UNESCOの最新の報告書によると、モバイルデバイスは途上国における識字率の向上に貢献しうる可能性があり、しかもそれは今では、世界のほぼすべての人口に普及しつつある。それにまた、この件に関しては高価なタブレットやスマートフォンは必ずしも必要なく、むしろeブックリーダーはフィーチャーフォン上のものが多く使われている。
この報告書は、エチオピアとガーナ、インド、ケニア、ナイジェリア、パキスタン、およびインドの計5000名に対するアンケート調査の結果だ。“物理的な本が乏しいところでも、携帯電話は豊富にある。携帯電話は今でも主にごく基本的なコミュニケーションのために使われているが、しかしそれでも、いちばん簡単な携帯電話ですら長文のテキストへのゲートウェイだ”、と述べるこの報告書は、その作成にNokiaが協力している。同社は今でも、売上の相当部分がフィーチャーフォンなのだ。また、アジアとアフリカを対象とするモバイルの読書プラットホーム(無料の)Worldreaderも、この調査に協力した。
発行日が偶然にもWorld Book Dayと同じ日だったこの調査報告は、国連のデータを引用しつつ、世界の60億あまりの人びとが携帯電話を常用しているので、68億と言われる世界の総人口が、可能性としては読むための素材にアクセスできるのだ、と述べている。
回答者の18%は、eブックのプラットホームは携帯のデータ料金が高くて利用できない、と言っている。報告書によれば、Worldreader Mobileはデータを圧縮しているので1000ページの本のダウンロードに2~3セントしかかからないそうだ。データ料金が気になる18%に対して、50%はまったく気にならないと答えている。
携帯を使って読むことに熱心なのは、とくに女性である。携帯で本などを読む機会は、女性が男性の6倍に達する。モバイルで読書をしている人の77%は男性だが、読む時間は女性の方が多くて一か月に約207分、男性はわずか33分だ。調査対象となった親たちの1/3は、携帯電話を使って子どもに本を読んでやる機会がよくある、と答えている。
しかしまだ、おもしろいコンテンツが少ないという問題があり、回答者の60%は、それが携帯電話で何かを読むという行為の障害になっている、と答えている。Worldreader Mobile上のクリック数がいちばん多い人気コンテンツは、一位がロマンス(恋愛小説)、次位が宗教に関する本だ。もっとも多い検索語は、Harry Potter、Romeo and Juliet、Animal Farm、そしてTwilightだった。
Worldreaderは、元MicrosoftとAmazonの役員だったDavid Risherと、スペイン(バルセロナ)のビジネススクールESADEの元マーケティングディレクターColin McElweeが、2010年に創設した。同社の目標は、今年の終わりまでに100万人以上のモバイルユーザに同社の無料のeブックへのアクセスを提供することだ。
写真はWorldreaderのFacebook Pageより。
〔重要な訳注: 原文のコメントによると、携帯上の読書時間一か月207分は、207時間の間違い。…このコメントも、間違いのような気がするが(報告書原文[PDF]のp30(物理ページではp26)を見てください)。〕
〔余計な訳注: 携帯電話の常用による識字率の向上を、読書(既製の長文テキストを受動的に読むこと)のみに結びつけるのは、あまりに短絡的・視野狭窄的ではないでしょうか…。〕
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))