ザッカーバーグが作ったホームAIのJarvisは、あなたの音楽の好みを学習する

d400df3c0e3f42d0962faed72be98515

2016年、マーク・ザッカーバーグは野心的な個人的プロジェクトを設定していた。照明の制御、訪問者の監視、家電の操作など、自宅での作業を自動化するための人工アシスタントを構築することだ。ザッカーバーグはFacebook上で、ある意味「想像していたものよりも簡単」だったと述べている – この記事を読んでいる人のそれなりの割合が、そんなことはAmazon Echoのような既存のデバイスでできるのだから驚くほどのことでもないと考えることだろう。

公平を期すために言うならば、ほとんどの(全員?)Echoオーナーは、自分自身のためのAlexaサービスを最初から構築したりはしないが、まさにそれこそがザッカーバーグのやったことだ。彼自身のパーソナルJarvisをPython、PHP、そしてObjective Cを使ってコーディングし、言語処理や音声認識、そして顔認識などを組み込んだ機械学習技術とりこんでいる(Jarvisはコミック「アイアンマン」に登場する人工知能キャラクター)。

FacebookのCEOはまた、Sonos、Spotify、Samsung TV、Crestronのスマートホーム照明システム、Nestのビデオカメラなどの、買ってきた状態では必ずしも相互に通信をすることが想定されていない沢山のコネクトデバイスを取り扱う必要があった。これらのデバイスをすべて接続したあと、ザッカーバーグはあたかも他の人に頼むように話す言葉で機器を制御できるようにするために、自然言語要求を翻訳する手段を構築する必要があった。さらに、これらの要求は文脈で理解されなければならなかった。たとえばザッカーバーグの妻でChan Zuckerberg Initiativeの共同議長であるプリシラ・チャンが「私のオフィスで」何かをするよう頼んだ場合、それは彼女の夫がまったく同じ要求をした場合とは違うアクションを引き起こさなければならない。

ザッカーバーグがJarvisにやってもらうことのできるより面白いことの1つは、まだ市場には存在していない機能だが、実際に音楽の彼の好みを認識し、わずかな入力で再生する適切なトラックを自動的に選択することだ。Jarvisは以前に演奏された音楽をチェックして選択を行う。またザッカーバーグがより具体的な指示をしたい場合は「何か明るい曲を再生」といったような一般的な用語を使用して雰囲気を変えるよう求めることもできる。このシステムはまた、チャンの好みを別途追跡し、彼女のためにも同じことをすることができる。

ザッカーバーグがJarvisとテキストでやりとりするFacebookメッセンジャーボットを構築したことも注目に値する。そして全体的には声を使うよりもテキストを使ったコミュニケーションの方が望ましいと述べている、これは主に家の中にいる他の人の邪魔にならないようにするためだ。

ザッカーバーグはプロジェクトのまとめとして「AIは私たちが想像しているよりもさらに近く、同時にさらに遠いものです」と書いている。こう書いた理由は主に、特定のドメイン機能では大きな進歩を遂げているものの、あるドメインでの学習結果を他のドメインの問題に適用しようとする際にはあまり上手くいかないからである。言い換えれば本当に有能な汎用AIはまだまだ遠い道のりだということだ。

それでもザッカーバーグは、彼が2016年にJarvisの構築に100時間前後を費やして、かなり有用なシステムを生み出したことに触れ、さらに彼の特定のセットアップに縛られないより多くのホームオートメーション機能を実現することができたときには、最終的にはシステムを公開するかもしれないと述べている。彼はまた、これが新しい将来のFacebook製品の基礎を証明する可能性があるとも述べている。とはいえこれはちょっと生意気な態度だろう、なにしろFacebookの技術者たちが少なくともある種のAlexa型の競合相手をいろいろ研究しているのはほぼ確実なのだから。もし彼らがそうしていないとしたら、それは相当に近視眼的だ。

そして、 悲しいことにロバート・ダウニー・Jrへの言及もなかった

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

ニューヨーク州の新しい都市計画はディストピアへの第1歩か?

14316512841_9e69101089_z

今週の初め、ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモは、21世紀半ばの完成を目指した橋(とトンネル)に関する記者会見を開催した。知事の野心的で論争の種ともなるその計画は、高速道路の渋滞を削減し、排気ガスの低減をするためにデザインされた、一連の構想である。

この構想はまた、洪水を阻止するトンネル内バリアのデザインと、地震に備えた橋の強化も含んでいる。エネルギー消費を抑えながら、素晴らしい照明のショーを提供するために、橋のLED照明化もリスト上に載せられている。ここではJay Zの音楽に乗せてイメージが示されているが、この壮大な照明はあなたのインスピレーションを促すことだろう:

当然のことながら、構想には数多くの対テロ規制が含まれている。橋やトンネルの「構造上重要な地点」の周りには、カメラとセンサーが配置される。このNew York Crossings Projectという名前のプロジェクトには、車のナンバープレートや人間の顔を認識できる先進的な画像認識テクノロジーが取り込まれるのだ。

そうした地点に展開されたあと、このテクノロジーは空港やその他の交通ハブにも適用されることになるだろう。

人権擁護団体からの反応は予想通り迅速だった。発表の翌日New York Civil Liberties Union(NYCLU)は、計画をマイノリティ・リポートと比較しつつ、知事のクオモをディストピアだと非難している。 以下はNYCLUのスタッフである弁護士のMariko Hiroseが、フィリップ・K・ディックの作品に言及しながら述べたものだ:

知事クオモの計画は、誰が何を知っているかを政府が調査するために使える、巨大なデータベースに、何百万人もの人びとのイメージとデータを格納してしまう可能性がある。罪のない人々、特に技術の不正確さによって誤認識されやすい有色人種が、テロリストとして誤って特定されてしまうという、巨大な危険性もある。私たちは、そのことが意味する深刻なプライバシー上の懸念について何の議論も経ぬまま、マイノリティ・リポートのディストピア世界に1歩近付いたのだ。

出典 The Verge

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)