Ubuntuで自分のビジョンを追究したいCanonicalのMark Shuttleworthは買収よりIPOに関心あり

IBMがRed Hatを340億ドルで買収する計画を発表して以来、Red Hatと競合するSuseやCanonicalの今後の行方を云々する声が賑やかになってきた。しかしCanonicalのファウンダーMark Shuttleworthには、同社を売ることへの関心はまったくないようだ。少なくとも、今のところは。

今日ベルリンで行われたOpenStack Summitの会場近くで彼としばらく話をしたが、彼は、“重要なのは独立だ”、と言った。それはまず、彼は個人的にはお金を必要としていない、ということだが、CanonicalとUbuntuに懸けた彼のビジョンを最後までやり遂げたい、という意味でもある。

彼が1999年にThawte Consultingを5億7500万ドルでVerisignに売ったとき、人びとは彼に、死ぬまで休暇か?と尋ねた。そして彼はそのお金の一部を使って二人目の宇宙旅行者になり、慈善団体を立ち上げたが、そっち方面への関心がないことは、明らかだった。

しかし彼によると、売ってもよい状況が一つだけある。それは、彼のCanonicalのビジョンが加速されることだ。

しかし、何にでも価格はあり、そしてShuttleworthがお金を必要としていないとしても、売却は確実に、Canonicalの社員の多くにとって有意義な金銭的報奨になるだろう。

でも、よく知られているように、Shuttleworthの関心はCanonicalのIPOにある。今年の前半に彼は、それはまだ検討中、と述べたが、正しいタイミングというものも必要だ。最近同社は再びエンタープライズにフォーカスし、それとあまり関係のないUbuntu PhoneやUnityデスクトップなどを閉鎖した。結果は好調のようだから、IPOはまだ選択肢の一つとして生きている、と言える。

今週後半にShuttleworthへのもっと本格的なインタビューを予定しているので、お楽しみに。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SonyのPlayStation Classicはレトロゲーム用にオープンソースのエミュレーターを使っている

ワームが再び戻ってきたようだ。昔のゲーム機のゲームをパソコンで遊べるようにするエミュレーターは、かつてはゲーム産業の害虫だった。そして今Sonyは、まさにその、悪者だったソフトウェアを、レトロなゲーム機PlayStation Classicで使っている。

Kotakuのレビューによると、同機のソフトウェアライセンスリストにはPCSX ReArmedが載っている。それはPCSX ReloadedのARMポートだが、後者はさらに、2003年に開発をやめたPCSXエミュレーターからのフォークだ。

でももちろん、それは犯罪ではない。Sonyには、それを使う権利が十分にある。でも皮肉なのは、20年以上にもわたるエミュレーターデベロッパーたちの、主に海賊行為のための労作が、このように公式にデプロイされることだ。PCSXとそれを起源とするソフトウェアは、GPLによるオープンソースだ。

それはかつての、ハッカー的デベロッパーたちにとって、すごい名誉かもしれない。彼らのソフトウェアは、大企業のプロプライエタリな(私権のある)ソフトウェアをリバース・エンジニアリングしたものだが、それが今や、それらの古いゲームをプレイするための最良の方法になり、当のSonyが採用したのだ! ゲームの歴史を研究しているFrank Cifaldiは、それがなぜ一部の人たちにとって驚愕的なのか、という記事を書いている

ある意味でそれは、合理的な選択だったかもしれない。Sonyがエミュレーターをスクラッチで作るとしたら、たいへんな作業になっただろうし、またPlayStationのハードウェアの方を作り変えるとしても、それ以上にたいへんだ。何年間も活発に開発されテストされてきた高品質なオープンソースのエミュレーターがあるのだから、それを使わない手はない。

そのように考えない企業もある。Nintendoは、そのミニゲーム機NES/SNES Classicのために新たにエミュレーターを開発したし、前にはVirtual Consoleや、そしてGemeCube用のAnimal Crossingでもそうした。でもそのときですら、それらのデバイスではLinuxのカスタムビルドが動いていたのだから、オープンソースがベースだった。というわけでゲームの世界は、必ず何らかの形で、オープンソースとベッドを共にしているのだ。

エミュレーターは、それ自体が違法なのではなく、何らかのプロプライエタリコードを使っていたら違法なのだ。だからROMやゲームのコピーに対しては、企業は強硬に戦ってきた。でもエミュレーターはつねに、ある種のグレーゾーンにいた。いくらやられても、全滅はしなかった。最近はレトロゲームへの関心が高まり、それらに進んでお金を出す人たちもいる。でも、エミュレーターの無料の数十年間、というゲームプレイの歴史がなかったら、レトロゲームへの関心が、ここまで生き延びることはなかっただろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

行き過ぎたオープンオフィス化と戦うために「空間」を売るROOM

騒がしいオープンオフィスはコラボレーションを育むのではなく疎外する。ハーバード大学の調査によれば、プライバシーの少ないプロアプランは、従業員の直接の対話を73%減らし電子メールの割合を増やす。問題は、多くの若い企業と大企業たちが、すでにオープンオフィスの流行を受け容れていることだ。だが、ROOMと呼ばれる新しいスタートアップが、プレハブ式の自分で組み立てられるソリューションを提供している。オフィスの電話ブースのIKEA式と呼ぶことができるだろう。

3495ドルのROOM Oneは、防音型で通気式の電源が引き込まれたブース(電話ボックスのような小部屋)で、新規もしくは既存のオフィスの中に設置し、従業員たちにビデオ通話を行ったり邪魔の入らない集中作業を行ったりする場所を提供する。比較としてROOMの共同創業者であるMorten Meisner-Jensenは「ほとんどの電話ブースのコストは8000から1万2000ドルくらいです。私たちにとって、最も安い競争相手は6000ドルですが、これでもほぼ2倍です」と語る。TalkBoxからは4500ドル、Zenboothからは3995ドルでブースが発売されているが、それぞれ送料として1250ドルと1650ドルが加算される。一方ROOMの送料は無料だ。彼らは皆で「オフィスを分け合う市場」を分け合っている。

アイデアはシンプルに見えるものの、もしこうしたブースが、セールスコールの鳴り響く中で従業員がイライラすることを防いでくれるなら、生産性の低下や人員の補充、引き止めなどから発生する、膨大なコストを節約することができる。設立から1年も経たないうちに、ROOMはスタートアップからSalesforce、Nike、NASA、JP Morganを含む200社の顧客を得て、年換算にして1000万ドルの収益を達成した。当初FlexportのCEOであるRyan Petersenのエンジェル資金に加えて、Slow Venturesの200万ドルのシードラウンドが集められた。「おそらくこの企業は、Slowが今まで関わったものの中で、シードステージの投資で最も収益が高いものです。私は本当に興奮しています」とパートナーのKevin Colleranは語る。

部屋(room)を作っているから、ROOMと呼ばれているわけではありません」とMeisner-Jensenが私に語る。「人びとのための空間(room)を作り、プライバシーのための余地(room)を作り、よりよい仕事環境のための場所(room)を作りたいので、ROOMと呼ばれているのです」。

「汗かき部屋」ではなく、電話ブースを目指して

やる気のある読者なら、なぜ単にホームセンターに行って部品を適当に買い、自分でオフィス用電話ブースを組み立てないのかと考えるかもしれない。3500ドルよりもはるかに安く仕上がるはずだ。実はROOMの共同創業者たちもそれを試している。その結果は…残念なものだった。

Meisner-Jensenはデンマークのデジタル広告代理店Revoltでデザインの仕事をしていたが、それはデジタル書籍サービスMofiboを共同創業してStorytelに売却する前のできごとだ。「私の以前の職場では、外に出て電話を取らなければなりませんでした。そこはコペンハーゲンでしたので、年の半分はとても寒かったのです」。彼の共同創業者であるBrian Chenは、Y Combinatorが支援したスマートスーツケース会社であるBluesmartを起業し、業務担当の副社長を務めた。彼らはハンマーやノコギリを使えばオフィスレイアウトの問題に取り組めると考えた。つまり、彼らはスーパーヒーロー気分だったのだ。

Room共同創業者たち(左から):Brian ChenとMorten Meisner-Jensen

「オープンオフィスや同僚との間で、個人的に遭遇する問題に対処するために、私たちはプライベートな『電話ブース』を自分たちで作ろうとしたのです」とMeisner-Jensenは言う。「その時の私たちは、換気や音響の詳細について全く理解していなかったので、ブースはとても暖かいものになりました。おかげで私たちはそれを『汗かき部屋』(sweatbox)と呼んだ程です」(swatboxには他にも「取調室」「独房」といった意味もある)。

ROOMは、製品について真剣に考えている。10平方フィート(約0.93平方メートル)のROOM Oneブースは、平たい状態で出荷され、6角レンチを使って2人で30分以内に組み立てることができる。他に必要なのは、照明と換気扇に電力を供給するためのコンセントだ。それぞれの製品が、防音のために1088本のリサイクルペットボトルから作られているため、外部の音は聞こえない筈だ。このボックスは100%リサイクル可能だが、スタートアップが失敗しオフィスから退去する際には、分解しまたどこかで再組み立てを行うことができる。

ROOM Oneには、バーカウンターのような机が備え付けられ、コンセントならびに磁石がくっつく掲示板が提供される。ただし椅子は自分で持ち込まなければならない。それは実際には、中で居眠りしてしまうほどには快適にデザインされていない。それはこのやや窮屈な場所の問題とは言えないだろう。「大規模な騒音問題を解決するには、電話はしても良いけれど、1日長居したいような場所ではない空間を提供する必要があります」とMeisner-Jensenは言う。

(左から)Zenbooth、Cubicall、そしてTalkBoxのブース

フローに入る(集中する)場所

オフィスのマネージャーが、皆のためにただノイズキャンセリングヘッドフォンを購入すれば良いのでは?「狭苦しくて嫌ですね」と彼は笑いながら、なぜ新しい職場のトレンドとしてヘッドフォン以上のものが必要なのかを概説した。「人びとは、ビデオ通話やバーチャルミーティングを、より多く行うようになっています。そばを通る人たち全員に、スクリーンを覗かれるわけにもいかないでしょう。[ブースは]また、自分自身の仕事を片付けるための自分専用の空間を提供してくれます。これはBoseのノイズキャンセリングヘッドフォンからは得られないものです。私は物理的な空間がなくてはならないと思うのです」。

しかし、物理的なスペースを設置できる企業はたくさんあるため、その価格に見合う組立品質の微妙な点を伝えることが、ROOMの課題となるだろう。「現在のROOMの最大のリスクは、コピーキャットの存在です」とMeisner-Jensenは言う。「この分野に参入してきて、自分たちの方が良いものをもっと安く提供できると主張する者もいます」。これに対して、ROOMは様々なオフィス家具を提供することで、顧客をつなぎとめることができる。彼は、ROOMがすでにより大型の多人数プレハブ会議室や、クリエイティブルームの分割ソリューションなどの需要を受けていることを口にして、将来の製品を暗示した。

プライバシーの重要性は、働き手が1人になると生産性が向上するということ以上にもある。彼らが混沌としたオープンオフィスで過度の刺激から疲れてしまった場合には、必要なときに使うべき、意図的なコラボレーションのためのエネルギーが少なくなってしまう。喧騒は時間外の社交に対しても消極的にさせ、それが燃え尽きに繋がり退職を早める可能性がある。特にテクノロジー企業は、常に才能同士の戦いに晒されているため、ROOM Oneは、無料のスナックや単にオフィスをうるさくするだけの卓球台よりも、優れた特典として受け取られる可能性がある。

「私はこのソリューションが、キュービクルとコーナーオフィスの世界に引き戻すものとは思いません」とMeisner-Jensenは結論付ける。研究がオープンオフィスの有害性を指摘しているにもかかわらず、その過度の流行をオフィスの建築家たちが修正するするためには、さらに10年ほどもかかるかもしれない。今のところROOMの共同創業者は、「現在の作業スペースを可能な限り最良の状態にするにはどうすればいいだろう?」と尋ねながら、「騒音の問題を解決する」ことに集中している。

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(翻訳:sako)

オープンオフィスのスペースレイアウトは最悪ね…ハーバード大学の研究もそう言ってる

大きなオープンオフィスで仕事をしていると、まわりの人たちなどに邪魔されて仕事に集中できない、とお嘆きのあなた、それは、あなた一人ではない。これまでのオフィスに比べると、お互いの顔が見えるオープンオフィスでは生産性が最大で70%も落ち込む、とハーバード大学の研究者たちが言っている。その研究論文は、今月のPhilosophical Transactions of the Royal Society Bに載っている。

その研究は、Fortune 500社の中から、最近オープンオフィス方式に移行した2社を選び、社員たちの首にかける紐に“ソシオメトリックセンサー(sociometric sensor)を収めたバッジをつけてもらい、二つの環境における社員たちのさまざまな反応を記録した。データの収集は、オフィスのレイアウトが変わる前の数週間と、そのあとの数週間、という二段階で行われた。

オープンオフィスは、社員間の気さくなコミュニケーションとコラボレーションを促進する、と称揚されていたが、この研究によると、二社の調査対象グループ(52名と100名)はどちらも、むしろ相手の顔を見ながらの対話の機会が減り、メールを送る回数が20ないし50%増加し、両社の役員たちは、生産性の定性的な低下〔仕事の‘質’が落ちたこと〕を報告した。

研究論文の中で研究者のEthan BernsteinとStephen Turbanが書いている: “企業は、直接的な対話の機会を増やし、活気ある職場を作るためにオフィスの構造をオープンオフィス方式に変える。しかし実際に彼らが得るのは…オープンオフィスの死を告げるニュース記事が絶えないことが示しているように…広々とした空間に社員たちが近接して置かれた場合には彼らは、できるかぎり自分を孤立/隔離することを(ヘッドフォーンの着用などにより)選び、そして(みんなに見られるから)できるかぎり、自分が忙しくしているように見せかける、という事実だ”。

オープンオフィスを批判する研究はこれが初めてではないが、ハーバードの研究者たちは、社員たちのアンケート調査に依存しない定性的な研究はこれまでなかった、と自画自賛している。

そして彼らは、以下の三つの注意事項を述べている:

  1. オープンオフィスの空間は対話を促進しない。むしろ社員たちは、できるかぎりプライバシーを求めるようになる。
  2. オープンオフィスは、企業の“集合的知性”説に暗雲を投げかける。言い換えると、刺激の多すぎるオフィス空間は組織の生産性を下げる。
  3. オープンなレイアウトへの変更によって、対話のすべてのチャネルに同じような効果が生ずるわけではない。たとえばこの研究ではメールの送出数が増えたが、それは、実際に人と会う対話の減少を補うほど、リッチなコミュニケーションではなかった。

オープンオフィスの設計も、まず静かな部屋で一人で考えたものが、優れたものになるのではないだろうか。つまり、オープンオフィスは再検討が必要である。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa