心電図機能やストレスモニターを搭載した新型フィットネストラッカー「Fitbit Charge 5」発表

スマートウォッチの人気が高まった影響を少なからず受け、フィットネスバンドの市場シェアは間違いなく縮小している。しかし、それでも2021年第1四半期には全体で1310万個も売れた。これは軽視できない数字だ。人々は依然として、低価格と非侵襲性を理由に、腕時計以外のフィットネストラッカーを購入しているのだ。

米国時間8月25日朝、Google Keyword(グーグル・キーワード)ブログを通じて発表された「Fitbit Charge 5」は、カテゴリー間の境界線をさらに曖昧にしそうだ。このプレミアム・フィットネスバンドの最新バージョンには、カラータッチスクリーン、ECG(心電図)およびEDA(ストレス)センサーが追加されている。

こうしたスマートウォッチ並みの機能を搭載していることから、当然ながら価格も上がり、先代モデルより30ドル(約3300円)高い180ドル(約1万9800円)となった(日本における公式オンラインショップの価格は税込2万4990円)。これは2019年に発売されたスマートウォッチ「Fitbit Versa 2」と同価格帯であり「Versa 3」よりも50ドル(Versa 3は税込2万9900円なので5000円)安い程度。前述のように、境界線が曖昧になっているのだ。Fitbitは、100ドル(日本では税込9490円)で買える「Ace 3」をはじめ、多くの安価なトラッカーも提供しているが、超低価格帯の市場では競争できないことを、同社はよく理解している。

ECGモニターの追加は、これまで高価なスマートウォッチの領域であった機能を、フィットネスバンドにもたらした。心電図記録機能は、ユーザーと医師の両方から好評を得ており、医師は心筋梗塞などの状態を日々モニターするためにこの機能を推奨している(ただし、現時点で日本は利用可能予定地域に入っていない)。さらにFitbit Charge 5には、心拍数モニターや24時間使用可能なバッテリーも搭載されている(ただし、フルカラーAMOLEDタッチスクリーンの常時点灯オプションを選択すると、間違いなくその時間は短くなる)。

Fitbit Charge 5(画像クレジット:Fitbit)

Fitbitが2020年秋に「Fitbit Sense(フィットビット・センス)」で初めて採用したEDA(皮膚電気活動)モニタリングは、指の汗腺から装着者のストレスレベルを検出するように設計されているものだ。これはFitbitアプリで利用できる「ストレス管理スコア」と連携し「毎朝、精神的にチャレンジする準備ができているのか、それとも休養が必要なのかを知ることができます」と説明されている。過去1年間の自分のストレス数値を見ることができると思うと、ストレス数値がさらに上昇しそうだが。

これらの情報はすべて、睡眠や標準的なフィットネスも含むワンストップショップのように設定されたHealth Metric(健康指標)ダッシュボードに表示される。また、Fitbit Chargeは「Ten Percent Happier」や「Calm」といったサードパーティ製の瞑想アプリとの統合も可能だ。後者に関しては、この大人気瞑想アプリのコンテンツをFitbit Premiumメンバーに提供するという新たなパートナーシップも発表された。

また、Premiumメンバーは「Daily Readiness Score(今日のエナジースコア)」という新機能も利用できるようになる。Fitbitは次のように説明している。

近日中にPremiumメンバーに向けてサービス開始が予定されている「今日のエナジースコア」は、最近の活動、睡眠、心拍変動など、Fitbitデバイスを介して身体から得られる情報を使用して、身体的に追い込む準備ができているかどうか、つまりワークアウトに適した状態にあるか、それとも回復を優先すべきかを評価するのに役立ちます。Fitbitデバイスを毎日(寝ている間も含めて)装着することによって、毎朝、パーソナライズされたスコアと、そのスコアに影響を与えた要因に関する詳細を受け取ることができます。推奨される活動レベルの提案や、自分の身体に最適な判断を下すために役立つPremium専用コンテンツも提供され、ワークアウトをより効率的に行うことができます。

さらに、Fitbitの新しいブランドアンバサダーの写真も公開されている。見覚えがある人物だ。

画像クレジット:Fitbit

Charge 5は、Fitbitが正式にGoogle(グーグル)の傘下に入ってから初めてのメジャーリリースだが、まだ大きな変化は見られない(ただしFitbit CEOのJames Park[ジェームズ・パーク]氏の肩書は、正式に「VP, GM & Co-founder」となっている)。次世代のスマートウォッチが発表される際には、より大きな変化があることを期待したい。

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画像クレジット:Fitbit

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

見守りタグ「biblle」のジョージ・アンド・ショーンが7000万円を調達、早期認知症の回復に向けた新規サービス開発

見守りタグ「biblle」のジョージ・アンド・ショーンが7000万円を調達、ヘルスケアAI事業を推進

位置追跡可能なタグとモバイルアプリによる見守りサービス「biblle」(ビブル)を展開するジョージ・アンド・ショーン(G&S)は7月7日、NTT西日本を引受先とする第三者割当増資による7000万円の資金調達を実施したと発表。NTT西日本との資本業務提携により、高齢者の認知症および軽度認知症(MCI)の早期発見のためのライフログ解析AIエンジンと、早期認知症の回復に向けた新規サービスの開発を進めるという。

G&Sはこれまでも、医療データに頼らず、日常的な生活習慣データを利用して認知症やMCIの発見する技術の開発を進めてきた。それを、その他の認知症早期発見や回復を目指したコンテンツやサービスと共に、必要な人にいち早く、できるだけ負担の少ない形で提供することが重要と考えたG&Sは、複数のパートナー企業と連携して、次の3つの柱を軸に社会実装を目指している。

ひとつは、「生活様式を変えない」ログ取得。高齢者の長期にわたる生活行動の記録データ「ライフログ」を、「biblle」や、高齢者施設用見守りシステム「施設360」(シセツサンロクマル)といった製品を活用して、当人に負担をかけずに取得する。

2つ目は、「気づき」を与える検知アラート。認知症またはMCIが疑われる人を高感度でスクリーニングし、当人に早い段階で認知症を疑うきっかけを与える。すでに、 認知症とMCIのスコアリング予測を行うAIプラットフォーム「Cognivida」(コグニヴィーダ)を高齢者施設に導入している。現在、認知症高齢者の検出精度は最大95%、MCIは最大81.8%とのこと(最大精度は睡眠データ利用時。センサーごとに推定精度は異なる)。検知に用いるデータは「位置情報の履歴」「睡眠サイクル」「家電利用の状況」「会話データ」などとしている。

3つ目は、「楽しみながら」の回復コンテンツ。食事、運動、コミュニケーション、脳トレなどを日常的に親しみながら継続できる回復コンテンツを提供する。すでに、食を通じて回復を促す動画コンテンツが展開されている。

これらの取り組みは、NTT西日本をはじめとするパートナー企業との連携で行われている。たとえば、NTT PARAVITAとは、睡眠情報を用いた認知機能推定のためのAI開発が進行中だ。今後は、投薬や医学療法との連携も重視し、医療機関や製薬会社との協力を推進してゆくという。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:NTT西日本(企業)AI / 人工知能(用語)高齢者(用語)睡眠 / スリープテック(用語)ジョージ・アンド・ショーン(企業)トラッカー / スマートタグ(用語)認知症ライフログ(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

GPSで迷子の犬や猫をトラッキングする「Tractive」がオーストリアから米国へ進出

犬や猫といったペットの行方を追跡するスタートアップに米国時間5月26日は、またまた大きな投資があった。オーストリアのTractiveが、Guidepost Growth EquityがリードするシリーズAで3500万ドル(約38億2000万円)を調達した。GPSを利用したペットトラッカーを開発する同社が創業したばかりの2013年以来の資金調達となる。

今回の資金調達で同社は、米国への本格的な進出を発表した。実は同社のLTEトラッカーは2020年夏に米国でも発売されたため「ソフトローンチ」は済んでいる。これまでオフィシャルな発表は何もなかったが、米国はこの製品にとって最速の成長市場になったようだ(訳注:米Amazonに多数のレビューがある)。

資金は米国を含む北米市場への拡張に向けられるが、企業の規模拡大や人員確保にも使われる予定だ。人員確保に関しては、同社はすでに北米地区担当の上級副社長とマーケティング担当副社長を任命している。

共同創業者でCEOのMichael Hurnaus(マイケル・ハーナウス)氏が、プレスリリースで次のように述べている。「Tractiveは、あなたの犬や猫のためのシートベルトのようなものです。どんなときでも、どんな場所でも役に立ちます。ペットの飼い主のみなさんの、犬や猫に対する愛情にふさわしい性能を実現しているため、Tractiveは最新の情報による最良の体験をユーザーにお届けします。仮想フェンスを設定することで日常の監視にも役に立つし、カロリー測定による肥満防止や、迷子になった犬や猫の発見も可能です」。

同社のもう1つのニュースは、新製品としてバッテリー寿命を長くしたバージョンの登場だ。Wi-Fiを使うことで、犬が家にいるときにはバッテリーへの負荷を下げる。それにより、バッテリーの寿命は旧バージョンの5倍になったという。本体価格は米国で50ドル(約5450円)、アプリは月額の会費を払う。

2021年2月には、ペット用スマート首輪のFiが3000万ドル(約32億7000万円)のシリーズBを発表している。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:TractiveペットオーストリアGPSトラッカー資金調達

画像クレジット:Tractive

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【レビュー】アップルの最新位置情報デバイスAirTagの第一印象

Apple(アップル)の新しい位置情報デバイスAirTag(エアタグ)を、手に入れてから数時間使っているが、ほぼ宣伝文句通りに動作しているようだ。セットアップの流れは、AppleがAirPods(エアポッズ)用に開発したものから明らかな影響を受けたシンプルでクリーンなものになっている。U1チップで実現されている精密検索機能は、実用性指向の拡張現実(AR)の実用的な例として機能していて、画面上に仮想矢印やその他の視覚的な識別情報を表示することで、AirTagをすばやく見つけさせる。

関連記事:アップルが紛失物トラッカー「AirTag」をついに正式発表

あまりお馴染みではない方のために説明すると、AirTagの基本的な仕組みは、Bluetooth(ブルートゥース)のビーコン技術を利用して、iOS 13以上を搭載した近くのデバイスに自分の存在を知らせるというものだ。これらの静かな「発信」は暗号化されていて、通りすがりの人には(通常は)検知されない(特にオーナーと「一緒にいる」場合には)。つまり、どのデバイスが実際にAirTagを「見つけた」のかは、Appleも含めて誰にもわからないのだ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

ちなみに「一緒にいる」とは、AirTagが登録されているものと、同じiCloud(アイクラウド)アカウントにサインインしているデバイスが、近くにあることを意味している。Bluetoothの通信範囲は、その場の状況や信号反射にもよるが、一般的には40フィート(約12.2メートル)程度だ。

個人で非常に限られたテストしかしていないが、AirTagの位置特定範囲は、Bluetoothの基本的な期待値に沿っている。つまり、たくさんの障害物や壁、信号反射の阻害などによって、阻まれる可能性がある。例えば別の部屋にあるAirTagからの最初の位置情報を取得するのに30秒以上かかることもあった。とはいえ、位置情報を受け取った後は、デバイスの位置を特定するための指示がすぐに更新されて、数インチ(数センチ)単位で極めて正確に表示されるようになった。

近くのAirTagを探すのはこんな感じ

AirTagは、ユーザーが交換可能な標準的なCR2032ボタン電池で1年間動作する。ある程度の時間、水に浸かっても大丈夫な程度の防水性も備えている。バッグ用のレザーストラップや、ラゲージタグ、キーリングなど、デザイン性の高いアクセサリーがたくさん用意されている。また、たくさん寄せられた質問にお答えしておくなら、この機能はなぜか新しいApple TVのリモコンには搭載されていない。

分解されたAirTagの写真からは、Appleのハードウェアへの強いこだわりを見ることができる。ケースの中の電池接点は、小型機器にありがちな単純な折り曲げ式の突起ではなく、ケース内部の留め金と3つの圧力接点を介している。これによって、バッテリー交換時のねじれや曲がり、経年劣化による接触不良などが起こりにくくなり、デバイスの長寿命化が期待できる。

画像クレジット:Matthew Panzarino

ここまではいい感じだ。さらにテストを重ねていく予定だ。

関連記事:アップルが「Spring Loaded」で発表した新製品まとめ、新iMac、iPad Pro、AirTagなど

保護機能

位置情報に関連する製品なら何でもそうだが、AirTagsにとってもセキュリティとプライバシーは最重要課題であり、Appleはいくつかの保護措置を講じている。

AirTagを共有することはできない。AirTagは特定の1人が所有することを想定している。自分のiCloudファミリー共有グループに入っている他のメンバーができることは「近くに未知のAirTagがある」という警告を自分のデバイスに出ないようにすることだけだ。そのため、AirTagは共有鍵や、家のペットなどに使う際にも便利だ。他のiOSデバイスのように、家族の「探す」アプリにAirTagが表示されることはない。「Find My(探す)」アプリ内にはすでに「アイテム」専用のセクション「持ち物を探す」が設けられていて「探す」機能が組み込まれたアイテムもそこに入る。

画像クレジット:Matthew Panzarino

持ち主としばらく離れていたAirTagは、動かされる度に音を鳴らすようになる。この「しばらく」というのは現在は3日間に設定されているが、変えることが可能だ。またAirTagの使われ方を観察して、将来的にはAppleがデフォルトを調整するかもしれない。この機能によって、近くにいる人にその存在を知らせることができる。

画像クレジット:Matthew Panzarino

その他のプライバシー機能としては、AirTagが持ち主の近くではなく、他者である誰かの近くに置かれた場合、しばらくしてからその他者に「警告」する機能がある(例えば、バッグやクルマの中に入れて一緒に移動した場合など)。そのときその他者は、AirTagの位置を特定するために音を鳴らしたり、シリアル番号などの情報を調べたり、電池を外して動作を止めたりすることができる。

もちろん、AirTagを紛失モードにして、警告音を鳴らしたときにAirTagを見つけた人と個人情報を共有することもできる。またAndroid(アンドロイド)を含むNFC搭載のスマートデバイスを持っている人なら、誰でもデバイスにタッチすることで、そのAirTagのオーナーが選択した情報が掲載されたウェブページを見ることができる。もしそうしたくなければ、単にシリアルナンバーだけでも良い。

このシナリオは、自分の前に他人のAirTagがあることを知らせてくれるiOSデバイスを持っていない場合を想定している。もし紛失モードになっていなくても最終的にはAirTagは音を鳴らすことになり、AirTagオーナーはそれをコントロールすることができない。

画像クレジット:Matthew Panzarino

Appleが多くのエッジケース(極端な場合)を考慮していることは明らかだが、出荷が進むにつれて、何らかのケースが出てくる可能性があるので、それを見守る必要がある。

アップルには、市場における明確な優位性がある。

  • AirTagの位置を確認できる機器が、世界に10億台近くあること
  • U1ワイドバンドチップを内蔵し、iPhoneに搭載されている同様のU1チップと通信することで、超高精度(インチ単位)の測位を可能にしていること
  • 競合他社のタグにはない、プライバシーに配慮した機能が満載なこと

なお、Appleは、ウルトラワイドバンド(UWB)無線を搭載したサードパーティー製デバイスが、iPhoneに搭載されているU1チップにアクセスできるように、チップセットメーカー向けの仕様の策定を「2021年春以降」に行うと発表している。これにより、AirTagのようなU1を内蔵していないアクセサリーでも検索機能に対する精度が上昇することが期待される。もちろん、AppleはAirTagと同様の基本的な検索機能を提供したいと考えているBelkin(ベルキン)、Chipolo(チポロ)、VanMoof(バンムーフ)などのサードパーティー製デバイス向けに、「Find My(探す)」メッシュネットワーク全体を開放している。Tile(タイル)は、Apple社の優位性がこの市場への参入を不公平なものにしていると先の議会で証言したものの、UWBバージョンのトラッカーも提供する計画を発表した。

もしAirTagsが屋外で紛失してしまったらどうなるかを見るのが楽しみだ。手に入れてからまだ12時間も経っていないので、エッジケースや公共スペースでの一般的な実用性などをテストすることがまだできていない。

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デバイスは日本時間4月23日午後21時から発売の予定だ。

画像クレジット:Matthew Panzarino

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleトラッカーAirTagレビュー

画像クレジット:Matthew Panzarino

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:sako)

アップル幹部が「AirTagはiPhoneから3日間離れると音が鳴る」と明かす

アップル幹部が「AirTagはiPhoneから3日間離れると音が鳴る」と明かす

アップルが21日(日本時間)のイベントにて発表した忘れ物トラッカーAirTagにつき、アップル幹部らが「プライバシー優先」と「ストーカー防止」の機能と配慮につき掘り下げて語っています。

FascCompanyの取材を受けているのは、アップルのiPhone製品ワールドワイドiPhoneプロダクトマーケティング担当副社長カイアン・ドランス氏とセンシング&コネクティビティ担当シニアディレクターであるロン・ファン氏です。

まずドランス氏は「AirTagの所有者と非所有者のプライバシーに配慮するとともに、これらのメリットをサードパーティ製品にも開放していることがお分かりいただけると思います」と述べ、AirTagユーザーやそれ以外の人々が追跡されないことを重視しており、そのメリットを自社製品が独占していないことを確認しています。

持ち主の手から離れたAirTagにつき心配されるのが、盗まれるということ。しかしファン氏いわく「AirTagを紛失して、誰かがAirTagを拾っても、自分のiPhoneと再ペアリングして使い続けることはできない」とのこと。これをアップルは「ペアリングロック」と呼んでおり、iPhoneのアクティベーションロック(紛失した場合に「探す」アプリからロックをかけられる)に例えています。

ストーカー対策については、誰かがその人を追跡するためにAirTagを付けた場合は、iPhoneに「AirTagがあなたと一緒に移動している」という通知が届くとのこと。こちらは公式サポート文書にも説明があり、検知した場合はサウンドを鳴らしてどこにあるか見つけたり、ないし借りものにAirTagが付いていた場合はアラートを1日オフにできると述べられています。ただし「iOS 14.5以降をインストールしている」場合のみであり、それ以前のiPhoneでは感知できない模様です。

さらに本通知は、自分のApple IDや近くにある他のiPhoneと紐付けされていないAirTagが近くにある場合だけ表示されるとのことです。つまり満員電車の中で数十ものAirTagに囲まれていたとしても、持ち主がiPhoneと一緒に持ち歩いていれば「あなたと一緒に移動している」通知ラッシュに襲われることもないと思われます。

またAndroidユーザー(やスマートフォンを持っていない人)に対しては、ペアリングされたデバイスから一定時間離れると自動的に音を出して在処を知らせる仕様は石川温氏の記事でも言及がありました。今回の取材ではその補足として、現時点では「一定時間」とは3日間だと明かされています。

つまり当面は、子供が家から離れた瞬間にAirTagが鳴るわけではなく、AirTagを付けた自転車や自動車を駐車してその日のうちに帰ってくれば無音のままのようです。が、将来的にはソフトウェアアップデートにより、この時間を長くしたり短くもできるとのことです。

アップル幹部らは「AirTagはヒトやペットではなく、アイテムを追跡するために設計されている」と強調しています。そして小さなお子さんを安全に追跡したい場合は、Apple Watchのファミリーセットアップをお使いくださいとお勧めしています。

裏返せば、少なくとも現時点ではAirTagをペットにつけて追跡することも……とも憶測できます。ただし1つのApple IDに紐付けられるAirTagは16個に制限されているため、猫を17匹以上飼っている人には不満が残るかもしれません。

(Source:FastCompanyEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:Apple / アップル(企業)APPLE SPRING HARDWARE EVENT 2021ウルトラワイドバンド / UWB(用語)AirTag(製品・サービス)トラッカー / スマートタグ(用語)

Appleの探し物トラッカー「AirTag」は税込3800円で4月30日発売、不要な位置情報追跡も防止

Appleの探し物トラッカー「AirTag」は税込3800円で4月30日発売、位置情報追跡の悪用も防止

Apple(アップル)は米国時間4月20日、iPhone用アクセサリーとして探し物トラッカー「AirTag」を発表した。鍵や財布など持ち物などにAirTagを取り付けておき、紛失などした際にAppleの「探す(Find My)」アプリを使い追跡・発見できる。直販価格は、1個セットが税込3800円、4個セットが税込1万2800円。注文は日本時間4月23日午後9時から受け付け、4月30日に発売する。

Hermèsとコラボレーションによる「AirTag Hermès」も発表された。キーリング、バッグチャーム、ラゲッジタグなどの革製アクセサリーとなっている。直販価格は、キーリングが4万1800円から、バッグチャームが3万5800円から、ラゲッジタグが5万3800円から(すべて税込)。

Appleの探し物トラッカー「AirTag」は税込3800円で4月30日発売、位置情報追跡の悪用も防止

AirTagは、ステンレススチールのボディを採用し、IP67等級の耐水性能と防塵性能をサポート。またユーザーは、AirTagを持ち物に割り当てて、「鍵」や「ジャケット」のような名前を付けたり、自分で選んだ独自の名前を付けたりできる。内蔵バッテリーにより1年以上動作し、交換のタイミングはiPhoneに通知するとしている。

AirTagの設定を終えると、「探す」アプリの新しい「持ち物を探す」タブに表示され、持ち物の現在位置や最後に確認された場所がマップ上で表示されるようになる。もしユーザーが持ち物を置き忘れ、それがBluetooth圏内にある場合は、「探す」アプリを利用して、見つけやすいようにAirTagから音を鳴らすことが可能。また、Siriに頼んで持ち物を見つけてもらったりも行える。

iPhone 11とiPhone 12のユーザーは「正確な場所を見つける」機能を利用可能

またAirTagは、Apple設計の超広帯域無線(UWB)チップ「U1」を内蔵しており、iPhone 11とiPhone 12のユーザーは「正確な場所を見つける」機能を利用可能。この機能により、紛失したAirTagが範囲内にある場合に、距離と方向をより正確に特定できるという。

Appleの探し物トラッカー「AirTag」は税込3800円で4月30日発売、位置情報追跡の悪用も防止

さらに「正確な場所を見つける」機能は、カメラやARKit、加速度センサー、ジャイロスコープからの情報を組み合わせ、ユーザーの移動に合わせて聴覚的・触覚的・視覚的なフィードバックを行い、AirTagを見つけられるようにする。

もしAirTagがBluetooth圏外にある場合には、「探す」ネットワークがAirTagを追跡する。「探す」ネットワークとは、10億台に及ぶApple製デバイスを指しており、紛失したAirTagからのBluetooth信号を検知し、位置情報を持ち主に中継するという。このプロセスはすべてバックグラウンドで匿名で行われ、プライバシーが守られるとしている。

またユーザーは、AirTagを紛失モードにすることで、範囲内にある場合や、広大な「探す」ネットワークによって見つけ出された場合に通知を受け取ることも可能。紛失したAirTagを誰かが見つけたときは、その人のiPhoneやNFC対応デバイスを軽くあてると、もし持ち主が連絡先の電話番号を提供していた場合には、その情報が表示されウェブサイトにアクセスできる。

プライバシー機能とセキュリティ機能

Appleは、位置情報やその履歴がAirTag内部に物理的に保存されることはないとしている。「探す」ネットワークとの通信は、エンドツーエンドで暗号化されるため、デバイスの持ち主だけが位置情報データにアクセスでき、AirTagを探す手伝いをしたデバイスの持ち主や位置情報は、Appleを含めて誰も知ることがないそうだ。

また不要な位置情報の追跡を防ぐため、AirTagが送信するBluetooth信号の識別子は頻繁に変更される。iOSデバイス側も、本来の持ち主の側にないAirTagを検知でき、時間が経過しても未知のAirTagがデバイスのユーザーと一緒に場所を移動している可能性がある場合、ユーザーに通知を行う。

Appleの探し物トラッカー「AirTag」は税込3800円で4月30日発売、位置情報追跡の悪用も防止

ユーザーがiOSデバイスを持っていない場合でも、持ち主から離れて一定の時間が経ったAirTagは、移動した時に音を鳴らして注意をうながすという。ユーザーが未知のAirTagを検出した場合、iPhoneまたはNFC対応デバイスを軽くあてると、指示が表示されて未知のAirTagを無効にする方法を案内する。

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画像クレジット:Apple

カテゴリー:ハードウェア
タグ:AppleAPPLE SPRING HARDWARE EVENT 2021ウルトラワイドバンド / UWB(用語)AirTagトラッカー

Tileがアップルの新しいAirTagを不正競争だと非難

Apple(アップル)の紛失物発見アプリが公式に発表された現在、それと競合するTileは、Appleの最新製品に対する同社の見解を、米国時間4月21日に行われる議会での証言の前に記録に残そうとしている。同社によると、4月21日には議会でAppleの事業慣習、特に今回の紛失物追跡分野への参入を詳細に検分するよう求めるという。

Tileは、Appleが近くTileがマーケットリーダーである紛失物発見ビーコンの分野に独自のデバイスで挑戦すると知ってから、Appleを厳しく批判してきた。同社はTileに接続している紛失物、財布やバッグ、鍵、自転車、札入れなどを消費者が見つけることのできるBluetoothを利用するキーチェインドングルで、新しい市場を切り開くことに成功した。同社はまた、紛失物が持ち主のBluetoothの圏外にある場合、スマートフォンにTileのアプリをインストールしている者同士が協力してその紛失物を見つける「発見ネットワーク」も導入している。

AppleはAirTagでこれらの能力を再現しているが、もっと精密なウルトラワイドバンドの技術のサポートを加えるとともに、AirTagを同社のファーストパーティーアプリである「Find My」に統合して、紛失物発見にiPhoneの大きなインストールベースを利用しようとしている。こうなると、それはTileにとって強敵となり、Appleの全デバイスに競合するAirTagがあるだけでなく、App Storeのポリシーにより、アプリ内購入によるサブスクの収益の一部もAppleが共有することになる。

AirTagの立ち上げよりも前にAppleは、Find Myアプリへのアクセスをサードパーティーに公開して、反競争的云々の苦情を避けようとした。また同社はTileの競合他社であるChipolo ONE Spotと提携して、AirTagと競合するその他の紛失物発見ツールを不利な扱いにはしない証拠を見せつけようとした。しかしこれまでのTileの主張は、自社独自のiOSアプリで築いてきたユーザーとの直接的な関係を捨ててまで、AppleのFind Myユーザーをサポートしたくはない、というものだ。そして、Appleには最初からファーストパーティーであるという利点と、大きなエコシステムのパワーがあるため、この紛失物発見の市場に参入すると決めただけでも簡単に市場を支配してしまうとTileは主張している。

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Tileは2020年にも、Appleが非難されていた反競争的振る舞いについて議会で証言し、米国時間4月21日にはMatchやSpotifyなどAppleを批判する他社とともにそれを再現するつもりだ。

企業は、Appleが最近、小企業に対しては下げたアプリ内手数料、いわゆる「アップル税」に反対している。大企業の多くは、Appleに一切支払いたくない。売り上げも経費も全部自分で把握し処理したい。また顧客との関係も、間にAppleが入るのではなく、直接的な関係にしたい。そしてTileやSpotifyなどのケースでは、Appleが独自のファーストパーティーアプリで直接競合しているようなビジネスに関して、Appleに金を払わなければならないのはフェアでないと感じている。

またTileは、独自のウルトラワイドバンドデバイスでAirTagと競合する、と2021年初めに発表している。でも、そんなデバイスが動くために必要なAppleのU1チップへのアクセスは、まだもらっていないようだ。Appleはチップセットのメーカーのための仕様書の草案を今春リリースする。

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Appleのイベントの後でリリースした声明で、TileのCEOであるCJ Prober(C・J・プローバー)氏は再び、Tileが作った市場へのAppleの進出を批判している。

弊社のミッションは紛失物や置き忘れた物を見つけるという日常的な悩みの解決であり、世界で最も価値ある企業の1つであるAppleが、Tileが開拓したカテゴリーに参入してその価値を検証していることを誇りにも思っている。

紛失物や置き忘れた物の発見に多くの人びとがTileを選んでいるのは、私たちが顧客に提供している差別化された価値のためだ。iOSとAndroidのデバイスで動く弊社のアプリから業界トップクラスの一連の機能を提供することに加えて、弊社のサービスはAlexaやGoogleなど主要な音声アシスタントのすべてとシームレスの統合されている。またすべてのユースケースと、多様なスタイルに手頃な価格で対応する形状により、万人向けのプロダクトになっている。

Tileはまた、HPやIntel、Skullcandy、fitbitなどのトップクラスのブランドとのパートナーシップを成功させ、弊社の発見技術をノートパソコンやイヤーバッド、ウェアラブルなどの大衆的消費者製品のマスマーケットにも広げている。パートナーは現在30社を超えているが、Tileの利点を数百万の消費者に浸透して、重要な物のすべてを追跡できる体験をさらに広げたい。

競争は、それがフェアな競争であれば歓迎する。残念ながら、自己のプラットフォームのアドバンテージを不正に利用してプロダクトの競争を不公平に制限するAppleの歴史は、多くのドキュメントからも明らかであり、その姿勢は疑わしい。またAppleとのこれまでの歴史から見ても、このカテゴリーへのAppleの進出を議会が詳細に検分することは、完全に適切であると私たちは考える。明日議会の面前でこれらの問題をさらに議論する機会を、私たちは歓迎する。

それに対してAppleは、Find MyのネットワークはTileの創業以前からあると指摘し、Tileも、もし選ぶならばFind Myを利用できると述べている。同社はまた、Tileのマーケットシェアは90%もあり、それに追いつくためには膨大な量のAirTagsを売らなければならないだろう、とも述べている。

Appleの声明は、次のとおりだ。

iPhoneはそもそもの最初からユーザーの位置データのプライバシーを保護し、すべてのアプリによるユーザーの位置へのアクセスと共有に関し、透明性とコントロールをユーザーに提供してきた。AppleがFind Myを作ったのは10年以上前であり、それによりユーザーが紛失したデバイスをプライバシーを確保しながら安全に見つけられるようにしている。その後私たちは、Find Myを拡張して、ユーザーが他の重要な品物も管理できるようにしている。また、位置を友だちや家族と共有して、自転車などのサードパーティー製品も見つけられる。私たちは常に、顧客の体験を向上する最良の方法として競争を歓迎している。そして私たちは、サードパーティーのデベロッパーが栄えるプラットフォームをiOSの中に作るために、懸命の努力をしてきました。

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アップルが「Spring Loaded」で発表した新製品まとめ、新iMac、iPad Pro、AirTagなど

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップルが「Spring Loaded」で発表した新製品まとめ、新iMac、iPad Pro、AirTagなど

Apple(アップル)のイベントの日だ。

Apple Cardの改良から新しいiMacやiPadまで、Appleは1時間のイベントでたくさんのニュースを発表した。しかし、すべての発表に目を通している時間がない方のために、それぞれのポイントをまとめてご紹介しよう。

Apple Card

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Appleはまず「Apple Card」の仕組みの変化について、簡単だが重要な説明を行った。「Apple Card Family」では、13歳以上の家族なら誰とでもカードを共有でき、追加ユーザーごとに利用限度額をカスタマイズできる。また、Appleカードを他の大人と「共同所有」することもできるようになり、両方の所有者が等しくクレジットを蓄積できるようになる。

Appleはまず、Apple Cardの仕組みの変更について、簡単に、しかし重要な説明を行った。「Apple Card Family」では、13歳以上の家族であれば誰でもカードを共有することができ、追加ユーザーごとに利用限度額をカスタマイズできる。また、他の大人とApple Cardを「共同所有」することも可能になり、2人の所有者が同じようにクレジットを貯めることができるようになる。

Apple Podcasts

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Appleは、Podcastアプリのデザインを一新し、それぞれのPodcastを有料購読(月額または年額)できるオプションを提供する。

パープルのiPhone

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今回、新しいiPhoneは発表されなかったが(iPhoneは通常、年内に発売される)、既存のiPhone 12とiPhone 12 miniに新色「パープル」が加わった。彼らはWilly Wonka(ウィリー・ウォンカ)の歌が使われたが……、まぁそれはパープルだからだろう。

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AirTag

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Appleはついに、ソファーで紛失したさまざまなAppleデバイスを探すのにときと同じく「Find My」アプリを使って、鍵やお財布、バッグなどを追跡するためのアクセサリーを正式に発表した。

AirTag」(不思議なことに「AirTags」ではない)と名づけられたこのアクセサリーは、1個29ドル(日本では税込3800円)、4個入りで99ドル(日本では税込1万2800円)、4月30日に発売される予定だ。バッテリーはユーザーが自分で交換できるが、奇妙なことにアタッチメントループは付属しない。キーホルダーなどに取り付けたい場合は、ケースを追加する必要がある。もちろん、Appleはそれを作り、販売する。

AirTagにはそれぞれスピーカーが内蔵されており、紛失したアイテムを見つけるのに役立つ。オンラインで購入すると、テキストや選択した絵文字を無料で刻印することができる。

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次世代Apple TV 4 K

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Appleは、2017年に初めて発売した「Apple TV 4K」を大幅に刷新する。その内訳は以下のとおりだ。

  • AppleのA 12 Bionicチップ搭載。
  • iPhoneを使って映像のキャリブレーションが行える。キャリブレーションプロセスを開始し、iPhoneの前面カメラをテレビに近づけると、Apple TV 4Kはそれに応じて自らのカラー / コントラスト出力を自動的に最適化する。
  • リモコンのデザインも一新。これまでのタッチパッド付きのリモコンから、iPodのようなスクロールホイールを備えた5方向のクリックパッド付きのリモコンに変更された。ボタンを押す代わりにテレビに話しかけたくなったときのために、側面にはSiriボタンが付いている。このリモコンは、前世代
  • Siri RemoはApple TV 4KおよびApple TV HD用として59ドル(日本では税込6500円)で別売りされる。
  • 32GBモデルが179ドル(日本では税込2万1800円)、64 GBモデルが199ドル(日本では税込2万3800円)。

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新しいiMac

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iMacがM1にシフトするときが来た!Appleは、iMacの新ラインナップを発表した。往年のiMacを彷彿とさせる、ファンシーなカラーバリエーションが特徴だ。その概要は以下のとおりだ。

  • Appleが2020年にノートPCに初導入した驚異的に高速な「M1」チップセットを搭載。
    24インチの「4.5K」ディスプレイ。
  • ついに、まともなウェブカメラが登場!新iMacには1080pのFaceTimeカメラが搭載される。
    予約注文は4月20日から始まり、出荷は5月下旬。
  • 1299ドル(日本では税込15万4800円)で8コアCPU / 7コアGPU、1499ドル(日本では税込17万7800円)で8コアCPU / 8コアGPUにアップグレードできる。
  • カラーはグリーン、イエロー、ピンク、オレンジ、ブルー、パープル、シルバーの7色。一部の色は、より高額なモデルでのみ提供される。
  • どちらのモデルも256GBのSSDとThunderboltポートが2つ備えている。1499ドルのモデルでは、USB 3ポートが2つ追加される。
  • Appleは、Touch ID指紋認証センサーを搭載したBluetooth Magic Keyboardの新バージョンも発表。高額なモデルに同梱される。

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新しいiPad Pro

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iPad ProもM1を搭載する!Appleによると、この移行により従来のiPad Proと比べてパフォーマンスが50%向上したという。新機能は以下のとおりだ。

  • 8コアGPU / 8コアCPU。
  • 11インチモデルは799ドル(日本では税込9万4800円)から、12.9インチモデルは1099ドル(日本では税込12万9800円)から。
  • セルラーモデルは5Gをサポート。
  • USB-Cポートを介してThunderboltおよびUSB 4をサポート。
  • 12.9インチモデルは「Liquid Retina XDR」ディスプレイを搭載。Appleによるとフルスクリーン輝度は1000ニト、ピーク輝度は1600ニトとのこと。
  • Appleが「Center Stage」と呼ぶ機能は、FaceTime通話中に、部屋の中を動き回っても自動的に自分の顔をフレームの中央に保つ。
  • 最大2TBの内蔵ストレージと16GBのRAMを搭載。

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Katsuyuki Yasui)

アップルが紛失物トラッカー「AirTag」をついに正式発表

Apple(アップル)は米国4月20日、正式にAirTag発表した。Appleデバイス所有者が同社の「Find My」アプリを通じて紛失したものを見つけられるようにするロケーション追跡ビーコンだ。AirTagそのものは小型の円形デバイスで、財布やバッグ、鍵などのパーソナルアイテムに取り付けられる。プレオーダーは4月23日から受け付けが始まり、4月30日発売だ。価格は29ドルで、4個セットだと99ドルとなる(編集部注:日本での価格は1パック税込3800円、4パック税込1万2800円)。

タグは小さな丸い形状で、磨かれたステンレススティールと白色の外観だ。フロント部分にはAppleのロゴが入っている。AirTagにはさまざまなケースのオプションが用意されていて、キーチェーンドングルも付いているため、AirTagをたとえば鍵やハンドバッグなどに取り付けることができる。絵文字を刻むといったカスタマイズも可能だ。

AirTagはAppleが「Precision Tracking」と呼ぶアイテム追跡に独自の超広帯域無線チップU1を使っている。これはU1チップと超広域無線、ARkit、アクセラレーター、ジャイロスコープを使っているiPhone最新機種(iPhone 11、11 Pro、iPhone 12シリーズ)で機能する。そうしてFind Myアプリは音と振動、ビジュアルフィードバックを使ってユーザーを紛失したAirTagへと誘導できる。

Appleによると、AirTagはまた低消費電力のBluetooth LEを活用しており、バッテリーは1年持つとのこと。バッテリーはユーザーが自分で交換できる。AirTagは防水・防塵規格IP67をクリアしている。つまりトイレに落としたとしてもおそらく大丈夫だ。しかしiPhoneのような奇跡は期待しないほうがいい。

AirTagを取り付けたアイテムが迷子になったときは、その場所を知らせるためにAirTagのビルトインスピーカーから音がで出る。もしAirTagがソファのクッションの下などよりも遠くにある場合、ユーザーはAirTagを「紛失モード」にできる。そうすることでみんなのデバイスを使ったAppleのFind Myネットワークを活用できるようになる。

プライバシーを確保するために、AirTagの位置情報データと位置履歴はAirTag内部に保存され、Find Myネットワーク内のコミュニケーションはエンド・ツー・エンドで暗号化される。

そしてもしあなたが誰かの紛失したAirTagに行き当たったら、iPhoneあるいはNFCデバイスを使ってその情報が所有者にコンタクトできるウェブサイトにいくようにできる。

発売にあたり、Appleは白、ネイビー、黄色、オレンジのポリウレタンループ(29ドル、日本では税込3800円)や、茶色と赤色のレザーループ(39ドル、日本では税込5500円)、茶色、赤色、青色のレザーキーリング(35ドル、日本では税込4500円)などのアクセサリーも扱う。HermèsとのタイアップでAirTag Hermèsも用意し、これにはカスタム刻印が入ったAirTag、そしてバッグチャーム(日本では税込3万5800円)やキーリング(日本では税込4万1800円)、トラベルタグ、ラッゲージタグ(日本では税込5万3800円)などの皮アクセサリーが含まれる。

「AirTagの導入で、この驚くべき新しい能力をiPhoneユーザーに提供することをうれしく思います。暮らしの大事なアイテムの場所を特定できるようにするのに広大なFind Myネットワークを活用しています」とWorldwide iPhone Product Marketing担当副社長のKaiann Drance(カイアン・ドランス)氏は声明で述べた。「デザイン、比類のない発見エクスペリエンス、そしてビルトインのプライバシーとセキュリティの機能で、AirTagは顧客にAppleのエコシステムの力を活用する新たな方法を提供し、iPhoneの汎用性を高めます」。

Appleのコードリファレンスで見つかったアセットに加え、AirTagは2020年、誤って同社の公式YouTubeビデオに登場した。AirTagはまた米規制当局でのAppleの反競争的行為の例としても取り上げられた。

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2020年にTileは下院司法委員会でAirTagについて、紛失物トラッカーの独自バージョンを立ち上げるというAppleの決断は、Appleの新しいプロダクトにファーストパーティとしてのアドバンテージを与えると指摘した。Appleのデバイスは、Tileのアプリのようにユーザーにバックグラウンド追跡への同意を尋ねるポップアップを表示させ続けることなくバックグランドで作動させられるだろう、ともTileは説明した。Appleのデバイスはまた「Find My」に統合されるだろうが、他社のタグはそうはならないだろう。

当局の調査を受け、Appleは2020年6月のWWDCデベロッパー会議で「Find My」をサードパーティ企業にも開放すると明らかにした。しかしながら、その申し出はどうやら考えられていたようなものではなさそうで、企業は秘密保持契約(NDA)にサインしなければならず、Appleの顧客は競合するデバイスを同時に使うことは禁じられるようだとワシントンポストは指摘している。

4月20日のイベントに先立ち、AppleはFind My Network Accessoryプログラムの立ち上げを発表した。これはFind Myアプリにアクセスしたいサードパーティのメーカーに門戸を開くものだ。アーリーアダプターにはVanMoofのS3とX3電動自転車、BelkinのSOUNDFORM Freedom True Wireless Earbuds、そしてAirTagsの競合相手であるChipolo ONE Spotが含まれる。しかしTileは含まれていない。Tileはあきらめたくない自前のiOSアプリを通じて顧客と直接の関係を築いているためにFind Myに参加したくないのだとTechCrunchは理解している。

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Appleの「紛失物ファインダー」分野への参入は、Appleが「Find My」を開放するという譲歩があるにせよ、Tileのような企業はさらに厳しい競争にさらされることを意味する。Tileはこれまでのところ、独自の超広帯域無線で作動するトラッカーを立ち上げる計画(2021年発売される)を前もって発表することでAppleの計画に対抗してきた。Appleは自社のエコシステムをしっかりと握っていて、これはTileにさまざまなフォームファクターやクロスプラットフォームのサポートなどのアドバンテージに注力するよう強制し、AirTagのような新製品の立ち上げに貢献する。

AirTagは4月23日太平洋夏時間午前5時(日本時間4月23日午後9時)からプレオーダーできる。そして4月30日からApple Storeアプリ、Apple Stores店舗、Appleの正規販売代理店、いくつかの通信会社でAirTagとその他のアクセサリーが販売される。関連記事
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(文:Sarah Perez、Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

Fitbitの最新フィットネストラッカー「Luxe」は約1.6万円の高級感あるデラックスモデル

Fitbitのここ数年は奇妙な時期だった。フィットネストラッキングという新分野のパイオニアだったにも関わらずスマートウォッチのトレンドには遅れを取ったきらいがあった。それでも波に乗って業績を回復することに成功している。今やGoogleの一員となったFitbitだが、ここ数年ニュースで取り上げられるときは、腕時計本体よりもバンドが相当の部分を占めていた。

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米国時間4月19日にFitbitはLuxeを発表した。これは一風変わった製品に思える。確かに市場はあると思うが、どの程度のニッチなのかはよくわからない。Fitbitはターゲットを「ニーズがまだ満足されていないユニークな購買層」と呼んでいる。つまりLuxeは、外出時にプラスチック製のバンドよりもう少し高級感があるバンドを身に着けたい人々のための「ファッショナブル」なトラッカーだ。

はっきり言ってLuxeはFossilのMisfitから影響されたものだ。Misfitは少し時代に進みすぎていたかもしれない。Luxeの149ドル(約1万6000円)という価格は同社のChargeとVersaの中間だが、Chargeに近い。Fitbitとしては上位モデルだが、価格帯はFitbitを含めたフィットネストラッカー全般のカテゴリーに収まる。

カラーのタッチスクリーンをステンレスのケースが囲んでいるデザインが特徴的で、確かになかなかかクールな外見だ。バンドもレザーからゴールドのステンレスまで幅広く用意されている。

今やGoogleの一員となった共同ファウンダーのJames Park(ジェイムズ・パク)氏はこう述べている。

この1年間、私たちは健康についてこれまでとは違った考え方をする必要に迫られました。現代社会のストレスや不安に対応して健康を守る努力を続ける一方で、新型コロナウイルスの症状が出ていないか注意する必要が出てきました。Fitbitでは精神と肉体を含め全体として健康であることをサポートする製品を積極的に紹介してきました。新しいLuxeは美しいデザインであるだけでなくテクノロジー的にも進歩を遂げており、より小さくよりスリムなったのトラッカーです。これまでスマートウォッチでしか利用できなかった先進的な機能が詰め込まれています。これによって高機能フィットネストラッカーが世界の人々の手の届きやすいものになりました。

下の動画はパーク氏自身によるLuxeの紹介だ。

パンデミックが続いたこの1年、計測された歩数は激減しているものの、身体的・精神的な健康がかつてなく重視されるようになったことは間違いない。このデバイスには通常のFitbitセンサーが搭載されており、活動量、睡眠、ストレスをトラッキングできる。また、最近発表されホリスティック医療のリーダー、Deepak Chopra(ディーパック・チョップラ)との提携を含め、マインドフルネス・瞑想アプリとも連携する機能を備えている。

バンドの予約は受付が開始されているが、製品の出荷は今春中とされ、具体的な日付は発表されていない。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:FitbitウェアラブルデバイスフィットネストラッカーGoogle

画像クレジット:Fitbit/Google

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(文:Brian Heater、翻訳:滑川海彦@Facebook

サムスンがARで忘れ物探しができるトラッカー「Galaxy SmartTag+」を発表

Apple(アップル)の来る紛失物ファインダーAirTagsのライバル商品となるSamsung(サムスン)のGalaxy SmartTag+が発表された。SamsungはGalaxy SmartTagというTile(タイル)のライバル商品を2021年1月の報道機関向けイベントで発表している。その際、Galaxy SmartTag+というウルトラワイドバンド(UWB、超広帯域無線通信)で機能するバージョンが、具体的な時期は示さなかったものの、2021年後半にも登場するかもしれないとほのめかした。

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そして今、明らかになった。Galaxy SmartTag+はBluetooth Low Energy(BLE)とUWBの両方をサポートし、たとえばバックパックやキーチェーンなど、位置を追跡したい毎日使うアイテムに取り付けることができる。

噂されていたAppleの(そしてアクシデントで存在を明らかにした)AirTagsのように、Samsungデバイス所有者のためのSmartTag+はUWBテクノロジーを使っているおかげで、より正確に場所を特定することができる。このテクノロジーは最近発売されたGalaxy SmartTagには搭載されていない。

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SmartTag+を取り付けたものを紛失したとき、ユーザーはSamsungのスマホを使ってタグの位置をより簡単に特定するのに空間認識能力を備えるARテクノロジーを使うことができる。タグの場所に近づくにつれ、大きな音を鳴らすよう選択することも可能だ。これはソファのクッションなど、何かの下に落とした場合に役立つ。

TileのUWBデバイスと同様、SmartTag+はコミュニティで紛失物を発見する機能も備える。この機能を選択している近くのGalaxyデバイスが紛失物の場所の特定をサポートし、またSmartThings Findネットワークを通じて持ち主に通知する。このデータは暗号化され、タグの場所は所有者のみが知ることとなる。

ピンクとグリーンのカラーが加わった先のSmartTagと異なり、SmartTag+は差し当たって黒とグレーのみの展開だ。

新しいビーコンはUWBに頼っているため、UWBテクノロジーを搭載するGalaxyデバイスでのみ使える、とSamsungは話す。Galaxy Note20 Ultra、Galaxy S21+、Galaxy S21 Ultra、Galaxy Z Fold2などだ。

SmartTag+の登場は紛失物ビーコンマーケットが大きく変化しようとしている中でのものだ。

現在Tileのような企業が独占しているこの分野へのAppleの参入はかなり破壊的なものになるかもしれない。AppleのAirTagsは空間と方角のデータをとらえるのにUWBを使っていて、これによりタグを取り付けた紛失物の発見をより簡単で正確なものにしている。しかしAirTagsはAppleのFind Myアプリも統合する。今週このアプリはイヤフォンや電気自転車のメーカーを含むサードパーティーへの提供が始まった

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初期ラインナップで不在が目立つのはTileで、同社もまたUWBトラッカーを準備中だ。Tileは自社アプリを通じてすでに確立した顧客との関係をあきらめて、それをAppleに引き渡したくはないはずだ。そうする代わりにTileは独自のUWBトラッカーと自前のiOSアプリを通じたAR発見機能の提供を計画している。

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しかしながらSamsungの場合、ファーストパーティトラッカーであり自社デバイス向けにデザインされているため、そうした問題を抱えていない。SmartTag+は基本的にSamsungデバイス所有者のためのAirTagsであり、もしAppleが自前のビーコンを立ち上げるときは、Android版に対する需要が影響を受けるかもしれない。

Samsungの先のSmartTagは米国では29.99ドル(約3280円)で、新しいSmartTag+はそれより10ドル高い39.99ドル(約4370円)だ。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi