今日(米国時間3/20)、Googleは独自の総合的なニュースサービス、News Initiativeを発表した。CBO(最高ビジネス責任者)のPhillipp Schindlerによれば、「Googleのニュースに関する取り組みをジャーナリズムの世界と結びつける」努力だという。
GoogleによればNews Initiativeはクオリティー・ジャーナリズムの強化、長期にわたって維持可能なビジネスモデルの確立、最新のテクノロジーによるニュースルームのイノベーションという3つの幅広い目標を目指すという。またGoogleは向こう3年間に各種のジャーナリズム関連のプロジェクトに3億ドルを投資することを明らかにした。
ニューヨークで開かれたプレスイベントでジャーリストを含む聴衆に対し、Schindlerは「Googleのビジネスは、その本質からして、われわれの目指す使命と結び付けられている。これは大企業にありがちな修辞と聞こえるかもしれないがそうではない」と述べた。もう少し直截に表現すれば、ニュースメディアはGoogleその他のインターネット・プラットフォームを友好的な目では見ていない。その理由は、Googleなどがオンライン広告ビジネスで圧倒的な地位にあるだけでなく、あからさまなフェイクニュースを別にしても、センセーショナルで内容に疑問の多い情報の拡散に大きな役割を果たしていると考えるからだ。
しかしSchindlerによれば、Googleがクオリティー・ジャーナリズムをサポートすることには「2つの面から明確なビジネス上の動機がある」という。
「第一に、Google検索はその本質からして、開かれたウェブとその情報への開かれたアクセスをビジネスの前提とする。その情報は当然ながら高品質のものでなければならない。第二に、GoogleのDoubleClickの広告ビジネスはパブリッシャーに利益を分配するシステムであり、昨年だけでも126億ドルがパートナーのパブリッシャーに支払われている」という。
「経済的な関係ははっきりしている。ジャーナリズムが成長しなければGoogleの成長もない」と Schindlerは述べた。【略】
Google.orgのJacqueline Fullerによれば、たとえばMediaWiseプロジェクトはPoynter Institute、Stanford University、Local Media Associationと提携し、2年間に300万ドルを投じてティーンエージャーにおけるメディア・リテラシーを高めるキャンペーンを組織するという。
ビジネスモデルについては、Googleはユーザーがパートナーのニュースを簡単に有料購読できるSubscribe with Google〔アメリカではUSA Today、New York Times、Washington Postなど、日本では毎日新聞が参加〕というサービスを開始する。ユーザーはGoogleアカウントさえ持っていれば、ワンクリックでニュースを購読できる。以後そのサイトではログインや支払処理など煩わしい手間は一切発生しない。
GoogleはまたGoogle Analyticsに新たにNews Consumer Insightsと呼ばれるダッシュボードを作成し、パブリッシャーが購読者の実態を分析し、売上を伸ばすことに役立てられるようにする。
テクノロジー面ではAMP(Accelerated Mobile Pages)フォーマットの利用によりモバイルデバイスへの記事のロードが高速化される。新しいAMPフォーマットは従来のテキストから画像、ビデオ、アニメーションを多く含むページに拡大されている。また各ニュースメディアのジャーリストリスト向けにOutlineという独自のVPNを提供し、安全なインターネット接続を可能にする。【略】
アップデート:: プレスイベントの最後で行われたQ&AセッションでSchindlerは「News InitiativeはGoogleのニュースに対する取り組みの方向を変更するものではなく、これまで各種の活動を行ってきたニュース関連プロジェクトにより多くのリソースを割り当て、活動を支援することが目的だ。プロジェクトは最終的に[CEOのスンダル・ピチャイ]自身が指揮する。彼はこのことについて深い関心を寄せきた」と述べた。
SchindlerはまたGoogleは各種のパブリッシャーと協力して3億ドルの資金の使途を決定すると述べた。ただしこの新たなイニシアチブはビジネスモデルとしてもテクノロジーとしてもまずGoogleを益すると付け加えた。
Googleのニュース事業のバイスプレジデント、Richard GingrasはSubscribe with Googleというサブスクリプション(有料購読)モデルについてもう少し補足した。それによれば、パブリッシャーは購読者とメールを通じて独自に会話を行うことができるという。
Googleとパブリッシャーの間で購読料がどのような割合で分配されるのかについてGingrasは明確にするのを避けたが、「〔パブリッシャーにとって〕きわめて有利な条件だ」と述べた。Googleは処理のコストをカバーする最小限のみ受け取るという。「われわれの目標はこれによって利益を上げることではない」という。
Gingrasによれば、Googleは将来各種のプロダクトにサブスクリプション・モデルを拡大していくという。
「このNews Iisitativeは将来のGoogleのサブスクリプション・モデルの基礎となる。サブスクリプションに各種のプロダクトをバンドルしていくのはきわめて合理的なビジネスモデルだ」とGingrasは述べた。
〔日本版〕Google News Labのページが日本語でニュースイニシアチブについて説明し、報道機関からの問い合わせを受け付けている。GOOGLE NEWS INITIATIVEには毎日新聞を含め世界の主要なニュース・パートナーを示した地図が掲載されている。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)