世界的チップ不足の中、インテルは2.3兆円でオハイオ州に2つの半導体工場を建設

Intel(インテル)は米国時間1月21日、オハイオ州コロンバス郊外に2つのチップ製造施設を建設する計画を明らかにした。この計画はまだ初期段階だが、現在も続く世界的なチップ不足に対処するため、あるいは少なくとも将来起こりうる問題に対処するために、最終的に200億ドル(約2兆2750億円)を投じて工場を建設する。

同社は、最初の工場について、すぐさま計画に着手し、年内に建設を開始するという大まかなスケジュールを描いている。工場は2025年に稼働し、40年ぶりの新製造拠点となる予定だ。計画通りに進めば、このプロジェクトの敷地は1000エーカー(約4平方キロメートル)となる見込みで、最大で8つのチップ工場を建設できるほどの広さだ。

CEOのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏はニュースリリースで「本日の投資は、米国が半導体製造のリーダーシップを回復するための取り組みをIntelが主導する、もう1つの重要な方法となります。Intelの取り組みは、より強靭なサプライチェーンの構築に役立ち、今後何年にもわたって高度な半導体への確実なアクセスを保証するものです。Intelは、世界の半導体産業を強化するために、最先端の機能と能力を米国に戻そうとしているのです」と述べた。

同社の発表によると、建設段階では7000人の雇用を創出し、稼働後は3000人を常時雇用する。バイデン政権下のホワイトハウスは、1月20日に発表した声明の中で、今回のニュースを「アメリカ経済の強さを示すもう1つのサイン」として宣伝している

オハイオ州リッキング郡に建設される2つの最先端Intelプロセッサー工場の初期計画を示す予想図。2022年1月21日に発表されたこの200億ドルのプロジェクトは、広さ約1000エーカーで、単一の民間投資としてはオハイオ州史上最大となる。2022年後半に着工し、2025年末に製造を開始する予定(画像クレジット:Intel)

ホワイトハウスはまた、機会に乗じて、新型コロナウイルス感染症によって世界的にサプライチェーンが逼迫する中で、国内の研究開発と製造の加速を目指す政策をアピールした。サプライチェーン逼迫は一部の人には政権の敗北として映っている。

「この進展を加速させるため、大統領は議会に対し、半導体を含む重要なサプライチェーンのための米国のR&Dおよび製造を強化する法案を可決するよう促しています」と政権は書いている。「上院は6月に米国イノベーション・競争法(USICA)を可決し、政権は上下両院と協力してこの法案を完成させているところです。この法案にはCHIPS for America Actへの全資金拠出が含まれており、民間部門の投資をさらに促進し、米国の技術面でのリーダーシップを継続させるために520億ドル(約5兆9110億円)を拠出します」。

両党はまた、米国でチップを製造することのセキュリティ上の利点を宣伝した。これは間違いなく、前政権の主要ターゲットとなったHuawei(ファーウェイ)などのメーカーに対する監視の強化にちなんだものだ。Intelは「オハイオ州の拠点はまた、米政府特有のセキュリティとインフラのニーズに対応する最先端のプロセス技術も提供します」と述べている。

今回のニュースは、IntelがSamsung(サムスン)などの企業との競争激化に対処する一方で、Apple(アップル)などの企業がファーストパーティーの設計を優先してIntel製チップの採用を取りやめることを選択した中でのものでもある。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォックスコンがLordstownのオハイオ工場を約262億円で買収

電動小型トラックメーカーのLordstown Motors(ローズタウン・モーターズ)は、オハイオ州ローズタウンにある広さ620万平方フィート(約57万平方メートル)の工場を、Apple(アップル)のiPhoneの製造で知られる台湾のハードウェアメーカーFoxconn(フォックスコン)に正式に売却した。Lordstownの発表によると、この2億3000万ドル(約262億円)の取引は、2022年4月末までに完了する予定だ。

取引の条件は、両社が9月30日に締結した基本合意に沿ったもので、締結後にFoxconnは早速5000万ドル(約57億円)分の普通株を1株あたり6.8983ドル(約787円)でLordstownから直接購入した。Foxconnは11月18日までに1億ドル(約114億円)の頭金を、その後2022年2月と4月に5000万ドル(約57億円)を支払い、4月30日の手続き完了を目指している。

Lordstownの発表文によると、Foxconnは苦境にあるLordstownのピックアップトラック「Endurance」の製造を支援することにも合意した。両社はまた、北米および海外市場向けの商用車プログラムを共同で設計・開発する合弁会社も設立する。最後に、この取引が完了すると、Foxconnは今後3年間、1株あたり10.50ドル(約1200円)でLordstownの普通株式を購入できる170万のワラントを得る。Lordstownは、電気モーターの生産ライン、バッテリーモジュールとバッテリーパックの組み立てラインを維持する。

Foxconnは2021年初め、電気自動車スタートアップのFisker(フィスカー)と、FiskerのPEARプログラムに基づく新型車を北米で共同開発・製造する契約を締結した。その後、Lordstownが2019年にGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)から購入したオハイオ州の工場でも、Fiskerの車両を生産することをFoxconnは示唆していた。今回の工場購入により、Foxconnは初の自動車工場を手に入れ、スマホやノートPCの製造以外の分野へ躍進することになる。

調査会社がEVトラックの予約台数を偽装していると告発したことで、米証券取引委員会と米司法省の両方から調査を受けているLordstownは、財政難に加えて、11月10日朝に辞任した社長のRich Schmidt(リッチ・シュミット)氏をはじめとする多くの幹部の逸失に直面している。Foxconnとの取引により、Lordstownは原材料や部品のコストを削減することができそうだ。Foxconnは、生産コストの削減や不安定なサプライチェーンに対応するために必要な強力なサプライチェーンネットワーク、ロジスティック能力、購買力を持っている。また、同社は電気自動車にとって非常に重要な、ソフトウェアとハードウェアの統合のエキスパートでもある。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

市の現実的な問題を解決するオハイオ州コロンバスを「スマートシティ」に変えたテクノロジーたち

2015年、米国運輸省はSmart City Challenge(スマートシティ・チャレンジ)を主催した。米国全土の中規模都市から、データとテクノロジーを活用したスマートモビリティシステムに関する先進的な構想を募集するコンテストだ。全米から78の都市が応募し、オハイオ州コロンバス市が優勝した。

2016年、人口100万人弱のコロンバス市は、その構想を実現するための資金となる連邦助成金5000万ドル(約55億8000万円)を優勝賞金として受け取った。そのうち4000万ドル(約44億6000万円)は米運輸省、1000万ドル(約11億2000万円)はPaul G Allen Family Foundation(ポール・G・アレン・ファミリー財団)が出資している。

構想を実現するためのこのプログラムは2021年6月中旬に終了したが、コロンバス市は今後も同市の財源を使ってテクノロジーの統合を進めて「協働イノベーションの実験都市」としての役割を続け、社会問題に取り組んでいくことを発表した。とはいえ、これは具体的にはどういうことなのだろうか。

コロンバス市の「スマートシティ」は、トヨタが富士山麓で建設を急ピッチで進めている実証実験の街「ウーブン・シティ」とはまったく異なるものだ。そもそも、コロンバス市はウーブン・シティのようなものを目指しているのではない。

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Smart Columbus(スマート・コロンバス)構想の担当者であるMandy Bishop(マンディ・ビショップ)氏は、TechCrunchに次のように説明する。「私たちは、単にテクノロジーの実用化を目指してテクノロジーを導入しているのではありません。モビリティや交通についてコロンバス市が抱えている問題に注目し、それらの問題の一部に集中して取り組むためにコンテストの賞金を使っています」。

同市が抱える問題には、各種モビリティへのアクセシビリティの欠如、公共交通機関では十分にカバーされていないエリアがあること、駐車スペースに関する課題、運転マナーの悪さのせいで衝突事故が多発していることなどが挙げられる。ご推察のとおり、多くのスタートアップがこれらの問題を解決すべく取り組んでいる。本稿では、そのようなスタートアップが提供しているソリューションについて紹介する。

Etchによる「Pivot」アプリ

Etch(エッチ)は、コロンバス市を拠点とし、地理空間ソリューションを提供するスタートアップである。2018年に創業したばかりの同社にとって、スマート・コロンバス構想への参加は本格的な経験を積む機会となった。同社は、バス、配車サービス、カープール、マイクロモビリティ、個人用の乗り物を組み合わせてオハイオ州の中心部を移動するルートを検索するためのマルチモーダル交通アプリ「Pivot」を開発した。

EtchのCEO兼共同創業者のDarlene Magold(ダーリーン・マゴールド)氏はTechCrunchに次のように説明する。「コミュニティのみなさんに、どんな交通手段が使えるのかを伝えること、そして、コストや他の条件に応じてその手段を並び替えるオプションを提供することは、当社のミッションの一部でした」。

Pivotアプリは、OpenStreetMapやOpenTripPlannerなどのオープンソースツールを基に構築されている。EtchはOpenStreetMapを使って、特定のエリアの現在状況に関してコミュニティからクラウド経由で集まる最新情報を取得する。これは、Wazeに似た仕組みだ。OpenTripPlannerは、異なるモビリティ別にルートを組み立てるのに使われる。

「当社のアプリはオープンソースであるため、Uber(ウーバー)やLyft(リフト)をはじめとする他のモビリティサービスと統合することによって、個人用の乗り物(所有している場合)以外にどんな交通手段が使えるのかを可視化する点で、ユーザーに多くのオプションを提供できます。このアプリによって、バスの現在地やスクーターの場所をリアルタイムで把握できるため、移動することや複数の交通手段を使うこと、Uberの利用、自転車やスクーターのレンタルにまつわる心配事を減らすことができます」。

前述の連邦助成金のうち125万ドル(約1億4000万円)が投じられたPivotアプリは、現在までに3849回ダウンロードされている。コロンバス市はPivotアプリの開発と利用促進のための資金を引き続き提供していく予定だ。

Pillar Technologyによる「スマート・コロンバス運用システム」

コロンバス市は、スマート・コロンバス構想の既存の運用システムをさらに発展させるために、スマート化向けの組み込みソフトウェアを提供するPillar Technology(ピラー・テクノロジー)を採用した。同社は2018年にAccenture(アクセンチュア)によって買収されている。2019年4月には、コロンバス市のモビリティ関連データ(2000のデータセットと209のビジュアルデータを含む)をホストするために1590万ドル(約17億7000万円)をかけて開発されたオープンソースプラットフォームが始動した。

「このプロジェクトは最低でも2022年1月まで続く予定です。コロンバス市は今後も、モビリティや交通に関する事例を積み上げて、運用システムの価値と活用方法をさらに明確にしていきます」とビショップ氏は語る。

スマート・コロンバス運用システムは、既存のデータセットに新たなデータを追加するよう他の企業を招待している。また、衝突率を低下させる方法や、駐車スペースを最適化する方法などの課題に関するソリューションをクラウドソーシングで募集している。

ParkMobileによるイベント駐車場管理アプリ「Park Columbus」

ParkMobile(パークモバイル)は、スマートパーキングのソリューションを提供するアトランタ拠点のスタートアップだ。スマート・コロンバス構想では、駐車スペースを探し回ることを防ぐことによって渋滞と大気汚染の軽減を目指すイベント駐車場管理アプリ「Park Columbus(パーク・コロンバス)」を開発した。ユーザーは駐車場の検索、予約、支払すべてをアプリ内で完結できる。

コロンバス市の広報担当者によると、スマート・コロンバス構想のイベント駐車場管理アプリは、ParkMobileの既存ソリューションを強化する形で開発されたという。130万ドル(約1億5000万円)が費やされたこのアプリは、2020年10月から2021年3月までの期間に3万回以上ダウンロードされた。同アプリには今後、予測分析テクノロジーによって路上駐車スペースを表示する機能が追加される予定で、コロンバス市は引き続き同アプリに資金を提供していく予定だ。

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Orange Barrel Mediaによる「Smart Mobility Hubs」キオスク

Smart Mobility Hubs(スマート・モビリティ・ハブ)は、都市の風景になじむメディアディスプレイを開発するOrange Barrel Media(オレンジ・バレル・メディア)が設計したインタラクティブなデジタルキオスク端末だ。コロンバス市内で使える交通手段のオプションを1か所に集めて表示するこのキオスクは、Pivotアプリを物理的な端末にしたようなもので、キオスクから操作することも可能だ。無料Wi-Fiを提供したり、レストラン、店舗、アクティビティの一覧を表示したりするこのキオスク端末の開発にも、連邦助成金のうち130万ドル(約1億5000万円)が投じられた。

Orage Barrel Mediaは、コミュニティの情報を表示するこのようなキオスク端末から、広告やアートを表示するものまで、さまざまなディスプレイを提供している。スマート・コロンバス構想によると、同社のキオスク端末は6か所に配置され、2020年7月から2021年3月までの期間に6万5000回以上利用されたとのことだ。同市はまた、パンデミック後には利用回数が劇的に増加すると見込んでいる。このキオスク端末には、同市が展開する自転車シェアプログラム「CoGo(コーゴー)」も組み込まれている。CoGoでは、ペダル自転車、電動自転車、駐輪スタンド、ドックレススクーターシェアサービスと自転車シェアサービス専用の駐輪スペース、配車サービスの乗降車エリア、カーシェア用駐車場、EV充電ステーションに関する情報を入手できる。

Siemensとの提携による「コネクテッド・ビークル環境」

オハイオ州には他州に比べて運転マナーが悪いドライバーが多い。オハイオ州の高速道路パトロール隊が2021年発表した、州内における不注意運転に関するデータによると、2016年以降、不注意運転に起因する衝突事故が7万件発生しており、そのうち2000件以上が重傷事故もしくは死亡事故だという。コロンバス市は、2019年にとある保険会社が発表した、全米で運転マナーが悪い都市ランキングで第4位にランクインしたことがある。

コロンバス市がコネクテッド・ビークルの実証実験を行ってみたくなったのは、それが原因かもしれない。2020年10月から2021年3月にかけて、コロンバス市は、ビークルツーインフラストラクチャー(自動車と路上の通信設備との間で情報をやり取りすること、V2I)およびビークルツービークル(異なる自動車間で情報をやり取りすること、V2V)を実現するための車内用および路上設置用ユニットを提供するSiemens(シーメンス)と提携した。また、Kapsch(カプシュ)とDanlaw(ダンロー)といった企業も路上設置用ユニットを提供した。コネクテッド・ビークルは他の自動車および85か所の交差点(このうち7か所はオハイオ州中心部で衝突率が非常に高い交差点)に設置されたユニットに対して「話す」ことができる。このプロジェクトには、1130万ドル(約12億6000万円)が投じられた。

「このコネクテッド・ビークル環境の応用方法として、赤信号による警告、スクールゾーンの通知、交差点内での衝突警告、貨物車両や公共交通車両の信号優先通過など、11種類のさまざまな機能を考えました」とビショップ氏は説明する。

「住民が100万人あまりの地域に1100台の自動車を配置しました。そのため、衝突率が下がることは期待していませんでしたが、コネクテッド・ビークル環境から発信される信号無視防止のための警告をドライバーが活用しているのを見ることはできました。その結果、運転マナーの向上が見られており、長期的には路上の安全性を効果的に改善することにつながると期待しています」とビショップ氏は語る。

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Easy Mileによる自律運転シャトルバス「Linden LEAP」

スマート・コロンバス構想の自律運転車によるシャトルバスサービス「Linden LEAP(リンデン・リープ)」には230万ドル(約2億6000万円)が投じられ、2020年2月から2021年3月まで数回の休止期間をはさみながら運用された。開始当初は、リンデン地区の4つの停留所を2台のシャトルバスが運行して、公共交通機関によって十分にカバーされていないコミュニティに交通サービスを提供した。開始からわずか2週間後に、時速25マイル(約40キロメートル)ほどで走行していた自律運転バスが急停止して、乗客が何らかの原因により座席から投げ出されてしまったため、運行は停止された。そうこうしているうちにパンデミックが発生し、人を運ぶサービスの需要がなくなってしまったため、Linden LEAPは、2020年7月から2021年3月までの期間に、3598件の食材配達と13万件の出前サービスをこなした。

コロンバス市は、連邦助成金が終了した今、この自律運転シャトルバスサービスに資金を出し続ける予定はないという。

ビショップ氏は次のように説明する。「コロンバス市には、公共交通機関を運用してきた実績があまりありません。そのため、コネクテッド環境、自律運転、電気自動車に関する技術を公共交通機関に今後どのように組み込んでいくのか、中央オハイオ交通局(CoTa)の計画を注意深く見守りたいと思います。コロンバス市としては、次の取り組みは民間企業によるものになること、そして、最終的には交通局の主導へと切り替わっていくことを期待しています」。

フランス発のスタートアップであるEasy Mile(イージー・マイル)の広報担当者は、同社が前述の自律運転シャトルバスにレベル3の自律運転技術を提供したと発表している。Society of Automobile Engineers(米国自動車技術者協会)によると、レベル3の自律運転は、運転席に人間のドライバーが座ることが依然として求められるレベルだという。

コロンバス市と自律運転技術との中途半端な関係はもともと、2018年末にスマート・コロンバス構想がDriveOhio(ドライブオハイオ)およびMay Mobility(メイ・モビリティ)と提携して、同市初の自律運転シャトルバスサービスであるSmart Circuit(スマート・サーキット)を開始したときに始まった。シオトマイル地区の中心部に設けられた全長1.5マイル(約2.4キロメートル)のルートを走るSmart Circuitは、2019年9月までの期間に、特定の文化的な名所への無料乗車サービスを1万6000回提供した。

Smart Circuitにかかった費用はわずか50万ドル(約5600万円)ほどだったが、コロンバス市は、自律運転シャトルバスプログラム全体を総合的に開発するために、さらに追加で40万ドル(約4500万円)を投じた。

Kaizen Healthによる妊婦向け移動サポートアプリ「Prenatal Trip Assistance」

女性が創業したテック企業であるKaizen Health(カイゼン・ヘルス)が最初のアプリケーションを開発したのは、健康上の問題で治療に通う必要がある人々が利用できる交通手段が少ないことへの不満がきっかけだった。シカゴを拠点とする同社は、妊婦とその家族が救急時以外のときに利用できるマルチモーダルな病院搬送サービスを簡単に手配できる同社のモデルを応用してアプリを開発した。

2019年6月から2021年の1月の期間にスマート・コロンバス構想の助成金から130万ドル(約1億5000万円)が投じられたこのアプリの利用者は、パンデミックのせいでわずか143人にとどまったが、病院への移動に利用された回数は800回以上、薬局、食料品店、他のサービスを受けるために利用された回数は300回以上にのぼった。このアプリが導入された年にオハイオ州で生まれた新生児1000人あたり平均6.9人が死亡したことを考えると、スマート・コロンバス構想に参加しているメディケイド対象医療機関が、このようなモバイルアプリの導入を含め、非救急時の病院搬送サービスを近代化しようとしていることは、良い傾向だ。

Wayfinderとの提携による、認知障がい者へのモビリティ支援アプリ

最後に挙げるプロジェクトでコロンバス市が手を組んだテック企業はAbleLink(エイブルリンク・テクノロジー)のWayFinder(ウェイファインダー)という、デンバー発の企業だ。どこで曲がるかを非常に詳細に指示してくれるナビゲーションアプリを、特に認知障がいを持つ人々向けに開発するために、Mobility Assistance for People with Cognitive Disabilities(認知障がい者へのモビリティ支援、MAPCD)に関する研究がWayfinderと共同で実施され、認知障がい者がさらに安全に自立行動の範囲を広げられるようになった。

このパイロットプロジェクトには、2019年4月から2020年4月の期間に約50万ドル(約5600万円)が投じられた。31人がこのアプリを実際に使って、公共交通機関の使い勝手が向上するのを感じた。コロンバス市の広報担当者によると、同市は現在、パートナー企業各社とともに、このアプリプロジェクトを継続していく方法を探っているとのことだ。

今後の展望

スマート・コロンバス構想が注力したもう1つの分野は、電気自動車(EV)の導入と充電インフラストラクチャーだった。ポール・G・アレン・ファミリー財団と、オハイオ州の電力会社AEP Ohio(AEPオハイオ)が拠出した資金がインセンティブとして使われて、集合住宅、職場、公共の場所への充電ステーション設置が進んだ。その結果、900か所のEV用充電ステーションを設置するというスマート・コロンバス構想の目標が達成され、同時に、新車販売台数に占めるEVの割合が2019年11月に2.34%に達し、その割合を1.8%にするという目標も達成された。

「将来的には、今後も継続していくテクノロジーやサービスにより、住民が直面している問題がコミュニティにとって理にかなった仕方で解決されていくと思う」とビショップ氏は語った。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:オハイオスマートシティ駐車場ディスプレイSiemens自動運転バス

画像クレジット:Smart Columbus

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)