayChain)、またこれにつながる複数のブロックチェーン「パラチェーン‌」(Parachain)で構成されており、ポイントとなるのは、スマートコントラクトの動作環境やDefiなどはパラチェーン側が担当するという点にある。PolkadotおよびKusamaは、あくまで相互につなげる役割のみというわけだ。

Plasm NetworkとShiden Networkは、このPolkadotおよびKusama上でスマートコントラクトを扱うことに特化したパラチェーン(候補)およびパブリックチェーンとなっている。パラチェーンの接続数には限りがあるため、パラチェーンはオークションによって決定されることになっており、6月15日から始まるKusamaの第1回パラチェーンオークションでは、Shiden Networkが参加する。さらにその後Polkadotのオークションが行われ、Plasm Networkが参加する予定だ(日本発パブリックブロックチェーン開発のStake Technoloigesが約11億円調達、「世界で勝つ事例つくる」)。

スマートコントラクト実行環境EVMやWASAMを含む複数VMに対応、アプリ開発者への報酬還元メカニズムも採用

アプリ開発者にとっての注目点は、Plasm NetworkとShiden Networkは、Ethereumのスマートコントラクト実行環境EVMやWASAMを含む複数VMに対応していることだ。Ethereumをベースに開発を行ってきたプロジェクトであれば、既存コードベースを流用して開発できるという。

またDapps報酬と呼ばれる、アプリ開発者にブロック生成報酬の約半分を還元する独自のメカニズムも備えている。アプリのユーザーも、スマートコントラクトにPlasmのトークンをステーキングすることで、報酬の一部を獲得できるという。

Stake Technologiesは、「他国に大きな遅れを取ってしまっているクリプト領域において、日本発のプラットフォームとコンテンツが相互に連携し、日本の地位を向上させていきたいと考えております」と話している。

世界的な評価を得た2018年の「My Crypto Heroes」以来、NFTをめぐる環境の整備を着実に進めるdouble jump.tokyo

double jump.tokyoは、NFT(非代替性トークン。ノン・ファンジブル・トークン)コンテンツのプロデュースや発行と、ブロックチェーンゲームを開発する企業。1日のアクティブユーザー数や取引高で世界一を記録したこともある。今回のパートナーシップにより、Plasm Networkのエコシステムに、質の高いNFTコンテンツとそのコミュニティーを呼び込むことが期待されている。

またdouble jump.tokyoとPlasm Networkは、環境問題にも重点を置いているという。Bitcoin(ビットコイン)やEthereumは、認証に大量の計算を要し、消費電力が大きいPoW(プルーフ・オブ・ワーク)方式を使っているが、PolkadotではPoS方式の一種「NPoS」(ノミネーテッド・プルーフ・オブ・ステイク)という「直接的な経済的インセンティブによってネットワークを維持する」方式が採られているため、消費電力は格段に小さいという。なお、Plasm NetworkとShiden Networkでは、「水力と太陽光により発電された電力のみを用いるデータセンターとの提携」を進めているそうだ。

今後double jump.tokyoは、同社関連NFTコンテンツがPlasm NetworkおよびShiden Networで展開され、Plasmのスケーリングソリューションとさまざまなブロックチェーンとのブリッジを通じた「マルチチェーン化、UXの向上、グローバル展開」を目指すとしている。

2018年4月3日設立のdouble jump.tokyoは、「My Crypto Heroes」「BRAVE FRONTIER HEROES」「MyCryptoSaga」などのブロックチェーンゲームの開発、MCH+およびNFT事業支援サービス「NFTPLUS」、複数人で秘密鍵管理できるビジネス向けNFT管理SaaS「N Suite」の提供・開発を行っている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Ethereum / イーサリアム(製品・サービス)WebAssembly / Wasm(用語)NFT / 非代替性トークン / クリプトアート(用語)オープンソース / Open Source(用語)Kusama(製品・サービス)Shiden Network(製品・サービス)Stake Technoloiges(企業)スマートコントラクト(用語)double jump.tokyo(企業)DeFi / 分散型金融(用語)パラチェーン(用語)Bitcoin / ビットコイン(用語)Plasm Network(製品・サービス)ブロックチェーン(用語)Polkadot / ポルカドット(製品・サービス)リレーチェーン(用語)日本(国・地域)

日本発パブリックブロックチェーン開発のStake Technoloigesが約11億円調達、「世界で勝つ事例つくる」

「パブリックブロックチェーンこそが『未来』だと思います。私たちは日本発のプロダクトで、世界級のユニコーンを目指しています」。そう力強く話すのは、日本発のパブリックブロックチェーンであるPlasm Network(プラズムネットワーク)Shiden Network(紫電ネットワーク)の開発をおこなうStake TechnoloigesのCEO渡辺創太氏だ。

Stake Technoloigesはこれまで、世界最大級の暗号資産取引所であるBinanceからの資金調達や、「Microsoft for Startup」への採択など、ブロックチェーン業界の最先端を走ってきた。同社は2021年6月11日、中国のブロックチェーン特化VC大手のFenbushi Capitalなどから総額約11億円の資金調達を発表した。

今は「インターネットの黎明期」の段階

渡辺氏が率いるPlasm Networkは、Polkadot(ポルカドット)上でスマートコントラクトを扱うことに特化したブロックチェーンだ。Polkadotは、異なるブロックチェーン同士をつなげる「インターオペラビリティ(相互運用性)」を持つ。

この「インターオペラビリティ」の必要性ついて、渡辺氏はこう説明する。「例えば、私たちの生活に欠かせないインターネットも、本格的な普及以前は企業や研究機関が独自のプロトコルやネットワークを使用しており、互換性がなかったのです。でも、共通のレイヤーができ上がることで、各ネットワーク同士に相互運用性が生まれて、世界中どこにいてもつながることができるようになりました」。

「一方で、今世の中に数百あるともいわれるブロックチェーンは、基本的に個々のネットワーク別に運用されていて、つながっていません」。例えば、Bitcoin(ビットコイン)とEthereum(イーサリアム)は完全に別のネットワークであるため、イーサリアム上のDeFiなどでビットコインを利用することはできない。ビットコインの保有者はイーサリアムのそれより圧倒的に多いと予想されるため、現状の機会損失は大きいと言わざるを得ない。

ブロックチェーン同士がつながり合う世界

この課題を解決するのが、Polkadotが持つインターオペラビリティ(相互運用性)だ。Polkadotは、リレーチェーン(心臓部分)と、パラチェーン(手足の部分)に分かれており、約100個あるパラチェーン(手足)同士がつながることで、相互運用が可能になる。わかりやすいメリットの例としては「Polkadotを経由することで、ビットコイン(のバリュー)でイーサリアム上のNFTを購入できたり、ビットコインをイーサリアム上でステーキングできるようになる」と渡辺氏はいう。

Plasm Networkは、このPolkadotのパラチェーンの1つに入ることを目指している。ただ、パラチェーンの枠は約100個と限りがあり、今後、オークション形式で世界中のブロックチェーンプロジェクトと競い合うことになる。しかし渡辺氏は「Plasm Networkは現在、上から2、3番目という位置にいる」と自信を覗かせる。

スマートコントラクトに特化するPlasm Networkは、今後DeFiやNFTゲームといった数多くのdApps(分散型アプリ)が開発される基盤となる存在だ。いわば、Plasm Network上に築かれた「国」と、他の99個のパラチェーンの「国」が、Polkadotを経由して相互に交わり合うという「世界」が実現する。なんだか凄そうではあるが、うまく想像しづらいのが正直なところ。

渡辺氏は「『今できないこと』ができるようになるので、これはイノベーションです。だからこそ、将来的なユースケースやメリットを、現時点で具体的に想像することは少し難しい(笑)。でも、このインターオペラビリティによる変革の波は、この1、2年で一気に来ると思っています」と話す。インターネットが相互につながり世界を一変させたように、ブロックチェーンも今後「相互運用」が常識になると、我々が今想像することもできない使い方が発見されていくのかもしれない。

「日本が世界で勝つ」成功例となる

「日本発の企業が世界級のユニコーンになるためには、DXだけでは難しい。世界と戦うには、やはりプロダクトで勝負するしかないと思っています」。こう話す渡辺氏は、慶應義塾大学在学中の2014年にブロックチェーンと出会った。「黎明期から関わることができるイノベーションって珍しいと思うんです。インターネットが始まった頃、僕は生まれてもいなかったし、モバイルの時は中学生だった。でもブロックチェーンは、2008年から全員が『よーいどん』でスタートしたので、これはチャンスだと」。

渡辺氏は、大学を休学してシリコンバレーのブロックチェーン関連企業で1年間働いた後、日本に帰国してStake Technologiesを設立。総勢13名のチームは日本、韓国、中国、シンガポール、欧米と世界中に散らばっており、将来は法人をなくしてDAO(自律分散型組織)で運営する予定だという。

「日本がグローバルで勝つための『How To』が、まだまだ足りていません。米国では最近上場を果たしたCoinbaseが、過去にCompoundUniswapに投資しています。これらのプロジェクトはすでに育ってきていて、そこからさらに次のプロジェクトに投資するという段階。一方で日本は、まだこの最初の段階さえも完成していない。だから、私たちが先陣を切ってグローバルで勝つ成功例をつくり、日本のブロックチェーン業界に良い循環をつくっていきたい」と同氏は想いを語る。

いよいよ、6月15日からPolkadotのR&DチェーンであるKusamaの第1回パラチェーンオークションが始まり、Shiden Networkが参加する。さらにその後は、本丸であるPolkadotのパラチェーンオークションが始まり、Plasm Networkが参加する予定だ。執筆時点で2兆円を超える時価総額を持つPolkadotは、暗号資産業界全体でもトップ10に入るビッグプロジェクト。そのPolkadotの代表的なパラチェーンへの道を歩むPlasm Networkは、日本だけでなく世界を代表するパブリックブロックチェーンになる可能性さえも秘めているといえるだろう。

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