IBMが世界中のスーパーコンピュータのボランティアネットワークにより人体のマイクロバイオームと免疫疾患の関係を解明へ

体内の細菌が人間の健康に及ぼす影響は、まだその全貌と詳細が解明されていない。IBMは、World Community Gridと名付けたクラウドソースなスーパーコンピューター群の“コミュニティ”を利用して、人体のマイクロバイオームと、それが自己免疫疾患にもたらす役割に、光を当てようとしている。

このプロジェクトでIBMがパートナーしたのは、ハーバード大学のBroad Institute, MIT, Massachusetts General Hospital(マサチューセッツ総合病院), カリフォルニア大学サンディエゴ校, そしてSimons FoundationのFlatiron Instituteだ。プログラミング学校も開設しているFlatiron Instituteは、人間の腸内のバクテリアの300万種の遺伝子の、染色体上の位置を解明しようとしている。

この研究は、これらのバクテリアが1型糖尿病や橋本病、クローン病、潰瘍性大腸炎などの疾患にどのように寄与貢献しているのかを、科学者たちが知る手助けになることを目指している。

腸の健康問題に取り組もうとしているのは、もちろんIBMだけではない。むしろそれは今、テクノロジー企業のあいだで流行になってるようだ。4月には、Alphabetのライフサイエンス部門Verilyが、10000名の協力者から得た腸とDNAのサンプルにより、マイクロバイオームに関する情報を集めるプロジェクトをローンチした。テクノロジー世界の億万長者Naveen Jainは、2016年に創ったViomeで、同様の研究を開始した。過去2年間で、このテーマでVCの資金を獲得したスタートアップが数社ある

IBMの研究は、上述の大学等の科学者を起用するだけでなく、世界中のボランティアが提供する膨大なコンピューティングパワーによってデータを分析し、それらの分析結果と所見を一般に公開する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

日本が世界最速のスーパーコンピューターを開発してディープラーニングの研究開発に拍車

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日本は再び、スーパーコンピューターで世界のトップになりたいらしい。Reutersの報道によると、同国の経済産業省の予算要求の中には、195億円(1億7300万ドル)の新しいスーパーコンピューターの開発がある。その狙う性能は、130ペタフロップスである。

この数字は、中国がこの夏発表したスーパーコンピューターSunway Taihulightの93ペタフロップスを上回り、これを使用するAI Bridging Cloudインフラストラクチャは世界最速のスーパーコンピューターサイトになる。経産省の計画では、この超高速を利用して、ディープラーニングのようなAI技術の進歩を達成したい、としている。

その毎秒130千兆の計算能力はどんなマルチタスクでもへいちゃらだろうから、AIのほかにも、自動運転車の開発、医療、ロボットなどが予定タスクのリストに並んでいる。Reutersの記事によると、このスーパーコンピューターは日本の企業に有料でライセンスされる。

現在の初期的段階で経産省はこのコンピューターについて多くを語らないが、それが作られる場所になると思われる産業技術総合研究所のある幹部は、“われわれの知るかぎり、これだけ高速なコンピューターはほかにない”、と語っている。今月初めには富士通のOakforest-PACSが、その13.6ペタフロップスの性能で、日本の最速のコンピューターと認定された。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Crayの新スパコン、XC50はシングル・キャビネット・タイプで1ペタフロップスを達成

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Crayは新しいスーパーコンピューター、XC50を発表した。これはXC40の後継モデルで、同社のシングルキャビネットタイプとして初めてピーク速度1pflops(ペタフロップス)を達成したという。XC50はNVDIA Tesla P100 GPUアクセラレータ、次世代のIntel XeonとXeon Phiをサポートする。想定使用目的にはディープラーニング・アルゴリズムの処理などが含まれる。Crayではこうした目的でのニーズが高まったことが同社のシステムでGPUの活用に力を入れるようになった原因だとしている。

ペタフロップス・スケールのコンピューティングは天気予報、システム・シミュレーション、量子論を応用した化学、生理的レベルでの頭脳活動のシミュレーションなど最新かつもっとも処理能力を必要とするを計算処理を助ける。Crayのプレスリリースによれば、スーパーコンピューターは人工知能、ディープラーニング・アプリケーションの分野でますます広く利用されるようになっているという。AIや機械学習は単なる研究プロジェクトを超えて次世代のコンシューマ向けサービスの中心になっていきそうだ。

XC50が最初に設置されるのはスイス国立スーパーコンピューティングセンター(CSCS)で、Piz Daintのニックネームを持つ現行のXC30のアップグレードとなる。同センターにはPiz Doraと呼ばれるXC40が稼働しており、XC50はこれと連動して新しいXC50システムが構築される。総合的なスピードで世界最速のコンピュータの一つとなるという。

一方、Crayはアメリカのエネルギー省アルゴンヌ国立研究所とアルゴンヌ・リーダーシップ・コンピューティング施設でコードネームThetaと呼ばれる新しいSC40スーパーコンピューターを開発中だ。ストレンジャー・シングの研究を始めるのだろうか?

〔日本版〕 Pizはスイス南東部で話されるロマンシュ語で「山、峰」の意味。なお原文のArgonne National LibraryはArgonne National Laboratoryのこととみて翻訳。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+