リモートワークを中心とする人材事業を展開するキャスターが13億円のシリーズD調達、既存事業拡大と新規事業領域に進出

オンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ」などの人材事業を展開するキャスターは2月2日、シリーズDラウンドとして、第三者割当増資による総額13億円の資金調達の実施を発表した。引受先は、インキュベイトファンド、グリーンコインベストメント投資事業有限責任組合、AXIOM ASIA Private Capital、UNICORN2号ファンド投資事業有限責任組合(山口キャピタル)、第一生命保険。

調達した資金により、広告宣伝・新規事業開発・事業拡大に伴う採用などに注力し、既存事業の拡大と新たな事業領域への進出に取り組む。コロナ禍でリモートワーク化を急速に進めている企業の人材リソースニーズに応えるための資本にあてるという。

2014年9月設立のキャスターは、「リモートワークを当たり前にする」というミッションを掲げ、創業時よりフルリモート経営で組織を運営。誰もがリモートワークという働き方を選べるよう、リモート中心の総合人材サービスを展開している。

CASTER BIZシリーズをはじめ、スタートアップの事業開発・組織開発を支援するコンサルティング事業など、現在10事業を展開している。CASTER BIZは、2021年に取引社数累計2900社(解約したクライアントも含む)を突破、前期の全社売上は過去最高額を記録したという。

3密によるクラスターを回避、withコロナ時代のコールセンターとは

新型コロナウイルス感染拡大に伴いテレワークが推奨されている中、クラスターの発生しやすい環境として懸念されているコールセンター。スタッフが密室空間に密接して密集して電話をかけ続ける環境は、まさに「三密」状態だ。

実際に、京都市や札幌市などではコールセンターによるクラスターが発生した。そんな中、感染拡大のリスクを回避する手段として、リモート化やクラウド型のコールセンターに注目が集まっている。

キャスターはリモートコールセンター「Caster CS Assistant」を提供中

オンラインアシスタントをはじめとする人材事業を運営しているキャスターはコールセンターを社外にリモート化したい企業に向けて、リモートコールセンター「Caster CS Assistant」の提供を開始。

Caster CS Assistantは最短3営業日でリモートのコールセンターを開設することができる。リモートワークはセキュリティ面が課題に挙げられるが、同社は個人情報について適切に取り扱っている企業としてプライバシーマークの認定を受けている。さらにオプションとしてシンクライアント(仮想デスクトップ)環境も用意しているため、リモートでアクセスしてもセキュリティを確保することが可能だ。

また、全国各地で働くコールセンター経験者を専属でアサインするため品質の高いサービスが可能だという。料金はスタンダートプランが45万円。クライアントの状況にあわせて、「土日祝日対応」「時間外対応」「コールシステム導入」「シンクライアント環境」「VPN接続」などのオプションをつけることができる。

クラウド型CTI「BIZTELコールセンター」のコロナ以前の2倍の問い合わせに

リンクが開発・運営しているクラウド型CTI「BIZTELコールセンター」は2020年3月〜4月の問い合わせ数がコロナ以前の2020年2月以前に比べて2倍以上に増加している。

同サービスはコールセンター業務に必要な電話機能を搭載したクラウド型システム。インターネットとパソコンさえあれば、構内交換機(PBX)などの通信機器を設置する必要がなく、最短5営業日でコールセンターが開設できる。さらに必要に応じて機能や規模を増減でき、いつでもコールフローやエージェントの業務設定などを変更できるのも特徴だ。

同サービスはもともと、「コールセンターシステムを導入したい」というシンプルな問い合わせが多かった。しかし3月以降は「コールセンターシステムを導入し在宅勤務でも利用したい」という声が増えているとのこと。

コールセンター市場において、2016年はクラウド型は全体の20.6%ほどのシェアだったが、2018年には30.7%と1.5倍成長。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、今後はクラウド型コールセンターが主流になる可能性もある。一方で、コールセンターシステムはオフィスでの通話時は固定電話またはパソコン上で動くソフトフォンを利用するのが一般的なため、在宅時はスマートフォンや携帯電話で通話したいというニーズもかった。

BIZTEL事業部長の坂元剛氏はそうした声に応えるため「BIZTELではスマートフォンや携帯電話を使うことも可能に。また、在宅勤務に便利な機能をパッケージした新サービス『BIZTELテレワーク』も5月から提供開始している」としている。

リモートワークの普及に取り組むキャスターが6億円調達、既存サービスの利用企業数は1300社を突破

オンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ」をはじめ、リモートワークを軸とした人材事業を展開するキャスターは4月9日、STRIVEと山口キャピタルを引受先とする第三者割当増資により総額6億円を調達したことを明らかにした。

キャスターは昨年5月に3.6億円を調達するなど過去に複数のVCから資金調達をしているほか、直近では今年1月にディップを引受先とした第三者割当増資も実施。今回を含めると累計調達額は約15億円となる。

今後はコロナウイルス(COVID-19)の影響もあり国内で急速にリモートワークが広がっていることを受け、そこで必要とされるセキュリティシステムやリモートワーカー向けの業務管理システムの開発などに投資をしていく計画だという。

オンライン秘書から領域拡張、利用企業数は1300社超え

キャスターは2014年の設立。同年に秘書や人事、経理、翻訳、Webサイト運用などの幅広い業務を遠隔にいるオンラインアシスタントに依頼できるCASTER BIZをスタートした。

代表取締役の中川祥太氏によると以前は「オンライン秘書の会社」として捉えられることも多かったが、創業6年目を迎えた現在では同社がカバーする領域はかなり広がっている。運営するサービスの数も10個を超え、会社全体の売上を見てもCASTER BIZ単体が占める割合はかなり減ってきているそうだ。

具体的には経理(CASTER BIZ accounting)、採用(CASTER BIZ recruiting)、労務(CASTER BIZ HR)など各業務領域ごとにCASTER BIZシリーズのサービスを展開すると共に、全国のリモートワーカーをオンラインで派遣する「在宅派遣」やリモート・複業など新しい働き方に特化した求人メディア「Reworker」なども手がける。

キャスターが手がける事業の一部。CASTER BIZシリーズの幅もかなり広がってきている

昨年からの取り組みとしてはソーシャル募集サービス「bosyu」を分社化してサービス成長に向けて舵を切ったほか、500円から使える個人向けのオンラインアシスタント「My Assistant」など新規事業も始めた。11月にはキャスター自体が700人以上のリモートワーク組織を運営してきた知見を活用して、リモートワーク組織の構築を支援する「Caster Anywhere」もスタートしている。

「『リモートワークにおける総合人材サービス』に近い。領域や契約形態ごとでも提供できるサービスが異なるので、クライアントからのニーズを踏まえて事業を広げてきた」(中川氏)

サービスのラインナップが拡充された効果もあり、累計のサービス導入企業は累計で1300社を突破。社数だけでなく導入企業の幅も広がっていて、エンタープライズ企業の利用も増えているという。たとえば在宅派遣の場合は中小企業のバックオフィスをリモート人員でサポートするといったケースが多かったが、この半年ほどでコールセンターなど大型の取引も増えた。

クライアント企業のリモートワーク導入をハンズオンで支援するCaster Anywhereでも同様だ。これからさまざまな業界・企業で人材不足が加速すると予想される中で、場所の制約を取っ払うリモートワークを取り入れることが候補者の幅を一気に広げる有効な打ち手になり得る。

また介護離職など、家庭の事情で退職せざるをえないメンバーが継続して働けるようにもなるかもしれない。中川氏の話では、実際にそういった点を危惧してリモートワークの制度を作りたいとキャスターに問い合わせをしてくる企業もあるそう。スタートアップでは以前からリモートワークを取り入れていた企業も多いかもしれないが、近年は大企業でも少しずつ浸透し始めている。

ただしリモートワークを導入するとなると、それまでの業務内容や業務フロー、人事制度・評価制度、組織設計などを把握した上で、必要に応じてアップデートする必要がある。各メンバーが自宅で不自由なく仕事ができる環境が整っているのか、コワーキングスペースを用意した方がいいのかなど、リモートワーク特有のチェックポイントも多い。社員数や部署の数が多い大手企業はなおさらだ。

「特に大手企業がリモートワークを導入したいと思った場合、(既存の働き方から移行するための)クッションとなる準備期間が必要になる。時間をかけて洗い出しながら検討するべきことはたくさんあり、そこを一緒に整理しながら企業ごとに最適な打ち手を提案するということをやってきた」(中川氏)

リモートワークの支援に向け、社内ツールの提供も視野に

今回の資金調達も当初は既存事業の拡大に向けて必要な資金を集めることを主な目的としていた。

Caster Anywhereのニーズが高まっていることに加え、CASTER BIZシリーズや在宅派遣を中心に事業基盤が整ってきた中で、そこにもっと投資をしていこうと考えていたという。

ただ冒頭でも触れたコロナウイルスの影響でキャスターの事業にも大きな変化があり、大きく状況が変わったようだ。

中川氏によると直近で急激にリモートワークの問い合わせが増加しているそうで、多い時には1日で数百件に及ぶ場合もあった。「明日から急遽リモートワークを導入することになったのですがどうすればいいでしょうか、社員は1.5万人です」といったように急を要するものも多く、今はリモートワークの基本的なノウハウを整理したホワイトペーパーなどを提供しつつ、順次サポートを進めているという。

「既存事業への積極投資というよりは、(コロナウイルスやそれに伴う緊急事態宣言の影響などで)世の中で止まってしまうオペレーションやインフラ維持のためにどこまで貢献できるか。ノウハウの提供であれ、人材の提供であれ、必要とされるところに投資をしていくことになる」(中川氏)

現在計画しているのが、キャスター社内で使っている内製ツールの提供だ。同社では700人以上のメンバーがリモート環境で働いているため、そこに最適化したセキュリティシステムや業務管理システムなどを自分たちで開発している。

中川氏いわく「社員全員、ないし少なくとも大多数のメンバーがリモートで働く環境でしか役にたたないツール」のためあくまで社内用として作ったものだが、急遽リモートワークを取り入れる会社が増えてくる中で「社内ツールが世の中の企業にとっても、非常に役に立つことがわかってきた」。

昨年2月にローンチしたクラウド型デスクトップ仮想化サービス「Caster Entry」も、最初は社内ツールとして開発したものだ。同じような形で、今後は社内の課題を解決するために作ったツールを外部企業にも提供していく方針。それにあたって必要となる開発にも投資をしていくという。

「『リモートワークを当たり前にすること』をミッションとして会社を立ち上げて以来、社内外でリモートワークを推進してきた。今はコロナウイルスの対応策として急激にリモートワークを導入する企業が増えている中で、導入や運用にあたって課題や悩みを抱えている企業も多い。これまで自分たちが培ってきたノウハウを基に、必要な仕組みやサービスを提供していきたい」(中川氏)

自由な働き方を支援する人材事業のキャスターが3.6億円を資金調達

オンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ(キャスタービズ)」などを展開するキャスターは5月8日、Gunosy Capital、およびSMBCベンチャーキャピタルが運営するファンドからの第三者割当増資などにより、合計約3.6億円の資金調達を行ったことを明らかにした。

キャスターは「リモートワークを当たり前にする」というミッションを掲げ、2014年9月に創業したスタートアップだ。同社はオンラインで経理、人事、秘書、WEBサイト運用などの業務を行うCASTER BIZを2014年12月にリリース。その後、リモートワーカーの派遣サービス「在宅派遣」や、副業・時短・在宅など新しい働き方に特化した求人サイト「Reworker」、オンライン採用代行サービス「Caster Recruiting」といった、柔軟な働き方を支援する、さまざまなサービスを展開してきた。累計利用社数は1000社を超えたという。

2018年8月には、Basecampが運営していた、SNSを利用したソーシャル募集サービス「bosyu」事業を譲受。また2019年に入ってからは、「会食手配」や「会議室リサーチ」など、個人が日常業務を500円からオンラインアシスタントに依頼できる「My Assistant」や、安全なリモートワーク環境を実現するためのクラウド型デスクトップ仮想化サービス「Caster Entry」など、関連サービスも拡大している。

キャスターは、2016年8月に大和企業投資から1億円、2017年12月にWiLや既存株主を引受先とした3億円の資金調達を実施している。今回の調達で、これまでの累計資金調達額は約10億円となる。

現在、700名以上が自由な働き方を求めて契約するというキャスター。今回の資金調達により、さらに採用強化に向けた投資を行い、クライアントのニーズに応えていくとしている。また法人向けマーケティングも強化し、認知度の拡大を図るという。

「リモートワークを当たり前にする」、オンライン秘書サービスなど開発するキャスターが3億円調達

オンライン秘書サービス「CasterBiz(キャスタービズ)」などを展開するキャスターは12月5日、WiLを引受先とした第三者割当増資を実施し、総額3億円の資金調達を完了したと発表した。また、同社は年内にも、既存株主を引受先とする第三者割当増資を追加で実施する予定だ。

「リモートワークを当たり前にする」というミッションを掲げるキャスターは2014年9月創業のスタートアップだ。同社はオンラインで経理、人事、秘書代行などを行うCasterBizを2014年12月にリリース。その後にも、リモートワーカーをオンラインで派遣する「在宅派遣」やウェブ制作や開発受託に特化した「RemoteStyle」など、新しい働き方を軸にした新サービスを次々に展開してきた。

そして、2017年9月には“新しい働き方”特化の求人サイト「REWORK」をリリース。同サイトには現在までに60件の求人が掲載されている。

キャスターが提供するサービス群

少子高齢化が進む日本では、労働人口は年々減っていく一方だ。そんななか、安倍政権は「一億総活躍社会」の実現に向けて、さまざま働き方改革を推進している。リモートワークや在宅勤務といった新しい働き方の推進もその1つだ。

でも、一部の先進的な企業を除いて、大部分の企業ではそのような新しい働き方が十分に浸透していない印象もある。その理由として、キャスター代表取締役の中川祥太氏は次のように語る。

「リモートという分散型労働を行う際の基本的な運用ルールとして基礎となるものが存在していないからだと認識しています。しかし、一旦ベーシックなルールさえ一般化して普及してしまえば、必然的に導入が進むと思う。弊社では運用ルールが整備された各サービス群の中で、企業側の運用ルールなどのハードルを下げ、購入しやすい形態に直す事で、企業側の導入を促進していく考えだ」(中川氏)。

キャスターは今回調達した資金を利用して、更なる事業拡大に向けた人材採用の加速と、徹底した効率化を図るシステム開発を行うとしている。新しい働き方を軸としてさまざまな分野に対応するサービスを横展開してきた同社だが、今後の戦略についても中川氏は「基本的には働いて貰う側、働く側の両面ともにニーズが多様な状態。今後も横展開が主軸の戦略となる」と語る。

オンライン秘書・在宅派遣を手がけるキャスターが大和企業投資から1億円の資金調達

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オンラインビジネスアシスタントサービス「CasterBiz(キャスタービズ)」などを展開するキャスターは8月8日、大和企業投資を引受先とした総額1億円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。

キャスターは2014年9月の設立。同年12月よりオンラインで経理や人事、秘書代行を行うオンラインビジネスアシスタントサービスのCasterBizを展開。またこれに加えて、2016年に入ってからは全国のリモートワーカーをオンラインで派遣する「在宅派遣」を展開してきた(同社ではこれに向けて、日本発となるオンライン人材派遣業の資格を取得している)。在宅派遣については、エンジニアやデザイナー、ディレクターなどの登録が増えたことから、ウェブ制作や開発関係の業務委託に特化した「RemoteStyle」もスタートしている。

両事業の導入実績は、CasterBizを中心に合計100社(7月時点)を超えた。CasterBizに関しては「メニューを絞ってもいいので低価格、ロットの小さい案件のニーズが多数寄せられている」(キャスター代表取締役の中川祥太氏)とのことで、CasterBizの一部の作業に関してはボット化して提供することも検討中だという。

キャスターでは今回調達した資金をもとに、エンジニアおよびマーケティング担当者の拡充を進めるとしている。