Virgin Orbitが12月に2回目の軌道実証打ち上げを計画中

小型衛星打ち上げサービスを提供予定のVirgin Orbit(ヴァージン・オービット)は、3月に行われた軌道上での重要な実証実験の打ち上げを、今年12月にやり直すことを目指している。同社は、従来の民間ジェット機を改造した中空ロケットを使って、小型衛星を低コストで打ち上げるサービスを提供することを目指している。

今回の打ち上げは、うまくいけば同社にとって初の試みとなるだろう。CNBCが同社の最高経営責任者(CEO)であるDan Hart(ダン・ハート)氏に話を聞いたところ、12月の目標は、テストミッションで飛ばすための新しいLauncherOne(ランチャーワン)ロケットの製造が進行中であることに基づいているスケジュールとのことだ。

LauncherOneは、Virgin Orbitトのキャリアクラフトにドッキングされており、その発射モデルはd747を改造したものだ。ジェット機で約4万5000フィート(約13.7km)まで上昇、その地点でロケットを切り離し、分離後にロケットは自らのエンジンに点火、残りの時間は自らの力で宇宙へと飛行という工程になる。ロケットがこの高度から地球の大気圏を離れるのは、地上打ち上げに比べてはるかに簡単だ。同社は現在利用可能な打ち上げ方法と比較して、コスト面で大きなメリットを提供できるようにしたいと考えている。

3月の打ち上げは、そのミッションに使用されたLauncherOneがエンジンを始動させた直後まで順調に進んだ。しかし、安全確保のためにエンジンが停止する障害が発生。ロケットはその後無事に地球に落下したが、完全に失われてしまった。

最初の軌道上での打ち上げの試みでこのようなミスは珍しいことではなく、実際にはほとんど普通のことだ。同社は、結果にかかわらず多くの素晴らしいデータを得たと説明しているので、うまくいけば次の試みが計画どおりに進むかもしれない。もしそうなれば、同社は来年の商用サービス開始に向けて軌道に乗ることになるだろう。

一方でCNBCの報道によると、同社は1億5000万ドル(約157億円)の新規資金調達も視野に入れているとのことで、今週のウォールストリート・ジャーナル紙の報道に反響している。

カテゴリー:宇宙
タグ:Virgin Orbit

画像クレジット:Mark Greenberg/Virgin Galactic / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Virgin Orbit初の軌道飛行テストは輸送機からの離脱直後に異常終了

米国時間5月25日、Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)は同社の軌道貨物打ち上げシステム初の完全飛行テストを行った。空中打ち上げロケット LauncherOne(ランチャーワン)の輸送機として、ボーイング747を改造した「Cosmic Girl(コズミックガール)」が使われた。Virgin Orbitはこれまでにも、Cosmic GirlとLauncherOneのテストやデモンストレーションを行っているが、全体を通したシステムテストはこれが初めてだった。しかし、テストは予定よりずっと早く、LuncherOneがCosmic Girlから飛び立った直後に終わることとなった。

Cosmic Girlは太平洋標準時正午(東部標準時午後3時)直前に、カリフォルニア州のMohave Air and Space Port(モハーヴェ航空宇宙空港)を飛び立った。操縦はチーフテストパイロットのKelly Latimer(ケリー・ラティマー)氏とコパイロットのTodd Ericson(トッド・エリクソン)氏が担当した。その後飛行機は目標切り離し地点へと飛び、LauncherOneは、予定時刻の太平洋標準時午後12時50分(東部標準時午後3時50分)に輸送機から「クリーンリリース」されたが、そのわずか数分後にミッションは「終了した」とVirginは伝えた。

Cosmic Girlの乗務員をはじめ従業員の安全は確認されたと会社は報告したが、残念な結果であったことは間違いない。それでもVirgin OrbitのCEOであるDan Hart(ダン・ハート)氏とVPのWill Pomerantz(ウィル・ポメランズ)氏は、新たな打ち上げシステムの最初のミッションは往々にして計画通り進まないものであると念を押し、そもそもテストするのはそのためだと語った。

Virgin Oneの軌道飛行テストの飛行計画マップ

それでも同社は多くの有用なデータをこのミッションからから得られるに違いなく、失敗の原因究明に役立つはずだ。ひと度、問題を修正したら、次のテストに向かうことは間違いなく、その時期は思っている以上に早いかもしれない。何故ならVirginは、打ち上げロケットのパイプライン化の取り組みに非常に熱心であり、代替機の飛行準備はほぼ完了しているからだ。

「輸送機を離れた後、LauncherOneロケットはブースターエンジンの点火に成功した。これは当社にとって初めての空中点火の試みだった」とVirgin Orbitが広報を通じて5月25日のミッションについて語った。「その後第一段飛行で異常が起こり、ミッションは安全のうちに終了した。輸送機のCosmic Girlおよび乗務員全員がモハーヴェ航空宇宙空港に無事着陸し、ミッションを終えた」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

今週はSpaceX、Virgin Orbitなどの民間宇宙企業にとって重要な週となる

今週は民間宇宙企業関連で過去最大の週となりそうだ。特に重要なイベントはヴァージン・グループの宇宙企業であるVirgin Orbitのロケット空中発射とSpaceXの有人カプセル打ち上げだ。

Virgin Orbitがいよいよ実際に衛星を軌道に乗せた民間宇宙企業というエリートクラブに加入しようとしている。今週予定されているテストは実際に747旅客機を改造した母機に吊り下げたロケットを空中発射することを予定している。一方、SpaceXは有人のCrew Dragon宇宙カプセルを打ち上げる。これによって米国はスペースシャトルの退役後失われていた有人宇宙往還機能を獲得する。またFalcon 9は「有人宇宙飛行可能システム」と格付けされる。

Virgin Orbitがいよいよ最初の衛星実現を目指す

Virgin Orbit 87Virgin Orbiは当初、この5月24日に最初の衛星打上実験を行う予定だったが飛行前のチェックでセンサーに不具合が発見されて延期された。

非常に慎重なチェックが行われるのは、テストがこの上なく重大なマイルストーンを達成することになるからだ。成功すればVirgin Orbitは現役の「衛星打ち上げ企業」に認定される。この資格を主張できる企業は世界でも数えるほどしかない。

SpaceXが歴史的な有人飛行再開に向けて最終承認を得た

SpaceXは先週、同社として初の有人宇宙飛行に向けて最終リハーサルを行い、FRR(最終飛行準備審査)をクリアした。SpaceXは米国時間5月25日にパートナーのNASAと共同で実際の打ち上げに向けたFRRを実施する。これをクリアすればいよいよ5月27日の打ち上げに臨むことになる。もちろん天候や最終チェックによってこのスケジュールが変更される可能性がある。

三菱重工のH-IIBロケットは運用終了

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日本の三菱重工の主力衛星打上ロケットであるH-IIBはISS(国際宇宙ステーション)への物資補給を成功させ、補給船「こうのとり」は大気圏に再突入して消滅した。高い信頼性を誇ったH-IIシリーズだが、今回のミッションで運用は正式に終了し、後継のH3ロケットの打ち上げが2022年に計画されている。

NASAの有人宇宙飛行責任者が突然辞任

SpaceXとNASAの宇宙飛行士2名が新たな歴史を作ろうとしている中、NASAの有人宇宙飛行の責任者が先週突然辞任した。情報によればDoug Loverro(ダグ・ロベロ)氏はNASAの有人月面着陸プログラムにおけるビジネスパートナーの選定にあたってある種の不適切行為があったという。公式発表はなく詳細はまだ不明だ。

ザイリンクスが宇宙空間で稼働する機械学習チップを発表


Xilinx(ザイリンクス)は宇宙のような過酷な環境で作動するICチップに特化したメーカーだ。宇宙空間では激しい温度変化、強い放射線などに耐えなければならない。同社のFPGAプロダクトはこうした用途を前提としており、宇宙空間で作動するチップとして初めて20nmスケールを達成した。これは専用の機械学習機能を初めて搭載しており、エッジコンピューティングの概念を宇宙空間にまで拡張する画期的なプロダクトだ。

NASAは「アルテミス協定」で宇宙空間利用ポリシーの現代化を目指す

宇宙空間はこれまで概して平穏で国際的な紛争は少なかった。第一に宇宙空間に到達するのは困難かつ高価な計画であり、しかも現在、宇宙空間利用に関して適用されている条約やルールが作られた30年から40年前にはわざわざ宇宙空間に出ていくメリットも今ほど明確ではなかったからだ。NASAが発表した新しい宇宙空間利用ルールであるアルテミス協定(Artemis Accords)は現在のルールの多くを踏襲しているが、同時に宇宙利用ポリシーの現代化を図る側面もある。これは関係者の間で賛否の議論を巻き起こすことになるだろう。

ULAが米宇宙軍の実験宇宙機の打上へ

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2010年3月30日にフロリダ州タイタスビルの滑走路をX-37B 軌道実験機がテストのためにタクシー中(画像クレジット:Astrotech)

先週ULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)は米国宇宙軍のX-37Bの打ち上げに成功した。X-37Bは謎につつまれた実験的な軍用宇宙機で、新たに設置された宇宙軍として最初の打ち上げとなった。我々も報じているとおりX-37Bはこれまでに長時間飛行しているが、打ち上げは米国空軍が実施していた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

空中水平発射のVirgin VOX Spaceが米宇宙軍の契約獲得、最終テストへ

Virginグループの政府機関向け宇宙企業、VOX Spaceは米国が新設した宇宙軍から契約を得るという重要な成果を挙げたと発表した。米国時間4月10日の発表によれば、同社は実際の打ち上げを向けて最終テストに進むという。

米宇宙軍との契約は総額3500万ドル(約38億円)で3回の衛星打ち上げのためのものだ。 プログラムS28と呼ばれる米国防省の低軌道を周回するテクノロジー実証衛星のための打ち上げを行う。衛星総数は36基が予定されており、「宇宙における識別と通信の進歩を図り、宇宙軍の将来の発展の基礎を構築する」ものとなるという。

米宇宙軍および英国政府イスラエル政府向けの同種の打ち上げはスケジュールとして必ずしも差し迫ったものではない。VOXはまだテスト段階にあり、衛星打ち上げは2021年となる予定だ(詳細についてさらに取材中なので新たな情報が得られればアップデートしたい)。

Virginグループの宇宙企業、VOX SpaceVirgin Orbitは、他の衛星企業とは異なり、ロケットをボーイング747に吊り下げて上空に運ぶ。この発射方式はまだ実証されていないが、地上施設としては発射台を必要とせず747が離陸できる滑走路さえあればよい。打ち上げスケジュールの柔軟性、迅速性に優れている有望なテクノロジーだ。

長年にわたる開発とテストの後、Cosmic Girl(発射母機)とLauncherOne(ロケット)はほぼすべての準備を完了させた。

Voxは極低温搭載吊り下げ飛行という最後のリハーサルを計画している。 この飛行ではロケットのタンクに極低温の液体酸素が搭載されるなどほぼすべてが実際の打ち上げ時と同様となる。エンジンに点火し実際に衛星を打ち上げるテストは2020年後半に予定されている。

もちろん世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)の流行は、Vox Spaceにも影響を与えている。同社は、次のテストの準備が完了したことを発表するブログ記事でこの点についても説明している。

他のビジネス同様、Vox Spaceの計画も大幅に混乱させられており、スケジュールには未定部分が多くなっている。しかしVOXの最終テストと最初の商用打ち上げの具体的なスケジュールも近く発表されるはずだ。

画像クレジット:Virgin Orbit

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Virgin Orbitが大分空港にアジア初のスペースポートを整備へ

Virgin Orbit(ヴァージン・オービット)は現在、新型コロナウイルス(COVID-19)と対峙する医療従事者をサポートするために人工呼吸器の製造に注力しているが、それとは別に小型衛星の打ち上げ事業を支えるインフラの構築にも取り組んでいる。そして同社は新たに大分県と提携し、水平発射ロケットの母機を離着陸させるためのスペースポートを整備すると発表した。

同社はANAホールディングスとスペースポートジャパンの協力を得て、アジア初となる発射場として大分空港を想定しており、早ければ2022年には同空港からのミッションを開始する予定だという。

大分空港での計画が実現するまでには、地元自治体との連携による技術調査や候補地の利用に関する可能性を判断するための調査など、いくつかのステップを踏まなければならない。大分にはすでに東芝や新日鉄、キヤノン、ソニー、ダイハツなど多くの企業の施設があるが、宇宙産業への進出は初めてで同県は今後も同分野へと注力したいとしている。

「日本で初めてとなる水平離着陸型のスペースポートの整備に期待している。そして、小型衛星を使って地球規模の問題を解決している勇敢なテクノロジー企業と協力できることを、光栄に思う」と、大分県の広瀬知事はプレスリリースで述べている。「ヴァージン・オービットとのコラボレーションを皮切りに、大分県での宇宙産業の集積を促進していきたいと考えている」。

同社は今年中に軌道への小型衛星輸送の初の実証ミッションを準備しているが、その取り組みをさまざまな方法で世界中に拡大しようとしている。同社は、英国市場向けにコーンウォールのスペースポートからの打ち上げサービス計画を発表し、グアムでの拠点の設置も検討している。

同社が採用している水平打ち上げモデルは、従来の空港のインフラやプロセスを活用してずっと簡単に発射場を設置できることを意味し、これにより小型衛星の打ち上げサービスを検討している国に対して、基本的にはオンデマンドでの打ち上げ能力を提供できる。これは大きなセールスポイントであり、大分との提携によってアジア初の同社のスペースポートが開設されることは、日本にとっても大きな利益につながる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Virgin OrbitがISIと提携し諜報、防衛機関向けの迅速な衛星打ち上げサービス提供へ

小型衛星の打ち上げを手がけるVirgin Orbit(ヴァージン・オービット)はイスラエルのImageSat International(ISI)と提携して、小型衛星による観測を驚くほど短時間でかつ、ほぼ世界中のどこででも展開できる打ち上げサービスを提供する。これは特に、国家安全保障や諜報関連の顧客を対象としたサービスで、ISIのリモートセンシングの専門知識や運用能力と、Virgin Galactic(ヴァージン・ギャランティック)のLauncherOneシステムを使用し、基本的にどのような宇宙関連施設からでも短期間で打ち上げられる能力を兼ね備えている。

LauncherOneは、ジャンボジェット機を改良した航空機によって係留された後に、2段式ロケットを使って小型衛星(660ポンド、約300kg以下のペイロード)を低軌道に投入する。LauncherOneを高高度に運ぶことで、打ち上げにかかる燃料コストを削減し、また打ち上げごとにわずか1200万ドル(約13億円)で小型のペイロードを宇宙に送ることができる。

ヴァージン・ギャラクティックとISIによるこのシステムは、独自設計の衛星による観測が必要な顧客である諜報機関や防衛機関のニーズを満たすために最適な方法であり、また時限的な状況に対処するためには、迅速な対応が必要であると主張している。確かに、国家偵察局(NRO)のような機関は迅速な打ち上げという要求を満たすベンダーを探しており、特に「Rapid Acquisition of a Small Rocket(RASR)」と呼ばれるプログラムを導入し、これを調達している。また、ロケット打ち上げスタートアップのRocket Lab(ロケット・ラボ)は、2020年最初のミッションをこのプログラム下で実施すると発表しており、Virgin OrbitとISIの提携と競合しそうだ。

高解像度の衛星画像と、そのデータ分析サービスを組み合わせたオンデマンド打ち上げシステムの提供は、国家安全保障機関にとって魅力的なサービスとなりうることは間違いない。ヴァージン・オービットはロケット打ち上げのための重要なハードルをクリアする必要があるが、すべてが計画通りに進めばそれも2020年中に実現するはずだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

英宇宙局がVirgin Orbitの小型衛星打ち上げ施設に約10億円助成

Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏の小型衛星打ち上げ会社であるVirgin Orbitは11月6日、英宇宙局(UKSA)から助成金735万ポンド(約10億円)の最終承認を得たと発表した。この助成金は、Virgin Orbitが英国南西部のコーンウォールに置く打ち上げ施設の建設に使われる。Virgin OrbitはSpaceport Cornwallという名称のコーンウォール空港ニューキーの一部になることが予定されている新たな打ち上げサイト建設について、助成金と建設の承認を待っていた。

このサイトはVirgin Orbitにとって英国での打ち上げ拠点となる。英国での打ち上げ、そして英国企業が建設から打ち上げまですべてを英国内で行うことを可能にする。Virgin Orbitはまた、移動式の「地上オペレーティグシステム」の開発にも取り組んでいる。これは本質的に、ロケットLauncherOneのミッションをサポートする地上職員を置くことができる牽引トレーラーだ。ロケットLauncherOneは小型ペイロードの高高度打ち上げを行う。

Virgin Orbitは、億万長者のブランソン氏が創設したVirginブランド宇宙開発企業2社の1つだ。もう1つのVirgin Galacticは投資会社Social Capital Hedosophiaとの合併を通じて公開企業となった。Virgin OrbitもVirgin Galacticも、高高度打ち上げプラットフォームとして中古の改造した航空機を利用する。高高度で打ち上げられたロケットはその後宇宙に到達する。Virgin Orbitの打ち上げシステムは小型衛星を軌道に乗せるためのもので、一方でVirgin Galacticの母船は、客が乗り込んだロケットを大気圏の端まで連れて行くようにデザインされている。

Orbitの商業展開は売上と儲けに直結する。というのも、SpaceXRocket Labを含む同業他社がオンデマンドで打ち上げる事業を構築していて、打ち上げの大半を小型衛星が占めるからだ。Spaceport Cornwallの建設が順調に進めば、Virgin Orbitは早ければ2021年に打ち上げる。

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(翻訳:Mizoguchi)

Virgin Orbitが火星への初の商業小型衛星の打ち上げを計画

Richard Bransons(リチャード・ブランソン)氏が率いる小型人工衛星打ち上げ企業のVirgin Orbit(ヴァージン・オービット)は米国時間10月9日、商業用のキューブサット(小型人工衛星)を火星に投入するミッションを、初めて遂行すると発表した。Virgin Orbitはポーランドの人工衛星企業のSatRevolutionと共同でコンソーシアムを設立し、同国の学術機関と共同で少なくとも1機、最大3機の火星へと向かう小型人工衛星の打ち上げに取り組んでいる。

このコンソーシアムは、2機の小型衛星を火星へと投入した、2018年のNASAのJPL(ジェット推進研究所)の火星探査ミッション「MarCO」に連なるものだ。MarCOの初期研究では、50kgかそれ以下の重量の人工衛星でも火星とそれを周回するフォボスの画像収集を含め、有意義な科学調査が可能であることを示した。Virgin Orbitによると、同社が打ち上げる人工衛星は火星の大気組成に関する重要な情報や地下の水を探査することもできるという。

ワルシャワをベースとするSatRevolution(サットレボリューション)は商業宇宙産業にて経験があり、今年4月にはポーランド初の商業用小型衛星を軌道へと送った。このミッションにはAGH科学技術大学とワルシャワ工科大学、その他にも多くの大学が関与しており、宇宙産業における研究の経験も持っている。今回の計画では大学とSatRevolutionが開発した宇宙船をボーイング 747-400を改造した母艦から、Virgin OrbitのLauncherOneロケットにて打ち上げる。

Virgin Orbitは今年中に最初の軌道ロケットの打ち上げを計画しており、それに備えた最終テストをおこなっている。同社は実際には動作しないロケットをボーイング 747-400の主翼から投下する重要な試験を成功させており、早ければ来年にも英国からロケットを打ち上げる契約に署名している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

高高度飛行ジェット機からのロケット打ち上げでVirgin Orbitと英国空軍が合意

億万長者のRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏が率いる小型人工衛星打ち上げ会社のVirgin Orbit(ヴァージン・オービット)は、英国空軍(RAF)の小型人工衛星の打ち上げに関する初期契約に署名した。この契約は英国空軍のArtemisプロジェクトの一環であり、Virgin Orbitは英国のGuildfordをベースとするSurrey Satellitesのハードウェアを、デモミッションとして打ち上げる予定だ。

これは、英国に人工衛星の打ち上げ能力を提供したいというVirgin Orbitの意向とも一致している。英国は1971年に自国のロケットにより人工衛星を打ち上げたが、その射場はオーストラリアに設置された。Virgin OrbitはCornwallにスペースポートを設置すると発表しており、2020年代前半に改修されたボーイング747からロケットを打ち上げる予定だ。

Virgin Orbitの打ち上げ方法は地上ロケットを含んでいない(必要なのは伝統的な飛行場だけ)ので、コストを考えると大きなメリットがある。基本的にはボーイング747の主翼に小型ロケットが装着され、高高度にて分離し、軽いペイロードを搭載して地球の低軌道へと比較的に短い距離を飛行するのだ。

この方法では、大きくて重い人工衛星を宇宙へと打ち上げることはできない(皮肉なことに、政府や軍関連ではそれが一般的なのだが)。しかし、製造や打ち上げ価格の両面でコスト的なメリットがあり、人気の高まる小型人工衛星の打ち上げには最適だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Virgin Orbitがボーイング747からのLauncherOneロケット空中投下テストに成功

リチャード・ブランソン氏が率いる宇宙企業であるVirgin Orbitが、商用衛星打ち上げに向けて大きく一歩前進した。同社はコスミックガールと命名されたボーイング747からLauncherOneロケットを切り離して投下するテストに成功した。これは衛星の空中発射に必須のステップだった。

LauncherOneの切り離しは実際の打ち上げ同様、高度は3万5000フィート(約1万m)で実施されたが、これは商用旅客機の通常の巡航高度だ。これ以前にVirgin Orbitでは打ち上げをシミュレーションしてボーイング747にロケットを吊り下げてこの高度を飛ぶテストを行っていた。空中発射はSpaceX などの地上発射に比べてエンジン推力と燃料を節約でき、打ち上げコストの低減に役立つことが期待されている。

今回のテストではLauncherOneロケットのエンジンには点火されなかった。実は用いられたのは空力と重量を同一にしたダミーでボーイング747から投下された後、弾道飛行してモハーベ砂漠のエドワーズ空軍基地の定められた地点に落下した。

今回のテストの主眼はロケットが予定どおり母機の翼から安全に切り離せることの確認だった。またダミーに設置された多数のセンサーにより、自由落下中のダミーの飛行の挙動の詳細なデータも得られたという。

Virgin OrbitはVirgin Galactic と並ぶVirginグループの宇宙企業の1つで、Virgin Galacticが有人宇宙旅行の実現を目的とするのに対してOrbitは低コストで小型の商用衛星を打ち上げようとしている。Galacticは今週、上場を目指していることを明らかにした。小型衛星の打ち上げはRocket Labのプロジェクトがライバルとなるだろう。こちらは伝統的な地上発射モデルだ。

Virgin Orbitではこの後、実際の衛星打ち上げに用いるロケットを組み立てる。最初の空中発射は今年中に予定されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Virgin Orbitの747、ロケット吊り下げ飛行に成功――LauncherONe衛星打上システムさらに前進

Virgin OrbitはLauncherOne発射母機のロケットを吊り下げて飛行することに成功した。これによりVirginグループの宇宙事業は新しい低軌道衛星打ち上げシステムの実現に向けてさらに一歩前進した。

この発射母機はVirgin航空を退役した747-400を改造したものだ。発射母機が翼下に全長21メートルのカーボンファイバー製の2段ロケットを吊り下げて飛行できることが実証された。

Virgin Orbitが来年に予定している実際の衛星打ち上げに向けてこのテストは必須の段階だった。

テスト飛行はカリフォルニア州ロングビーチの Virgin Orbit工場に近いモハーベ・エア・スペースポートで行われた。実際の衛星打ち上げもこのスペースポートが利用される予定だ。

Virgin Orbitのチーフ・テストパイロット、Kelly Latimer空軍中佐(退役)は声明で「今日の飛行は万事順調だった。機上のクルーも地上のスタッフも機体、吊り下げパイロン、ロケットそのものから得られたデータに大いに満足した。コックピットからの感触では機体は信じられないほどスムーズに反応した。シミュレーターで訓練されたとおりの反応だった」と述べた。

同社では、LauncherOneロケット搭載、非搭載、双方の状態で747-400母機の飛行テストをさらに数回続けるという。山場はドロップ・テスト、すなわち747母機(Cosmic Girlと命名されている)からロケットを実際に投下する実験だ。

ドロップテストでは747側システムの状態と共に自由落下状態のロケットの挙動についても詳細なデータを収集する。

 

Virgin Orbitは最近急速に数を増やしつつある低軌道衛星打ち上げを目指す民間企業の一つだ。これにはVirgin Orbitを始め、RocketLab、Relativity Space、ARCA、AstroSpace、Blue Origin、Generation Orbitに加えてロッキード・マーティンやノースロップ・グアマン(Orbital ATK)などの大企業も加わり、巨額の投資が行われている。

画像: Virgin Orbit

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滑川海彦@Facebook Google+

アメリカ国防省、Virgin Orbitと試験飛行契約――747ベースのLauncherOneがいよいよ空へ

アメリカ国防省はVirgin OrbitのLauncherOneのプロトタイプのテスト飛行を契約した。Virgin Orbitが今日(米国時間11/15)発表したところによれば、国防省は同社の地球低軌道打ち上げ能力を調査するためだという。

LauncheOneのマニフェストには国防省の宇宙テストプログラムが掲載されており、実際の打ち上げは早ければ2019年1月にも実施されるという。

この契約は、国防省の宇宙ミサイルシステムセンター高度システム開発局とDefense Innovation Unit Experimentalを通じて締結された。相手方の Vox Spaceは、われわれがすでに報じたとおり、この種の政府契約を処理するために設立されたVirgin Orbitの子会社だ。

LauncherOneはVirgin Orbitが開発している再利用可能な空中発射プラットフォームで、ボーイング747を改造のベースとしている。この母機に使い捨ての衛星打ち上げロケットを吊り下げ、高空で発射するという仕組みだ。

Virgin Orbitはロングビーチの製造工場でテスト用ロケットの組み立てを完了しており、747改造の発射母機はテスト飛行の準備中だ。

テスト飛行が成功すれば、次には技術デモ衛星の実験打ち上げを行い。Virgin Orbitが低価格で低軌道に衛星を投入する能力、また随時、迅速に打ち上げ要求に答える能力などがテストされるはずだ。【略】

Virgin Orbitもこれでやっと空に飛び立つことができそうだが、われわれが報じたとおり、SpaceXは、Falcon 9による衛星打ち上げを16回成功させ、今回は国防省がノースロップ・グラマンを介して発注した極秘のペイロードを搭載した17回目の打ち上を準備 している。

そうではあっても、物事はどこからか始めなくてはならない。Virgin Orbitの得た契約がそれになるのだろう。

安全保障関係の政府の宇宙契約の窓口となっているVOXの社長、Mandy Vaughnは「LauncherOneは〔747の改造であるため〕多数の機体を短期間で製造可能だ。空中発射システムは商業的に魅力的なサービスを提供してきた。今回の国防省との契約により、われわれはこの能力を実証できることとなった。ここで空中発射による衛星打ち上げのための新しい優れた方法を実証できると期待している。国防省が示しているイノベーションと創造性を高く評価するものだ」と述べた。


〔日本版〕トップ画像はLancherOneに搭載予定のテスト用ロケット。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Virgin Galactic、動力飛行テストを再開――2018年には商用宇宙旅行開始を目指す

Virgin Galacticが宇宙往還機の動力飛行のテストを再開する。2014年に副操縦士のMichael Alsburyが死亡した悲劇的事故以来SpaceShipTwoのの動力飛行は中断されていた。テストの再開はVirgin Galacticのファウンダー、リチャード・ブランソンがBloombergのインタビューの内容を共有したことで確認された。

現在実施中の滑空飛行の結果が集約された後は、3週間に1回のペースで動力飛行が行われる予定だ。テストは徐々に高度を上げ、今年11月か12月には宇宙との境界となる高度まで飛行するという。すべて順調に運べば、2018年半ばにブランソン自身が最初の乗客となって最初の宇宙飛行を行う。ブランソンは最終的にはこの機体で有料商用宇宙旅行を実現させようとしている。

2014年の事故以来、沈黙していたVirgin Galacticだが、今回初めて具体的な商用宇宙旅行計画が明らかにされた。ブランソンはBloombergに対し、計画の遅延とジェフ・ベゾスのBlue Originやイーロン・マスクのSpaceXなど民間宇宙企業の躍進にもかかわらず、「(ライバルがいくらあろうと)十分な数の宇宙旅行機を製作することはできない」と需要が旺盛であることを強調した。

Virgin Groupは現在Virgin Orbitとよばれる衛星打ち上げとロジスティクスを行う会社を所有している。同社は最近VSS Unityと呼ばれる機体の滑空実験を行い、成功させている。今後動力飛行の実験に移り、最終的にはこの機体から小型衛星の打ち上げを成功させたい考えた。

〔日本版〕Virgin Orbitの機体は専用のボーイング747、Gosmic Girlに背負われて成層圏に上がり、動力飛行して衛星を放出、軌道に乗せることが目的。SpaceShip IIは弾道軌道の有人商用宇宙飛行が目的で、双胴タイプのジェト機に吊り下げられ、上空で分離する。下は事故前にVirgin Galacticが公開したビデオ。

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