SpaceX、打ち上げロケットの回収に再度成功(地上への再着陸は2度目)

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SpaceXが、再びロケットの回収に成功した。回収の成功は5度目となる。

Elon Musk率いるSpaceXがケープ・カナベラルより打ち上げた2段式のFalcon 9は、1段目のロケットを無事地上に再着陸させた。地上に再着陸させるのは2度目のことであり、洋上の無人船への着陸を含めると5度目のロケット回収となる。

Falcon 9の一段目は、打ち上げの8分後にフロリダのケープ・カナベラルにある「Landing Zone 1」に着陸した。

SpaceXはこれまでに、4度連続でロケットの回収に成功している。1度は地上への最着陸で、あとの3回は海上の無人船への着陸だった。今回行った地上での再回収は、12月以来となるものだ。

ふつうに考えれば地上での再回収の方が容易であるように思える。陸上に歳着陸する方が、着陸地点が圧倒的に安定しているからだ。また、低層への打ち上げ時には、海上最着陸を行うために、わざわざ海上に移動するための時間やエネルギーがかかることになるからだ。

しかし、実は陸上への最着陸がいつでも可能というわけでもないのだ。本日の打ち上げは、SpaceXにとって本年7度目の打ち上げとなるものだったが、これまでの発射では陸上への最着陸を行うことはできなかった。今年最初の機会に陸上再着陸を試みてみごと成功したわけだ。

今回の発射は他のケースと何が異なっていたのか。まず今回のロケットは2段目を低軌道に打ち上げることが目的だった。そのおかげで第1段ロケットをより簡単に地上に向けて誘導することができたのだ。

商用衛星の打ち上げなど、たいていの場合は、2段目のロケットをより高い軌道により高速で打ち上げることが望まれているのだ。当然ながら第1段ロケットも高速で遠くまで移動することとなり、地上に誘導するためのエネルギーなど残っていない場合が多いのだ。そうしたケースに対応するため、SpaceXは海上の無人船によるロケット回収に力を入れているのだ。

なお、今回の打ち上げは、再着陸を行うことを第一の目的に打ち上げてみたものではない。主目的はSpaceXのドラゴン宇宙船により、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を届けることが目的だったのだ。9度目の補給ミッション(CRS-9と名付けられている)にて、ドラゴン宇宙船は5000ポンド近くの貨物および研究実験機材を届けることになっている。

ドラゴン宇宙船は7月20日にはISSに到着する予定だ。ドラゴン宇宙船の帰還時には、ISSから地球に戻す必要のある物資を積載してくることになっている。現在、与圧環境でISSからの物資を運べるのはドラゴン宇宙船だけであり、その果たすべき役割は多い。

SpaceXは、ロケットの1段目を再利用可能として、ロケット打ち上げにかかる費用を抑えようとしているわけだ。回収したロケットの再利用はまだ行われていないが、Muskによれば9月ないし10月にはロケットの再利用を行いたいと間gな得ているのだそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

SpaceX、再利用を目的とするロケットの海上回収に3回連続で成功中

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SpaceXにとって良い1週間だったことだろう。まずNational Reconnaissance Officeと高額の契約を結んだ。お固い政府機関で偵察衛星を扱っている組織だ。そして週末となり、ケネディ宇宙センターのケープカナベラル空軍基地第40複合発射施設よりOrbital ATKの通信衛星であるTHAICOM 8を打ち上げたFalcon 9の、4度目となる第一段部分の回収に成功したのだ。海上を動いている「ドローン船」にて回収したのは3度目となる。

THAICOM 8を宇宙に送り出した今回は、海上回収がさらに難しいものとなると言われていた。衛星が打ち出されたのは静止トランスファ軌道(Geosynchronous Transfer Orbit:GTO)だ。この静止軌道には、メインロケット(今回の場合はFalcon 9)に加えて、より小型のロケットも併用して打ち上げることになる。

静止軌道は36,000キロメートルほど上空にある軌道であり、この軌道にのった衛星を地上からみると、まるで静止しているように見える。一般的には気象観測や通信衛星を打ち上げるのに用いられる。THAICOM 8は商用通信衛星で、インドおよびアフリカ、東南アジアで利用される予定となっている。

前回の打ち上げについてもそうだったが、今回の打ち上げでは、低軌道に打ち上げるのに比較して、より多くの機材を搭載する必要があった。打ち上げ角度もはるかに急峻となり、それに伴って地上への帰還角度も急になってしまう。それにより、もちろん速度も増してしまうこととなった。

そうした状況の中で、Falconの飛行に許される精度上のブレは圧倒的に小さなものとなる。速度が増すことで、予期しないブレに対してロケットが対応する時間も少なくなるのだ。風や、ちょっとした大気の揺れによるごく微細なズレも重大な事故につながりかねないのだ。さらに、高い軌道まで打ち上げることにエネルギーを使い、自らの制御に使える燃料はごくわずかしか残っていないという状況にもある。

今回の最着陸成功によりSpaceXの技術の実用性がさらに強く認識されるようになる。打ち上げロケットを再利用できるようにすることにより、SpaceXは打ち上げコストを下げて、宇宙開発をより一般的なものにしようと考えている。さらには火星探検という大きな夢も描いていて、そのためにも打ち上げロケットの再利用可能性を高めていきたい考えなのだ(火星から地球に戻ってくる際に、ロケットを再利用できるようになる)。

もちろん、現在の段階では夢の実現はまだまだ不可能の範囲内だ。打ち上げロケットの回収には成功しているものの、完全な「成功」をいうためにはロケットの再利用に繰り返し成功することが必要だろう。それが実現しないううちは、Falcon 9の垂直離着陸も単なる「驚き」に過ぎなくなってしまう。Space XのCEOであるElon MuskはTwitter上で、数ヶ月のうちに回収したロケットの再利用を行う旨をツイートしている。SpaceXはケープ・カナベラルにて最初の回収に成功したFalcon 9の再起動を試し、そして本社前に配置してはいるものの、今のところは再度のフライトは行なっていない。今のところ、回収したロケットが最利用可能であることの証明は行われていないことにはなる。

誤差の許容範囲が小さく、また着陸角度が大きかったことは、すなわち今回の最着陸が高速を保ったまま行われたことを意味する。アルミのハニカム素材も熱や衝撃で大きなダメージを受けていることだろう。これはロケットの(再利用時の)安定性に問題をきたすことになると思われる。ただしMuskによれば最も衝撃を受ける部分は着陸時に用いる「脚部」であり、これは「crush core」と呼ばれている。「crush core」である限り衝撃を受けるのは当然のことで、簡単に取り替えられるようになているのだそうだ。ただし、再着陸後のロケットにリスクを生じる可能性があることについては認めていた。

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(翻訳:Maeda, H

SpaceX、ドローン船への宇宙船再着陸にふたたび成功

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SpaceXは、フロリダ州ケープ・カナベラルから東部標準時の5月5日1:22amに、Falcon 9ロケットを打ち上げた。そしてこのロケットは地上(海上)への再着陸に無事成功したのだそうだ。打ち上げ後、ロケットの一段目を洋上のドローン船(Of Course I Still Love Youという名前)に着陸させたのだが、これは同ドローン船における2度目の成功となる。

SpaceXが同ドローン船へのロケットの再着陸に成功させたのは、4月8日のことだった。しかし本日の着陸の方がより大きなインパクトを持つと言ってよさそうだ。今回のミッションについてはさまざまに複雑な条件も重なっており、成功の確立は低いだろうとみられていたのだ。

JCSAT-14は高度2万2000マイル(約3万5700kmほど)の対地同期軌道(geosynchronous orbit)に打ち上げ、15年間にわたって地球を周回させる予定となっている。前回、再着陸に成功したのは、地上250マイル(400kmほど)の低軌道(Low Earth Orbit:LEO)に宇宙ステーションを送り出して後のことだった。

JCSAT-14 / Image courtesy of Space Systems Loral

JCSAT-14 / Image courtesy of Space Systems Loral

最近のロケットではそのような高起動に打ち上げることも多くなっており、1段目ロケットを帰還させようとする場合には、これまで以上の高温に対処することが必要となる。また速度も秒速2kmほどにおよぶことになる。LEOレベルへの打ち上げであれば、帰還するロケットも秒速約1kmほどなので、大幅に高速になることになる。

Successful JCSAT-14 deployment from Falcon 9 / Screenshot from SpaceX livefeed

Successful JCSAT-14 deployment from Falcon 9 / Screenshot from SpaceX live feed

JCSAT-14はアジアで最も大きな衛星通信事業者であるスカパーJSATグループにより打ち上げられたものだ。今回打ち上げた衛星は放送および通信事業に使われることとなっている。

Illustration of JCSAT-14 / Image courtesy Space Systems Loral

Illustration of JCSAT-14 / Image courtesy Space Systems Loral

本日の打ち上げ成功により、SpaceXとしても今年になって4度目の打ち上げ成功ということになる。ロケットをドローン船に回収することについては、2度成功している。ちなみにより安定した地上への再着陸にも1度成功している。

次のステップとしては、再着陸したロケットを再利用するということになる。Muskは3ヶ月ないし4ヶ月のうちに実現したいと語っている。

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(翻訳:Maeda, H

SpaceX、ロケットの垂直着陸を360度ビデオで公開

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SpaceXのロケットが、地球に再着陸ところを間近で見てみたいと思う人は多いことだろう。ただし地球に戻るロケットというのはまだまだ新しい技術であり、火炎に包まれて大事故を招くことも十分にありえる話ではある。危険は大きい。しかし見てみたい。そのようなケースのためにVRがあるのだと言えば言い過ぎだろうか。

SpaceXも、迫力ある再着陸の様子を多くの人に見てもらいたいと考えたようだ。VRヘッドセットを持っているのなら、ぜひとも試してみるべきだ。これまでにみたいかなるVRビデオとも異なるスペクタクルを感じさせてくれると思う。

そうはいっても手元にはモバイルデバイスしかないのだという人もいることだろう。もし手元のモバイルデバイスがiOSならFacebookプレイヤーを試してみても良いかもしれない。そういう環境もないという人でも、YouTubeムービーも十分楽しめることと思う。

ご理解頂いていると思うが、打ち上げたロケットを海上の狙った場所に再着陸させるというのは、技術的に見て大変大きな進化だ。SpaceXが今後も引き続いて(たまに失敗があるにせよ)第一段ロケットを再利用できるのなら、宇宙に人を送るコストが大幅に下がることになる。

SpaceX曰く「スペースシャトルは技術的にみて再利用可能なものとなり、コストを削減するはずでした。しかし巨大な燃料タンクを毎回廃棄するという無駄をも必要としたのです。またフライトのたびに腐食性のある海水に着水することとなっており、回収にも時間がかかるなどさまざまな不具合を抱えていたのでした。そこで私たちは、ロケットを陸上ないし船上に着陸させることができたら便利なはずだと考えたのです。それにより、再利用可能になるまでの時間を大幅に削減できると考えたのです」。

宇宙関連の技術開発に興味がある人にとって、とても面白い時代を迎えているのは間違いない。ビデオはきっとそういう人の興味をひくはずだ。もちろん、技術面に興味のない人にとっても、技術進化の偉大さ(プラス多少の運はあったのかもしれない)を感じるのに十分なものだろうと思う。

 

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(翻訳:Maeda, H

イーロン・マスク、火星探査計画「Red Dragon」は早ければ2018年に実現

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どうもElon Muskは退屈しているらしい。それがわかるのは、彼が太陽系を植民地化することについて夢中でツイートし始めるからだ。「早ければ2018年にはDragonを火星に送る」と今日(米国時間4/27)SpaceXが唐突にツイートした。その後、いつものMuskスタイルで詳しい話が続いた。

どこでも? だったら金星も、と誰かが言った。

Muskは、推進力着陸(パラシュートや緩衝材ではなく)と同社独自の高性能遮熱材を用いれば、惑星 ― 火星であれ金星であれ海王星であれ ― 表面に着地するのは容易だと語った。しかし、そこへ到達するのは別の話だ。

言い換えると、最初のSpaceX火星探査は間違いなく無人だ ― しかしそれは伴うリスクを考えれば当然だ。Muskはいずれ詳細を発表するに違いないが、リスクを許容範囲に留めるためには、数多くのテスト飛行と補給任務が必要になる。

Red Dragonのコンセプトは新しいものではない ― 何年も前から語られてきてが、これが初めての公式発表だ。昨年SpaceXは、Red Dragon計画がどんなものになるかのイメージ画像を公開している。

乗組員室も改善が必要だ。SUVサイズの空間に地球上で数時間いるだけでも不快な体験だ。ましてや数ヵ月、数年間も外に真空しかないところでなど。ちなみに、現世代のDragonは、比較的この惑星近くに留まるだろう。少なくとも人間を乗せているときは。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXが国際宇宙ステーション向けにBigelow社のゴムボート式居住区を打ち上げる

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国際宇宙ステーション(ISS)への次回の物資補給に際して、SpaceXはBigelow Aerospaceが製作した膨張式の居住区を打ち上げる計画だ。4月8日に予定されているFalcon 9ロケットには「ビゲロー拡張式活動モジュール(Bigelow Expandable Activity Module, BEAM)が折り畳んだ状態で搭載される。宇宙ステーションの適切なノードに固定され、空気によって膨らませることができれば、ISSに新しい居住区が追加されることになる。

The space station's Canadarm placing BEAM onto Node 3 / Courtesy of NASA

ISSのロボットアームがBEAMをNode 3に取り付ける(想像図) / NASA

SpaceXのDragonカプセルは打ち上げから数日後にISSにドッキングする。つまり4月の中旬にISSのロボット・アームがBEAMモジュールをつかみ、Dragonの荷物室から引き出してISSのノード3に取り付ける。BEAMの膨張作業は5月の終わりか6月初めに予定されている。正確な日時はクルーの作業日程より決定される。完全に膨張するとBEAMの内部空間は折り畳まれた状態の10倍になる。

Illustration of NASA's TransHab design / Image courtesy of NASA

INASAの当初のTransHab宇宙居住区のデザイン(キャンセルされた) / NASA

Bigelow Aerospace社は15年前にRobert Bigelowによって創立された。BigelowはBudget Suites of Americaというリゾートホテル事業で財をなした。NASAはTransHab in 2000という膨張式宇宙居住カプセルを開発していたが、議会の財政緊縮策によってキャンセルを余儀なくされた。このときBigelowはゴムボート式に膨らませる宇宙コテージの特許をNASAから買い取った。

しかし膨張式宇宙モジュールのアイディアはこれよもずっと早く、60年代初期にすでに生まれていた。事実、NASAの最初の通信衛星、エコー1号はこの風船デザインの産物だ。しかし当時のテクノロジーで得られる素材は通信衛星はともかく、居住区に用いられるような水準にまったく達していなかった。

NASA's first communications satellite, Echo / Image courtesy of NASA

NASAの最初の通信衛星、Echo-1 / NASA

その後の目覚ましい発達により、有人の宇宙任務に耐える素材が現れた。Bigelow Aerospaceは、観光客み魅力的な軌道上の宇宙ホテル建設のために設立された。同社は2006年にGenesis 1、 2007年にGenesis 2という実証用無人モジュールの打ち上げに成功した。両モジュールとも現在も軌道を周回中だ。

残念ながらBigelow Aerospaceは時代に先んじ過ぎていた。居心地よく滞在できる完璧な宇宙ホテルの製造と打ち上げに成功したものの、肝心の人間を軌道上に送る事業は予想どおりに拡大せず、室料を払ってホテルに滞在する顧客は現れなかった。そのため今年に入って150人のBigelow Aerospaceの社員のうち30人から50人がレイオフされた。民間有人宇宙旅行を可能にする機体は2017年から2018年にならなければ実用化しないと予想されている。

そこで当面Bigelow AerospaceはNASAとの契約に活路を見出している。同社は2013年にBEAMモジュールをISSに提供することを含む1780万ドルの契約をNASAと結んでいる。

BEAM inflation on the ISS / Image courtesy of NASA

ISSに取り付けられたBEAMが膨張する/ 画像: NASA

一見すると膨張式居住区は微小なデブリの衝突で風船のように「パチンと弾ける」のではないかと不安になる。しかし居住区は最新の柔軟な素材による多重構造となっているため、こうしたMMODと呼ばれる微小天体および軌道周回デブリ(MMOD)に対して十分な盾としての能力がある。

NASAのBEAMプロジェクトの代表の一人、Rajib Dasguptaは「今回のISSでのテストは、BEAが将来の有人宇宙ミッションで利用できるかどうかを決める重要なステップとなる」と述べた。【略】

BEAMのISSでのテストとは別個にNASAはBigelow AerospaceとB330膨張式モジュールの実験に関する契約を結んでいる。NASAはこのモジュールが月および火星への有人宇宙飛行に役立つことを期待している。

Bigelow Aerospace's B330 module with 330 cubic meters of internal space / Image courtesy of Bigelow Aerospace

Bigelow AerospaceのB330モジュールは330立法メートルの内部空間を持つ/ 画像:Bigelow Aerospace

〔日本版〕記事中に写真が掲載されているエコー1号通信衛星は1963年11月に翌年の東京オリンピックの世界中継の準備のために太平洋を越えたテレビ映像の中継実験を行った。この最初の中継でケネディー大統領暗殺のニュースがNHKを通じて放映され、日本の視聴者に大きな衝撃を与えた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SpaceX、宇宙飛行士が地球に帰るためのパラシュートをテスト

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今日(米国時間1/27)NASAは、商用クループログラムに必要な、SpaceXの最終認定試験結果の一部を紹介するビデオを公開した。アリゾナ州クーリッジで行われた落下テストには、SpaceXのCrew Dragon着陸システムの一部となる巨大なパラシュート4基が使用された。

この落下テストでは、パラシュートはC-130貨物輸送機によって上空数千フィートまで運ばれた。SpaceXの宇宙船Crew Dragonの代わりに重りが使われ、パラシュートはCrew Dragonが国際宇宙ステーションから宇宙飛行士を連れ帰った時と同じように配置された。

ビデオでは、NASAの広報員が「こうしたテストによってエンジニアは飛行ハードウェアの信頼性を評価することができる」と語った。

今回の落下テストには、SpaceXの最終的な着陸システムに使用される、Crew Dragonの減速用パラシュートは含まれていない。減速用パラシュートは4基のメインパラシュートの前に開いて、降下するカプセルを減速、安定させるために用いられる。

以前のパラシュート落下テストは2013年12月に、Crew Dragonを作るために必要な、有人飛行用の修正が加えられる前に実施された。2013年の落下テストでは、Dragonカプセルとパラシュートシステムを、カリフォルニア州モロ・ベイ上空8000フィート(2400メートル)までヘリコプターで運び太平洋上に落下させた。当時のパラシュートシステムは、減速用パラシュート2基とメインパラシュート3基から成っていた。

それから2年以上がすぎ、SpaceXは初期のDragonの設計を変更し、有人飛行規格のCrew Dragonを製作した。これには減速パラシュートおよびメインパラシュート4基が塔載される。

当初、SpaceXはCrew Dragonとパラシュートシステムを使って、乗組員らを安全に海上に落下させる。アポロ時代に用いられた戦略と同じだ。

しかし最終的には、SpaceXは推進方式によって宇宙飛行士らを地球に帰還させる計画だ。

昨年11月、SpaceXはCrew DragonおよびSuperDracoエンジンの飛行テストを完了した。同社は、推進力による軟着陸戦略は、いつか火星のような海のない惑星に人間を着陸させるためには重要な能力であると指摘した。SpaceXの舵を切るElon Muskは、最終ゴールは火星に到達することだとよく言っている人物であることから、この着陸戦略も驚きではない。

今日のブログ記事でNASAは、「今後のテストは、実際の飛行におけるシステムの条件やプロセスをできる限り再現した、より現実的なものになっていくだろう」と語った。

SpaceXとBoeing、およびその他の商用クループログラム契約社は、それぞれの有人宇宙船を完成させ、国際宇宙ステーションへの旅をロシアに依存する米国を救うべく作業に取り組んでいる。

今後のテストで異常がなければ、NASAは米国企業による国際宇宙ステーションへの信頼ある飛行が2017年末までに可能になると期待している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceX、スペースシャトルに代わる有人宇宙飛行カプセルをテスト

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1月21日(米国時間)SpaceXは、有人宇宙飛行船、Crew Dragonのテスト飛行に成功したビデオを公開した。計画によると、Crew Dragonは2017年中にはFalcon 9の先に取り付けられ、国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を送り込む。

このテストはテキサス州マクレガーで昨年11月に行われ、同宇宙船の推進エンジン、SuperDracoの起動能力を分析した。NASAは声明で、現在Crew Dragonは分析の早期段階にあるが、最終目標はこの宇宙船を使い、人間をヘリコプター並みの精度で着陸させることだと語った。

Crew Dragonが、SpaceXの最初の有人飛行ではSuperDraco推進エンジンを使用しないというは興味深い。このエンジンは宇宙飛行士らを誘導着陸されるために用いられる。この戦略に代えて、SpaceXは当初パラシュートを使って、Crew Dragonの降下速度を落とし、海上に着水させる計画だ。

SpaceX's Crew Dragon

SpaceX’s Crew Dragon / Image courtesy of SpaceX

SpaceXは、軟着陸に向けて取り組んでいる理由について、将来海のない惑星、例えば火星に人類を送るためには必要となる能力だからだと説明した。

SpaceXの初期バージョンのDragonは、NASAのISS貸物輸送ミッションに使用されているが、第2バージョンとなる有人ミッション用のCrew Dragonは、まだ使用さていない。今回行われた飛行テストは、SpaceXが人間を宇宙に送り出す認定を受けるために必要となる、数多くのテストの一つだ。

Crew Dragonは、いずれも7名の人間を運ぶ能力のある2種類の宇宙船プロジェクトの1つで、米国クルーをISSと往復輸送するために2017年から斬定運用される予定だ。これらのカプセルはNASAの商用クルー能力(CCtCap)契約に基づいて開発されている。

Inside the SpaceX Crew Dragon

SpaceX Crew Dragonの内部/画像提供:SpaceX

CCtCapは、NASAの商用クルー開発(CCDev)プログラムの最終フェーズだ。2010年に開始したCCDevは、スペースシャトルの代替品を開発できる企業を見つけるために行われた。プログラム開始当初、NASAは彼らの有人宇宙飛行コンセプト実現に向けて、有望視企業5社を選んで助成した。

2014年、対象はBoeingとSpaceXの2社に絞られた。

Boeingの有人カプセルCST-100も、現在最終エンジンテストを実施中だ。SpaceXと同じく、CST-100も地表に着地するよう設計されている。Boeingのカプセルは推進方式ではなく、パラシュートを使いエアバッグによって緩衝された着陸を行う。

ロケット回収テストと並行して、NASAカルゴ契約、空軍向けエンジン開発研究、そしてCrew Dragon開発と、今年のSpaceXには実に多くの仕事が待っている。

Illustration of Boeing's CST-100 landing

BoeingのCST-100着陸の図解/画像提供:Boeing

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ジェフ・ベゾス、SpaceXにケチをつける(SpaceXが何年も前からロケット着陸に成功していることを忘れている)

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さて、Twitterの悪口合戦に参加したのは誰あろう、Mr. Jeff Bezosだった。

自らの宇宙会社 Blue Originがロケットの着陸に成功したばかりのAmazonファウンダーは、Falcon 9ロケットの着陸に成功したSpaceX に対して、初めて今日攻撃を仕掛けた。

[@SpaceXがFalconの準軌道ブースターの着陸に成功したことをお祝いする。
わがクラブへようこそ!]

「クラブへようこそ」― イタッ!!

注意深い読者(および今日一日中Twitterを見ている人)なら、SpaceXのファウンダー、Elon Muskが最初に火を着けたことを知っているだろう。先月BezosとBlue Originの偉業を称えると同時に、「軌道」ロケットと「準軌道」ロケットの違いを指摘した時だ。

[Jeff BezosとBO チームには打上げロケットの着陸成功をお祝いしたい。]

[ただし、はっきりさせておく必要があるのは、「宇宙」と「軌道」の違いであり、 https://what-if.xkcd.com/58/ に説明がある]
[宇宙高度に到達するだけならマッハ3でいいが、弾道飛行にはマッハ30が必要。エネルギーは2乗以上だ。つまり9に対して900のエネルギーが必要になる]

[ジェフは気づいていないかもしれないが、われわれのSpaceXは準衛星軌道へのロケットによるVTOLを2013年からテストしている。海面への着水は昨年成功した。次は軌道飛行の後の着陸だ]

[功績を正確に記録するなら、準衛星軌道を飛行した最初の再利用ロケットはX-15だ。最初の商業飛行に成功したのはバート・ルタンと言わねばならない。]

今日のBezosの反論で問題なのは ― 億万長者同志が互いの宇宙ゲームを巡って口論するとことを見るのは面白いが ― SpaceXがBlue Originのクラブに入会することはないことで、それはSpaceXは小型ロケットを何年も前から着陸させているからだ。

しかしそれ以上に、Blue OriginとFalcon 9を比較すること自体が不釣り合いだ。

TechCrunchのロケットマニア、Matt Burnsに言わせると、両社の着陸を比べることは、「縦列駐車を自転車と大型SUVで比べるようなもの」だそうだ。

今日着陸したFalcon 9は巨大なロケットだ。今回の発射には人工衛星が11基積載されており、塔載部分は再利用されず着陸もしていない。

Burnsがこう説明している

Falcon 9は本格的なロケットで、9基のエンジンが生み出す150万ポンド力(667万N)の推進力によって、高度124マイル(200 km)まで到達する能力を持つ。重要な機器を重要な軌道に運ぶために設計された。Blue Originは数人の人間を62マイル(100 km)の上空に送る能力がある ― これもまた素晴らしい。

果たしてElon Muskが再び反撃に出るか、誰かがBezosに少々状況を説明する機会を与えるか見物だ。

まもなく次のラウンドが始まる…

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Teslaで自動操縦のソフトウェアを担当していた技術マネージャRobert RoseをGoogleが引っこ抜く

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自動運転車のトップブランドを目指す競争が、ますます激化している。その戦いの重要な戦術の一つが、有能なチームを編成することだ。

今日(米国時間11/30)の報道によると、GoogleはTeslaで自動操縦ソフトウェアの技術マネージャだったRobert Roseを引きぬいた。LinkedInのプロフィールによると、RoseはSpaceXにも5年いた。

聞くところによると、Googleで彼は車そのものには関わらず、もっぱらソフトウェアを担当する。”Google Robots”の彼の職責は”Engineering Manager”となっていて、それはTeslaで6か月担当した仕事と(名前だけは)同じだ。Roseによると彼はTeslaで、“Model SのRelease 7.0アップデートで自動操縦とUIのチームを指揮した”。

そのTesla車の自動操縦機能を、本誌もテストしたことがある。

今Googleからの公式声明を待っているが、得られ次第この記事をアップデートしよう。

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[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

ロケットVTOLの成功は偉大な進歩―ただしベゾスのBlue OriginとマスクのSpaceXはカテゴリーが違う

CAPE CANAVERAL, Fla. (July 19, 2013) An Atlas V rocket launches the Navy's Mobile User Objective System (MUOS) 2 satellite from Space Launch Complex-41 at Cape Canaveral Air Force Station, Fla. MUOS is a next-generation narrow band tactical satellite communications system designed to significantly improve beyond-line-of-sight communications for U.S. forces on the move. (U.S. Navy photo courtesy of NASA by Patrick H. Corkery/Released) 130719-O-ZZ999-102
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低料金で宇宙飛行を提供するとしているBlue Originは、大気圏外にロケットを発射し、無事に地上に着陸させることに成功した初の企業となった。コンセプトはこの上なくシンプルだが、宇宙産業にとってこの成功の意義はまさに歴史的だ。ロケット・ブースターの再利用に道を開いた意義はいくら強調しても足りない。

Blue Originのファウンダー、ジェフ・ベゾスは、初めてTwitterを使い、こう述べた。

世界でも使用済みロケットというのは珍しい存在だ。制御された着陸は恐ろしく難しい。しかし成功してしまえば簡単に見える。下のビデオ見て欲しい。

現在、再利用可能な商用ロケットは市場に存在しない。こういう際に成功を伝える言葉はごく簡潔な「使命完了」だけ足りる。

われわれは飛行機の切符が高いと文句を言うが、宇宙旅行にかかる総額はとても比較になるものではない。その主な理由は打ち上げ1回ごとにほとんど何かもが捨てられてしまう―再利用できないからだ。SpaceXのCEO、イーロン・マスクはこれを「3億ドルのボーイング747をまるごと宇宙に捨ててくる」ことに例えた。

ロケットが再利用可能になればコストは最高100分の1まで下がるという推計もある。これは文字通り宇宙ビジネスのディスラプトだ。

しかし詳細に見れば、ロケットの再利用にもさまざまな種類があることがわかる。Blue Originの成功だけを見れば、同じくロケットの再利用を目指すSpaceXは遅れを取ったように見えるかもしれない。

SpaceXはFalcon 9が宇宙から帰還したとき、海上の艀に安全に垂直着陸させることを目指している。残念ながらこれまでの実験は2回ともロケットの爆発に終わっている。マスクはベゾスのロケット、New
Shepardの垂直着陸成功の報に接して、祝意を述べると同時に、Falcon 9との差を急いで説明しなければならなかった。

Getting to space needs ~Mach 3, but GTO orbit requires ~Mach 30. The energy needed is the square, i.e. 9 units for space and 900 for orbit.

— Elon Musk (@elonmusk) November 24, 2015

宇宙高度に到達するだけならマッハ3でいいが、弾道飛行にはマッハ30が必要。エネルギーは2乗以上だ。つまり9に対して900のエネルギーが必要になる。 

Blue Originは準軌道を目指している。つまりベゾスのNew Shepardは6人の乗客を乗せて短時間高度100キロの宇宙空間に飛び出すが、そこでただちに地上に引き返す。これに対してマスクのSpaceXは単に宇宙空間に出るだけでなく、大量のペイロードをマスクがGTOと呼ぶ静止トランスファ軌道(静止軌道への遷移軌道)まで運び上げることができる。この軌道は遠地点では地表から9万キロも離れる。

容易に想像がつくように、100キロと9万キロという高度の差は非常に大きく、必要とされるロケットの能力はまったく異なる。マスクはこの点を「宇宙に出るだけならマッハ3で足りるが、静止トランスファ軌道に入るためにはマッハ30を必要とする」と説明している。XKCDの記事はこれを「単に宇宙に出るだけなら簡単だ。難しいのは宇宙に留まることだ」と表現している。

宇宙に留まるためには衛星軌道を飛ばねばならなず、これは非常な高速が要求される。 SpaceXのFalcon9がNew ShepherdやVirgin Galacticの機体よりもはるかに巨大で強力なのはそういう理由による。マスクはベゾスに張り合ってか、SpaceXはロケットの垂直着陸テストに2013年に成功していると述べた。

ジェフは気づいていないかもしれないが、われわれのSpaceXは準衛星軌道へのロケットによるVTOLを2013年からテストしている。海面への着水は昨年成功した。次は軌道飛行の後の着陸だ。

実のところ、これは少々誤解を招く表現で、マスクの批判にかかわらず、Blue Originは実際にロケットに宇宙と地上を往復させた史上初の会社だ。マスクのツイートの前半はSpaceXのGrasshopper計画でロケットの垂直離着陸(VTOL)を成功させたというものだが、この実験でロケットは744メートルまでしか上昇しておらず、ベゾスのNew Shepardが到達した高度の1%程度だった。

2番目のツイートでマスクは、SpaceXはFalcon 9を軌道に送り、第一弾を安全に地表に帰還させる実験を行ったと述べている。これは事実だが、実験は2回とも海上の艀の上の爆発という華々しい失敗に終わっている。

つまり Blue OriginがロケットのVTOLを史上初めて成功させる一方で、SpaceXはまだその試み成功していない。そういう次第で、この2社の試みを同一の基準で公正に評価するのは難しい。両社はそれぞれに宇宙旅行の改良における重要なマイルストーンを達成したと考えるべきだろう。

ベゾスのBlue Originは宇宙旅行を希望する一般消費者(非常に裕福な旅行者)に直接切符を販売することを目的としている。これに対して SpaceXは大企業や政府(Orbital Sciences社、NASA、アメリカ空軍など)のペイロードを軌道上に有料で運び上げる。この2つはまったく異なるカテゴリーの活動であり、必要とされるロケットの能力も異なる。

そうではあるが、最初に再利用可能な宇宙ロケットを開発した栄誉は正式にBlue Originのものとなった。 New ShepardのVTOL実験成功でBlue Originは準衛星軌道に旅客を運ぶという当初の目的に向けて大きく踏み出したといえるだろう。

画像:Official U.S. Navy Page/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

宇宙旅行が大きく近づいた―ジェフ・ベゾスのBlue Originロケットが垂直着陸に成功(ビデオあり)

2015-11-25-blueorigin

ジェフ・ベゾスが創立した宇宙旅行会社Blue Originのロケットが垂直発射、垂直着陸に世界で初めて成功した。ベゾスはこの記念碑的な達成をTwitterで報じ、インターネットはこのニュースに沸き返った。

世界でも使用済みロケットというのは珍しい存在だ。制御された着陸は恐ろしく難しい。しかし成功してしまえば簡単に見える。ビデオで確認して欲しい。

New Shepardと呼ばれるBlue Originのロケットは宇宙(正確には準衛星軌道)に達し、最高高度は32万9839フィート(100.5km)を記録した。その後ロケットは西テキサスのベゾスの宇宙基地に垂直に着陸することに成功した。

最初にベゾスにお祝いのメッセージを送ったのはほかならぬイーロン・マスクだ。SpaceXのファウンダーであるマスクはある意味でベゾスと同様にロケットの垂直着陸による低価格の宇宙旅行の実現を目指している

ジェフ・ベゾスとBlue Originのチームに対し、ロケット・ブースターがVTOL(垂直着陸)に成功したことにお祝いを送りたい。

ただ…やはりマスクはライバルだった。彼はこう付け加えている。

ただしここで正確を期すなら「宇宙」と「軌道」の差について触れておく必要がある。リンク先に詳しい説明がある。

宇宙高度に到達するだけならマッハ3でいいが、弾道飛行にはマッハ30が必要。エネルギーは2乗以上だ。つまり9に対して900のエネルギーが必要になる。

ジェフも気づいているかもしれないが、われわれのSpaceXは準衛星軌道へのロケットによるVTOLを2013年からテストしている。海面への着水は昨年成功した。次は軌道飛行の後の着陸だ。

功績を正確に記録するなら、準衛星軌道を飛行した最初の再利用ロケットはX-15だ。最初の商業飛行に成功したのはバート・ルタンと言わねばならない。

一見離れ業に見えるベゾスの偉業をマスクはひとつずつの要素に分解し、それらを達成したのはBleu Originが初めてでないことを指摘している。またマスクはSpaceXがFalcon
1ロケットの時代からGrasshopper垂直着陸モジュールの実験を重ねていたと述べた。そういえばNASAはこの件に関してツイートしていない。それではベゾスの垂直着陸は本物だったのだろうか? というのは冗談だが、NASAにはなんとか言ってもらいたいものだ。しっかりしてくれ!

われわれの編集長はTwitterで下のようにジョークを飛ばしている。

いつか私もビリオネアになって、仲間のビリオネアといちばん古いハイパードライブを持っているのは誰かとか議論したいものだ。

〔日本版:イーロン・マスクのSpaceXも海上の艀へのロケットの垂直着陸実験を繰り返している。今のところFalconロケットによる垂直着陸はまだ成功していない。〕

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

イーロン・マスク、「SpaceXがインターネット接続用低価格小型衛星を開発」という報道を確認


テスラ・モーターズのCEO、イーロン・マスクのもう一つのスタートアップであるSpaceXは手頃な料金による宇宙旅行の実現を目指している。今日(米国時間11/11)、マスクはTwitterでSpaceXが「大量に打ち上げられてネットワークを組んで機能する進歩したマイクロ衛星」の開発に取り組んでいることを明らかにした。正式発表は2、3ヶ月先になるという。このマイクロ衛星は「超低価格のインターネット接続を提供するために用いられる」ということだ。

マスクのツイートは数日前にWall Street Journalが掲載した記事〔有料会員向け〕に対するコメントだ。WSJはこの記事で、SpaceXは世界のいたるところにインターネット接続をもたらすことができる小型低価格の衛星を開発中だとしていた。

記事は「マスクは元Google Inc幹部でWorldVu衛星を開発中のGreg Wylerと協力している」と報じている。またこの小型衛星は1基110kg程度で、SpaceXはこれを700個ほど打ち上げる計画だという。この重量は現在の最小の通信衛星のさらに半分程度だ。700基という数は、現在最大の通信衛星ネットワークであるIridiumの10倍にも上る。ただしマスクは「WSJの記事には重大な間違いがいくつもある」ともツイートしている。ただし、どこが間違いなのかは明かしていない。

〔日本版〕WorldVu衛星ネットワークは当初、Googleの関与が噂されていた。Greg Wylerは2007年に創立されたO3b衛星ネットワーク・システムの共同ファウンダーで、2013年には最初の4基の衛星の打ち上げに成功している。Googleが最大の出資者となり、Wylerらはこれを機にGoogleに入社した。しかしその年のうちにWylerらO3b出身者はGoogleを離れてWorldVuに移籍した。GoogleとWorldVuの関係は明らかではない。一方Googleは今年6月に画像衛星のスタートアップ、Skyboxを買収している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


ロシア製ロケットの国防用購入への差止めを命令を, SpaceXが勝ち取る

民間宇宙ロケットのスタートアップSpaceXは先週、同社が合衆国空軍(USAF)を告訴したことを発表した。空軍は政府機関でありながら国防用ロケットの打ち上げを、航空機産業のトップ企業BoeingとLockheed-Martinの合弁会社United Launch Alliance(ULA)一社のみに、競争入札なく発注契約を結んでいる、というのが同社の訴件だ。Ars Technicaの報道によると、昨夜(米国時間4/30)SpaceXは、防衛関連事業における独占発注慣行との戦いにおいて、小さいが重要な勝利を勝ち取った。ULAによるロシアのロケットの購入が、裁判所による差止め命令を食らったのだ。

ULAは合衆国政府関連のロケット打ち上げに、打ち上げビークルとしてAtlas V、打ち上げ用ロケットとしてRD-180を使用してきた。それは同社が宇宙への打ち上げ〔軍事衛星など〕に使用している二種類のロケットのうちの一つだ。SpaceXの訴状は、これらのロケットを作っているNPO Energomashが実はロシア政府が完全に所有している企業であり、したがって同社のロケットの購入と使用は、ウクライナにおける侵略的な行動に対してアメリカが最近課した制裁に違反している、と主張している。

裁判所の命令は、合衆国財務省と合衆国商務省が、その取引は制裁を規定している大統領命令13661に違反しないと明言するまでは、ULAによるNPO Energomashとのいかなる商取引をも禁ずる、と言っている。

SpaceXのCEO Elon Muskは最初の記者会見で、“この時期にクレムリンに数億ドルを渡すのは間違っていると思う”、と述べた。また一般的に、アメリカの国防事業でロシアのロケットを使用することの妥当性についても、疑問を投げかけた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


テスラモーターズのCEO、Elon Musk曰く「電気自動車業界に参入したのは、競合がなさそうだったから」

テスラモーターズのファウンダーであるElon Muskが、D11カンファレンスにおけるキーノート講演で、電気自動車事業に参入した理由を述べていた。曰く、他に誰も電気自動車を作ろうとしなかったからなのだそうだ。Musk自身、電気自動車事業への参入が「最も無分別な行為のひとつ」であり、気違い沙汰のようにも感じられたと話している。

「ほとんどの人は正気の沙汰でなく、大変に愚かしいことであると考えたようです」とMuskは述べる。「私自身が参入を決意したのも、目の前に広がる大きな市場をイメージしたからというわけではありません。あまりにもリスクが高く、大手自動車メーカーが参入してくることはないだろうと考えたからなのです」とのこと。

SpaceXおよびSolar CityのファウンダーでもあるMuskは、リスクを考慮しつつも、交通手段にも「持続可能性」(サステナビリティ)の視点が必要だろうと考えたのだった。しかし、電気自動車を作って、一般向けの市場で販売しようというアイデアはなかなか他の人には受け入れてもらえなかったそうだ。

「自動車業界は、2つの先入観に囚われていたのです」とMuskは言う。「ひとつは市場性のある電気自動車など開発不可能だというもの。そしてもうひとつは誰も電気自動車など欲しがらないというものです」。

テスラは既に電気自動車を実用に供しており、そして今は価格をより抑えたものにしようと努力しているところだ。Muskは、3、4年のうちに価格は3万ドルないし4万ドルのラインまで落とすことが可能だと考えているそうだ。そのために車の小型化や設計面での効率化、そして一層の普及を実現した量産メリットなどを活用して行きたい考えだ。

尚、今ではMuskも電気自動車業界がもう少し広がって欲しいと考えているようだ。他に参入してくる企業があれば、それにより消費者にとってはさらに身近な存在となることができるわけだ。「テスラは収益をあげる企業に成長しました。この分野に参入し、ともに世界を広げていってくれるような企業に出てきて欲しいと考えているのです」とのことだ。

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(翻訳:Maeda, H)


イーロン・ムスクのロケットが発射後、垂直着陸に成功―再利用ロケットの実現に一歩前進

spacex

ネタバレ: このビデオにはSpaceXが開発した全長30mのGrasshopperロケットがエンジンを噴射して上昇し、いったんホバリングしてからゆっくりと発射地点に降下して着陸するところが撮影されているだけだ。トータル30秒ほどのフライトだ。BGMにはジョニー・キャッシュのRing of Fireが流れる。

と、それだけだ。何かが爆発したりといった派手なシーンは全くない。しかし今後の宇宙開発にとっては信じられないくらい重要な一歩だと思う。SF映画のような着陸シーンをぜひご覧いただきたい。

この発射は再利用可能ロケットの飛行としてこれまでで最大の成功といえる。上昇高度の262.8フィート(80.1m)も新記録だ。

Grasshopperは発射時にも着陸時にも金属製の脚で垂直に自身を支える。このロケットはSpaceXの長期のロードマップの重要な一環だ。SpaceXはこのロケット(ないしその後継モデル)を実用化する時期については明らかにしていない。2012年の9月からテスト飛行が開始されている。テストは順調に進捗しており、宇宙に実際に飛ぶ日はそのたびに近づいている。

「アメリカは探検家の国だ。やがて宇宙旅行が手の届く値段で提供できるようになることを皆に信じてもらう必要がある」と イーロン・ムスクはSXSWの基調講演で述べている

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+