IBMとAppleの提携がいよいよ動き出した―ヘルスケア、航空などエンタープライズ・アプリ8種類リリース

エンタープライズ向けモバイル・アプリの開発でのAppleとIBMの提携がいよいよ成果物を出し始めた。今日(米国時間4/1)新たに、iOSデバイス向けエンタープライズ・アプリが8種類発表され、MobileFirstプロジェクトのアプリは合計22種類となった。

今回のリリースで特に注目されるのはヘルスケア関連アプリだが、 以前のはプレス発表のとおり、AppleとIBMの提携はバンキング、ホテル、航空機、運輸、財務、エネルギー、法執行、小売、保険などの分野に広がっていくだろう。

IBMは今回の新アプリのリリースにあたって公式発表は行わないことを確認した。これはヘルスケア関連アプリに関しては、今月開催予定のHiMSS〔アメリカ・ヘルスケア情報管理システム協会〕のカンファレンスで詳しい説明を行う予定だからだという。

今回発表された8分野のアプリのうちではヘルスケア関連アプリがもっとも重要なものだろう。Hospital RNというiPhoneアプリでは病院の既存の情報システムとiPhoneを接続し、医師や看護師など職員は入院から退院までiPhoneアプリから必要な患者情報へのアクセスと管理ができる。これによって患者情報管理を効率化し、職員の負担を軽減するのが狙いだ。これにはさらにAppleのiBeaconテクノロジーが用いられ、患者の病室位置情報が利用される。職員が病室に近づくとその患者の情報が自動的に表示される。

iPad向けHospital Lead、iPhone向けHospital Techなど業務の優先順位を判定、管理することに特化したアプリもある。iPhoneアプリのHome RNは、看護師が患者の自宅など病院外でヘルスケア業務を行うのをサポートする。

ヘルスケア関連以外のアプリでは、iPad向けRapid Handoverは工場などの交代制職場の職長が設備のメンテナンスや製造目標などの情報を従業員と迅速かつ効率的に情報を共有し、生産性を向上させるのが目的だ。iPad向けOrder Commitアプリは小売業向け、Risk Inspectは損保業界向けのアプリで、iPadのカメラを利用して効率的に損害報告書が作成できる。

もうひとつ、航空会社向けアプリも発表された。IBMは 今年に入って、遅延やキャンセルとなったフライトの乗客を別のフライトに移す手続きを簡単にできるようにするエアライン向けアプリを開発していると発表した。このアプリが今回、iPhone向けにAncillary Saleという名前でリリースされた。またこのアプリでは客室乗務員が機内で席のアップグレードや機内販売を行うことができる。

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昨年発表されたAppleとIBMの提携の主な目標は、コンシューマ向けのソフトウェアの使いやすさをエンタープライズ向けサービスに導入することだ。エンタープライズ・ソフトウェアでは往々にしてユーザー体験が置き去りにされ、遅く、使いにくいものになっている。ここ数年「ITのコンシューマ化」が大きなトレンドになっているので、IBMがAppleとの提携によりこうした動きに先駆けようとするのは不思議ではない。一方、AppleとしてもIBMと提携して大企業のITシステムにiOSアプリが採用されることはiPhoneとiPadの企業向け売上を伸ばす効果が期待できるわけだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

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TechCrunch Japan

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