イーロン・マスク、TEDでトンネル計画を語る――SpaceX、自動運転等の事業も

少なくとも3社のCEO、イーロン・マスクが先週金曜日にバンクーバーで開催されたTED 2017カンファレンスに登場した。上のビデオにその模様が収められている。マスクは注目の新事業、地下トンネルの掘削計画についてビジョンを語った。

マスクは地下トンネルの3Dネットワークによって現在の地上の交通渋滞が大幅に改善されるとしている。マスクはThe Boring Companyの事業計画についてこれまでになく詳しく語った。それによればこの事業を思いついたきっかけはロサンゼルスで交通渋滞に捕まって非常に腹立たしい思いをしたことだったという。

マスクはまたTeslaの将来計画についても語り、貨物運送のために電気トレーラーを開発していることを明かした。また2年のうちに自動運転の電気自動車を実用化すると述べた。マスクはまた火星植民計画についても語り、なぜ人類が地球外に進出することがマスク、またSpaceXにとって重要なのかを語った。

マスクは短いツイートでさえセンセーションを巻き起こす存在だ。マスクのアイディアの実現性に関してはさまざまな評価があり得る。しかしこれまでも新たな思考のきっかけを多数提供してきたTEDの舞台でマスクが将来を語るのを聞くのは実に刺激的な経験だ。

〔日本版〕対談の聞き手はTEDの代表者(オーナー)、キュレーターのクリス・アンダーソン。ビデオにはデフォールトで英語字幕が表示される。

下はマスクのトンネル計画を説明するビデオ。自動車は路上に設けられたエレベーターで地下トンネルに下り、スケートボード式台車に乗って高速移動できる。このトンネル・ネットワークについてはTechCrunch Japanでも詳しく解説している。マスクが最近購入したシールド掘削マシンについてはこちら

マスクの説明によれば、現在の道路トンネルが高価なのは内燃機関を用いて自走することを前提としているため。自動車を電気モーターを用いた台車に載せることで小型化が図ると同時に掘削テクノロジーを改良することでトンネル設置のコストを10分の1以下にすることが可能になるというのがマスクのビジョン。まずロサンゼルスの地下にトンネルを建設したいとしている。

マスクはゲリーというカタツムリをペットにしているが、ゲリーは現在のトンネル掘削機より14倍早く進むという。マスクはさまざまな改良によってトンネル掘削をカタツムリ以上の速度にするのが目標だという。

その後、電気自動車、太陽光発電について説明、最後にSpaceXの宇宙事業について語った。SpaceXは衛星打ち上げロケットのブースター(1段目)を繰り返し洋上の艀や地上基地に垂直着陸させ回収している。また回収したブースターの再利用にも成功している。下のビデオはNROL-76偵察衛星の打ち上げとブースター回収のもよう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ラリー・ページの願望は、全医療データの公開 ―大きな恩恵と大きなリスク

Google共同ファウンダーのLarry Pageは、TEDカンファレンスで珍しく公開の場に現れ、世界を変えると彼が考えるアイデアをいくつか披露した。「匿名の医療データをあらゆる医学研究者が利用できたらすばらしいだろう?」とPageは言い、それによって何十万もの命が救われると主張した。

Pageが正しいことを証明する優れた証拠はいくつかある。FDA(米食品医薬品局)のRichard Pratt研究員は、もし何百万という民間医療記録が研究者に公開されていれば、彼らはVioxxの致命的副作用を発見し、2万7000~5万5000人の死を防ぐことができた」と推測した

統計学者は、傾向が偶然ではないこと(「統計的に有意」)を見分けるために大きなサンプルを必要とする。データセットが含む人数が多いほど、多くのパターンが識別され、多くの命が救われる可能性が高まる。

現在、健康保険情報公開法によって、この種の情報の公開には厳しい制限が課されている。「これはHIPAAの過剰なプライバシー規則の結果だ」と、ハーバード情報・法律ブログの管理チームは、タイトルもふさわしい「HIPAAによる死」という記事に書いた

事実、あらゆる医療データを公開することによって、あらゆる種類の問題が識別できるようになる。研究結果を調べ、隠れた副作用を見つけ、ユーザーの行動に応じた個別の健康アドバイスを与えることもできる。もしVioxxが何らかの兆候であるなら、Pageの推測した救われるあるいは改善される命の数は、ずっと多いだろう。

しかし、問題もある。われわれのブライバシーを維持することはほぼ不可能だ。「われわれは、データから十分情報を取除くことによって、匿名化したふりをしてきた。ブライバシー保護を約束してきたが. この論文は、一定の割合の人口について、それが空約束だったことを証明している」と、医療の透明化を支持する非営利団体、Sage BionetworksのJohn Wilbanksは書いている。

上述の論文で、研究者らは匿名医療データベースの一部の登録者を、親戚のデータベースのDNAとマッチングすることによって、個人を特定することができた。

統計学者は、公開データおよび個人データから個人を特定する技術に、ますます長けてきている。そして、医学のブレークスルーに必要なその種のデータから誰かの正体を暴くことは難しくない。

役に立つと思われる因子をいくつか挙げる。

  • 場所:地域の有毒物質や公害は健康問題に影響を与えることがある
  • 年齢、身長、性別:ある種の人口層が特定の病気にかかりやすい場合がある
  • 私の職業:デスクワークは健康問題を起こしやすい

私を一例にとってみよう。身長163cmの31歳ユダヤ系男性でサンフランシスコのミッション地区に住み、メディアの仕事をしている人間はそう多くはいない。アマチュア統計学者がこれらのデータを組み合わせてTwitterを検索し、私の秘密の医療履歴を友達全員に知らせるためには、私がAmazonで1984を注文するほどの時間しかかからないだろう。

Pageのコメントが特に賛否両論を呼ぶであろう理由は、彼の会社がNSAの監視に関して以前認めていた以上のことを知っていたとする、最近の疑惑による。どんなに他愛のないものであっても、プライバシーに関する議論は会社を窮地に立たせかねない。

私はオープン医療データに関するPageのアイデアを支持する。改めて言っておくが、私は自分の性生活データを公開するような男だ。私は、将来医療データの透明化による恩恵が、われわれのプライバシー感覚を覆えす時が来ると思っている。そしてGoogleはそのツールを作る会社なのかもしれない。

[Image Credit: Daniel Kraft]

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Googleの協同ファウンダがロボット経由でSnowdenと雑談を楽しむ

そう、今日(米国時間3/18)まさに、それが起きました。Googleの協同ファウンダSergey Brinが、内部告発者Edward Snowdenと仲良くお話をしたのだ。SnowdenはTEDのカンファレンスに、テレプレゼンスロボットを使って参加していた。よく分からなかった人は、最後のセンテンスをもう一度読んでみて。

大手のテク企業たちが、NSAのスキャンダルで法律の地雷を踏まないよう細心の注意を払っている中で、それでもSnowdenはヒーローとして歓迎された。GoogleやFacebook、YahooなどNSAと関わった企業は、声明文を発表して自己の潔白を証明しようとしているが、でも、そういった法律と政治の駆け引きの背後では、有名企業のトップたちも単純にSnowdenのファンのようだ。

先週のSXSWでSnowdenが初めてライブのインタビューに応じたとき、その端末が置かれた部屋は超満員でぼくは入れなかった。ましてや、彼と一対一で話すなんてできない。部屋は二つ用意されたが、それでも多くの人があふれてしまった。

こうやって、どんなカンファレンスにも、世界中の人が参加できることは、とても感動的だ。TEDはSnowdenへのインタビューを、近く公開する予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))