バーチャルイベントプラットフォームのユニコーンHopinがさらに2社を買収しビデオ事業に3倍賭け

バーチャルイベントサービスで知られるユニコーン企業のHopin(ホピン)は、米国時間3月23日朝、さらに2社を買収したことを発表した。買収されたのはJammStreamableの2社で、Hopinは取引の詳細を明らかにしていない。

しかしHopinの創業者兼CEOであるJohnny Boufarhat(ジョニー・ブファラート)氏はTechCrunchへのメールの中で、2社とも「アーリーステージ」の企業だと述べている。このコメントから、取引の規模をある程度推測することができる。

Hopinは今回の取引に加えて、2021年1月にStreamYardを2億5000万ドル(約272億円)で買収すると発表するなど、ここ数カ月、買収に積極的だ。

Jammは「ワンクリックでできるチームのためのビデオコラボレーション」と称してサービスを販売しており、Streamableは他社のビデオのアップロードやストリーミングを支援している。ライブ動画配信サービスを提供していたStreamYardを買収したことからしても、Hopinの小切手帳の焦点がビデオであることは想像に難くない。

ブファラート氏はそれを認め、今回の買収は「プロ仕様のビデオ機能を大きな規模で簡単に利用できるようにするために、さらに多くの技術を構築する」ために役立つとTechCrunchに説明している。CEOは、同社は「非公式」にその取り組みを「ビデオのあらゆる側面を活用したコネクションのエコシステム」と呼んでいる、と付け加えた。

このビジョンに対するTAM(Total Addressable Market、総獲得可能市場)は、Hopinが最も得意とするバーチャルイベントの事業や、同社が元々サポートするために生まれたオンライン / オフラインのハイブリッドイベント市場よりも大きいと思われる。

HopinがStreamYardの買収を発表したとき、それは重要な収益を上げている会社を買収したということだった。ブファラート氏のチームは、StreamYardを単独の製品として存続させることを決めた。JammとStreamableはよりアーリーステージの案件だが、同じような扱いを受けるのだろうか?

答えはイエスでもあり、ノーでもある。Streamableの場合はイエス、Jammはノーだという。ブファラート氏によると、Jammは「Hopinの製品に完全に統合される」とのことで、一方、Streamableは単独の製品として存続させつつ、イベントプラットフォームに統合するポイントを見つけていくとのことだ。

TechCrunchは、StreamYardの取引のように、Hopinが買収した収益の量は重要なのかどうかコメントを求めた。ブファラート氏によれば、それはないという。つまり、2021年3月初めに行われた4億ドル(約435億2000万円)の資金調達ラウンドで開示された、Hopinの最後の収益額である7000万ドル(約76億2000万円)のARR(年間経常収益)は、まだ適切である可能性が高い。当時のHopinの評価額は56億5000万ドル(約6147億円)だった。

Hopinは同社のプラットフォームを利用してイベントを開催する「オーガナイザー」の数が、2021年3月初めの8万5000人から米国時間3月23日の時点で9万人に増加したことを明らかにした。これは、カ月足らずで6%弱の成長を意味する。Hopinの急成長の軌跡は、今のところ損なわれていないようだ。

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Aya Nakazato)

VCが注目するバーチャルイベントプラットフォームHopinの企業価値は最大6370億円に

バーチャルイベントプラットフォームのHopinは、巨額な企業価値を期待している。

TechCrunchが話した複数の情報筋によると、2019年半ばに設立された同社は、現在資金調達の巡回中で、資金調達前企業価値50億ドル(約5310億円)で約4億ドル(約420億円)を調達するシリーズCラウンドをまもなく完了するという。リードしたのはおそらくAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)とGeneral Catalyst(ゼネラル・カタリスト)の2社といわれている。

企業価値は60億ドル(約6370億円)までいくのではないか、と2つの情報筋は示唆しているが、同社が受け取った一部の提案条件によると希薄化が大きくなるという。契約条件は流動的で、ラウンドの規模、企業価値ともに今後変更される可能性がある。

ある筋がTechCrunchに伝えたところによると、同社のARR(年間経常収益)は6000万ドル(約64億円)に達しており、聞こえてくる価値額のとおりだとすると、企業価値マルチプルは80〜100倍になる。この種の倍率は、SaaSベースビジネスモデルの有望企業の資金調達ではありえない話ではない。

Hopinはこの数カ月間、資金調達に忙しくしている。2020年11月のシリーズBでは企業価値21億2500万ドル(約2250億円)で1億2500万ドル(約130億円)を調達、夏のシリーズAでは4000万ドル(約40億円)、その前の冬には650万ドル(約7億円)のシードラウンドを完了している。Crunchbaseによると、誕生からおよそ20カ月の間に、計1億7140万ドル(約182億円)をVCから獲得したことになる。

本誌が最後に同社について報じたとき、Hopinの年間経常収益はゼロから2000万ドル(約21億円)へと成長し、ユーザー基盤も事実上のゼロから11月には3500万ユーザーへと伸びた。当時同社は、5万のグループが同プラットフォームを使っていると報告していた。

Hopinのプラットフォームは、対面イベントの体験をバーチャルに変換するためのもので、展示フロアを歩き回る体験を再現するツールを提供し、1対1をネットワークでつないでファイアサイドチャット(炉辺談話)やパネルにも自然に参加できる。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック下で国内外の移動が強く制約され,ビジネスや教育のカンファレンスが軒並み中止となった時期に大人気となった。


ちなみに本誌のビジネスチームはDisrupt,Early Stage、Extra Crunch Live、あるいは来週のTechCrunch Sessions:Justice 2021などTechCrunchの報道イベントすべてをHopinで運用している(こうしたソフトウェアの選択とコストは、幸いなことに、私たち編集チームの権限の外にある)。

Hopinは現在バーチャルイベント分野のメガリーダーであるかもしれないが、突然生まれたこのバーチャル業界に挑んでいるスタートアップはここだけではない。Run The World(ラン・ザ・ワールド)は2020年資金を調達し、Welcome(ウェルカム)は「イベントプラットフォームのザ・リッツ・カールトン」を目指している。Spotify(スポティファイ)が参入を準備し、Clubhouse(クラブハウス)も強敵に違いない。InEvent(インイベント)は2021年シード資金を獲得し、Hubilo(ハビロ)も参入した

本誌はHopinにコメントを求めている。

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(文:Danny Crichton、Steve O’Hear、翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型コロナを追い風にイベントネットワーキングアプリGripが13.7億円調達、今後のハイブリッド化も視野に

近い将来、オフラインのイベントが確実にオンラインに移行することが予想される中、ネットワーキング分野のスタートアップはパンデミックを目の当たりにして迅速に方向転換する必要があった。その1つがGripで、以前は物理的な会議(かつてのTechCrunch Disruptを含む)向けのネットワーキングアプリとして知られていた。Gripは2020年以来、「オムニチャネル」エクスペリエンスに移行し、バーチャル、ハイブリッド、ライブのさまざまな種類のイベントを組み合わせている。この戦略が功を奏したようで、この度シリーズAの資金調達ラウンドで1300万ドル(約13億7000万円)を調達した。その結果、調達総額は1450万ドル(約15億3000万円)に増えた。

今回のラウンドは、ロンドンを拠点とするグロースエクイティファンドのKennet Partnersが主導した。この資金調達はオンラインイベントのブームを反映している。このブームで、ロンドンを拠点とするスタートアップのHopinは2020年、シリーズAで4000万ドル(約42億円)を調達した。2016年創業のGripは、Reed Exhibitions(リードエグジビション)や Messe Frankfurt(メッセフランクフルト)など、いくつかの大規模なイベント主催者をクライアントとして抱える。

Gripの創業者でCEOのTim Groot(ティム・グルート)氏は声明で次のように述べた。「私たちの使命は、イベントの主催者がプロフェッショナルを結集し業界を発展できるよう力を貸すことです。今回の資金調達ラウンドによりエクスペリエンスを新しいレベルに引き上げることができます。業界をリードする広範なプラットフォームを活用し、バーチャル、ハイブリッド、対面のイベントに独自の価値を提供します」。

グルート氏は、Gripが今や製品に多額の投資をし、世界的な拡大を目指していると述べた。

Gripの他の競合他社には、過去に150万ドル(約1億6000万円)を調達したBrellaや、これまでに600万ドル(約6億3000億円)を調達したSwapcardなどがいる。

では、なぜGripが集団からリードしているように見えるのか。

グルート氏は筆者に語る。「当社は、他のプラットフォームとプラグアンドプレイ方式で連動して機能するという点で、少し異なるアプローチを採用しています。そのためGripは、多くの主催者によってスタンドアロンのバーチャルイベントプラットフォームとして使用されています。したがって、会議にはHopinを使用し、ネットワーキングにはGripを使用するということがあります。2020年に成長できたのはその方法のためかもしれません」。

Gripは2020年にバーチャルイベントへ方向転換した後、毎月100件を超えるイベントを主催し、150万人が使用した。その結果、同社によれば、2020年の売上高はほぼ4倍に増加した。2021年は1万を超えるイベントを行う予定で、参加者は500万人以上を見込む。

GripのAIを利用したアルゴリズムにより、参加者はイベント前に開かれる会議のスケジュールなど、自身の興味に基づきよりパーソナライズされたマッチメイキングのレコメンデーションを取得できる。出展者には、ソフトウェアが見込み客を捕捉したり、イベント後の分析を提供したりする。

参加者は会議に登録されると、グループで会話できる。また、Gripはその場でテーマに合わせて3分間の会話が行える「スピードネットワーキング」機能に取り組んでいる。

Gripは、HopinやBizzaboなどの「フルサービス」プラットフォームとは異なり、Vimeo、YouTube、Zoom、BlueJeansなどのさまざまなストリーミングプラットフォームと統合する。

KennetのパートナーでGripの取締役会メンバーを務めるHillel Zidel(ヒレル・ジレル)氏は次のように述べた。「ネットワーキングに重点を置いてバーチャルイベントを開催するGripの能力が、2020年の驚異的な成長をもたらしました。イベント主催者とそのクライアントは、対面イベントの制約にもかかわらず顧客とのつながりを維持することができました。ライブイベントが将来再開されれば、Gripは、ライブ、バーチャル、ハイブリッドのイベントをサポートするソフトウェアソリューションの提供を通じて、イベント主催者を引き続き支援できる非常に有利な立場にあります」。

Founders Factoryの共同創業者でGripの以前からの投資家であるBrent Hoberman(ブレント・ホバーマン)氏は次のように述べた。「Gripは、ファウンダーズフォーラムでイベントを開催した際に気づいたニーズから生まれました。スマートテクノロジーを利用して、ゲスト間に意味や価値のあるつながりを生み出す方法は何だろうか、と問うたわけです」。

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タグ:Grip資金調達バーチャルイベント

画像クレジット:Grip

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

混合現実ベースのバーチャルイベントプラットフォーム拡大でTouchCastが約58億円調達

過去12カ月間、パンデミックの影響によりキャンセルされなかったイベントはオンラインのバーチャル環境で開催されてきた。こうしたイベントの企画や参加を支援するスタートアップへの注目は急速に高まり、資金提供も増えている。

最近の話題としては、ニューヨーク発のビデオスタートアップ企業TouchCast(タッチキャスト)が、5500万ドル(約58億円)の資金を調達した。同社は、一般企業が技術的な負担なしにリアルなバーチャル会議やイベントを実現できるようにすることを目的としたプラットフォームを開発した。共同創業者でCEOのEdo Segal(エド・シーガル)氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により「需要が高まり過ぎた」同社のサービスとチームを増強するためにこの資金を使用していきたいと述べている。

今回の資金調達は、大手コンサルタント企業兼システムインテグレーターの投資部門で戦略的投資家のAccenture Ventures(アクセンチュア・ベンチャーズ)がリードしており、Alexander Capital Ventures(アレクサンダー・キャピタル・ベンチャーズ)、Saatchi Invest(サーチ・インベスト)、Ronald Lauder(ロナルド・ローダー)氏の他、匿名の投資家らも参加している。これまで、同スタートアップの資本金は大部分が自己資金であり、シーガル氏は現在の評価額を明らかにしていないものの、間違いなく9桁台、つまり数億ドル(数百億円)規模だと伝えている。

Accenture(アクセンチュア)はTouchCastの技術を自社のイベントで使用してきたが、自社で使用すること以外にも関心を持っていると考えられる。Accentureは複数の企業顧客のインタラクティブなサービスを構築および実装していることから、TouchCastのパイプラインにさらなる潜在顧客が増えることになる可能性もある

(実例:著者がZoomでシーガル氏にインタビューを行った際、同氏はボーイング747などが並ぶ、とある大手航空会社の広大な格納庫にいた。企業名は伏せておくが、同氏はその航空会社へのプレゼンから戻ったところだと教えてくれた。)

特にカンファレンスなどのバーチャルイベントでは、これまでZoom、Google(グーグル)のHangout、Microsoft(マイクロソフト)のTeams、Webexなどのビデオ会議プラットフォームを活用した、グループ通話を管理形式にしたようなものが多く見られてきた。

実際のステージや会場というよりも、古いテレビ番組の「The Brady Bunch(ゆかいなブレディー家)」や「Hollywood Squares(ハリウッド・スクエア)」のオープニングシーンのようなグリッド状の画面に、参加者それぞれのビデオストリームが表示されるのが一般的だ。

もちろんそれとは一線を画した企業もある。2020年開催されたApple(アップル)のオンラインイベントでは、実際のライブイベントよりも細やかな情報を提供し、自然な雰囲気でバーチャルイベントがあるべき姿を見せつけた。

しかし、誰しもがAppleのようなハリウッドレベルのプレゼンテーションを実現できるわけではない。

シーガル氏によると、TouchCastが構築したプラットフォームの本質は、企業が古いクイズ番組よりもAppleのイベントに近いクオリティのイベントを企画できるよう、コンピュータービジョン、ビデオストリーミング技術、自然言語処理を組み合わせたものだという。

「このプラットフォームは、どんな企業でもAppleのようなイベントが実現できるようにするために制作しました。ホームオフィスに座っている現実を忘れるような体験を参加者にもたらしたいと思っています」とシーガル氏は語る。

しかし「ホームオフィス」という概念は未だ健在だ。TouchCastでは、主催者やステージへの参加者は自宅からZoomやTeamsなどのベーシックなビデオ会議ソリューションを使用して参加することになる。しかしその舞台裏で、TouchCastはコンピュータービジョンを用いて人物にトリム加工を施し、バーチャル環境の「会場」に配置して、実際の会議のステージにいるかのように演出する。

会場は複数のテンプレートの中から選択することが可能だ。主催者が特定の会場を撮影してそれを使用することもできる。TouchCastは、実際のイベントに加えて、オーディエンスが質問をしたり互いにチャットをしたりできるツールも提供している他、イベントが進行するにつれて重要なポイントの書き起こしや概要を作成し、希望者に提供することもできる。

シーガル氏はTouchCastをB2B2Cを含め消費者向け製品として売り出すつもりはないというが、会議主催者がスペシャルゲストを招いてイベント内に音楽のセクションを設けたいと希望している場合に備え、それを実現できる機能も準備しているという(正直にいうと、その機能をより消費者向けのイベントのために使用するのはそう難しいことではないように思われる)。

TouchCastが、現在不安定な立場にあるイベントプランナーたちを相手にサービスを提供するスタートアップへと成長したことは意外な結果ではあるが、この事実は創業者(や投資家)にとって、想定していた機会が必ずしも正しい機会というわけではないことを示す良い例だといえるだろう。

TechCrunchの元編集者Erick Schonfeld(エリック・ションフェルド)氏が共同創設者である同社が、2013年にひっそりと設立されたのはまだ記憶に新しい。

同社の創業当時のコンセプトは、クリエイターがオンラインビデオにインタラクティブな要素やメディアウィジェットを簡単に取り入れられるようにすることで、ウェブサイトで見られるような双方向性やにぎやかなメディアのような雰囲気に近づけるというものだった。

あまりにも知的過ぎたのか、または技術面で時期尚早だったのか、同社のサービスは日の目を見ることはなく、失敗に終わったと推測した同僚もいたほどだ。

しかし、それは見当違いだった。シーガル氏(AOLで新興プラットフォーム担当副社長として働いていたシリアルアントレプレナー。AOLはTechCrunchを買収し、最終的にはVerizonの一部となった)によると、TouchCastが会議ソリューションに使用している技術は、当初のビデオ製品のために構築した技術と本質的には同じであるという。

現在市場に出ているものよりも機能の少ない初期バージョンを発表した後、同社はUnreal Engineを使用してより優れた混合現実を実現するカスタム機能を加え、約半年の期間をかけて再編成を試みた。その結果、他社が主催するTouchCastを使用した会議に参加した参加者が、今度は自社のイベントのためにTouchCastを使用したいとアプローチしてくるようになり、そうした顧客の期待に応えられるような現在のバージョンが完成した。

シーガル氏は「当社が一夜にして成功を収めるためには、8年かかりました」とジョークをいう。

TouchCastが引用したGrand View Researchのデータによると、バーチャルイベントは2027年までに4000億ドル(約42兆円)規模のビジネスになると推定されており、参加する価値のあるイベント体験を構築しようと考える多数の企業が生まれている。

最近大規模な資金調達を行ったHopin(ホピン)やBizzabo(ビザボ)だけでなく、Zoomやグーグル、マイクロソフト、Cisco(シスコ)など、テレビ会議の大手企業もより充実したサービスを提供し始めている。

Accentureが、そうした企業の中でも特に興味深いTouchCastへの支援を決めたのも不思議ではない。

たとえ「ライブイベント」が再開したとしても、バーチャルの要素と、バーチャル体験がうまく機能し、見たくなるような魅力を持つだろうということへの期待は、リモートワークと同様に、今後も定着していくだろうという事実を多くの人々が理解して受け入れ始めているからである。

Accenture VenturesのマネージングディレクターであるTom Lounibos(トム・ルーニボス)氏は同社の発表中で、「デジタルディスラプション、分散型ワークフォース、顧客体験は、企業のビジネスのあり方を変革し、未来の働き方へと移行することへのニーズの原動力となっています。組織がバーチャル体験の力をうまく使いこなしてビジネスにインパクトを与えるためには、質の高いやりとりと洞察力が必要不可欠であることが今回のパンデミックで明らかになりました。TouchCastへの投資は、クライアントの重要なビジネスニーズに対応するために役立つ最新のテクノロジーを見極めるという当社のコミットメントを明確に示しています」と述べている。

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タグ:TouchCast混合現実ビデオ会議バーチャルイベント資金調達

画像クレジット:TouchCast

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:TechCrunch Japan)

事業者がクライアントとパートナーを結びつけるB2B向けバーチャル会議プラットフォームのInEventが約2億円調達

バーチャルイベントとハイブリッドイベントをサポートするスタートアップInEvent(インイベント)がシードラウンドでStorm Venturesから200万ドル(約2億1000万円)を調達したと発表した。

オンラインイベントプラットフォームのHopin(ホピン)が2020年秋に調達した1億2500万ドル(約131億1000万円)に比べるとわずかなものだ。実際、TechCrunchの最近のEquityエピソードによると、Hopinは現スタートアップ時代において最も早い成長を遂げる企業となるかもしれない。

InEventのCEOであるPedro Góes(ペドロ・ゴーイス)氏は、確立され資金も豊富なプラットフォームの世界でも、自身のチームはB2Bイベントにフォーカスすることでチャンスを見出せると筆者に語った。

「B2Bでリーダーになることを狙っている当社にとってこの業界にはまだ参入する余地があります」とゴーイス氏は話した。「B2Cマーケットで他プラットフォームと競合するつもりはありません」。

別の言い方をすれば、InEventは大規模なコンシューマーイベントの真似にフォーカスしておらず、事業者がクライアントとパートナーを結びつけることができるバーチャルイベントを開催するのをサポートすることに注力している。これはゴーイス氏と共同創業者のMauricio Giordano(マウリシオ・ジョルダーノ)氏、Vinicius Neris(ビニシウス・ネリス)氏が以前デジタル広告代理店を経営していたときに直面した需要であり、イベントを手伝ってほしいとよく頼まれた、とゴーイス氏は話した。

「イベントに関して我々は豊富な経験を持っていたため、業界がどこで行き詰まり、どう修復すればいいのかわかっていました」。

画像クレジット:InEvent

B2Bイベントに対する2つの大きな需要はカスタマイゼーションとサポートであり、InEventはゴーイス氏がいうところの「本当に美しい」プロダクトを構築した。主催者のブランドでカスタマイズでき、24時間サポートも提供する。

プラットフォームは参加者がすべてのプログラミング、ビデオプレイヤー、登録システム、カンファレンスモバイルアプリ作成能力などをブラウズできるバーチャルロビーだ。目指すところは、主催者がZoomのようなビデオプラットフォームからSalesforce、Marketo、HubSpotといったCRMまで他のツールを使いながらもInEventからすべてを動かせるようにする「真にフレキシブル」なものだ。

InEventの創業者たちはブラジル出身だが、同社はアトランタに本社を置き、13カ国に従業員を抱える。DowDupont、Coca-Cola、Santanderなど500超の顧客のグローバルイベントに使用されたと話す。

調達した資金ではInEventはチームを増強できるとゴエス氏は筆者に語った(同氏はチームの多様性を誇りに思っている。管理職の50%が女性で、そして管理職の半分がラテンアメリカとつながりがある)。同社はまた、ビデオプレイヤーを改良したりマーケティングオートメーションを加えたりと、引き続きプロダクトを開発するつもりだ。

そしてパンデミックが収まって大型の会場での会議が再び可能になっても、InEventが提供できるものに対する需要はたっぷりとあるとゴーイス氏は推測する。

「当社はウェブサイト、モバイルアプリそれぞれで異なるクライアントを抱えています。しかしまた直接顔を合わせてつながるためのハードウェアも持っています」と同氏は述べた。結局、CESのような大規模なカンファレンスでは、他の出席者と顔を合わせるために2マイル(約3.2km)も移動するより、モバイルアプリを通じて話す方が便利かもしれない。「我々にとって、バーチャルのため、そして直接顔を合わせるために構築しているテクノロジーは同じものです」。

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(文:Anthony Ha、翻訳:Nariko Mizoguchi

Robloxがリル・ナズ・Xを迎えて初のバーチャルコンサートを開催

Roblox(ロブロックス)は米国時間10月10日朝、Columbia Records(コロンビア・レコード)の協賛により、米国のシンガーであるLil Nas X(リル・ナズ・X)のバーチャルコンサートを同社のゲームプラットフォーム上で開催すると発表した。注目すべきは、これがRobloxで初めてのバーチャルコンサートであることだ。これは、2020年4月に開催された世界保健機関のためのチャリティーコンサート「One World: Together At Home」(CNN記事)や、ピーク時で1230万人のプレイヤーが参加したゲーム「フォートナイト」内でのTravis Scott(トラビス・スコット)のコンサートなど、パンデミック中の同様のイベントを後追いする形になる。

リル・ナズ・Xのコンサートは、Robloxが特別に準備した没入感のある体験を生み出す専用のオンラインイベントスペースで催される。複数のステージが設けられ、それぞれが最新のシャドーイング、ライティング、物理ベースレンダリング(PBR)、顔認証などのテクノロジーを駆使した、リル・ナズ・Xの歌とミュージックビデオを反映したものになると同社は話している。

コンサートでは、リル・ナズ・Xが人気ヒット曲を数多く歌う他、ニューシングル「Holiday」を初披露する。

公演は3回。最初のメインイベントは、米国太平洋標準時刻11月14日土曜日午後1時から。アジアでは日本時間で11月15日日曜日午後3時から。ヨーロッパでは米国太平洋標準時刻11月15日日曜日午前9時からとなっている。

さらに、RobloxとColumbia Recordsは、リル・ナズ・XとのQ&Aも行う予定だ。これは米国太平洋標準時刻11月13日金曜日午後4時(日本時間14日午前9時)より、コンサート会場からストリーング配信される。

「Columbia Recordsと手を組んで、リル・ナズ・XのファンとRobloxのコミュニティーをまったく新しい形で結び付けられることを大変に心待ちにしています」と、Robloxの音楽部門グローバルヘッドJon Vlassopulos(ジョン・ブラソピュロス)氏は、同イベントに関する声明の中で述べている。「リル・ナズ・Xを迎えてのコンサートでは、プレイヤーやその友だちをメタバースに転送し、命を吹き込まれた没入感溢れる未来のソーシャル体験とはどのようなものかを、味わっていただきます」。

コンサートに先立ち、会場ではミニゲームやプレイヤーのためのお楽しみイベントが開催される。またアクセサリー、エモート、リル・ナズ・Xのアバターバンドルなど、ここでしか手に入らないグッズがバーチャルストアで販売される。

「我々は2020年で最大のバーチャルコンサートを開催する。世界中の人たちに見に来て欲しい」とリル・ナズ・Xは声明で訴えている。「Robloxでこれを最初にやれるアーティストとして、とってもラッキーだと思ってる。ファンを思い、みんなで一緒に準備してきたのことが、とても楽く感じられた。早くみんなに見せたくてうずうずしてる」と彼は話している。

Robloxは、この数カ月間、そのプラットフォームをゲーム以外の世界にも拡大する意欲を見せてきた。パンデミックの影響で、月間ユーザーの数もプレイヤーが落とす金額も急増し、広範囲なバーチャル活動への要求も高まっている。2020年7月、同社は月間のアクティブユーザー数が1億5000万人を超えたことを発表した。米国で自宅待機要請が出される前の2月の1億150万人から一気に増えている。

さらに同社は、7月にParty Place(パーティープレイス)のサービスを開始(未訳記事)した。会合や誕生会などを目的としたバーチャルイベント会場だ。

ソーシャル活動のためのバーチャルプラットフォームへ移行したことでも、Robloxは収益を増加させた。

サードパーティーのモバイルアプリストア調査会社Sensor Tower(センサー・タワー)の推測では、2020年9月におけるRobloxのモバイルアプリでのユーザーの出費は9400万ドル(約99億円)、本日までに20億ドル(約2100億円)に達したという。オンラインサービス調査会社Safebettingsites(セーフベッティングサイツ)の最新の報告によれば、Robloxのプレイヤーは、2020年1月から9月の間にトータルで8億2000万ドル(約860億円)を出費している。

ゲーム企業Robloxは、IPOの準備を整えているが、その日程は明らかにされていない。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Robloxバーチャルイベント

画像クレジット:Roblox

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(翻訳:金井哲夫)