テスト中に爆発したSpaceXのStarship Mk1は次世代機へのステップになるか

SpaceXのStarshipのプロトタイプMk1は、米国時間11月20日、テキサスでの初期テスト中に爆発をともなう失敗に見舞われた。動画を見れば実際に何が起こったかを確認できるだろう。基本的には極低温テスト中に蓋が吹き飛んだというもの。これは機体が実際の使用環境で遭遇するような極低温に耐えられるかを確認するための標準的なテストだ。SpaceXに限らず、ロケットを製造する場合には、このような初期段階でのテストを地上で、制御された比較的安全な条件で行うのが普通だ。その理由は、まさにこういうことが起こりうるからだ。そうは言っても、これがSpaceXの楽観的なスケジュールを遅らせる可能性があることは否定できない。

計画の次のステップとしては、SpaceXがStarship Mk1から学んだことを糧として、次の世代のプロトタイプ宇宙船、Starship Mk3に進むことだと考えられる。「ちょっと待って、Mk2を飛ばしてない?」と思うかもしれない。そんなことはない。SpaceXは、フロリダの別の施設で今回破壊されたMk1と並行して、すでにMk2を製造中なのだ。

SpaceXのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、YouTuber(ユーチューバー)のEveryday Astronaut(エブリデイ・アストロノート)氏が、Starshipのテストの次のステップに関してTwitterで質問したのに対し、SpaceXはMk3に向けて前進する、Mk1の価値は主に「製造上の先駆者」となることだったとし、「実際に飛ばす機体の設計はまったく異なる」とすぐに答えている

これはこれまでとは異なった見解であり、今まで議論されてきたStarshipの開発に関する話とは違っている。これまでの話では、Startship Mk1と同Mk2は、高高度テスト飛行用の機体として設計されたものであり、先の尖っていないスケールダウンされたデモ機「Starhopper」(スターホッパー)の成功に続くべきものだった。Starhopperは、1基のRaptor(ラプター)エンジンを搭載したもので、SpaceXのテキサスのサイトで、何回か低高度の上昇と着地を繰り返した。

ただし宇宙開発事業は、特に打ち上げについてはスケジュールが流動的なものになりがちだ。またSpaceXは、その野心的な目標のほとんどについて非常に楽観的なスケジュールを設定している。それについては、マスク氏と、SpaceXの社長兼COOであるGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏が公言してはばからない。それでも同社は、来年早々にもStarshipのプロトタイプによって軌道飛行を実現することを目指していると述べていた。この不都合なテスト結果が、そのスケジュールに影響するかどうかは、これからじっくりと見定める必要があるだろう。

SpaceXは、本日のテストに関して次のような声明を発表した。

今日のテストの目的は、システムを最大限に加圧することだったため、このような結果をまったく予期していなかったわけではありません。負傷者はいませんでした。また、これは深刻な後退につながるものでもありません。

イーロン(Elon)がツイートした通り、Mk1は製造のための貴重な先駆者として機能しましたが、実際に飛ばす機体の設計はまったく異なるものになります。同じ設計のテスト機は飛ばさないという決定はすでになされており、チームはすでに軌道周回用に設計したMk3の製造に集中しています。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

SpaceXが有人宇宙船Crew Dragon打ち上げシステムの噴射テストを完了

SpaceXは、有人宇宙船カプセルCrew Dragonの打ち上げ脱出システムのスタティックファイアリングテスト(射点に固定したロケットを噴射する)を行ったと発表した。これは、同社にとって必須のテストであり、去る4月のテストでは爆発を起こして宇宙船が破壊されたことから特に注目を集めていた。調査の結果SpaceXとNASAは、試験失敗の原因を突き止め修正し、今日のエンジン噴射につながった。

今日のテストは前回よりずっとスムーズに進行したようで、計画された時間一杯テストは続き、現在同社の技術者とNASAチームはテストの結果と得られたデータを検討しているとSpaceXは語った。成功と認められるために必要な基準をテスト結果が満たしていれば、有人飛行システムの機内テストに移ることができる。Crew DragonがNASAの宇宙飛行士を乗せて飛び立つために必要な次のステップだ。

緊急脱出テストは、実際の有人ミッションの緊急時にSuperDracoの脱出システムがどのような振る舞うかを調べる重要なステップで、実際には誰も乗っていない。NASAは商業パートナーに対して、安全確保のため緊急時に有人カプセルを宇宙船から安全な距離まですばやく移動できることを示すよう要求している。イーロン・マスク氏は、予定通り進めば早ければ12月中旬に緊急脱出テストを行いたいと語った。

重要なテストがすべて計画通り進めば、来年の前半には最初の有人飛行ミッションを遂行できるとNASAとSpaceXは楽観視している。同じく商業有人飛行を請け負っているボーイングも同社のStarliner有人カプセルプログラムを同じようなスケジュールで進めている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXがFalcon 9ブースターの4回目の回収、フェアリングも再飛行と回収に成功

 SpaceXのStarlinkのミニ通信衛星衛星の大量打ち上げは計画どおり、60基を軌道に乗せることに成功した。今朝Falcon 9によって打ち上げられた60基は今年5月に打ち上げられた60基に続くものだ。前回までの打ち上げがテストだったのに対して、今回からは宇宙インターネット網を構成するStarlink衛星群の第一陣だ。

打ち上げは米国フロリダ州ケープカナベラルで実施され、Falcon 9の第1段ブースターは単なる「再」利用どころか、すでに3回打ち上げに用いられており、今回無事に地上回収に成功したことで4回目の宇宙飛行となった。これはSpaceX自身にとっても再利用回数の新記録だ。ブースターロケットについてSpaceXでは「最大10回の宇宙飛行に耐えるよう設計されている」と述べている。

今回SpaceXはペイロードを大気との摩擦から保護するフェアリングの回収にも成功した。これは大西洋を航行する回収専用船「Of Course I Still Love You」の船上に張り渡されたネットによってキャッチされた。SpaceXがファエリングの再飛行、再回収を試みたのはこれが最初だ(もちろん他の宇宙企業も試みていない)。前回のフェアリング回収は大型のFalcon Heavyによって中東上空をカバーする Arabsat-6Aを打ち上げた4月のミッションで実施された。 SaceXのCEOであるイーロン・マスク氏によれば、フェアリングの回収は1回ごと600万ドル(約6億5400億円)の節約となるという。

SpaceXでは当初からフェアリングの回収を図っていたが、最初の打ち上げでは海の状況やその他の理由で成功しなかった。

SpaceXは最終的に1万2000基程度の衛星によってStarlinkを構成する計画だ。この衛星コンステレーションは地球上のあらゆる場所でインターネットへのアクセスを可能にする。衛星群は軌道上を周回しながら次々に中継機能を別の衛星にスイッチしていく。これは地球の自転に同期する少数の大型静止衛星によって通信を行うのとはまったく異なるアプローチだ。赤道上空に静止する衛星によるカバー範囲は衛星の経度によって限定されるほか、高緯度地方では接続が困難になる。

今年、イーロン・マスク氏はStalinkを利用した最初のツイートを行っている。SpaceXでは今後6回の打ち上げによって米国とカナダのユーザーがStarlinkを利用できるにようにする計画だ。その後24回の打ち上げでサービスは全世界に拡大される。

【Japan編集部追記】打ち上げ、回収のライブビデオを含む記事はこちら

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceX Falcon 9の打ち上げライブビデオ、ブースターは4度目の宇宙飛行へ

米国時間11月11日の朝、SpaceXは米国フロリダ州ケープカナベラル宇宙基地からビッグな打ち上げを行う。 Falcon 9にはイーロン・マスク氏が推進する衛星通信網であるStarlinkを構成するミニ衛星60基が搭載されている。

今回のStarlink衛星は実験ではなく、実用衛星の第1陣だ。SpaceXではこの通信網を広く一般ユーザーに開放し、世界のどこにいても高速インターネット接続が得られるようにする計画だ。

SpaceXは過去に2回の打ち上げで合計62基のStarlink衛星を軌道に乗せている。2018年にカリフォルニアのバンデンハーグ空軍基地からスペイン政府の地球観測衛星のPazを打ち上げる際に、Starlink衛星も2基搭載した。その後、今年5月には地上の通信システムのテストのために60基を打ち上げた。このときは衛星を操縦して意図のとおりに大気圏に再突入させて廃棄する実験も目的だった。60基のうち57基は現在も軌道を周回中だ。

今回さらに60基を打ち上げるミッションでは通信能力の拡大を実証すると同時に、Starlink衛星のdemisability、つまり衛星の運用寿命が尽きたときにロケットを燃焼させて大気圏に再突入させ、軌道上に宇宙ゴミとなって残らないようにする能力が100%作動することを確認するのも大きな目的だ。Starlinkのように大量のミニ衛星で地球をカバーする通信システムの場合、この能力は実用化に向けての必須の機能だ。【略】

Starlink網建設の重要な第一歩となるペイロードに加えて、Fakcon 9自身もも重要なミッションが貸せられている。SpaceXではFalcon 9の1段目となるブースターの再利用に力を入れているが、今回利用されるブースターはすでに過去3回飛行している。さらにペイロードを大気との摩擦から保護するフェアリングは今年のFalcon HeavyのArabsat-6A打ち上げの際に用いられている。SpaceXではブースターを地上回収すると同時に、大西洋上の専用船によってファエリングの回収も図る。発射と回収の模様は上のライブ中継で見ることができる。

【Japan編集部追記】このビデオは録画となっており、打ち上げシーンは19時57分でエンジンスタート、21時18分でマックスQ(最大空気抵抗)、22時42分でブースター切り離し。ブースターのグリッドフィン展開、ペイロードのフェアリング切り離しなどが続く。28時24分でブースター着陸、4度目の飛行成功。再利用に関しては別記事に解説がある。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

イーロン・マスクが火星での都市建設は20年かかるとの見方を語る

SpaceXのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏が、火星到達、そして都市として機能して人口を有することができる持続可能な基地の建設について、タイムラインや必要とするロケットなど詳細を語った。結局のところ、それはマスク氏と彼の宇宙開発会社にとって、人間を複数の惑星にまたがって存続できる生き物にしようとする長期的なビジョンだ。ツイッターでファンに返信する形で11月7日にマスク氏が投稿したタイムラインは、見方によってはかなり素晴らしく、あるいは野心的なものだ。

先週初めに米国カリフォルニアで開催された米空軍のピッチデーイベントで、マスク氏はコメントに対する質問に答えるかたちで「Starshipの定期打ち上げ1回あたりのコストをわずか200万ドル(約2億2000万円)ほどにするのは必然であり、最終目標は『火星における単独で持続可能な都市』を建設することだ」と述べた。マスク氏の予測によると、その都市を現実のものとするにはSpaceXはStarshipを1000基ほど建造して飛ばす必要がある。都市建設のためには貨物やインフラ、人を20年ほどかけて火星に運ぶことになる。地球と火星の距離を考えたとき、火星へのフライトは2年かかるというのが現実的だからだ。

マスク氏はまたStarshipについて、地球軌道での移動でどれくらいのペイロードに対応できるかなどの見通しについても言及した。Starshipのデザインはできる限り再利用できるようになっている。実際、マスク氏は1日あたり3回打ち上げられるのが理想だと述べている。これに基づくとStarship1基あたり年間1000回超のフライトとなる。つまり、すでに建造した最大100トンの物資を運ぶ能力があるFalconロケットと同じだけ(約100基)のStarshipを持てば、年間ベースでSpaceXは1000万トンを軌道に打ち上げられることになる。

そうした観点から「もし現在使用されているすべての貨物搭載可能なロケットを頭数に数えたらペイロードキャパシティの総計は年間500トンとなる」とマスク氏は指摘する。その半分を占めるSpaceXのFalconロケットシリーズを含めての話だ。

これはかなりのペイロードだ。実際のところ、これはおそらく当面の需要を超えるものだ。しかし「より混雑する宇宙や貨物輸送のための地上施設、月での燃料給油、火星行きのロケットが宇宙への旅ができる状態にある」という将来をマスク氏が心に描いているのも確かだろう。

もちろん、永住できる持続可能な都市を火星に建設するには、まずは有人飛行を成功させなければならない。それからもう1つ経なければならないステップがある。宇宙飛行士の月面着陸だ。NASAは2024年にそれを達成する目標を立てている。そしてSpaceXは早くて2022年に着陸に備えてStarshipを月に送りたい、と述べている。過去にマスク氏は有人火星ミッションを2024年にも実施したいと語っていたが、それは今日の状況から見ると願望ということになりそうだ(マスク氏のタイムラインのほとんどがそうだ)。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

SpaceXの再使用可能ロケットは1回あたり約2億2000万円で打ち上げられる

SpaceX(スペースX)の目標は、真に再使用可能なロケットの打ち上げを実現することで、それには妥当な理由がある。それは、Elon Musk(イーロン・マスク)氏が飛行機が乗客を移動させるのに例えて説明したように、使い捨てではない再使用ロケットによるコストの削減だ。彼らはその目標に向けて多くの進歩を遂げ、今ではFalcon 9ロケットの一部とDragon補給船が頻繁に再飛行しているが、宇宙船のStarshipはさらに再使用化が進むはずだ。

マスク氏は今週にロサンゼルスで開催された米空軍の年次ピッチデーにサプライズゲストとして登場し、SpaceXやその顧客がどれだけコストを節約できるかのアイデアを披露した。Space.comによると、同氏はイベントで米空軍中将のJohn Thompson(ジョン・トンプソン)氏と会話し、Starshipの打ち上げの燃料費は約90万ドル(約9800万円)、そして運用コストを考慮すれば1回の打ち上げ費用は約200万ドル(約2億2000万円)になるだろうと語った。「これは小型ロケットよりもはるかに安い」と同氏は付け加え、このシステムが「必然だ」と説明した。

Starshipは大容量のペイロードを輸送するためにゼロから設計されており、現在開発中のSuper Heavyブースターや軌道上での燃料補給と組み合わせることで、大量の物資や衛星を月の軌道、あるいは火星まで輸送する能力も備えている。Starshipは最終的にはSpaceXのすべてのロケットに取って代わることを期待されており、一度完成して飛行すれば、最終的にはFalcon 9やFalcon Heavyよりもはるかにコスト効率のいい運用ができるはずだ。

現在SpaceXはプロトタイプ機のStarship Mk1と同Mk2による、大気圏内での高高度制御による飛行と着陸を準備している。同社はまた、わずか6カ月以内に軌道試験が実施できると楽観的に考えている。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXが有人宇宙船「クルードラゴン」のパラシュート試験に13回連続成功

SpaceXは、13回に渡るパラシュート試験に成功した。同社の宇宙船であるCrew Dragon(クルー・ドラゴン)で利用予定の第3世代パラシュートシステムだ。直近のテストでSpaceXは、短く編集ビデオをTwitterで公開し、パラシュートの一つを意図的に作動させないシステムの実験を見せ、仮に部分的に不具合が起きた場合にも飛行士がが安全に着地できることを示した。

NASAの宇宙飛行士を乗せたCrew Dragonを打ち上げる計画のSpaceXにとってこれは大きな一歩だ。先月NASAのJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官はカリフォルニア州ホーソンのSpaceX本社を訪れ、SpaceXのElon Musk(イーロン・マスク)CEOとこの商用クルー計画の進捗状況について話あった。その時Musk氏は、改善したMark 3パラシュートシステムのテストを最低10回成功させてから飛行士を乗せると話していた。

「宇宙飛行士を飛ばす前に、最低でも10回連続でテストに成功させるつもりだ」と当時Musk氏は話した。「パラシュートの動作が安定していることを10回のテストで確実にするためだ」

当時Musk氏は、年内に少なくとも10回テストする予定であることも言っていたので、13回という数字は十分計画を満たしており、これはMusk氏が概して楽観的な目標日程を設定するSpaceXにとって、予定より早い進捗という珍しい事態だと言える。

Crew Dragonに使われているこの第3世代のパラシュートは、ナイロンの代わりにザイロンを使用している。SRI(スタンフォード研究所)で開発されたポリマー材料で、パラシュートで使用する糸の強度をナイロンの約3倍にできる。SpaceXは縫製パターンも変更し、新しいパラシュートの負荷バランスを最適化している。

SpaceXの次のステップは打ち上げテストで早ければ今週水曜日にも行われる。地上で行われCrew Dragonの脱出用エンジンをテストする。その後は空中での脱出用エンジンテストを年内に実施することを期待しており、非常時に離陸後のFalcon 9ロケットからCrew Dragonが脱出するところを見せる。

NASAとSpaceXは両者とも、今後のテストが順調に行われれば来年早くに有人飛行が実施できると楽観的な見方をしている。

原文へ

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXは2022年までに月面にStarshipを着陸させ、2024年までに月面着陸に備える予定

毎年恒例の国際宇宙会議(IAC、International Astronautical Congress)で行われた、SpaceXに対する一連の簡単なインタビューの中で、SpaceXの社長でCOOのGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏は、まもなく登場するStarship宇宙船のミッションスケジュールに関する同社の現在の考えについて少しばかり明らかにした。Starshipは現在、SpaceXの南テキサスとフロリダの施設で並行して開発されているが、これらはFalcon 9とFalcon Heavyの後継者であると同時に置き換えを意図した多目的ロケットである、搭載重量はより多く月や最終的には火星に到達する能力を有する。

「私たちはStarshipを1年以内に軌道に乗せたいと熱望しています」と、ショットウェル氏は語る。「そして必ず2022年以前に月に着陸したいと考えています。そしてうまくいったなら2024年までに月面着陸する人たちのために必要な資源の運搬を始めたいと考えています。とても野心的なタイムフレームですね」。

まさにそれは大胆なタイムラインであり、ショットウェル氏自身が繰り返し述べているように、「野心的な」タイムラインだ。テック産業同様に、宇宙産業では、プロジェクトで作業しているチームに実際の能力の限界を発揮させるように、積極的なスケジュールを設定することは珍しくない。SpaceXのCEOであるイーロン・マスク氏も、しばしば現実と一致しないタイムラインに取り組むことで知られており、ショットウェル氏はIACでのステージ上のインタビューの別の部分で、マスク氏の野心的な目標設定をいいものだとほのめかした。

SpaceX President and COO Gwynne Shotwell at IAC 2019

SpaceXの社長兼COOであるグウィン・ショットウェル氏。ワシントンDCのIAC 2019にて

「イーロンがこうした信じられないほど大胆な目標を出すと、世間は『そんなことはできっこない、軌道なんかには行けない、軌道に到達できるロケットなんか作れっこない、Heavyが軌道に乗ることなんてない、Dragonがステーションに到達することはない、Dragonが帰還できるはずがない、そしてロケットを再着陸させることなんて不可能だ』と言うのです」と彼女は言った。「だから、率直に言って、私は世間が『できっこない』と言うのを聞くのが大好きです。それは、私の素晴らしい6500人の従業員たちを鼓舞して、そのことをやり遂げる気にさせるからです」。

SpaceXは以前、1年以内という短期間のうちにStarshipによる最初の軌道試験飛行を開始するという目標について公表していた。これまでのところ同社は「Starhopper」という名のデモンストレーション用宇宙船を建造しテストした。これは、宇宙船のベース部に新しいStarship打ち上げシステムとSuper Heavyに使用するRaptorエンジンの1つを組み合わせて構成したものだ。

その機体を使った低空飛行を成功させた後、SpaceXはStarshipテスト機のMk1ならびにMk2の組み立てを始めた。これは、最終的な軌道宇宙船のフルスケール品と同等のもので、それぞれボカチカ(南テキサス)とケープカナベラル(フロリダ)のチームによって建造されている。これらは、SpaceXが軌道用、そして最終的には人間のテスト飛行のために追加のプロトタイプを構築する前に高高度試験を実施する予定だ。

SpaceXはすでに、NASAと連携しているIntuitive Machinesやispaceと契約を結んでいる。両社は2024年のArtemisプログラムによる月面着陸に先行して、月に貨物を運ぶ役割を担っている。とはいえ、これらの貨物輸送ミッションはすべて輸送にFalcon 9を使うことが指定されている。

[原文へ]

(翻訳:sako)

イーロン・マスクがSpaceXの衛星インターネット「Starlink」を使ってツイート

SpaceX(スペースX)でCEOを務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、同社の衛星コンステレーションことStarlinkが提供するインターネット接続を米国時間10月22日の午前に利用した。Musk氏は軌道上のStarlinkの衛星によるネットワークを通じてシンプルにツイートを発信し、現在の状況を説明した。

Starlinkは、独自の衛星ブロードバンドネットワークを立ち上げて運用するSpaceXの野心的なプロジェクトで、これまで高速なインターネットへの信頼性の高いアクセス方法がなかった地域を含む、世界中へのブロードバンド接続を提供する。

SpaceXは今月、これまでに計画されていた1万2000機に加え、さらに3万機のStarlinkの衛星を軌道に乗せる計画を提出した。同社は非常に高い需要に対応する準備を進めており、将来的にはすべての潜在的な顧客に信頼性の高いサービスを提供するために、小型衛星のネットワークをどの程度拡大する必要があるのかを検討しているという。

SpaceXは昨年の2機のプロトタイプ衛星に続き、2019年5月に最初の60機の衛星を打ち上げた。これらの衛星は、無線信号を受信して変換する、Musk氏のコメントによればピザ箱サイズの地上基地と連携して機能する。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXがStarlink衛星3万台追加打ち上げの申請書を提出

SpaceXは、同社の衛星ブロードバンドプロジェクトであるStarlinkのために、3万台の衛星を追加打ち上げする申請書を国際電気連合(ITU)に提出とSpaceNews reportsが伝えた。ITUは世界の帯域利用を管理しており、これまでに1万2000台の打ち上げ許可を取っている。なぜこんなに多く打ち上げるのか?SpaceXはこれについて、ネットワークが予想される需要に「責任を持って」答えるためだと言っている。

「高速で信頼性の高いインターネットに対する需要が世界中で高まる中、特にネットワークが存在しなかったり、高価であったり、信頼性が低い地域のために、SpaceXはStarlinkのネットワーク総容量とデータ密度を責任を持ってスケールすることで「予想されるユーザーニーズ」の高まりに段階を踏んで答えようとしている」とSpaceX広報担当者がTechCrunch宛てのメールで語った。

ITUへの申請は、SpaceXが今すぐ3万台の衛星を打ち上げるという意味ではない。実際には来年打ち上げるのは数百台程度の予定だ。しかしSpaceXは、低遅延大容量ブロードバンドの需要が全世界で急速に高まると予測しており、初期の展開計画はそうした需要のごく一部しか満たさない。加えて、軌道からの通信への関心が高まる中、今後数年間で爆発的な需要増加が予想される。

当初Starlinkは米国北部およびカナダの一部にサービスを提供する計画で、ネットワークが開通する来年早々には開始する予定だった。その後計画は拡大し、約24機の衛星を打ち上げた段階で全世界をカバーするよう変更された。現在のカバレージ対応モデルは、初めてブロードバンドが設置される地域のことを勘案していないため、需要を満たすには最適なノード配置を行う必要がある。

SpaceXは、Starlinkの密集内での運用にも備えている(衛星群すべてが同じ軌道領域にいるわけではなくが、これまで宇宙に打ち上げられた飛行体が累計で約8000体であることを考えると、かなりの追加だ)。SpaceXが想定している対策は、自動衝突回避システムの開発、軌道離脱計画の策定、衛星の軌道情報の共有などで、これまで確立されていた業界標準を満たすか上回るものだと同社は言っている。

天文学者たちの懸念に対応するために、SpaceXは将来のStarlink衛星の地球に面したベース部分を回収する計画だ。 天文学者は衛星群の反射光が天体観測や研究に影響を及ぼすことを心配している。SpaceXは、衛星軌道についても科学研究に重大な影響を与えないよう配慮すると言っている。

Starlinkは5月に最初の衛星群60基を打ち上げた。それぞれ約230kgの衛星が相互に協力しながら地上基地局と通信することで一般利用者はブロードバンド・ネットワーク信号を受けとれるようになる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーロン・マスクが「NASAはSpaceXの知財権を自由に配布OK」と発言

SpaceXのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は米国時間10月10日間、米国カリフォルニア州ホーソンの本社でNASAのジム・ブライデンスタイン長官と共同会見を行い、同局と提携している商業有人宇宙飛行プログラムの最新状況を報告した。 現状と次のステップの詳細に関する所見の中でマスク氏は、同社がNASAと共同開発している知的財産権は誰とでも共有していいと繰り返し発言した。

マスク氏は質疑応答の開始当初、SpaceXが宇宙船Crew Dragon(クルー・ドラゴン)用パラシュート開発プログラムで得た知識は、誰に提供してもいいと語った。SpaceXは、Crew Dragonカプセルが地球に無事生還するために使用するパラシュートの第3世代を現在開発している。

「私はジム(ブライデンスタイン長官)にSpaceXのデータは独占されるべきではないと繰り返し明言してきた」とマスク氏は語った。「どのライバルも使っていい。無料で」。

その後マスク氏は、NASAのテーブルにあるSpaceXの知的財産は事実上すべて、同局が適切とみなせば自由に配布できると語った。

「はっきりしておきたい。NASAは、当社の全知的財産権をNASAの望む誰とでも共有できる」と同氏は言った。それに対してブライデンスタイン長官は、同局としてこの自由を心から感謝しているが、配布には一定の制限を設ける必要があると答えた。

「知的財産権の中には一般人あるいは我が国のことを思っていない国とは共有できないものがある」と語り、パートナーが情報技術を厳重に管理し保護手段を設けていることが大切なのはこれが理由であると付け加えた。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

イーロン・マスクの次世代宇宙船Starshipは半年以内に衛星軌道に、来年には有人飛行

SpaceX CEOのイーロン・マスク氏は、同社の次世代宇宙船であるStarship(スターシップ)に関する最新情報を発表した。Starshipは完全な「迅速再利用性」を実現するために設計されている。マスク氏は、スターシップの設計の背後にある技術について語ったが、それらは2017年に最初に発表されて以来、テストと開発を通じて進化を遂げてきたものだ。

数ある最新情報を説明する中で、マスク氏はStarshipが人類の惑星間フライトにどのように使われるかを説明した。その中には軌道上に打ち上げ済のタンカーStarshipとドッキングすることによって、空中で推進燃料を補充するといったことなども含まれている。これは、特に他の宇宙施設へ届けるために100トン近くの貨物を搭載する宇宙船が、打ち上げ後に地球から月または火星への移動に十分な推進燃料を補給するためには必要な措置だ。

エロン・マスク

これらには、惑星の表面に基地を建設するための資材だけでなく、惑星から惑星への長距離飛行を行う最大100人の乗客も含まれている。

とはいえ、それらは依然として非常に長期的な目標である。マスク氏は現行世代のStarshipプロトタイプの開発と軌道に乗る予定の将来のStarship、そして最初の有人飛行についても詳細に説明を行った。

Starship Mk1、Mk2、および今後登場するMk3およびMk4オービタルテスター(軌道試験機)はすべて、フィン(ヒレ)のあるデザインを備えているが、これは地球の大気に腹部を水平に保ちながら再突入し、振り子のようなスイングで姿勢を変えて、タッチダウンのために垂直状態になる前に、抵抗を高めて速度を落とせるようにするためのものだ。イベントで披露されたように、シミュレーションで示された映像は信じられないようなものだった。なにしろそれは現在のFalconブースターの着陸プロセスよりも、制御されているとはいえ、はるかに扱いにくいもののように見えたからだ。

SpaceX Starship Mk1 29再利用のための重要なコンポーネントであるStarshipプロトタイプのフロントフィンは、再突入の方向を決めるのに役立つ

マスク氏はまた、宇宙船を軌道に乗せるために使用されるブースターであるSuper Heavyで計画されている設計についても紹介を行った。Starship自身の約1.5倍の高さの、この液体酸素を動力とするロケットには、37個のラプターエンジンが搭載され(Starshipには6個しか搭載されない)、さらに6本の着陸脚と、自身が地球に帰還する際に使用する展開可能なグリッドフィンも備えている。

マスク氏が南テキサスのボカチカで発表した、テストと開発の計画に関して言えば、スターシップMk1は1〜2ヶ月のうちに最初のテスト飛行を行う予定だ。それは、7万フィート(約21.3km)よりも少し低い、準軌道高度への飛行になる。プロトタイプの宇宙船には、その飛行に使用する3つのRaptorエンジンがすでに搭載されている。

また、現在フロリダ州ケープカナベラルの別のSpaceX施設で建造中のスターシップMk2は、同様の高度試験を行う予定だ。マスク氏は、これら両方のファミリが引き続き内部で互いに競争を行い、Starshipのプロトタイプとロケットを同時に建造すると説明した。Mk3は来月からボカチカで建造が開始され、Mk4の建造は間もなくケープで開始される。マスク氏は、Mk1の準軌道旅行の後に行われる次のStarshipのフライトは、完全なSuper HeavyブースターとMk3を組み合わせた軌道打ち上げになる可能性があると述べた。

エロン・マスク1

マスク氏は、SpaceXは「ここ(ボカチカ)で宇宙船とブースターの両者を建造し、ケープでも可能な限り作業を急いでいる」と述べた。そして彼らはこの競争の結果、宇宙船の設計と製造の両方で既に「指数関数的な」改善を行えていると述べた。

例えば、Mk1は、以下のプロトタイプの詳細写真で見ることができるようなリング状の溶接パネルを使っているが、Mk3とMk4は、一箇所で溶接された宇宙船の全周を覆うステンレス鋼のフルシートを使用する。このイベントの会場にはそのようなリングが1つ置かれていた。これは、SpaceXがすでにこの部品を制作していることを示している。

このラピッドプロトタイピングにより、SpaceXは2カ月以内にMk2、3カ月でMk3、4カ月でMk4を建造してフライトを行って行くことができる。マスク氏は、Mk3またはMk5のいずれかが、軌道テストとなること、そして6か月以内にそれを達成できるようにしたいと付け加えた。最終的には、スターシップを使う有人ミッションはボカチカとケープの両方で行われる予定だ。両施設はMk4が完了するまではStarshipの生産にのみ集中し、その後Super Heavyブースターの開発が開始される。

スターシップMk1ナイト

マスク氏によれば、SpaceXは、これから最初の軌道飛行までに100基のRaptorロケットエンジンを必要とすると述べた。現在のペースでは、SpaceXは8日ごとに1基のエンジンを生産しているが、数カ月以内には2日ごとに1基に増やし、2020年の第1四半期の早い段階には毎日1基を生産できるようにする予定だ。

積極的な建造とテストサイクルを行うために、そしてマスク氏が言ったように「ブースターを1日に20回飛ばす」とか「1日に(Starshipを)3〜4回飛ばす」ためには、SpaceXは理論的な実行可能性をきわめてに迅速に証明しなければならない。マスク氏はこの結果として、早ければ来年には人間を乗せたStarshipのテスト飛行を行えるだろうと楽観していると語った。

その素早い再利用性の一部は、SpaceXがStarship用に考案した遮熱設計おかげだ。これは宇宙船の半分をステンレス鋼で仕上げて、再突入時に最も高熱のかかる底部にはセラミックタイルを使用するというものだ。マスク氏は、両者は共に再突入のストレスに対して高い抵抗力があり、ステンレス鋼ではなく炭素繊維を使用していた最初のコンセプトとは異なり、莫大なコストをかけることなく頻繁な再利用を実現することができると語った。

マスク氏は現実とあまり一致しないタイムラインを発表することで知られているが、Starshipの初期のテストでは、これまでのところ彼の予測に遅れは出ていない。

[原文へ]

(翻訳:sako)

イーロン・マスクがSpaceXのスターシップ宇宙船の最新情報をライブ公開

SpaceX(スペースX)でCEOを務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、自社の宇宙船ことStarship(スターシップ)の最新状況を発表する。マスク氏は米国時間9月28日の午後7時、南テキサスのBoca Chica(ボカチカ)にある同社のロケット組み立て施設から、「Starshipのデザイン・開発」に関する新しい情報を提供する。

今回のアップデートの背景には、Starship Mk1のプロトタイプ機がありそうだ。最初のStarhopper(スターホッパー)は、短時間の低空飛行を2回達成した。これは、プロトタイプ機のMk1による、より長時間の高高度サブオービタル飛行試験のための重要なステップである。StarhopperはRaptorのエンジンを1基しか搭載しなかったが、Mk1はRaptorのエンジンをまず3基(最終的には6基)搭載する。

これまでのSpaceXのプレゼンテーションによると、同社はStarshipと開発をすすめるブースターのSuper Heavyにより、貨物や乗組員を月や火星などに運ぶ、完全に再使用可能な輸送手段を実現することを目指している。CDT(米国中部標準時夏時間)の9月28日午後7時、JST(日本標準時)の9月29日午前9時から、この長期的な目標に向かうための次のステップが発表されるはずだ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXがStarship計画の進捗を土曜日に報告 新たな写真も公開

SpaceX(スペースX)のCEOことElon Musk(イーロン・マスク)氏は先週末にテキサス州のBoca Chica(ボカチカ)を訪れ、同社のStarshipのプロトタイプ機の重要な建造工程を視察した。マスク氏はStarshipの最新情報を発表する予定で、これまでの進捗状況をまとめ、次世代宇宙船とローンチシステムの将来に関する同社の計画の詳細なロードマップを提供するだろう。

マスク氏は現在建造中のプロトタイプ機の写真を公開し、Mk 1にはまだ搭載されていない宇宙船上半分のフィンと連動し、大気圏再突入と着陸の際の安定性を向上させるロケット下半分のリアの可動フィンが取り付けられると述べた。

プロトタイプ機のMk1は、新しいRaptorエンジンの1つをテストし、低高度飛行や制御、着陸能力を実証するという目標を最初に達成したプロトタイプ機のStarhopperに連なる、軌道到達可能な宇宙船の最終形態を表す最初の機体だ。Starhopperは2カ月以内に実施された大小2回の「ホップ」テスト飛行を行った後に引退している。SpaceXは、Boca Chicaとフロリダのもう1つの施設で開発中のMk1とMk2を使用し、複数のRaptorエンジンによるより高い高度とより長い期間の飛行をテストする。

マスク氏によると、Mk1にはすでに3基のRaptorエンジンが搭載されており、最初のテスト打ち上げのための通信設備に関する許可を得るために必要な書類を、FCC(連邦通信委員会)に提出したという。米国時間の9月21日にはさらに具体的な情報が出てくるはずだ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹Twitter

三菱重工業のH-IIBロケット再打ち上げは9月24日を予定

先週、打ち上げ台上の火災でつまずいた三菱重工業(MHI)が再び、国際宇宙ステーションに備品などを運ぶ補給機HTV-8のミッションに挑戦する。打ち上げは当初9月11日を予定していたが、火災の後始末や原因調査などもあり、新たな打ち上げ日は日本時間の9月24日午前1時30分に決まった(米国東部時間9月23日午後12時半、太平洋時間午後9時半)。

火災は消火されロケットにも積荷にもダメージを残さなかったが、調査によると原因は静電気の蓄積による可能性が極めて高い。静電気の発生は、ロケットエンジンへの推薬補給時に排気口から滴下する酸素によるものと思われる。MHIはすでに対策に着手しており、ロケットと打ち上げ用施設設備は今や完全な機能性があって、二度目の打ち上げへの準備が完了している。

打ち上げに使われるH-IIBロケットはMHIのM-IIシリーズロケットの推力が最も大きい構成で、ISSの備品のほかに、さまざまな学術および商用の顧客のための複数の小型衛星とそのCubeSatランチャーも運ぶ。H-IIBは中心に1基のブースターがあり、エンジンは液体酸素を推薬(推進剤)として使用、そしてロケットの底部にある4基の固体燃料ブースターがさらなる推力を与える。静止遷移軌道への最大積載量は、8200キログラムである。

H-IIBのミッションは、来年あともう一度ある。その後、MHIは完全に使い捨ての打ち上げ機H3に注力する。これは主に商用の顧客の利用を目指していて、中程度のペイロードではコスト的にSpaceXなどの競合相手と互角に勝負できることを目指している。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXのStarship宇宙船プロトタイプの製造進捗が明らかに

SpaceX(スペースX)は同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が公開した新しい写真で確認できるように、宇宙船ことStarshipのプロトタイプの製造を進めている。このフルサイズのプロトタイプ機は、Raptorエンジンによる低高度の「ホップ」飛行をテストするために使われた、縮小バージョンのStarHopperを引き継ぐものだ。

テキサス州南部とフロリダ州にあるSpace Xの施設にて、同時に建設中のStarshipのプロトタイプ機ことMk IとMk IIは、より高い高度とより高速でのテスト飛行に使用される予定で、StarHopperでは1基搭載されていたRaptorエンジンを3〜6基搭載する予定だ。

上の写真に写っているプロトタイプ機の直径9mの丸いパーツは重ねられ、またStarHopperとは違なり上部が滑らかにカーブしている。

そして完成すれば、SpaceXは12マイル(約19km)の高度に到達する最初の飛行テストを行い、その後に同等の高度でのより高速なテストを実施し、最後に最初の軌道飛行をおこなう。

最終的なStarshipでの目標は、Falcon 9やFalcon Heavy、Dragon宇宙船を完全におきかえ、軌道打ち上げだけでなく将来的には火星への宇宙飛行士や補給品の輸送といった、両方のニーズに対応することだ。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXが宇宙船Starshipの飛行に向けFCCに書類申請

SpaceX(スペースX)は、軌道に到達できる宇宙船ことStarshipの飛行試験を開始するために必要な準備を整えており、同社が提出した申請書類(ソース:Teslarati)は、飛行中のプロトタイプ機と通信するために必要な許可をFCC(連邦通信委員会)に求めている。

SpaceXは今週、米規制当局にテスト飛行のための書類を提出したが、その最高高度は7万4000フィート(約23km)で、地球軌道には遠く達しないが、宇宙船運用の準備のためのテスト機「Starhopper」 のデモンストレーションの約500フィート(約150m)よりは、はるかに高い高度だ。

SpaceXのCEOことElon Musk(イーロン・マスク)氏はツイートにて、これが準備中であることを認めた。同氏は以前、成功したStarhopperの最終的テストを、実物大のプロトタイプ機でも迅速に実施したい伝えていた。また、この低高度飛行テストと同じく、SpaceXはStarshipのプロトタイプ機を打ち上げて、わずかに少し離れた場所に着陸させる予定だ。

プロトタイプ機の組み立てと建設は順調に進んでいるようで、マスク氏は9月28日のイベントにて、Starshipのアップデートを予告していた。これはおそらく、組み立てられているプロトタイプ機や10月に予定されているテスト飛行に関するものとなるだろう。

Starshipは、最大限に再利用が可能なSpaceXの次世代宇宙船で、現在と将来の顧客のニーズに応えることができ、最終的にはFalcon9とFalcon Heavyの両方を置き換える宇宙船となる。Starshipはまた、火星に継続的な人間のプレゼンスを確立するという、マスク氏の野心的な計画の重要な要素でもある。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXのドラゴンが3回目のISS補給ミッションを完了

7月から国際宇宙ステーションにドッキングしていたSpaceXの商用カプセル「ドラゴン」は、米国時間8月27日に太平洋に着水し、ISS往復を3度経験した初の宇宙船となった。SpaceXは商用カプセルのドラゴンを使って、実験器具、補給品などの貨物をISSに運搬するだけでなく、カプセルを再整備して別の飛行ミッションで再利用することによって、宇宙飛行をより経済的にしようとしている。

SpaceXは、昨日着水したカプセルを回収し陸地に引き上げた。宇宙船にはISSから戻ってきた約2700(1.2トン)の材料や実験結果が積載されていた。今後NASAの地上スタッフが調査、研究に使用する。ドラゴンは5000ポンド(2.3トン)以上の貨物をISSに運び、その半分以上が科学および調査ミッションに関連している。戻ってきた荷物の中には、球形ロボットのCIMONもいた。

CIMON new1609

AIコンパニオンロボットのCIMONは、ISSで過ごしたあと、SpaceXのドラゴン・カプセルで地球に戻ってきた

SpaceXのドラゴンカプセルは、地球に帰還する際に機体が損なわれないため、壊れやすいものを持ち帰るのに適している。そして同社の次期バージョン、クルードラゴンが運行を開始した際には、補給品や機器の運搬だけでなく、宇宙飛行士を連れ帰ることも期待されている。最初の有人飛行は今年末か来年に実施する計画だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Space XのStarhopperが高度約150mのテスト飛行に成功

SpaceX(スペースX)は、次世代の宇宙船ことStarshipの建造に使用される技術実証のためのデモプロトタイプ機となる、Starhopperの2回目の低高度テスト飛行を完了した。今回のテストでは米国テキサス州にあるSpaceXのテスト施設で、これまで飛行した中で最高となる高度約150mまで「ホッピング」した。約50秒(上のGIFは2倍速)のホップ飛行の後、わずかに離れた着陸パッドにきちんと着陸した。

これは、Starhopperの2回目の係留なしのテスト飛行であり、また最後のテストで、SpaceXは現在フロリダとテキサスで同時にStarship Mk IとMk IIのプロトタイプの建設を進めている。今回のテストは、昨日予定されていたテストが最後の1秒で中止されたあとに仕切り直し、1分足らずのホップ飛行のためにすべてを確認したあとの2度目の試みだった。

7月には、SpaceXがスターシップ用に開発中しているRaptorエンジンと他のサブシステムの動作をテストするために、非係留でのテストが実施された。飛行時間はわずか22秒で、高度はわずか20mだった。

現在、SpaceXのテキサスとフロリダの両施設で、フルサイズのStarshipのプロトタイプの建設が進められている。より大型のプロトタイプは、実際に打ち上げに近くより多くのRaptorエンジンを搭載し、またより高い高度を目指す予定で、これは同社が初の軌道テスト打ち上げに向けて取り組む上で重要なステップだ。

最終的にSpaceXは、Falcon 9とFalcon Heavyの両方を異なる構成のStarshipで置き換えたいと考えている。Starshipは完全に再使用が可能なためコスト削減に役立ち、またロケット開発を1種類の機体に集中させることになる。

[原文へ]

(翻訳:塚本直樹 Twitter

衛星インターネットスタートアップのAstranis、Falcon 9ロケットによる初打ち上げを契約

Y Combinatorが支援するスタートアップのAstranis(アストラニス)は、来年の第4四半期にFalcon 9ロケットで初となる商用通信衛星を打ち上げる予定だ。Astranisの目標は、現在ブロードバンドインターネットにアクセスできない世界の膨大な人々の市場を開拓することで、既存の衛星よりもはるかに早く製造して打ち上げられる低コストな人工衛星を使い、既存のグローバルな携帯通信ハードウェアの価格を大幅に下げることだ。

Astranisの衛星は小型で製造が簡単なため、コスト効率が非常に高く、今後の通信事業者や接続プロバイダーのパートナーの事業展開を変えうる。このアプローチは、すでにアラスカ州で衛星ブロードバンド接続の拡大を目指して設立された、Microcom(マイクロン)の子会社であるPacific Dataport(パシフィック・データポート)との提携を獲得している。Astranisによると、SpaceXのロケットで静止軌道に1機の衛星を打ち上げることで、アラスカのインターネットプロバイダーのネットワーク容量を3倍となる7.5Gbps以上に拡大し、さらに潜在的にコストを「3分の1」にすることができる。

なお、これはAstranisが宇宙に送る初めての衛星ではない。2018年にデモ衛星を打ち上げ、技術が宣伝どおりに機能することを示した。Astranisのアプローチは、SpaceX自身のStarlinkプロジェクトなど、衛星ベースのインターネットを提供しようとする他のアプローチとは異なり、サービスを提供する地域の上空に留まる衛星を構築することに焦点をあてている。これは、地球低軌道に衛星コンステレーションを構築して、カバーエリアを広げるアプローチとは対象的だ。後者では、常に1機以上の衛星がカバー範囲に存在し、さらに衛星から衛星へと接続を引き継ぐ必要がある。

[原文]

(翻訳:塚本直樹 Twitter