米YouTubeが無料で広告付きテレビ番組を配信へ

米YouTube(ユーチューブ)は米国時間3月23日、広告付きのテレビ番組を初めて無料で配信することを発表した。これはTubi、Pluto TV、The Roku Channel、IMDb TV、Xumo、Plex、NBCUのPeacockなど、市場で増え続ける無料ストリーミングサービスとの直接対決を可能にする動きとなる。同社によると、まず米国のユーザーに対して、「ヘルズ・キッチン〜地獄の厨房」、「アンドロメダ」「ハートランド物語」などの番組から4000以上のテレビエピソードを無料で提供する予定だそうだ。今後は、番組や映画を含め、毎週最大100本の作品を無料ストリーミングに追加していく予定だ。

YouTubeはすでに広告付きの無料映画を多数配信しているため、今回の無料テレビ配信開始は、同社にとってまったく新しい試みというよりも、既存の無料ストリーミングの取り組みを拡張するものといえるだろう。

現在YouTubeでは、Disney Media & Entertainment Distribution(ディズニー・メディア&エンタテインメント・ディストリビューション)、Warner Bros.(ワーナー・ブラザーズ), Paramount Pictures(パラマウント・ピクチャーズ)、Lionsgate(Lionsgate)、FilmRise(フィルムライズ)などの企業が提供する1500本以上の映画を配信している。例えば2022年3月には、「60セカンズ」、「プリティ・ブライド」、「キューティ・ブロンド」などの映画が新たに追加されている。

しかし、広告付きと定額制の両方を含む広範なストリーミング業界は、映画ではなくテレビに引き寄せられる傾向がある。以前の時代であれば、映画か、少なくともミニシリーズになっていたであろう、新しいオリジナルプロジェクトが、今ではしばしば一気見ができるテレビ番組としてリリースされている。プラットフォームメーカーもこの傾向を好ましく思っている。ユーザーが自社サービス上でコンテンツを視聴する時間が増えていることを意味するからだ。才能と資金も長い間これに続いており、テレビシリーズは、過去数年間ハリウッド映画にしか与えられなかった批評家の注目と称賛の両方を獲得している。

画像クレジット:YouTube

一方、無料のテレビストリーミングは、ストリーミング市場全体の成長の大部分を牽引している。

Kantar(カンター)のデータによると、米国の85%の世帯がなんらかの動画契約を結んでいるが、四半期ごとの成長は主に無料の広告付きテレビと広告付きビデオオンデマンドサービスからもたらされている。2021年第4四半期時点で、米国世帯の18%が少なくとも1つの無料広告付きテレビサービスを利用しており、この数字は前年度第4四半期から2倍以上に増加している。Kantarによると、最終四半期の新規ユーザーのほとんどは、Peacock、IMDb TV、Tubi、The Roku Channelのアカウントにサインアップした人たちだったそうだ。

一方、YouTubeは、無料テレビとまではいかないまでも、米国でかなりのコネクテッドテレビの足跡を残している。Nielsen(ニールセン)のデータによると、2021年12月にYouTubeは米国のコネクテッドテレビで1億3500万人以上にリーチしているとのことだ。しかし、ユーザーがYouTubeでテレビ番組を検索すると、当該タイトルをレンタルするか購入するように誘導され、無料ストリーミングは選択肢になかった。

それが、無料テレビサービスの開始で変わることになる。YouTubeによると、新しいナビゲーションと没入感のあるバナーアートを導入し、ユーザーが視聴方法を選択しやすくするとのことだ。従来通りレンタルまたは購入するか、もしくは可能な場合は、広告付きの無料で視聴することができるようになる。一方、CMは視聴者や番組を見ている状況によって頻度が変わるとYouTubeは述べている。広告のほとんどは、YouTube Selectプログラムを通じて販売される。

ひと握りの有名番組以外にも、無料で視聴できる番組の多くは、「パパは何でも知っている」、「未解決ストーリー」、「21ジャンプストリート」、「キャロル・バーネット」、「ザ ガール 」、「パトカー54 / 応答せよ!」、「ローン・レンジャー」、「ホパロング・キャシディ」、「Laugh-In」、「The Dick Van Dyke Show」などの古いシリーズだ。無料番組の多くは、たとえシリーズが長く続いたとしても、1シーズンか2シーズンしか提供されていない。このライブラリによって、YouTubeがすぐに無料のテレビ番組のトップデスティネーションになるわけではないが、YouTubeの常連ユーザーにとっては、退屈な時間を緩和するのに役立つかもしれない。

また、YouTubeは、多くの無料テレビ番組が、対応するデバイスで5.1サラウンドサウンド音声付きの高解像度1080pで視聴できることにも言及している。

これらの番組は、米国のユーザーが本日からウェブブラウザ、モバイルデバイス、YouTube TVアプリを介したコネクテッドテレビで視聴できるようになる予定だ。

画像クレジット:YouTube

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ネットフリックスのTV向けアプリで「視聴中コンテンツ」削除機能が利用可能に

ネットフリックスのTV向けアプリで「視聴中コンテンツ」削除機能が利用可能に

Marvin Samuel Tolentino Pineda via Getty Images

Netflixは、「視聴中コンテンツ」に表示される作品を削除する機能がテレビを含むすべてのデバイスで利用可能になったと発表しました。

Netflixのホーム画面に表示される「視聴中コンテンツ」は、途中まで観ていた映画や、テレビ番組を継続して視聴するには便利な機能です。その反面、観始めたものの興味を無くした、あるいは間違えて再生してしまった作品などがいつまでも残り続けて目障りといったこともあります。こうした作品が、簡単に削除可能となりました。

ネットフリックスのTV向けアプリで「視聴中コンテンツ」削除機能が利用可能に

Netflix

削除するには、視聴中コンテンツにある削除したい作品にカーソルを合わせ、ページのオプションから「リストから削除する」を選ぶだけです。この削除機能、これまでもウェブやモバイル向けアプリでは提供されていましたが、あらたにApple TVやFire TVなどテレビ向けアプリでも利用可能となり、Netflixを利用できるすべてのデバイスで削除可能となっています。ネットフリックスのTV向けアプリで「視聴中コンテンツ」削除機能が利用可能に

(Source:Netflix。Via the VergeEngadget日本版より転載)

ライブツイートされたで発表されるゴールデングローブ賞、Netflixが作品賞を初受賞

今回のゴールデングローブ賞は見逃せなかった、そもそも放送されていないからだ。しかし、あなたはツイートを見たかもしれない。NBCは2021年5月、L.A.Timesの調査により、毎年イベントを開催しているハリウッド外国人記者協会(HFPA)内の多様性の欠如や、一部の会員が賄賂に相当する贈り物を受け取っていた証拠が明らかになったことをうけ、2022年の授賞式を放送しないことを発表した。HFPAは改革を進めており、イベントは、テレビ放送はもちろん、ライブストリーミングも行われず、個人的に開催された。

その代わり、イベントの受賞者は、奇妙な方法でライブツイートされた。

HFPAは、間違いのあるツイートを取り消すことができるTwitterのサブスクサービスを利用したほうがよかったようだ。HFPAのゴールデングローブ賞Twitterアカウントは、ソーシャルメディア上で受賞者を発表する際、グローブ賞受賞者がどのTVや映画の企画で受賞したのか、例えばAndrew Garfield(アンドリュー・ガーフィールド)の受賞が「tick, tick… BOOM!:チック、チック…ブーン!」だったように、定期的に書き忘れていた。また「ウエスト・サイド・ストーリー」の笑い(?)を「最高の薬」と称したツイートは、後に削除され、音楽が最高の薬であることを伝えるために再び投稿されるという奇妙なものだった。それは「笑いは百薬の長」の諺とは異なっている。

とはいえ、イベントは続行された。

HFPAが論争の後に組織を改革しようとしているため、全体的に静かな年であることに加え、受賞したネットワークも、いくつかの注目すべき初受賞や逆転劇があったにもかかわらず、いつものように、その勝利を宣伝していない。

例年であれば、HBOはライバルを一掃したことを喜んで宣伝しているだろう。このネットワークは、HBOの4勝とHBO Maxの2勝を含む、6勝でこの夜をリードした。同ネットワークのテレビシリーズ「キング・オブ・メディア」は、作品賞、テレビドラマ男優賞(Jeremy Strong[ジェレミー・ストロング])、助演女優賞(Sarah Snook[サラ・スヌーク])を受賞した。HBO Maxのコメディ「Hacks」は、エミー賞受賞作「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」(Apple TV+)を抑えて作品賞(コメディ)を受賞し、主演のJean Smart(ジーン・スマート)が女優賞(コメディ)を受賞した。そして、Kate Winslet(ケイト・ウィンスレット)がHBOの「メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実」でリミテッドシリーズ部門の女優賞を受賞した。

一方、Netflixは、ドラマ映画賞「パワー・オブ・ザ・ドッグ」やドラマシリーズ「イカゲーム」を含むノミネーションでリードしたものの、HFPAが改革を終えるまで同イベントには参加しないとしていた。この決定は、賞での注目すべき初めての出来事についても、自慢しないことを意味している。

Netflixは、オリジナル作品「パワー・オブ・ザ・ドッグ」で、ゴールデングローブ賞の作品賞(ドラマ部門)を受賞し、ストリーミング配信会社として初の快挙を達成した。この作品は、監督賞(Jane Campion[ジェーン・カンピオン])と助演男優賞(Kodi Smit-McPhee[コディ・スミット=マクフィー])にも輝いている。

また、Netflixの大ヒットTVシリーズ「イカゲーム」が2022年は3部門にノミネートされ、韓国人俳優O Yeong-su(オ・ヨンス)が「キング・オブ・メディア」のKien Culkin(キーラン・カルキン、HBO)と「ザ・モーニングショー」のBily Crudup(ビリー・クラダップ、Apple TV+)を抑えて受賞し、韓国にとって初の受賞につながった。

Netflixも、ツイートではプロジェクト名をクレジットし忘れていたものの「tick, tick…BOOM!:チック、チック…ブーン!」で、アンドリュー・ガーフィールドが映画(ミュージカル&コメディ)の主演男優賞のトロフィーを手にした。

Apple TV+は「テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく」のJason Sudeikis(ジェイソン・スデイキス)がTVシリーズ(コメディ)部門の男優賞を受賞し、1勝を挙げている。Amazon Prime Videoの「地下鉄道 ~自由への旅路~」が同部門の作品賞を制したものの、Huluも「DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機」のMichael Keaton(マイケル・キートン)がテレビ向けリミティッド・シリーズまたは映画で男優賞を受賞し、グローブ賞を1つ獲得した。Amazon Prime Videoの「愛すべき夫妻の秘密」は、Nicole Kidman(ニコール・キッドマン)が映画部門の主演女優賞を受賞し、注目を集めた。

また、トランス系女優として初めてゴールデン・グローブ賞を受賞したFXの「POSE」のMichaela Jaé Rodriguez(ミカエラ・ジャエ・ロドリゲス)は、ドラマ部門の女優賞のトロフィーを手にした。

20センチュリースタジオ / ディズニーの「ウエスト・サイド・ストーリー」は最優秀作品賞(ミュージカル&コメディ)を受賞し、主演のRachel Zegler(レイチェル・ツェグラー)とAriana DeBose(アリアナ・デボース)はそれぞれ主演女優賞と助演女優賞を獲得した。劇場公開からわずか1カ月でDisney+で配信されたディズニーの「ミラベルと魔法だらけの家」は、アニメーション部門での作品賞を受賞した。

ワーナー・ブラザースの「DUNE/デューン 砂の惑星」では、Hans Zimmer(ハンス・ジマー)が音楽賞のトロフィーを獲得し、Will Smith(ウィル・スミス)が「ドリームプラン」で映画(ドラマ)部門の主演男優賞に選ばれた。非英語圏の作品賞は、日本映画の「ドライブ・マイ・カー」に贈られた。

全受賞者リストはこちら

画像クレジット:Netflix

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

LGのベストセラー有機ELテレビが新年に向けてバージョンアップ

LGはここ数年、有機ELテレビでかなりすごい連勝を続けている。LGの「C1」は、薄型テレビとして不動の地位を築いており、2021年のCESで同社の2022年ラインナップが我々の(仮想の)注意を引いたとしても、ほとんど驚きはないだろう。LGは、そのベストセラーのテレビに比較的小さなアップデートを施し、画面サイズとスマートさを追加したことで、十分満足しているようだ。

有機EL技術は新しいものではなく、SONY(ソニー)は2007年に解像度が低く、価格も破格な有機ELテレビを発表している。近年、その技術は加速度的に向上し、中流家庭の財布にも届くようになった。この有機EL技術は、従来のLED照明付き液晶パネルにあったバックライトを必要としない。大きな光源から小さなカラーピクセルの配列に光を当てるのではなく、有機EL技術では個々のピクセルが小さな発光ダイオードになっている。そのため、画素が消灯しているときはまったく光を発しないため、驚異的なコントラストと色域を実現している。また、バックライトがないため、テレビメーカーはパッケージングを工夫することができ、薄型化することで画面を丸めたり、曲げたりすることが可能になる。

LGのテレビは8年連続でCESイノベーションアワードを受賞しており、テレビの未来に向けた最新のビジョンを披露したLGは、まさに興奮に包まれていた。

G2シリーズとC2シリーズという2つの新シリーズを発表したのだが、どちらも有機ELの技術をアップグレードして、さらに美しい映像を実現している。LGは、この技術により、より高い輝度、より鮮明な画像、ディテールを実現し、よりリアルな画像を家庭で我々の目に映し出すことができると主張している。

画像クレジット:LG

LGのevo有機EL技術搭載の2022年製77インチC2。実際に見ると、より魅力的に見えるはずだ。LGの2022年G2シリーズには、新しい83インチモデルと世界初の97インチ有機ELディスプレイが追加されている。新しいサイズは、すでにラインナップにある他の3つのサイズ(55インチ、65インチ、77インチ)と合わせて導入される。LG G2シリーズは「ギャラリーデザイン」と呼ばれる、壁にぴったりと貼り付けるタイプのおしゃれなデザインに刷新されている。

一方、C2シリーズは、2021年のスタートラインアップに合計6つのディスプレイサイズを兼ね備える。狭い部屋やゲーム機・パソコン用として最適な小型の42インチモデルが追加された。この新型に加え、48インチ、55インチ、65インチ、77インチ、そして83インチモデルが用意されている。

また、2022年モデルの新機能として、LGのwebOS 22をベースとしたピカピカの新しいユーザーエクスペリエンスもある。このソフトウェアには、個人設定可能なプロフィールが含まれており、テレビを使うさまざまなユーザーが自身の設定を行い、どのストリーミングサービスを好むか、視聴履歴などに基づいてカスタマイズされたコンテンツを推奨してもらうことができる。

同社は、すでにクラス最高の演色性、輝度、フリッカーフリー体験をさらに向上させたと主張しており、ディスプレイ側にも多くの追加アップグレードがある。LGは、NVIDIA G-SYNC互換性をサポートする最初の有機ELテレビだ。同社のディスプレイは、NVIDIA(エヌビディア)の最上位RTX 30シリーズグラフィックスカードで完全な8Kゲームを可能にする最初の8K有機ELテレビであり、同社のゲームオプティマイザ・メニューから利用できるゲーム固有の設定やプリセットも備えていると念を押している。

間もなくレビューが公開されるはずなので、今後数週間から数カ月、それらのレビューに注目して欲しい。ラスベガスで開催されたCESに行かず、LGとその輝かしい新製品にいつも以上に興味がある方は、2022年1月4日の午前8時(太平洋標準時)からLGのバーチャル展示ブースをチェックすることもできる。

画像クレジット:LG

原文へ

(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Akihito Mizukoshi)

コネクテッドTVのYouTubeの広告でよりショッピングしやすくする

米国時間10月4日、YouTubeは月曜日、動画アクションキャンペーン(Googleの動画向けインタラクティブ広告タイプの1つ)をコネクテッドテレビ(CTV)に拡大し、YouTube広告をよりショッパブルになると発表た。この新しい動きは、広告主がより多くのオンライン販売を促進し、ビジネスを成長させるのに役立つと同社はいう。

視聴者が自分のテレビで動画アクションキャンペーンを見たら、下部にURLが表示され購入に招かれ、デスクトップやモバイルデバイスからショッピングを続けられる。これにより、ユーザーのテレビの視聴が中断されることはない。

YouTube広告のプロダクトマネージャーでディレクターのRomana Pawar(ロマーナ・パワール)氏の説明によると「ログインしたYouTube CTVの視聴者の4分の1は主にテレビを観ているため、リビングルームがブランドを売り込む絶好の場所になり、それら新しい視聴者によるコンバージョン(実購入)も増えていきます。動画アクションキャンペーンの初期のテストでは、CTVで発生するコンバージョンの90%以上が、モバイルやデスクトップコンピューターでショッピング行動ができなかった」。

パワール氏によると、2020年12月に米国では、YouTubeを大型画面で見る人が増え、1億2000万人以上がYouTubeやYouTube TVを自分のテレビでストリーミング視聴した。企業がオンラインセールスを増やすためには、動画アクションキャンペーンを利用して、1つのキャンペーンの中で新しい顧客を見つけ、彼らにYouTubeやGoogleのビデオパートナーからの在庫を結びつけるべきなのだ。

パワール氏は「初めて、パフォーマンスの良い広告主たちはYouTube on CTVを活かしてコンバージョンを促し、計測もできます。TV画面上の動画アクションキャンペーンは今やGoogle Adsからグローバルで利用できます」とブログで述べている。

GoogleがCTVの広告をもっとショッパブルにしたいという計画を発表したのは、2021年3月という早い時期だ。消費者、中でも若者は動画が好きで、買い物しながらエンゲージする。その結果、YouTubeやFacebook、Instagramなどはすべて、ライブのショッピングと動画ベースのショッピング機能に投資しているのだ。

関連記事:YouTubeにインターネットテレビの広告でもっと買い物しやすくなる新機能追加、Z世代をターゲットに

画像クレジット:Valera Golovniov/SOPA Images/LightRocket/Getty Images

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

米アマゾンがAlexa搭載の初の自社ブランドテレビ2種発売へ

米Amazon(アマゾン)が43インチのAmazon Fire TV Editionを発売するために2017年にサウスカロライナ拠点のElement Electronics(エレメント・エレクトロニクス)とチームを組んで以来、これは必然だったように感じる。Amazonはまた、人気の音声アシスタントを搭載するためにサードパーティーのテレビ会社数社とも提携したが、同社は9月9日、2種のスマートテレビFire TV Omniシリーズと4シリーズを投入し、さらに一歩踏み込むことを明らかにした。

同社はこれらを「初のAmazon製スマートテレビ」と呼び、すでに作られて他の会社のブランドで展開されているものに音声テクノロジーを搭載するのではなく、ゼロから作った独自のテレビであることをほのめかしている。

Fire TV Omniシリーズが主力製品で、もう1つのものよりもプレミアムだ。しかしその価格は予定どおりであれば、410ドル(約4万5000円)からとかなり安めだ。前述のAmazonブランドのElementシステムより40ドル(約4400円)安い。

「スマートテレビは何十年も出回っていますが、それらが本当にスマートだとは思いません」とAmazon副社長のDaniel Rausch(ダニエル・ラウシュ)氏は話す。「顧客が本当に欲するであろうものに比べて、それほど有能ではありません。多くの場合、テレビは受動的な経験を提供します。相互にやり取りするのは複雑で難しいものです。我々のリビングルームにはさまざまな種のデバイスやコンテンツエクスペリエンスがあります。それを顧客側で調整するのは、おそらく複雑さが増すばかりだと思います。音声とアンビエントコンピューティングでもってテレビはより多くのことができるようになり、顧客のためにテレビはよりスマートになる可能性を秘めていると確信しています」。

SamsungやLGがしのぎを削る(何十年も噂されているAppleテレビはこれまでのところ実を結んでいないようであるにしても)競争の激しい分野にAmazonは参入しようとしている。当然、AmazonはAlexa統合とは区別しようとしている。Omniの方はテレビ視聴から音楽、ゲームまでさまざまなアクティビティに音声を使うために遠距離テクノロジーを活用している。

システムは最近導入されたAlexa会話を採用し「Alexa、何を観たらいい?」(このコマンドはベータ版では2021年後半までは使えない)「Alexa、Netflixのコンテンツを再生して」(同様に秋までは使えない)といったコマンド、そしてTikTokでも同様のコマンドなど、より自然な感じでアシスタントに尋ねる方法を提供している。人気を博しているソーシャルネットワークのTikTokは英国、ドイツ、フランスのFire TVでの提供が始まり、間もなく北米でも展開される。もしすごくのめり込んでいるなら最大75インチのスクリーンでショートビデオを観ることができる。

画像クレジット:Amazon

Omniのサイズは43、50、65、75インチで、解像度はすべて4Kだ。HDR10、HLG、Dolby Digital Plusが実装され、2つの大型モデルはDolby Visionもサポートしている。Omniと安めの4シリーズの違いはさほど多くはないようだ。4シリーズは370ドル(約4万1000円)からで、サイズは43、50、55インチ。こちらも解像度は4Kとなっている。この2つのラインナップの最大の違いは、4シリーズが近接のAlexa対応能力をリモートにビルトインしていることだ。Omniの方は遠距離テクノロジーを搭載している。

新しいテレビは2021年10月に発売される。

画像クレジット:Amazon

テレビには新Amazon Fire TV Stick 4K Maxがついてくる。55ドル(約6000円)するこのストリーミング用スティックは、高パフォーマンスを約束するクアッドコア1.8GHzプロセッサと2GBのRAMを内蔵し、上記の多くの音声機能を提供する。スティックはWi-Fi 6、そして当然のことながらAmazonのゲーミングサービスLunaにも対応する。

おそらく少々驚くのは、Pioneer(パイオニア)の社名が入っていることだろう。儲けが少ないために愛しのプラズマから撤退して数年、PioneerはAlexaリモートとセットになった新しい4Kでテレビ分野に戻ってくる。43インチのバージョンは9月にAmazonとBest Buyで発売される予定で、50インチの方はその2カ月後になる見込みだ。

一方、東芝のテレビには遠距離テクノロジーがビルトインされている。55、65、75インチの3モデルで、2022年春発売の予定だ。

関連記事
スマートテレビをもっとスマートにする高校生のアイデアで生まれたDisruptelが1.2億円調達
LGのスマートテレビでクラウドゲームGoogle StadiaとNVIDIA GeForce Nowが利用可能に
Apple TVアプリとApple TV+がLG製テレビで利用可能に
画像クレジット:Amazon

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

Slingboxの全デバイスが2年後に動作しなくなる

主要テレビ局が自前のストリーミングアプリを作る前は、スマートフォンでテレビ放送を見るのは難しかった。

早い時期に登場した比較的シンプルな方法の1つがSlingboxだった。Slingboxをケーブルボックスとテレビの間につなぎ、ネットワークに接続すれば完了で、どこにいても自分のテレビから放送がストリーミングされる。テレビ周辺にセットアップした赤外線送信機のクモの巣が遠隔のリモコンとして動作するので、そこにいるかのようにコントロールすることもできた。

2000年代半ばには魔法のように思えた。しかし2020年になってみれば、それほど広くは使われていない。この結果、Slingbox社はSlingboxの全製品の廃止を発表した。徐々に機能を減らし、2022年11月9日に完全にサービスを停止する。

同社は発表に関するFAQで以下のように述べている。

Slingboxのサーバーは廃止発表日(2020年11月9日)の2年後に完全にオフラインになり、その時点でSlingboxのすべてのデバイスとサービスは機能しなくなります。

それまではSlingboxの大半のモデルは正常に動作しますが、視聴できるデバイスの数は着実に減っていきます。SlingPlayerアプリのバージョンが古くなったり、互換性がなくなったりするためです。

サーバーが停止するまでSlingboxを使い続けたい人はどうすればいいのか。それはちょっと厄介だ。

同社によれば(いまのところ)iPhone、iPad、古いバージョンのmacOS、Windows、AmazonのFire TVとタブレット向けのSlingPlayerアプリの提供を続けるという。しかしアップデートは期待できず、アプリが突然なくなるかもしれない。無料のAndroidアプリはまだあるが有料版はなくなり、RokuとWindows Phone(合掌)アプリもなくなっている。

もちろん、良くない予兆はここ何年も見えていた。Slingboxは2007年にEchoStarに3億8000万ドル(約400億5000万円)で買収された。2017年には新しいハードウェアの製造を中止し、衛星放送サービスのDish Networkのボックスにテクノロジーを直接統合することに主に取り組んでいた。同社のTwitterアカウントは2年近くツイートしていない。あなたのSlingboxがまだ動いているなら、代替を見つける余裕は長くてあと2年だ。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Slingboxテレビ

画像クレジット:Slingbox

原文へ

(翻訳:Kaori Koyama)