10代向けのチャレンジャーバンク目指すフランス拠点のKardが36億円超を調達、スマホ画面損傷保険も自動付帯

フランスのスタートアップであるKard(カード)がシードラウンドに300万ユーロ(約36億8300万円)を調達した。同社はすでに昨年も同額を調達しているので、Kardはシードラウンド合計で600万ユーロ(約73億円)を調達したことになる。このラウンドはFounders Futureがラウンドをリードし、Laurence Krieger、Michael Vaughan、Jon Oringer、Iris Mittenaereが参加した。

Kardは、ティーンエイジャー向けに特別設計されたチャレンジャーバンクを構築している。口座を作ると、自分のIBAN(所在国、支店、口座番号を特定するための国際標準と紐付いた銀行口座)とMastercardのデビットカードが送られてくる。ユーザーは、カードのブロックやブロック解除がアプリで処理できるほか、取引通知は即時で届き、ほかのKardユーザーとの間での送金も可能だ。

過去1年間、このサービスは完全無料で5万人のティーンエイジャーが登録していた。本日9月23日からは、新規ユーザーのために有料のサブスクリプションに切り替えることになる。家族ごとに月4.99ユーロ(約610円)、または年間49.90ユーロ(約6100円)を支払って家族アカウントを作成しなければならないが、その後は好きなだけアカウントを作成することができる。2人、3人、4人の子供がいる場合でも、月4.99ユーロの費用だ。

今回のルール変更に伴い、Kardはいくつかの追加機能も追加した。保護者はKardアプリをダウンロードして、アプリから子供へのおこずかいを管理可能になる。毎週または毎月の振り込みをスケジュール管理できるほか、子供のカードをブロック、アプリとカードをペアリングして瞬時に送金するといったことが可能だ。

ティーンエイジャーに関しては、オンライン決済用のバーチャルカードを手に入れることができるようになった。スマートフォンの画面の損傷に対して最高100ユーロ(約1万2300円)の保険にも自動加入となる。カードのデザインもブラック、シルバー、ピンクの3種類から選べるようになった。

Kardによると、Apple PayとGoogle Pay、マネーポット(貯蓄機能)についても検討中だという。アプリにはパーソナライズされた割引も提供され、新たな収益源が開けるかもしれない。

Kardは、PixPay、Xaalys、Vybeだけでなく、Revolut Junior、Lydia、伝統的な銀行のサービスと競合している。同社の新しい価格戦略が、今後のKardの成長にどのような影響を与えるかを見ていきたい。

画像クレジット:Kard

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

銀行口座を持っていないラテンアメリカ女性のためのチャレンジャーバンクJefa

Jefa(ハファ)は、ラテンアメリカの女性向けに特化したチャレンジャーバンクを開発しているスタートアップだ。同社は女性が銀行口座を開設し管理する上で直面するさまざまな問題を解決することに焦点を当てたサービスを目指している。同社は2020年のTechCrunch Disrupt 2020の「Startup Battlefield」に参加した。

「世界には銀行口座を持っていない人が14億人います。そのうち13億人近くが女性です」と、Jefaの創業者兼CEOのEmma Smith(エマ・スミス)氏は語る。

さまざま意味で、銀行口座は男性によって男性のために作られている。フィンテックのスタートアップを見ても、ほとんどの創業者が男性だ。すでにラテンアメリカには、NubankBanco InterBanco OriginalUaláなどいくつかチャレンジャーバンクがある。しかし、チャレンジャーバンクのほとんどはヨーロッパや米国などの成熟した市場をターゲットにしている。スミス氏は、新興国の女性をターゲットにすることで膨大な市場機会が得られると考えている。

画像クレジット:Jefa

なぜラテンアメリの女性は銀行口座を持っていないのか、持っていても満足していないのかを、Jefaは注意深く観察した。

例えば、銀行は女性が統計的に男性よりも収入が少ないにもかかわらず、最低残高の維持を要求するのが普通だ。銀行は、車が1台しかなくてバスの便がよくない家庭が多いにもかかわらず、口座開設のために支店に来るように求める。銀行のサービスは必要以上に複雑であり、女性向けの販売経路に力を入れない。

「こうしたことのすべてが、無店舗の完全デジタルソリューションが必要だと私たちが考えた理由です」とスミス氏。「私たちは必要最低残高を設けていません。政府の発行する身分証明書だけあれば、3~4分で口座を開設できるのです」と続ける。

Jefaは数カ月以内に開業予定で、口座は無料で開設できる。数日後に、口座とキャッシュカードが利用者の手に入る。口座には購入金額の端数を貯蓄できる機能が備わっており、もちろん目標の設定も可能だ。

「It pays to be a women.」(女性でいることは損ではない)という特典プログラムもある。購入金額に応じてポイントが貯まり、衛生用品や婦人科診療に使える。

画像クレジット:Jefa

当初、獲得したポイントはキャッシュバックに交換できる。いずれ、貯めたポイントを女性にとって大切な場面で換金できるようになる。ユーザーは、アプリを使って無料でピア・ツー・ピア送金と受け取りができる。口座からの引き出しと預け入れのために、Jefaは現金を安全に管理するための提携先ネットワークを構築している。

Jefaでは、クレジット(信用力)獲得プラットフォームにも取り組んでいて、これは米国サンフランシスコ拠点のチャンレジャーバンクであるChimeの機能と似ている。

Jefaはまず中央アメリカのコスタリカとグアテマラでサービスを開始する。ウェイティングリストにはすでに5000人が載っているそうだ。サービスの利用者によるコミュニティーを作ることが大切だと知っているので、融資について他のJefaユーザーと話し合えるコミュニティーフォーラムができるかもしれない。

概して銀行というものは魂のない存在で、人のニーズを理解しないことで悪評を買ってきた。「あなたは条件を満たしていない」と言われ続けるのは苛立たしい経験だ。デジタルファーストの銀行が作れるようになったことは、目的に特化した銀行業務の可能性を示している。Jefaはその好例だろう。

画像クレジット:Sharon McCutcheon / Unsplash

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

14.7億円超を調達したメキシコのチャレンジャーバンクFondeadoraとは?

メキシコシティを拠点とし、フルスタックのネオバンクを構築しようとしているフィンテックスタートアップであるFondeadora(フォンデアドラ)を紹介しよう。同社は、グーグルのAIに特化したベンチャーファンド「Gradient Ventures」(グラディエント・ベンチャーズ)が主導する1400万ドル(約14億7500万円)のシリーズAラウンドで資金を調達したばかりだ。2018年に設立された同社はすでに15万口座を管理し、毎月2000万ドル(約21億円)の預金を増やしている。

メキシコでは、多くの人々が取引のほとんどをいまだに現金に頼っているため、チャレンジャーバンクにとって大きなチャンスがある。世界各国でカードやデジタル決済への移行が進んでいることを考えると、Fondeadoraを立ち上げるのに適切な時期だったようだ。

なお今回のシリーズA調達ラウンドには、Y Combinator、Sound Ventures、Fintech Collective、Ignia、起業家であり投資家のScott Belsky(スコット・ベルスキー)氏が参加した。

Fondeadoraの共同創業者で共同CEOを務めるNorman Müller (ノーマン・ミュラー)氏は、「我々は約10年前にメキシコで最初のクラウドファンディングプラットフォームを立ち上げました。しかしカード決済の約50%がシステム上のトラブルで失敗しました」と語る。

そのプラットフォームも「Fondeadora」と呼ばれていた。クラウドファンディングプラットフォームのKickstarterとの取引を経て、ミュラー氏とFondeadora共同創業者のRené Serrano(ルネ・セラーノ)氏は初心に戻り、クラウドファンディング・プラットフォームを運営している間に抱えていた問題点を考えた。それが現在のFondeadoraとなり、メキシコの銀行体験を向上させたいと考えているチャレンジャーバンクになったわけだ。

Fondeadoraの設立チームはメキシコ中を旅して、利用できる銀行設立免許を探したそうだ。「手に入れたのは、メキシコのトマト農家のグループが所有していた銀行設立免許でした。20年前、政府は金融包摂(金融サービスへのアクセス増加)を実現するために約10件の銀行設立免許を与えていました」とミュラー氏は振り返る。

同社はこの銀行設立免許を得て、銀行サービスを開始した。支店に行かなくても口座を開設でき、契約者にはMastercardのデビットカードが送られてくる。購入後の通知の受信、カードのロックとロック解除、他のユーザーへの即時振込なども可能だ。月々の利用料は無料で、海外送金手数料もかからない。

次の目標としては、普通預金口座を使いやすくしたいと考えている。「『現金』には素晴らしいUI/UXが備わっています。触ってもいいし、引き出しに入れてもいい。しかし、収入を得るための媒体としてはひどいものです」とミュラー氏は語る。

今後数カ月の間に、Fondeadoraの口座に預けた預金に利息がつくようになる。「私たちは国債に投資しています、それは非常に安全なタイプの金融商品です。メキシコでは5%や6%の金利を得ることができます」とミュラー氏は説明する。このスタートアップのサービスでは、預金のごく一部を中程度のリスク投資にも配分することができる。

Processed with VSCO with hb2 preset


画像クレジット:Fondeadora

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

ウォレットアプリのKyashが約47億円調達、チャレンジャーバンクへの進化目指す

ウォレットアプリ「Kyash」や決済プラットフォーム「Kyash Direct」を展開するKyashは3月31日、シリーズCラウンドで約47億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

Kyashにとっては昨年7月に実施したシリーズBに続く調達で、本ラウンドを含めた累計調達額は約74億円となる。

今回興味深いのはリード投資家を務めたGoodwater CapitalとGreenspring Associatesを筆頭に、海外投資家が多く参画していること。具体的な投資家リストは以下の通りだが、既存投資家でもあるジャフコ以外は全て海外勢となった。

  • Goodwater Capital(既存投資家 / 米国VC)
  • Greenspring Associates(米国ヘッジファンド)
  • Altos Ventures(米国VC)
  • Greyhound Capital(英国グロースキャピタルファンド)
  • Partech Partners(米国VC)
  • Broadhaven Capital Partners(米国ヘッジファンド)
  • Tekton Ventures(米国VC)
  • ジャフコ(既存投資家)
  • Rahul Mehta氏(DST Globalのマネージングパートナー)

Kyash代表取締役の鷹取真一氏によると、同社にとって今回の調達は「決済からその先を作っていく」ことを目的としたものだ。以前から鷹取氏が言及していたデジタルバンク(チャレンジャーバンク)への進化に向け、関連するライセンスの取得なども含めて体制や事業基盤を整えていくという。

新しくなった「Kyash Card」を発表

Kyashでは昨年7月のシリーズB以降、いくつかのアップデートを行ってきた。

個人向けのウォレットアプリ・Kyashでは10月より新たなインセンティブプログラム「Kyashポイント」の提供をスタートし、2020年2月からは新しくなった「Kyash Card」の申し込みも開始した。

概要発表時にも紹介した通りだが、Kyash CardではICチップを搭載して新たにサインレス決済やVisaタッチ決済にも対応。これまで以上にスムーズな決済体験を実現するとともに、1回の利用限度額(30万円)と1ヶ月の利用限度額(100万円)を従来のリアルカードから大きく拡張した。

鷹取氏いわく「(従来の)ライトなプリペイドカードから、カード事業者としてより深く決済事業に入り込んでいくフェーズに差し掛かっている」状況だ。

法人向けのKyash Directについても10月にサービスを始めた。これはKyashがウォレットアプリを通じて培ってきた決済技術を外部企業でも使えるようにする取り組みで、カード発行からプロセシング業務まで、決済に関わる一連のプロセスをAPIを通じてワンストップで提供する。

利用企業にとっては長期の開発期間と大規模な初期投資が必要とされてきた法人Visaカードを、スピーディーかつ低コストで発行できることが大きな特徴だ。この基盤を用いたサービスとして、経費精算サービスと一体となった法人プリペイドカード「Stapleカード」がすでに発行を開始している。

ペイメントからバンキングへの進化へ

鷹取氏の中ではこの2つのサービスをAmazonにおける「Amazon.comとAWS」のような関係性だと捉えていて、今後のKyashにおいても両サービスを軸に展開していく計画。ただ足元ではウォレットアプリの方が1つの大きな転換期を迎えつつあり、これから決済・送金アプリからチャレンジャーバンクへの進化に向けた動きもありそうだ。

「現時点で開示できる情報は限られるが、バンキング関連の準備が徐々に整ってきている。今までは決済および送金ができるペイメントサービスの色が強かったが、今後はそれを軸に周辺の金融サービスも含めて横断的に提供することを目指していく」(鷹取氏)

Kyashが狙っているのは、ローンの引き落としや貯蓄といったセービングアカウントではなく、日常生活での支払いなどで活用するチェッキングアカウントとしての役割だ。

海外ではこの2つが明確に分けられている場合が多いそうだが、日本では「銀行口座」として1つにまとめられている。まずは国内で利便性の高いチェッキングアカウントとして使えるように、関連する機能を準備していく計画だという。

「今でも1ヶ月、1週間で必要な金額をKyashにチャージして支払いに使っているユーザーも多く、管理のしやすさやお金の流れを見える化できる点に利便性を感じてもらえている。その体験をより口座に近い概念で提供できると、もっと便利に使ってもらえる感覚がある」(鷹取氏)

鷹取氏の言う「口座に近い概念」が実現すると何が変わるのか。たとえば、そもそもチャージしなくても使えるようになる。わかりやすく言えば、Kyash上で給料を受け取れるという話だ。

もちろん現行の日本の労働基準法では電子マネーでの給与支払いが認められていないため、法律が変わらない限りは実現できない。ただこれについては以前から議論が進んでおり、規制の見直しが期待されている分野でもある。

Kyashでは電子マネーでの給与支払いが解禁されることも見据え、解禁後に少しでも早く対応できるようにライセンスの取得や体制の強化を進めていくとのことだった。

特定のライセンスに関する言及はなかったものの、現時点で同社は資金移動業者として登録されていないため、仮に給料をアプリ上で受け取れるようになっても現金で引き出すことができない。資金移動業の取得は当然視野に入っているだろう。

デジタルバンクとして新たな市場を作るチャレンジ

Kyash代表取締役の鷹取真一氏

今回同社が新たに資金調達を実施したのは、上述したようにデジタルバンク事業を推進することが大きな目的だ。本ラウンドでは複数の海外投資家が参加しているが、投資家からは既存事業のトラクションやプロダクト基盤なども踏まえた上で「海外のデジタルバンクと今後同じ軌道を辿っていけると期待してもらえた結果、投資に繋がった」という。

「海外では『Monzo』や『N26』など自分たちより数年先を行っているプレイヤーがいるが、各社はバンキングになったタイミングで一気に評価額を上げた。(デジタルバンクは)モバイルファーストの体験によってユーザーの利便性を上げているだけでなく、顧客獲得コストや管理コスト、収益構造なども従来の金融機関とは全く異なる」

「そこに業界を変革できる可能性があることを海外の投資家はいち早く目の当たりにしている。今回のラウンドではテクノロジーカンパニーがこの市場を変えていくと本気で信じている投資家に参画してもらえたことが自分たちにとっても大きい」(鷹取氏)

実際にGoodwater CapitalやGreyhound Capitalなど、すでに海外のチャレンジャーバンクへ出資している投資家が加わっているのも興味深いポイントだ(前者はMonzo、後者はRevolutに出資済み)。

チャレンジャーバンクに関しては欧米を中心にグローバルで複数のユニコーンが存在し、競争が激しくなってきている。一方でこの領域は法規制や既存事業者の状況など地域ごとでも大きく環境が異なるため、各地でローカルのプレイヤーが生まれやすい側面もある。少なくとも今回の投資家陣は、Kyashには日本で市場を作っていけるポテンシャルがあると考えているのだろう。

とはいえ日本の競争環境もシビアだ。昨年末の「ヤフーとLINEの統合合意」や「Origamiのメルカリグループ参画」のニュースは大きな注目を集めたが、変化のスピードが早い上に、豊富な資本力によるパワープレイの要素も大きく、スタートアップが単独で生き残っていくことは簡単ではない。

その点について鷹取氏は「国内の競争環境は当然無視できないものであり、ユーザー視点でも複数の選択肢が存在することは事実」としつつも、「他社サービスに勝つ・負けるということ以上に、日本の金融市場や社会において(デジタルバンクという)新しい市場を作っていけるかが最大の挑戦だ」と話す。

「自分たちの特徴はニュートラルで中立性が高いこと。何か別で本業のミッションがあるわけではなく、『ユーザーのファイナンシャルサクセスを実現すること』に注力して事業に取り組んでいるのはユニークなポジションだと考えている。新しい道を切り開き、市場を作っていけるようなリーディングプレイヤーを目指したい」(鷹取氏)

子供の小遣いに焦点を当てたチャレンジャーバンクのPixpayとは?

Pixpayは、親が子供に小遣いを渡そうとする際に現金以外の手段を提供しようとする、フランスのスタートアップだ。10歳以上であれば誰でもPixpayアカウントを作成し、デビットカードを入手して、小遣いを管理することができる。

チャレンジャーバンクは目新しいものではないが、その大部分は大人をターゲットにするものだ(訳注:チャレンジャーバンクとは、銀行業務ライセンスを取得し、当座預金、普通預金、住宅ローンなど既存銀行と同じサービスをすべてモバイルアプリ上で提供するビジネスモデルを特徴とする新興銀行)。もし他のチャレンジャーバンクである、N26またはRevolutのアカウントを作成しようとする場合には申請者は18歳以上である必要がある。保護者の同意を得ていて14歳以上であれば、Lydiaのアカウントは作成できる。

Pixpayは、Kardと同様に、十代の若者が現金を捨て去ることができるように、最新の支払い方法を提供しようとしている。親と子供の両方がPixpayアプリをダウンロードして、サービスとやり取りする。

アカウントを作成すると数日後に、子供はMastercardを受け取る。それはチャレンジャーバンクに期待されるものと同じ機能を提供する。PINコードをカスタマイズすること、ロックしたりロック解除を行うこと、各トランザクションに対して通知を受け取ることが可能だ。そして利用額、ATMからの引き出し、オンライン支払いや海外への支払いに制限をかけることもできる。Pixpayでは、オンライン支払い用の仮想カードを生成することもできる。

支出分析に加えて、数か月節約を続けて高価なものを購入できるように、資金を別に取り分けておくプロジェクトを作成することもできる。親は、子供たちに資金を節約する方法を教えるために、取り分けた金庫アカウントに金利を設定することもできる。将来的にPixpayは、例えばベビーシッターの仕事の後に10代の若者が報酬を貰えるようにしたいと考えている。

親たちは、Pixpayアプリから即座に送金できるが、選んだデビットカードからPixpayアカウントに資金を追加することができる。そして定期的に(たとえば週4ユーロ(約480円))、または一回だけ(たとえば映画チケットとファーストフードで15ユーロ(約1800円))の送金を行うことができる。

Pixpayを使用する複数の子供がいる場合、親は複数のアカウントそれぞれの様子を確認することができる。最終的には、スタートアップは、複数の親が子供のアカウントを管理できるようにしたいと考えている。これは、別れたカップルのために役立つだろう。

Pixpayの利用料金は、カード1枚あたり月額2.99ユーロ(約360円)だ。ユーロ圏での支払いとATMからの引き出しは無料。外貨での取引には為替手数料が2%かかり、ユーロ圏外でのATMから引き出しには2ユーロ(約241円)の手数料が必要になる。

同社は、Global Founders Capitalから340万ドル(約3億7400万円)を 調達した。Pixpayは、APIを使ってカードとeウォレットアカウントを生成できる、サービスとしての銀行(Banking-as-a-Service)プラットフォームのTreezorと提携している。

原文へ

(翻訳:sako)

モバイル専門銀行Atom Bankが1億ドル超を調達―、ミレニアル層をターゲットにしたサービスを展開

screen-shot-2017-03-03-at-18-07-04

イギリス発のスタートアップで、18〜34歳の消費者をターゲットとしたモバイル専門銀行を立ち上げたAtom Bankは、スペインの銀行BBVAが中心となったラウンドで新たに8300万ポンド(1億200万ドル)を調達した。なお、BBVAはAtomと似たサービスを提供している米Simpleの親会社でもある。今回のラウンドをうけて、Atom Bankの評価額(ポストマネー)は2億6100万ポンド(3億2000万ドル)に達したことが、同社との確認の結果わかった。またBBVAは、2015年11月に行われたAtomの1億2800万ドルのラウンドでも、リードインベスターを務めていた。

調達資金は、ユーザーベースとサービスの拡大、さらには貸出の原資として使われる予定だ。Atomは2016年4月に正式にローンチし、顧客はiOSAndroidの両OSに対応したアプリから同社のサービスを利用している。今日では、中小企業に対して住宅ローンやFixed Saver口座(金利固定の定期預金口座)、担保貸付といったサービスも提供されている。

今回のラウンドに関する発表の数週間前には、自分でスタートアップまで設立し、イノベーションの力を使ってファンを築こうとしている、テック起業家兼ミュージシャンのWill.i.amが、Atomの株式と引き換えに、コンサルタント兼顧問として同社に参加しようとしていると報じられていた。さらにこのニュースを報じたSky Newsは、Atomが1億ポンド近い資金を調達中だとも記していた。

Atomの広報担当者は、Will.i.amの件についてはコメントを控えているが、近々さらなる資金調達について発表予定だと話しており、もしかしたら追加調達元の投資家にWill.i.amが含まれているのかもしれない。

リードインベスターのBBVAは2940万ポンドを出資し、ポストマネーでも29.5%の持株比率を維持すると話している。前回の資金調達時の評価額は1億5250万ポンド(2億ドルちょっと)だったため、今回はかなりのアップラウンドだった。これでAtomの累計調達額は、2億1900万ポンド(2億6800万ドル)になる。

BBVAの持株比率が30%を下回っているのには理由がある。イギリス法のもとでは、30%以上の株式を保有している株主は、強制的に買収オファーを提示しなければならないのだ。

ブレグジットの影響で、イギリスの金融機関の行く末は未だハッキリしていないながらも、BBVAが限界点ギリギリで株式を保有し続けていることから、まだ何かが起きる可能性がある。

フィンテックはイギリスのテック業界の中で1番将来有望な分野だ。多くのスタートアップがその波に乗って、インターネットや携帯電話など新しいチャンネルを利用してプロダクトを提供しつつ、コスト削減を図っている。Atomにいたっては、マーケティング資料の中で初期の顧客のことを「ファウンダー」と呼んで彼らの機嫌を伺っているくらいだ。

Atom以外に類似サービスを提供している企業としては、Monzo(先日大型の資金調達を実施)、Starling、Tandemなどが存在する。

しかし全て企業にチャンスが残されている。イギリスの消費者は貯蓄講座などの金融商品に対して、長らく積極的に手を出してこなかったため、Metro Bankのような競合企業を含め、フィンテックスタートアップが従来の銀行に挑戦しようとしているのだ(AtomのCEOであるMark Mullenは、いわゆる「チャレンジャーバンク」のオンライン専門銀行First DirectのCEOを以前務めていた)。

Atomはサービスの利用状況に関して何の指標も公開していないが、まだサービスは初期段階にあり、ユーザー数もそこまで多くはないようだ。TechCrunchの取材に対し、現在のユーザー数は1万4000人で、その数は急速に伸びていると同社は語っていた。ちなみにイギリスの人口は6600万人で、Atomが特定の層を狙っているとはいえ、他の消費者の利用を制限しているわけではない。

いずれにせよ、将来的にユーザーベースを拡大できるよう、今のところ彼らは資金力の増強に力を入れているようだ。

「投資家からの反応には大変満足しています」とAtomのファウンダーで会長のAnthony Thompsonは語る。なお彼はAtom以前にも、Metro Bankを立ち上げてイギリスの銀行業界にディスラプションを起こそうとしていた。「Atomが著名な投資家からの支援を受けているということは、顧客にとってもプラスになります。彼らからの投資は、Atomの成長と将来へのプランに対する期待の表れです。これまでいくつかの施策に取り組んできましたが、銀行取引に対する私たちの新しいアプローチの革新性はまだ発揮されはじめたばかりです。Atomにはまだまだこれからも期待してほしいですね」。

今回のラウンドには、既存株主のWoodford Investment ManagementやToscafund Asset Management、他にも名前が公表されていない複数の投資家が参加していた。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter