今週はSpaceX、Virgin Orbitなどの民間宇宙企業にとって重要な週となる

今週は民間宇宙企業関連で過去最大の週となりそうだ。特に重要なイベントはヴァージン・グループの宇宙企業であるVirgin Orbitのロケット空中発射とSpaceXの有人カプセル打ち上げだ。

Virgin Orbitがいよいよ実際に衛星を軌道に乗せた民間宇宙企業というエリートクラブに加入しようとしている。今週予定されているテストは実際に747旅客機を改造した母機に吊り下げたロケットを空中発射することを予定している。一方、SpaceXは有人のCrew Dragon宇宙カプセルを打ち上げる。これによって米国はスペースシャトルの退役後失われていた有人宇宙往還機能を獲得する。またFalcon 9は「有人宇宙飛行可能システム」と格付けされる。

Virgin Orbitがいよいよ最初の衛星実現を目指す

Virgin Orbit 87Virgin Orbiは当初、この5月24日に最初の衛星打上実験を行う予定だったが飛行前のチェックでセンサーに不具合が発見されて延期された。

非常に慎重なチェックが行われるのは、テストがこの上なく重大なマイルストーンを達成することになるからだ。成功すればVirgin Orbitは現役の「衛星打ち上げ企業」に認定される。この資格を主張できる企業は世界でも数えるほどしかない。

SpaceXが歴史的な有人飛行再開に向けて最終承認を得た

SpaceXは先週、同社として初の有人宇宙飛行に向けて最終リハーサルを行い、FRR(最終飛行準備審査)をクリアした。SpaceXは米国時間5月25日にパートナーのNASAと共同で実際の打ち上げに向けたFRRを実施する。これをクリアすればいよいよ5月27日の打ち上げに臨むことになる。もちろん天候や最終チェックによってこのスケジュールが変更される可能性がある。

三菱重工のH-IIBロケットは運用終了

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日本の三菱重工の主力衛星打上ロケットであるH-IIBはISS(国際宇宙ステーション)への物資補給を成功させ、補給船「こうのとり」は大気圏に再突入して消滅した。高い信頼性を誇ったH-IIシリーズだが、今回のミッションで運用は正式に終了し、後継のH3ロケットの打ち上げが2022年に計画されている。

NASAの有人宇宙飛行責任者が突然辞任

SpaceXとNASAの宇宙飛行士2名が新たな歴史を作ろうとしている中、NASAの有人宇宙飛行の責任者が先週突然辞任した。情報によればDoug Loverro(ダグ・ロベロ)氏はNASAの有人月面着陸プログラムにおけるビジネスパートナーの選定にあたってある種の不適切行為があったという。公式発表はなく詳細はまだ不明だ。

ザイリンクスが宇宙空間で稼働する機械学習チップを発表


Xilinx(ザイリンクス)は宇宙のような過酷な環境で作動するICチップに特化したメーカーだ。宇宙空間では激しい温度変化、強い放射線などに耐えなければならない。同社のFPGAプロダクトはこうした用途を前提としており、宇宙空間で作動するチップとして初めて20nmスケールを達成した。これは専用の機械学習機能を初めて搭載しており、エッジコンピューティングの概念を宇宙空間にまで拡張する画期的なプロダクトだ。

NASAは「アルテミス協定」で宇宙空間利用ポリシーの現代化を目指す

宇宙空間はこれまで概して平穏で国際的な紛争は少なかった。第一に宇宙空間に到達するのは困難かつ高価な計画であり、しかも現在、宇宙空間利用に関して適用されている条約やルールが作られた30年から40年前にはわざわざ宇宙空間に出ていくメリットも今ほど明確ではなかったからだ。NASAが発表した新しい宇宙空間利用ルールであるアルテミス協定(Artemis Accords)は現在のルールの多くを踏襲しているが、同時に宇宙利用ポリシーの現代化を図る側面もある。これは関係者の間で賛否の議論を巻き起こすことになるだろう。

ULAが米宇宙軍の実験宇宙機の打上へ

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2010年3月30日にフロリダ州タイタスビルの滑走路をX-37B 軌道実験機がテストのためにタクシー中(画像クレジット:Astrotech)

先週ULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)は米国宇宙軍のX-37Bの打ち上げに成功した。X-37Bは謎につつまれた実験的な軍用宇宙機で、新たに設置された宇宙軍として最初の打ち上げとなった。我々も報じているとおりX-37Bはこれまでに長時間飛行しているが、打ち上げは米国空軍が実施していた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ULA初の米宇宙軍向けロケット打ち上げをライブ配信

United Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ULA)は米国時間3月26日のミッションで、米宇宙軍のために特別な機密通信衛星を打ち上げる。これは昨年正式に発足した米軍の新たな宇宙部門で、現政権は宇宙における米国の資産を適切に保護する必要性が高まっていると主張している。

打ち上げはフロリダ州ケープ・カナベラルから実施され、打ち上げ時刻は米国東部夏時間で午後2時57分(日本時間3月27日午前3時57分)に設定されている。衛星を搭載するロケットはアトラスVで、3月26日の朝の時点では天候やシステムチェックの結果に問題はなかった。

これは、米軍向けに打ち上げられる6機目の超高周波(AEHF)衛星だが、宇宙軍が正式に発足したのはつい昨年なので、これまでの5機はすべて米空軍のもとに配備されている。最初の5機の衛星は2010年から2019年の間に打ち上げられ、6機の衛星は連携して空、陸、海を越えた軍事作戦にセキュアな通信機能を提供する、コンステレーションを形成することになる。

これはアトラスVにとって83回目の打ち上げとなり、この機体構成では11回目の打ち上げとなる。ULAはBoeing(ボーイング)とLockheed Martin(ロッキード・マーチン)が共同で設立した合弁会社で、現在のミッション成功率は100%となり、これまでに133回の打ち上げを実施している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAが有人宇宙飛行再開に向け12月20日にテスト機を打ち上げへ

NASAとボーイング、ボーイングとロッキード・マーティンの合弁宇宙事業であるULAは12月20日に、米国の有人宇宙飛行再開に向けた重要な打ち上げを予定している。OFT(軌道飛行テスト、Orbital Flight Test)はボーイング製のCST-100 Starlinerと呼ばれる乗員カプセルをULAのAtlas Vロケットで打ち上げ、ISS(国際宇宙ステーション)にドッキングさせる。これは有人宇宙飛行に向けた最後のテストの1つだ。

今週のミッションの目的

気象条件その他が許せば、現地時間で12月20日にULAのAtlas VがボーイングのCST-100カプセルを打ち上げる。このテストは簡単にいえば、来るべき有人飛行テストCFT(Crew Flight Test)のためのドレスリハーサルだ。OFTはもちろん極めて重要な打ち上げだが、ボーイングのStarlinerカプセルが実際の有人飛行を行うにあたっては、パラシュートシステムの信頼性テストをクリアしなければならない。また今回の打ち上げで得られたデータがすべて予期どおりであることを確認する必要がある。

【略】

今回のミッションではStarlinerカプセルはAtlas Vロケットの先端に取り付けられて高度180kmまで上昇し、そこでロケットから切り離され、カプセル自身のエンジンでISSに向かう。ISSの宇宙飛行士がカプセルをモニターし、ロボットアームでドッキングの最後の段階を助ける。ミッションとしては二次的重要性だが、カプセルには270kgの補給物資、装置が搭載されている。ペイロードがISSに移された後、カプセルはドッキングを解かれ、地球に帰還する。

ローンチ・ウィンドウ

打ち上げは米国東部時間12月20日午前6時36分(日本時間12月20日午後8時36分)にケープカナベラル空軍基地のSLC-41から発射される。天気予報は「80%程度可能」ということだ。

ローンチ・ウィンドウと呼ばれる打ち上げ可能な時間は予定時刻のみに限られており、この時刻になんらかの支障が起きれば21日ないし23日の予備日に切り替えられる。予定どおりに打ち上げられた場合、カプセルは翌日朝にISSにドッキングする。切り離しは28日に予定されている。帰還も今回のミッションでは重要な部分だ。

近づく有人飛行再開

すべてが計画どおり順調に進めばStarliner CST-100カプセルは有人宇宙飛行に向けて大きく前進する。上で述べたようにパラシュート・システムは安全規定をクリアするためにさらにテストが必要だが、各種のシステムの安全性が確認されれば、最初の有人飛行であるCFTミッションは「2020年の早い時期」に行われる予定だ。

米国時間12月18日に、ULAは移動式発射台をロールアウトし、Atlas Vロケットを発射予定地点に運んだ。NASA、ボーイング、ULAのエンジニアは発射のための最終調整に入っている。発射準備は2週間前からスタートしており、実際の発射を除くすべての手順がリハーサルされた

TechCrunchでも発射のもようをライブで中継する予定だ。またその結果についても情報を得しだい記事を公開する。

【Japan編集部追記】CST-100カプセルの着陸はニューメキシコ州ホワイトサンズ空軍基地をはじめ、米国本土西部の5カ所が候補となっており、9月に着陸テストが実施されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

米空軍の衛星打上選定はフェーズ2に、SpaceXがULAに先行

米国空軍は2022年から 2026年にかけて打ち上げられる安全保障用衛星の打ち上げ企業2社を選定する作業を進めている。現在この調達プロセスは「フェーズ2」に入り、SpaceX、Blue Origin、ULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)、Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)など米国を代表する民間宇宙企業のすべてが入札への参加を表明している。

この中で、Blue OriginとNorthrop Grummanは政府の衛星打上事業の分野では新顔だ。ロッキード・マーティンとボーイングの合弁事業であるULAと、イーロン・マスクのSpaceXは民間宇宙企業のトップであるだけでなく、安全保障衛星の打ち上げでも実績を積んでいる。両者を比べるとわずかだがSpaceXはULAに先行している。SpaceXのFalconが多数の衛星打上に成功している既存のロケットシステムであるのに対して、ULAが提案しているVulcan Centaurはまったく新しいシステムでそれぞれの打ち上げにテーラーメイドで対応できるが、認定も受けておらず打上実績がない。他社のシステムも認定を受ける段階に来ていない。

我々の取材に対し、SpaceXの社長で最高業務責任者(COO)であるGwynne Shotwell(グウェイン・ショットウェル)氏はメールで次のようにコメントしている。

SpaceX は衛星打上能力を長期的に提供するという点で空軍の期待に十分応えられると信じている。SpaceXのシステムはすでに認定を受け、現に稼働中のシステムであり、国家安全保障上必要とされるあらゆるミッションに対応した衛星打上が可能だ。

SpaceXは、Falconロケットが現在米空軍の衛星を打ち上げていることをライバルに対する優位性を確保するカギと見ている。同社は「(SpaceXを選定することが)米政府にとって打上の成功、コストなどを総合して最小のリスクとなる」と説明している。

米空軍が選定作業を完了し、2社を選定するのは2020年中の予定だ。

画像:Public Domain

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ULAが5機目となる米空軍の機密通信衛星を打ち上げ

Boeing(ボーイング)とロッキード・マーティンによって設立された民間打ち上げ企業のユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)は米国時間8月8日、衛星コンステレーションを構成する5機目のアメリカ空軍の通信衛星の打ち上げに成功した。コードネームでAEHF-5(5番目のAdvanced Extremely High Frequencyという意味)は、アメリカ空軍の地上施設と交信しており、ミッションが成功したことを示している。

これはULAにとって、これまで失敗なく100%成功しているアトラスVの90回目の打ち上げとなった。打ち上げは8月8日の早朝6時13分にケープ・カナベラル空軍基地から実施され、同施設から今週2回目(スペースXは人工衛星のAMOS-17を打ち上げた)の打ち上げ成功となった。

このミッションでは、アトラスVは551という構成が採用された。これは液体燃料ロケットの中央のコアブースターを囲んで、5基の固体燃料ブースターを装着したものだ。この構成により、約1万4000ポンド(約6.4トン)のAEHF-5を軌道へと投入するため、アトラスVは最大の打ち上げ能力を獲得した。

ロッキード・マーティンはアメリカ空軍のためにAEHF-5を製造し、メールにて静止トランスファ軌道への投入に成功しただけでなく、アメリカ空軍第4宇宙作戦飛行隊の計画通りに通信していることを確認した。現在稼働中の5機の衛星はすべて同社が製造し、今後は来年の6機目の打ち上げが予定されている。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

SpaceXの爆発事故が宇宙ビジネスに与える影響は


9月1日9時07分(東部標準時間)頃(日本時間1日22時07分)、SpaceX社が土曜日の打ち上げの準備のために行っていたルーチン着火テストの最中に壊滅的な爆発事故が発生した。

幸いなことに、負傷者は報告されなかったが、搭載貨物だったAmos-6衛星はFalcon 9と共に破壊された。約2億ドルの衛星Amos-6は、静止軌道へ打ち上げられ、Facebook主導のInternet.orgの一環として、アフリカの様々な場所にインターネット接続を提供する予定だった。

爆発の原因はまだ不明なものの、イーロン・マスクは、爆発が上段の酸素タンク付近で起きたことをTwitterで述べている。

Amos-6はFacebookの最初の衛星になる筈だった。現在アフリカに居るMark Zuckerbergは、Facebookのポストで爆発に対する失望を表明した。

マーク

ロケットの爆発が発生したときに、宇宙業界では3つの疑問が話題になる。最初は、爆発による損傷と原因の根本についてである。第二は、この爆発が原因となるであろうスケジュールの遅れと、影響を受ける他の顧客について。最後が、この爆発が打ち上げプロバイダの信頼性に与える影響についてである。

損害評価

今回、ロケットと搭載物の両者が破壊され、何百万ドルもの機器が灰燼に帰した。その上、ケープカナベラルのロケット発射台に対する重大な損傷があるだろう。幸いなことに、試験点火中の発射台には労働者がいなかったため、負傷者は報告されていない。

この損害は誰が負うのか?まあ、高価な搭載物を積んだロケットの場合、通常は宇宙保険会社がその大部分がカバーする。CNBCは「一握りの保険会社に、年間約7億5000万ドルほどの保険料が払われ、年間50件ほどの有保険打ち上げが行われています」と指摘している。

統計的に言えば、米国の打ち上げの9件に1件は失敗する可能性がある、よってもし1億ドルを超える搭載物を送り出そうとしているのなら、保険をかけることがおそらく賢明だ。SpaceX社に限って言えば、失敗率はより低くFalcon 9の29件の発射中ただ2件だけが失敗に終わっている(最初の失敗は2015年6月)。

しかしながら、今回のケースは非常に珍しいものである。なぜなら爆発がエンジンの点火前に起きているからだ。SpaceNewsのPeter B. de Seldingによれば、発射保険はエンジン点火後に初めて有効になるということだ。しかし、被害は海洋貨物保険として知られている別のタイプの保険によってカバーされる可能性がある。

しかし、これは発射台やSpaceXの車両、そして衛星をカバーするのだろうか?これがどのようになるかに関しては、私たちは成り行きを見守るしか無い。

スケジュールの遅れ

どのような企業にせよ、ロケットの失敗は遅延を招く。遅延の期間は原因の根本に依存している。もしそれがSpaceX社の技術的エラーの場合には、長期間の遅延が予想される。もしそれがSpaceX社側の人的エラーの場合には、遅延はおそらく短期間に留まるが、信頼性の高い打ち上げプロバイダとしての評判が傷つくおそれがあるだろう。

昨年の6月、国際宇宙ステーションに物資を運ぶFalcon 9ロケットが、発射後わずか数分で爆発した。このときはSpaceX社が最終的に打ち上げに戻るまでに半年かかっている。しかし、その復帰は派手だった:その復帰飛行は、初めてのロケット再着陸を行うものだったのだ。

今年、SpaceX社は2015年に比べて3倍の打ち上げを計画していた、これが意味することは、今回の爆発が後に控える自分たちの打ち上げにどのように影響するかを不安に思っている多くの顧客がいるということだ。

そうした顧客のひとつが米航空宇宙局(NASA)である。Falcon 9を使った国際宇宙ステーションへの貨物補給ミッションは、11月に予定されていた。SpaceX社は貨物契約以外にも、NASAの商業乗組員プログラムに、2社のうちの1社として選ばれている(もう1社はボーイング)。

SpaceX社は、もともと2017年の8月に、ISSへの同社による最初の有人打ち上げを提供することを計画していた。ボーイング社の商業乗組員のための機材の準備が遅れていたため、SpaceX社が宇宙飛行士を登場させて打ち上げる最初の民間企業なることが予想されていた。SpaceX社が遅延する可能がでてきたため、競争の行方は不透明なものになった。

Falcon Heavyロケットの初打ち上げと再着陸を行ったロケットの初再打上げ(両者とも本年後半に予定されている)といった、他のSpaceX社の大きなマイルストーンも、おそらく遅れることになるだろう。

信頼性への懸念

ロケット打ち上げの世界では、信頼性が至上命題である。あなたが仮に最も安いプロバイダーで、顧客が2億ドルの搭載貨物を託すのには不安を抱えていたとしても、それは変わらない。

SpaceX社は、最も安い打ち上げプロバイダの一つであるという特徴を押し出して事業を行って来た。例えばSpaceX社の直接の競争相手の1つであるUnited Launch Allianceと比べても、かなり安価である。ULAはその価格を公表してはいないものの、いくつかのケースで、顧客はULAの代わりにSpaceXを選択することで40%の節約を実現している。

しかしULAの高い値札は、搭載貨物が行くべきところに届く、という安心感をもたらしている。ULAは2006年以来、わずか2件の部分的な失敗を除き、ほぼ完璧な発射記録を保っているが、その一方SpaceX社は過去15ヶ月に2つの大きな失敗を経験している。

SpaceX社の信頼性についてどのような判断を下すにせよ、まずは今日の爆発について多くのことを学ばなければならない。しかし現時点での大きな疑問は;この失敗の真因は何であったのか、誰に落ち度があり、どれほど速やかにその原因を取り除けるのかである。

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(翻訳:Sako)

ロシア製ロケットの国防用購入への差止めを命令を, SpaceXが勝ち取る

民間宇宙ロケットのスタートアップSpaceXは先週、同社が合衆国空軍(USAF)を告訴したことを発表した。空軍は政府機関でありながら国防用ロケットの打ち上げを、航空機産業のトップ企業BoeingとLockheed-Martinの合弁会社United Launch Alliance(ULA)一社のみに、競争入札なく発注契約を結んでいる、というのが同社の訴件だ。Ars Technicaの報道によると、昨夜(米国時間4/30)SpaceXは、防衛関連事業における独占発注慣行との戦いにおいて、小さいが重要な勝利を勝ち取った。ULAによるロシアのロケットの購入が、裁判所による差止め命令を食らったのだ。

ULAは合衆国政府関連のロケット打ち上げに、打ち上げビークルとしてAtlas V、打ち上げ用ロケットとしてRD-180を使用してきた。それは同社が宇宙への打ち上げ〔軍事衛星など〕に使用している二種類のロケットのうちの一つだ。SpaceXの訴状は、これらのロケットを作っているNPO Energomashが実はロシア政府が完全に所有している企業であり、したがって同社のロケットの購入と使用は、ウクライナにおける侵略的な行動に対してアメリカが最近課した制裁に違反している、と主張している。

裁判所の命令は、合衆国財務省と合衆国商務省が、その取引は制裁を規定している大統領命令13661に違反しないと明言するまでは、ULAによるNPO Energomashとのいかなる商取引をも禁ずる、と言っている。

SpaceXのCEO Elon Muskは最初の記者会見で、“この時期にクレムリンに数億ドルを渡すのは間違っていると思う”、と述べた。また一般的に、アメリカの国防事業でロシアのロケットを使用することの妥当性についても、疑問を投げかけた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))