SpaceXがStarshipのホップ飛行と着陸動画を公開

SpaceX(スペースX)は米国時間8月4日の火曜日の夜、宇宙船Starshipの開発プログラムを大きく進展させ、プロトタイプ機ことSN5をRaptorエンジン1基で推進し、約500フィート(約150m)の高度まで飛行させた。このテストは、テキサス州ボカ・チカにある同社のロケット開発・試験施設で行われ、実物大のStarshipのプロトタイプが離昇したのはこれが初めてだ。

SpaceXはテスト打ち上げ全体の動画を公開し、ドローン視点からの映像、SN5に搭載されたカメラからの映像、胴体内からのRaptorエンジンの動作、着陸に備えて展開される脚などを紹介した。

テストが成功した後、同社創業者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、Starshipの開発プロセスの次の段階を概説した。マスク氏によると、着陸脚は今後いくつかの変更を予定しており、まず長さが長くなり、次に幅が広く高くなり、より平坦でない地形に着陸できるようになるという。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXがStarshipプロトタイプの高度150メートル飛行試験に成功

SpaceX(スペースエックス)は、テキサス州ボカチカの同社打ち上げサイトで、次世代宇宙船Starship(スターシップ)を開発している。今日まで、同社はいくつものStarshipのプロトタイプを建造してきたが、Starhopper(スターホッパー)と呼ばれる1つ前のバージョンは、基本的にロケットの下の部分だけだった。米国時間8月4日、SpaceXは実物大のプロトタイプ(ただし最終バージョンに取り付けられる予定の先端のドームと下部の操縦翼面を除く)の初飛行を行い、同機はおよそ150メートルの高度に達した。

これは、この試験段階で建造されたプロタイプの中で、最も高く飛行したものとなった。Starship SN5と呼ばれるこの機体は、このシリーズでは5番目のプロトタイプとなる。しかしSpaceXは、現在の命名法則に切り替える前にStarship Mk1(マークワン)という名の実物大プロトタイプを建造しているので、今回のものが実際には6番目だ。これまでのバージョンは、タンクの加圧テストやエンジンの地上燃焼試験など、準備段階のさまざまな時点で失敗に見舞われている。

SN5は、実物大の機体として実際に飛行した初めてのものとなった。今週初めにエンジンの地上燃焼試験をパスしたことで、今回の短距離飛行試験への道が開かれた。このプロトタイプにはRaptor(ラプター)エンジンが1基だけ搭載されているが、完成形では6基のRaptorエンジンを搭載して、大きな推進力を発揮することになっている。同機は垂直に跳び上がり、垂直に着陸を果たした。こうした目に見える結果から、すべてが予定通りに進行したものと推測される。

画像クレジット:NASA Spaceflight

Starhopperが同様の短距離飛行試験を成功させたのは、2019年8月のことだった。SpaceXでは、早ければ2021年中に軌道に載せる実際の宇宙船を使って、ペイロードを搭載した打ち上げという意欲的なゴールに向けて、Starshipの実用化を目指したプロトタイプ開発計画を積極的に進めている。Starshipは、将来のFalcon Heavy(ファルコン・ヘビー)ブースターを装着できるように設計されており、これを使って大きなペイロードを地球軌道、月軌道、そしていずれは火星軌道にまで運ぶことが予定されている。

画像クレジット:NASA Spaceflight Forums

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXのStarship SN5がエンジンテストに成功、高度150mの短距離飛行テストに移行

SpaceX(スペースX)の創設者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏によると、同社の宇宙船Starship(スターシップ)の6番目の試験用プロトタイプを使った極めて重要なRaptor(ラプター)エンジンの地上燃焼試験が見事に成功した。SN5と呼ばれるこのプロトタイプは今後高度150mの短距離飛行テストに移行する。SpaceXの開発計画を通じて製造された試験用宇宙船の中で、最も遠くまで飛行するものとなる。

SpaceXは、最初の実証試験用の小型版Starshipを製造したのに続き、去年からStarshipの試験用プロトタイプの製造とテストを繰り返してきた。プロトタイプはSNという名称で表され、その後に製造順に番号が付く。この小型版は実際にはStarshipの基礎部分だけで、短距離飛行と着陸の実証試験を行うためのRaptorエンジンが1基だけ搭載されていた。

以来SpaceXは、数々の飛行テストのための実物大の実証試験用プロトタイプを複数製造してきたが、当初はすぐにでも高高度飛行テストを行う予定だった。これまでのプロトタイプはMK1とMK2として知られている。MK1は、タンクの加圧テストの最中に爆発。MK2は、同社がMK3(SN2)にフォーカスを移したことで破棄された。なおMK2はSN1と改名され、ここから新しい命名規則が始まっている。開発されたプロトタイプは製造と試験が急がれたのだが、SN3とSN4はテスト中に壊滅的な失敗に見舞われた。

だがSpaceXは、ここまでにSN5のエンジン燃焼テストを成功させ、実物大試験機による低高度の「ホップ」飛試験に進めるようになった。

最終的にSpaceXは、Falcon 9(ファルコン9)やFalcon Heavy(ファルコン・ヘビー)を含む同社のすべてのロケットをStarshipに置き換える計画で、将来の火星の有人基地建設建設にはStarshipにSuper Heavy(スーパー・ヘビー)ブースターを装着して対応させることにしている。

その壮大なゴールに到達するまでには、まだまだ多くのテストを繰り返して改善を重ねる必要があるのは明らかだが、マスク氏とSpaceXは一般大衆の目に見えるかたちで大急ぎでテストと改良を繰り返すことに力を入れているようだ。

宇宙船開発は十分にテストを重ねるのが定番となっているが、それをオープンに行うということ、そして実際の飛行テストに使用する宇宙船の製造を急ぎ、その結果を新しい(そして改善が期待される)バージョンの製造に生かすという考え方は斬新だ。
画像クレジット:Darrell Etherington

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(翻訳:金井哲夫)

イーロン・マスク氏が「Starship完成がSpaceXの最優先目標」と宣言

SpaceXのファウンダーでありCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、社内向けメールで最初の有人宇宙飛行を成功させた後の目標について、次世代宇宙船Starshipの開発に全力を挙げると述べた。CNBCの報道によれば、マスク氏は現在軌道上でISSに接続されているCrew Dragonカプセルと乗員であるNASAの宇宙飛行士であるDoug Hurley(ダグ・ハーリー)とBob Behnken(ボブ・ベンケン)の両宇宙飛行士を無事に帰還させることを別にすれば、Starshipの完成がSpaceXにとって最重要の目標だと述べている。

ステンレス製でSF的な外観のStarshipは2019年からテキサス州ボカチカのSpaceXの製造、試験施設で開発が続けられている。テキサスと平行してフロリダの施設でも開発が行われていたが、SpaceXはその2019年末に、開発をテキサスの施設に集約した。両施設の成果を統合し、集中的にプロトタイプ制作を行い、それを迅速に繰り返すことですでに多数のプロトタイプが製造されている。

Spaceshipは完全に再利用可能な設計であり、地球の衛星軌道からさらに月と火星などの遠い天体に向かって乗員と物資を運ぶ能力を備えることになる。Spaceshipの打ち上げには、現在開発中の大型ブースターであるSuper Heavyロケットが用いられる。 SpaceXでは将来はFalcon 9、Falcon Heavyの両システムをStarshipに置き換えようと計画している。これにより生産ラインが一本化され、再利用性も実現できれば大きなコスト削減が期待できる。

これまでのところStarshipの開発は多くの難問に直面している。SpaceXはStarhopperと呼ばれる縮小版のプロトタイプに新しく開発したRaptorエンジンを組み込み、地上での燃焼テストに成功した後、フルスケールのプロトタイプの製造が開始された。しかしこれらのプロトタイプはいずれもテストで不具合に見舞われている。プロトタイプ3号機、SN3は燃料タンクの圧力テストに失敗、また最近ではSN4がRaptorエンジンの静止燃焼テスト直後に大爆発して失われている。SpaceXは現在、StarshipのSN5を組み立て中だが、さらなるテストのために、SN6とSN7の建造も平行して進められている。

CNBCが番組で公開したメールでイーロン・マスク氏はSpaceXの社員はボカチカ開発拠点で「Starship開発を助けるために相当の時間を費やすことを考えねばならない」と述べている。

SpaceXはBlue Origin、Dynecicsと並んでNASAの有人月面基地構築プロジェクトの主契約者3社のひとつに選定された。これはStarshipの開発を急がせるプレッシャーをさらに高めるものだ。NASAのプロジェクトでは月の衛星軌道に前進基地となる宇宙ステーション、Lunar Gateway(ルナー・ゲートウェイ)が設置され、そこから月面に宇宙飛行士が運ばれる。Starshipはこのラストワンマイルを担当するというきわめて重要な役割を担う。

SpaceXによる有人Starshipのコンセプト。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXの試作機が地上でのエンジンテスト中に爆発

SpaceX(スペースエックス)は米国時間5月29日、Starship(スターシップ)SN4型ロケット試作機に搭載したRaptor(ラプター)エンジンのさらなる地上燃焼テストをテキサス州ボカチカで行ったが、ロケットは爆発した。これはこのタイプの試作ロケットに搭載したRaptorエンジンの4度目の燃焼試験となるが、他の燃焼試験と違い何が悪かったのか原因不明のままだ。

燃焼テストは、SpaceXがボカチカで建造している新型宇宙船Starshipの開発の一環となる。これはFalcon 9(ファルコンナイン)ロケットやFalcon Heavy(ファルコンヘビー)ロケットの後継機として使用されることになっているが、飛行テストを何度も成功させてはいるものの、まだ開発初期段階にある。

SpaceXは、Starship試作機の短距離弾道飛行のための認可を米連邦航空局(FAA)から取得したばかりだ。目標は、このSN4型試作機のエンジンの地上燃焼テストを成功させた後に短距離飛行を行うことだったが、5月29日の試験でロケットは完全に破壊されてしまったため、どう見ても予定どおりとはいかなくなった。下のNASASpaceflight.comのストリーミング動画をご覧いただきたい。

爆発が起きたのは、テキサス州現地時間の午後1時49分。エンジンが首尾良く点火してから、およそ2分後のことだ。我々は、今回の事故の原因と怪我人の有無についてSpaceXに詳細を求めている。こうした試験を行う際には、当然のことながらSpaceXは、実験区域にスタッフやその他の人間がいないことを確認するなど、十分な安全対策を講じている。

SpaceXの試作ロケットが大惨事に見舞われたのは、これが最初ではない。これまでも試験機の性能を試す圧力テストで、2度ほど痛い目に遭っている。SpaceXが開発を進める中で、何度も機体のストレステストを行っているのはそのためだ。最終的に実際の運用に使用される宇宙船は、ずば抜けて高い安全性と信頼性で期待に応えられなければならないからだ。

SpaceXはすでに、ボカチカ近くで作られているSN5も含め、新たな試作機の建造に入っている。そのため試験場がきれいに片付けば、すぐにでも最新の機体を運び込んでテストを再開できるだろう。これはSpaceXのCommercial Crew(商用乗員輸送開発)プログラムとはまったく別の事業なので、天候にもよるが5月30日か31日にに打ち上げが予定されている歴史的な初の有人飛行テストには何ら影響しない。

画像クレジット:NASASpaceflight.com

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXが宇宙船スターシップのテスト飛行許可を米航空宇宙局から取得

SpaceX(スペースエックス)は、同社の宇宙船Starship(スターシップ)のプロトタイプによる低軌道ミッションの飛行許可を連邦航空宇宙局(FAA)から取得し、米国テキサス州ボカチカの同社施設からのテスト飛行への道を前進した。SpaceXはStarshipプロトタイプを使った低軌道短時間の限定テスト飛行の準備を懸命に進めており、米国時間5月28日も現在開発中の同宇宙船4次プロトタイプの地上燃焼テストを実施した。

FAAはSpaceXに対して、同社が言うところの「再利用可能打上げ機」ミッションの実施許可を正式に与えた。これは実質的にこのStarshipプロトタイプが、同社のボカチカ打上げ施設で離着陸可能となったことを意味している。Elon Musk(イーロン・マスク)氏率いる宇宙企業はすでに同様なテストを実施しているが、これまでは「Starhopper」(スターホッパー)の早期プロトタイプを使っていた。これは計画されているStarshipの生産モデルよりも小さくシンプルだ。目的はSpaceXがStarshipの推進に用いるRaptor(ラプター)エンジンの能力を証明することにあり、エンジンの1基を使って短期飛行テストを行うだけのため使用された。

昨年の飛行テスト以来、SpaceXはStarshipのフルスケールプロトタイプを複数開発してきたが、実際に飛ばすところまでは至っていない。事実、いくつかのStarshipプロトタイプは耐圧試験に失敗している。しかし現在テスト飛行を準備しているSN4は耐圧試験だけでなく、Raptorエンジン1基による地上燃焼試験にも合格した。

現在の計画では、このプロトタイプをStarhopperの時と同様の「短期」飛行させる予定であり、最大高度は約500フィート(150m)だ。それに成功すれば、次のバージョンには複数のRaptorエンジンを搭載して高高度のテスト打上げを行う。SpaceXは、新しいバージョンのStarshipを次々と前のテストが完了するのを待たずに製作していて、全体の開発期間を短縮しようとしている。

SpaceXはある時間とも戦っている。同社はNASAが再び月へ人間を送り込むための着陸船を開発・製造するアルテミスプログラムの契約を勝ち取った3社に入っている。NASAはこの復活の旅を2024年までに実行しようとしており、契約ではそれぞれの会社がその時期までに着陸船を用意することを要求してはいないが、最終目標であることは間違いない。たとえそれが契約している3社の中で自慢する権利を得るためだけだとしても。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXはStarship試作機の最後の重要なテストに合格し初飛行へ

SpaceXは、次世代型ロケットStarship(スターシップ)の開発を始めてずいぶんになるが、テキサス州ボカチカで建造中の大型プロトタイプは、これまで「クライオ」と呼ばれる重要なテストになると決まって致命的なエラーに見舞われてきた。これは、宇宙の真空を再現した状態で燃料タンクに最大圧力で燃料を満たすというものだ。だが最新のプロトタイプSN4(シリアルナンバー4という意味)はこのテストに合格し、エンジン点火テスト、そしてそれに続く短距離飛行へと道が開かれた。

SpaceXのSN4プロトタイプは、同社が当初、新型Raptor(ラプター)エンジンの性能を披露するためだけに飛ばした小型の実験機Starhopper(スターホッパー)とは異なり、最終的なロケットの形に近い姿をしている。SN4もStarhopperと同じく、Raptorエンジンを1基だけ搭載していて、実験目的の短距離飛行が可能だ。次期バージョンのSN5は、SpaceXのCEOで創設者のElon Musk(イーロン・マスク)氏によると、Raptorエンジンを3基搭載し、実際に運用に使われる機体に搭載予定の6基には及ばないものの、軌道に載るデモ飛行に備えた長距離飛行が可能だという。

新しいロケットや打ち上げシステムのテストと開発には、どうしてもトラブルが付きまとう。世界中のどのシミュレーションも、現実の使用条件や物理法則を完全に再現できないからだ。しかし、これまでのStarshipのクライオ試験の段階での失敗は、もっと初歩的な問題によるものなのではないかと彼らは考えるようになった。結局それが、SN1からSN3までを失敗に追い込んだ原因だった。

これでSpaceXは、プロトタイプに搭載した形でRaptorエンジンの地上点火テストが行えるようになり、早ければ今週末にも実施される。その後は、高度150メートルほどの飛行が予定されている。これはStarhopperが実証飛行したときと同じ高さだ。もちろん、軌道までの距離からすれば足下にも及ばないが、これは実物大のロケットが低空でどのように挙動するかを確かめるためのものであり、高高度まで飛行できる、さらには軌道にのることができるプロトタイプの開発につながる鍵をSpaceXに渡すものとなるのだ。

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(翻訳:金井哲夫)

スペースXの最新Starship試作機が圧力テストに失敗

まったく新しい宇宙船を設計、テストし建造するプロセスは確かに困難で、いくつかの問題に直面するに違いないものだ。SpaceX(スペースX)が建造する、完全に再使用可能な巨大宇宙船であるStarshipも例外ではない。「SN3」と名付けられた最新のStarshipのプロトタイプは、試験飛行中に宇宙船が体験する圧力をシミュレートするための極低温実証試験の最中に、致命的な失敗を起こしてしまった。

SpaceXの最初のプロトタイプであるMk1も、燃料タンクの圧力試験中に破壊され、次のフルスケールのプロトタイプであるSN1も、2月下旬の圧力試験中に破壊された。もう1つのプロトタイプであるSN2は、極低温試験のために簡素化され極低温試験を通過したが、次のフルスケールのプロトタイプであるSN3は、テキサス州ボカチカにあるSpaceXの発射台での極低温試験中に再び失敗した。

NASAspaceflightのMary(@BocaChicaGal)によるYouTube動画では、極低温圧力テストの最中にSN3型の機体が崩れる瞬間を確認できるが、このプロトタイプを作り直して再利用することはおそらくないだろう。当初の計画では、SN4を高高度飛行用のプロトタイプにすることになっていたが、今回の試験結果を考えるとその可能性は低い。

スペースXの創設者かつCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、SN3の失敗は宇宙船自体の問題ではなく「テスト設定のミスだった可能性がある」とTwitterで語った。マスク氏は、午前中に一度だけデータレビューを受けると述べている。

これは確かに後退ではあるが、宇宙船開発では珍しいものではない。スペースXはこれまでの開発プログラムで成功を収めており、その中にはStarshipや最終的にはSuper Heavyブースターの推進力に使用されるRaptorエンジンの基本性能を証明した「Starhopper」のサブスケールプロトタイプのテストも含まれている。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceX Starshipのマニュアルが語るスペースシャトルの後継機となり快適な宇宙旅行を提供できる理由

SpaceX(スペースエックス)は、テキサス州ボカチカで建造を進めている次世代のロケットStarshipの、宇宙船ユーザーマニュアル初版を発表した。このマニュアルはすでに運用中のSpaceXの他のロケットのものほど詳細ではないが、例えば大容量の貨物船としてStarshipをどのように活用したいか、または人を運ぶ宇宙ライナーとして比較的豪華であるとされる理由など、いくつもの興味深い内容が含まれている。

Starshipは静止通信衛星を一度に3基まで同時に運ぶことができ、衛星コンステレーション全体を1回で展開できる。あるいは静止衛星を1基か2基搭載して、余った空間を使って小型衛星の正式な相乗りミッションに利用することも可能だ。現在使用できる手段と比較して、1回のフライトでたくさんのミッションに対応できることは、運用上の費用という面で大変な助けになる。

SpaceXが提案するStarshipのもうひとつの利用法に「宇宙空間で実験を行う宇宙船」の運搬がある。Starshipに宇宙船を搭載したまま一体となって実験やミッションを遂行して、地球に戻ってくるというものだ。事実上これは、Starshipを国際宇宙ステーションのような宇宙研究所プラットフォームにするものだが、宇宙ステーションと違い自力で飛行し帰還する能力を有する。

SpaceXではまた、Starshipは本来のペイロード・アダプターの他に、側壁やノーズにもペイロードを搭載できるようになるという。かつてスペースシャトルにも類似の機能があった。さらにスペースシャトルと同様に、Starshipは軌道上の衛星の回収して必要に応じて軌道上で修理したり、地球に持ち帰ったり、別の軌道に投入したりもできるとSpaceXはいう。これは、現在運用中のどのロケットも成し得ないことだ。

Starshipに人を乗せる場合の設備に関する提案もあった。SpaceXでは100人もの人間を地球低軌道に、さらには月や火星に運ぶことができると説明している。船内設備には「プライベートな客室、広い共有エリア、集中型倉庫、太陽風シェルター、展望ギャラリー」などが考えられると資料には記されている。SpaceXはまた、地点間の移動という用途を特に強調していた。つまり、地球上のある宇宙港から別の宇宙港への移動だが、近宇宙を通過することにより大幅に移動時間を短縮できるということだ。

最後に、小さいながらおもしろい話がある。SpaceXは、打ち上げをフロリダ州のケネディ宇宙センターとテキサス州ボカチカの両方で行い、着陸もその両地点で行われる可能性があるという。複数のSpaceshipが完成して性能が実証され、実際にフライトが始まった際には、運用の頻度が高まるというわけだ。

SpaceXのStarship SN3は、現在ボカチカで建造中だ。エンジンの地上燃焼試験のために、すでに打ち上げ台に運ばれている。SpaceXは2020年末の高高度飛行テストに間に合わせようと、プロトタイプの改善ペースを速めている。そしてゆくゆくはStarshipとSuper Heavy(スーパーヘビー)ロケットブースターも、完全に再利用可能な宇宙船を目指して開発したいと考えている。

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXは2020年の軌道飛行までに大量のロケットを建造し改良を重ねる

SpaceXの創設者Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、今週、同社のStarship(スターシップ)の進捗に関する更新情報をいくつか発表した。「SN1」の建造風景の動画をはじめ、新しい宇宙船の開発と年内に宇宙に飛ばす計画を進める中での考え方や、同社が取り組んでいる戦略についてツイートした。

マスク氏によれば、SpaceXは、このところ一貫した性能を示すようになり多少安定してきたFalconに比べて、Starshipの改良はずっと早いサイクルで進んでいるという。

デザインを量産型宇宙船に向けて進歩させる能力は、宇宙船の試作機と関わる回数、つまり各バージョンの間で達成された進歩の数によって決まると彼は書いている。

それはSpaceXが過去に行ってきたことであり、従来のロケット打ち上げ業界を引っ繰り返せた大きな要因でもある。すばやく行動し、何度もやり直して、早く失敗を重ねた経験から前進し変化していく。従来の業界は、寿命の長い宇宙船の世代間における改良に焦点を当ており、ほとんどの物事が短期間に固定されている状況で開発を行い、また休みという繰り返しに大きく偏っている。そこが違うところだ。

一方、Starshipは、巨大であるという点だけでも、今回のモデルがSpaceXにとって最大のチャレンジとなっている。現在のところ、StarshipはSpaceXにおける最大のロケットだが、それを短期間に何基も建造するというのは、工学的な観点からだけでも、実際に驚異的な冒険だ。世代間の改良点の多さや、最終的にSuper Heavyロケットブースターを取り付けることを考慮に入れるとなおさらだ。

サイズの大きさに加えて、この宇宙船にはSpaceXが目指している完全に再利用可能であることを目指しているため、次のフライトまでにすばやく開発を進めなければならないという性質もある。1回だけの使い切りロケットを作るのなら実に簡単(もちろん比較的という意味)だが、数十回あるいは数百回と再利用できるロケットの建造は、まったく別の話となる。

2019年、Starshipの完全な実物大試作機を初めて披露したとき、マスク氏は、わずか6カ月以内で軌道に載せると話していた。これもまた次第に、SpaceXの創設者からのきわめて楽観的なスケジュールに思えてきた。現在のSN1は、まだ軌道よりも低い高高度の飛行を目指している段階で、実際に宇宙に到達するのは次回以降のバージョンとされている。科学ニュースサイトArs Technica(アーズ・テクニカ)のEric Berger(エリック・バーガー)氏によれば、宇宙に行くのはSN3、SN4、またはSN5だとマスク氏は示唆しているという。

バーガー氏はまた、SpaceXは、軌道に乗せるStarshipの試作機の打ち上げには、3つあるオプションのうちの1つを考えていると伝えている。それは、同社のRaptorエンジンを6基使うというものだ。また打ち上げ場所は、Starshipが建造されているテキサス州ボカチカ(これが最も有力)、SpaceXがFalconロケットのための発射施設を所有しているフロリダ、第三の選択肢として、洋上の浮体式発射台のいずれかになる。

2020年内に軌道に乗せるつもりならば、SpaceXは試作機の建造、テスト、飛行のサイクルを早める必要がある。そのため同社は、生産をスピードアップするための増員も行っている。2020年の初め、マスク氏は製造シフトを増やして24時間体制を敷くための人材募集の呼びかけを行った。2月初めには、同社のテキサス州の施設にて就職希望者の面接会を開いている。

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(翻訳:金井哲夫)

SpaceXがStarship次期プロトタイプ開発へ前進、燃料タンクが故障するまでのストレステストを完了

SpaceX(スペースX)は、Starshipの次期プロトタイプの開発に必要な重要なテストを完了した。米国テキサス州ボカ・チカにあるStarshipの開発施設で、燃料タンクが故障するまでのストレステストを実施したのだ。この試験は、同じタンクによる低圧力試験の直後に行われ、その結果破裂した溶接部が修正され、米国時間1月28日夕方の試験へとつながった。

同社はテキサス州にある同社の施設で、Starship宇宙船の第3プロトタイプの製造に取り組んでいる。同社でCEOを務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、「SN1」 と呼ばれるプロトタイプのStarshipは、現在の開発スケジュールによれば6月ごろに完成し、テストの準備が整うだろうと語っている。

同社が1月29日に完了したテストは、圧力タンクがどれくらいの圧力に耐えられるかを確認するためのものだ。マスク氏はTwitterにて、破裂前には最大圧力8.5バールを達成したと伝えた。これは、宇宙船の軌道飛行試験に必要な6バールの圧力定格を十分に超えているだけでなく、有人宇宙船に必要な8.5バールという数値に到達してる。

機体が損傷するまでのテストは、新しい宇宙船の開発にとって重要な要素だ。なぜなら、シミュレーションや理論だけでなく、実際の使用シナリオで必要となる宇宙船の現実的な限界が設定できるからだ。同社はタンクの圧力レベルを室温と超低温(宇宙空間で想定されるのに近い寒さ)の両方でテストし、マスク氏は超低温下にてスチール製のStarship機体の強度が高まると指摘している。

Starshipは外装にステンレス鋼が採用されており、マスク氏によるとこれはコストを削減すると同時に、優れた耐久性と再使用性を提供する。同社はStarshipでFalconシリーズのロケットを完全に置き換え、完全に再利用可能な宇宙船を提供する予定だ。これは大型のペイロード(あるいは火星行き)のためのSuper Heavyブースターと組み合わせることで、非常に大きな貨物を運ぶことや、あるいは異なる顧客からの小型のペイロードで構成される相乗りミッションも可能となる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

イーロン・マスクがスペースXで開発する宇宙船の詳細を発表、耐用年数は民間航空機並み

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は現在、Starshipにかなり熱を上げているようだ。テキサス州ボカチカにあるSpaceXの施設で現在開発中の軌道打ち上げを目指す宇宙船、Starshipのプロトタイプ「SN1」の進捗状況がわかる写真を公開している。米国時間1月16日の夜には、マスク氏はTwitterにおける一連の質問に対してStarshipの詳細と火星にコロニーを建設するというマスク氏の目標を達成するために、Starshipが担う役割について語った。

マスク氏は以前にもその一部について発言しているが、人類が火星での居住を確立し維持するために、Starshipが年間何メガトンもの積み荷を何度も火星へと送り届ける必要があると繰り返した。同氏によると、Starshipは平均して1日に3回の打ち上げられ、1回の飛行で100トン以上の積み荷を運ぶ。そして1機あたり年間1000回以上打ち上げられる計画だという。

最終的には年間100機のStarshipsを建造し、今後10年間で合計1000機のStarshipsを製造したいとマスク氏は言う。これによりStarshipsは年間100メガトンもの積み荷の運搬が可能になり、乗客なら約10万人を地球と火星が最も近づいた際に送ることができる。公転の関係で地球と火星は約2年に1度、最接近する。

マスク氏は別の質問に対して、実現にはStarshipを地球上空の軌道に乗せ、出発する前に宇宙空間で燃料を補給する必要があると答えている。そして26カ月に1度、約1000機の宇宙船が30日間の火星への輸送を行う。地球から火星に行くには、地球大気圏から脱出するために軌道上での燃料補給が必要となるが、火星からの打ち上げは同様ではないと、マスク氏は指摘する。

別のツイートへのマスク氏の返答によれば、SpaceXの最終的な目標は2050年までに100万人を火星に送ることだという。さらにその費用を十分に下げることで、「お金がなくてもローンで、誰でも行くことができる」ようにするという。またマスク氏は、将来の入植者には「火星ではたくさんの仕事があるだろう」と述べた。

マスク氏がSpaceX事業のあらゆる段階で強調してきたように、Starshipはシステムの再利用性が重要となる。宇宙船の耐用年数は20年〜30年程度を目標としており、これは現在の民間航空機と同様だと同氏は述べた。同社が上記の計画を経済的に実現可能にするためには、これに近い必要なやり方で行う必要がある。

現在、テキサスの施設で新しいStarshipのプロトタイプが開発中だ。SpaceXはすでに、Starship向けの新エンジンをテストするために、ノーズコーンのないサブスケールのデモモデルを開発しており、制御状態での低高度飛行に成功している。当初、同社は高高度におけるテスト飛行に使用する大型のプロトタイプを製作したが、初期の圧力テストに失敗。現在は設計を刷新し、改良された第3バージョンに移行しており、2020年の軌道飛行テストに使用される予定だ。

 

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

イーロン・マスクがStarshipの建造と飛行時期に関する詳細を明かす

SpaceX(スペースX)のCEOことElon Musk(イーロン・マスク)氏によると、ホリデーシーズンはテクノロジー業界の多くの企業にとって活動が停滞する時期かもしれないが、同社にとっては最新のStarshipプロトタイプ「Starship SN1」の生産性を強化する時期だったという。飛行可能なStarshipのプロトタイプはテキサス州ボカ・チカにあるSpaceXの開発施設で建設中で、マスク氏は先週末にその製造と組み立てを監督していた。

マスク氏はStarshipの主要部品の中でも「最も難易度が高い」と呼ぶ、完成したStarship SN1(Serial Number 1の略で、オリジナルのプロトタイプに使われていた「Mark」という命名法から離れ、より反復的な命名法に)の上部に位置する湾曲したドームの製作に取り組んでいる、SpaceXチームのビデオを共有した。彼はStarshipのSNは少なくとも20バージョンまで小さな改良が加えられると付け加えており、これはすなわち急ピッチでテストが行われることを意味する。

マスク氏はいつStarshipが実際に打ち上げられるのかについて「2〜3カ月後」と述べており、これは今年にプロトタイプのStarship Mk1が公開された時の、高高度テスト飛行のスケジュールと合致する。このプロトタイプは当初、高高度テスト用に飛行するものと位置づけられていたが、11月のテストでドーム部分が吹き飛ばされて以来、同氏はMk1の修理や再構築を試みるのではなく、新しい設計に移行すると述べている。

マスク氏はまた、Starshipの建設プロセスについての新しい詳細を共有し、2020年1月にSpaceXは将来の宇宙船ことStarship SN2の建設プロセスを、閉鎖された建物内に移行する予定だという。これは主に、ボカ・チカで経験した風の影響を遮断するためではあるが、ステンレス鋼(Starshipの胴体の主要材料)の溶接はアルミニウムよりも、塵や破片に対する危険性がずっと低いとも同氏は述べている。

マスク氏は別のツイートにて、宇宙船開発におけるSpaceXの以前の運用モデルからのもう一つの変更を詳述している。Starshipの開発は現在ボカ・チカに集中しており、一方でケープカナベラルのチームは「Falcon/Dragonに焦点を当てている」という。今まで、SpaceXは両方の拠点で2つのチームが並行してStarshipのプロトタイプ開発に取り組んできた。なお同氏は、ケープカナベラルで現在開発中のもう1つの初期プロトタイプことStarship Mk2の今後の詳細を明らかにしなかった。

そのほか、同氏が所有する採掘会社で2020年にラスベガス地下のトンネルを車両に開放する見通しであるThe Boring Co.(ボーリング・カンパニー)や、2020年または2021年にカリブ海地域の顧客にサービスが提供される可能性があるStarlink(スターリンク)、チョコレートチップマフィン(チワワのネットミーム)に関する最新情報も共有した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

テスラのCybertruckはSpaceXのスターシップと同じステンレス鋼を使用

米国時間11月21日、Tesla(テスラ)のCEOを務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、注目の電動ピックアップ「Cybertruck」を米国ロサンゼルスで発表した。その人目を引くユニークなデザインで新型車は多くの注目を集めた。またその姿はトラックというより宇宙探査用のローバー(惑星探査機)を思わせる。そしてこの場合そのアナロジーがとりわけ的を射ている。なぜならこのCybertruckは、マスク氏が所有する別会社のSpaceXが、来るべき宇宙船Starshipの外壁に使用するのと同じステンレス鋼を身にまとっているからだ。

「この車は、文字どおりの防弾で9 mmの弾丸にも耐えられる」とマスク氏はお披露目の壇上で語った。「このボディはそれほど強力で硬く、我々が開発した冷間圧延ステンレス鋼で作られている。同じ合金を宇宙船のStarshipとこのCybertruckで使っている」。

以前マスク氏は、フルサイズの宇宙船「Starship Mk1」のプロトタイプを発表したイベントで、外壁にはステンレス鋼を使用し、その半分を大気圏再突入の高熱に耐えるためにガラスでさらに覆うつもりであることを明かした(Starshipは地球着陸の前に大気圏に「腹打ち飛込み」のように突入する)。Starshipが乗って打ち上げられる予定のスーパーヘビーロケットは、外壁をすべてステンレス鋼で覆われている。材料選びの理由はコストと有効性の両面からであり、実際にステンレスは高熱に耐えロケットを守ることに関して高い効果を示している。

テスラとSpaceXで同じステンレス鋼を使うことでコスト削減効果が得られることは明らかであり、Cybertruckが大量生産されるとなればなおさらだ。賛否あるデザインから考えるとありそうにないが、もしテスラが先日発表した価格を維持できるのであれば、経済性を買われて売れる可能性はある。CybertruckがSpaceXの仕事に恩恵を与える可能性はほかにもある。マスク氏はイベント前にTwitterで、火星には陸上輸送も必要だと言っていた。

そう、マスク氏はツイートで「加圧型」のCybertruckは「公式火星トラック」になると言った。例によって、マスク氏のツイートでジョークと実際の計画とを正確に区別することは困難だが、私は本件に関しては文字どおりの意味だと思っている。少なくともこの段階では。

宇宙飛行士用のCybertruck火星探査機は、理屈の上でTeslaとSpaceXの両方に益をもたらす。技術開発と製造の効率が上がるだけでなく、ステンレス鋼の例が示すように、宇宙向けにデザインすることに大きな利益の一つが、出来上がったテクノロジーを地球にも応用できる場合が多いことだからだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスト中に爆発したSpaceXのStarship Mk1は次世代機へのステップになるか

SpaceXのStarshipのプロトタイプMk1は、米国時間11月20日、テキサスでの初期テスト中に爆発をともなう失敗に見舞われた。動画を見れば実際に何が起こったかを確認できるだろう。基本的には極低温テスト中に蓋が吹き飛んだというもの。これは機体が実際の使用環境で遭遇するような極低温に耐えられるかを確認するための標準的なテストだ。SpaceXに限らず、ロケットを製造する場合には、このような初期段階でのテストを地上で、制御された比較的安全な条件で行うのが普通だ。その理由は、まさにこういうことが起こりうるからだ。そうは言っても、これがSpaceXの楽観的なスケジュールを遅らせる可能性があることは否定できない。

計画の次のステップとしては、SpaceXがStarship Mk1から学んだことを糧として、次の世代のプロトタイプ宇宙船、Starship Mk3に進むことだと考えられる。「ちょっと待って、Mk2を飛ばしてない?」と思うかもしれない。そんなことはない。SpaceXは、フロリダの別の施設で今回破壊されたMk1と並行して、すでにMk2を製造中なのだ。

SpaceXのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、YouTuber(ユーチューバー)のEveryday Astronaut(エブリデイ・アストロノート)氏が、Starshipのテストの次のステップに関してTwitterで質問したのに対し、SpaceXはMk3に向けて前進する、Mk1の価値は主に「製造上の先駆者」となることだったとし、「実際に飛ばす機体の設計はまったく異なる」とすぐに答えている

これはこれまでとは異なった見解であり、今まで議論されてきたStarshipの開発に関する話とは違っている。これまでの話では、Startship Mk1と同Mk2は、高高度テスト飛行用の機体として設計されたものであり、先の尖っていないスケールダウンされたデモ機「Starhopper」(スターホッパー)の成功に続くべきものだった。Starhopperは、1基のRaptor(ラプター)エンジンを搭載したもので、SpaceXのテキサスのサイトで、何回か低高度の上昇と着地を繰り返した。

ただし宇宙開発事業は、特に打ち上げについてはスケジュールが流動的なものになりがちだ。またSpaceXは、その野心的な目標のほとんどについて非常に楽観的なスケジュールを設定している。それについては、マスク氏と、SpaceXの社長兼COOであるGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏が公言してはばからない。それでも同社は、来年早々にもStarshipのプロトタイプによって軌道飛行を実現することを目指していると述べていた。この不都合なテスト結果が、そのスケジュールに影響するかどうかは、これからじっくりと見定める必要があるだろう。

SpaceXは、本日のテストに関して次のような声明を発表した。

今日のテストの目的は、システムを最大限に加圧することだったため、このような結果をまったく予期していなかったわけではありません。負傷者はいませんでした。また、これは深刻な後退につながるものでもありません。

イーロン(Elon)がツイートした通り、Mk1は製造のための貴重な先駆者として機能しましたが、実際に飛ばす機体の設計はまったく異なるものになります。同じ設計のテスト機は飛ばさないという決定はすでになされており、チームはすでに軌道周回用に設計したMk3の製造に集中しています。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

SpaceXは2022年までに月面にStarshipを着陸させ、2024年までに月面着陸に備える予定

毎年恒例の国際宇宙会議(IAC、International Astronautical Congress)で行われた、SpaceXに対する一連の簡単なインタビューの中で、SpaceXの社長でCOOのGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏は、まもなく登場するStarship宇宙船のミッションスケジュールに関する同社の現在の考えについて少しばかり明らかにした。Starshipは現在、SpaceXの南テキサスとフロリダの施設で並行して開発されているが、これらはFalcon 9とFalcon Heavyの後継者であると同時に置き換えを意図した多目的ロケットである、搭載重量はより多く月や最終的には火星に到達する能力を有する。

「私たちはStarshipを1年以内に軌道に乗せたいと熱望しています」と、ショットウェル氏は語る。「そして必ず2022年以前に月に着陸したいと考えています。そしてうまくいったなら2024年までに月面着陸する人たちのために必要な資源の運搬を始めたいと考えています。とても野心的なタイムフレームですね」。

まさにそれは大胆なタイムラインであり、ショットウェル氏自身が繰り返し述べているように、「野心的な」タイムラインだ。テック産業同様に、宇宙産業では、プロジェクトで作業しているチームに実際の能力の限界を発揮させるように、積極的なスケジュールを設定することは珍しくない。SpaceXのCEOであるイーロン・マスク氏も、しばしば現実と一致しないタイムラインに取り組むことで知られており、ショットウェル氏はIACでのステージ上のインタビューの別の部分で、マスク氏の野心的な目標設定をいいものだとほのめかした。

SpaceX President and COO Gwynne Shotwell at IAC 2019

SpaceXの社長兼COOであるグウィン・ショットウェル氏。ワシントンDCのIAC 2019にて

「イーロンがこうした信じられないほど大胆な目標を出すと、世間は『そんなことはできっこない、軌道なんかには行けない、軌道に到達できるロケットなんか作れっこない、Heavyが軌道に乗ることなんてない、Dragonがステーションに到達することはない、Dragonが帰還できるはずがない、そしてロケットを再着陸させることなんて不可能だ』と言うのです」と彼女は言った。「だから、率直に言って、私は世間が『できっこない』と言うのを聞くのが大好きです。それは、私の素晴らしい6500人の従業員たちを鼓舞して、そのことをやり遂げる気にさせるからです」。

SpaceXは以前、1年以内という短期間のうちにStarshipによる最初の軌道試験飛行を開始するという目標について公表していた。これまでのところ同社は「Starhopper」という名のデモンストレーション用宇宙船を建造しテストした。これは、宇宙船のベース部に新しいStarship打ち上げシステムとSuper Heavyに使用するRaptorエンジンの1つを組み合わせて構成したものだ。

その機体を使った低空飛行を成功させた後、SpaceXはStarshipテスト機のMk1ならびにMk2の組み立てを始めた。これは、最終的な軌道宇宙船のフルスケール品と同等のもので、それぞれボカチカ(南テキサス)とケープカナベラル(フロリダ)のチームによって建造されている。これらは、SpaceXが軌道用、そして最終的には人間のテスト飛行のために追加のプロトタイプを構築する前に高高度試験を実施する予定だ。

SpaceXはすでに、NASAと連携しているIntuitive Machinesやispaceと契約を結んでいる。両社は2024年のArtemisプログラムによる月面着陸に先行して、月に貨物を運ぶ役割を担っている。とはいえ、これらの貨物輸送ミッションはすべて輸送にFalcon 9を使うことが指定されている。

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(翻訳:sako)

イーロン・マスクがSpaceXのスターシップ宇宙船の最新情報をライブ公開

SpaceX(スペースX)でCEOを務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、自社の宇宙船ことStarship(スターシップ)の最新状況を発表する。マスク氏は米国時間9月28日の午後7時、南テキサスのBoca Chica(ボカチカ)にある同社のロケット組み立て施設から、「Starshipのデザイン・開発」に関する新しい情報を提供する。

今回のアップデートの背景には、Starship Mk1のプロトタイプ機がありそうだ。最初のStarhopper(スターホッパー)は、短時間の低空飛行を2回達成した。これは、プロトタイプ機のMk1による、より長時間の高高度サブオービタル飛行試験のための重要なステップである。StarhopperはRaptorのエンジンを1基しか搭載しなかったが、Mk1はRaptorのエンジンをまず3基(最終的には6基)搭載する。

これまでのSpaceXのプレゼンテーションによると、同社はStarshipと開発をすすめるブースターのSuper Heavyにより、貨物や乗組員を月や火星などに運ぶ、完全に再使用可能な輸送手段を実現することを目指している。CDT(米国中部標準時夏時間)の9月28日午後7時、JST(日本標準時)の9月29日午前9時から、この長期的な目標に向かうための次のステップが発表されるはずだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

SpaceXの軌道宇宙船Starshipのプロトタイプがお披露目イベントに備えて合体

SpaceXは、Starship軌道スケール宇宙船のプロトタイプの下半分と上半分の合体作業を完了した。テキサス州ボカチカで製造中のものだ。この銀色に光り輝く宇宙船は「Mk 1」プロトタイプで、高高度テストに使用する。最終的に量産バージョンも駆動することになる、3つのRaptorエンジンがテストに使われる。米国時間9月27日、底部と上部が結合された。翌9月28日には、 SpaceX CEO、イーロン・マスク(Elon Musk)氏が、Starshipプログラムの現在までの進捗状況と、次のステップについて説明することになっている。

このプロトタイプは、すでに宇宙船のコンセプトモデルのCGとして発表されたものとは、微妙に異なった設計となっている。宇宙船の底部に2枚、頭部近くにも2枚のフィンが付けられているのだ。これらのフィンは、飛行中の操縦を容易にするためのもの。特に、ミッションを終えて、地球に戻る際の降下中の制御に有効だ。Starshipは、完全にリユース可能な宇宙船となることを意図している。この再利用可能性は、貨物を宇宙に送り出すためのSuper Heavy(スーパーヘビー)ブースターの再利用可能性と並んで、SpaceXの目標にとって非常に重要な要素だ。その目標とは、最終的に人類を複数の惑星に移住させること。さしあたって、これも十分野心的な短期的目標としては、人間を火星に定住させるというものがある。

マスク氏は、Starshiop Mk1プロトタイプに装着される、3つのRaptorエンジンの写真も公開した。Starshipが最初に飛行した際のプロトタイプは、デモとテストのためのスケールダウンした機体で、「Starhopper(スターホッパー)」というコードネームが付けられていた。Raptorエンジンは1機だけを装備し、予定通り約500フィート(152.4m)の高度に達した。今回のMk1のテストでは、高度6万3000フィート(約19.2km)まで到達することを目指している。これはマスク氏が、今年中に達成するとしていた目標だ。

米国時間9月28日には、Starshipプログラムの今後の予定についても、詳しいことが分かるはず。TechCrunchでは、テキサス州からライブでアップデートする予定だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

SpaceXがStarship計画の進捗を土曜日に報告 新たな写真も公開

SpaceX(スペースX)のCEOことElon Musk(イーロン・マスク)氏は先週末にテキサス州のBoca Chica(ボカチカ)を訪れ、同社のStarshipのプロトタイプ機の重要な建造工程を視察した。マスク氏はStarshipの最新情報を発表する予定で、これまでの進捗状況をまとめ、次世代宇宙船とローンチシステムの将来に関する同社の計画の詳細なロードマップを提供するだろう。

マスク氏は現在建造中のプロトタイプ機の写真を公開し、Mk 1にはまだ搭載されていない宇宙船上半分のフィンと連動し、大気圏再突入と着陸の際の安定性を向上させるロケット下半分のリアの可動フィンが取り付けられると述べた。

プロトタイプ機のMk1は、新しいRaptorエンジンの1つをテストし、低高度飛行や制御、着陸能力を実証するという目標を最初に達成したプロトタイプ機のStarhopperに連なる、軌道到達可能な宇宙船の最終形態を表す最初の機体だ。Starhopperは2カ月以内に実施された大小2回の「ホップ」テスト飛行を行った後に引退している。SpaceXは、Boca Chicaとフロリダのもう1つの施設で開発中のMk1とMk2を使用し、複数のRaptorエンジンによるより高い高度とより長い期間の飛行をテストする。

マスク氏によると、Mk1にはすでに3基のRaptorエンジンが搭載されており、最初のテスト打ち上げのための通信設備に関する許可を得るために必要な書類を、FCC(連邦通信委員会)に提出したという。米国時間の9月21日にはさらに具体的な情報が出てくるはずだ。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

SpaceXのStarship宇宙船プロトタイプの製造進捗が明らかに

SpaceX(スペースX)は同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が公開した新しい写真で確認できるように、宇宙船ことStarshipのプロトタイプの製造を進めている。このフルサイズのプロトタイプ機は、Raptorエンジンによる低高度の「ホップ」飛行をテストするために使われた、縮小バージョンのStarHopperを引き継ぐものだ。

テキサス州南部とフロリダ州にあるSpace Xの施設にて、同時に建設中のStarshipのプロトタイプ機ことMk IとMk IIは、より高い高度とより高速でのテスト飛行に使用される予定で、StarHopperでは1基搭載されていたRaptorエンジンを3〜6基搭載する予定だ。

上の写真に写っているプロトタイプ機の直径9mの丸いパーツは重ねられ、またStarHopperとは違なり上部が滑らかにカーブしている。

そして完成すれば、SpaceXは12マイル(約19km)の高度に到達する最初の飛行テストを行い、その後に同等の高度でのより高速なテストを実施し、最後に最初の軌道飛行をおこなう。

最終的なStarshipでの目標は、Falcon 9やFalcon Heavy、Dragon宇宙船を完全におきかえ、軌道打ち上げだけでなく将来的には火星への宇宙飛行士や補給品の輸送といった、両方のニーズに対応することだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter