言語学習サービス大手のBabbelがライブクラスや学習ゲームなどを追加

米国時間2月2日、ベルリンの言語学習プラットフォームBabbelは同社のコアビジネスであるアプリによる学習を大きく拡張し、ライブクラスなどの新機能を導入することを発表した。

Babbelでは、参加者を6人までに限定したクラスで会話ベースで外国語を学習できる。これまで同社が開発してきたメソッドを用い、認定した講師が担当する。Babbelのプランをすでにサブスクリプションしている場合、5クラス月額110ドル(約1万1600円)からの追加料金で利用できる。スタンドアロンで直接クラスに登録することもできる。この場合、サブスクリプション期間中は通常のBabbelアプリにもアクセスできる。

新機能はこれにとどまらず、アプリには言語学習ゲームも導入された。また学習者が新しいボキャブラリーを実際に使用できるようにするショートストーリー、異なる文化に関する楽しいトリビア、さまざまな場所や言語に関する新しい動画も加わった。

画像クレジット:Babbel

今回の大幅機能拡張は、この1年がBabbelにとって記念すべき達成の年だったことを受けてのものだ。Babbelの米国CEOのJulie Hansen(ジュリー・ハンセン)氏は取材に対して「売上は2019年に1億5000万ドル(約157億5000万円)を達成し、さらに大幅な上昇を続けています。市場全体でも成長を続けましたが、特に米国での拡大は力強く、売上、加入者数とも100%増加しました」と述べている(Babbelはまだ2020年の決算を公表していない)。ハンセン氏はまたこう述べた。

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米国では語学を学ぶ理由を尋ねると、「外国旅行」という答えが一番多かったのです。3月中旬には私たちのビジネスは(パンデミックのために)ゼロになってしまうのではないかとパニック状態になりました。誰も旅行などできません。ところが実際はちょうど正反対のことが起きました。人々はサイクリングしたり、サワードーブレッドを焼いたりするのと同じように、言語学習を創造的な活動、自己改善、自分に対する価値ある投資と考えたのです。

Babbelはライブクラスをスタートさせたばかりであり、利用可能な言語の数はまだ限られている。今のところ英語話者ならスペイン語とドイツ語のクラスに、ドイツ語話者は英語とスペイン語のクラスに申し込むことができる。ただし年内に言語ペアはさらに追加される予定だ。

ハンセン氏によれば、Babbelの総合的な目標は、ビデオやポッドキャスト、今回のライブレッスンなどを通じて幅広い分野で言語学習者のニーズに応えることにあるという。「ユーザーの言語学習体験をより総合的に把握し、その観点から多数の側面でニーズを満たしていこうとしています」とハンセン氏は述べた。

またハンセン氏はライブ体験を提供することは、多くの点で品質管理にもメリットがあると指摘した。「私たちは講師の採用、訓練、評価に多大のリソースを割いてきました。新機能は教師が成功するためのツールとしても役立つでしょう。単に『そこにアプリがあるから使い方を学べ』というのでは不十分なのです。私達はすべてのレッスンのために教材と指導の要領を作成しています」という。

現在、Babbelはライブクラス向けに約100人の講師を採用しており、ベータ版のロールアウトでは特にキャンペーンを行なっていないが、すでに毎週何千人もの生徒を迎えている。Babbelの広報責任者であるChristian Hillemeyer(クリスチャン・ヒレメイヤー)氏は「2021年のライブクラスの最終目標は、毎週数百人の講師を採用し、数万人の生徒の新規参加というレベルになるでしょう」と述べた。

ライブレッスンを行う言語学習アプリは多数あるが、Babbelのような業界大手が乗り出したのはこれが最初かもしれない。追加されたのはライブクラスだけではない。Babbel は言語学習というコアビジネスを超えて、ポッドキャスト、ショートストーリー、文化トリビアをアプリに追加し、さらに重要な点だが、YouTube やその他の場所に無料で配信されるビデオやポッドキャストなどのコンテンツ制作にも力を入れている。

新機能に加えて、Babbelでは既存のレッスンの改良にも努力している。2020年は、ユーザーフィードバックに基づいてコースの内容をわかりやすく簡潔にして全レッスン時間を短縮化することに多くのリソースを費やした。また、学習者が適切なレベルでアプリの使用を開始できるようにレベル分けのプレースメントテストを改善するなど、導入フローのスムーズ化も行っている。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:滑川海彦@Facebook

ビジネス書の要約サービスflierが2億円調達、法人向けSaaS強化と2022年の累計会員数120万人目指す

ビジネス書の要約サービスflierが2億円調達、法人向けSaaS強化と2022年の累計会員数120万人目指す

ビジネス書の要約サービス「flier」(フライヤー)を手がけるフライヤーは1月18日、第三者割当増資による総額2億円の資金調達を発表した。引受先は、マイナビ、VOYAGE VENTURES(ボヤージュベンチャーズ)、社会人向け研修サービス大手のインソース(東京・千代田)の3社。累積資金調達額は約4億7000万円となった。

調達した資金は、法人向けSaaSビジネスを強化するため人材確保やサービス開発、広告宣伝にあてる。また、目標に掲げる2022年内の会員数120万人達成に向けてアクセルを踏むとともに、事業提携を進める。累計契約社数は200社超まで伸びており、今後は法人営業部隊を増員しながら、2022年に同契約社数を500社まで引き上げるという目標も掲げている。

また今後、引受先との間で人材育成領域やデジタルマーケティング領域などにおける事業提携を進め、事業基盤をより強固かつ柔軟なものに進化させる。今回の資金調達ラウンドで事業拡大に弾みをつけたい考えで、以降もさらなる資金調達を検討しているとした。

2300冊(2020年12月時点)のビジネス書の要約が読めるflierは、これまでの一般利用に加えて、企業の人事部や教育研修部から「人材育成に役立つ」との評価を得ており、需要が拡大しているという。個人と法人を含む累計会員数は75万人(2020年12月時点)を突破、法人プランの契約社数は2年前の3倍強の増加率となっており、急成長しているそうだ。

flier法人版」は、SaaSの事業モデルを採用した月額の継続課金サービス。調達した資金は主に、flier法人版の新サービス開発と、それに伴うエンジニアの確保、CMなど広告宣伝にあてるという。またサービスでは、各企業や個人に最適な学習を提供するための、書籍のレコメンド機能を開発し、学びを効率化する。

人事とテクノロジーを掛け合わせたHRテック領域において今後、一層高まるであろうオンラインかつ個人に最適化した学習・研修ニーズに応えられるようサービス強化を図るとしている。

同社は、好調の背景に、人材育成の「非対面化」があると指摘。テレワークが浸透する中、対面での職場内訓練(OJT)が難しくなり、各社の人事部や教育研修部は対応を迫られているという。本質的な人材育成につながる読書をネット上で提供できる手段として、企業からの関心が高まっているとした。また導入企業の傾向として、メガバンクを含む金融系や生命保険大手からの引き合いが特に強く、大口契約が増えているという。

2013年6月設立のフライヤーは、flierを運営するITベンチャー。2016年11月に電子書籍取次大手メディアドゥの子会社になり、経営基盤を固めて事業を拡大してきた。

flierには、新刊(掲載書籍の9割)を中心に、毎日1冊の要約文をアップ。要約記事は自社の編集者に加えて、経験豊富な外部ライター約50人が作成している。要約の文字量は4000字ほどで、10分程度で読めるよう工夫しているという。

flierの特徴は「書評」(レビュー)ではなく「要約」である点という。書き手の主観が入る書評とは異なり、著者の主張や論理(重要ポイントや全体像)を忠実にまとめ、読者に伝えるとしている。また書評でないため、出版社と著者から要約の許可を得る必要があり、要約した原稿にも目を通してもらうことで、高品質なサービスを提供しているとした。

AIの音声読み上げ機能や、ユーザー同士で要約から得た学びを情報交換(シェア)するSNSサービスなども実施しているという。

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Thimbleはロボティクス・キットとZoom授業による自宅学習で子どもたちにSTEMスキルを教える

パンデミックの間、自宅学習に縛り付けられている子ども持つ親たちは、バーチャル授業で失われた手を動かす実践学習を行う新たな活動を探さなければならなかった。ニューヨークを拠点とするエドテックのスタートアップThimble(シンブル)は、STEM(科学、技術、工学、数学)学習が行えるキットをサブスクリプションで提供し、この問題に対処している。これに参加した子どもたちは、送られてくるロボットや電子回路などのプロジェクト実習用キットを使って学べるほか、ライブのオンライン授業を受けることができる。

Thimbleは2016年、Kickstarter(キックスターター)のプロジェクトとして始まった。そのとき、STEM教育向けロボティクスとプログラミングのキットは45日間で30万ドル(約3100万円)の資金調達に成功している。翌年、そのキットの販売が、おもにニューヨークの学校に向けて開始され、授業や放課後の課外活動で使われるようになった。それから数年が経過し、Thimbleは顧客ベースを、ニュヨーク、ペンシルベニア、カリフォルニアのおよそ250の学校に拡大し、キットの販売と、教師向けトレーニングを提供してきた。

しかし、COID-19(新型コロナウイルス)のパンデミックにより、Thimbleの事業の方向性が一変した。

「多くの学校がパニックモードでした。何が起きているかもよくわからず、そのため予算もしばらく凍結されていました」と、Thimbleの共同創設者でCEOのOscar Pedroso(オスカー・ペドロソ)氏は話す。彼は教育畑の出身だ。「私たちがトップの顧客と見なしているところでも、『いや、今はそれどころじゃない。学校を閉鎖することになりそうだ』と言うのです」

ペドロソ氏は、学校ではなく子どもの保護者に直販するよう、すぐに方向転換すべきだと悟った。

写真クレジット:Thimble

4月ごろに、同社は切り替えを断行した。実質的に、初めてB2C市場に参入したことになる。

現在同社は、サブスクリプション型のサービスを保護者に提供している。それには、15種類のSTEMプロジェクト学習用キットと、教育者によるライブ授業などのカリキュラムが含まれる。ひとつのキットは3カ月かけて送られてくるが、もっと早く手に入る迅速なプログラムもある。

最初のキットは、たとえばドアベル、キッチンタイマー、作曲ツールといった単純な電子回路の作り方を子どもたちに教えるエレクトロニクスの基礎編。キットは、子どもたちの興味と、もっとやりたいという気持ちを持続させるために、「即座に成功」を体験できるようデザインされている。それが、Wi-Fiロボット、小型ドローン、光るLEDコンパス
、自分でDJ遊びができるシンセサイザーといった将来の高度なキットにつながってゆく。

写真クレジット:Thimble

子どもたちのエレクトロニクスやロボティクスの実践学習を支援するこれらのキットは、どの家庭でも使えるが、サブスクリプション登録者のおよそ70パーセントは、すでにロボットや電子回路の工作に慣れている子どもを持つ家庭だとペドロソ氏は話す。残りの30パーセントは、これを使ってロボティクスやエレクトロニクスの概念を子どもに教え、興味を示すかどうかを確かめたいと考えている家庭だ。また利用者の約40パーセントが女の子だという。

個別にDIY工作を行うのに比べて、月額59.99ドル(約6200円)というサブスクリプションは高価だが(1年契約なら月あたり47.99ドル:約5000円)、毎週1時間のZoomを使ったライブ授業が含まれているためでもある。Thimbleには、プロジェクトの教え方の専門家というだけでなく、情熱的でエネルギッシュで、子どもが問題を抱えていたりイライラしているとわかればすぐに手を差し伸べる、子どもたちを惹きつける授業が行えるパートタイムの講師が揃っている。5人いる講師のうち2人が女性。2カ国語を操り、スペイン語で授業できる講師も1人いる。

授業中は、1人の講師がプロジェクトの進め方を教える間、別の講師がチャットルームを担当し、授業に関する子どもたちからの個別の質問に応じる体制になっている。

ひとつのライブ授業は15〜20人の子どもを対象にしているが、もっと少人数のグループのためのパッケージも用意されている。これは、ホームスクーリングの「ポッド」などのグループで利用されている。

写真クレジット:Thimble

「私たちは、ポッドから、そしてマイクロスクールから意見を聞くようになりました」とペドロソ氏は話す。「そこでは、つながりを持った保護者たちが、同じクラスで子どもたちを学ばせたいと望んでいます。そうしたグループでは、概してもっと親密な授業やカスタマイズが求められます」と彼は言う。

これに対応したサブスクリプションは月額270ドル(約2万8000円)と高くなるが、グループの保護者たちで折半できるため、家庭ごとの費用は安くなる。顧客ベースのほとんどが個別の家庭だが、全体のおよそ10パーセントがこのプランを利用している。

Thimbleはまた、子どもへの資金援助でサブスクリプション費用をさらに安くできるよう、一部の市場のコミュニティーや非営利団体とも協力している。こうした機会は、利用が可能になったときに、学校、ニュースレター、その他の販促方法を通じて知らされる。

サブスクリプションに方向転換してから、Thimbleは顧客ベースの再構築を行い、現在は有料顧客数が1110件を数える。だが一部には初期の価格設定のまま継続されているものもあるため、Thimbleは事業規模を拡大する必要がある。

Kickstarterの他にも、その年Thimbleは資金調達を行い、ボストンのLearnLaunch、ワシントンD.C.のHalcyon、コロラドのTelluride Venture Acceleratorなど複数のアクセラレーターの協力を得て事業を進めている。

ピッツバーグのJoel Cilli(ジョエル・チリ)氏と共同創設したこのスタートアップは、現在、100万ドル(約1億300万円)のシードラウンドで60パーセントほどの調達を行っているが、現時点の詳細は明らかにされていない。

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(翻訳:金井哲夫)

セレブが投資するフィットネスのAarmyは新型コロナを機にオンラインに完全移行

2020年3月、パンデミックのために広範にわたる事業所が閉鎖を余儀なくされたとき、多くのスタートアップと同様、Aarmy(アーミー)も大きな問題に直面した。

それまでAarmyは対面式のフィットネスクラスをニューヨークとロサンゼルスで提供していた。トレーナーで最高フィットネス責任者のAkin Akman(アキン・アクマン)氏、最高モチベーション責任者のAngela Manuel-Davis(アンジェラ・マニュエル-デイビス)氏とともにAarmyを創業したTrey Laird(トレイ・レアード)氏は、48時間もかからずに戦略をオンラインにシフトしたと筆者に語った。Instagram Live経由でフィットネスクラスを開始し、夏にはデジタルサブスクプログラムも立ち上げた(GlobeNewswire記事)。

AarmyはJay-Z(ジェイZ)氏、Chris Paul(クリス・ポール)氏、Karlie Kloss(カーリー・クロス)氏といったセレブ投資家やMousse Partners、Valia Ventures、Pendulum、Wilshire Lane Partnersなどのファームから出資を受けている。パンデミック前、チームはいくつかのロケーションを「コンテンツエンジン」として扱いつつ、オンライン事業の立ち上げを計画していた、とレアード氏は話した。パンデミックはそうした計画を加速させただけだった。

「すべてを完璧にする時間があると考えていましたが、それは変わりました」とアクマン氏は話した、「(パンデミックに見舞われ)突っ込んだ話をする時間はなく、待つ余裕もありませんでした。私たちは抜け出したかったのです」。

Aarmyのサブスクは月35ドル(約3600円)、あるいは年間350ドル(約3万6000円)でデジタルライブラリーすべてにアクセスできるようになる。ここにはAarmyのトレーナーとのライブセッションも含まれ、また毎週20の新しいセッションがアップロードされる。すでに「何千もの」有料会員がいる、と同社は話す。無料トライアルからのコンバージョン率は70%超で、全体の顧客定着率は88%だ。

マニュエル-デイビス氏は、Aarmyのコーチがアプローチを再考しなければならなかったことを認めた。元々計画していた「60人いるスタジオ」での撮影ができないためだ。そしていま、コーチたちは自分たち自身ですべてをこなさなければならない。彼らはスタジオにいるアスリートたちの動きに単に反応するのではなく、セッションのプラニングについて「かなり意図的になる」必要がある。

クラスの他に、Aarmyはさまざまなフィットネス用品を自社ウェブサイトやNet-a-Porterを介して販売するアパレル事業を立ち上げた。実際、副業はすでに45万ドル(約4700万円)を売り上げている。

Aarmyの全体的な戦略においてフィジカルフィットネスとメンタルコンディショニングの比重は同程度だとアクマン氏は話した。この点について同氏は、多くの人が気分の落ち込みや孤独感、「状況の犠牲者」であるという感覚への対処に苦慮しているパンデミック時代にはよく適していると指摘した。

「刺激、メンタルの強さ、そして刺激が実際の行動やワークアウトと同じくらい重要であると気づいているブランドにとって、完璧な時間でした。世界中の人とつながり、また私たちの特徴を示す素晴らしい機会となりました」とレアード氏は付け加えた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Aarmyオンラインレッスン

画像クレジット:Aarmy

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(翻訳:Mizoguchi