GoogleのBERTアップデートはコンテンツマーケティングにどのような影響を及ぼすのか?

2019年10月末にGoogleはBERTと呼ばれるアップデートを導入したことをアナウンスしました。検索キーワードの10分の1に影響を与えるという発表もあり、多くの注目を集めました。

BERTとは「検索キーワードとコンテンツの理解をより良く行えるようになる」という技術となりますが、具体的にはどういった変化があったのでしょうか。

BERTがもたらした変化とSEO担当者としての考え方を、ニール・パテル氏が提案している記事を紹介いたします。

GoogleはBERTと呼ばれる新しいアップデートをロールアウトしていると発表した。

みなさんがお考えのことは、手に取るようにわかる。果たして、このアップデートは重大なのか。詳細を学ぶために時間を割くべきなのか。

BERTは検索クエリの10分の1に影響を与える。

このアップデートの規模を知るための表現がある。今回のアップデートは、GoogleがRankBrainをリリースしてから最も大きなアップデートである。

言い換えれば、このアップデートがあなたのサイトに影響を与える可能性は十分に考えられるということだ。そして、まだ影響が見られなくとも、トラフィックが増大するにつれ、いずれは影響を受けることだろう。

しかし、このアップデートがSEOに与える影響や、どのように対応すべきかを知る前に(もちろん、これらについては後述する)、まずは今回のアップデートの内容を知ることから始めてみよう。

BERTとは何か

BERTは「Bidirectional Encoder Representations from Transformers」の略称である。

おそらく多くの人が困惑するだろう。この言葉は一体何を意味しているのか、と。

結論を言うと、Googleはより良い自然言語処理を行うために、アルゴリズムを調整したのだ。

このように考えてみてほしい。

フライト番号をキーワードにGoogleで検索を行う。すると、そのフライトの情報が表示されるだろう。また、何らかの計算式で検索すると、計算機のモジュールが表示され、何らかの銘柄記号で検索すれば、株価のチャートが表示されるだろう。

さらにシンプルな例を挙げてみよう。Googleにキーワードを入力すれば、そのキーワードを完全に入力する前に、オートコンプリート機能はあなたが検索しようとしているキーワードを表示してくれる。

しかし、こうした機能はBERTアップデートの前からGoogleは提供している。では、BERTが実際にどのような働きをしているかを見ていこう。

BERTはユーザーにとって有益なアップデートなのか

GoogleはBERTの例を4つ提供してくれている。

まずは、「2019年 アメリカに旅行するブラジル人 ビザ 必要(2019 brazil traveler to usa need visa)」という検索結果だ。

BERTが導入される以前は、「アメリカ人がブラジルに旅行する場合、ビザは必要かどうか」といった内容の記事が上位に表示されていた。しかし、検索キーワードを注意深く見てほしい。僅かだが、意味を大きく変えてしまう違いがあるのだ。

この検索は、アメリカ人がブラジルに行く場合における検索ではない。ブラジルからアメリカへの旅行を計画している人による検索なのだ。

BERT導入以降の検索結果の方が、より関連性が高まっている。

Googleは「for」や「to」などの前置詞を考慮に入れている。そして、こうした前置詞は、検索キーワードに対し、大きな意味を持っているのだ。

他の例を見てみよう。「エステティシャンは仕事中立つことが多いか(do estheticians stand a lot at work)」という検索の場合だ。

かつて、Googleはキーワードとの合致を優先してきた。例えば、「立つ(stand)」を「独立する(stand-alone)」と同じ意味で捉えていたのだ。

現在は、上記のキーワード内にある「立つ(stand)」が身体的要求の意味で使われていることを理解している。

言い換えれば、「この仕事は大変疲れる仕事なのか?」「ずっと立ち続けなければならないのか?」といった意味で使われていることを理解しているのだ。

さらに別の例を見てみよう。「誰かの代わりに薬局で薬を購入できるのか(can you get medicine for someone pharmacy)」という検索の場合だ。

上記の比較画像から分かる通り、新しい検索結果の方が関連性は高くなっている。

最後の例は、「算数 練習帳 大人用(math practice books for adults)」という検索の場合だ。

※before:6~8年生向けの数学の教材 after:数学を忘れてしまった人向けの再学習教材

BERTは検索順位以外への影響を及ぼすのか

違いはこれだけではない。Googleは強調スニペットにも変更を加えている。

例えば、「パーキング 坂 縁石なし(parking on a hill with no curb)」と検索した場合、かつてのGoogleは必要以上に「坂(curb)」という単語に注視しており、「なし(no)」という単語への注視は十分ではなかった。

※beforeが”縁石のある”坂を表示しているのに対し、afterは”縁石のない”坂への駐車方法を表示している

検索結果を比較してみると、その違いは明らかだろう。

今回のアルゴリズムの更新がもたらした変化は、検索者にとってより関連性のある検索結果を提供するようになった。そしてそれは、Googleを使用する全てのユーザーにとって、より良い体験を作り出している。

しかし、BERTはSEO戦略にどのような影響を与えるのだろうか。

Web担当者は自身のSEO戦略を変更する必要がある

ユーザーが検索をする際、検索キーワードは一般的に次の3つに分けられる。

  1. インフォメーショナル(情報型)
  2. ナビゲーショナル(案内型)
  3. トランザクショナル(取引型)

インフォメーショナルに分類されるキーワードは、体重を減らす方法を探しているユーザーが使用するようなキーワードだ。そうしたユーザーは、体重を減らす方法を知らない。そのため、「体重を減らす方法(how to lose weight)」と検索するのだ。

こうした検索を行うと、いくつかの異なるダイエットの方法が提供されるだろう。この段階からは、方法の詳細を検索することになる。例えば、「アトキンスダイエット(Atkins diet)」というキーワードとなるが、こうしたキーワードはナビゲーショナルに分類される。

最適な方法を発見した後は、トランザクショナルに分類される検索キーワードが用いられるだろう。例えば、「アトキンスダイエット 料理本(the Atkins diet cookbook)」といった具合だ。

BERTは主にファネルの上位に位置するキーワード、つまり、「インフォメーショナルに属するキーワードに影響を与える」ということが重要だ。

さて、あなたが現在のランキングを維持するだけでなく、競合サイトよりも上位に表示させたいと願うならば、非常に詳細で具体的に書かれたコンテンツを用意することがシンプルな方法となる。

インフォメーショナルに分類されるキーワードで上位に表示させるにあたり、最も簡単な方法を尋ねた場合、非常に長いコンテンツの作成を勧めるSEO担当者もいるだろう。

実際、非常に長いコンテンツがGoogleの検索結果で上位に表示されるケースはよく目にする。しかし、Googleのアルゴリズムは単語数を注視しているわけではなく、コンテンツの品質を注視している

ダニー・サリバン:
正直なところ、ランキング要因に関しての言及は、ないものねだりのような気がしてならない。良いコンテンツがある。それは間違いなく良いことだと思う。「良いコンテンツとは300文字のコンテンツですか、それとも1,000文字のコンテンツですか?」。泣きたくなるよ…

サイラス:
完全に同意するよ(T_T)

※注:意訳

Google検索の窓口役を務めるダニー・サリバン氏による上記のツイートが意味することは、SEO担当者が高品質で、独自性があり、有益で、競争力のあるコンテンツの作成に注力してほしいと、彼が望んでいるということだろう。

そのため、新しいトピックを探すためにUbersuggestのようなツールを使用した場合にも、あなたは詳細で具体的なコンテンツを作成する必要がある。

例えば、あなたがフィットネス関連のビジネスを展開しており、「薬を飲まずに体重を減らす方法(how to lose weight without taking pills)」というブログ記事を作成した場合、ダイエットシェイクやサプリメントなど、ダイエット薬に似ているものについて詳しく記述すべきではない。それらの代替案となるあらゆる方法について議論を展開すべきなのだ。

ダイエットシェイクやサプリメントはダイエット薬とは違うものであり、キーワードとしても異なるではないか、と考える人もいるだろう。しかし、BERTが進化し、ユーザーが本当に探しているものへの理解をさらに深めた場合を考えてみてもらいたい。

また、キーワードの密度に注力するのは、もうやめるべきだ。

もちろん、多くのSEO担当者がすでに注力していないことは知っている。しかし、それでもなお、キーワードの密度についての質問が書かれているEメールを、私は毎日毎日受け取っているのだ。

あなたが作成したコンテンツのコンテキストをGoogleがより良く理解していくにつれ、キーワードの密度は、今後よりその重要性を失っていくだろう。

BERTを受けて、どこに機会を見出すべきか

すでに私が言及している通り、あるトピックについて非常に詳細で具体的なコンテンツを作成することに、チャンスを見出すことができる。

非常に詳細なコンテンツといっても、10,000単語から成る50の異なる物事について書かれた非常に長いページを作成する必要はない。可能な限り迅速に検索者の疑問に答え、競合サイト以上の価値を提供するということだ。

「オリンピック(会場)にいるという状況はどういったことか(what is it like to be in the Olympics)」と検索すると、検索結果は下記となる。

1位に表示されている記事のタイトルは「オリンピックに行くことはどういったことか(What it’s like to go to the Olympics)」であるが、記事の内容は閲覧者としてオリンピックに行くことについて書かれているわけではなく、アスリートとしてオリンピックに行くことについて書かれている。この記事内容は、検索者が求めている内容だろう。

記事のタイトルがどちらの内容に取れたとしても、BERTは状況をしっかりと見極めることができる。そして、記事も長文記事というわけではない。単語数は311である。

インフォメーショナルに属するキーワードで上位表示を獲得したいのであれば、詳細情報をしっかりと具体的に書き、競合サイトよりもより良く検索者の質問に答えることが必要だ。動画や画像から音声まで、より良い体験を提供するために必要なことは何でも行おう。

確認しておくが、長文のコンテンツでは上位に表示されないというわけではない。

すでに多くのSEO担当者が長文のコンテンツに着目している。彼らは100以上も解釈が可能な検索ボリュームが多い一般ワードでの上位表示を狙っており、その結果、彼らが作成するコンテンツは長くなるのだ。

こうした状況を考えると、ロングテールのキーワードに着目するほうが良いと言えるだろう。

当たり前だと思うかもしれないが、ここでデータを見てみよう。

Ubersuggestによるキーワードの傾向分析

全てはUbersuggestから始まる。

まだ使用したことがない方に向けて、使用方法を解説しよう。Ubersuggestにアクセスし、「マーケティング」のようなキーワードを入力しよう。Ubersuggestはそのキーワードの検索ボリュームに加え、数千ものキーワードのバリエーションを提供してくれる。

ここ30日間で、694,284人のマーケターによって、4,721,534のキーワードがUbersuggestによって調査されている。そして、4,721,534回の調査によって、1,674,841,398のバリエーションを提供している。

もちろん、より多くのロングテールのフレーズを調査するため、ビッグキーワードを入力しても良いが、Ubersuggestの利用データを見てみると、84%のマーケターは1~2単語にしか注目していないようだ。

5単語以上のキーワードに着目しているマーケターは、たったの1.7%である。

ロングテールを狙った詳細なコンテンツを作成するという戦略は、Quoraの実績を見てみても、効果的と言える。Quoraは米国でのGoogle検索だけで、月間60,428,999の訪問客を生み出している。

Quoraのコンテンツの多くは、10,000単語から成る非常に詳細なコンテンツというわけではない。人々が持つ、非常に特徴的な質問に対しての返答に注力しているのだ。

結論

近年のアップデートによりトラフィックが減少していたとしても、それは良いことと言える。

おかしなことを言っていると思うかもしれないが、こう考えてみてほしい。「薬を飲まずに体重を減らす方法」と検索した際、あなたが作成したダイエット薬の素晴らしさを伝える記事にユーザーがランディングしたとしても、すぐに離脱してGoogleの検索結果に戻ってしまうだろう。

言い換えれば、そうしたユーザーがコンバージョンにつながることはほとんどないだろう。

つまり、近年のアップデートによってトラフィックを失ってしまったかもしれないが、そうしたトラフィックの中には、ユーザー指標に悪影響を与え、直帰率を高めてしまうトラフィックも含まれていたかもしれないということだ。

加えて、非常に詳細で具体的なコンテンツ作成に取り掛かる良いきっかけともなるだろう。トラフィックが減少しているのであれば、該当のページを確認してみてほしい。

すでに検索結果から姿を消してしまっている場合は、そのキーワードに対して「コンテンツを調整する」「新しいコンテンツを作る」などして、ユーザーが求めている答えを提供しよう。

その方法がわからないのであれば、まずはSearch Consoleを見てみよう。「検索パフォーマンス」をクリックし、日付ボタンをクリックしよう。

そして、トラフィックが減少する前の日付で比較をしてみよう。「クエリ」を選択肢、差分の大きい順に並べてみるのだ。

修正が容易なロングテールのキーワードを調査してみよう。もし、修正方法のアイデアが湧かないのであれば、対象のキーワードをGoogleで検索し、上位に表示されているコンテンツを見てみよう。すでに上位に表示されているコンテンツとの比較を行うことで、見えてくるものもあるだろう。

Googleの最新のアップデートに対し、あなたはどのように考えているだろうか。

この記事は、NEILPATELに掲載された「How Google’s Bert Update Will Affect Content Marketing」を翻訳した内容です。

Googleがいかに優秀なシステムといえど、人間と同じように言語を理解することはまだまだ難しい状況です。それゆえ、Googleもあらゆる手段を用いて、この領域に注力しています。

今回のBERTについても、Googleの目指す方向が変わったわけではなく、さらに進化している状況をアナウンスしたものと解釈しています。まだ日本語は未対応とのことですが、遠くない将来に導入されると考えられます。

ニール・パテル氏が指摘しているとおり、仮に順位が下落したとしても、それは「ユーザーの期待に沿えていなかった」ことが原因であり、「期待に沿うためにはどうすればよいのか」といった視点を持って改善を行っていきましょう。

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優れたユーザー体験(UX)を提供し、SEOにおける勝利を勝ち取る

検索エンジンがユーザーファーストを掲げている以上、SEOもユーザーを考慮せず成立することはありえないでしょう。以前の状況とは違い、ユーザーを抜きにして語るSEOは存在しないといっても良いくらいです。

しかし、最近SEOを始めた方や、かつてのSEOのイメージを持った方にとっては、いまいちピンとこないかもしれません。

どちらかと言えば初級者向けの記事かもしれませんが、改めてSEOにおけるユーザー体験の重要性を解説している記事を紹介いたします。

10年前は、UXチームとSEOチームは犬猿の仲であった。彼らの目的が一致していなかったからである。

UXチームはユーザーに注視していた。ユーザーに素晴らしい体験を提供し、ユーザーが目的を果たすために、可能な限りの助力を与えていたのである。

しかし、不幸にも、UX観点では優れていることがそのままSEO観点でも優れた効果をもたらすとは言えなかった。

一方、SEOチームは、ファーストビューの上部にコンテンツの大きな塊を配置することを望んだ。

なぜだろうか。

理由は、そういった施策を検索エンジンが評価していたからである。

つまり、ページの内容をより関連性のあるものにするためであった。

また、多数のフッターナビゲーションやタグクラウドの設置も、SEOチームは望んでいた。なぜなら、クローリングとインデキシングのプロセスにおいて有効な施策であったからである。

SEOチームは、コンテンツの内容も検索クエリと合致させることを望んだ。「金融のページ(monery pages)」とするほど、検索クエリとの正確な合致を望んでいた。

また、こうしたページは他の関連するクエリにも最適化することが可能であったため、追加のコンテンツも必要とされていた。

こうした追加コンテンツがサイトを肥大化させた。コンテンツを管理することができなくなり、長期間の運用の結果、重複コンテンツの温床となった。その後、そうした重複ページは削除されることとなる。

ゆっくりと、しかし、確実に、検索エンジンはコンテンツの意味を理解する方法を変更していった。その変化は、前述したような「ハックするSEO施策」を必要としなくなったのだ。実際、このような施策は、SEOの助けとなるどころか、SEOを妨げる要因となっていった。

この変化は良い変化と言えるだろう。なぜなら、こうした変化は、UXチームとSEOチームが互いに協力しあえることを意味しており、ユーザーと検索エンジンの両方にとって有益な施策を共に行うことができるようになったからである。こうした状況が、現在と今後のSEOで勝利するための方法であるのだ。

では、「具体的に何をすべきか」を見ていこう。

ユーザーが本当に求めているものは何か

すべてのユーザーは疑問をもっており、それを満足させる答えを探している。彼らはその答えを素早く得ることを求めており、可能な限り使いやすいサイトから得たいと考えている。

このユーザーへの回答は以下の3つにまとめることができるだろう。

  1. ユーザーが満足のいく答えを作成し、それらを上位に表示させる
  2. 魅力的なスニペットを作成し、クリックを勝ち取る
  3. 素早く、使いやすいサイトで答えを提供する

この記事では、上の最初のステップに注視したい。なぜなら、ここ2年間でGoogleがロールアウトしたアップデートの多くは、「どのようなコンテンツが満足のいく答えとなるのか」という点を改善したものになるからである。

ユーザーが満足できる回答を作成する

ユーザーが果たしたい目的を理解できていなければ、どのようにして彼らが満足する答えを提供することができるだろうか。

ユーザーの検索意図を理解することが、最初のステップになる。

それを理解することができれば、彼らが満足する答えを作ることができるだろう。

ユーザーが満足する答えは、クエリに対する回答であり、適切な種類のコンテンツで提供することが重要だ。

例えば、「マインドハンター シーズン2 トレイラー」と検索された場合、動画のコンテンツを探しており、求めている動画は、マインドハンターのシーズン2のトレイラーとなる。

実際のGoogleの検索結果画面を見てみよう。

IKEAの中古のワードローブのクローゼットを購入した場合、検索クエリは、「ikea pax ワードローブ 組み立て方」となるだろう。

あなたはクローゼットの組み立て方の説明を欲している。なぜなら、以前の持ち主がマニュアルを紛失してしまうことはよくあるからだ。また、あなたには10ページのマニュアルを読んでいる時間はなく、すぐに理解できる答えを欲している。

下記は、「ikea pax ワードローブ 組み立て方」の検索結果画面である。

多くのユーザーはすぐに閲覧できる簡単な組み立て方の説明動画を欲し、PDFのマニュアルをダウンロードすることを(現時点では)欲していないことを、Googleは理解している。

検索結果画面をスクロールしていくと、マニュアルのダウンロードページが表示されている。動画が役に立たなかった場合に備えて表示させているのだろう。自身の経験からも、非常に理にかなっていると言える。

こうした両方のニーズを満たすために、組み立て方の説明動画とPDFのダウンロードを両方備えておくことが理想だろう。

別の例を見てみよう。「iPhone 11 購入 オンライン」という検索の場合だ。この場合、検索する目的は明らかだろう。iPhone 11を、オンラインで購入したいのだ(物理的な店舗での購入ではないため、近所の店舗の情報は表示されていない)。

この場合、iPhone11を販売しているECサイトがユーザーの満足のいく答えとなるだろう。そして、実際に買うべきECサイトはどこになるだろうか。

ここで非常に興味深いことは、この検索クエリにはニュース性のあるコンテンツも表示させているということだ。検索結果に表示されている「Top Stories」がそれにあたる。なぜなら、この原稿を執筆しているタイミングでは、iPhone11がリリースされてから間もないためである。

Top Storeisにしばしば採用される権威のあるサイトがiPhone11についての記事を書いている場合、こうしたキーワードで上位に表示される可能性は高い。もちろん、そうしたサイトがiPhone11を販売しているのであれば、特に魅力的となるだろう。

この検索クエリの場合、「Top Stories」は時間と共に表示されなくなると思う。小さい枠での表示は残ると思うが、それだけだろう。

ユーザーが満足する答えを提供するには、2つのプロセスを要する。

まずは、ユーザーが達成したい目的(検索意図)を理解することである。次に必要なことは、「適したコンテンツの種類」で提供された「適したコンテンツ」によって、答えを作成することだ。

ユーザーが満足する答えによってクリックを勝ち取る

潜在ユーザーが満足する答えの作成に成功した。しかし、あなたはクリック(サイトへの流入)を勝ち取らなければならない。

コンテンツ作成の初期から最後までを一貫して行う必要がある。訴求力のあるタイトルの作成・メタディスクリプションの記載・わかりやすいURLなどだ。

検索結果のレビューの表示をGoogleは頻繁に変更するが、検索結果で自身のサイトを目立たせる手法としては、今でも効果的である。

Googleがレビューを表示する場合は多くある。また、検索結果のビジビリティを高めるための新しい手法もある。FAQを例に挙げることができるが、「ホテル ニューヨークシティ」の検索結果を見てみよう。

回答をユーザーへ迅速に提供する

Googleの調査によれば、読み込みに3秒以上かかるページの場合、53%のモバイルユーザーが離脱してしまうということだ。ユーザーは皆忙しいし、待つのが嫌いであるため、非常に納得できる数字だ。

つまり、あなたは、いち早く答えを提供することを心がけなければならない。

早ければ早いほどよい。しかし、競合他社によって市場の勢力図は定義されており、ユーザーもそれに慣れているかもしれない。そのため、競合サイトよりもあなたのサイトの方が早くなれば、その投資から成果を得られる可能性はあるだろう。

ページスピードとユーザー体験の話をする際、私は常にTime to Interactive(TTI)、つまり、「ユーザーがページを使うことができるまでの時間」に注力している。

コンテンツをいち早く届けるためのベストプラクティスは以下のとおりである。

詳細な情報は、「あなたのWebサイトをさらに素早くさせる方法」の記事にまとめられている。

簡単に利用できる(使いやすい)Webサイトにする

私の見解では、簡単に利用できるサイト(使いやすいサイト)とは、優れたユーザービリティを提供しており、モバイルフレンドリーであるサイトだ。

優れたユーザービリティ

優れたユーザービリティにおいては、以下の項目が重要となる。

  • 明確なナビゲーションの構造
  • 明確な見出しの構造
  • 明確なコンテンツの構造。例えば、逆ピラミッド構造を採用し、最も重要なコンテンツを最上位に位置づける。
  • リスト、強調、パラグラフなどを活用した、優れたコンテンツフォーマット
  • 読者が詳細を学ぶのに役立つ有益なリソースの提供
  • ユーザーのコンテクストとの合致。例えば、複数の国々をターゲットとした場合、言語と貨幣の変換機能は重要となる。また、適切な日付、時間、数値単位なども同様だ。
  • 優れたアクセシビリティ

ユーザービリティについての別の記事も紹介しておこう。

モバイルフレンドリー

ユーザーがどのデバイスを使用していようとも、彼らにWebサイトを効果的に使用してもらう必要がある。多くの場合、レスポンシブ対応が最適解となる。

モバイルのデザインから設計すべきだろう。モバイルの設計が正しく行えれば、デスクトップ版への適応も容易になる。

このトピックについてはすでに多くの記事に書かれているため、ここでは有益なリソースを紹介するにとどめておこう。

Googleが提供するモバイルフレンドリーテストツールも非常に便利だ。まだ利用したことがないのであれば、すぐに確認して欲しい。

結論:優れたユーザー体験を提供し、SEOにおける勝利を手に入れる

今日、UXとSEOはそれぞれの目的を共有できる状態にある。そのため、優れたユーザー体験の提供の継続に注力していれば、自ずとSEOの勝利も見えてくるだろう。

優れたユーザー体験を届けるためには、ユーザーが満足できる答えをいち早く提供し、使いやすいWebサイトを構築することだ。

この内容を心に留め、最高なユーザー体験を提供し続けていけば、SEOで大きな成果を得られるだろう。

この記事は、Search Engine Journalに掲載された「How to Win at SEO Through Great UX Today & Beyond」を翻訳した内容です。

かつて、SEOとユーザー体験は全く別の文脈で語られることが多く、それぞれが同じ目的を共有するという姿は想像さえできなかったと思います(もちろん、当時から両立した考えを持つ方もいらっしゃったと思いますが、明らかに少数派であったと思います)。

現在では、SEOを語る上で、ユーザー体験を外すことのほうが珍しくなってきました。

検索エンジンが進化し、ユーザーの嗜好や行動が変化する中、SEO担当者としてのスキルもしっかりと最適化していきましょう。

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SEOとUX(ユーザー体験)の関係:情報アーキテクチャとリンク階層

SEOにおける成功を収めるために、Webサイト全体の品質を上げることは非常に重要です。

しかし、全体の品質が高いWebサイトとは、何をもって決定されるのでしょうか?

様々な解釈が可能と思われますが、総合すると「ユーザーが満足のいく体験を提供するWebサイト」と考えることができるはずです。そして、そうしたサイトは、Webサイトで提供される情報が綿密な考えのもと配置されており、それぞれの情報が有機的に結びついているはずです。

今回は、ユーザーが満足のいく体験を提供するサイトを作り上げるために必要な考えを、「情報アーキテクチャ」と「リンク階層」を軸に説明しているSearch Enjine Journalの記事を紹介します。

ユーザー体験(UX)とは、単純性とデザインという領域に留まるものではなく、「ユーザーがそのサイトをどのように体験したか」についてのものだ。

Webサイトの体験は次の3つに要約される。

  • サイトに到達する
  • コンテンツを探す
  • コンバージョンする。もしくは、ニーズを満たす

自然検索のジャーニーにおいて、ユーザー体験は、検索結果からのランディングに始まり、内部リンクのクリックを経て、関連性のあるコンテンツの発見やコンバージョンに至るといった流れになるだろう。

この流れが、SEOにおいて「サイト上のユーザー体験がいかに大事か」を示している。

自然検索のジャーニーにおいて、SEOとユーザー体験(UX)は、情報アーキテクチャとそのサイト上でコンバージョンへと導くリンクによって結び付けられる。

では、ユーザー体験を浮き彫りにする洞察のために、SEOに関連するデータを活用するにはどうすればよいのだろうか。

まずは、「情報アーキテクチャ(サイトのフレームワーク)」と「リンク階層(サイトの経路、もしくはリンク)」が、個々のニーズに合わせたユーザー体験を構築するために、どのようにして使用されているかを見てみよう。

情報アーキテクチャとは何か

情報アーキテクチャ(Information Architecture : IA)とは、Webサイトのフレームワーク、もしくは構造であり、各コンテンツのホームを提供するものである。

情報アーキテクチャは「そのサイトがどのように構築されているか」「それぞれのページがどのようにグループ分けされているか」といった内容を言及する際に使用される。

「情報アーキテクチャ=URLの構造」ではない。

繰り返しになるが、情報アーキテクチャは、URL内のフォルダーやサブフォルダーの関係と一緒にされるものではない。

もちろん、フォルダーやサブフォルダーによってサポートされるものではあるが、URL基軸のみに限った内容ではないのだ。情報アーキテクチャは、サイト自体の骨格なのである。

※一般的な情報アーキテクチャの例

リンク階層とは何か

情報アーキテクチャは、サイト内のリンク階層を経て、ユーザーに体験される。

リンク階層は、割り当てられたフレームワークやアーキテクチャ内のページ間における、物理的なつながり、もしくはリンクなのである。ユーザーがサイト内を回遊する際に使われる実際の経路である。

リンク階層は意図的に作成された情報アーキテクチャをサポートすべきであり、各情報の要素がつながっていることを確かめるものだ。どのページともつながっていないページは存在しない状態にしよう。

※一般的なリンク階層の例

情報アーキテクチャを「フレームワーク」と捉え、リンク階層を「構成要素」とすれば、サイト内におけるユーザーのタッチポイントを表すマップを作るパズルを完成することができるのだ。

これは非常に素晴らしいことではないだろうか。

検索エンジンのボットに価値を伝えるためのリンクは、我々の情報アーキテクチャをユーザーに体験させることも可能とするのだ。

我々はすでに構成要素とフレームワークを手にしているため、サイト内のコンテンツを最適化するための条件は1つしか残っていない。「ユーザーはサイト内でどのような回遊を期待しているか」という点だ。

コンバージョンとSEOを改善するために情報アーキテクチャとリンクのデザインに配慮する

情報アーキテクチャとリンク階層は上記で定義した。

そして、我々の目標は明確なファネルをデザインすることだ。そのファネルは、ユーザーが直感的にサイトを回遊できるよう、バイヤーズジャーニーに沿って調整されるべきである。

この目標を達成するために、コンテンツとリンクをアップデートする上での判断材料になる項目を下記に記載する。

  1. キーワード
    リンクされるべき、関連性のあるトピックやページを把握するために使用する。
  2. インテント
    リンク先の判断と情報アーキテクチャをデザインする際に、ユーザーのインテントを考慮する。
  3. 行き止まり
    行き止まりは避けよう。コンバージョンファネルの次のステップを明確に作成し、現在のファネルポジションに存在する別のサービスを考慮できるようにし、必要であれば現在のファネルポジションより前の段階に戻る道も提供しよう。
  4. データ
    あなたの想定を確かめるため、また、ファネルを評価するために使用しよう。

1.キーワード戦略は典型的なページ経路を示す

「ユーザーがサイト内のどの場所に行きたがっているか」を把握する術はあるだろうか。

キーワード戦略はこれを把握する上で非常に有益であり、また、キーとなるページの関連性を明確にする効果もある。

キーワード戦略は、最も関連性のあるコンテンツと、最も関連性のある検索クエリを合わせるべきだ。

最も関連性のある検索クエリには、その次に関連性のあるクエリが付随している。そして、これらの関連性のあるクエリにとって、最も関連性のあるコンテンツが存在する。

広大なキーワード戦略を活用する腕前があれば、関連性のあるページのサブセットが作成できるのだ。

重要なポイント

関連性のあるキーワードを整理し、それらを特定のページに割り当てることで、関連性のあるページのサブセットによって作成された情報アーキテクチャを自然に作成することができる。

こうした関連性のあるページにリンクを設置することで、直感的で包括的な体験をユーザーに提供することができるだろう。

2.コンバージョンファネルを設計するためにユーザーインテントを活用する

次に考慮すべきは、ユーザーインテントだ。

関連性のある各コンテンツは、それぞれ、ユーザーの検索体験における異なったインテントやゴールを提供している。ファネルの上位にいるユーザーも、下位にいるユーザーも対象となる(それぞれのコンテンツが多岐にわたるユーザーインテントに対応していないのであれば、ユーザーインテントの活用はあなたにとって、コンテンツ作成における重要な材料となるだろう)。

リンク階層は、ユーザーがコンバージョンファネルの各段階を回遊できる経路を含むべきだ。こうすることで、ファネル内でしばしば発生する混乱を減らすことができる(ユーザーが「次にどのページを見るべきか」を悩まなくて済むようになる)。

コンバージョンに至るまでのユーザーの経路は、一直線であるとは限らない。そのため、コンバージョンファネルの異なるポイントへリンクをすることは、ユーザーのつまづきを軽減できるのだ。

重要なポイント

ターゲットオーディエンスの異なるインテントに対応することで、自然にユーザーをファネル内の次のステップに進めさせることができ、ユーザージャーニーをスムーズにすることができるだろう。これは、ファネル内の上位にいる場合も、下位にいる場合も当てはまる。

情報アーキテクチャはリンク階層をサポートすべきであり、コンテンツとインテントを一致させることで、ユーザーをコンバージョンファネルの次のステージに促すことができるのだ。

3.サイトからの離脱を防ぐ。ユーザー体験をユーザーの期待と一致させ、孤立した体験を避ける

Webサイトの戦略とも一致する例を挙げてみよう。

あなたはバハマまでのフライトを予約した。バハマまで到達するには、マイアミ経由での経路しかない。最初のフライトはうまくいき、マイアミに到着することができた。サングラスを片手に、水着を身に着け、サンダルだって履いている。バハマの日差しを浴びる準備はばっちりだ。

しかし、マイアミからバハマまでのフライトが無いことを知り、あなたは立ち尽くしてしまう。結局は空港を去り、ふわりとした帽子を手に持ちながら、舟に乗ることにした。

この例では、あなたの目的はバハマに行くことだ。しかし、あなたが選んだ経路は、あなたが期待したものではなく、目的地までの明確な経路を提供してくれなかった。そのため、競合相手(船)を選ぶことにした。

この例をWebサイトに当てはめてみよう。

ユーザーがサイト内のリンクとページを簡単に回遊できなければ、例えコンテンツがどれほど素晴らしくとも、例え多くのキーワードで上位表示されていたとしても、ユーザーは彼らが期待していたとおりのことをそのWebサイトで経験することはできない。

ユーザーは、進むことも戻ることもできず、そのページに立ち尽くしてしまう。自身が求めるページと違うページに迷い込み、彼らにとって有益なコンテンツがあるにもかかわらず、そのコンテンツを発見することはできなくなってしまう。

こうした体験を与えてしまうと、サイトからの離脱が発生してしまうだろう。

重要なポイント

サイト内でユーザーが動けない状態は避けるべきだ。あらゆるページの経路をレビューし、行き止まりや孤立したページが、ファネル内のどのポイントにおいても発生していないことを確認しよう。

4.エンゲージメントに関わる指標はユーザーの満足度を示す

ユーザーのエンゲージメントに関わる指標を理解することで、最適化の施策をさらに進めることが可能だ。

分析データを活用し、ユーザーがあなたのサイトとどのように関わっているかを把握しよう。

  • ユーザーはどこへ向かうのか?
  • どのように到達したのか?
  • どのポイントで離脱したのか?
  • 特別なKPIを達成したのはどの経路か?

エンゲージメントに関わる指標は、SEOに関連する指標の中でも、おそらく最も強力なツールの1つだ。

こうしたデータは、「ターゲットユーザーがどう経由したか」「共感してくれたか」「あなたが提供した経験に対しユーザーがどの程度満足しているか」などを示してくれる。

エンゲージメントに関わる指標が答えてくれる質問を下記に記載しよう。

【ユーザーのクリック経路】

  • ユーザーがサイト上で選択する自然なフローは何か?
  • 離脱と入り口のポイントはどこか?
  • 行き止まりはあるか?
  • ユーザーがサイト内で困惑してしまう特定のセクションはあるか?

【直帰率】

  • クリック数が多いページの直帰率が高い理由はなにか?
  • その場所で提供されている経験は、ユーザーが期待した経験に沿っているか?
  • そのコンテンツはユーザーの共感を得ているか?
  • サイトのより深くまで到達できる経路は用意されているか?
  • 理論的に正しい次のステップへの明らかな経路は用意されているか?

※直帰率が低く、クリック数が少ないページは、直帰率が高く、クリック数が多いページよりも価値があることをお忘れなく

【滞在時間】

  • 平均滞在時間は、そのコンテンツの種類にとって、納得できる時間であるか?
  • 滞在時間が長いページにはあり、滞在時間が短いページにはない特徴はあるか?

【1訪問あたりのページ数】

  • 過去に訪れたページにも訪れているか?
  • 1訪問あたりのページ数が高いページが持つ特徴、構造、属性は何か?

【クリック率】

  • タイトルは理にかなっているか?
  • インテントが期待を満たしているか?
  • メタディスクリプションの内容はページの内容を正確に反映しているか?

ときに、ユーザーはあなたが予期していたものと違う行動を取ることがある。しかし、それは問題ない。

こうした各指標を元に、ユーザー体験を改善していけば良い。それには、サイト構造(リンク先)の調整、キーワード戦略の内容、コンテンツの追加などが含まれるだろう。

重要なポイント

あなたの戦略の確認と改善のために分析データを活用しよう。可能な限り最高な経験をユーザーに提供できているだろうか。

下記の2点に注意しよう。

  • その場所で価値を提供する、最も関連性のあるコンテンツは何か?
  • ユーザーのニーズを満たすため、そのページをどのように最適化すればよいか?

結論:ユーザーのサイト上での体験を活用し、より良いユーザー体験を構築しよう

正しい体験を正しいタイミングで提供することは、ユーザーを導き、コンバージョンさせるための重要なポイントだ。

キーワードとインテント、インテントとコンテンツ、コンテンツと経路を一致させ、クリックルートを整備してユーザーを助けよう。

あなたが構築した情報アーキテクチャが、孤立したページを発生することなく、関連性のあるコンテンツ同士の経路を備えたものにしよう。また、こうした経路は、よく最適化されたリンク階層によって実現される。

ユーザー体験の目的は、あなたのユーザーに対し、可能な限り最高の経験を提供することだ。

優れた情報アーキテクチャはリンク階層を構築し、コンバージョンファネルの最適化を果たしながら、サイト上のユーザーの自然な行動をサポートする。

ユーザーのニーズを理解することに努め、検索結果から到達したユーザーが期待する経験を提供し、サイト上の行動をサポートすることができれば、個々のユーザーに合わせたポジティブな体験を作成できるだろう。

この記事は、Search Engine Journalに掲載された「SEO UX Play: Information Architecture & Linking Hierarchy」を翻訳した内容です。

記事内にもあるとおり、「正しい体験を正しいタイミングで提供すること」は非常に重要であり、カスタマージャーニーのどの段階にいるユーザーにも良い体験を提供できる状態が求められます。

また、「その情報を得たユーザーが次にどのような情報を求めるか」といった点も考慮され、直感的に次の情報に導くことができれば理想ですね。

言うは易し、であると思いますが、記事内にあるとおり、データを見ながらトライアンドエラーを繰り返し、少しでも理想に近づけるべく施策を進めていきましょう。

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さようなら、Flash

かつて Microsoft は「1 つの時代の終わり」と題して、ウェブブラウザでの Flash のサポート終了を発表しました。Chrome(バージョン 76 以降)、Microsoft Edge、FireFox 69 では、Flash がデフォルトで無効になっています。そして、Google 検索のインデックス登録でも、Flash が除外されることとなりました。

Flash は、動きがなく平板な印象だったウェブページに、リッチなアニメーション、メディア、アクションをもたらしました。豊かな表現が可能なテクノロジーであったため、多くのクリエイターが刺激を受け、ウェブ上で新しいコンテンツを生み出してきました。Flash はあらゆるサイトで利用されてきたとも言えます。Flash コンテンツを再生する Flash ランタイムは、2013 年の後半だけで 5 億回インストールされました。

私の息子が Flash ゲームをやめられなくなって、妻に叱られていたことを思い出します。息子はしぶしぶゲームをやめましたが、今度は Flash が舞台を降りる番になりました。

Google 検索では、今年中に Flash のサポートを終了する予定です。ウェブページに Flash コンテンツが含まれている場合、Google 検索では Flash コンテンツが無視されることになります。単独の SWF ファイルは、Google 検索でインデックス登録されなくなります。ただし、ほとんどの場合、この変更はユーザーにもウェブサイトにも影響しないはずです。

Flash はウェブの発展に大きく貢献しました。その遺産は HTML5などのウェブ規格が引き継いでいくことでしょう。

Jalgayo /tʃɑlˈgɑjɔ/(韓国語で「さようなら」)、Flash。

レビュー リッチリザルトをさらに役立つものに

レビュー リッチリザルトが添えられた検索結果は、プロダクトやサービスを探すうえで大変役に立ちます(検索結果の横に時折表示されているあのスコアや星です)。

これをさらに便利で役立つものにするため、Google ではレビュー リッチリザルトのアルゴリズムの更新を行いました。これにより、ウェブマスターから報告された無効、または誤解を招くような実装の一部も解決されます。

Schema タイプをレビュー(クチコミ)が役立つものに限定

レビュー マークアップは、技術的にはどのスキーマタイプにも追加できますが、多くのタイプでは、星による評価はユーザーにとってあまり意味がありません。今回の変更により、検索でレビュー リッチリザルトをトリガーできるスキーマタイプが限定されます。具体的には、以下のタイプ(およびそのサブタイプ)へのレビューのみが表示されるようになります。

セルフサービングのレビューを禁止

「セルフサービング」と見なされるレビューは、ユーザーの利益を最優先にしたものではありません。Google では、エンティティ A に対するレビューがエンティティ A のウェブサイトに(直接マークアップで、または埋め込まれたサードパーティ ウィジェットを介して)置かれている場合、そのレビューを「セルフサービング」と呼びます。そのため、今回の変更により、レビュー対象のエンティティ自身がそのレビューを制御している場合、スキーマタイプ localBusinessOrganization(およびそのサブタイプ)に対するレビュー リッチリザルトは表示されなくなります。

レビュー対象の name を追加

今回の変更から name プロパティが必須となるため、レビューには必ず name を指定しなければならなくなります。

2019 年 9 月 18 日追記

さらなる情報提供を目的として、ローカル ビジネスや組織などのエンティティはこれまで、自身に関するレビュー マークアップをホームページやその他のページに追加して、そのページにレビュー スニペットを表示させることができました。こうしたマークアップは、エンティティが直接追加することもあれば、サードパーティ製のウィジェットを使用して埋め込むこともありました。

Google ではこれを「セルフサービング」であると考えています。ローカル ビジネスまたは組織が、自身に関するマークアップを、自身のページに自ら追加しているためです。

ローカル ビジネスまたは組織(LocalBusiness または Organization スキーマタイプ)によるセルフサービングなレビューは表示されなくなりました。たとえば、特定の商品やサービスに関するレビューを表示するリッチ レビュー スニペットも、それがセルフサービングであると見なされれば表示されません。

こちらのドキュメントに記載されているその他のスキーマタイプに関するレビューは許可され、表示されます。たとえば料理関連のサイトで、レシピに関する訪問者のレビューをまとめる目的で、マークアップを使用することは可能です。そのリッチ レビュー マークアップは、該当するレシピが検索結果に表示される場合にも適用される可能性があります。

よくある質問

当社の商品やサービスに関するレビューを、サードパーティ製のウィジェットを使用して表示している場合はどうなりますか?

その場合、Google 検索では、該当するページのレビュー スニペットが表示されません。サードパーティ製のウィジェットを埋め込むことは、レビューをリンクさせるプロセスを操作する行為であると見なされます。

セルフサービングなレビューは、LocalBusiness または Organization から削除する必要がありますか?

いいえ。削除する必要はありません。Google 検索では、そうしたページのレビュー スニペットが表示されなくなるというだけです。

自社のサイトにセルフサービングなレビューを掲載した場合、手動による対策はとられますか?

それだけで手動による対策がとられることはありません。ただし、構造化データが Google のガイドラインに違反していないことを確認することをおすすめします。

今回の更新は、当社の Google マイビジネスのリスティングやプロフィールには影響しますか?

いいえ。今回はオーガニック検索だけに関連する更新であるため、Google マイビジネスには影響しません。

他の組織に関するレビューをまとめたサイトには影響しますか?

いいえ。それについては何も変わりません。レビューをまとめたサイトの場合は、他の組織に関するレビュー スニペットを含めて検索結果に表示されます。

今回の更新は AggregateRating にも適用されますか?

はい。ReviewAggregateRatingに適用されます。

引き続き検索結果にセルフサービングなレビューが表示されている場合は、どのように報告すればよいですか?

Google では、必要に応じてそうした場合の専用フォームを用意することを検討しています。今回の変更は段階的に実施しているため、適切でないレビューの星が引き続き表示される可能性があります。

この変更により、ユーザーにとってのレビューの有用性が大きく向上する一方、ほとんどのウェブマスターにとって、必要となる作業は皆無か、あるとしてもわずかです。上記の変更はすべて、デベロッパー向けのドキュメントに記載されています。ご不明な点がございましたら、ウェブマスター フォーラムをご利用ください。

Posted by Yuxin Cao, Software Engineer & Sven Naumann, Trust & Safety Search

【SEO】サイトのクロールバジェットを最適化する7つのコツ

「Webサイトのクローラビリティを測るために重要な10のチェックポイント」に続き、今回もクロール関連の記事となります。前回の記事は、クロール・インデックスの健全性を測るための指標をまとめていました。

今回の記事は、「そもそもクロールバジェットとは何か」という説明に加え、クロールバジェットに影響しうる技術的な修正などをメインにまとめられています。

どちらかと言えば初心者の方向けの記事ですが、改めて確認しておきたい方にも有益な内容となっております。

しばしば見落とされてしまうものだが、クロールバジェットはSEOの主要なコンセプトの1つである。

SEOの専門家にとっては、解決すべき課題が常にあり、クロールバジェットの最適化は後回しにされてしまうことがあるのだ。

結論から言うと、クロールバジェットは最適化の対象となりうるし、なるべきだ。

この記事を読むことで、あなたは下記の項目を学ぶことができるだろう。

  • クロールバジェットを改善する方法
  • ここ数年間で変化したクロールバジェットにおける変化

クロールバジェットとは何か

クロールバジェットがそもそも何を意味するのか忘れてしまった方々のために、ここではその内容を簡単に振り返ってみよう。

クロールバジェットは、検索エンジンのクローラー(スパイダー、もしくは、ボットとも呼ばれる)があなたのドメイン内のページに訪れる頻度である。

この頻度は非常に絶妙なバランスが取られている。Googleがあなたのサーバーに大きな負荷をかけることなく、かつ、あなたのドメイン内のすべてのページを理解する、といったバランスだ。

クロールバジェットの最適化とは、検索エンジンのボットがあなたのページに訪れる頻度を高めることを目的とした、一連の作業の総称と言える。

検索エンジンがサイトにより多く訪れてくれれば、ページが更新されてからすばやくインデックスされるようになる。

結果として、クロールバジェットの最適化は、「検索結果の順位に反映されるまでの期間が短くなる」という効果をもたらしてくれる。

クロールバジェットの最適化の意味を理解することができれば、それがどれほど大事な施策であることが理解できるだろう。

それでは、詳細を説明していこう。

なぜ、クロールバジェットの最適化は見落とされてしまうのか

この質問に答えるために、Googleの公式ブログの記事を読んでみよう。

Googleも説明している通り、クロールそれ自体はランキング要素ではない。

この事実だけで、クロールバジェットについて考えをやめてしまうSEO担当者もいるだろう。

多くのSEO担当者にとって、「ランキング要素ではない」は「私の問題ではない」と同義であるからだ。

しかし、私はそういった意見に対し、心から反対する。

Googleのゲイリー氏のコメントも見てみよう。彼は、「何百万ページ以上の巨大なWebサイトにとっては、クロールバジェットの管理は意味のあるものだ」と述べているのである。

中規模サイトのSEO担当者の場合、クロールバジェットについてそれほど神経質になる必要はないだろう。

一方、巨大なWebサイトのSEO担当者においては、サイト内のコンテンツを削除することで、ドメイン全体としてはプラスとなる場合もある。

しかし、ご存知の通り、SEOとは1つの大きな要素を変更すれば結果が得られるといったものではない。

SEOは、小さい要素の変化を積み重ねていくものであり、非常に多くの指標に気を配らなければならないのである。

概して、ウェブマスター(SEO担当者)の仕事とは、数千もの細かい項目が可能な限り最適化されている状態を作ることなのだ。

さらに、それ自体はクロールの主な要素ではないが、Googleのジョン・ミューラー氏も、「Webサイト全体を最適化することは、結果としてコンバージョンの増加に寄与する可能性がある」と述べている。

こうした背景から、私は、「何らかの施策を打たなければ、あなたのサイトのクロールバジェットに悪影響を及ぼすであろう」と確信している。

クロールバジェットの最適化の方法

これから紹介する方法の中には、非常に重要となる項目もあれば、ほぼ関連性の無いほどに、その常用性が変化した項目もある。

それでも、Webサイトの健全性を脅かす「常に疑うべき項目」には気を配る必要がある。

1.robots.txtで重要なページへのクロールを許可する

これについては疑いの余地もないし、また、最初に取り掛かるべき最も重要な項目であることは確かだろう。

robots.txtの管理は手動、もしくは、ツールで行うことができる。

可能であれば、ツールを使用することを勧めたい。ツールを使用すれば、シンプルかつ効率的に管理することが可能であるからだ。

あなたが選択したツールにrobots.txtを登録すれば、クロールの許可とブロックをすぐに設定することができる。そして、アウトプットされたrobots.txtをアップロードすればいいのだ。

手動でrobots.txtの管理を行う方も多いだろう。しかし、非常に巨大なWebサイトのSEOを担当してきた私の意見としては、細かい調整が必要となるため、ツールを使用した方が確実に良いと考えている。

2.リダイレクトチェーンを監視する

Webサイトの健全性を高めるためには、王道の方法である。

理想を言えば、ドメイン全体で1つのリダイレクトチェーンも発生させるべきではない。

ただし、巨大なWebサイトではほぼ不可能だろう。301や302リダイレクトはどうしても発生してしまう。

しかしながら、リダイレクトチェーンはクロールの上限に悪影響を与える。最悪の場合、インデックスされるべきページに到達する前に、検索エンジンがクロールをストップしてしまうことも考えられる。

1つや2つのリダイレクトは大きな問題ではない。しかし、リダイレクトチェーンは、あらゆるSEO担当者が気を配るべき項目だ。

3.可能な場合はすべて、HTMLを使用する

Googleに限って言えば、検索エンジンによるJavaScriptのクロール精度は向上している。しかし、FlashとXMLのクロールとインデックスには、まだ改善の余地がある。

一方で、他の検索エンジンは、まだそのレベルに達していない。

そのため、個人的には、可能な限りHTMLを使用すべきだと考えている。

こうすれば、あらゆるクローラーにおける弊害を防ぐことができるだろう。

4.HTTPのエラーでクロールバジェットを消費させない

404と410を返すページは、クロールバジェットを消費してしまう。

クロールバジェットに大きな影響を与えずとも、ユーザー体験を損なうだろう。

そのため、4XXと5XXのエラーを修正することは、常によい結果を生むと言える。

この場合も、私はSEO監査用のツールを使用することを勧めたい。SE RankingとScreaming Frogは、非常に優れたツールだ。

5.URLパラメーターに気を配る

分離したページは、別々のページとしてカウントされ、無価値なクロールを発生させてしまうことを覚えておこう。

GoogleにURLパラメーターの存在を知らせることは、GoogleとWebサイトの両方にとって良い結果を生む。クロールバジェットの消費を防ぎ、重複コンテンツが発生する懸念を無くすことができるのだ。

Google Search Consoleを活用し、Googleにその状況を伝えよう。

6.サイトマップを更新する

XMLサイトマップの改善も、GoogleとWebサイトの両方にとって良い結果を生む。

サイトマップを送信することで、ボットによる内部リンクの理解をより良く、簡単にすることができる。

サイトマップには、正規URLのみを記載するようにしよう。また、robots.txtの最新版と一貫性があることを確認しておこう。

7.hreflangタグを設定する

ローカライズ版のページを分析するために、クローラーはhreflangタグを参照する。可能な限り、あなたのページのローカライズ版のページをGoogleに伝えるべきである。
※参考:ページのローカライズ版について Google に知らせる(Search Consoleヘルプ)

まずは、ページのヘッダーに、

<link rel="alternate" hreflang="lang_code" href="url_of_page" />

を記載しよう。”lang_code”には、サポートされている言語が記載される。
※参照:https://support.google.com/webmasters/answer/189077?hl=ja#language-codes

対象のページ全てに要素を使用しよう。こうすることで、ローカライズ版のページの存在を伝えることができる。

まとめ

もし、あなたがクロールバジェットの最適化が重要であるかどうか迷っている場合、その答えは、明らかにYesである。

クロールバジェットの最適化は、あらゆるSEO担当者が常に気を配るべき、重要な項目なのだ。

今回の記事がクロールバジェットの最適化の手助けとなり、SEOのパフォーマンスの改善に役立つことを祈っている。

幸運を!

この記事は、Search Engine Journalに掲載された「7 Tips to Optimize Crawl Budget for SEO」を翻訳した内容です。

クロールバジェットの概念のわかりやすい説明から、確実に気を配るべきポイントをまとめた記事でした。

冒頭にもある通り、クロールバジェットの最適化はしばしば見落とされてしまう項目です。

しかし、検索エンジンのクロールについての知識は、SEOのキホンのキということもできます。どのような規模のサイトであれ、最低限の知識と対策はしておきたいものですね。

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Googleのコアアルゴリズムアップデートによる変動からサイトを回復させるために重要な4つのポイント

2019年9月にGoogleのコアアルゴリズムアップデートが行われました。

自身が管理しているサイトにおいて、特にYMYL領域であれば、サイトの順位が大きく変動したという方も多いのではないでしょうか。

今回はジョン・ミューラーへの質疑から、コアアルゴリズムアップデートの認識について、Search Engine Journalがまとめた記事をご紹介します。「なぜ、サイトの順位が下落するのか」、その原因を正しく理解し、分析する手助けとなる記事です。

Googleのジョン・ミューラーは、2019年6月に行われたコアアルゴリズムアップデートによって、サイトの順位やトラフィックが減少した場合に、どれくらいの期間を経てそれらが回復するのかを回答した。

ジョン・ミューラーは、コアアルゴリズムアップデートの影響があったサイトを回復させる方法に関して、4つのポイントを提示している。

Googleのコアアルゴリズムアップデートによる影響から回復させる方法に関する重要な4つのポイント

  1. トラフィックを失ったページ(サイト)はペナルティを受けたわけではない
  2. コアアルゴリズムアップデートは、関連性が高いページの順位を向上させるものである(関連性が低いとみなされた場合は、順位を失う)
  3. 次のコアアルゴリズムアップデートまでリカバリーを待つ必要はない
  4. 基本的にコアアルゴリズムアップデートはスパムに対するものではない

Googleのジョン・ミューラーは、「コアアルゴリズムアップデートによってサイトの順位が下落する理由は、Googleが他のサイトをより関連性が高いとみなしているためだ」と強調した。

重要なことは、「関連性と関連性の欠如」にある。

コアアルゴリズムアップデートによる影響からサイトを回復させる方法を理解するための鍵は、Webサイトの関連性が低いとみなされた理由について考えることである。

Googleのコアアルゴリズムアップデートによる影響からリカバリーするまでの期間

質問者は、GoogleBotに対して誤った認識を抱いていた。

「GoogleBotは、コアアルゴリズムアップデートでペナルティを受けた(とされる)サイトをリカバリーさせるかどうかを決定するもの」という認識である。

しかし、GoogleBotは、Webページをダウンロードする単なるソフトウェアプログラムである。一般的にはクローラーと呼ばれている。

クローラーによってダウンロードされたすべてのWebページを評価し、順位付けするのは、データセンターのGoogleのアルゴリズムによるものだ。コアアルゴリズムアップデートによって更新されるのは、これらのアルゴリズムである。

コアアルゴリズムアップデートは、サイトへペナルティを与えるものではない

Webサイトが2019年6月のコアアルゴリズムアップデートによる影響を受けてしまった。現在、高品質のコンテンツの作成に取り組んでいる。サイトの状況が回復するまでは何か月待つ必要があるだろうか。また、GoogleBotは、コアアルゴリズムアップデート以外でペナルティの削除を決定することはできるのか。

以下は、ジョン・ミューラーによる回答である。

まず、コアアルゴリズムアップデートはサイトへペナルティを課すものではない。Googleのアルゴリズムは、個別のサイトに対してペナルティを課しているわけではない

コアアルゴリズムアップデート後に順位が下落した場合、ペナルティが課せられたように感じることがある。順位が下落するという意味では、一緒だろう。

しかし、厳密に言うと、コアアルゴリズムアップデートによる順位の下落と、ペナルティによる順位の下落は異なるものである。

ペナルティが課された場合、Googleはウェブマスター向けのガイドライン違反について、Googleサーチコンソールを通じてサイト運営者に通知を送る。

一方、コアアルゴリズムアップデートによって順位を失った場合、そのような通知が送られることはない。

ジョン・ミューラーが伝えているのは、「コアアルゴリズムアップデートによって順位が下落したからといって、Webサイトの運営者が何か致命的な誤り(※)を犯しているわけではない」ということだ。
※致命的な誤り:コンテンツスパムやリンクスパムなど

コアアルゴリズムアップデート後にサイトの順位が下落する理由

ジョン・ミューラーは、サイトの順位が下落する理由を繰り返し論じている。

端的に言うと、「サイトの順位が下落する理由は、Googleの新しいアルゴリズムが、他のサイトの方がより関連性が高いと評価したためである」とのことだ。

ジョン・ミューラーは、順位を上下させるコアアルゴリズムアップデートと、その影響を受けるサイトについて以下のように述べている。

コアアルゴリズムアップデートによる影響とは、本質的には、Googleのアルゴリズムがページの関連性を評価する計算方法を変更し、より関連性が高いと思われる他のページを見つけたことによるものである。

つまり、あなたが何か間違ったことをしたというわけではなく、また、アルゴリズムアップデートがあったからといって、直ちにサイトを修正する必要はない(例え、何か対応を行ったとしても、アルゴリズムに沿って評価が行われるだけである)。

さらに言うと、サイトの順位が下落する理由は、アルゴリズムが検索クエリに対するサイトの関連性が高いと判断しなかったことによるものである。そして、順位の変化は時間の経過と共に起こる。

Googleのコアアルゴリズムアップデートとは何か

アップデートによって順位が下落するパターン

ジョン・ミューラーは言及しなかったものの、我々がサイトレビューを行ったところ、コアアルゴリズムアップデートによる順位の下落には、少なくとも2つのパターンがあることがわかった。

順位が下落するパターン

下位のサイトがより上位を獲得し、それまで上位にあったサイトの順位が下落するパターンである。

完全に順位を失うパターン

特定のサイトが完全に順位を失う=検索ランキングに現れなくなるパターンである。こちらはより深刻な問題であり、SERPsを詳しく調べなおす必要があるだろう。

Googleによる公式な手引き

その後、ジョン・ミューラーはGoogleがコアアルゴリズムアップデートの手引きを提供した2019年8月のブログ記事を紹介した。

参考:Google のコア アップデートについてウェブマスターの皆様が知っておくべきこと(2019年10月)

我々はコアアルゴリズムアップデートに関して、我々が見ているものをかなり詳細に説明したブログ記事を投稿している。私もこちらの記事を再確認したいと思う

Googleのコアアルゴリズムアップデートから回復するまでの待ち時間

最後に、ジョン・ミューラーは「Googleのアルゴリズムは常に更新されている」と答えた。

つまり、Webページの改善が役立ったかどうかを確認するのに、次のコアアルゴリズムアップデートまで待つ必要はないということである。改善はランキングにすぐ反映されるはずだ。

ジョン・ミューラーは言及していなかったが、コアアルゴリズムアップデート後に順位が戻る場合がある。これは過度に広範囲なアップデートになった結果、影響を与えるつもりのないサイトにまで影響を与えることがあるためだ。そして、彼らはアルゴリズムを微調整することがあるかもしれない。

要するに、コアアルゴリズムアップデート後にサイトの順位が戻るのは、アルゴリズムの変更について、その一部を撤回したためである可能性が考えられる。

ジョン・ミューラーのコメントは以下のとおりである。

コアアルゴリズムアップデート後にWebサイトの大幅な改善を行った場合、いつその結果は反映されるのだろうか。結論を言うと、その結果は順次反映されていく。

アルゴリズムの更新には2種類がある。大幅な変更であるコアアルゴリズムアップデートと、常に変化し続ける小さなものだ。

インターネット全体は時間の経過と共に変化する。その結果、基本的に検索結果は毎日変化するし、毎日改善することもできる。

したがって、Webサイトを大幅に改善した場合は、それらの細かい変更も時間の経過と共に反映されるだろう。よって、アルゴリズムの変更がされたことを確認するまで待つ必要はない

コアアルゴリズムアップデートによる順位の下落は必ずしもサイトの品質に関するものではない

ジョン・ミューラーは、「順位が下落したからといって、それはサイトに問題があったことを示すものではない」ことを繰り返して、質疑応答を終了した。

繰り返すが、コアアルゴリズムアップデートは、Webサイトに問題があることを示すものではない

Googleのコアアルゴリズムアップデートによる影響からのリカバリーに関して重要なこと

広範なコアアルゴリズムアップデートのすべてについて、それを品質に関するアップデートであるとみなす者がいる。彼らは、サイトが順位を失う度に「それは、サイトの質が低いからだ」という。

一方で、順位の下落を技術的な問題によるものであるとみなす者もいる。例えば、サイトの表示スピードが遅い・リダイレクトが連鎖しているなどだ。

確かにサイトの品質や技術的な問題は、サイトの順位に関する正当な懸念事項だろう。これらの問題には、対処していく必要がある。

しかし、一般的にコアアルゴリズムアップデートの目的はそれらの一部のみに対応するものではない。

コアアルゴリズムアップデート後にサイトの順位が下落した場合、品質及び技術的な問題が存在する可能性がある。

だが、その場合には一部の問題のみに注目することなく、順位の下落に関連するであろうすべてについて、特にページの関連性についても確認することが望ましい。

ジョン・ミューラーはサイトの関連性が重要であることを繰り返し述べた

コアアルゴリズムアップデートによってサイトの順位が下落した場合、品質または技術的な問題の改善点が見つかることがある。

しかし、順位を失ったサイトをチェックした私の経験から言うと、サイトの関連性について調査することが有効なケースもあるだろう。

この記事は、Search Engine Journalに掲載された「Google on Broad Core Algorithm Update Recovery – 4 Takeaways」を翻訳した内容です。

Googleのコアアルゴリズムアップデートは、通常、個別のサイトに対するペナルティを課すものではありません。また、サイトの品質や技術的な問題など、単一の問題に対応するものでもないということが簡潔にまとめられた記事でした。

Googleの動向ばかりに注視しすぎるのは良くありませんが、一方でコアアルゴリズムアップデートの傾向を分析することによって、「Googleが何を重要視しているのか」を客観的に見ることができるのも事実でしょう。

ユーザーにとって価値のあるサイトとは何か。Googleはそれをどう判断しているのか。様々な情報や経験を元に考えていきましょう。

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Webサイトのクローラビリティを測るために重要な10のチェックポイント

SEOを理解する上での第一歩は検索エンジンの仕組みを知ることであり、それは、クロール・インデックス・ランキングの3ステップに大きく分けることができます。

SEOを考える上では、ついランキングのみに注視しがちですが、その前段階である「クロールとインデックス」にも注意を向けなければなりません。

あなたのサイトはきちんとGoogleに理解されているのでしょうか。その健全性(クローラビリティ)を測る上で重要となる指標をまとめたSearh Engine Journalの記事をご紹介します。

Webサイトのクローラビリティを最適化する目的は、検索エンジンが定期的にクロールに訪れ、新しいコンテンツが発見されるために、サイト内の重要なページを訪問してもらうことだ。

GoogleのボットはあなたのWebサイトを訪れるたび、可能な限りの範囲でページとリンクをクロールし、発見してくれる。しかし、上限に達した場合、それらはストップしてしまう。

あなたのページへの再訪問については下記のようなさまざまな要素が絡んでおり、それらに基づいて、GoogleはクロールするURLの優先順位を決定する。

  1. ページランク
  2. XMLサイトマップへの記載
  3. サイト構成における位置
  4. ページの更新頻度
  5. その他多くの要因

基本的にあなたのサイトがGoogleの注意を引くのは、限られた回数のクロール内でのみ行われる。それは不定期であることも少なくない。Googleのクローラーが訪れた機会を有益に使うことが重要だ。

「クローラーにとって、あなたのサイトがどの程度最適化されているか」を分析するために、どこに着目すべきかを判断することは難しい。特に大規模なWebサイトや複数のWebサイトを担当している場合、他の優先すべきSEO施策があることも考えられる。

それこそが、今回の記事を執筆した理由だ。この記事ではクロールの健全性を確かめる上で非常に重要なポイントをその理由と共にリストにした。あなたが分析を開始する際の手助けになれば幸いである。

1.インデックスされているページ数とサイト内のインデックス可能なページ数

こちらを算出することで、以下の項目が明らかになる。

  1. Googleがインデックス可能なページ数
  2. Googleが実際に発見しているページ数
  3. インデックスするに値すると判断されたページ数

2.Webサイト全体でクロールされているページ数

Googleのクロール活動とサイト全体のページ数とを比較することで、Googleがアクセスできないページ、または、定期的なクロールのスケジュールに組み込む判断に至っていないページがどのくらいあるかを深く理解することができる。

3.インデックスが不可(no index)であるページ数

Googleボットがインデックスの不可であるページに滞在することは、クロールバジェットの観点から最適な状態であるとは言えない。

インデックス不可であるページへのクロール数を把握し、それらのページをインデックス可能な状態にすることができるかどうか、確認しよう。

4.クロールをブロックしているページ数

クロールをブロックしているページ数を把握することで、あなたがGoogleによるクロールを許可していないページ数を把握することができる。

インデックスの観点、また、さらに奥にあるページの発見性という観点において、それらのページが本当に重要ではないのか、あらためて考えてみよう。

5.価値の低いページのインデックス数

すでにGoogleにインデックスされているページを確認することで、あなたのサイト内のGoogleがアクセス可能な領域を把握することができる。

例えば、低品質であることを理由にサイトマップに含めていないページが、別の理由でGoogleに発見され、インデックスされている場合もある。

6.404ページへのクロール数

インデックスを望んでいるページではなく、エラーページへのクロールにより、クロールバジェットが消費されていないことを確認することは、非常に重要である。

Googleボットは404ページへも定期的にクロールする。それらのページが再公開されているかどうかを確認するためだ。

そのため、そのページを永久に閉じ、再クロールの必要がない場合は、410を設定するようにしよう。

7.内部のリダイレクトのクロール数

あなたのサイトでのあらゆるリクエストはクロールバジェットを消費する。そして、リダイレクトチェーンにおけるリクエストも、そのリクエストの範疇だ。

効率的にクロールできるようにGoogleを助け、クロールバジェットの消費を防ごう。そのためには、サイト内のリンクは200を返すページにのみ向けられるべきであり、最終目的地となるURL以外へのリクエストを発生しないようにしよう。

8.canonicalが設置されているページ数と、canonicalが向けられているページ数

正規化されたページ数は、あなたのサイト内の重複ページ数を指し示している。canonicalタグは重複ページ間のリンク評価を統合してくれるものであるが、クロールバジェットの助けにはならない。

Googleは正規化されたページの中からインデックス対象のページを選ぶが、どのページが主要なページであるかを判断するため、対象のページすべてをクロールする必要がある。

9.ページ送り、または、ファセットページへのクロール数

Googleは、まだ発見されていないページ、または、リンクされていないページのみをクロールする必要がある。

大抵の場合、ページネーションファセットは、重複ページの原因となる。そのため、独自のコンテンツやクロールされるべきリンクが含まれていないことを確認しよう。

rel=nextとrel=prevは、もはやGoogleにサポートされていないため、ページの発見をページネーションに依存しないように、内部リンクの最適化を行おう。

10.クロールのデータとページの発見状況にミスマッチはあるか

Google Analyticsのデータではユーザーによるアクセスがあるのに、ログファイルのデータでは検索エンジンによってクロールされていないという状況がある。これは、ユーザーによっては発見されているものの、Googleには発見されていないことが理由である。

複数のデータとクロールのデータを統合することにより、検索エンジンには発見されづらいページの存在が浮き彫りになる。

GoogleにとってのURLの発見の情報は大きく2つあり、1つが外部リンク、もう1つがXMLサイトマップである。Googleがあなたのページをクロールする際に障壁があり、Googleがすでに存在を認識し、定期的にクロールしているどのサイトからもリンクを得られていないのであれば、そのページがサイトマップに含まれているかを確認しよう。

まとめ

今回の記事で紹介した10個のチェックポイントを確認すれば、クローラビリティへの理解と、サイトの技術的な健全性の把握につながるだろう。

無駄にクロールバジェットを消費しているページを発見できれば、ロボットテキストで指示するなど、Googleがそれらのページへのクロールを抑えるように指示することができる。

さらに、サイトの構造や内部リンクを最適化することで、重要なページへのクロールを促し、その重要性と発見性を高めることができるだろう。

この記事は、Search Engine Journalに掲載された「10 Key Checks for Assessing Crawl Hygiene」を翻訳した内容です。

クロールバジェット(注:俗称)の正確な数値を把握する術はありませんが、可能な限りの理解は努めるべきでしょう。

クロールはGoogleにとってもコストとなることからも、無駄なページをクロールされることはできる限り避けるべきです。まずは、明らかなエラーの箇所、重要でないページへのクロールの規制などを行い、順位や流入数への悪い影響がないことを確認しながら、徐々にその範囲を拡大していく、ということが王道の流れでしょう。

こうしたクロールの最適化において、非常に有効で利便性の高い記事でした。

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Webmaster Conference Tokyo & Osaka 開催のお知らせ

Google の検索チームでは、ウェブマスターやサイト運営に関わる皆さんを結ぶことを目的に 2016 年より毎年 Google 検索をテーマとしたイベントを開催しております。今年は、沖縄、福岡と札幌に続き、東京と大阪でも開催することが決まりましたのでお知らせします。

イベントでは Search Console や SEO for Single Page Apps、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)のセッションや Q&A の時間を設けるほか、Google 社員と参加者のみなさんの交流タイムなどを予定しています。イベントの詳細をご確認の上、ぜひお申し込みください!

開催概要

1)東京会場

日時:2019 年 11 月 25 日(月)

13 時 00 分開場

14 時 00 分開始

19 時 30 分頃終了予定

21 時 00 分懇親会終了

スピーカー:

  • Gary Illyes
  • Idan Avraham
  • Martin Splitt
  • Daniela Matuschka
  • Takeaki Kanaya(金谷武明)
  • Anna Ogawa(小川安奈)

会場:Google 六本木オフィス

費用:無料

定員:200 名(招待枠含む)

お申し込みはこちらから!

(締め切り:2019 年 10 月 15 日(火) 深夜 24 時まで)



2)大阪会場

日時:2019 年 11 月 27 日(水)

13 時 00 分開場

14 時 00 分開始

19 時 30 分頃終了予定

20 時 30 分懇親会終了

スピーカー:

  • Gary Illyes
  • Malik Mairaj Syed
  • Martin Splitt
  • Daniela Matuschka
  • Takeaki Kanaya(金谷武明)
  • Anna Ogawa(小川安奈)

会場:グランフロント大阪(地図)

費用:無料

定員:200 名(招待枠含む)

お申し込みはこちらから!

(締め切り:2019 年 10 月 15 日(火) 深夜 24 時まで)



前回開催された Webmaster Conference Sapporo の様子

今回も一般の方による Lightning Talk を設ける予定です。登壇を希望される方は、ぜひお申込みフォームからお知らせください!

みなさまのご応募お待ちしております!

※ 応募多数の場合は、抽選とさせていただきます。

※ 参加者は 10 月 17 日以降メールにてご連絡致します。なお、抽選の場合、参加者のみのご連絡とさせていただきます。

※ 会場までの交通費等のサポートはありませんのでご了承ください。

※ 2 つのイベントに同時にお申し込みいただけますが、両方当選した場合、片方だけのキャンセルはできませんのでご了承下さい。

神田昌典氏のここが凄い!日本一のマーケターが作り上げたビジネス新常識

神田昌典氏は日本一のマーケターとも呼ばれ、マーケティング界を引っ張る存在として知られている。 私が神田氏の80冊を超える本、メルマガ、セミナー、Facebook、オーディオなどあらゆるコンテンツをチェックしていて最も感じ […]

500万の検索結果を分析した結果、自然検索のクリック率についてわかった10の事実

SEO施策を進めるにあたっては各種目標を設定しますが、「特定のキーワードの順位」を注視してしまう傾向はあると思います。

しかし、最終的には「Webサイトへのトラフィックがどれだけ発生したか」が重要となるため、順位のみを注視してしまうと重要な指標を見落としてしまうでしょう。そして、トラフィックの増加を狙うのであれば、クリック率というデータは欠かすことのできない情報です。

クリック率はなかなか正当なデータを算出することは難しいですが、ブライアン・ディーン氏でお馴染みのBacklinkoが500万のデータを駆使した調査を行いました。クリック率の改善案も提案されており、非常に有益な情報となっています。

Googleの自然検索におけるクリック率をより深く理解するため、我々は500万の検索結果を分析した。

分析対象のクリック率のデータは、874,929ページと5,079,491キーワードである。

その後、タイトルタグ、ユーザーの感情、メタディスクリプションなどの要素がクリック率にどのように影響するかを分析した。

ClickFlowのデータのおかげで、複数のGoogle Search Consoleアカウントからのクリック率のデータを取得できた。

前置きはこのくらいにして、早速結果を見てみよう。

今回の調査から得られた結果のまとめ

  1. Google検索で1位に表示されているページのクリック率は、平均で31.7%。
  2. Google検索で1位に表示されているページは、10位に表示されているページと比べ、10倍のクリックを獲得している。
  3. 7-10位に表示されているページのクリック率はほぼ同一。そのため、順位が少し上がっても、それが1ページ目の下位のままであれば、トラフィックを大きく増加することは難しくなる。
  4. 平均して、順位が1位上昇すると、クリック率は30.8%上昇する。しかし、この数値は上昇前と上昇後の順位で非常に左右される。3位から2位への順位上昇は、クリック率も飛躍的に上昇するが、10位から9位への順位上昇の場合、クリック率はさほど上昇しない。
  5. タイトルに質問が含まれているページの場合、タイトルに質問が含まれていないページと比べ、クリック率は14.1%高い。
  6. タイトルの文字数が15-40文字の場合が最もクリック率が高い。我々のデータによると、タイトルの文字数が15-40文字の範囲に収まると、それ以外の文字数のタイトルのページと比べ、クリック率が8.6%高かった。
  7. URL内にキーワードが含まれている場合、URL内にキーワードが含まれていない場合と比べ、クリック率は45%高くなる。
  8. 「パワーワード」を追加すると、CTRが下がる場合がある。パワーワードを含むタイトルのページは、パワーワードを含まないタイトルのページと比べ、クリック率は13.9%低くなる。
    ※パワーワード:クリックを煽るようなワードのこと
  9. 感情的なタイトルはクリック率を上昇させる。ポジティブ、ネガティブな表現を含んだ感情的なタイトルの場合、クリック率は約7%改善された。
  10. メタディスクリプションを書くことでクリック率は上昇する。メタディスクリプションが記載されているページは、メタディスクリプションが記載されていないページと比べ、5.8%多くクリックを獲得していた。

それぞれの分析結果の詳細を見ていこう。

①1位に表示されているページは、すべてのクリックの31.7%を獲得している

今回の調査の最初の目的は、クリック率の基準を見極めることである。

500万の全データを使用したところ、1位に表示されているページのクリック率が圧倒的に高いことがわかった。

  • タイトル:1位に表示されているページのクリック率が最も高かった
  • Y軸:クリック数
  • X軸:順位

また、2ページ目から極端にクリック率が下がることもわかった。

  • タイトル:2ページ目以降を訪れるユーザーは少ない
  • Y軸:クリック数
  • X軸:順位

Googleで検索したユーザーのうち、0.78%しか2ページ目以降に表示されているページをクリックしていないのだ。

この傾向は、Advanced Web Rankingの調査のように、他のクリック率の調査結果と同様の傾向となっている。

クリック率は2ページ目以降から極端に下がるため、我々は1ページ目の調査に注力することにした。

そのため、2ページ目以降のデータを除外した後、再度分析を行っている。また、極端に高いクリック率のデータ(例:ブランド名での検索)など、分析結果を歪めてしまうデータも除外している。

こうして、1ページ目のデータのみで分析を行った結果、1位に表示されているページのクリック率は31.7%であるという結果を得た。

  • タイトル:Google検索で1位に表示されているクリック率は31.7%

1ページ目に表示されている各順位のクリック率のデータは下記の通りである。

  • タイトル:順位ごとのクリック率
  • Y軸:順位
  • X軸:クリック率

上記の通り、1位に表示されているページのクリック率は、10位に表示されているページと比べ、10倍高い。

長い間SEO業界で働いている者にとっては、驚くべき数字ではないはずだ。1位に表示されることは、他のどの順位に表示されることに比べ、非常に大きな価値があるのだ。

Mozの調査にもあるように、Google検索を使用するユーザーは、本能的に1位の結果をクリックしてしまう。1位のページの数ピクセル下に表示されているだけにもかかわらず、2位に表示されているページのクリック率が大きく下がるのはこのためである。

  • タイトル:1位以降、クリック率は大きく下がる
  • Y軸:順位
  • X軸:クリック率

重要なポイント:1位に表示されているページは、全クリックの31.7%を獲得する。

②クリック率は5位と3位で大きく上昇する

上記で説明したとおり、1位に表示される場合、クリック率は圧倒的に高くなる。

しかし、1位以外に表示されているページもクリックはされている。

特に、6-10位までのクリック率は比較的同じであるが、5位以上からは大きく上昇しているのだ。

  • タイトル:クリック率は5位から大きく上昇する
  • Y軸:クリック率
  • X軸:順位

この結果から、2つのことが言えるだろう。

  1. 多くのユーザーは5位以降までスクロールしない
  2. 6位から5位へ順位が上昇すると、クリック率も大きく上昇する

さらに、3位からもクリック率は大きく上昇する。

  • タイトル:クリック率は3位から大きく上昇する
  • Y軸:クリック率
  • X軸:順位

広告やGoogle作成のモジュールがない場合、3位まではファーストビューに表示されるケースが多いことが理由となっているのだろう。

実際、上位3位までのクリック率を合算すると、75.1%という数字になる。

タイトル:Google検索で3位までに表示されているページのクリック数の合計は全体の75.1%

重要なポイント:我々のデータは、「1位に表示させること」がSEOの目標ではないことを示唆している。1ページ目の上位(特に3ページ目以内)に表示されることが重要なのだ。3位以内に表示されているページのクリック数は、合計で75%にものぼる。

③順位が1位上昇すると、クリック率は30.8%上昇する

今回の調査から、他の状況が同一であれば、順位が1位上昇するとクリック数は相対的に30.8%上昇することがわかった。

  • タイトル:順位が1位上昇するとクリック率は30.8%上昇する

しかし、このクリック率の上昇は、すべての状況で同一ではない。

順位上昇とクリック率の上昇の関係は、もともとの順位に強く依存するのだ。

  • タイトル:順位が上昇するごとに期待されるクリック率の上昇
  • 左側:順位の上昇
  • 右側:クリック率の変化

例えば、順位が9位から8位に上昇したとしても、5%しかクリック数は増えない。それほど大きな違いではないだろう。

しかし、順位が6位から5位に上昇すれば、クリック数は53.2%も上昇する。

重要なポイント:順位が1位上昇すると、クリック率は相対的に30.8%上昇する。しかし、この上昇率はもともとの順位に強く依存する。最もクリック数が上昇するのは、6位から5位への上昇であり、クリック数は53.2%も上昇した。

④多くのWebサイトにおいて、クエリごとのクリック数は8.1クリック

我々は、Google Search Consoleのレポート内のキーワードについても着目した。各キーワードはどれくらいのクリック数を獲得しているのだろうか。

まず、Googleの検索結果に表示されているほとんどのキーワードのインプレッション数が少ないことに気がついた。

  • タイトル:多くのキーワードのインプレッション数は低い
  • Y軸:割合
  • X軸:クエリごとのインプレッション数

このことから、検索結果に表示されているほとんどのキーワードが、検索ボリュームの少ないロングテールキーワードであることがわかる。もちろん、そのサイトが上位に表示されていないケースも考えられる。

そして、インプレッション数が少ないことが理由で、ほとんどのキーワードのクリック数はとても少ない(1キーワードにつき8.1クリック)。

  • タイトル:1キーワードあたりの平均クリック数は8.1
  • Y軸:割合
  • X軸:1キーワードごとのクリック数

重要なポイント:「〇〇個のキーワードで表示された」という指標は、SEOにおいて重要な指標ではないと言える。表示されている多くのキーワードの検索ボリュームはとても少ないからだ。インプレッション数とクリック数の大部分は、比較的少ない数のキーワードによって占められている傾向があるのだ。

⑤質問を含むタイトルはクリック率が高い

我々は、質問を含むタイトルと質問を含まないタイトルのクリック率を比較した。

我々は、「質問」を「How(どのようにして)、Why(なぜ)、What(なんの)、Who(誰)という単語が含まれている、もしくは、クエスチョンマークがついているタイトル」と定義している。

調査の結果、質問が含まれているタイトルは、質問が含まれていないタイトルと比べ、クリック率は14.1%高いことがわかった。

  • タイトル:質問が含まれているタイトルは、質問が含まれていないタイトルと比べ、クリック率は14.1%高い
  • Y軸:タイトルの種類
  • X軸:クリック率

下記は、各順位におけるクリック率を表したグラフだ。

  • タイトル:質問を含むタイトルと質問を含まないタイトルのクリック率
  • Y軸:クリック率
  • X軸:順位
  • グラフ内緑線:質問を含むタイトル
  • グラフ内赤線:質問を含まないタイトル

この調査結果は、Social Influenceが行った調査結果とも一致している。

質問を含むタイトルはCTRを向上させる可能性がある。なぜなら、ユーザーがGoogleで何かを検索する場合、彼らは質問に対する答えを探しているからだ(Googleは検索キーワードを「クエリ(質問)」と呼んでいる。)。

そして、タイトルに質問を含めることで、「そのページにはあなたの質問に対する答えが記載されている」ということをユーザーが確証することにつながるのだ。

  • タイトル:タイトルに質問を含めることでクリック率が改善される可能性がある

例えば、私は「nofollow link」について最適化した下記の記事のタイトルに質問を含めている。

  • 強調箇所:Nofollow Linkとは何か?

Search Consoleのデータを確認すると、このページのクリック率は29.2%だった。

「nofollow link」と大まかに検索するユーザーの多くが、「nofollow link」とは一体何かを知りたがっている。そして、私が作成した記事のタイトルは、「彼らが知りたがっている答えがここにある」ということを伝えているのだ。

重要なポイント:質問を含めたタイトルは、質問を含めていないタイトルに比べ、クリック率が14.1%高かった。

⑥15-40文字数のタイトルが最もクリック率が高い

理想的なタイトルタグの長さはどれくらいだろうか。短く、魅力的なタイトルにすべきか。それとも、そのコンテンツについての多くの情報を含めるため、長いタイトルにすべきだろうか。

我々のデータによると、その中間を狙うべきという結果がでている。

特に、「15-40文字数のタイトルが最もクリック率が高い」という結果が出ている。

  • タイトル:15-40文字数のタイトルが最もクリック率が高い
  • Y軸:文字数の範囲
  • X軸:クリック率

タイトルが長い場合、SEOにおけるメリット(長いタイトル=より多くのキーワード)もある。しかし、このメリットは、クリック率の低さと相殺されてしまうだろう。

Ersyは、広範囲なSEOの実験の1つとして、様々なタイトルタグの検証を行っている。この実験から、「長いタイトルよりも短いタイトルの方がパフォーマンスが良い」という結論を得ている。

  • 強調箇所:我々の調査によると、「長いタイトルよりも短いタイトルの方がパフォーマンスが良い」という結果が得られた。

この記事の著者は、短いタイトルの方がパフォーマンスが良い理由について、キーワードとのマッチングによるものだと仮説立てている。

しかし、我々の分析結果からは、短い(または中くらいの)タイトルはクリック率の向上にも一役買っていることもわかった。

重要なポイント:15-40文字数のタイトルが最もクリック率が高い。この文字数に収めたタイトルは、この文字数以外のタイトルと比べ、クリック率が平均で8.6%高かった。

⑦キーワードを含むURLはクリック率の高さと相関がある

我々は、キーワードを含むURLがクリック率に影響があるかどうかを調査した。

例えば、「weekend trips」と検索する場合、「travel.com/weekend-trips」のようなURLのほうが、「travel.com/travel-page」のようなURLよりもクリック率が高いのかどうかを調査したのだ。

この分析を行うため、我々は検索キーワードとURLを比較し、類似性を0%から100%まで設定した。

  • 表内左側の項目:URL
  • 表内真ん中の項目:キーワード
  • 表内右側の項目:類似性

0%は検索キーワードとURLが全く合致していないことを意味している。100%は完全に合致することを意味している。句読点や記号は無視している。また、一部の言葉を実質同一と扱う場合もある(「book」と「books」や「cake」と「cakes」の場合など)。

調査の結果、キーワードを含むURLとクリック率には強い相関があることがわかった(p値=0.01)。

  • タイトル:キーワードを含むURLとクリック率には強い相関がある
  • Y軸:クリック率
  • X軸:順位

完全に一致したキーワードを含むURLのクリック率が最も高かったが、部分的に一致しているURLもクリック率が高いことがわかっている。

Googleの検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイドにも、URLは検索結果に表示されることを記載している。そして、「サイトのコンテンツや構造に関連する単語を含む URL」を使用することを勧めている。

  • 強調箇所:サイトのコンテンツや構造に関連する単語を含むURL

また、2012年に公開されたMicrosoftの論文には、「信頼性のあるドメインは、ユーザーに馴染みのないドメインと比較し、検索結果におけるクリック率は高くなる」と記載されている。

  • 強調箇所:ドメインはユーザーの好みに対し25%の機会で影響する

この理論の背景には、「検索エンジンを使用するユーザーは、検索キーワードに最も適した答えを探すためにページのURLを確認している」といった行動が浮かび上がる。

重要なポイント:我々の調査によると、完全にキーワードと合致したURL(検索キーワードのすべてが含まれているURL)は、合致していないURL(URL内に検索キーワードが1つも含まれていないURL)と比べ、クリック率は45%高かった。

⑧「パワーワード」を追加すると、CTRが下がる場合がある

「パワーワード」とは、記事の見出しを目立たせることを目的とした特別な言葉やフレーズである。こうしたワードを使用することでクリック数が上がるという考えのもと、使用されている。

具体的な「パワーワード」の例は下記の通りである。

  • 秘密の(Secret)
  • 強力な(Powerful)
  • 究極の(Ultimate)
  • 完全な(Perfect)
  • 最高の(Best)
  • 愚かなほど(Insane)
  • 驚くべき(Amazing)

我々の調査では、パワーワードを使用するとクリック数が13.9%下がる、という結果が得られた。

  • タイトル:タイトルに含まれるパワーワードはクリック率の低下と相関している
  • Y軸:クリック率
  • X軸:順位
  • グラフ内緑線:パワーワードを含むタイトル
  • グラフ内赤線:パワーワードを含まないタイトル

私の考えはこうだ。パワーワードは情報が反乱しているプラットフォーム(Facebookなど)では注意を引きつけるのに有効であるが、Googleの検索結果では「釣りタイトル」として認識されてしまうのだ。

例えば、「見出しの書き方」という検索結果の上位3サイトを見てみよう。

こうしたキーワードの場合、「圧倒的で驚くべき見出しの書き方」というような、度を超えたタイトルを想像するのではないだろうか?

しかし、上位3サイトのタイトルは非常に落ち着いたものだ。

  • 勝利を勝ち取る見出しを書く、9つのシンプルな方法
  • 2017年度版、優れた見出しを書く9つのコツ
  • 読者に届く、55の簡単な見出しの書き方

重要なポイントパワーワードはソーシャルメディアでは有効かもしれないが、自然検索ではクリック率を下げる恐れがある。実際、パワーワードを含めたタイトルのクリック率は、パワーワードを含めないタイトルのクリック率と比べ、13.9%低い。

⑨感情的なタイトルはクリック率を上昇させる

我々の調査では、感情的なタイトル(ポジティブでもネガティブでも)は、感情的には中立なタイトルと比べ、クリック率は高いという結果を得られた。

  • タイトル:感情的なタイトルのクリック率は高い
  • Y軸:クリック率
  • X軸:順位
  • グラフ内緑線:感情的なタイトル
  • グラフ内赤線:感情的には中立なタイトル

特に、感情的なタイトルは、感情的には中立なタイトルと比べ、クリック率が7.3%高かった。

また、ポジティブな感情もネガティブな感情も、ほぼ同じ影響を与える傾向にあることがわかっている。(順位のような)他の変数を調整すると、ポジティブな感情の場合クリック率は7.4%高く、ネガティブな感情の場合クリック率は7.2%高かった。

この分析を行うため、我々はタイトル内の「極性分析」を行っている。また、ネガティブとポジティブの感情に基づいて、タイトルにスコアを付与している。

例えば、下記のようなタイトルは、感情的には中立なタイトルと考えられる。

  • 強調箇所:ゲストグラフィックを利用した被リンクの獲得方法

下記のようなタイトルは、ポジティブな感情としてスコアが付与される。

  • 強調箇所:すぐに好影響を与えるビジュアルコンテンツの15のタイプ

例えば、BuzuSumoなどが行った調査によると、感情的な見出しとエンゲージメントには相関関係があることがわかっている。

  • タイトル:Facebookにおける交流を生み出すエモーショナルな見出し

しかし、感情的なタイトルとGoogleの自然検索におけるクリック率の関係についての調査は発見できなかった。

ただし、少なくとも我々の調査からは、感情的なタイトルは自然検索におけるクリック率が高いという結果を得られている。

パワーワードを含むタイトルはクリック率を下げる傾向があるが、感情的なタイトルはクリック率を上げる傾向があるという調査結果は非常に興味深い。

これは、パワーワードの有無よりも、感情的なタイトルは微妙なニュアンスの指標となっているからだと考えている。言い換えれば、パワーワードを使用しなくても、感情的なタイトルの作成は可能だということだ。

釣りタイトルに見られることなく、ユーザーの感情的なスイッチをいれることができるタイトルは検索結果でも目立ち、より多くのクリックを獲得できるはずだ。

重要なポイント:ネガティブにしろポジティブにしろ、感情的なタイトルは、感情的には中立なタイトルと比べ、クリック率は高い。

⑩メタディスクリプションが記載されているページは、メタディスクリプションが記載されていないページと比べ、クリック率が高い

ディスクリプションは検索結果の順位に直接な影響を与えないが、Googleはすべてのページに固有のメタディスクリプションを記載することを推奨している。

  • 強調箇所:サイト上のすべてのページにメタディスクリプションが含まれるようにする。

また、よく書かれたディスクリプションは、Google検索のクリック数を改善すると提言している。

  • 強調箇所:質の高い説明はGoogleの検索結果に表示されることがあり、検索トラフィックの質と量の改善に大いに役立つ可能性があります。

こうした背景もあり、メタディスクリプションの有無によるクリック率の変化を調査することにした。

我々の調査では、「ディスクリプションが記載されているページは、ディスクリプションが記載されていないページと比べ、クリック率が5.8%高い」という結果を得た。

  • タイトル:ディスクリプションが記載されているページは、ディスクリプションが記載されていないページよりもクリック率が高い
  • Y軸:クリック率
  • X軸:順位
  • グラフ内緑線:メタディスクリプションの記載あり
  • グラフ内赤線:メタディスクリプションの記載なし

SEOの経験がある者にとって、この結果は驚くべきものではないだろう。Googleは常にディスクリプションを検索結果に表示しているわけではないが、表示される機会の方が多いはずだ。

ディスクリプションが記載されていなければ、検索結果のスニペットに表示させるため、Googleはページ内のコンテンツを引用しなければならない。

  • タイトル:メタディスクリプションがない場合、それを埋めるため、Googleはページ内のコンテンツから引用する

Googleがディスクリプションを生成した場合において、よく作られたディスクリプション以上に魅力的なスニペットとはならないだろう。

重要なポイントすべてのページに記載された固有のメタディスクリプションは、自然検索におけるクリック率を上昇させる。我々の調査では、「ディスクリプションが記載されているページは、ディスクリプションが記載されていないページと比べ、クリック率は5.8%高い」という結果を得られた。

まとめと結論

繰り返しとなるが、今回の調査を可能とさせた、ClickFlowのエリック・スー氏に感謝の意を述べたい。

今回の調査で得られた詳細な分析データに興味があれば、こちらのPDFをご確認いただきたい。

そして、この記事を読んでくれた読者の意見も伺いたいと思っている。

あなたにとって、今回の調査から得られたもっとも有益な結果はどれであっただろうか。

もしくは、今回の調査についての質問でもいい。

いずれにせよ、下記のコメント欄に意見を書いていただきたいと思う。
(ぜひFacebookやTwitterに感想付きでシェアしてください)

この記事は、BACKLINKOに掲載された「We Analyzed 5 Million Google Search Results. Here’s What We Learned About Organic CTR」を翻訳した内容です。

「1位のクリック率が圧倒的に多い」、「ページ下部に表示される場合はクリック率は横ばい」など、感覚的には理解していたことも詳細な分析結果としての数字に基づいており、非常に納得感がありました。

パワーワードやURL内のキーワードなど、英語と日本語で相違のありそうなデータもありましたが、着目すべき点としては理にかなっていると感じています。

基本的なことではありますが、順位のみに左右されるのではなく、しっかりとした指標に基づいて施策を進めていくべきだと、改めて感じました。

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Google のコア アップデートについてウェブマスターの皆様が知っておくべきこと

Google ではほぼ毎日、検索結果を改善するための変更をリリースしています。大半の変更は目に見える変化を伴わない場合が多いですが、これらを積み重ねることで、日々検索の改善に取り組んでいます。

時には、皆様がはっきりと変化に気づくようなアップデートを行う場合もあります。ウェブマスターやコンテンツ プロデューサーなどの皆様が対応したり措置を講じることができる実用的な情報がある場合、Google ではそのようなアップデートを周知しています。たとえば「Speed Update」を実施した際には、その数か月前から事前通知とアドバイスを公開しました。

Google では年に数回、検索アルゴリズムとシステムに重要かつ大規模な変更を加えており、このような変更を「コア アップデート」と呼んでいます。コア アップデートは、全体として、関連性が高く権威あるコンテンツを検索ユーザーに提供するという Google の使命を果たすために行われます。また、コア アップデートは Google Discover に影響する場合もあります。

コア アップデートは広範囲に変化や影響が現れるため、Google ではその周知を図っています。一部のサイトでは、コア アップデート後に掲載順位が下がったり、逆に上がったりすることがあります。掲載順位が下がった場合はサイトを修正しようと思うかもしれませんが、間違った修正を行わないように注意してください。場合によっては、まったく修正の必要がないこともあります。

コア アップデートとコンテンツの再評価

ページに問題がなくても、コア アップデート後にパフォーマンスが低下することがあります。こうしたサイトは、ウェブマスター向けガイドラインに違反したわけでも、手動またはアルゴリズムによって違反に対する対策が取られたわけでもありません。実際のところ、コア アップデートには、特定のページやサイトを対象とした変更はありません。コア アップデートの変更は、コンテンツ全体に対する Google のシステムの評価方法を改善するために行われます。この変更により、過小評価されていたページのパフォーマンス向上も見込めるようになります。

コア アップデートの影響を理解するには、例えば 2015 年に作成した映画トップ 100 のリストを想像してみるのがよいでしょう。2015 年からしばらくたった 2019 年では、リストを更新する必要があります。リストが変更されることは自然なことです。以前は存在しなかった新しい素晴らしい映画がいくつかトップ 100 に加わるかもしれません。評価が見直され、以前よりも高い順位にランクインする映画もあるかもしれません。

リストが更新され、以前は高い位置にランクインしていた映画のランクが下がったとしても、その映画が悪いわけではありません。それは単に、その映画よりも高い評価を得た映画があったというだけのことです。

コンテンツに集中する

これまで説明したとおり、コア アップデート後にページの掲載順位が下がったとしても、そのページに修正すべき問題があるとは限りません。それでも、コア アップデート後に掲載順位が下がった場合は、何かする必要があると感じるかもしれません。そのような場合は、できるだけ優れたコンテンツの提供に集中することをおすすめします。Google のアルゴリズムでは、コンテンツの品質に基づいて掲載順位を決定しているからです。

まずは、コンテンツの品質を自己評価する方法に関して Google が過去に提示したアドバイスを再確認しましょう。Google では、今回このアドバイスを更新し、コンテンツを自己評価するための新しい質問を追加しました。

コンテンツと品質に関する質問
  • コンテンツは、独自の情報、レポート、研究、分析を提供しているか?
  • コンテンツは、特定のトピックに対して包括的または完全な説明を十分に提供しているか?
  • コンテンツは、あたりまえのことだけでなく、洞察に富んだ分析や興味深い情報を含んでいるか?
  • コンテンツが他の情報源から得られたものである場合、単なるコピーや書き換えでなく、付加価値とオリジナリティを十分に提供しているか?
  • 見出しやページタイトルは、内容を説明する有用なものになっているか?
  • 見出しやページタイトルは、コンテンツを誇張したり、読者に強いショックや不快感を与えたりするものでないか?
  • ブックマークしたり、友人と共有したり、友人にすすめたくなるようなページか?
  • コンテンツは、雑誌、百科事典、書籍に掲載または引用されるような価値があるか?
  • 専門性に関する質問
    • コンテンツは、明確な情報源、関係する専門知識の証明、著者またはコンテンツを公開しているサイトの背景情報(著者ページへのリンクやサイトの概要ページなど)など、掲載されている情報が信頼性の高いものであることを示すための情報を提供しているか?
    • コンテンツを制作しているサイトを調査した場合、そのトピックに関する権威者としてそのサイトが信頼されている、または広く認識されているという印象を受けるか?
    • コンテンツは、トピックに関して明らかに充分な知識を持つ専門家や愛好家によって書かれているか?
    • コンテンツに明らかな誤情報がないか?
    • お金や人生を左右するような問題について、このコンテンツを安心して信頼できるか?
    コンテンツの提示方法や制作に関する質問
    • コンテンツに誤字やスタイルに関する問題がないか?
    • コンテンツは適切に制作されているか?急いで制作されたような印象を与えていないか?
    • コンテンツが大量生産されていたり、多数のクリエイターへの外部委託によって制作されていたり、大規模なサイト ネットワークに散在しており、個々のページまたはサイトのプレゼンスが低下していないか?
    • コンテンツに、主要なコンテンツを妨害したり注意をそらしたりするほどの大量の広告が掲載されていないか?
    • コンテンツは、モバイル デバイスでも適切に表示されるか?
    比較に関する質問
    • 検索結果の他のページと比較した場合、コンテンツは十分な価値を提供しているか?
    • コンテンツは、サイトの訪問者が本当に求めるものを提供しているように思えるか?あるいは、検索エンジンで上位に表示するためだけを狙って作成されたように思えるか?

    これらの質問を自分自身に問いかけるだけでなく、あなたのサイトと無関係な信頼できる第三者に正直に評価してもらいましょう。

    また、掲載順位が下がった場合、その状況を精査することも検討してください。どのページが最も影響を受けたか、そしてどんなタイプの検索で最も影響を受けたかを調査しましょう。それらのページを詳しく調べることで、上記の質問に対してどのようにページが評価されたのかを理解できます。

    品質評価ガイドラインと E-A-T について

    最適なコンテンツに関するアドバイスを紹介するもう一つのリソースとして、検索品質評価ガイドラインをご紹介します。Google には、アルゴリズムが適切な検索結果を提供しているか検証し、知見を提供する品質評価者という役割が存在します。この品質評価者は、アルゴリズムに対する変更が正しく機能しているかを確認するのに貢献しています。

    大事なこととして知っておいていただきたいのは、検索品質評価者はページの検索順位を制御できないということです。品質評価者のデータが直接ランキングのアルゴリズムで使用されることはありません。品質評価者のデータは、レストランにあるフィードバック カード(お客様アンケート)のようなものです。こうしたフィードバックを利用して、Google のシステムが機能しているかを確認しています。

    品質評価者がどのようにコンテンツの品質を評価しているかを理解すれば、コンテンツの改善に役立てることができるかもしれません。そして、コンテンツを改善することで、Google 検索での掲載順位も改善される可能性があります。

    品質評価者は、Google が E-A-T と呼ぶ基準に基づいてコンテンツが優れているかを判断するために特別な訓練を受けています。この基準は「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」を意味します。品質評価ガイドラインを確認することで、E-A-T の観点からコンテンツを評価して、検討すべき改善点を見つけられるかもしれません。

    以下に、品質評価ガイドラインをアドバイスとして活用したサードパーティの記事を紹介します(リンク先はすべて英語となります)。

    注意: 上記の記事へのリンクは特定の SEO 企業または SEO サービスを推奨するものではありません。このトピックに関して役に立つコンテンツを掲載している記事としてのみ紹介しています。

    掲載順位の回復とその他のアドバイス

    コア アップデートが実施された後によく寄せられる質問は、コンテンツを改善した場合、サイトの掲載順位が回復するまでにどれくらいかかるかという質問です。

    大規模なコア アップデートは、数か月ごとに行われる傾向にあります。サイトがコア アップデートの影響を受け、その後にコンテンツを改善した場合、掲載順位が回復する可能性があるのは、次の大規模なコア アップデートのリリース時です。

    しかし、Google では常に検索エンジンのアルゴリズムを更新しており、その更新には小規模なコア アップデートも含まれます。一般的に、小規模なコア アップデートは変化が見えづらいため、個別にお知らせすることはしていません。それでも、コンテンツの改善行われていれば、小規模なコア アップデートがリリースされたときにサイトの掲載順位が回復する可能性はあります。

    サイトの所有者が改善を行ったとしても、掲載順位の回復が保証されるわけではありません。また、ページの掲載順位が検索結果で固定されたり、一定の掲載順位が保証されたりすることもありません。Google のシステムで常にページが上位にランキングされるようにするには、それに相応しいコンテンツが必要です。

    Google のような検索エンジンは、人間とは別の方法でコンテンツを理解しているということを意識することも重要です。Google では、コンテンツに関して収集できるシグナルを探しています。そして、それらのシグナルが、人間が関連性を評価する方法とどれくらい相関しているかを確認しています。ページ間のリンクは、有名なシグナルの 1 つです。それ以外にも多数のシグナルが存在しますが、検索結果の信頼性を守るためにそれらのシグナルを公開することはしていません。

    大規模なコア アップデートを公開する前には必ずテストを行います。前述の検索品質評価者からのフィードバックを収集するなどして、シグナルの重み付けが好ましいものであるかを確認しています。

    もちろん、Google 検索の改善に完璧なものなどありません。Google がアップデートをし続ける理由はそこにあります。Google では多数のフィードバックを取り入れて、テストを積み重ね、ランキング システムを常に改善しています。Google のこの取り組みは、コンテンツの所有者が変更を行わなかったとしても、ページの掲載順位が将来回復する可能性があるということを意味します。何もしなくてもページの掲載順位が上がった場合、ランキング システムの継続的な改善によって、そのページのコンテンツの評価が高くなった可能性があります。

    この記事で紹介したガイダンスが皆様のお役に立てることを願っています。また、ツール、ヘルプページ、フォーラムなど、Google ウェブマスターから提供されるリソースでは、優れたコンテンツに関する多くのアドバイスを確認できます。詳細はこちらからご確認ください。

    Google 検索におけるコンテンツのプレビューをもっと制御できるようになります

    Google では、文字形式のスニペットを始めとする様々な形式のコンテンツをプレビューとして検索結果に表示していますが、これは、検索結果と検索クエリとの間に関連性があるかどうかを、ユーザーが判断しやすくすることを目的としています。どのような形式のプレビューが表示されるかは数多くの要因によって決められており、その要因の中には、ユーザーが探しているコンテンツの形式や、そのときに使用しているデバイスなどが含まれます。

    例えば、Google でレシピの検索を行っているユーザーには、サムネイル画像やレビュー スコアが表示されます。なぜなら、何を食べたいか決める際は、文字形式のスニペットよりも、そういった情報のほうが参考になると考えられるからです。上記のような形式の情報は、パブリッシャーが構造化データを使ってページを作成しているおかげで表示が可能になっています。

    Google は、表示された検索結果がユーザーのクエリと関連性が高く訪問したくなるサイトが表示されていることを分かりやすく示すために、プレビューを自動的に生成します。一方で、サイト オーナー側でも、プレビューで表示される情報をある程度調整したいという要望があることを私たちも理解しています。そこで本日は、ウェブマスターが行える新たな設定項目をいくつかご紹介します。これらの設定により、スニペットに表示する文字列はどの部分からどのくらいの長さであるべきか、その他の形式の情報はプレビューに表示するべきかどうか、などをそれぞれのサイトが簡単に定義できるようになります。

    スニペットとコンテンツ プレビューの設定を Google に知らせる

    これまでは、文字形式のスニペットの表示を許可するかどうかのみが設定可能でした。今回紹介する方法を使用することで、検索結果のページに対して表示されるプレビュー コンテンツを、より細かく設定できるようになります。その方法は、二種類の新しい設定を駆使して行います。その二種類とは、robots メタタグによる設定と、HTML 属性による設定です。

    robots メタタグを使用する

    robots メタタグは HTML ページの <head> 要素内に追加するか、x-robots-tag HTTP ヘッダー で指定します。ページのプレビュー コンテンツの設定で使用する robots メタタグは、以下の通りです。

    • "nosnippet"
      既存の設定値です。ページに対して文字形式のスニペットを表示したくないときに使用します。
    • "max-snippet:[number]"
      新しい設定値です!ページに対して表示するスニペットの最大文字数を設定します。
    • "max-video-preview:[number]"
      新しい設定値です!動画再生プレビューの最長再生時間(秒)を設定します。
    • "max-image-preview:[setting]"
      新しい設定値です!ページ内の画像がプレビューで表示されるときの最大サイズを指定します。指定可能な設定値は、"none"、 "standard"、 "large" のいずれかです。

    上記のメタタグは 2019 年 10 月 より有効になります。設定値は以下のようにまとめて記述することが可能です。

    例:

    <meta name="robots" content="max-snippet:50, max-image-preview:large">

    新しい data-nosnippet HTML 属性を使用する

    "data-nosnippet" HTML 属性は、ページ内のコンテンツのうち、スニペットとして表示してよい部分を制限するのに役立つ新しい方法です。span、div、section 要素で使用出来ます。"data-nosnippet" HTML 属性が指定された要素は、そのページに対する文字形式のスニペットとして表示されなくなります。

    例:

    <p><span data-nosnippet>Harry Houdini</span> is undoubtedly the most famous magician ever to live.</p>

    "data-nosnippet" HTML 属性は今年中に有効になります。詳しくは、robots メタタグと X-Robots-Tag HTTP ヘッダーの仕様に関する開発者ドキュメントを参照してください。

    リッチリザルトと強調スニペットについて

    構造化データ内のコンテンツは、検索結果におけるリッチリザルトとして表示することが可能です。リッチリザルトは、上記のメタ robots による設定で制限することは出来ませんが、構造化データ内のコンテンツ自体を制限したり修正したりすることで、より柔軟な設定が可能になります。例えば、レシピが構造化データに含まれている場合、その構造化データのコンテンツは、検索結果のうち、レシピのカルーセル内に表示されることがあります。そのような表示を制限するために、パブリッシャーは構造化データ内のコンテンツの量や形式を制限することが出来ます。

    検索の特別な機能の中には、プレビュー コンテンツが利用可能な場合のみ動作可能になるものがあります。つまり、プレビューを制限することで、それらの特別な機能の領域でコンテンツが使用されるのを防ぐことが出来ます。例えば、強調スニペットは表示するのに必要な最低文字数があり、それに満たない場合は表示されません。しかしながら、これは言語によって様々なので、強調スニペットで確実に表示されるための具体的な max-snippets の値は存在しません。強調スニペットとしてコンテンツを表示したくない場合は、 max-snippets の値を小さくしてみてください。強調スニペットから確実にオプトアウトしたい場合は、nosnippet を指定してください。

    AMP フォーマット

    AMP フォーマットには確実なメリットがあります。例えば、検索結果Google Discover のフィード画面で、より多くの注目を集めるような形でサムネイル画像を表示することが可能になります。このような特徴により、パブリッシャーはさらに多くのトラフィックを記事ページに誘導できるようになりました。一方で、パブリッシャーの中には、AMP ページが検索や Discover で表示された際に、大きいサムネイル画像を表示してほしくない場合があるかもしれません。その場合は、上記の meta robots タグのうち、max-image-preview に対して “standard” か “none” を指定します。

    本日ご紹介した新しい方法は、世界中のコンテンツ所有者の皆様が利用でき、全世界どこでも同じように機能し検索結果に反映されます。Google 検索におけるサイトの価値を最適化し、ビジネスの目標を達成するうえで、今回の方法が皆様のお役に立つことを願っています。さらに詳しい情報は、メタタグに関する開発者ドキュメントを御覧ください。ご質問がある場合は、私たちにお知らせいただくか、ウェブマスター ヘルプ フォーラムまでお越しください。

    [寄稿]事例でわかる、BtoBサイトのSEO戦略

    BtoB企業のマーケティング支援を行う才流(サイル)のコンサルタント黒須です。

    「ネット検索」が人々にとってもはや当たり前の昨今。それに伴い、SEOの方法は様々な書籍やブログなどで解説されているものの、BtoBマーケティングに限ったものはそう多くありません。

    その数少ないBtoB向けSEOの解説コンテンツも、

    ・htmlタグの活用方法
    ・コンテンツを作ることの大切さ

    といった表面的な戦術レベルの議論に終始しており、

    ・オウンドメディアを運営する必要はあるのか
    ・どのようなキーワードの対策を行い、どのようなLPを用意すべきなのか。

    こうした点が整理されていない感じていました。

    私自身が経営者やマーケターであれば事例に関心が行くので、今回は参考企業の事例をベースに、BtoBマーケティングにおけるSEO戦略を解説します。

    先に結論をまとめると、BtoBマーケティングでのSEOの方針はビジネスモデルとウェブサイトの目的によってとるべき戦略が変わってきます。

    1

    詳しく解説しましょう。

    単品ソフトウェア販売のビジネス

    一般的にBtoBビジネスにおけるウェブサイトの役割は、営業に引き渡すリードの獲得という意味合いが強いです。

    ただし、低単価の単品ソフトウェア販売やSaaSビジネスは、営業にそこまでコストをかけられないため、ウェブサイトの役割にリードの獲得からクロージングまでの要素が求められる力学が働きます。

    2

    例えば個人向け会計ソフト「freee」、勤怠管理クラウドサービス「ジョブカン」などの月額1万円未満のウェブサイトを見るとfreeeは決済まで、ジョブカンは30日間の無料体験ができるようになっており、営業が行うクロージングやデモ画面によるプレゼン、請求機能をウェブサイト上で代行しているのがわかります。

    こういったケースにおけるSEOのポイントはこの3つになります。

    ①アカウント発行につながるキーワードの特定
    ②キーワードで集客するためのコンテンツ制作
    ③SEOとCVRを担保するライティング

    キーワードの特定方法はいくつかありますが、基本はリスティングでCVするキーワードをピックアップしていきましょう。

    そこでポイントになるのが、「ランディングページをどうするか」です。

    freeeのケースであれば、キーワード「会計ソフト」であれば商品ページがランディングページに該当します。しかし、キーワード「確定申告」で商品ページを対策すると、そのキーワードで検索する顧客が求める情報とページの内容が合致しないため、効果は上がりません。

    この場合はキーワードに対応した専用のページを作り、ハウツーや基礎情報を掲載するほうがSEOの成功確率は上がります。

    それはなぜか?

    一例として、「勤怠管理」というキーワードの検索結果を見てみましょう。

    3

    検索結果を見てもらうとわかりますが、「勤怠管理」というキーワードに対して製品を紹介するページよりも、

    製品を比較する記事
    勤怠管理そのものを説明する記事

    が多く表示されているのがわかります。

    キーワードによって変わるのですが、これは昨今の検索エンジンは企業の製品やサービスを紹介するページよりも、中立的なハウツー情報を好む傾向にあるためです。

    以上のことから、
    製品ページで特定キーワードを狙う
    ・製品ページでカバーできないキーワードは、キーワード別に記事を用意する
    というSEO戦略をおすすめします。

    4

    次に、記事を用意する際のポイントについて解説します。

    ①顧客がキーワードで検索する際に知りたいことと、他のサイトでは触れられていない独自性のある情報を伝える
    ②できれば専門家が顔出しで書く。難しければ監修を依頼する
    ③記事が検索結果の上位に表示されたタイミングで自社サービスを使ってもらうためのセールストークを追記する

    以上が基本的な流れで、特に③が重要です。

    記事を増やしてSEOがうまくいき、検索エンジン経由の流入が増えたものの、肝心のアカウント発行やリード獲得がうまくいかない、というのはよくある話です。

    これを解決するためには、記事の下部に自社サービスを伝える文章が必要になります。

    よくバナーで自社サービスへの導線を用意する方法がありますが、よくても数%しかクリックされないため、おすすめできません。

    ポイントは記事が続いているように見せながら、自然と自社サービスの話に移行するように設計することです。

    参考として、アディッシュの下記記事を一読してください。

    チャットボット(Chatbot)とは【人工知能との関係、開発の方法】

    途中から「チャットボット選びの肝は「ツールの実操作の確認」と「Bot作成が素早くできること」という見出しが入り、自社サービスの説明がスタートしているのがわかります。

    5

    こういったライティングは真似すべきです。

    高単価商材を展開する際の参考事例

    高単価商材におけるウェブサイトの目的は、営業に引き渡す「リード獲得」です。

    営業がクライアントからヒアリングをしてクロージングにつなげるため、なるべく多くの顧客情報をSEO経由で集め、インサイドセールスチームがリードをふるいにかけ商談につながる有効リードを作る、これが基本的な流れです。

    そのため、SEOのキーワードは多少関心を広めにとっても問題ありません。

    しかし、必ずしもSEOによる集客のためにオウンドメディアを作る必要はありません。

    なぜなら、多くの企業にとってメディア運営は専門外であり、

    ・作った記事が面白いものにならない
    ・ゴールがなく、メンバーが疲弊する

    といった状況に陥り、うまくいかないことのほうが多いからです。

    例えば、センサーメーカーのキーエンスでは、「センサー iot」というキーワードのSEO対策に成功しています。そのランディングページを見ると、freeeのような豆知識を掲載した情報サイトを作っているのがわかります。

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    ※参照:https://www.keyence.co.jp/ss/general/iot-casestudy/merit/introduction.jsp

    サイトの情報も

    ・センサーのメリット
    ・IoT活用事例
    ・対応商品一覧

    といった形で、顧客にとって役立つ情報が体系的にまとまっているため、継続的に更新をかける必要もありませんし、SNSでシェアされるための企画編集要素もいりません。

    キーエンスはこういった情報サイトを30近く運営しており、各サイト個別にCTAメッセージを表示させてリード獲得を狙っています。

    7

    8

    「SEO対策のためにオウンドメディアを検討しているが、そもそも運営できる自信がない」という企業におすすめしたいSEO戦略です。

    マッチングメディアやECの事例

    代表的なマッチングメディアやECとして、「ボクシル」や「MonotaRO」が参考になります。

    こちらのビジネスモデルにおけるSEO戦略については、既存の書籍やブログでかなり解説されており、そもそもこうした領域の情報が役立つビジネスモデルは少数であるため、ここでは解説しません。

    「MonotaRO」のようなECサイトを運営されている方は、こちらの書籍が非常に参考になるので一読をおすすめします。

    いちばんやさしい新しいSEOの教本 人気講師が教える検索に強いサイトの作り方 「いちばんやさしい教本」

    最後に、そもそもオウンドメディアとはの話

    オウンドメディアとはWikipediaによると「自社発行の広報誌やパンフレット、インターネットの自社ウェブサイト・ブログなど、企業や組織自らが所有し、消費者に向けて発信する媒体を指す」と書かれています。

    この定義だとコーポレートサイトも該当しますが、本記事でのオウンドメディアとは「認知や具体的なビジネス成果(資料請求などのリード)を得るための企業発信のウェブ媒体」を想定しています。

    そのため、メディア単体で事業を行っているウェブサイト(ボクシルやMonotaRO、MERY、etc)は対象外です。

    再度、個人向け会計ソフト「freee」を例に解説します。

    ・経営ハッカー(https://keiei.freee.co.jp/
    →目的:認知獲得
    ・基礎知識(https://www.freee.co.jp/kb/
    →ビジネス成果獲得

    同社では2つのメディアを運営していますが、ほとんどの企業にとって「経営ハッカー」のようなコンテンツリッチなオウンドメディアを運営する必要はありません。

    それでも「オウンドメディアを運営したい!」という企業は以下のポイントを抑えた上で運営することで、その成功確率を上げることができるでしょう。

    ☑競合がいない
    ☑社内に向いてる人間がいる
    – インターネット好き
    – その人間の書くものが面白い(役に立つ)
    ☑目的がリードorアカウント獲得ではなく認知獲得

    競合がいないことは言わずもがなですよね。

    特に不動産や人材などのジャンルはすでに多くの会社も実施しているため、差別化が非常に困難です。メディアを見た方に対して新しい印象を与えられません。

    また、オウンドメディアのプロジェクトは誰が旗を振るかで成果が大きく変わってきます。

    社内で良い意味でインターネットに年中入り浸っている人がいて、その人の書くものが面白いのは、オウンドメディアを成功させるための最低条件だと思います。

    スマートニュースがスマQというオウンドメディアを2019年にスタートさせましたが、もともとlivedoorディレクターブログというメディアを立ち上げた方が発起人になっています。

    この方自身も、livedoorディレクターブログ時代に記事を書いており、バズっている記事を書いています。

    9

    ※はてなブックマークが2,000以上集まっている

    オウンドメディア運営はインターネット上でどのようなコンテンツを出せばどれくらいの関心が集まるか、なんとなくわかるといった感覚が必要です。しかし、この感覚を教えることは困難なので、そういった能力のある方が社内にいるか、確認したほうが良いです。

    まとめ

    今回伝えたかったことは、大きく以下の2点です。

    ①SEOの方針はビジネスモデル別の「ウェブサイトの目的」によって、とるべき戦略が変わる
    ②SEOのために必ずしもオウンドメディアは必要ない

    今後のオウンドメディア運営で、ぜひ今回紹介した事例を参考にしてください。

     

    著者紹介

    黒須 敏行(くろす としゆき)
    黒須 敏行(くろす としゆき) 株式会社才流 コンサルタント

    1983年生まれ、早稲田大学商学部卒業。2006年にIT系会社に入社しコンサルタントとしてマーケティング改善案件に携わる。ラクスル、ベネッセなどの顧客を担当し、SEO経由のMAUを月間200万純増、クライアントの新規年間粗利2億創出などの成果を出す。Web Designingの連載や様々な企業のビジネスモデルやマーケティングを分析した「ちびクロの細かすぎて伝わらないノート」を通して情報を発信中。twitterアカウントはこちら@kurosutoshiyuki

    [寄稿]事例でわかる、BtoBサイトのSEO戦略ナイル株式会社 - SEO HACKSで公開された投稿です。

    SEOにおいて、コンテンツのパフォーマンスとエンゲージメントを測定するための基本的な13の指標

    質の高いコンテンツを提供することは、ほぼすべてのWebサイトで共通の施策となっているはずです。また、SEOにとっても効果的な施策であることは、言うまでもないでしょう。

    しかし、SEO担当者がその施策チームに含まれていなければ、せっかくのコンテンツマーケティングの効果を見落としてしまう可能性も考えられます。

    素晴らしいコンテンツを作成した結果を正確に把握するためには、何を指標とすればよいのでしょうか。今回はコンテンツマーケティングの結果を測るSEOの指標をまとめているSearch Engine Journalの記事を紹介します。

    現在、我々はSEOとコンテンツマーケティングが手を取り合う時代でマーケティングを行っている。

    検索エンジンからの成功を勝ち取るためには、優れたコンテンツの作成が必要となる。

    SEOとコンテンツマーケティングのつながりの理解は非常に重要となっている。それが、リンクビルディングの手段として、高順位の獲得手段として、ユーザーを教育しコンバージョンを導くための方法として、のいずれであってもだ。

    しかし、成功は、たった一つの指標で表されるものではない。

    コンテンツマーケティングの成果を分析し、理解するためには、下記の項目への理解が必要となるだろう。

    • 考慮すべきキーとなる指標を知る
    • 指標を計測する方法を学ぶ
    • どの指標があなたの宣伝施策とビジネスに適しているかを特定する

    まず最低限知っておく必要のある、SEOにおいて共通となる指標を見ていこう。

    1.リンク数

    多くのSEO担当者にとって、リンクの獲得はコンテンツマーケティングの主要な目的の一つであるはずだ。

    参考として、GoogleのWebマスターガイドラインから一部抜粋してみよう。

    自分のサイトに、他のサイトから高品質で関連性の高いリンクをもらうには、インターネットコミュニティで自然に人気を得られるような、関連性の高い独自のコンテンツを作成するのが最も効果的な方法です。良質なコンテンツはリンクの獲得に役立ちます。リンクは編集者による人気投票のようなもので、役に立つコンテンツを多く提供するほど、そうしたコンテンツが自サイトのユーザーにとって有益だと気付く人が増え、そのサイトコンテンツへのリンクを設定してもらえる可能性が高くなります。

    リンクには良いリンクと悪いリンクがある。

    リンクは、Googleのランキング要素のトップ3の一つである。

    高品質で関連性のあるリンクとは、人気を得た独自性のあるコンテンツの作成の結果によって獲得できるものだ。

    しかし、すべてのリンクが同じというわけではない。

    リンクプログラムに参加することは、Googleのガイドラインに違反する。こうした類のリンクは他にもある。

    • ペイドリンク
    • 過度な相互リンク
    • キーワードを詰め込んだアンカーテキストの使用
    • 自動生成サービスで作成されたリンク

    まとめると、「リンクは自然に獲得されたものであるべき」ということだ。そして、リンクを獲得するための最適な方法が、優れたコンテンツを作成することなのだ。

    Googleトレンドで「リンクビルディング」と「コンテンツマーケティング」を比較してみよう。

    Googleがペンギンアルゴリズムを初めて実装した数カ月後、「コンテンツマーケティング」は検索キーワードとしての注目を集め、反対に「リンクビルディング」は大きく下降している。

    この状況を踏まえれば、リンク獲得がコンテンツマーケティングにおける重要なSEO指標の一つであることは驚きではないだろう。

    リンクは確かに重要であり、その重要性がなくなることはない。

    リンク数は重要な指標であり、その測定方法を学ぶべきだ。

    しかし、「リンクで重要なのは数のみではない」ということを理解しよう。

    リンクはその質も大事となるのだ。

    質を考慮に入れた上で、どのようにしてリンク数を測定すればよいのか。

    測定ツールを使用しよう。理想は、複数のツールを組み合わせることだ。

    リンク測定の有名なツールは下記だ。

    • Google Search Console
    • SEMrush Backlink Audit / SEMrush Backlink Analytics
    • Majestic
    • Moz’s Link Explorer

    複数のリンク分析ツールを使用する理由は、可能な限り包括的に、自身のサイトのリンクプロフィールを把握するためだ。

    すべてのリンクをインデックスしているツールは存在しないため、少なくとも2つ以上のツールを使用すべきだろう。

    Google Search Consoleは無料のツールであるが、有償のツールと同程度の指標を備えているわけではない。しかし、Search Consoleはすでに使用しているだろうし、自身のサイトに向けられたリンクの概要を知るために最適なツールであるといえる。

    リンクプロフィールを確認するためには、Search Consoleを開き、左側のサイドメニューにある「リンク」をクリックすればいい。

    この機能により、そのページに向けられ、Googleがインデックスしているリンクの概要を確認できる。

    しかし、この機能から得られる情報はそれほど多くはない。リンクの関連性や権威性=質は、リンクの総数よりもずっと重要なのだ。

    少なくとも一つのプロフェッショナルなツールに投資する価値はあると言える。リンクプロフィールをより良く把握でき、SEOのキーとなる指標を特定できるからだ。

    どのツールを使用するにせよ、各ツールは独自のスコアを使用しており、このスコアを見ることでリンクの品質の理解へとつながるだろう。簡単に言うと、スコアが良ければ、リンクの質も良いということだ。

    また、リンクの関連性も無視してはならない。権威性と同様、関連性のあるサイトからのリンクを獲得することは非常に重要だ。理想的な状況は、一流のサイトから関連性があり、権威性のあるリンクを獲得していることだろう。

    リンクはコンテンツマーケティングの施策における、SEOのキーとなる指標である。どのような状況が品質の高いリンクの獲得に貢献しているかを理解することは重要なことである。

    リンクビルディングはSEO界隈でもよく議論される内容の一つであり、リンクが順位に影響を与えるという事実は、驚くべき内容ではない。

    自身のサイト、もしくはページに向けられたリンクを獲得するために、何ができるだろうか。

    GoogleのWebマスターガイドラインにも記載されているとおり、他者がリンクを貼りたくなるような優れたコンテンツを作成する必要がある。独自性があり、有益なコンテンツだ。

    リンクを貼ってくれる可能性のあるユーザーに、あなたが作成した優れたコンテンツを知らせよう。Eメール、ソーシャルメディアでのプロモーション、古典的な方法では有るが、電話をかけるという手もある。

    コンテンツの質が良ければ、ジャーナリスト、ブロガー、インフルエンサーなど、関連性のあるリンクを貼ってくれる可能性がある者たちもいる。

    さらに多くのアイデアが必要であれば、我がサイトのリンクビルディングガイドの記事を読んでいただきたい。

    2.順位

    作成したコンテンツへの自然検索経由でのトラフィックを得るためには、Google、Bing、そしてその他の検索エンジンの検索結果の目立つ場所(=上位)の順位を獲得しなければならない。

    そのため、順位はSEOの重要な指標と言えるわけだが、その重要性はかつてほど高いわけではない。

    実際、順位に対し必要以上に注力してしまうことは、初心者にありがちなミスと言える。

    なぜだろうか。

    検索結果のパーソナル化、検索結果0位(強調スニペットなど)、広告スペース、ローカルパックの表示など、広範囲に渡る要素が絡んでくるからだ。

    簡単に言うと、特定の検索キーワードの順位を正確に測定することが非常に困難になっているのだ。

    それでは、順位はどの程度重要なのだろうか?

    答えは、「”とても重要”とは言えない」となる。

    自然検索からのトラフィック、インプレッション、クリック率などのその他の指標と組み合わせて考えなければ、順位はそれほど意味を持たない指標なのだ。

    そのため、あなたは検索キーワードと関連する順位の両方を把握する方法を理解しなければならない。

    もちろん、SEMrush、Searchmetrics、Mozなど、有償の順位測定ツールを使う手もあるが、必要な指標はほぼGoogle Search Consoleで確認できる。

    確認方法(特定のコンテンツの指標を見る場合を例に挙げる)は、Search Consoleにアクセスし、左側のサイドバーの「検索結果」をクリックすればよい。

    フィルタを追加したい場合は、「新規」をクリックする。

    グラフの下部にある表の「ページ」タブをクリックすれば、特定のURLで絞り込むことができる。

    URLを入力すれば、そのコンテンツが検索結果に表示される際のキーワードを確認することができる。また、表内のキーワードをクリックすれば、選択した期間におけるそのキーワードの順位推移を確認できる。

    必要であれば、順位で絞り込むことも可能だ。

    順位自体は、それ単体では主要な指標にならないことが多い。

    しかし、他の指標と組み合わせた際の、検索キーワードのデータの威力を甘く見るべきではないだろう。

    3.自然検索からのトラフィック数(Google vs Bingのトラフィック)

    おそらく、順位よりも重要な指標は、そのコンテンツが得た自然検索からのトラフィック数だろう。

    そのページが読まれた数は、あなたのビジネスへのコンバージョンを発生させる可能性そのものである。

    多くの場合、自然検索からのトラフィック数は重要な指標の一つとなるだろう。過去のデータとの比較を含め、単純に推移を測定するだけでなく、将来的に改善するためにはどうすればよいのかを常に考えるべきだ。

    検索キーワードのデータと組み合わせることにより、戦略の意思決定における強力なデータとなる。

    幸運にも、自然検索からのトラフィックを特定するのは非常にわかりやすい。

    Google AnalyticsとGoogle Search Console(Bing Webmaster Tools)にアクセスすればよいのだ。

    まずは、特定のコンテンツの検索からのトラフィックが、他のチャネル(広告、ソーシャル、リファラ)と比較し、どの程度積み上がっているかを確認しよう。

    Google Analyticsにアクセスし、「行動>サイトコンテンツ>すべてのページ」の順にクリックする。

    ここでは、サイト全体のデータを確認できる。また、最も高いパフォーマンスを出したページや特定のURLのデータを確認するためにアドバンス検索を行うこともできる。

    データを見たいページをクリックし、セカンダリディメンションで「参照元」をクリックする。

    こうすれば、選択した期間における参照元ごとのトラフィックを確認することができる。

    ここで重要なことは、自然検索からのトラフィックを他のチャネルと比較することだ。

    セカンダリディメンションで「参照元/メディア」を選択すれば、他の検索エンジンとの自然検索のトラフィックを比較することもできる(例:Google vs Bing vs Yahoo)。

    4.自然結果のクリック数、インプレッション数、クリック率

    自然検索のトラフィック数は、それ自体では、「そのサイトやページが検索からのトラフィックをどのくらい獲得したか」しか表していない。検索キーワード、潜在的なトラフィック数、クリック率などは含まれていないのだ。

    (特に順位データを含めることにより)特定の検索キーワードに関わるデータを収集することで、今後の成長などに対する判断を下せるようになる。

    一般的には、下記の項目を指標とする場合が多い。

    • インプレッション数は多いが、クリック数が低い(CTRが低い)。
      CTRを高める施策が必要とされる。
    • インプレッション数は低いが、クリック率は高い。
      インプレッション数を高めるために、他のキーワードを対象としたコンテンツの最適化が必要とされる。

    重要な決定を下すためのデータが必要とされ、そのデータから導き出されたアクションを行う。トラフィック数だけで判断するべきではない。

    「ユーザーは検索結果に表示されているあなたのサイトとどう関わっているか」「なぜクリックが発生しているか」といったデータと向き合うのだ。

    こうしたデータを取得するためには、Search Consoleにアクセスし、検索結果の順位を反映させた絞り込みを行う。

    左側のサイドメニューに表示されている「検索結果」をクリックしよう。

    下記のようなデータが表示されるはずだ。また、「新規」をクリックすることで別の絞り込みを行うこともできる。

    「ページ」をクリックすれば、特定のURLで絞り込むことができる。

    調査したいページのURLを入力すれば、インプレッション数、クリック数、クリック率とともに、検索キーワードのデータが明らかになる。

    Bing Webmaster Toolsでは、Search Keywords Report(キーワード検索レポート)を使用することで、どのキーワードで検索結果に表示されているかがわかる。また、クリックがBing、もしくは、Yahooで発生しているかも確認できる。

    これらのデータは、レポート&データタブ内で確認が可能だ。

    5.オーガニックのコンバージョン率

    多くのSEO施策の目的が、訪問客からのコンバージョンを獲得することだ。達成が難しいコンバージョン(例:ECサイトでの購入)、比較的容易に達成できるコンバージョン(例:ブログでのEメール購読)、または、その間にあるものなど様々だ。

    そのため、自然検索からのコンバージョン率を計測することは重要と言えるだろう。コンバージョン率は、「目標に対し予め設定していた行動を取った訪問客の割合」となる。

    この指標により、コンバージョンがサイト全体、または特定のコンテンツにおいてどの程度積み重なっているかを計測することができる。また、コンバージョン率が低ければ、改善箇所の特定にもつながるだろう。

    まず取り組むべきことは、コンバージョンとして何を計測すべきかを知ることだ。すでにGoogle Analyticsで目標を設定し、計測を始めているかもしれない。

    しかし、コンテンツマーケティングの目標という場合には、サイト全体の目標と比較し、より深い洞察が必要とされる。

    計測すべき指標が売上、リード、Eメール登録、ページ滞在時間(熱心なユーザーの滞在時間が他のユーザーと比べて長ければ、リマーケティングリストに追加することが可能だ)などのいずれであれ、Google Analyticsに設定されていれば、特定のページにおけるコンバージョン率の把握はたやすい。

    ※備考:目標の設定が済んでいない場合、こちらのヘルプ記事をまずは読んでいただきたい。

    目標の設定が完了している場合、コンバージョン率を計測したいページは次の手順で確認できる(集客>すべてのトラフィック>キャンペーン>オーガニック検索キーワード)。

    この設定で、ランディングページに絞り込むことができる。

    さらに、確認したい目標で絞り込む事により、各種データと目標を確認できる。

    6.モバイルのランキング

    Googleがモバイル・ファースト・インデックスへの注力を進める背景もあり、自身のサイトがモバイル検索に最適化されているかを把握することは、これまで以上に重要となっている。

    その結果、サイト全体で計測している指標も、デバイスの種類ごとに分けて把握する必要がある。

    モバイルの順位においては、該当のコンテンツのモバイルとデスクトップの両方のパフォーマンスを理解することが重要だ。より多くのビジビリティ(検索結果上での露出)を獲得するために必要な改善策なども見えてくるだろう。

    繰り返しとなるが、モバイルの順位を計測するためも、有償のツールを使用することを検討してほしい。

    しかし、Google Search Consoleでも、これらの指標は計測可能だ。

    左側のサイドメニューの「検索結果」をクリックしよう。

    下記のページが開かれるはずだ。また、「新規」をクリックすることで別の絞り込みを追加できる。

    「ページ」を選択すれば、特定のURLで絞り込むことができる。

    ここで表示されているデータは、サイト全体で表示されているデータと同じ項目となる。

    そして、「新規」から「デバイス」をクリックしよう。

    ここで、モバイル、タブレット、デスクトップ(もしくはそれぞれの比較)を選択できる。

    絞り込みを設定すれば、特定のデバイスの各キーワードにおける平均順位を確認できる。また、クリック数、インプレッション数、クリック率などの指標も確認できる。

    7.モバイル検索のトラフィック数

    モバイルファーストの時代においては、自然検索のトラフィックがどこから来ているかを理解することが重要だ。デスクトップからだろうか。モバイルからだろうか。

    こちらを把握するため、Google Analyticsのデータをデバイスごとに振り分ける方法を学ぼう。

    幸運にも、その方法は非常にシンプルだ。「行動>サイトコンテンツ>すべてのページ>セカンダリディメンション>デバイスカテゴリ」と選択していく。

    測定したいURLを入力すれば、モバイル、デスクトップ、タブレットのデバイスごとに割り振られたトラフィック数を確認できる。

    サイト全体のデバイス別のデータを確認したい場合は、「オーディエンス>モバイル>概要」と選択すれば良い。

    8. Accelerated Mobile Pages(AMP)

    この領域は少々複雑だ。

    Accelerated Mobile Pages(AMP)は、モバイルデバイスにて、コンテンツをほぼ一瞬で表示させることを可能とする技術である。つまり、ユーザー体験とエンゲージメントの向上が期待できるのだ。

    2年以上前に、GoogleはAMPをモバイル検索に導入した。そして、マーケターがこの技術について理解する必要性も生まれた。

    これまでに紹介してきた指標をAMPページでも計測したいと思うはずだ。しかし、AMPページの場合、そのままではGoogle Analyticsでは計測することができない。

    Google Analyticsで計測するためには、 AMP Analyticsタグをモバイルページに設定する必要がある。

    また、「アナリティクスでデータが収集される仕組みとその用途を開示するとともに、こうしたデータの収集や使用をユーザーが無効にできる」設定をしなければならない。

    さらに、AMP Analyticsは下記の項目のみ、測定可能となる。

    • ページデータ:ドメイン、パス、ページタイトル
    • ユーザーデータ:クライアント ID、タイムゾーン
    • 閲覧データ:参照 URL、ユニーク ページビュー ID
    • ブラウザデータ:画面の高さ、画面の幅、ユーザー エージェント
    • インタラクション データ:ページの高さ、ページの幅
    • イベントデータ

    多くのコンテンツマーケターにとっては十分な項目だろう。AMP Analyticsタグについてのドキュメントはこちらだ。

    実装が完了すれば、AMPページと非AMPページでトラフィックを比較することができる。

    前提として、Google AnalyticsはAMPのデータをデータソースディメンションに送信する。これらは絞り込みのために使用され、特定のビュー内で、AMPと非AMPページの分析が可能となる。

    AMPページの成功のために必要なことは、技術的なエラーを発生させないことだ。

    公式のAMPページのバリデーターを使用し、作成したAMPページを確認しよう。また、SEMrushの機能を使用すれば、一括の確認も可能だ。

    9.ページスピード

    Googleはページスピードをランキング要素として使用する場合もある。

    しかし、サイトスピードに関わる指標は、非常に複雑だ。

    わかりやすく区別してみよう。

    • サイトスピードは、サイト内の特定のサンプルページのページスピードである。
    • ページスピードは、ページのロードスピード、もしくは、特定のページのファーストバイトにかかる時間である。

    ページスピードが早ければユーザー体験も良くなるため、Googleはランキング要素として扱うと考えることができる。

    また、スピードが遅いページは、割り当てられたクロールバジェットがあるため、多くのページがクロールされない可能性があることも理解しておくべきだ。

    幸運にも、GoogleはPage Speed Insightsというツールを提供しており、このツールを使用すれば、ページスピードを容易に計測することができる。

    このツールにURLを入力すれば、モバイル版とデスクトップ版の両方で、様々な指標を確認できる。また、最適化の方法やページスピードを改善するためのアドバイスも提供される。

    最近では、ChromeのUser Experienceレポートからのデータも含まれている。大量のデータを一括で確認したい場合は、SEMrushのSite Auditの機能を使用しよう。

    10.クロールエラー

    クロールエラーは、検索エンジンが特定のURLをクロールしようとしたが、実際にはクロールできなかった場合に発生する。

    一般的に、クロールエラーは、Googleボットが「行き止まり」に出くわすことを意味する。リンクをたどってページに到着したがクロールが叶わなかったという状況であり、解決すべき対象となる。

    基本的に、Googleはクロールエラーをサイトエラーか、URLエラーかに分けている。前者はサイト全体の適用(つまり、クロールできないということ)になり、後者は特定のURLにおける問題となる。

    サイトエラーの原因はDNSかサーバーのエラーである場合が多く、URLエラーは404に関連した場合が多い。

    どのような形であれ、クロールエラーは修正の対象とすべきだ。そのため、定期的な観測が必要とされる。ありがたいことに、Google Search ConsoleもBing Webmaster Toolsも、クロールエラーのデータを提供してくれている。

    また、Screaming Frog SEO SpiderやSitebulbといったデスクトップツールを使用する方法もあるだろう。

    しかし、デスクトップツールは不便な点もあるため、SEMrush Site AuditやRyteといったクラウドベースのツールのほうが良いかもしれない。

    Google Search Consoleでは、「カバレッジ>除外>クロールエラー」とクリックすることで確認できる。

    Bing Webmaster Toolsでは、レポート&データセクション内のクロール情報レポートで確認できる。

    11.インデックス状況、インデックス数

    おそらく、SEOの指標で最も多く見落とされている指標は、サイトのインデックス状況だろう。

    検索エンジンがインデックスをしようとする(もしくは、すでにしている)URLを把握するために必要な指標だ。

    この指標を確認することで、インデックスに関わる問題への対処方法を判断することができる。検索エンジンを誤ってブロックしているのか、絞り込み機能やクエリパラメーターによる重複ページによるものなのか、などが例として挙げられる。

    インデックス数は徐々に増えていく傾向が理想だ。サイトの成長速度に併せて、インデックス数も増えるといった具合である。

    もし、インデックス数が突然下落したり、急激に増えたりした場合などは、要因調査が必要だろう。

    自身のサイトのインデックス状況を確認するには、Google Search Consoleにアクセスし、「以前のツールとレポート>クロールの統計情報」とクリックすればよい。

    ここでは基本的なデータも高度なデータも両方確認することができる。ロボットテキストによってブロックされたURLの把握も可能だ。

    12.タイトルとディスクリプションの重複

    おそらく、SEOの最も基本的な要素は、それぞれのページに独自のタイトルとディスクリプションを設定することだろう。

    しかし、大規模サイトを運営している場合、見過ごされてしまう要素でもある。

    サイト全体のすべてのページに独自のタイトルとディスクリプションを設定していても、時が経つに連れ、重複が発生してしまう可能性がある。

    そのため、この問題がSEOの潜在的な問題となる前に、チェック体制を整備しておくことが重要となる。

    幸運にも、重複したタイトルとディスクリプションを把握するためには、Google Search Consoleを活用すればいい。この問題を解決するためには、単純に重複した内容を書き換えればいいのだ。

    Googleが検知している重複したタイトルとディスクリプションを把握するためには、Search Consoleに行き、「検索の見え方>HTMLの改善」をクリックすればいい。
    (旧Search Consoleの機能なので、現在は使用不可)

    重複したタイトルとディスクリプションが検知されていれば、下記のような表が表示されるだろう。

    理想は、上記の表がすべて0と表示されることだろう。その状態は、問題が何も発生していないことを意味しているのだ。

    13.滞在時間

    近年、SEO界隈で最も活発な話題は、滞在時間についての話題だろう。検索者が検索結果に戻る前に、そのページにどれくらい滞在していたかを測る、ユーザーに基づいた指標である。

    直帰率と滞在時間、それぞれ単体で使用すべきかどうか、迷われる方も多いはずだ。実際は、それぞれを組み合わせて使用するほうが良い。

    また、オープンなデータでない点も、フラストレーションが溜まる原因となっている。Google AnalyticsやSearch Consoleを使用しない限り確認することができないため、改善の余地もなくなってしまう。

    基本的には、ユーザーが多くの時間をサイト内で過ごし、関わりを深め、直帰しなければ、それらは検索エンジンに対しサイトの品質が高いというシグナルを送ることになる。

    セッション時間が短く、直帰率が高く、関わりも薄いサイトとはどんなサイトだろうか。品質の低いサイトではないだろうか。そして、その予測は正しい。

    ここで覚えておくべきことは、今まで以上に、ユーザーをベースとした指標はSEOにとっても重要になっているということだ。可能な限り、分析と改善のために時間を費やすべきだろう。

    滞在時間という指標が良い状態であれば、一般的に、SEOのパフォーマンスも良くなることを意味している。指標として利用するのは難しいかもしれないが、滞在時間と直帰率はサイト全体と特定のページの両方で測定することができることは忘れないでいただきたい。

    Google Analyticsにアクセスし、「行動>サイトコンテンツ>すべてのページ>URL」とクリックしていこう。純粋な滞在時間ではないが、平均の直帰率よりも低く、平均ページ滞在時間よりも長いページを注視しよう。

    今のところはこの確認方法がベストであり、滞在時間を測る指標としては助けとなるだろう。

    結論:SEOの指標の把握は重要である

    SEOの指標はあらゆるコンテンツマーケティングの施策を成功させるために重要であることを理解しよう。

    SEOに注意を向けなければ、コンテンツのポテンシャルを最大限に活かすことが難しくなる。それは、価値のあるトラフィックとコンバージョンの可能性を失うことを意味しているのだ。

    しかし、それと同時に、SEOの指標はコンテンツマーケティング施策に取り組むにあたり、考慮すべき指標の一つにすぎないことも理解するべきだ。

    ソーシャルでの共有数、コンバージョンの指標、エンゲージメントの指標などにも注意を向ける必要がある。

    SEOは、コンテンツマーケティングの施策における一部分にすぎないが、重要な一部分でもある。また、施策の基礎となる場合も多いはずだ。

    この記事は、Search Engine Journalに掲載された「Top 13 SEO Metrics to Track Content Performance & Engagement」を翻訳した内容です。

    どちらかと言えば、SEOに馴染みの少ない方向けの記事でした。

    しかし、SEO担当者にとっても、コンテンツチームが見落としがちな指標として、有益な情報であったと思います。以前と比べ、SEOの各施策がもたらす効果というものは見えづらくなっていると感じます。

    そんな状況である中、確認すべき指標はきっちりと追いかけるべきであると、改めて考えさせられる記事でした。

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    サイトの検索パフォーマンス レポートでより最新のデータが利用可能に

    このたび、ユーザーの皆様から寄せられたフィードバックの分析を通じて最もご要望の多かった機能リクエストに基づき、レポートでのデータの更新頻度が新しく改善されましたのでお知らせします。
    パフォーマンス レポートでは、ウェブマスターやサイト所有者が Google 検索でのサイト パフォーマンスをより的確に把握できるほか、次のような疑問の答えを見つけることもできます。
    • 一般的な統計情報: Google 検索や Discover から自分のサイトが獲得したトラフィックはどのくらいか?
    • 検索クエリ: 自分のサイトの上位の検索クエリや急上昇中の検索クエリは何か?
    • 上位のコンテンツ: 自分のサイトのページのうち、Google 検索において最も成果を上げているページはどれか?
    • サイト訪問者: どの国からアクセスしているか?どのデバイスからアクセスしているか?そのほとんどがモバイルからか?
    • 形式: 自分のサイトは検索結果にどのような形式で表示されるか(AMP、レシピなど)?
    今後は 24 時間以内の最新データを確認できるようになります。従来は更新に数日かかっていたことを考慮すると、これは大幅な改善と言えます。
    今回のデータ更新頻度の改善により、サイト パフォーマンスのより的確な監視、トラッキングが可能になり、次のような重要なニーズに対処できるようになることが見込まれます。
    • 週末のパフォーマンスを月曜日の朝に確認する。水曜日まで待つ必要はありません。
    • 朝一番にサイトの統計情報を確認する。祝日や世界規模のイベント、ショッピング シーズンなどの重要な期間後、あるいは期間中でも確認できるようになります。
    • 重要な技術的問題を修正した後、すぐにサイトのトラフィックが回復するかどうかを確認する。


    さらに、データのタイムゾーン(太平洋時間)が明確に示されるようにレポートを更新しました。これは、ローカル タイムゾーンと比較してデータを解釈したり、Google アナリティクスなどの他のソースと統合したりする場合に便利です。



    最新のデータポイントはそれぞれ、数日後に最終的なデータポイントに置き換えられます。最新データは、最終的に確定する前に若干変更される可能性があります。

    Search Analytics API は、まだ最新データをサポートしていません。また、Discover のパフォーマンス レポートでも最新データは利用できません。そのため、Discover のパフォーマンス レポートで対象となるプロパティから、概要レポートの最新データを参照することはできません。将来的には、こうした問題にも対処していきたいと考えています。

    経時的なパフォーマンス データのエクスポート


    また、パフォーマンスの推移の確認やエクスポートを簡単に行えるようにしてほしいというフィードバックも寄せられていました。本日より、この点についても可能になります。操作はシンプルで、グラフの下の表で [日付] を選択して目的の期間を選び、Search Console でデータを確認するか、グラフをエクスポートするだけです。この新機能が、経時的なパフォーマンスの傾向や変化についてさらに詳しく調べる際に役立つことを願っています。



    まとめ

    今回の改善による最新のデータが、サイトのパフォーマンスをより的確に監視し、リアルタイムに近い状況で傾向、パターン、注目すべき変化を特定するうえでお役に立てば幸いです。また、表の新しい日付ディメンションも、経時的なパフォーマンスの傾向や変化を調べる際にぜひお役立てください。ご不明な点がありましたら、ウェブマスター ヘルプ フォーラムまたは Twitter よりお問い合わせください。

    投稿者: Ziv Hodak、Search Console プロダクト マネージャー

    Google 検索でインデックスの問題が発生: その対処法と教訓

    ほとんどの時間は、Google の検索エンジンは正常に動作しています。私たちは、ウェブを検索しているユーザーや、Google にインデックス登録されているサイトのウェブマスターに影響を及ぼすような、技術的な問題が起きないように尽力しています。同様に、検索エンジンの基盤となるシステムも、ほとんどの場合意図したとおりに動作しています。わずかな障害が発生しても、サービスの運用を担当するチーム以外はほとんどわかりません。ただし、複雑なシステムである以上、大規模な障害が発生することがあり、ユーザーとウェブマスターの双方に影響する可能性があります。

    過去数か月の間に、インデックス登録システムで問題が発生し、インフラストラクチャの他の部分にも波及しました。できる限り迅速に状況の改善に取り組みましたが、ユーザーとウェブエコシステムに高品質のサービスを継続的に提供するという目標に反することになり、誠に申し訳ありませんでした。

    その後、何が起きたのかを綿密に精査しました。その過程で得られたいくつかの教訓をここで皆さんと共有したいと思います。このブログ投稿では、発生した問題について詳細に説明したのち、今後同様の問題が発生した場合にどのようにみなさまにお伝えする予定でいるかを共有します。その上で、Google への問い合わせ方法ついてウェブマスターの方々に改めてお伝えします。

    数か月前に発生した問題

    4 月に、インデックスに関する問題がいくつか発生しました。Google の検索インデックスは、ウェブからクロールした、ユーザーの質問に答えるのに有用と思われる数千億のウェブページを保持するデータベースです。ユーザーが Google 検索エンジンでクエリを入力すると、ランキング アルゴリズムが検索インデックスに登録されているページの中から、最も有益で関連性の高い検索結果を瞬時に見つけます。では、何が起こったのか、詳しく見ていきましょう。

    1. インデックス登録の問題

    はじまりは検索インデックスの一部が一時的に失われたことでした。
    「インデックスの一部が失なわれた」とはどういうことでしょうか。

    基本的に、検索結果をユーザーに提供する場合、サービス速度を向上させるために、ユーザーのクエリは Google 検索サービスをサポートする最も近いデータセンターに「旅」します。ここで Search Engine Results Page(SERP)が生成されます。そのため、インデックスの構成に変更(一部のページの追加や削除、ドキュメントの統合、または他の種類のデータ変更)がある場合、対象となるすべてのデータセンターに変更を反映する必要があります。結果として、世界中のユーザーに、最新バージョンのインデックスから一貫したページが提供されます。

    Google は、上記の写真のようなデータセンター世界中で所有して運営しており、24 時間年中無休でサービスを稼働させています(出典)。

    すべてのデータセンターで同一のインデックスを維持し続けることは簡単な作業ではありません。大規模なユーザー向けサービスの場合、まず 1 つのデータセンターで更新をデプロイし、関連するすべてのデータセンターが更新されるまで拡大していきます。慎重に扱うべきインフラストラクチャについては、数日間にわたってロールアウトを実施し、異なる地域のインスタンスにインターリーブすることもあります(出典)。

    予定していた検索インデックスに対する変更を進めている最中の 4 月 5 日(金)にデプロイシステムの一部が破損しました。具体的には、一部のデータセンターでインデックスを更新しているときに、少数のドキュメントが誤ってインデックスから削除されてしまいました。これが「インデックスの一部が失なわれた」ということです。

    幸いにも、Google のオンコール エンジニアが問題を即座に察知しました。これは、私たちがソーシャル メディア上で問題を認識し始めたのと同時でした(週末に Google に連絡してくれた皆さん、ありがとうございました!)。その結果、問題が察知されてからわずか数時間で、すべてのデータセンターの検索インデックスを以前の安定した状態に戻し始めることができました(Google では、このような事態に備えてインデックスのバックアップを保持しています)。

    Google は 4 月 7 日(日)に、この問題を認識しており、正常な状態に戻りつつあることを報告しました。データセンターのインデックスが徐々に安定した状態に戻りつつある中、Twitter での発信を続けました(4 月 8 日4 月 9 日)。これは、4 月 11 日にすべてのデータセンターのインデックスが完全に元通りになったと確信できるまで続きました。

    2. Search Console の問題

    Search Console は、ウェブマスターが利用できる一連のツールやレポートであり、ウェブサイトの検索に関するパフォーマンスのデータにアクセスできます。たとえば、毎日のオーガニック検索結果における表示回数やクリック数、または検索インデックスに登録されているページ、未登録のページに関する情報を確認できます。

    検索インデックスに上記の問題が発生した結果、Search Console でも不整合が見られるようになりました。これは、Search Console で表示されるデータの一部が検索インデックス自体から抽出されているためです。

    • インデックス カバレッジ レポートは、データセンター間で整合性が取れた検索インデックスに依存します。
    • 検索インデックスにページを格納するとき、ページにリッチリザルトのマークアップが含まれている場合など、ページに関する重要なシグナルでエントリにアノテーションを付けることができます。したがって、検索インデックスの問題は Search Console のリッチリザルト レポートに影響を及ぼす可能性があります。

    基本的に、Search Console の個別レポートの多くは、専用データベースからデータを抽出しています。このデータベースの一部は、検索インデックスから取得した情報を使用して構築されています。以前のバージョンの検索インデックスに戻す必要があったため、Search Console データベースの更新も一時停止する必要がありました。これにより、一部のレポート(および URL 検査ツールなどの他のレポート)のデータが横ばい状態になりました。

    2019 年 4 月の Search Console のデータの更新頻度に関する問題を示す、インデックス登録ページのインデックス カバレッジ レポート。2 回の更新の間隔が通常よりも長くなっている。

    問題が発生した検索インデックス全体のロールバックに数日かかったため(上記の説明を参照)、インデックス登録の問題が修正された数日後まで Search Console データベースの修正に取り掛かることができませんでした。Google は 4 月 15 日に、Search Console に問題があり、修正に取り組んでいることをツイートで明らかにしました。修正が完了したのは 4 月 28 日(レポートで新しいデータの収集を再開した日。上のグラフを参照)でした。4 月 30 日には Twitter で問題が解決したことを報告しました(ツイート)。

    3.(インデックス登録の問題とは無関係な)その他の問題

    Google 検索は数多くのシステムで構成されており、それぞれが別のシステムと密に連携しています。問題が同時期に起きた場合そこには因果関係があることが多いですが、場合によっては同時期に直接関係のない複数の問題が発生することもあります。

    たとえば今回のケースでは、上記で説明したインデックス登録の問題とほぼ同時期に、新しい Google ニュースにおける最新のコンテンツの収集に関する問題が短時間発生しました。さらに、ページのレンダリング中に、特定の URL が Googlebot を他の無関係なページにリダイレクトし始めました。この問題はインデックス登録の問題とは関係ないもので、すぐに解決することができました(ツイート 1ツイート 2)。

    Google のコミュニケーションとその改善予定

    数週間の間に行った(これまでご紹介してきた)ソーシャル メディアを使用した報告に加え、2 つの別チャネル(Search Console と Search Console ヘルプセンター)でウェブマスターに詳細を説明しました。

    Search Console ヘルプセンター記事

    Google は、問題を完全に特定した後、Search Console のデータの異常に関するヘルプページを更新しました。このページは、多数のウェブマスターに影響が及ぶ場合に、データ破損に関する情報を Search Console サービスに伝えるために使用されます。

    Search Console

    すべてのユーザーがソーシャル メディアや外部のヘルプセンター ページを読むわけではないので、Search Console レポートにアノテーションを追加して、データが正確でない可能性があることをユーザーに通知しました(下の画像を参照)。この情報は、問題が解決した後に追加したものです。[詳細を見る] をクリックすると、ヘルプセンターの「データの異常」ページに移動します。

    インデックス登録ページのインデックス カバレッジ レポートで、特定の問題をユーザーに通知するために含めることができるデータ アノテーションの例。

    今後のコミュニケーションについて

    問題が発生した場合、Google には「事後分析」の文化があります。障害に関して報告するドキュメントを作成し、同じ問題が今後発生しないよう努めます。プロセス全体について詳しくは、Google サイト信頼性エンジニアリングのウェブサイトをご覧ください。

    4 月のインデックス登録の問題をきっかけに、大規模なシステム障害が発生した場合にウェブマスターに明確に伝える方法を事後分析に含めました。主な決定事項は次のとおりです。

    1. Search Console 内で広範な問題に関する情報を迅速に共有する方法を探り、機能停止が疑われる場合にウェブマスターが確認すべき主な参照ポイントとして役立つ情報を提供します。
    2. 必要に応じて、より迅速に Search Console のデータの異常ページに投稿します(Search Console データに長期間にわたって障害が見られる場合)。
    3. このような問題の発生時に、Google が問題を認識しており、その解決が近いことを速やかに知らせてウェブマスターの方々に安心していただけるよう、可能な限り速やかに Twitter で発信を続けます。

    上記のコミットメントは、今後起こり得る同様の状況に備えて、ウェブマスターに対し全体的な透明性を確保するためのものです。

    改善策の実施例「新しい URL のインデックスが登録されない」

    5 月 22 日に別の問題が発生した際、新しいコミュニケーション方法を試しました。発生した問題は、特定の URL の処理中、予定されていたインフラストラクチャ アップグレードの後に重複管理システムのメモリが不足し、すべての受信 URL の処理が停止したというものです。

    上記 の 3 つのポイントに加えて、コミュニケーションについて考慮した結果を時系列で示します。

    1. Google が問題を認識(カリフォルニア時間 5 月 22 日午前 5 時半頃)
      現在発生中の問題についてツイート(同 5 月 22 日午前 6 時 40 分頃)
      解決したことをツイート(同 5 月 22 日午後 10 時頃)
    2. ヘルプセンターの「データの異常」ページを更新することを検討しましたが、大部分のウェブマスターの Search Console データに長期的な影響はないと判断し、更新を見送ることにしました。
    3. この問題によりご迷惑をかけたことで、「いずれかの Google システムに問題が発生し、ウェブマスターに影響を及ぼす可能性がある」ことを Search Console 上で明確に知らせる手段が必要という以前の結論が裏付けられることになりました。こうしたソリューションの実装には時間がかかる場合があります。このトピックは今後も引き続き取り上げていく予定です。

    8 月にも同様のインデックスの問題が発生しました。5 月 22 日の時と同じように、みなさんに問題の発生と問題解決に取り組んでいることをお伝えするツイートを行い、問題が解決した際にもツイートしてお知らせしました。

    デバッグ方法とお問い合わせについて

    この投稿により、Google のシステムの複雑さと、時にはシステム障害が発生する事を知っていただけたことと思います。また、問題が発生したときに Google がどのようにお知らせするかをご理解いただく一助となれば幸いです。ただし、この投稿ではシステムの広範囲にわたる障害に焦点を当てていますが、ほとんどのウェブサイトにおけるインデックス登録の問題は、個々のウェブサイトの構成に原因があります。構成によっては Google 検索が対象のウェブサイトのインデックスを適切に登録できない場合がありますので、ご留意ください。そのような場合、ウェブマスターは Search Consoleヘルプセンターを使用して問題をデバッグすることができます。デバッグした結果、自身のサイトの問題ではないと考えられる場合、または解決方法がわからない場合は、Google や Google コミュニティまでご連絡ください。いつでもお待ちしております。Google に問題を報告する方法は次のとおりです。

    • ウェブマスター コミュニティを確認する。他のウェブマスターが報告した問題で、あなたのサイトに影響を及ぼすものが含まれている場合があります。
    • 直接、報告する。イベントの際などにも直接ご報告ください。いつでもお待ちしています(カレンダー)。
    • Google プロダクト内で報告する。Search Console のフィードバック ツールをご利用いただくと、非常に助かります。
    • TwitterYouTube もぜひご活用下さい。

    今、売上をあげたいなら何をするのが効果的だと思う?飯髙氏インタビュー

    今、売上を上げたいなら何をするべきだと思う?何が効果的? その問いに飯髙さんはインタビューで次のように答えた。 「うちは、Twitterで売上をアップさせるための再現性の高いプロセスを完全に確立しています。」 飯髙さんの […]

    30分以内に結果が出る高度なSEOテクニック

    SEOの施策は数あれど、施策の効果が反映されるまではある程度の期間が必要となる場合がほとんどです。

    今回の記事はFAQとQ&Aのリッチリザルトについての記事となりますが、たしかにこの施策であれば、効果が反映されるまでの期間は比較的短いと言えるでしょう。ニール・パテル氏いわく、「30分以内で結果が出る」とのことですが、果たしてその内容はいかに。

    実装における注意点や、構造化データのテンプレートまで提供されており、非常に興味深い記事となっております。

    私はとあるSEOの新しい施策に取り組んでいる。そして、その施策は新しいサイトであろうが、古いサイトであろうが、効果的な施策となっている。

    あなたのサイトがほとんどリンクを獲得していなくても、効果が得られる施策だ。

    この施策の最も優れている点は、他のあらゆるSEOの施策と異なり、結果を得るまでに数ヶ月も数年間も必要としない点だ。実質的には、30分以内でその効果を確認できるだろう。

    そして、非常に興味深いデータがある。私のチームが1万サイトほど確認して、どのくらいのサイトがこの施策を行っているかを把握した。その数は、たったの17サイトである。

    言い換えれば、あなたの競合サイトはまだこの施策に気がついていないということだ。

    この画期的な施策について、詳しく説明したいと思う。

    常に変化を繰り返すGoogleの検索結果

    Googleは定期的に変更されるアルゴリズムだけでなく、新しいデザイン要素にも変更を加えている。

    例えば、「近くの飲食店」と検索すれば、近くにあるレストランのリストだけでなく、それらレストランの評価もあわせて表示される。

    また、特定の人物を検索すれば、Googleはその人物の画像と略歴を表示するだろう。

    長い年月をかけて、Googleはユーザーに最適な体験を提供するために、検索結果を変更している。例えば、「2+2」と検索すれば、Googleは「4」という答えを検索結果に表示させる。ユーザーはWebサイトへのリンクをクリックし、訪問する必要はないのだ。

    しかし、これらについては、すでにご存知の方も多いだろう。

    ここ最近で追加された新しい機能。それは、FAQとアンサーカードだ。

    どんなものなのか、説明しよう。「デジタルマーケティング」と検索すると、私のサイトが表示されるはずだ。しかし、私のサイトの表示方法は、他のサイトのそれとは異なった表示となっている。

    上記の画像からもおわかりのとおり、Googleは私のサイトからFAQの箇所を特定し、それを検索結果に表示させているのだ。

    繰り返しになるが、これを表示させるためには30分とかからない。これほどまでに早く、GoogleはFAQの箇所を特定し、検索結果に表示させてくれるのだ。

    文字通り、そのすべてが30分以内に完了する。

    また、質問と回答に関連するページを持っているのであれば、アンサーカードをあなたのサイトでも表示させることが可能なのだ。

    どのようにして表示させるのだろうか。詳しく見ていこう。

    正しいマークアップ方式を選択すること

    この施策を行う前に、まずは、schemaのマークアップ方式を正しく選択する必要がある。

    FAQページのschemaは、「よくある質問のページ」や「その商品についてのよくある質問が記載されている商品ページ」に使用される。こちらをマークアップすれば、検索結果に表示されるあなたのWebサイトへのリンクの下部に、折りたたみ式のメニューが表示される。

    折りたたみ式のメニューをクリックすれば、回答が表示されるという仕組みだ。

    また、Google AssistantでのFAQアクションにも採用される可能性もある。その結果、音声検索で何らかの答えを探しているユーザーに対し、その答えを提供できる機会を得ることになるのだ。

    Q&Aのschemaは、ユーザーが複数の答えを提供し、どの答えがベストであるかを決定できるページに用いられる。

    Q&Aページをマークアップすれば、検索結果にリッチカードを表示させることができ、ベストアンサーに加え、すべての回答を表示させることができる。

    それぞれのschemaの正しい使用法をご理解いただけただろうか。

    Googleは詳細なガイドラインを公開しており、適切・不適切な使用の両方のケースについて解説してくれている。

    Googleの構造化マークアップガイドラインを参照する

    GoogleはFAQページのschemaのガイドラインを公開している。

    FAQページの構造化マークアップ

    FAQページのschemaは、質問と回答のリストが記載されているページに限り、使用することができる。

    1つの質問に対し、複数のユーザーが回答できるタイプのページは、Q&Aページのschemaを使用する。

    いくつか例を挙げてみよう。

    適切な使用にあたるケース

    • サイト運営者が作成し、ユーザーが他の回答を送信できない「よくある質問」のページ
    • よくある質問の一覧を掲載した製品サポートページで、ユーザーが他の回答を送信できないもの

    不適切な使用にあたるケース

    • 1つの質問に対して、複数のユーザーが回答を送信できるフォーラムページ
    • 1つの質問に対して、複数のユーザーが回答を送信できる製品サポートページ
    • 1つのページに複数のユーザーが質問と回答を送信できる製品サポートページ
    • FAQページを広告目的に使用しないこと
    • 各Questionに質問のテキスト全体が含まれるようにし、各Answerに回答のテキスト全体が含まれるようにする。質問と回答のテキストの全体が表示される場合がある
    • 質問と回答のコンテンツに、猥褻または冒涜的なコンテンツ、露骨な性表現を含むコンテンツ、暴力的な描写を含むコンテンツ、危険または違法な行為を助長するコンテンツ、差別や中傷にあたるコンテンツが含まれる場合、リッチリザルトとして表示されない場合がある
    • すべてのFAQコンテンツは、参照元のページでユーザーに表示されなければならない

    Q&Aページの構造化マークアップ

    また、Q&Aのschemaについてのガイドラインはこちらだ。

    質問と回答のフォーマットに情報があるページ(1つの質問に対し複数の回答が掲載されている)の場合、Q&Aページのマークアップが使用できる。

    Q&Aページでは、ユーザーが質問に対する回答を投稿できるようにしなければならない。

    特定の質問に1つの回答しか記載されておらず、ユーザーがその他の回答を投稿できないページの場合は、Q&Aページのマークアップは使用できない。その場合は、FAQページのマークアップを使用する。下記に例を挙げてみよう。

    適切な使用にあたるケース

    • 1つの質問に対してユーザーが複数の回答を送信できるフォーラムページ
    • 1つの質問に対してユーザーが複数の回答を送信できる製品サポートページ

    不適切な使用にあたるケース

    • サイト運営者が作成し、ユーザーが他の回答を送信できないFAQページ
    • 1つのページにユーザーが複数の質問と回答を送信できる製品サポートページ
    • 質問と回答で構成される利用ガイド
    • 質問と回答で構成されるブログ記事
    • 質問と回答で構成されるエッセイ
    • すべてのコンテンツが対象でない限り、サイトやフォーラムのすべてのページにQ&Aページマークアップを適用しない。例えば、あるフォーラムに多くの質問が投稿されている場合、そのページはマークアップの対象になる。しかし、そのフォーラムに質問以外のページもある場合、そのページはマークアップの対象にならない
    • FAQページなど、1つのページに複数の質問が含まれるページにQ&Aページマークアップを使用しない。Q&Aページマークアップは、1つの質問とその回答に焦点を当てたページに使用する
    • Q&Aページマークアップを宣伝目的で使用しない
    • 各Questionに質問のテキスト全体が含まれるようにし、各Answerに回答のテキスト全体が含まれるようにする
    • Answerマークアップは、質問に対するコメントや他の回答に対するコメントに使用するのではなく、質問に対する回答に使用する。回答でないコメントをAnswerとしてマークアップしない
    • 質問と回答のコンテンツに、猥褻または冒涜的なコンテンツ、露骨な性表現を含むコンテンツ、暴力的な描写を含むコンテンツ、危険または違法な行為を助長するコンテンツ、差別や中傷にあたるコンテンツが含まれる場合、リッチリザルトとして表示されない場合がある

    あなたのコンテンツが上記のガイドラインに合致していることを確認したら、次に、schemaを実装する方法とどのタイプを使用すべきかを決定しよう。

    どのようにschemaを実装すればよいのか

    実装方法は2種類ある。JSON-LDMicrodataだ。

    私は、どちらかのタイプを1つ選択し、Webページ全体で一貫して使用することをおすすめする。また、同一のページで2つのタイプを使用することはおすすめしない。

    JSON-LDはGoogleが推奨している方法だ。JSON-LDはコンテンツのヘッダー内に実装することができ、実装による時間もそれほどかからない。

    他の方法としては、Microdataがある。こちらについては、Webサイト内にコーディング要素を記載することになる。Microdataを実装するのは少し難しい。下記にそれぞれの例を記載しよう。

    FAQページの実装例(JSON-LD)

    FAQページの実装例(Microdata)

    Q&Aの実装例(JSON-LD)

    Q&Aの実装例(Microdata)

    自身のWebサイトに実装する場合、躊躇(ちゅうちょ)なく、上記のテンプレートを修正して使用してほしい。

    もし、適切に実装できているか不安な場合は、Googleの構造化データテストツールを使用しよう。コードスニペット、もしくは実装したページのURLを記載すれば、適切にマークアップできているかを伝えてくれる。

    さらに、コード内でエラーや問題があるかどうかのフィードバックもしてくれるのだ。

    また、Googleのリッチリザルトテストも試してみるべきだ。構造化データを実装した場合、検索結果でどのように表示されるかを、簡易的に見せてくれる。

    30分以内に効果があることを確認する

    マークアップをページに実装した後は、Google Search Consoleにログインし、マークアップしたページのURLをページ上部の検索バーに入力しよう。

    そうすれば、Googleにクロールをリクエストすることができ、インデックスされる速度も早まるだろう。Search Consoleの「インデックス登録をリクエスト」をクリックすればいい。

    一般的には10分以内に反映されることが多いため、実際に検索を行えば、検索結果での表示が変更されていることに気がつくだろう。

    この施策を成功させるためには、特定のキーワードですでに1ページ目に表示されているページを選ぶことだ。既にポテンシャルのあるページに施すことで、良い結果を得ることができる。

    schemaの実装は、People Also Askと強調スニペットにも影響するのか

    この施策をすることで、People Also Askと強調スニペットにも表示されるようになるのか。現状、schemaのマークアップとPeople Also Askや強調スニペットの表示には相関が見られない。

    自身のコンテンツに対してこの最適化を行うことにより、悪影響が起きることはなく、検索結果の表示が改善される可能性を得られるだろう。

    Googleは、Q&A、FAQ、そしてハウツー系の検索結果の表示方法をテストし続けている。また、こうした内容が書かれているかを理解するために、構造化データを確認している。

    まだ初期段階と言える今、この取り組みに参加し、Googleがあなたのページを理解する手助けをすること、また、Googleの実験に参加することは良いことだろう。

    音声検索にも影響があるのか

    自身の質問に対する答えをモバイルで発見しようとするユーザーは増加し続けているため、音声検索についても関心があることは理解できる。

    近い将来、「検索の半数以上が音声検索によるものになる」という説もある。

    音声検索において、質問に対する回答は、強調スニペットから引用される傾向が強い。

    構造化データを実装し、強調スニペットに採用される機会が増えることで、結果的に、音声検索での露出が増えることにつながるだろう。
    ※編集部注:構造化データと強調スニペットの関係性については、定かではありません

    まとめ:FAQとQ&Aページを構造化マークアップして、競合より優位に立とう

    今回紹介した構造化マークアップの施策は非常にシンプルであるが、あなたのブランドの露出を高め、権威性を高めることにつながるだろう。主要な質問ページ、商品ページ、FAQページのすべてに実装するには1日あれば十分だと思う。

    私は、検索結果の1ページ目に表示されているページへの実装作業を適宜行っているが、素晴らしい結果が得られている。

    また、冒頭で言及したとおり、私のチームが1万サイトを確認したところ、FAQとQ&Aのschemaを実装していたサイトは、わずか17サイトのみであった。

    言い換えれば、FAQとQ&Aのschemaを実装しているサイトは1%以下である。競合サイトより優位に立つためのまたとないチャンスだ。

    今回ご紹介した施策について、あなたはどう考えるだろうか。実際に実装してみる気はあるだろうか。

    この記事は、NEILPATELに掲載された「Advanced Hack: How to Improve Your SEO in Less Than 30 Minutes」を翻訳した内容です。

    Googleがサポートする構造化データとしては比較的新しい、FAQとQ&Aのリッチリザルトの実装についての記事でした。

    実装対象となるサイトはかなり限られてしまいますが、まだまだメジャーな施策ではないため、実装すれば他サイトとの差別化にはつながりそうです。

    リッチリザルトが表示されることでWebサイトへの流入が減少してしまうという懸念もありますが、「ユーザー体験全体を考えるとどうなのか」という観点で、実装の有無を決定すべきでしょう。

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