賞金100万円だけじゃない! TechCrunchスタートアップバトル出場のススメ

メディアはiPhone 6一色だけど、スタートアップのみなさん、忘れていませんか? 我々が11月18日、19日に東京・渋谷で開催する「TechCrunch Tokyo 2014」の目玉企画として、「スタートアップバトル」(以下、バトル)を実施することを。バトルは、スタートアップがステージ上でプロダクトを競い合い、優勝チームには賞金100万円を贈呈する。でも、それ以外にも参加するメリットがあるのでお伝えしたい。

ここ数年、スタートアップにスポットを当てるイベントが増えてきているのは、TechCrunch読者であればご存じのことと思う。例えば、IVPの「Infinity Ventures Summit」やB Dash Venturesの「B Dash Camp」、サイバーエージェント・ベンチャーズの「RISING EXPO」などが有名だ。

そして、こうしたVCが運営するイベントとTechCrunch Tokyoの大きな違いの1つは、来場者にあると思っている。

先に挙げたイベントの来場者は、VCや投資家、スタートアップの経営者層が中心。一方、TechCrunch Tokyoはこうした来場者に加えて、スタートアップの業界動向にアンテナを張っている企業の新規事業担当者や、読者、つまり一般ユーザーの注目が高いと自負している。

バトルに参加するスタートアップは、本戦に進出すればTechCrunchで取り上げることもあり、プロダクトのユーザー獲得にも一役買えるはずだ。さらに言えば、本家TechCrunchの編集者が審査員として米国からやってくる予定なので、全米にアピールするチャンスがあるかもしれない。

参加要項は以下の通りなので、条件に当てはまるスタートアップは是非、応募ページから申し込んでほしい。

応募資格

  • 未ローンチまたは2014年1月以降にローンチしたデモが可能なプロダクト(サービス)を持つスタートアップ企業(未公開プロダクトを歓迎します)
  • 創業年数3年未満(2011年11月以降に創業)で上場企業の子会社でないこと。なお、このイベント以前に開催された他のイベントで受賞をしていないプロダクトを優先します。

応募受付期間

2014年10月3日(金)23時59分まで

審査について

  • 審査基準: 企業とプロダクトを対象にし、そのプロダクトの市場性やビジネスの成長性、またビジョンを実現していけるチームであるかを基準とします。
  • 事前審査:一次審査は書類審査とし、その後一部評価に必要な情報が足りない場合はインタビューやデモを見せていただく場合があります。選考を通った応募企業には運営事務局から10月10日までに審査結果を通知します。
  • 決勝戦: TechCrunch Tokyo 2014の2日目に行います。TechCrunch Japanが選んだ審査員によって最優秀企業を選出します。

一次審査員(書類審査)

  • 今野穣氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー / Chief Operating Officer)
  • 和田圭佑氏(インキュベイトファンド 代表パートナー)
  • 木村新司氏(個人投資家)
  • 有安伸宏氏(コーチ・ユナイテッド 代表取締役社長)
  • 西田隆一氏(B Dash Ventures シニア・インベストメントマネージャー)
  • 西村賢(TechCrunch Japan編集長)

スタートアップバトルの応募ページはこちら

残念ながら条件に当てはまらなかったスタートアップについては、格安料金で出展できるデモブースを会場に設けるので、そちらで大いにプロダクトを来場者にアピールしていただきたい。

スタートアップデモブースの申し込みはこちら


優勝賞金は100万円–TechCrunch Tokyo 2014スタートアップバトル参加者の募集開始

先日も告知したとおり、TechCrunch Japanは11月18〜19日にかけて、東京・渋谷の渋谷ヒカリエで「TechCrunch Tokyo 2014」を開催する予定だ。イベントページでは今後プログラムやチケットに関する情報を更新予定なので随時チェックして欲しい。

イベントの中では、例年の目玉企画の1つとなっている「スタートアップバトル」も、もちろん開催する予定だ。スタートアップがプロダクトについてのプレゼンテーションで競うこの企画だが、優勝チームには賞金100万円を贈呈する予定だ。

応募の締め切りは10月3日の金曜日まで。スタートアップ関係の方は、是非応募フォームから申し込み頂ければと思う。

TechCrunch Tokyo 2014スタートアップバトルの申し込みはこちらから→

 

今年も米国のTechCrunchからスタッフが来日するほか、起業家や投資家を中心にした審査員がプレゼンの審査に参加する予定だ。優勝チームはもちろんのこと、参加者は米国のTechCrunchでも取り上げられる可能性も高いチャンスとなる。世界デビューを目論むスタートアップの方は、ぜひご応募頂ければと思う。

応募資格

  • 未ローンチまたは2014年1月以降にローンチしたデモが可能なプロダクト(サービス)を持つスタートアップ企業(未公開プロダクトを歓迎します)
  • 創業年数3年未満(2011年11月以降に創業)で上場企業の子会社でないこと。なお、このイベント以前に開催された他のイベントで受賞をしていないプロダクトを優先します。

応募受付期間

2014年7月17日(水)〜 2014年10月3日(金)23時59分

審査について

  • 審査基準: 企業とプロダクトを対象にし、そのプロダクトの市場性やビジネスの成長性、またビジョンを実現していけるチームであるかを基準とします。
  • 事前審査:一次審査は書類審査とし、その後一部評価に必要な情報が足りない場合はインタビューやデモを見せていただく場合があります。選考を通った応募企業には運営事務局から10月10日までに審査結果を通知します。
  • 決勝戦: TechCrunch Tokyo 2014の2日目に行います。TechCrunch Japanが選んだ審査員によって最優秀企業を選出します。

一次審査員(書類審査)

  • 今野穣氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー / Chief Operating Officer)
  • 和田圭佑氏(インキュベイトファンド 代表パートナー)
  • 木村新司(個人投資家 / Gunosy代表取締役)
  • 有安伸宏氏(コーチ・ユナイテッド 代表取締役社長)
  • 西田隆一氏(B Dash Ventures シニア・インベストメントマネージャー)
  • 西村賢(TechCrunch Japan編集長)

TechCrunch Tokyo 2014スタートアップバトルの申し込みはこちらから→

なお、イベントではスタートアップ用のデモブースも設ける予定だ。応募条件を満たしていないスタートアップであっても、そちらで大いにプロダクトを紹介してほしい。詳細は随時発表していく。


TechCrunch Tokyo 2013初開催のハッカソンに潜入してきた

編集部:先日の「TechCrunch Tokyo 2013」では、初の試みとしてハッカソンを開催した。そこで我々は、ハッカソンに設けたトークコーナーに登壇いただき、なおかつ2日間にわたって会場でハッカーと交流していたAppSocially社のiOSエンジニアである堤修一氏にイベントの模様を寄稿してもらった。

11月11日(月)・12日(火)の2日間にわたり『TechCrunch Tokyo ハッカソン』が開催された。TechCrunch Tokyo 2013の併催としてのハッカソンは今年初の試みであり、平日、それも2日間という長時間のイベントにもかかわらず、チケットは前日までに完売して満員御礼での開催となったという。

今回のテーマは、下記のAPIのいずれかひとつを使ってサービスを開発すること。2日目に1チームあたり3分間でプレゼンテーションをおこない、アウトプットには必ずデモを含める必要がある、というルールだ。

・Gracenote:音楽認識WebAPI
・トヨタ:IT開発センター車載API
・KDDIウェブコミュニケーションズ:TwilioAPI
・PUX(Panasonic 任天堂JV):顔認識API等
・ドコモ:知識Q&A API等

チームビルディングの様子

チーム参戦でなく1人で参加した人のために設けたチームビルディングの時間は、少しユニークな方法をとっていた。各テーブルにはスケッチブックが置いてあり、各々が自分の得意分野(プログラマー、デザイナー等)と、やりたいこと等を紙に書いていく。そして、全員を2組にわけて自己紹介した上で、声をかけあってチームをつくる、という方式だ。ちなみに全部で16組のチームが結成された。

その後のアイデア宣言では、チーム名しか決まっていないチームもあれば、つくりたいものがはっきりしているチームもあったが、とにかくどのアイデア宣言もユニークで一癖あり、会場は非常に盛り上がった。

アイデア宣言の様子

続いてハッキングという段になると、話し合いながらアイデアを練り上げるチーム、早々にコードを書き始めるチーム、API提供企業のブースで技術調査をおこなうチーム等、それぞれのやり方で2日間にわたるハッキングをスタートした。

2日目は、午前10時よりハッキングスタート。それぞれ家やオフィスで遅くまで作業していたのか、眠そうな姿が目立つ中、主催側からレッドブル、モンスターといったエナジードリンクの粋な差し入れもあった。

いよいよ成果発表。各チームの持ち時間はデモを含め3分。サービス内容を説明しきれないまま持ち時間がなくなってしまうチーム、ついさっきまで動いていたデモが本番で動かなくなるチーム等、トラブルもあったが、わずか2日間でつくったとは思えない完成度の作品や、芸人と見紛う程に鮮やかなプレゼンテーションもあり、会場は大いに湧いた。

そして最優秀賞は、Wondershakeチームの『Fuwari』。iPhoneで再生中の曲の「ムード」をGracenoteのAPIで判定し、Facebookフレンドとムードを共有することで、その人の今の気分を「ふんわりと」知ることができるというプロダクトだ。開発・デザイン共に高い完成度が評価され、見事最優秀賞の受賞となった。

準スポンサーであるAppSocially賞には、Team 6th Manが手がけた表情付きチャット『DoyaChat』が選ばれた。技術+アイデア+実用のバランスが良かった点と、コミュニケーションがコア機能となるスマホアプリなのでAppSociallyとの親和性が高い、という点が評価され受賞に至った。

最優秀賞に輝いた『Fuwari』

さて、TechCrunch Tokyoのハッカソンでは、ハッカー界の著名なエンジニアが講演する「TechTalk」という時間も設けている。初日のTechTalkでは、AppSocially社のiOSエンジニアである私(堤修一)より、“「スキルなし、実績なし」 32歳窓際エンジニアがシリコンバレーで働くようになるまで”と題し、私が32歳にして初めて自分で手を動かしてものをつくる立場になり、四苦八苦しつつもエンジニアとしての成功をつかむまでのターニングポイントとなった行動について話させていただいた。

この講演のスライドを後日、「slideshare」にて公開 したところ、非常に大きな話題となり、公開数日ではてなブックマークが1,000件を超えた。

ハッカソン2日目のTechTalkでは、ビデオメッセージングアプリundaの共同創業者である徳井直生氏が講演。有名なシードアクセラレータである “500 startups” より出資を受け、シリコンバレーに3ヶ月滞在しサービスを立ち上げる中で得た7つの気付きについて語った。ハッカソンも終盤にさしかかり、作業が佳境となる中、多くの参加者の興味を引き、講演後の氏のテーブルには名刺交換の行列ができていた。

2日間、という期間は、プロダクトをゼロからつくりあげる、という観点ではもちろん短いが、ハッカソンの期間という意味でいうと国内では珍しく長い方である。それもあってか、今回の各チームの作品は、半日や1日でおこなわれるハッカソンと比較するとレベルが高かったように思う。

また冒頭にも書いた通り平日開催にも関わらず多くの参加者が集まり、会場の雰囲気もよく、非常に盛り上がった。今年初めての試みとのことだが、筆者としては来年の開催にも期待したい。


「愛されよう、100人にだけでもいいから」–Airbnbのたった1つの海外戦略

Airbnbで北欧・アジア太平洋地域のマネージング・ディレクターを務めるOle Ruch氏

11月11日、12日に開かれたイベント「TechCrunch Tokyo 2013」のゲストの中でも最も急成長を遂げたのが、家の空き部屋を提供する人と、宿泊場所を探す人をマッチングするサービス「Airbnb」だ。

2008年に創業者が自分のアパートに人を泊めたことから始まったAirbnbは、現在までに全世界で累計900万人のゲストを宿泊させ、各都市に多くの利益をもたらした。

そんな成長企業で北欧およびアジア太平洋地域のマネージング・ディレクターを務めるOle Ruch氏が、Airbnbがどのようにして世界で使われるサービスになったかを語った。

「Airbnbはもともと非常にシンプルな形で始まった」とOle氏は言う。サンフランシスコに一緒に住んでいたジョーとブライアンという共同創業者が、家賃の支払いに困って、自分たちの家の一角を旅行者に貸し出したのがきっかけだった。

たまたまサンフランシスコで大規模カンファレンスが開催されていたため、周囲のホテルはすべて満室。彼らはエアーマットレスを買い込み、宿泊者を募集するサイト「エアーベッドアンドブレックファスト」を立ち上げた。

ユタ州から来た3児の父親、女性デザイナー、インドの大学院の学生という3人が最初の宿泊客だったそうだ。「この3人の宿泊者が、それまでの“人の家に泊まるという概念”を変え、創業者の考え方を変えた」とOle氏は語る。

創業者たちはこの3人をサンフランシスコのさまざまな場所に案内し、お気に入りのカフェに招待し、そして1000ドルの収入を得た。最後に宿泊客から「このようなサービスを他の都市でも使えるようにしてほしい」と請われた。それがAirbnbの始まりとなった。いまではアパートに1晩泊まるのはもちろん、お城に1週間でも、別荘に1カ月でもあらゆる条件の施設がAirbnbで予約できるという。

「これは非常にグローバルなコミュニティです。我々の信念とは、“最善の旅行体験は、ローカルな人と一緒に滞在すること”というものです。そのホストが街を案内し、どこに行くべきか、何をすべきかを教えてくれます。このAirbnbのようなシェアリングエコノミーが、この世界を転換しようとしています。どのように資産を持ち、そして消費をするのかという考え方が変わってきているのです」(Ole氏)

Airbnbは最初の宿泊客を迎えてからわずか1年後の2009年には、米国のほとんどの主要都市で知られるようになった。世界中から米国に集まってくる旅行者がAirbnbを利用し、また地元に戻った時に口コミで広げた。噂を聞いた旅行者が同じようにAirbnbで新しい旅行体験をするというサイクルがまわっていたという。

旅行者としてAirbnbを使うだけでなく、自分でホストになりたいと考える人も世界中に広がっていった。Ole氏はこう説明する。「たとえばニューヨークのホストがお気に入りのバーや公園、カフェなんかに案内してくれたとする。ゲストはそこで素晴らしい体験をし、そして旅行から帰った後、地元の街で自分たちのコミュニティを形成し始めたのです」。

このようにしてゲストとホストは急拡大。2012年には世界中に50万件もの登録物件を抱え、そして3万5000都市、192カ国で使われる国際的なサービスに成長した。Airbnbで予約可能な城の数はなんと500に上り、ボートといった変わった物件も登録されているという。

Airbnbで宿泊した累計ゲスト数は2011年1月には400万人だったが、2013年にはさらに400万人が増えた。そして現在では900万人に到達している。Ole氏は、「こうした膨大な数のホストとゲストは、そのコミュニティ自体に大きな影響を与えることになる」と述べる。

Airbnbで宿泊した累計ゲスト数の推移

「Airbnbの宿泊施設は都市の中に広く分散しています。そこで我々が調べたところ、Airbnbの利用者は滞在地域の中で消費をすることがわかった。近所でパンを買ったり、夜は近くのバーに行ったりする。これはローカルコミュニティとビジネスにとって非常に重要です。パリでは2013年は2億4000万ドルの経済活動に貢献した。シドニーでも2013年だけで2億ドル近くの貢献を行っています」(Ole氏)

一般人であるホストたちも恩恵を受けている。シドニーの場合、ホストは2013年に平均して4500オーストラリアドル(日本円で約42万円)の収入を得ることができたという。こうして収入を得て、自分たちの住宅ローンを払ったり、あるいは自分たちの事業を始める人もいるそうだ。

「でも最も重要なのは、そこで構築される関係だ」とOle氏は強調する。一緒に食事をし、時間を過ごし、宿泊することでもたらされる人間関係こそ財産であると言う。

Ole氏の初めてのAirbnb経験はコペンハーゲンでの出張の時だった。Airbnbで見つけたホストに対し、コペンハーゲンに出張で行くので止まらせてほしいとメールしたところ、ホストの5歳と7歳の子どもたちと一緒に過ごすことを条件に予約が取れたという。

「ある日、仕事から戻って、一緒に食事をしていると、子どもたちにいろいろな質問をされた。どんな仕事をしているのか、どこから来たのか、次はどこに行くのかと。私の話をしたら彼らは非常に喜びました」(Ole氏)

Ole氏は夕食の後、ホストである母親からお礼を言われたそうだ。そしてなぜAirbnbでホストをしているのか尋ねた。

彼女の答えはこうだった。「私は子供がいるのでもう旅行することができない。でも母親として子どもたちが異なる文化に触れる機会を作りたい。Airbnbによってゲストが世界中から家に訪ねてきてくれる。たとえば先週は香港からゲストがきた。来週はイタリアから人が来る。5歳と7歳の子どもにとっては世界中の人達と一緒にストーリーを共有できる素晴らしい体験になるんです」。

Airbnbが米国外から世界に展開しつつあった2011年頃、初めて競合他社が現れた。そこで彼らがとった戦略はアンバサダーマーケティング。つまり“伝道師”になることだった。

「競合他社の存在は不思議な感覚だった。我々はできるだけ最高の経験を子どもたちにも提供したいと考えていたが、競合はお金を儲けたいという意思だったようだ。だから我々はそこで長期的な戦略を選んだ。お金が目的の“傭兵”になるのではなく、“伝道師”になろうと考えた。やはり長期的には伝道師の方が勝つ」とOle氏は当時の選択を振り返る。

ゲストとホストを結びつけるためのサイトを提供し続け、旅行者と子どもたちに最高の体験を提供し続けることに集中したという。創業者が当時話していた言葉をOle氏が紹介した。

「何百万もの人にちょっと好かれるよりも、100人に本当に愛されよう」。

これがAirbnbのやり方だった。「その100人の心が掴めれば、彼らがアンバサダーになって、Airbnbの代弁をしてくれるわけです。だから我々の国際的な拡張戦略というのは、『すべての都市でAirbnbを大好きになってくれる人を見つけようということ』だけでした。これはかなり汎用なソリューションだと思う」とOle氏は語る。

日本でも伝道師として愛される存在になろうとしている。日本進出にあたってはさらに「ホスト保証」として8000万円を準備した。これはホストの自宅に何か起き場合、Airbnbが保証するというものだ。

「日本には素晴らしいチームもいる。彼らは本当にユーザーと実際に対面して、Airbnbを愛してくれる人を100人見つけようとしている。Airbnbはまだ日本で始まったばかり。とてもワクワクしている。日本の方々もグローバルな旅行の体験を得られると思う」(Ole氏)


TechCrunch Tokyo 2013:スタートアップバトル出場24社を紹介 – 優勝は指輪型デバイスのRing

3回目の開催となったTechCrunch Tokyo 2013は初の2日間を通してのイベントだった。今回は目玉企画のスタートアップバトルに予選から24社が登壇し、それぞれのプロダクトを紹介してくれた。

スマートフォンアプリ、Webサービスのみならず、ハードウェアや3Dプリンタを取り扱うサービスなどバラエティー豊かなスタートアップ達をイベントに来れなかった読者の皆さんにぜひご紹介したい。まずは決勝に進出した10社から。

Ring(株式会社ログバー):最優秀賞
スタートアップバトル最優秀賞に選ばれたRingは全く新しいウェアラブルデバイス(入力デバイス)だ。名前の通りリングの形状をしており、指にはめて利用する。Google Glassやスマートウォッチといったウェアラブルデバイスはディスプレイが付いていて、その上でアプリなどを動かすが、Ringは入力デバイスとして機能する。

例えば、テレビに向かって人差し指で「TV」と書くとテレビがONになったり、「$12」と書くと支払いが完了したり。会場では実際に電気をつけるデモを行ってくれた。

現在複数の企業とパートナーシップを結びプロダクト完成に向けて日々開発を続けている。2014年中の出荷を目指しており、1万円から2万円程度で販売する予定だそうだ。

planBCD(KAIZEN platform):審査員特別賞
planBCDはグロースハック系のサービスで、jsのコードを1行追加するだけで簡単にA/Bテストができる他、グロースハッカーのクラウドソーシングサービスとしても利用できる。

クラウドソーシングではKAIZEN platformが抱える200名以上のグロースハッカーが改善案を提出してくれる。それを実際にA/Bテストにかけて、効果があるか測定できる。βテストで20件ほど試したところplanBCDの提案は既存のデザインよりも71.4%の確率で改善したそうだ。スマートフォンに限ると今のところほぼ100%で改善できている。

年内にはグロースハッカーを500名にまで増やし、年明けには1,000人の確保を目指している。

flier(株式会社フライヤー):エボラブルアジア賞/kobo賞
flierは毎月20冊の本を選定し、要約文を送ってくれるサービスだ。毎年新たに出版される本の数は増えており、良書を見つけることは難しくなっている。flierから配信される要約文はA4サイズで5枚程度の分量で、ちょっとした時間で読み切れるようになっている。スマホやタブレットに最適化されており、雑誌感覚のインターフェイスとなっている。

すでに国内の大手出版社のうち17社と協業しており、コンテンツは全て利用許可を取っている。10月10日でのローンチ以降、IBMやJT、デトロイト・トーマツなどが採用しているという。書籍要約のニーズを持っているユーザーは世界で3,000万人以上と見込んでおり、平均単価1万円で3,000億円の市場規模があるそうだ。

Locarise Analytics(Locarise株式会社):アマゾンウェブサービス賞
先日のOpen Network LabデモデイFall 2013でも取り上げたLocariseは実店舗向けのGoogle Analyticsを提供する。来店客や店のウィンドウを見ている顧客の行動を取得/分析し、ウィンドウを見ていた人が店に入るコンバージョンレートや、店内の滞在時間、購入までの経路といった情報をダッシュボードにまとめて教えてくれる。

どのように情報を取得するのかというと、店舗側にセンサーを設置しておき、来店客が持っている端末のWiFi信号を定期的に受信している。この信号を処理することで彼らの行動をウォッチするそうだ。

WiFiをONにしているスマートフォン所有者だけの行動を分析するには偏りが出るのではないかという疑問もあるが、40%程度の顧客を分析できれば充分であるという。すでにサービスは稼働しており、数十店舗が利用している。

Ietty(株式会社ietty):KDDI賞
iettyは住みたい物件の条件をいくつか登録しておくと、ぴったりの部屋を教えてくれるサービスだ。賃貸市場の営業は店で来店者が来るまで待っている時間が長いため、人件費のうち1,200億円程度が無駄になっているという。iettyはこの1,200億円が投入されるようなプラットフォームを目指している。

ユーザーの条件を基に営業マンが最適な部屋を提案してくれるし、直接コミュニケーションを取れるため、わざわざ店に足を運ばずにすむ。6月から15社とβテストを開始しているが、他の賃貸情報サイトに比べると成約率は高いようだ。

xica adelie(株式会社サイカ):マイクロソフト賞
近年人間が扱うデータ量は増えてきた。Webサービスやアプリではもちろんだが、後ほど紹介するLocariseのようにオフラインでも様々なデータを取り扱うようになっている。しかしこれらのデータの統計を取り分析することは容易ではない。ツールの使い方を学習するにも時間がかかるし、専門家に外注するとかなりの費用がかかる。

そこでXICAはプロ向けではなく、素人向けの統計分析ツールを提供する。データを入力すると、重要なKPIに対してどのアクションがどのくらい影響を与えているのかを可視化してくれる。10日前に正式ローンチしてから5社が利用を開始し、さらに8社が利用することに決まっているそうだ。値段は1アカウント月額5万円となっている。

Money Forward クラウド会計ソフト(株式会社マネーフォワード):PR TIMES賞
マネーフォーワードは本誌でも何度か取り上げているし、クラウド家計簿サービスとして知名度は高い。昨年12月のローンチから月次平均43%で成長を続けており、数十万人のユーザー居るそうだ。

サービスを続けていく中でユーザーから多かった要望の1つが事業向けも使いたいとのことだったので、新しく事業向けのクラウド会計サービスを開発したという。基本的な会計機能の他に、レシートをアップロードすると自動で入力される機能や、これまでの収入/支出から将来のキャッシュフローを計算してくれる機能なんかもある。

マネーフォーワードとしては会計サービスとしてだけでなく、経営サポートツールとしても提供していきたいそうだ。

Rinkak(株式会社カブク):NTTドコモ・ベンチャーズ賞
Rinkakはもの作りを簡単にするためのプラットフォームだ。3Dプリンタが徐々に安くなってきたとはいえ、現状ではモノを作るためにはまだ大変な面も多い。商品の試作を作るのに高額な費用と時間がかかったり、製造時に最低ロット数を頼まなけらばならなかったりする。

Rinkakでは製造と販売と発送をサービス側が担当し、クリエイターはプロダクトをデザインすることだけに集中できる。3Dデータをアップロードすると、製造コストが自動で計算される。後はクリエイターは値段を設定するだけで商品を販売できるのだ。試作品は5,000円から1万円程度で作成できる。

すでにサービスは稼働しており、フィギュアやiPhoneケース、アクセサリーなどが集まっており、3Dプリンタでしか作れないデザインのものが多く販売されているようだ。

Virtual Cycling(株式会社キーバリュー)
Virtual Cyclingはエアロバイクを楽しくするサービスだ。フィットネスクラブに通ってもそのうち70%以上が退会してしまうそうだが、それは運動が単調でつまらなく、仲間が居ないからだという。

Virtual Cyclingはエアロバイクにデバイスを取り付けて、専用のゴーグルを使う。Google Mapsのストリートビューを使っており、自転車を漕ぐと世界中どこへでもいけるし、空を飛ぶことなんかもできる。デバイスの値段は2,000円から3,000円程度を予定している。

PlugAir(Beatrobo)
BeatroboはCDを新しいデバイス「PlugAir」に置き換えようとしている。CDは購入したらCDプレイヤーで再生できるように、PlugAirはスマートフォンのイヤホンジャックに挿して再生できるデバイスだ。

一昔前はCDプレイヤーやMDプレイヤー、そしてiPodなどのデバイスが音楽を再生するためのデバイスとして定着していたが、現在はスマートフォンが主流となっている。そこでスマートフォンに最適な楽曲供給源を目指そうとしている。

スマートフォンではiTunesなどから楽曲をダウンロードすれば音楽を聞くことはできるが、PlugAirではCDのように友達に貸しても聞けたり、CDジャケットのようにPlugAirをアーティストに合わせてカスタマイズしたりできる。友達にシェアした回数に応じて特典を設けるなど、独自の楽しみ方を模索中だ。第一弾としてはUniversal Musicと提携し、12月中に販売を開始する予定だ。

以下は予選に出場した14社。

ビザスク・フォー・ビジネス(株式会社walkntalk)
様々なビジネスの場で経験者のアドバイスが欲しいことは多々ある。そんな時にスポットで適切な人にスポットコンサルティングを頼めるサービス「ビザスク」のエンタープライズ版が「ビザスク・フォー・ビジネス」だ。こちらは秘匿性の高い案件なども発注できる。ビザスクは経済産業省から”多様な「人活」支援サービス創出事業」の委託先”として採択されている。

YAMAP(株式会社セフリ) 
このアプリは名前からも想像できるように、山(YAMA)のマップ(MAP)を提供する。単に山のマップを扱うだけではなく、登山では電波がないことも多いため、電波無しでも現在地を取得できる仕様になっている。登山人口は1,000万人ほど居るそうで、アウトドア市場全体を見れば3,300万人も居るこの市場に便利なツールを提供する。すでに1万ユーザーを獲得。

Relux(株式会社Loco Partners) 
100項目におよぶ独自の審査基準で宿泊施設を審査し、高品質な旅行体験を保証する宿泊予約サービス。チェックイン日と宿泊人数を入力すると最適な宿泊先を提案してくれる。現在のユーザーの予約単価は9万円ほどで、これは競合サービスよりも格段に高い。これまでの累計流通総額は1,500万円、年末までには4,000万円ほどを見込んでいる。

Dr.Wallet(株式会社Bear Tail)
このサービスに関しては本誌ではローンチ時KDDI∞Labo第5期採択時などにも取り上げたのでご存知の方も多いだろう。Dr.Walletはレシートをアップロードすると人力でデータ化してくれるクラウド家計簿サービスだ。8月19日のローンチ以降、10万ダウンロードを達成している。

StepUp.io(Benkyo Player LTD)
動画で何かを学ぼうとする人向けのツールを提供する。例えばダンスを学びたい時にパートごとに動画を簡単に切り分けてリピート再生することができる。料理や楽器といったカテゴリーの動画とも相性が良さそうだ。ビジネスモデルとしてはグループ機能や現在はYouTubeの動画に対応しているがユーザー独自のビデオをアップロード可能にする際に有料化を考えているという。

Cosmection(株式会社シンセレンス)
最も自分に合うコスメ商品を見つけてくれるサービス。化粧品は高評価のレビューの商品でも、自分の肌に合うとは限らない。Cosmectionではすでに使っている製品や同じ傾向にあるユーザーのデータを基に最適な品を提案してくれる。

PlayLife(株式会社プレイライフ)
遊びの体験を皆で共有し、より一層遊びを楽しくしようというのがPlayLifeだ。お気に入りの女子会スポットや、楽しかったプチ旅行の体験なんかを投稿して共有することはもちろん、サービス内で友達を遊びに誘うこともできる。

FunPicty(SODA株式会社)
FunPictyはドコモ・イノベーションビレッジ第1期デモデイに登壇した笑いがコンセプトのプラットフォームだ。面白写真アプリをいくつか保有しているSODAは短命で終わってしまうそれらの写真アプリからの画像を1つのプラットフォームにまとめることで新しい価値を生み出そうとしている。

・ゲームシスト(デジママジデ株式会社)
インディーズゲームの開発者向けのサービスで、一緒にゲームを作る仲間を集めて開発したり、ゲームをリリースできる。リリース後のマーケティングやアドバタイジングまでも面倒を見てくれる。

infogra.me Visualize Engine(インフォグラミー株式会社)
infogra.meは誰でも無料で簡単にインフォグラフィックを作るためのツールでデータを入力するとキレイなインフォグラフィックをすぐに作成してくる。インフォグラフィック作成サービスとしてはinfogr.amやvisual.lyなどが存在する。

Cumiki(Cumiki)
他人が書いたコードを読むのは大変である。途中からジョインしたり跡継ぎの人のためにノートを書くにしても面倒で更新に時間がかかってしまう。cumikiではコードをドラッグするとポストイットのようなポップアップが表示されそこへ簡単にメモできる。また、コードとメモが紐づいているので、元のコードがアップデートされた場合でも自動的に最新版を追跡して対応関係を保つことができる。

Revolver(株式会社リボルバー):レディー・ガガやオバマ大統領などは自らのための専用のSNSを構築している。最近では自分たち専用のSNSを作成する事例も増えてきているそうで、この需要に応えるべくRevolverは開発された。ユーザーは簡単に特定の人やテーマ、会社についての専用SNSを作成できる。

TSUKULINK(株式会社ハンズシェア) :東京オリンピックが決まり膨大な予算が投下される業界の1つである建築だが、現状はあまり明るくないようだ。賃金の低下や人手不足といった問題を抱えている。しかし、雪国では冬の間に雪の影響で仕事ができなく手が余っているなど地域や時期によって差があることも確かだ。そのような非効率な点をTSUKULINKではマッチングしてくれる。

cutty(株式会社アクトキャット)
美容師は約3年かけて技術を習得している。その技術を習得するためには練習が必要であり、そのためにカットモデルを探している。原宿や渋谷なんかで美容師がカットモデルを探しているのを見かけることは多いだろう。Cuttyではそんな悩みを解決すべくカットモデルと美容師をマッチングさせるサービスだ。全て無料で利用でき、美容室のクーポンなどでマネタイズする。