Facebook曰く、Cambridge Analyticaの不正に気付かなかったのは「古いタイプの脅威」に集中していたから

Cambridge Analyticaの2016年大統領選挙に関わる大規模なデータスキャンダルを見聞きした人々の多くは、どうしてそんなことが起きたのか不思議に思っている。実は、Facebookも、起きると思っていなかった。Facebook COOのSheryl Sandbergが今晩(米国時間5/30)のCodeカンファレンスで語った。

「2016年に戻って、人々が国や州や選挙機密について何を心配していたかを考えると、ほとんどがスパムやフィッシングによるハッキングだった」とSandbergは言った。「それがみんなの心配事だった」。

SandbergはSonyのメールハッキング事件を引き合いに出し、当時Facebookには、他の企業が抱えていた多くの問題はなかったと説明した。不幸なことに、Facebookはその分野で失敗はしなかったものの、「違う種類のもっと狡猾な脅威が来るとは思っていなかった」とSandbergは言った。

「われわれは新しい脅威がやってくることを予期していなかったことに気付いた。以前は古い脅威に集中していたが、今はこれがわれわれの抱えている問題であることを理解している」

今後に向けてSandbergは、今Facebookは問題を認識しており、将来の選挙に向けてこれらの脅威によりよい対応ができるようになったと語った。さらにSandbergは、Cambridge Analyticaの不正アクセスを発見したのが遅かっただけではなく、FacebookはいまだにCambridge Analyticaが何のデータをアクセスしたのかを正確にはわかっていないことも壇上で語った。Facebookは英国政府が独自の監査を行った際、まだ自社による監査の最中であったため、調査が一時中断した。

「われわれが当社のものであると識別できた可能性のあるデータを彼らは一切持っていなかった」とSandbergは言った。「今日にいたるまで、Cambridge Analyticaが何のデータを所有していたのか、まだわかっていない」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、データ漏洩問題で「少数の」広告主が出稿を停止したことを認める

FacebookのSheryl SandbergはBloombergのインタビューに答えて、Cambridge Analyticaを巡る現在進行中のプライバシー問題が、一部の広告主を弱気にさせていることを打ち明けた。

出稿を停止した広告主がどれがけいるか尋ねられたSandbergは、「少数」とだけ答え解釈の余地を大きく残した。SandbergはBloombergに、Facebookはデータプライバシーにかかわる懸念について広告主との「対話」に注力すると語った。

これもまた、Campridge Analyticaスキャンダルがビジネスの根幹に関わる部分でFacebookと広告主の関係を変化させる要因のひとつだ。

インタビューの中でSandbergは、プライバシーとセキュリティーに関するFacebookの予防対策(安全対策チームのメンバーを1万人から2万人に増員するなど)は、短中期的には会社の利益にマイナスの影響を与えるであろうことを再び強調した。

「運用体制の整備が遅かったことも問題であり、責任は私にある」とSandbergは言った。

Sandbergは、歴史的に見てFacebookはプラットフォームの問題を個別の事象として対応する傾向があり、そのために体系的な問題の対応が遅れるおそれがあることを認めた。

「最近までできていなかったが、現在は実行しているのが、視野を広く持ち、データが不正利用される可能性を厳しく監視することだ」とSandbergは言った

「これは時間のかかる仕事だ…もっと多くのことを見つけ、それを人々に伝え、封じ込めていくつもりだ」

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Facebook、「ユダヤ人嫌い」問題を受け、ターゲット広告の人力監視を約束

Facebookは、ユーザープロファイルの興味分野や勤務先情報を広告ターゲティングに利用することが、攻撃的行為を生む可能性を予知できなかった。 Facebook COO Sheryl Sandbergは現在の状況を詫び、今後Facebookは広告ターゲティングをすべて、手動でチェックすると発表した。

Facebookは、先週ProPublicaが「ユダヤ人嫌い」や「ユダヤ人を焼く方法」などのキーワードでターゲットしたFacebook広告を出せることを指摘した後、広告ターゲティングにユーザー生成情報を利用することを全面的に禁止した。Sandbergによると、Facebookは「看護師」や「歯科」などユーザー生成によるターゲティングオプション上位5000件を精査した。新しいキーワードはすべて人間による厳格なレビューを経てから登録される。

Facebookは、侮辱的な広告ターゲティングを禁止するためのルールを明確にするとともに、人間の管理者によるチェックを強化する。さらにFacebookは、広告サービスの悪用に関して、ユーザーインターフェースや技術的問題と同じ方法で通報できるしくみを検討している。

「これまでFacebook上でのヘイト行為を禁止する厳格なポリシーを長年運用してきた。私たちのコミュニティーは、このポリシーも入念な注意と配慮をもってFacebookに適用させる権利がある」

Facebookは広告主が「ユダヤ人嫌い」をキーワードにターゲットすることを許している。画像出典:ProPublica

このスキャンダルは、Facebookが自社の広告システムが悪用される可能性を「予期していなかった」ことをSandbergが認めたこととあわせて、最近Facebookで起きている多くの問題が認識の甘さに起因することを象徴している。2016年の米国大統領選挙でロシアスパイが政治的広告を買ったことを始め、Messengerの位置情報機能がユーザーのいた場所を突き止めることに悪用されたり、ユーザー滞留を優先するあまりニュースフィードにクリックを誘う偽ニュースを流していることまで、一連の問題は、Facebookの理想主義的なリーダーシップが、最悪のシナリオ予測することよりも、善意の利用場面の推進に長けていることを証明している。

Facebookのもつパブリッシングや広告、コミュニケーションの規模と力を踏まえると、この会社は人間の本性の邪悪な側面を予見することを学ぶべきだ。おそらくそれは、熟練の懐疑論者を雇い、悪用を発見する正義のハッカーとして活用することを意味しているのだろう。

Sandbergの投稿全文は以下で読める。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

シェリル・サンドバーグ曰く「誰もFacebookでガセネタなど見たくない」

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今日(米国時間12/8)放映されたTodayで、Sheryl Sandbergは2016年大統領選挙でのFacebookの責任を否定した。それでも、Facebookが政治的、社会的な運動で重要な役割を果たしていることは忘れていない。それは米国近代史上最も対立の激しかった選挙への影響に留まらない。

SandbergはTodayのホスト、Savannah Guthrieに2016年に最も話題になったニュースについて語った。「人々はFacebookで自分にとって大切なことをシェアする。だからランキングにはその大切な瞬間が常に映しだされる。大統領選挙がナンバーワンのニュースだったのは当然だ。人々は自分の気になけていることをシェアするためにFacebookに来るのだから」

Guthrieは、嘘のニュースが会社の想像していた以上の問題になったのかどうか、Sandbergに尋ねた。

「この件については長年取り組んできておりこれまでにも重要な段階を踏んできたが、まだやるべきことはたくさんある。誰もFacebookでガセネタを見たくないことはわかっている。われわれもFacebookでガセネタ見たくない。われわれが努力しているのは、誤情報が深刻な問題だと促えているためであり、今後も続けていく考えだ」

Sandbergが「ガセネタ」について慎重に穏やかな表現を選んでいたことは、かつての素朴な時代を思い出させる。当時はまだ、Facebookの偽バイラルコンテンツが小さなニュースサイトを一儲けさせたり、政治や社会に深刻な影響をえることはなかった。

Facebookが選挙を左右したと主張する人もいるようだが、われわれは選挙を左右したとは思っていない。

残念ながらSandbergがどう言おうとも、あらゆる証拠が逆方向を指している。そもそも多くの人は真実との区別をつけられないのが普通なので、誤情報を深く気にかける。Buzzfeedの記事にあるように、2016年末、偽ニュースの威力は真実のニュースを上回った。マスコミでの酷評にもかかわらず、Facebook自身はニュースの拡散によって明らかに利益を得ている。つまるところ、最も人を引きつけるコンテンツなのだから。

故意に誤解を招かせるニュース記事が「振り返ってみて[Facebookの」想像以上に大きな影響を与えたと考えているか」と再び聞かれ、Sandbergは詳しく答えた。

「Facebookが選挙を左右したと主張する人もいるようだが、われわれは選挙を左右したとは思っていない。しかし、責任は深刻に受け止めており、第三者による協力を含め偽ニュースの識別に取り組んでいく。Facebookとして何がガセネタかを明確にしていく。」

Facebookの年間10大ニュースのうち、他の話題をほとんどスキップしたSandbergは、第4位に入った「Black Lives Matter」[黒人命も大切だ]運動を取り上げた。

「Black Lives Matterでも同じことが起きている。Black Lives Matter運動は何年も前から起きている ― しかし、Facebookのトップ10に入ったのは今年が初めてだった。理由のひとつは、命の力が人々に証言する勇気を与えたことだ。人々は大きな瞬間とつながり、小さな瞬間とつながり、そして自分にとって大切なものごとをシェアするようになった」

ちなみにFacebookの2016年ランキングで全世界の話題でトップ10に入ったニュースの半分は政治に関するものだった。

  1. アメリカ大統領選挙
  2. ブラジルの政治
  3. ポケモンGO
  4. Black Lives Matter
  5. フィリピン大統領選挙 & ロドリゴ・ドゥテルテ大統領
  6. リオオリンピック
  7. イギリスEU離脱
  8. スーパーボウル
  9. デヴィッド・ボウイ
  10. モハメド・アリ

SandbergはFacebookのライブビデオ年間トップも発表し、チューバッカママが選ばれた。正当、かつ恐らく2016年唯一の勝者にふさわしく、ママなりの政治論争も忘れていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、1日に30億本のビデオを配信。オートプレイも貢献


どうも最近Facebookにビデオが多くなったと感じているなら、それはあなただけではない。Facebookは今日(米国時間1/28)好調のQ4決算報告の中で、同サイトで毎日30億本のビデオが視聴されていることを報告した。同じく報告された日間アクティブユーザー数8.9億人と合わせると、1日1人当たりビデオ3本以上になる。

Facebookは具体的に、米国ユーザーの50%以上が、少なくとも1日に1本以上ビデオを見ていると書いている。そのうちのどれだけがオートプレイかは明らかにしていないが、Facebookビデオの65%以上がモバイルで表示されていることは記載されている。

CEO Mark Zuckerbergは収支会見で、過去10年間にFacebookの利用形態はテキスト主体から「写真が主でテキストとビデオも」へと変遷したと言ったが、彼の言い方は少々控え目かもしれない。

比較すると、Facebookで毎日シェアされている写真は20億枚 ― つまりビデオよりも10億少ない。そして、Facebookがどれほどビデオを促進しているかの証拠として、1日当たりのビデオが10億本を越えたのは、つい2014年6月のことだ。

「われわれのサービスにおけるビデオコンテンツの伸びは、大きなトレンドの一つになるだろう」とZuckerbergは今後3年、5年、10年先の同サービスについて語った。

ビデオはFacebookにとっていくつもの段階で重要だ。

一方で、視聴方法から見てこれはユーザーをサイトに長く留まらせるメディアだ。その点でFacebookはうまくやっている。いくつかの推測データによると、ビデオクリエーターやビデオ視聴者を、オンラインビデオの王者、YouTubeから奪っているという。

Facebookによると、昨年1ユーザー当たりのビデオ投稿数は、全世界で75%、米国で94%増加した(私の予想では、今後「ネイティブ」ビデオをさらに強く推進するのではないか ― つまり、第三者サイトではなくFacebook自身が配信するビデオだ。そのために使いやすさを改善したり、Facebookの進化し続ける〈何が一番見られるか〉アルゴリズムでの扱いをよくすることなどが考えられる)。

もう一方で、テレビとの親密な関係によって、オンラインビデオはプレミアム広告媒体であり、高級ブランドを引きつけることができる。これはFacebookだけでなくYahoo、AOL、Twitter等もこのメディアを推してきた理由の一つだ。

COO Sheryl Sandbergは、Facebookにおける消費者ビデオと広告ビジネスの関係を説明した。「毎日30億本のビデオを配信できることを大いに喜んでいる。なぜならこれは消費者がビデオを好きだという意味だからだ」と彼女は語った。「それがわが社のビデオ広告に伸びる機会を与えてくれる」。

「重要なのは、Facebookで消費者がビデオを使っていること」だと後に彼女は言った。もしそうでなければ、「ビデオ広告は非常に目障りだ」。

前四半期にFacebookはオートプレイビデオ広告を全世界に展開し、「多くのクライアントがビデオを通じて創造的にストーリーを伝えた」と言ったが、結果の成否については明らかにしなかった。

Facebookは、今日発表したNFLフィードなどいくつかのプレミアムコンテンツを推進しているが、ハイエンドにすべてを賭けてはいない点が興味深い。

「コンテンツが何であるかは重要ではない」とSandbergは、FacebookがYouTubeと同じようにプレミアムビデオコンテンツを増やすために契約を増やすつもりかという質問に答えて言った。「われわれは現在NFLをテストしているが、それがなくても既に爆発的に成長している。最適な割合が何かはまだわからない」。

Facebookは、総売上高38.5億ドルのうち、36億ドルを広告から得ているが、ビデオ広告や他のフォーマットの割合は公表していない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


「ビジネスでもっと割り込め」と女性を激励するシェリル・サンドバーグの新著 “Lean In” が発売初日でAmazonのベストセラー1位に

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FacebookのCOO、シェリル・サンドバーグの新著、Lean In: Women, Work, and the Will to Lead はアメリカ中で女性の社会的地位とフェミニズムの現状に関する議論を巻き起こしている。しかしそればかりではない。発売初日で早くもAmazonのベストセラー・リストのトップに躍り出た。

この本から上がる利益は全額がLeanIn.orgの運営資金に充てられる。これは女性の社会的、経済的地位の向上を目指す国際的なNPOで、賛否議論スタート前から戦わされている。サンドバーグの試みに反対する主張というのは、女性の地位の強化を試みる本の内容に反対というより、著者に対する反感だと思われる。裕福な家庭に生まれてハーバードで教育を受けてた女性は一般女性の現実の苦闘とは無縁だというのだろう。

しかしこれは見当はずれな議論だ。

ちなみにLean Inでサンドバーグは「女性が仕事上で控え目に振る舞おうとするのを止めるべきだ」と励ましている。そして「強引に割り込め。もっと大胆に挑戦せよ」と勧める。サンドバーグは「女性はもっと本音をぶちまけ、もっとアグレッシブにならなくてはいけない」と主張する。サンドバーグは先週末に60 Minutesに出演した際、「男の子ならリーダーシップがあると褒められるはずなのに、私は女の子だったのでbossy〔小生意気な、偉ぶった〕だと言われたものです」と述べた。

実際サンドバーグは組織の階段を登るたびに身をもって女性であるがゆえのの苦労を体験してきたのだと思う。

ただし、他のビジネス上のアドバイスと同様、サンドバーグのメッセージも全女性に向けられたものではない。このことが誤解を生む一因になっているようだ。サンドバーグのメッセージは、ブルーカラーの低所得女性労働者や誰も助けてくれる人がいないので子供の世話以外何もすることができないシングルマザーなどの置かれている状況を改善するものではない。なるほどそうした問題に注意を向けることは重要だが、だからといってLean Inの価値が減じるるわけではない。

この本が想定している読者は、少なくともある程度の所得や資産があり、自分のキャリヤ形成を真剣に考えているような女性たちだろう。その日その日の衣食住をまかなうことで精一杯の女性たちのための本ではない。だが、この本は参政権や中絶の権利のようなすべての女性に等しく関連する問題を扱っているわけではないのだ。そのメッセージがアメリカ中の全女性に当てはまらないとしてもまったく問題はない。この本が呼びかけようとしている種類の女性の幾分かでもアドバイスに従うなら、仕事上で成功する女性の割合が増えるという現実の効果があるだろう。組織のトップレベルでの男女平等の促進というのは追求するに足る重要な課題だ。

しかしこれはもっと広い範囲にわたる問題の一部に過ぎない。男性は家事にもっと「割り込む」べきだろうし、男女を問わず、家庭をもっと大切にできる環境を支える法律や公的政策が必要だ。

Lean Inはもっと早くから議論されるべきであったこのテーマに対する関心の火付け役となるに違いない。しかし議論だけでは終わってはならないだろう。

〔日本版〕 lean in あるいはlean into は字義どおりには「~の方向に傾ける」という意味。"As you walk into the wind, lean in a little bit".( 風に逆らって歩くときは少し前かがみになる。) また自転車やオートバイでカーブを曲がるときに体を傾けることもいう。 「体重をかける」から転じて 「誰(何)かに圧力をかける」という意味にも使われる。サンドバーグの著書では「もっと自己主張してトップを目指せ」という意味で使われているようだ。日本語にすれば「割り込め」というのがニュアンスとして近いかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+

閲覧320万回:Facebookのシェリル・サンドバーグが「最高のシリコンバレー文化」と絶賛したNetflixの企業カルチャー・ガイドとは?

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Facebookのナンバー2、COOのシェリル・サンドバーグが最近、Netflixの企業カルチャーを説明する文書を「シリコンバレーから生まれた最高の文書の一つ」と絶賛した。この文書はブレットがふんだんに振りまかれたパワーポイント・ファイルだが、Slideshare.netですでに320万回も閲覧されている。たしかにシリコンバレーのカルチャーに大きな影響を与えているようだ。

この文書は単に1企業の経営手法の説明にとどまらない。ここに見られる個人の創造性を信頼することで不確実性の時代に対処していこうとする哲学は上位下達の20世紀型組織原理と驚くべき対照をなしている。インターネットに代表される絶えざるイノベーションの波が企業を洗い続けるかぎり、Netflix文書は進路を占う水晶玉として役立つことだろう。

いくつかの重要な点を要約して紹介してみたい。

創造性こそもっとも重要

伝統的なビジネスでは最良のものは他より2倍優れています。しかし創造性が支配的であるようなビジネスでは最良のものは他より10倍優れているのです。

テクノロジー産業では時代遅れになることが何より恐ろしい。インターネットの接続速度が日一日と高速化していく中、NetflixはDVDの郵送レンタルサービスから即座にコンテンツを再生できるストリーミング・サービスにビジネス・モデルを敢然として飛躍させた。

ビデオのストリーミング・モデルの次に起きる変化は今はまだ分からない。しかし現在のさまざまな問題に対して創造的な解決方法を案出することの価値はこの上なく高い。

イノベーションの影響が今日ほど大きい時代はない。Microsoftのフラグシップ・プロダクト、OfficeはGoogleの無料のオンライン生産性ツール、Googleドキュメントによって大打撃をうけつつある。これはMicrosftがユーザーが大部分の時間をどこで過ごしているか(もちろんインターネットだ)認識するのが遅れたためだ。

職の安定より新たな発見を優先

多くの社員がわれわれの企業文化を好み、長期間働いています。彼らは親切であり、変化を好むことによって高い成果を挙げている人々です。しかし成果を挙げることより職の安定を好む人々もいます。彼らはわれわれの企業文化を嫌います。

政治的観点からはこの原則がもっとも興味あるものだろう。主要なインターネット企業には組合が一つもない。にもかかわらず、満足を与える職場として常にトップにランクされている。

創造的な大企業は、従業員が求めるものは高い給与と職の安定だという伝統的な考えを打破した。挑戦しがいのある楽しい職場環境こそ従業員を引き止める最強の要素なのだ。リスクを恐れないことはテクノロジー企業のファウンダーたちの著しい特徴だが、そのファウンダーたちは従業員に同様の「〔不思議の国のアリスのように〕ウサギ穴に飛び降りる」勇気を求める。テクノロジー・ビジネスでは何事も不確実であり、失敗は即座に厳しい結果として返ってくる。ある種の人々にとっては決して天国のような環境とはいえない。

従業員の間違った行動は何らかの理解不足に基づく

管理職の皆さん。皆さんの部下が何かバカげたことをした場合、いきなり彼らを責めてはいけません。逆に彼らが正しい行動ができるような環境を作れていないのではないかとチェックしなければなりません。自分の働くコンテキストをよく理解した社員は高い成果を挙げます。

ヒエラルキーに基づく20世紀型経営スタイルは、個人的な意見の相違は命令によって圧服させねばならないとする権威的哲学の産物だった。王様以下、公爵、將軍から軍曹に至るまで上位下達のシステムが構築され、誰もが直属の上司の命令に従わねばならない。そこには意見の相違を会話によって解決するという考えはない。

たとえばヒエラルキー経営のゴッドファーザーともいうべきフレデリック・テイラーはこう書いてる。「もし2人の職長が意見の相違を解決できない場合は、問題をその上司に報告して決定を仰ぐべきである。もし上司である職場監督が解決できない場合、副工場長に問題の解決を委ねるべきである」。

Netflixの企業文化は「社員は予め示された基準にしたがって定型的な作業を繰り返す」という哲学の正反対だ。社員がバカげた対応をするのはほとんどの場合、コミュニケーションの不足、自分がやっていることの背景に対する理解の不足が原因だ。Netflixの人間性に対する考え方は権威主義的な20世紀の経営学とはまったく異なる。

休暇は無制限

Netflixの休暇および勤怠に関する規則:そういうものはありません。

Netflixの経営哲学のうちでももっともラジカルなのが「休暇は無制限」だろう。Netflixの社員は自分が適当と判断する時期と期間、カリブ海にサーフィンに行くことができる。また出張旅費の請求や精算に関しても、官僚的な規則を並べ立てるかわりにわずか5語ですませている。「Netflixの利益になるように行動してください」。

インターネット企業は人間性に対して伝統的経営学とはまったく異った見方をする。シェリル・サンドバーグはNetflixの短いパワーポイント・ファイルの中にイノベーティブな経営に必須な哲学を見出したのだろう。

文書の全文を以下にエンベッドしておく。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+