早ければ今週にもGoogleのiOSアプリにApp Storeのプライバシーラベルが追加される見込み

Google(グーグル)はApple(アップル)が最近発表したApp Storeのプライバシーラベルのポリシーに従いたくないと考え、それが理由でグーグルのiOS用アプリのアップデートが遅れていると一部で報じられた(Fast Company記事)が、そうではない。App Storeの新しいポリシーはアップルがプライバシー保護を推し進める大きな取り組みの一部で、開発者に対しApp Storeのユーザーからどのようなデータを収集し、追跡のためにデータがどのように使われるかを開示するよう求めている。TechCrunchは、グーグルがこのラベルに対抗する立場ではないことを確認した。実際には、グーグルは今週か来週にはかなりの数のiOS用アプリでプライバシーラベルを公開する準備をしている。

米国時間1月5日にFast Companyは、グーグルはユーザーから収集するデータに関する透明性の情報を提出できる状態になっていないため同社のiOS用アプリのアップデートが遅れているのではないかと推測した。これを受けて、TechCrunchはグーグルのアプリの状況を調べた。Fast Companyは、2020年12月7日以降グーグルのアプリは「1つも」アップデートされていないと述べている。2020年12月7日といえば偶然にもアップルの新しいプライバシーラベルの要件がApp Storeに適用される前日だ。

さらにFast Companyは、11月後半から12月初めにかけてグーグルのiOS用アプリが多数アップデートされたのは、グーグルがアプリにプライバシーラベルが適用される前に最後のアップデートを詰め込もうとしていたことを示すと述べている。

しかし、こうした推測にはいくつか疑問点がある。

まず、グーグルは実際にはプライバシーラベル適用以降に2つのアプリをアップデートしたことを指摘したい。ただしこのアップデートにはプライバシーラベルは含まれていない(これは、アプリが適用期日以前に承認されたものの保留になっていたことを示唆している)。

生産性向上の分野においてグーグルにとって重要なスライドプレゼンテーションアプリのGoogleスライドは、2020年12月14日にアップデートされた。教育カテゴリーの無料アプリで7位になっている宿題支援アプリのSocratic by Googleは、2020年12月15日にアップデートされた(このデータはSensor Towerの協力によりファクトチェックをした。何しろグーグルのiPhone用アプリは100個近くあるのだ!)。

グーグルはアップルの新しいルールを回避しているように見えるかもしれないが、アップデートのタイミングを深読みしすぎないように気をつけなくてはならない。通常はアプリが短い間隔でアップデートされているとしても、12月にアプリのアップデートが遅れるのはどう考えても珍しいことではない。また、アップルのApp Store自体が年末は動きが止まるため、年末年始の数週間前にアプリの変更が公開されるのも不思議なことではない。年末に動きが止まるのは毎年のことで、2020年のApp Storeは12月23日から12月27日まで止まっていた。

そしてグーグルなどの大企業は12月終わりから1月初めにコードフリーズをする。スタッフが対応できない年末年始に製品やサービスに大きな問題が起きないようにするためだ。

グーグルの主たるビジネスが広告であることを考えると、アプリのプライバシーラベルはもちろんグーグルにとって懸念材料だ。実際、グーグルは事態を深刻に受け止め、経営幹部は会議でこれに関して話し合っている。

しかしアプリのプライバシーラベルにすぐには対応できていない大手アプリ提供企業は、グーグルだけではないことを指摘しておく。たとえば本稿執筆時点でAmazon(アマゾン)の一部のアプリやPinterestはプライバシーラベルに対応したアップデートを行っていない。

こうした遅れは必ずしもその企業が新しいラベルの要件に対抗していることを意味するものではない。慎重に検討しているだけだろう。開示する情報が少ない企業よりもさらに慎重だと思われる(そしてデータの収集と広告が収益の重要な要因である企業に遅れが見られることには注意が必要だ)。

グーグルにコメントを求めたところ、同社の広報担当者はアプリ全般にプライバシーラベルを追加する予定であることを認めた。正確な日付は未定だが、今週か来週にできるだけ早くラベルの公開を開始する見込みであることも認めた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleAppleApp Store

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(翻訳:Kaori Koyama)

視覚障がい者がバーチャルイベントに参加することを想像し、あなたが主催する次のイベントでその想像を実践しよう

視覚障がい者が参加するバーチャルイベントをアクセシブルにするにはどうすればいいだろうか?

2020年6月にSight Tech Globalの準備を始めたとき、その答えはすぐに見つかるだろうと私は自信を持っていた。主催者が利用できるバーチャルイベントのプラットフォームやオンラインチケットの選択肢はたくさんあり、スクリーンリーダーや何らかのデバイスでウェブを操作する利用者に対するアクセシビリティの妥当な基準を満たすものが1つぐらいはあるはずだと考えていた。

残念ながら、私の考えは間違っていた。デューデリジェンスとしてさまざまなプラットフォームのCEOたちと話をする中で「我が社はWCAG(ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)の要件を勉強中なんです」とか「時間のあるときに開発チームがフロントエンドのコードを書き直す予定です」という発言を何度も聞いた。つまり彼らは、そしてウェブ運営事業者の多くも、サービス開始時にはアクセシビリティに配慮してサイトをコーディングする手間をかけていない。アクセシビリティに配慮したコーディングは費用もかからず公正なアプローチであり、ADA(Americans with Disabilities Act、障がいを持つアメリカ人法)準拠であることはいうまでもない。

このことに気づいて大きな暗雲が立ち込めた。イベントの日付はすでに2020年12月2日〜3日と発表しており、もう引き返せない。デザイナーのDmitry Paperny(ディミトリー・ペイパニー)と私が解決策を見つける時間は限られていた。日程も重要だが、視覚障がい者のコミュニティを中心としたイベントであることを考えれば、視覚障がい者にとってイベントのバーチャル体験がうまく機能することも重要で不可欠だった。

我々はバーチャルイベント体験をオッカムの剃刀、つまり必要以上に多くを仮定せずシンプルな解決法で考えて、重要な問題の答えを探すことにした。重要な問題とは「何が不可欠か?」だ。バーチャルイベントのプラットフォームはたいてい機能が多く、アクセシビリティの問題が発生しやすい。我々にとって本当に必要なことを順位付けした結果、以下の3つにまとまった。

  • 「メインステージ」イベントのためのライブストリーミングビデオ
  • 操作しやすくインタラクティブなアジェンダ
  • ブレイクアウトセッション(分科会)に使用するインタラクティブなビデオ

ソーシャル、あるいはネットワーキングの要素を入れるかどうかも話し合い、簡単で圧倒的なソリューションが見つからない限りはオプションとすることにした。

次の問題は「どのツールを使うか?」だ。とても良いニュースは、YouTubeとZoomはアクセシビリティの点で優れているということだった。視覚障がい者はYouTubeにもZoomにも慣れていて、プレイヤーを操作するためのキーボードコマンドを知っている人が多い。我々は最初に口コミでこのことを知り、その後YouTubeとZoomにサポートのドキュメントが大量にあることを知った。そこでメインステージのプログラムをYouTubeで、ブレイクアウトをZoomで実施することにした。YouTubeとZoomならもちろんウェブサイトとの統合が極めて簡単なので、そのようにする計画を立てた。

次は「エクスペリエンス全体をどこでホストするか」という問題だ。我々はイベントの参加者を1つのURLに誘導したいと考えていた。幸い、アクセシブルなウェブサイトはイベントの告知用としてすでにある。ディミトリーはこのサイトのデザインとコーディングを通じて、全盲とロービジョンの両方のユーザーを考慮する重要性など多くのことを学んでいた。そこで我々は他社のイベントプラットフォームを使うのではなく、このサイト自体にイベントのエクスペリエンスを組み込むことにした。サイトのナビゲーションに「イベント」(現在はすでに非公開)と「アジェンダ」を追加することにしたのだ。

最初の(WordPress用語でいうところの)「ページ」にはYouTubeのライブプレイヤーが埋め込まれ、その下に現在のセッションと今後のセッションを説明するテキストがあり、アジェンダ全体へのリンクを目立つように配置した。なぜアジェンダを別のページにしたのかと思う人もいるかもしれない。それでは余計に複雑になるのではないか、と。それは良い質問だ。我々は障がい者のユーザビリティテストを専門とするパートナーのFableから多くの発見を得たが、アジェンダを別ページにしたのはその発見の1つだ。先ほどの質問の答えは、目で見るのではなくスクリーンリーダーでの操作を想像すればわかる。このように想像すれば答えが見つかることは何度もあった。もしアジェンダがYouTubeのプレイヤーの下にあったら、耳障りなことが起きてしまう。配信されているプログラムの内容を聴きながら、同時にその下にあるアジェンダを「読む」(すなわち「聴く」)ことを想像して欲しい。アジェンダのページを分ける方が適切だ。

アジェンダのページは最大の難関だった。情報量が多くフィルタも必要で、イベント期間中は「現在配信中」「これから配信」「終了」と複数のステータスがあるからだ。ディミトリーは絞り込みのためのドロップダウンやアジェンダのページを操作しやすくするための詳細を学び、我々はFableの専門家とともに何度も確認した。さらに、かなり珍しい段階を踏むことにした。参加登録をした視覚障がい者をイベント本番数日前の「練習用イベント」に招待し、フィードバックをお願いしたのだ。200人近くの人が2つのセッションを視聴した。FableのSam Proulx(サム・プルークス)氏やFacebookのMatt King(マット・キング)氏など視覚に障がいがあるスクリーンリーダーの専門家にも依頼して、質問に答えたりフィードバックをまとめたりしてもらった。

主なスクリーンリーダーが3種類あることに注意しなくてはならない。Windowsユーザーが主に使っているJAWS、Apple製品で使われるVoiceOver、オープンソースでMicrosoft Windows 7 SP1以降が動作するPCで使えるNVDAだ。この3種類の動作は同じではなく、それぞれのユーザーにはキーボードのコマンドをたくさん知っている熟練者から、たまに使う程度で基本的なスキルだけを習得している人まで、さまざまな人がいる。したがって、単なる不満と有用な提案を切り分ける専門家の存在は本当に重要だ。

テストでは自由参加形式のセッション1セッション2をZoomミーティングで実施した。これに関してはイベントの簡単な説明と動作を紹介しておいた。そしてイベントページ(YouTubeのプレイヤーが動作しているページ)とアジェンダのページへのリンクを設置し、テスト参加者にこのリンクを試してからZoomのセッションに戻ってフィードバックして欲しいと依頼した。ほかの部分でもそうだったが、ここでも結果は散々だった。基本的なところはできていたが、「聴く」だけの人と「見る」人がアジェンダの項目に関する情報を知るにはどうするのが最も良いかなど、微妙なところを見落としていた。幸いなことに、本番前にアジェンダのページを微調整する時間はあった。

練習用のセッションを実施したことにより、スクリーンリーダーの使用にあまり慣れていない参加者を支援するためにイベント期間中にライブのカスタマーサポートを提供しようという方針を決めることもできた。我々はBe My Eyesと連携することにした。Be My Eyesは視覚障がい者と晴眼者の支援者をつなぐモバイルアプリで、視覚障がい者は自分のスマートフォンのカメラで知りたいことを映し、それを晴眼者が見て情報を伝える。友人に肩越しに見てもらうような感じだ。我々は10人のボランティアを確保し、イベントに関する質問に答えられるようにトレーニングを実施した。Be My EyesはSight Tech Globalを「イベント」セクションに表示し、これに関するコールをボランティアに優先的に回した。Sight Tech Globalのホストを務めた素晴らしい人物であるWill Butler(ウィル・バトラー)氏はたまたまBe My Eyesのバイスプレジデントで、バーチャルエクスペリエンスに関して手助けが必要ならBe My Eyesを利用するようにと定期的に参加者に呼びかけてくれた。

イベントの1カ月前になり、我々はソーシャルでやりとりする機能を追加しても問題ないと確信した。Slidoの基本的なQ&A機能がスクリーンリーダーとの相性が良いという噂があり、実際にFableは自社のプロジェクトでSlidoのサービスを使っていた。そこで我々はSlidoをプログラムに追加した。YouTubeのプレイヤーの下にSlidoのウィジェットを埋め込めば晴眼者の参加者にとっては都合が良いがそのようにはせず、アジェンダの各セッションにスタンドアローンのSlidoページへのリンクを追加した。参加者はアジェンダやライブストリーミングと混乱することなくSlidoのページでコメントや質問を書き込むことができる。このソリューションはうまくいき、イベント期間中に750件以上のコメントや質問がSlidoに書き込まれた。

準備万端でついに12月2日を迎えた。しかし十分に計画しても往々にして計画倒れになるものだ。開始数分後にライブのクローズドキャプションが壊れてしまった。聴覚障がいの参加者のために、クローズドキャプションを再開できるまでイベントを中断することにした。苦労の末に、キャプションは復活した(キャプションの詳細は後述する)。

キャプションのトラブルを除けば、イベントはプログラムの観点からもアクセシビリティの点でもうまくいった。成果はどうだったかをお伝えしよう。2400人以上の参加登録者のうち45%はスクリーンリーダーを使う予定だと回答していた。イベント直後にスクリーンリーダー利用予定者を対象にアンケートを実施したところ95人から回答があり、エクスペリエンスは5点満点で4.6点だった。プログラムに関しては全参加者対象のアンケートで157件の回答があり、5点満点で4.7点だった。もちろん、我々はこの結果にたいへん喜んでいる。

問題点の1つは参加登録だった。当初、あるイベント申込プラットフォームがアクセシビリティの点で「優れている」と聞いていた。我々はそれを額面通りに受け取ったが、それが間違いだった。我々はテストをすべきだったのだ。登録しようとした人たちからのコメントや視覚障がい者からの申し込みが少なかったことから、その申し込みサイトは他のサイトよりは良かったかもしれないがやはり期待外れだったことが数週間後に判明した。たとえばある登壇者からの指摘で、画像にaltタグが付いていない(追加する方法もない)、そしてスクリーンリーダー利用者は「登録」などのリンクにたどり着くために山ほどの情報をタブで飛ばさなくてはならないとわかり、つらかった。

ウェブサイトのアプローチと同じようにシンプルにするのが最も良いと判断し、参加登録方法としてGoogleフォームを追加した。Googleフォームはアクセシビリティに優れている。参加登録者数、特に視覚障がい者の登録がすぐに激増した。最初に選んだ申し込み方法は我々がまさに参加して欲しいと思っていた人たちを除外していたのだと認識し、悔しい思いをした。

イベント参加費用が無料だったから、Googleフォームを使うことができた。参加費用を徴収するつもりだったら、Googleフォームを選ぶことはできなかった。なぜ我々は全参加者を無料にしたのか。それにはいくつかの理由がある。まずこのイベントをグローバルなものにし、視覚障がいに関心を持つすべての人が簡単に参加できるようにすることが我々の望みだったので、広く受け入れられる価格帯を設定することが難しかった。次に、支払いをしたりイベントにアクセスしたりするための「ログイン」機能を追加するとアクセシビリティの点で難しいことになりそうだった。我々は、アジェンダやイベントページへのリンクを知っていれば誰でもログインや登録を求められることなく参加できるようにするアプローチをとった。この方法だとイベント参加者の把握に抜けが生じることはわかっていた。実際、参加者数は登録者数より30%多かったため、かなりの抜けがあった。しかしイベントの性質を考えると、アクセシビリティ上の利点があるなら参加者の名前やメールアドレスを把握できないことは許容できた。

この経験から大切な教訓を得たとしたら、それはシンプルなことだ。イベント主催者はエクスペリエンスがアクセシブルかどうかを真剣に追求しなくてはならない。YouTubeやZoomのようにコミュニティ内ですば抜けた評判を得ているのでない限り、プラットフォームやテクノロジーベンダーを信用するだけでは不十分だ。サイトやプラットフォームが適切にコーディングされているかどうか(WCAGの基準に沿っているか、GoogleのLightHouseのようなツールを使っているか)を確認することが重要だ。そして実際のテストで視覚に障がいのあるユーザーを現実に観察し、エクスペリエンスが適切であるかどうかを確かめることも重要だ。最終的には、これが最も重要である。

最後に触れておこう。このイベントでは視覚障がい者にとってのアクセシビリティの問題を取り上げたが、我々はキャプションによって恩恵を受けられる人たちのためにキャプションを付けると当初から約束していた。最高品質のキャプションを付けられるのは(AIではなく)人間と判断し、VITACの協力でライブのZoomとYouTubeのセッションにキャプションを付けた。また永続的に残る記録の一部となるオンデマンド版と文字起こしには3Play Mediaの協力を得た。点字リーダーの利用者が簡単にダウンロードできるようにマークアップのない「プレーンテキスト」版の文字起こしが欲しいという要望もあり、これも提供した。こうしたリソースはこのページのようにまとめられている。ページ上にこのセッションに関するすべての情報があり、アジェンダの関連セクションからこのページにリンクが張られている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アマゾンがインドでコンピュータサイエンス教育プログラムの開始を計画

Amazon(アマゾン)はコンピュータサイエンスプログラムのFuture Engineerを世界第2位のインターネット市場であるインドに拡大する計画で、インドの教育分野に対する同社の関心の高まりがうかがえる。

アマゾンの人材募集記事によると、教育が行き届いていない子供や若者にコンピュータサイエンスを教えることを目的としたAmazon Future Engineerに関するインドでの初期調査が「現在進行中」で、採用されると地元の非営利団体や政府と連携して業務にあたることになるという。

アマゾンは人材募集ぺージの中で、このプログラムをインドで2021年に開始する予定だと述べている。同社が米国時間12月28日に発表したプレスリリースによると、Amazon Future Engineerは現在米国で提供されており、5000校、55万人以上がこのコンピュータサイエンスコースで学んでいるという。

アマゾンは人材募集に記載した業務内容の中で「Amazon Indiaは教育が行き届かず恵まれないコミュニティの子供や若者がより良い未来を築けるようサポートすることに特に注目しています」と述べている。同社にコメントを求めたがまだ回答は得られていない。

これまでにインドで65億ドル(約6700億円)以上を投資しているアマゾンはここ数年、同国の教育分野を探ってきた。2019年にはインドの一流テクノロジー研究機関に応募したい学生を支援するアプリ「JEE Ready」を公開した。JEE Readyはその後Amazon Academyとリブランドされ、無料のオンラインクラスを提供し模擬テストで学生の成績を分析している。

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インドでは2億6000万人以上の子供が学校に通い、国民の多くは経済発展と生活の向上のために教育が重要であると考えている。このようなインドで成長を続ける教育市場に注目している米国企業はアマゾンだけではない。

2020年7月にはFacebook(フェイスブック)が、インドの私立および公立学校の教育を監督する政府機関である中等教育中央委員会(CBSE、Central Board of Secondary Education)と提携して、デジタルの安全性とオンライン上の健全な活動、拡張現実(AR)を生徒や教員に教える認定カリキュラムを開始した。

フェイスブックは2020年、バンガロールを拠点にオンライン学習クラスを提供するスタートアップのUnacademyにも投資した(未訳記事)。Google(グーグル)は2020年にEdTechスタートアップのCuemathに投資した(Entrackr記事)ほか、インドにおける教育体験をデジタル化するためにCBSEと連携して同国の100万人以上の教員をトレーニングし、G Suite for Education、Google Classroom、YouTubeなどのさまざまなツールを無償で提供している。

Microsoft(マイクロソフト)もインド政府のほかNational Skill Development Corporation(Microsoftリリース)やNasscom(Microsoftリリース)といった団体と協力して、100万人以上の人々のスキル向上を支援している。

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カテゴリー:EdTech
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(翻訳:Kaori Koyama)

データ統合APIを開発するStepZenが約8.3億円のシード資金を調達

StepZenは、2016年にGoogleに6億2500万ドル(約646億9000万円)で買収(未訳記事)されたApigeeのメンバーが立ち上げた新しいスタートアップで、Apigeeとは違うビジョンを持っていた。StepZenは別々のソースからデータを取り出す単一のAPIを開発し、開発者が複雑なカスタマーエクスペリエンスをオンラインで提供できるようにしている。

米国時間12月22日、StepZenはステルスから出現し、Neotribe VenturesWing Venture Capitalから800万ドル(約8億3000万円)のシード資金を調達したと発表した。

CEOで共同創業者のAnant Jhingran(アナント・ジングラン)氏は、創業者たちはAPIに取り組んできた長年の経験からさらに前進したいと考えていたという。「StepZenは、フロントエンドの開発者がバックエンドにある必要なデータをすべて扱える1つのAPIを簡単に作り利用できるようにするプロダクトです」と同氏は説明する。

これはスムーズで一貫性のあるカスタマーエクスペリエンスを提供するためのサービスだ。eコマースのサイトで注文履歴を見るにしても、バンキングアプリで現在の残高を調べるにしても、さまざまなバックエンドのデータリソースからデータを取り出す必要がある。こうしたリソースに接続するのは手間のかかるタスクであり、StepZenは開発者がシンプルに接続できるようにすることを目指している。

「開発者は、バックエンドにアクセスするコードをデプロイし管理するのに膨大な時間を費やしています。StepZenはその時間を取り戻したいのです」とジングラン氏はいう。

手でコードを書いてデータを引き出すのではなく、StepZenを使えば開発者は構成と認証の情報を設定するだけでバックエンドのデータソースに接続できる。その後、必要な時にデータを取り出して表示するという大変な作業をすべて扱う1つのAPIが作成される。

ジングラン氏は顧客に未処理の注文のリストを提示する例を挙げて説明する。単純なことのように思えるが、データがCRMシステム、注文システム、配送業者にあるとすると、少なくとも3つのまったく異なるシステムにアクセスすることになる。StepZenのAPIはこうしたデータをまとめて引き出し、スムーズにユーザーに提示する。

StepZenには現在、創業者の3人を含め11人の従業員がいる。2021年中には8人程度を新たに雇用する予定だ。CBOで共同創業者のHelen Whelan(ヘレン・ウェラン)氏は、新たな雇用を通じて多様でインクルーシブな企業にしたいと述べる。創業チーム自体が多様だが、さまざまなバックグラウンドや考え方を持つ従業員を雇用して完璧なプロダクトと企業を作りたいと考えている。

ウェラン氏は次のように語る。「最初の10人ほどの従業員は、一緒に働いた人のネットワークを活用して、素晴らしい仕事ができる人を雇用しました。その後は意図を持って拡大し、意図を持って候補者を見つけるルートを探り幅を広げる時間を取る必要があると考えています」。

StepZenは創業してまだ9カ月で、2020年の大半はソリューションを構築してプレアルファユーザーに使ってもらうことに費やしてきた。現在のプロダクトはアルファ版で、2021年前半にソフトウェアサービスとしてリリースする計画だ。

ステルスから出現した同社は、プロダクトの開発を継続し、できるだけ複雑さを取り除こうとしている。ウェラン氏は「我々はバックエンドで難しいことをする方法は知っています。データベースの技術とAPIの技術をメインにすることは止め、開発者が外部で簡単に使えるようにシンプルにしようとしています」と述べた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:StepZen資金調達

画像クレジット:Andrey Suslov / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

機械学習で被写体を自動で切り抜く写真背景除去アプリPhotoRoomにAndroid版登場

米国時間12月17日、フランスのスタートアップのPhotoRoomがAndroid版アプリをリリースした。同社は写真から背景を除去したり別の背景に置き換えたり写真を編集したりする便利な写真アプリを開発している。

iOS版のアプリはすでにリリースされている。Y Combinatorに参加した同社は、年間経常収益が200万ドル(約2億600万円)へと倍増し、シードラウンドでは120万ドル(約1億2500万円)を調達した。

PhotoRoomはインフルエンサー、そして衣料品やファンションアイテムを販売している人々に愛用されている。メインの創作プラットフォームとしてスマートフォンを使っている人々だ。他のプロ向け写真アプリと同様に、PhotoRoomもサブスクリプションで収益を上げている(月額9.49ドル[約980円]、または年額46.99ドル[約4800円])。

PhotoRoomは機械学習で被写体を特定し、被写体とそれ以外の部分を分ける。こうして写真の特定の部分を操作することができる。

画像クレジット:PhotoRoom

PhotoRoomはY Combinator参加後にシードラウンドで資金を調達した。その際にNicolas Wittenborn(ニコラス・ウィッテンボーン)氏のAdjacent fundとLiquid2 Ventures、そして以下の2グループの投資家から支援を受けた。

  • 機械学習に特化したビジネスエンジェル。Facebook(フェイスブック)チーフAIサイエンティストのYann LeCun(ヤン・ルカン)氏、Twitter(ツイッター)の機械学習研究グループCortexの責任者でMagic Poney共同創業者のZehan Wang(ゼハン・ワン)氏、Perceptio創業者のNicolas Pinto(ニコラス・ピント)氏など。
  • モバイルサブスクリプションに特化したビジネスエンジェル。BlinkistのHolger Seim(ホルガー・セイム)氏、RevenueCatのJacob Eiting(ジェイコブ・エイティング)氏、CalmとSpotifyのアドバイザーであるJohn Bonten(ジョン・ボンテン)氏、TangoのEric Setton(エリック・セットン)氏。

このラウンドの資金を得て、PhotoRoomは社員を3人から8人に増やし、ディープラーニングのアルゴリズムに取り組む。PhotoRoomアプリに興味をお持ちの方は、筆者が以前に公開した記事をお読みいただきたい

関連記事:魔法のように被写体を自動で切り抜いて背景を変えられるPhotoRoom

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:PhotoRoom写真写真編集

画像クレジット:Johan Mouchet / Unsplash

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(翻訳:Kaori Koyama)

風景とポートレートの編集に強いAIフォトエディターLuminar AIをSkylumが発売

Skylumはここ数年、Aurora HDRやLuminarなどの写真編集アプリで名を知られるようになった。その同社がまったく新しい写真エディタのLuminar AIを発売した。価格は79ドルから(日本では株式会社ソフトウェア・トゥーが税込1万1980円で販売)。MacとWindowsでスタンドアローンのプロダクトとして動作するほか、LightroomやmacOSの写真アプリのプラグインとしても使える。この新しいアプリはゼロから開発され、Lightroomなどでおそらくおなじみの従来からある写真編集機能を多く備えている。しかしこのアプリのポイントは新しいAIベースのツールで、特に風景(と空全般)やポートレートの編集に力を入れているところだ。

このアプリには全部で13種類のAI機能が搭載されている。AI機能によりスライダーをいくつかドラッグするだけで、構図の改善、画像中の空の変更(それに応じてシーンのライトも調整される)、霧・もや・霞の追加、ポートレートの被写体の顔やボディの調整をすることができる。

このようにして、初心者にとっては極めて簡単により良い写真にすることができ、プロにとっては望む結果を短時間で得るツールとなる。

SkylumのCEOであるAlex Tsepko(アレックス・ツェプコ)氏は「AIに対する我々のアプローチは、この分野における最高の頭脳のアプローチと方向性は一致しています。ただし違うのは、この驚くほどパワフルなテクノロジーを我々はヒューマンセントリックに応用していることです。私の経験では、実際にクリエイティブなことに費やしている時間はわずか30%です。Luminar AIは人工知能を使ってこの数字を逆転させます。我々の作ったLuminar AIによって、ユーザーは編集のプロセスにわずらわされることなく成果と写真に集中できます」と説明する。

画像クレジット:Skylum / Jeong Kyu Kim

画像クレジット:Skylum / Iurie Belegurschi

初心者はまずLuminar AIのテンプレートから始めよう。Instagramのフィルターをはるかに超える進化版という感じだ。アプリが自動で画像を分類し(風景かポートレートか、など)、それに合うテンプレートを提案する。仕上がりはクールで出発点としては良いが、この種のツールに投資するならもっと細かくコントロールしたくなるだろう。

Luminar AIの看板機能が、わずか数回のクリックで画像の空を変えるスカイAIだ。空を変えるには、夕暮れなどあらかじめ用意されている空の種類からいずれかを選ぶか、自分でライブラリを作る。どちらの場合も、適用するとアプリが空に応じてシーン全体のライトを調整する。これは驚くほど見事に機能する。もう少しギミックっぽい拡張スカイAIもあり、鳥や飛行機、バルーンを空に追加できる。筆者は使いそうもないが、近いうちにあなたの好きなインフルエンサーの写真にバルーンがたくさん浮かぶだろう。空を少しだけ調整するスカイエンハンサーAIを選ぶこともできる。

画像クレジット:Skylum

よく使われる編集機能としては明るさ、コントラスト、カラーを調整できるアクセントAIツールがかなり便利だ。ストラクチャAIは画像を明瞭にする。

Skylumはこうした調整は不自然にはならないとしているが、一概にはいえないだろう。実際、これは個人の好みによるが、筆者はスライダーをわずか10か20ポイント動かすだけでベストの結果になることが多いと感じた。調整しすぎると過剰に加工された画像になってしまう恐れがある。

ポートレート向けの機能にはボディAI、アイリスAI、フェイスAI、スキンAIがある。これらの機能を使うと、Photoshopなら時間がかかることが多いレタッチ作業を極めて簡単に実行し、被写体の目を際立たせたり歯を白くしたり肌のシミを消したりすることができる。

画像クレジット:Skylum

風景の雲を変えたり写真にボケを追加したりするツールはよほど極端な写真純粋主義者でない限りは問題視するようなものではないが、ボディや顔をわずか数回のクリックで簡単にスリムにできるツールはちょっと話が別だ。

ここでポートレートのレタッチに関する倫理やソーシャルネットワークで容姿を批判することの有害性を議論するわけではないが、特にLuminar AIはボディや顔を簡単にレタッチできる効果的なツールであることを考えれば気をつけておいた方がいいことではある。筆者の場合は、Luminar AIのこうしたツールを使うと不安な気持ちになりがちだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Skylum写真画像編集

画像クレジット:Skylum

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(翻訳:Kaori Koyama)

継続するEdTechブームの中、未就学児向け教育アプリのIntellectoKidsが約3億円調達

パンデミック後のオンライン学習への移行に対する投資の勢いは続いている。3〜7歳向けの教育アプリを開発しているIntellectoKidsはシリーズAで300万ドル(約3億1200万円)を調達した。米国に拠点を置くAllrise Capitalのほか、Genesis Investmentsなどの投資家がこのラウンドを主導した。

IntellectoKidsのプラットフォームは未就学児の保護者に対し、モバイルデバイスで利用できるゲーミフィケーションの教育コンテンツと体系化されたレッスンを提供している。

IntellectoKidsは幼稚園生と小学1年生向けのコースに算数、フォニックス(発音と綴り)、サイエンス、アート、論理の5つの重要な学習トラックを備えたクラスルーム機能を提供開始する。

現在はB2Cのモデルだが、同社の創業者たちはこれに加えて2021年には小学校と幼稚園に対し、オフラインでの学習プロセスをオンラインで補完するものとしてIntellectoKidsのプラットフォームを提供したいと考えている。

2017年にIntellectoKidsを創業したのはMike Kotlov(ミケ・コトロフ)氏とAndrey Kondratyuk(アンドレイ・コンドラチュク)氏で、ともに幼い子供が3人いる。

コトロフ氏は「教育の場では、未就学児に対する教育がとても活気のある市場になりつつあります。パンデミックによって、未就学児は教育コンテンツをオンラインで自発的に消化して効果を上げることが示されました。このようなタイプのプロダクトに対する保護者や企業からのニーズが増えていることは明らかです。オンライン教育はすでにオフラインと結びついて教育のプロセス全般に寄与しているので、パンデミック収束後もオンライン教育は確実に活用されます」と述べた。

IntellectoKidsによれば、北米と中央ヨーロッパ、北ヨーロッパで200万インストールを超えているという。

カテゴリー:EdTech
タグ:IntellectoKids資金調達

画像クレジット:IntellectoKids

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(翻訳:Kaori Koyama)

Xboxクラウドゲーミングが2021年春にiOSとコンピュータにも対応

Microsoft(マイクロソフト)がクラウドゲーミングサービスのロードマップの一部を明らかにした(Xboxリリース)。同社はAndroidデバイス以外のプラットフォームにも対応する計画であることを認めた。2021年春には、iOSデバイスとコンピュータ上でクラウドゲーミングのサービスを開始する予定だ。

Project xCloudと呼ばれているマイクロソフトのクラウドゲーミングは、XboxのゲームをXbox以外のデバイスでプレイできるようにするサービスだ。ゲームはプレイヤーの近くにあるデータセンターのサーバーで動作する。ビデオはプレイヤーのデバイスにストリーミングされ、操作はリアルタイムでサーバーに中継される。

Xboxのクラウドゲーミングは単独のサブスクリプションではない。Xbox Game Pass Ultimateに1カ月14.99ドル(日本では1100円)で参加しているプレイヤーは、このサブスクリプションの一部としてクラウドゲーミングを利用できる。Xbox Game Pass Ultimateは、対象タイトルに加えEA PlayとXbox Live Goldを楽しめるプランだ。

新しいデバイスに対応するということで、もうじきコンピュータからXboxクラウドゲーミングのゲームを起動できるようになる。Xboxアプリとウェブブラウザでサービスを利用できる予定だ。

Xbox Game Pass Ultimateの参加者はコンピュータにゲームをダウンロードできるが、クラウドゲーミングはコンピュータのGPUがそれほどパワフルでないユーザーにとって特に有効だ。マイクロソフトがサービスの利用をWindowsコンピュータで動作するウェブブラウザだけに制限するのかどうか興味深い。多くのユーザーがMacからもサービスを利用したいと考えるだろう。

iOSに関してはApp Storeの規則による制限があるため、マイクロソフトはウェブブラウザに限定してクラウドゲーミングを開始する予定だ。NVIDIAはiOSのウェブブラウザを利用するGeForce Nowのベータ版を公開した。筆者はiPhoneとiPadからNVIDIAのサービスを利用してみたが、ウェブブラウザを利用する方法はうまくいっている。

Androidのスマートフォンかタブレットを持っていれば、XboxのクラウドゲーミングはXbox Game Passアプリからすでに利用できる。使い勝手はインターネット接続とWi-Fiネットワークの品質に大きく左右される。

レイテンシーを最低限に留めるには、データセンターが近くにあることも必要だ。Xboxのクラウドゲーミングを利用できる国が、米国、カナダ、韓国、ヨーロッパの一部に限られているのはこのためだ。

マイクロソフトはデータセンターを増やして市場を拡大すると述べている。Xboxクラウドゲーミングはオーストラリア、ブラジル、日本、メキシコでこれから利用できるようになる。

【訳注】日本でもProject xCloudプレビュー版の参加登録を受け付けている

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カテゴリー:ゲーム / eSports
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(翻訳:Kaori Koyama)