【コラム】包括的なマーケティングチャネル、ニュースレターを成長させるための実証済みの戦術

メールによるニュースレターほど包括的なマーケティングチャネルは他にはない。ニュースレターならオーディエンスとのダイレクトな通信ラインを所有できる。投資収益率は40倍(1ドルの投資で最大40ドルの利益)、拡張性はほぼ無限、コストはほぼゼロだ。

しかし、こうした利点を引き出すには、戦術が必要だ。この記事では、Demand Curveで使用している戦術を紹介する。この戦術により、Demand Curveでは、質の高い5万人を超える購読者を獲得し、開封率50%以上を維持している。

60%ルールを使用してポップアップによるコンバージョン率を上げる

ポップアップは侵襲的と考えられることが多いが、やはり機能する。平均でも、サイト訪問者の3%をコンバージョンする効果がある。戦略的で高パフォーマンスのポップアップならコンバージョン率は10%に達することもある。

コンバージョン率が高く侵襲性の低いポップアップにするには、60%ルールに従ってみるとよい。

  1. ポップアップを表示するページを選択する。コンバージョンを重視したページ(製品ページ、チェックアウト、サインアップなど)以外のページを選択するようにする。当社の調査ではコンテンツページが最適だ。コンテンツページは何か特定の情報を探しているページ訪問者にとって信号の役目を果たす。
  2. ウェブサイト分析ソフトウェアを起動して、そのページの平均滞在時間を確認する。
  3. そのページの平均滞在時間の60%が経過したらポップアップが表示されるよう設定する。

例えば平均滞在時間が50秒のページであれば、そのページに訪問者がランディングしてから30秒経過した時点でポップアップが表示されるように設定する。

なぜ60%なのか。読者は貴社のコンテンツに興味を示しているが、ページを離れるときが近づいている。そのタイミングでニュースレターを購読するよう促して、メールの代わりにより適切なコンテンツが表示されるようにすることは、適正だと受け止められるだろう。

ニュースレターのサンプルを掲載して品質の高さを示す

貴社のコンテンツを初めて見る訪問者に、ニュースレターの購読を勧めて成功すれば大きく前進する可能性はあるが、大半の新規訪問者はすぐには購読しない。新規訪問者と購読者の間のギャップを埋めるには、サインアップページにサンプルを掲載するとよい。最も魅力的なニュースレターをサンプルとして掲載して、コンテンツの質の高さを示すようにする。

最も魅力的なニュースレターを探すには、既刊号を開封率と返信でフィルタリングする。メールサービスプロバイダーにアクセスして、発行済みのニュースレターを開封率で並べ替えてみるとよい。これによりどのような件名のニュースレターが既存の読者に最も人気があるのかを特定できる。

次に、受信箱に移動して、ニュースレターに対する返信を並べ替えて、読者からの返信が最も多かったニュースレターを特定する。これは、その号が最も反響が大きく、無料サンプルとしてふさわしいことを示す良い証拠となる。

画像クレジット:Demand Curve

実在の人物からのメールのほうが開封率が高い

読者はサインアップした後のウェルカムメールを反射的に無視することが多い。しかし、ウェルカムメールを開く読み手のほうが、以降のニュースレターを毎回開く可能性が高い。

新規購読者がウェルカムメールを開くように促すには、購読に感謝するメールの配信を意識的に遅らせたり、送信者がはっきり分かるようにするなどして、ウェルカムメールのパターンを崩してみる。

ウェルカムメールの配信を45分遅らせる。これにより、サインアップ後数秒以内に配信されるメールを無視する新規購読者の反射的反応を回避できる。当社の調査によると45分が理想的だ。45分というのは従来のパターンを崩すには十分長い遅延であるが、ウェルカムメールが受信箱内に埋もれてしまうほど長くもない。

ウェルカムメールは、ビジネスアカウントからではなく、個人が送信するようにする。送信者を企業の創業者か確立されたオーディエンスを持つ人物にするととりわけ効果的だ。会社のロゴではなくその人物の写真を使うことで、メールが引き立つ。

送信者個人の受信箱があふれるのを防ぐには、メール送信専用に使用するウェブサイトのサブドメインを作成する。送信者のアカウントを作成し、以降ニュースレターの発行にはそのアカウントを使用する。これにより送信者の受信箱があふれるのを回避できるため、送信ドメインの健全性を維持できる。

画像クレジット:Demand Curve

新規購読者に特別号を送る

新規購読者は初回号の受信を楽しみにしている。新規購読者に確実に満足してもらうには、既刊号で特に良かったものを寄せ集めた初回特別号を作成するとよい。ただし、サインアップページにサンプルとして掲載したのと同じコンテンツは使わないように注意すること。

この初回特別号をウェルカムメールといっしょに送信して、新規購読者にニュースレターの価値(良さ)を分かってもらうようにする。これまでで最も良かった号を最初に送信しておけば、購読者は、以降の号も楽しみに待っていてくれる。

ウェルカムメールは長ったらしいものよりも簡潔でコンパクトにしたほうがよい。ウェルカムメッセージは簡潔にし、初回号は内容を充実させるようにする。ウェルカムメールと初回特別号が届いたら、以降は定期的な頻度で発行する。

画像クレジット:Demand Curve

発行回数を減らすことを検討する

Twitter上の2万4000人のマーケターたちを対象に「ニュースレター疲れ」で購読解除していないかというアンケートを実施したところ、

発行数が多過ぎるニュースレターは購読解除するという回答者が8割もいた。

購読者を疲れさせないためには、以下の点に注意する。

購読者がニュースレターの受信頻度を調整できるようにする:週1回の頻度で受信したい購読者もいれば、月1回で十分という購読者もいる。各号の末尾に、オプトアウト用のリンクを置いて、購読者がニュースレターの受信頻度をカスタマイズできるようにする。受信頻度は下がっても購読状態は維持されるようにすれば、その購読者とのつながりを保つことができる。完全に購読解除されるのは避けるようにしたい。

発行回数を減らす:四半期ごとの最大発行部数に制限をかけるようにすれば、必然的に、限られた部数のコンテンツを充実させようと努力するようになる。単に、購読者の受信箱に入り込むという目的のためだけに発行部数を増やしても、あなたも読み手も疲弊するだけだ。当社調査によると、発行部数とコンバージョン率の間には相関関係はないことが分かっている。

お堅い内容だけでなくおもしろい内容も含める

受信箱内の大半のメールはお堅い内容だ。目立つには、ウェブから収集した愉快なミーム、ジョーク、おもしろいリンクなどを含めるようにするとよい。

この戦術は毎号読者を楽しい気分にさせるという意味で、極めて効果的だ。毎号、すべての購読者の共感を呼ぶ内容を書くのは不可能だ。対照的に、ユーモアは何人にも通じる。おもしろい笑えるコンテンツを含めることで、すべての読者に満足感を与えることができる。

これはニュースレターを読む習慣の形成にも役立つ。毎号、少し内容が違っていれば、読者は、新しい号が届いたときに、どのような内容なのか分からない。ニュースレターの末尾に何かおもしろい内容を書くようにすると、読者にご褒美を与えることになって効果的だ。つまり、お堅いものを読んだ後に、笑えるものでご褒美を与えるというわけだ。

当社では毎号ミームを追加するようにしている。読者からはとてもおもしろかったという感想をいただいている。

画像クレジット:Demand Curve

他者への紹介をシームレスに行えるようにする

購読者が他者に紹介してくれれば、ニュースレターをコストなしで成長させることができる。購読者が他者に紹介してくれる可能性を高めるには、紹介プロセスを25秒以内に抑えるようにする。

毎号の終わりにニュースレターを他者に紹介できることを読者に知らせる。簡単なのは、興味を持ってくれそうな友人にメールを転送してもらう方法だ。ニュースレターの冒頭部分に、紹介された人が購読手続きを実行できるページへのリンクを含む短い文を含めるようにする。

もう少し高度な戦術として、紹介プログラムに対する購読者の一意なリンクを含めて、購読者が自分で紹介した人数を追跡できるようにする方法もある。メールやソーシャルメディア経由で共有するオプションも用意しておく。

毎号ウェブ版も用意して、メール以外でも簡単にコンテンツを共有できるようにしておく。大半のメールサービスプロバイダーはウェブ版を自動生成して、ソーシャルメディア等で拡散できるようにしている。また、コンテンツをコピーしてウェブサイトにブログ記事として投稿すれば、検索エンジンにも引っかかるようになる。

ニュースレターを紹介してくれた購読者に報酬を与えることを検討する。商品が紹介の動機となるのは、貴社のブランドが有名かかなり特殊な場合だけだ。当社は排他的コンテンツを使用して紹介を奨励することをお勧めしている。5人以上の友人を紹介してくれた購読者に毎月特別号をお送りする。これにより、コストを抑えながら、購読者により豊富な情報を提供できる。

紹介が効果を表すには購読者が最小必要人数を超えている必要がある。当社の調査によると、購読者約1万人がしきい値であることが分かっている。ただし、オーディエンスのエンゲージメントが非常に高いか、コミュニティがアクティブな場合は、無料の紹介プログラムを実装しても事実上不都合が生じることはない。

フォロワーを購読者に変える方法

購読者はソーシャルメディアを介して貴社のコンテンツを知るようになるかもしれないが、ソーシャルメディアのオーディエンスはそのメディアプラットフォームのものであり、貴社はそうした購読者と直接やり取りするためのチャネルを所有しているわけではない。フォロワーをニュースレターの購読者に変えることができれば、オーディエンスとダイレクトにやり取りして、関係を深めることができる。

フォロワーにニュースレターの購読を売り込むには、自分の略歴にリンクを含めるとよい。これは当たり前のように聞こえるかもしれないが、実際にそうしている人は少ない。あなたのソーシャルメディアのプロフィールを見た人に、ニュースレターにサインアップするよう呼びかけるのだ。そうしなければ、見た人は、貴社がニュースレターを運営していることさえ分からない。

ツイッターのスレッドやLinkedInの投稿を途中で切り上げて、すべてを読むにはニュースレターの購読をどうぞ、と呼びかけることもできる。

ニュースレター経由でしかアクセスできないオファーや独自のコンテンツを作成するのもよい。これにより、貴社のメーリングリストに参加して排他的なコンテンツや特殊なオファーを受け取るようフォロワーを動機づけることができる。

まとめ

新規購読者の獲得:自社のサイトで、適切なポップアップを購読の意志がある読者にのみ表示する。ニュースレターのサンプルを掲載して、貴社のニュースレターを購読すべき理由を示す。ウェルカムメールを目立たせ、初回号としてこれまでで最も良かった号を送る。

購読者の維持:購読者のもっと読みたいという気持ちを保つため、発行回数を抑える。ユーモアやおもしろいリンクを散りばめて、ニュースレターの購読を習慣にしてもらう。

ニュースレターの拡大:排他的なコンテンツやオファーを使って、貴社のソーシャルメディアのフォロワーにニュースレターを購読してもらうように仕向ける。購読者にニュースレターを他者に紹介してもらうことで購読者ベースの拡大を図る。

編集部注:本稿の執筆者Stewart Hillhouse(スチュワート・ヒルハウス)氏は、Demand Curveのシニア・コンテンツ・リードとして、実用的なグロース・マーケティングの洞察をまとめている。夜にはポッドキャスト「Top Of Mind」でマーケターやクリエイターにインタビューしている。マーケティングの世界に入る前は、セミプロの木こりだった。また、stewarthillhouse.comで執筆活動を行っている。

画像クレジット:Ihor Reshetniak / Getty Images

原文へ

(文:Stewart Hillhouse、翻訳:Dragonfly)

【コラム】クリエイティブがグロースマーケティングの決定的なXファクター

今後、グロースマーケティングがプライバシー保護を重視した、ターゲットの曖昧なものに移行するとき、Facebook(フェイスブック)などの有料ソーシャルチャネル上のクリエイティブが最も強力な手段になるだろう。重宝しているiOS 14.5で特定機能が利用できなくなってこの傾向は加速されたが、さまざまなチャネルで広告プラットフォームの自動化に向けた取り組みが強化されている。

それで筆者は、シードステージのスタートアップであれ、Google(グーグル)のような巨大企業であれ、グロースマーケティングを推進する場合は常に、クリエイティブをテストする適切なフレームワークの準備を整えるべきだと思う。

筆者は、Postmates(ポストメイツ)で3年間働き、さまざまなスタートアップのためにコンサルティングをし、直近ではUber(ウーバー)で仕事をして、多くの点でマーケティングが変化する様子を見てきた。しかし、我々が今目にしているものは我々の制御を超えたファクターによって動いており、今まで見てきたどんなものとも異なる変化が始まっている。続いて、有料のソーシャルアカウントでクリエイティブが最も強力な手段として登場した。

基本

クリエイティブの力を活用し、有料のソーシャルマーケティングで成功を収めようと考えているなら、その考え方は正しい。必要なのは、クリエイティブをテストするフレームワーク、つまり新しいクリエイティブアセットをテストする構造化された一貫性のある方法である。

次に、クリエイティブをテストするフレームワークを成功させるために必要な基本要素を示す。

  • 決められたテストスケジュール
  • テーマを構造化したアプローチ
  • チャネルに特化した戦略

クリエイティブのテストは、決められたテストスケジュールに従った、持続的で反復的なプロセスにする。目標と構造は、毎週5つの新しいクリエイティブアセットをテストするシンプルなものにできる。逆に、複数のテーマとコピーバリエーションから成る60の新しいアセットをテストする複雑なものにもできる。

出費があまり多くないアカウントの場合、イベントシグナルが限られているのでクリエイティブのテストは比較的限定的なものにする。出費の多いアカウントの場合はその逆にする。最も重要なことは、次の「優れた」アセットを探す際、テストを継続して目ぼしいものを見つけることである。

4つのテーマ×テーマごとに3つの変化形×5つのコピーバリエーション=60のアセット(画像クレジット:Jonathan Martinez)

テストのスケジュールを設定したら、思いつきのアイデアを大量にテストするのではなく、ビジネスとバーティカル市場の主要なテーマを定義する。これは、コピーや、製品とサービスの主要な価値提案と同様に、クリエイティブアセットにも当てはまる。クリエイティブのデータ分析を始めると、この構造を活用してテストすることで、何を強化し、何をカットするか、簡単に決定できることがわかるだろう。これは、テストの過程を通じて拡張または縮小するワイヤーフレームと考えることができる。

MyFitnessPal(マイフィットネスパル)のようなフィットネスアプリの場合、次のように構造化できる。

  • テーマ(製品のスクリーンショット、製品を使っている人の画像、UGCのユーザーの声、事前・事後の画像)
  • メッセージ(セグメント化された価値提案、宣伝広告、FUD)

チャネルは、クリエイティブのベストプラクティスやテストの機能がそれぞれ異なるので、チャネルに特化したアプローチになっていることを確認することは非常に重要である。フェイスブックでうまくいくことが、Snapchat(スナップチャット)やその他多くの有料ソーシャルチャネルでもうまくいくとは限らない。クリエイティブのパフォーマンスがチャネルによって異なるとしてもがっかりすることはないが、筆者は等価性テストを推奨する。あるチャネル向けのクリエイティブアセットがすでにある場合、残りのチャネル向けにサイズ変更して体裁を整えても問題はない。

何が成功かを判断する

適切なイベント選択と、テスト全体を通じて守る統計的に有意なしきい値は、クリエイティブにとって等しく重要である。クリエイティブのテストに使うイベントを選択する際、CACのレベルによっては、必ずしも自社のノーススターメトリックを使えるとは限らない。例えば百単位のCACで高額のアイテムを売る場合、各クリエイティブアセットで統計的に有意な値に達するには、多額の出費が必要になるだろう。代わりに、ファネル上部寄りのイベントと、ユーザーの転換の可能性を示す信頼性の高い指標を選ぶことができる。

ファネル上部寄りのイベントを使うと、学習の迅速化につながる(画像クレジット:Jonathan Martinez)

使用する統計的に有意な割合を決める際、クリエイティブのテスト全体にわたって一貫した割合を選択することは重要である。経験上、筆者は80%以上の確実性を好む。それによって、十分な確認と決定の迅速化が可能になるからだ。Neil Patel(ネール・パテル)氏のA/Bテスト向け有意性計算ツールは、便利な(無料の)オンライン計算ツールである。

成否を分けるもの

ソーシャルフィードをスクロールしていて、光沢のあるゴールドのペンダントに目が留まったとしよう。しかし、メッセージはブランド名と製品の仕様だけである。注意を引かれはしたが、引き寄せられるものが何かあっただろうか。考えてみて欲しい。人の注意を引くだけでなく「クリエイティブ」、つまり有料のソーシャルグロースマーケティングで成否を分けるファクターを使って、引き寄せているだろうか。

iOS 14.5のデータロスを迂回する

iOS 14.5でユーザーデータがわかりにくくなり、モバイルキャンペーンにおいてクリエイティブのテストは厳しくなる一方だが、不可能というわけではなく、ただもっと賢くなる必要があるということである。クリエイティブのパフォーマンスに関する明瞭なインサイトを得るのに役立つアイデアはいろいろあり、長続きしないものもあれば、ずっと残るものもあるだろう。

プライバシー保護のための制限はたくさんあるが、膨大な数のAndroid(アンドロイド)ユーザーには依然としてアクセス可能であり、これを活用しない手はない。クリエイティブのテストをすべてiOSで実施する代わりに、インサイトを収集する明瞭な方法としてアンドロイドを使うことができる。プライバシー保護のための制限はまだアンドロイドデバイスに課されていないのだ。アンドロイドでのテストで収集されたデータは、次にiOSでのキャンペーンに適用できる。アンドロイドでのデータにも制限が課されるのは時間の問題でしかないので、iOSでのキャンペーンに情報を提供できるこの回避策を活用するのは今である。

アンドロイドでのキャンペーンが実行可能なオプションでない場合、手早く簡単な別のソリューションは、Webサイトのリードフォームを断念し、クリエイティブアセットから記入済みフォームへの転換率を測定することである。ユーザーエクスペリエンスは確かにエバーグリーンコンテンツと比べればまったく驚くほどのものではないが、これを使えば短期間でインサイトを得ることができる(しかも、予算のほんの一部で)。

リードフォームを作成する場合は、エバーグリーンエクスペリエンスの重要な指標となるイベントを完成させるユーザーを見極めて明らかにする質問を考えよう。ユーザーがリードフォームに記入し終えたら、コミュニケーションを取ってユーザーの転換を図り、広告費を有効に使うことができる。

アカウントステージに基づいて取り組む

クリエイティブアセットのタイプに応じたテストの取り組みはアカウントステージアカウントステージによって大きく異なり、模倣、反復、イノベーションの3つに分けることができる。

クリエイティブのテストのタイプは時間とともに変化する(画像クレジット:Jonathan Martinez)

アカウントステージが初期であればあるほど、クリエイティブの方向性が他の広告主によって有効であることが証明されたものに依存する度合いは大きくなる。それらの広告主は、アセットのパフォーマンスの証明に多くの出費をしてきており、そこから強力なインサイトを得ることができる。時間の経過とともに、他の広告主から導き出す速度をわずかに落とし、ベストパフォーマンスの反復に重点を置くことができる。筆者が割合を決めるとすれば、初期段階では取り組みの80%を模倣に置く。成功事例が明らかになるにつれて自然と反復の勢いが増し、イノベーションが大きく遅れて最後の柱になる。

これは、すばらしいアイデアがある場合でも初期段階ではイノベーションを試すことはできないということではが、一般に、十分に成長した企業の方が革新的なアイデアの検証に多額の出費をする余裕がある。また、社内にデザインチームがあるにしても、フリーランスのデザイナーと一緒に取り組むにしても、50の異なる革新的なアセットを考えてデザインするより、50のバリエーションを考える方がはるかに簡単である。模倣と反復により、初期のテストは大幅に効率的になる。

競合他社のインサイトを活用する

ブレインストーミングをして、最高に美しく、目を引いて、人を引き付けるクリエイティブを思い描くことは、必ずしも数秒でできることではなく、数分でも、数時間でもできるとは限らない。ここで、競合他社のインサイトを利用することが関係してくる。

最も充実したリソースはフェイスブックの広告ライブラリである。そこには、プラットフォーム全体であらゆる広告主が使っているすべてのクリエイティブアセットがある。実際のところ、この無料の強力なツールのことを知っている人がほとんどいないことに、筆者はいつも驚かされる。

このライブラリで競合他社やクラス最高の広告主を参照すると、広告主が長く使ってきた具体的なアセットに、優れたパフォーマンスのクリエイティブの証拠を見ることができる。どうしてそれがわかるかというと、便利なことに、広告主がクリエイティブを使い始めた日付のスタンプが各アセットにあるのだ。これは非常に役に立つ。筆者は、何時間でもクリエイティブアセットを調べていられる。それぞれの広告主が、情報とひらめきをさらに提供してくれる。

有料のソーシャルグロースマーケティングで努力を傾ける分野を考えるときは、クリエイティブをリストのトップに置く必要がある。データがますますわかりにくくなるにつれ、アイデアに富んだ考え方をする必要がある。そうした考え方が、成功と失敗の分かれ目になる。実行する戦略のタイプは時間とともに変わるが、変わらないのは、強力なクリエイティブ、つまり成功を左右するファクターの重要性である。

編集部注:本稿の執筆者Jonathan Martinez(ジョナサン・マルティネス)氏は、元YouTuberで、カリフォルニア大学バークレー校の卒業生であり、Uber、Postmates、Chimeをはじめとするさまざまなスタートアップ企業の成長を支援してきた成長マーケティングのオタク。

画像クレジット:MirageC / Getty Images

原文へ

(文:Jonathan Martinez、翻訳:Dragonfly)

Vungle傘下のモバイルマーケターが「Fontmaker」をApp Storeのトップに押し上げたカラクリとは

よくあることだろうか?TikTokをはじめとするSNSで話題になったアプリが、すぐにApp Storeのトップに躍り出て、その露出度の高さからさらに新規インストール数を増やしていく。最近、米国のApp Storeで1位になった定額制のフォントアプリ「Fontmaker」は、TikTokの動画やその他のSNS投稿による口コミの恩恵を受けていたようだ。しかし、ここで私たちが目にしているのは、App Storeマーケティングの新しい形であり、この分野で最も歴史のある企業の1つ、Vungleを巻き込んだものだ。

Fontmakerは、一見すると、大ヒットしたインディーズのアプリのように見える。

Mango Labsが開発したこのアプリは、ユーザーが自分の手書き文字を使ってフォントを作成し、それをカスタムキーボードで利用できるというもので、1週間あたり4.99ドル(約551円)というかなり高額な料金が設定されている。このアプリが最初に登場したのは7月26日だった。Sensor Towerのデータによると、約1カ月後には、米国のApp Storeで第2位のアプリとなった。8月26日には、さらに1つ順位を上げて1位になったが、その後、無料アプリ総合ランキングの上位から徐々に下がっていったという。

8月27日には15位となり、翌日には一時的に4位まで上昇したが、その後は再びランクダウンした。現在アプリは全体で54位、競争の激しい写真 / ビデオカテゴリーでは4位となっているが、主に若いユーザーをターゲットにした新しくてややニッチな製品としては、堅実な位置にある。Sensor Towerによると、このアプリは現在までに6万8000ドル(約750万円)の収益を上げている。

しかしFontmakerは、ボットではなく実際のユーザーからのダウンロード数の増加によってトップチャートにランクインしたにもかかわらず、真の純粋なサクセスストーリーとは言えないかもしれない。むしろ、モバイルマーケティング担当者がアプリのインストールを促進するために、インフルエンサーのコミュニティを活用する方法を見つけ出した一例と言えるだろう。また、インフルエンサーマーケティングによって流行ったアプリと、真の需要によってApp Storeのトップに躍り出たアプリとを区別するのは難しいということを示す例でもある。例えば、トランシーバーアプリのZelloは、ハリケーン「アイダ」の影響で最近1位になったという。

Fontmakerは、典型的な「インディーズアプリ」ではない。実際のところ、誰が作ったのかは不明瞭だ。そのパブリッシャーであるMango Labs, LLCは、実際には、モバイル成長企業JetFuelが所有するiTunesの開発者アカウントである。JetFuelは最近、モバイル広告・収益化企業のVungleに買収された。Vungleは長年この分野で活躍し、時には物議をかもした企業で、自身も2019年にBlackstoneに買収されている。

Vungleが主に関心を示したのは、JetFuelの主力製品であるインフルエンサー向けアプリThe Plugだった。

モバイルアプリの開発者や広告主はThe Plugを通じて、合計したInstagramのフォロワー数は40億人、TikTokのフォロワー数は15億人、Snapchatの1日の再生回数は1億回になる1万5000人以上の検証済みインフルエンサーが集うJetFuelのネットワークにアクセスできる。

マーケターは、これらのネットワークのそれぞれに組み込まれた広告ツールを使ってターゲット層にリーチしようと試みることもできるが、JetFuelの技術を使えば、Z世代のうち価値の高いユーザーにリーチするためのキャンペーンを迅速に展開することができるとしている。このシステムは、従来のインフルエンサーマーケティングよりも労力をかけずに済む場合がある。広告主は、アプリのインストールに対して、CPA(Cost Per Action)ベースで支払いを行う。一方、インフルエンサーはThe Plugをスクロールして宣伝したいアプリを見つけ、それを自分のSNSアカウントに投稿するだけで、収益を得ることができる。

The Plugのウェブサイト。インフルエンサーにプラットフォームの仕組みを紹介している

つまり、多くのインフルエンサーがFontmakerに関するTikTok動画を作成し、消費者にアプリのダウンロードを促していたかもしれないが、インフルエンサーはそれに対する報酬を得ていたのだ(また、Fontmakerのハッシュタグを見ていると、金銭的な関係を一切開示せずに動画を作成している場合が多く、これはTikTokで増加しているよくある問題であり、FTCも懸念している)。

厄介なのは、Mango LabsとJetFuel / Vungleの関係を整理することだ。App Storeを見ていると、Mango Labsは楽しい消費者向けアプリをたくさん作っているように見えるし、Fontmakerはその中でも最新のものだ。

JetFuelのウェブサイトがこのイメージの促進にも役立っている。

同社はMango Labsという「インディー開発者」のケーススタディと、同社の初期アプリの1つであるCaption Proを使い、インフルエンサーマーケティングの仕組みを紹介していた。Caption Proは2018年1月に配信された(App Annieのデータによると、2021年8月31日にApp Storeから削除されている)。

画像クレジット:App Annie

しかし、VungleはTechCrunchに対し「Caption Proアプリはもう存在しないし、長い間App StoreやGoogle Playにも載っていない」という(App Annieの記録には、Google Playにこのアプリが掲載されている記録は見つからなかった)。

また「Caption Proは、JetFuelになる前にMango Labsが開発したもの」であり、JetFuelの広告機能を強調するためにケーススタディを使用したのだとも話した(しかし、その関係を明確に開示することはなかった)。

「JetFuelが現在のようなインフルエンサーマーケティングプラットフォームになる前、同社はApp Store向けのアプリを開発していました。同社がマーケティングプラットフォームへと方向転換した後、2018年2月にはアプリの作成を中止しましたが、Mango Labsのアカウントを時折使用して、第三者機関と収益化パートナーシップを結んだアプリを公開し続けていました」とVungleの広報担当者は説明している。

つまりこの主張は、Mango Labsは元々、ずっと前に方向転換してJetFuelになった人々やCaption Proのメーカーと同一であったけれども「Mango Labs, LLC」の下で公開されている新しいアプリはすべて、JetFuelのチーム自身が作ったものではないということだ。

「App StoreやGoogle PlayでMango Labs LLCの名前で表示されているアプリは、実際には他社が開発したものであり、Mango Labsはパブリッシャーとしての役割しか果たしていません」と広報担当者はいう。

Mango Labsを「インディー開発者」と表現するJetFuelのウェブサイト

この主張が腑に落ちないのには理由があり、JetFuelのパートナーがMango Labsの名前に隠れて喜んでいるように見えるからだけではなく、Mango Labsが過去にJetFuelチームのプロジェクトであったからでもある。また、Mango LabsとTakeoff Labsが一連の同じアプリを提供していることも奇妙だ。Mango Labsと同じく、Takeoff LabsもJetFuelと関係がある。

この記事を書いている現時点で、Mango LabsはApp StoreとGoogle Playの両方でいくつかの消費者向けアプリを公開している。

iOSでは、最近のNo.1アプリFontmakerをはじめ、FontKey、Color Meme、Litstick、Vibe、Celebs、FITme Fitness、CopyPaste、Part 2などがある。Google Playでは、さらに2つのアプリ、StickeredとMangoを提供している。

画像クレジット:Mango Labs

App StoreにあるMango Labsのリストのほとんどは、アプリの「開発者のウェブサイト」としてJetFuelのウェブサイトを提示しており、VungleがいうJetFuelがアプリのパブリッシャーとして機能していることと一致している。

しかし奇妙なのは、Mango Labsのアプリ、Part2が、App StoreのリストでTakeoff Labsのウェブサイトにリンクしていることだ。

Vungleの広報担当者は当初、Takeoff Labsは「独立したアプリ開発会社」であると説明していた。

Takeoff Labsのウェブサイトには、JetFuelの共同創業者兼CEOのTim Lenardo(ティム・レナルド)や、JetFuelの共同創業者兼CROのJJ Maxwell(JJ・マックスウェル)など、JetFuelのリーダーたちで構成されたチームが表示されている。Takeoff LabsのLLC登記申請書は、レナルドによって署名されている。

一方、Takeoff Labsの共同創業者兼CEOのRhai Goburdhun(ライ・ゴバードハン)は、LinkedInとTakeoff Labsのウェブサイトを見ると、今も同社で働いているのだ。この関係について質問されたVungleは、ウェブサイトが更新されていないことに気づかなかったと答えており、今回の買収ではJetFuelもVungleもTakeoff Labsの所有権を持っていないとのことだ。

Takeoff Labsのウェブサイトには、JetFuelの共同設立者を含むチームが掲載されている

Takeoff Labsのウェブサイトでは、同社の「ポートフォリオ」として、Mango LabsがApp Storeで公開しているCeleb、Litstick、FontKeyの3つのアプリも紹介されている。

Google Playでは、Takeoff LabsはCelebsの他、VibeとTeal(ネット銀行)の2つのアプリの開発者となっている。しかしApp Storeでは、Vibeを公開しているのはMango Labsだ。

Takeoff Labsのウェブサイトでは、同社のアプリのポートフォリオが紹介されている

(さらに事を複雑にするわけではないが、RealLabsという企業もあり、同社はJetFuelやThe Plug、そしてMango LabsがGoogle Playで公開しているアプリMangoなどの消費者向けアプリを提供している。Labsという名前を付けたがっている人がいるようだ)。

Vungleによれば、この混乱は、同社がMango LabsのiTunesアカウントを使ってパートナーのアプリを公開していることと関係があり、これはApp Storeでは「よくあること」だと主張する。Vungleも混乱を招いていると認めており、Mango Labsで公開されているアプリを開発者のアカウントに移行するつもりだという。

またVungleは、JetFuelは「現在アプリストアで公開されているいかなる消費者向けアプリも作っておらず、所有していません。同社がMango Labsとして知られていた頃に作られたアプリは、ずいぶん前にアプリストアから削除されています」と主張している。

JetFuelのシステムは混乱しているが、今のところその目標は成功している。Fontmakerは、インフルエンサーマーケティングによってグロースハックが行われ、確かに1位になった。

しかし消費者としては、自分がダウンロードしているアプリが実際に誰によって作られたのか、そして自分が非公開の広告に「影響」されてダウンロードしたのかどうかを知ることができないということになる。

インフルエンサーによるプロモーションを通じてグロースハックによりトップに躍り出たのは、Fontmakerが初めてではない。夏に大ヒットしたPoparrazziも、同様の方法でApp Storeのトップに躍り出た。しかしPoparazziはその後、写真 / ビデオ部門で89位に沈んだ。

Fontmakerについては、手を回したインフルエンサーのおかげで1位を獲得したものの、トップチャートにいる時間は短いものだった。

関連記事:米App Storeトップに華々しく登場、作られた完璧さが並ぶInstagramのアンチを謳う新SNS「Poparazzi」

画像クレジット:Fontmaker

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

迫るiOS 15リリースでマーケティング担当者が失うデータ、計画すべきDIYメトリクス戦略

Apple(アップル)は、米国時間9月20日(日本時間9月21日)に同社がリリースするiOS 15の一部として、重要なユーザーデータへの開発者のアクセスを排除することを計画しており、メールマーケティング担当者は、これからメトリクスをどのように把握していくかジレンマに陥っている。この問題に業界がどのようにアプローチしているのか、マーケティング担当者が収集したデータに基づいて行動することを支援するソフトウェア企業Movable InkのVivek Sharma(ヴィヴェック・シャルマ)CEOに話を聞いた。

このインタビューでは、8月に掲載されたExtra Crunch記事をベースに、メールマーケティング担当者がAppleのメールプライバシー保護の変更に備える方法を探っていく

今回のアップデートでメールマーケティング担当者にとってゲームチェンジャーなのは、AppleのMailのユーザーが自分のIPアドレスを隠すことができるようになった点だ。

マーケターたちはどのようにして戦術をピボットし、メトリクスを管理し続けられるのだろうか。シャルマ氏は、開封率ではなく、クリック数、コンバージョン数、収益といったダウンストリームメトリクスがより重視されるようになるだろうと考えている。「それはいいことのように聞こえますが、その分データは少なくなります。そして定義上、ファネルは狭くなり、その時点では人数が少ないので、何かがうまくいっているのか、うまくいっていないのかを知るのに時間がかかるかもしれません」。

シャルマ氏は、企業はゼロパーティデータに注目していると語る。「これには2つの要素があります。1つは指標としての『オープン』で、もう1つはオープン時に得られるIPアドレスや時間帯、推測される天候などの情報です。IPアドレスや日時などのような情報は、データ漏洩として認識されます。これらは、マーケターがアクセスできなくなるデータポイントのほんの一部です。そのため、彼らはすでに投資しているファーストパーティデータやゼロパーティデータを利用しています」。

シャルマ氏によると、課題は次のようなことになる。マーケターはどうすれば、ゼロパーティデータをおもしろく、視覚的に魅力的な方法で収集し、そのコンテンツをすべての顧客に対して大規模にパーソナライズできるのか?

以下に示したのは、Movable Inkがゼロパーティデータを収集した方法の1つだ。

「ゼロパーティデータ戦略」
世界的なアパレル小売企業が、ロイヤルティプログラムの導入時にゼロパーティデータを巧みに取り込みました。Movable Inkを利用したEメールでは、Movable Ink ExchangeのパートナーであるOracle CrowdTwistのデータを活用して、パーソナライズされたチェックリストのヒーロー画像を作成し、受信者のロイヤルティアカウントから主要なプロフィール質問を引き出し、完了までの進捗を表示し、回答ごとにポイントを提供しました。この合成画像は、Movable Inkが受信者の受信箱で消費したロイヤルティデータに基づいて自動的に生成され、1to1ユーザー体験を実現し、手動の制作プロセスを完全に回避しました。
​​レスポンス率149%アップ、ユニークCTR340%アップ(コントロール比)
画像クレジット:Movable Ink

シャルマ氏は次のように述べている。「ここにあるものはすべてアンケート調査の質問です。『ふだん何を買いますか』『靴のサイズは?』そして、そのお返しにポイントを付与するという、価値の交換が行われているのです。彼らは明確な方法であなたのことを知り、あなたが興味を持っているブランドと簡単に関わり合える方法を提供しているのです」。

データを手に入れたら、次の問題はそれをどのように利用するかだ。JetBlue(ジェットブルー)航空の例を見てみよう。

JetBlue パーソナライズド「イヤー・イン・レビュー」データ視覚化
2020年は旅行が困難な1年だったのを受けて、JetBlueはTrueBlueマイレージ会員を認識し、個々の乗客の旅行マイルストーンを紹介するために、一人ひとりパーソナライズされた、1年を振り返るデータビジュアライゼーションを提供したいと考えました。
Movable Inkは、JetBlueの記録システムからデータを抽出し、何十万通りもの組み合わせのクリエイティブアセットを各受信者の受信箱に直接自動生成することで、高価で時間のかかる手作業による制作を不要にしました。
画像クレジット:Movable Ink

シャルマ氏は、メールマーケティング担当者向けに、iOS 15での3つの重要なポイントを説明してくれた。

  1. クリック数やコンバージョン数などのファネル下部のメトリクスを重視すること。これこそが本当の意味でのエンゲージメントの指標となります。
  2. ゼロ・ファーストパーティデータ資産に投資する。真のパーソナライゼーションとは、人々が何を体験し、何を見るかということ。そのためには、ゼロパーティデータとファーストパーティデータを活用する必要があります。
  3. Eメールは、すでに投資されている成熟したチャネルであるため、顧客のエンゲージメントを高めるのに非常に有効です。Eメールは、顧客と一対一の関係を築くのにはすばらしいチャネルであり、それ以上の効果があります。この10年、15年の間に、Eメールはさまざまな変化を遂げてきました。この業界は進化し、プライバシーとパーソナライゼーションのバランスが取れたものになっていくでしょう。

画像クレジット:FeelPic

原文へ

(文:Miranda Halpern、翻訳:Aya Nakazato)

婚活アプリ「Omiai」のネットマーケティングがコーポレートサイト「お問い合わせフォーム」で個人情報を閲覧できる状態になっていたと報告

婚活アプリ「Omiai」のネットマーケティングがコーポレートサイト「お問い合わせフォーム」不具合により個人情報を閲覧できる状態になっていたと報告

ネットマーケティングは5月23日、同社コーポレートサイトの不具合により、「お問い合わせフォーム」内の個人情報が第三者から閲覧できた状況になっていたとして、お詫びと報告を発表した。

不具合が発生したのは、「株式会社ネットマーケティングHP(コーポレートサイト)」内の問い合わせフォームであり、同社が提供する恋活・婚活マッチングアプリ「Omiai」の問い合わせフォームではないとしている。また本件は、同社が5月21日に公表した「Omiai」への外部からの不正アクセスが原因ではなく、同社内でのシステム不具合によるものとしている。

ネットマーケティングの発表によると、コーポレートサイトのお問い合わせフォームにおいて、問い合わせを行った一部顧客より、他顧客の記載内容の一部が閲覧できる状況になっていると指摘を受け調査したところ、コーポレートサイトの管理システムの不具合により、当該事象の発生事実を確認した。

2021年5月19日11時~5月22日15時までの間に、同社コーポレートサイトのお問い合わせフォームに顧客が記載した内容が、後から利用した他の顧客から閲覧可能な状態となっていた。対象期間に同フォームを利用した者は37名。また閲覧可能であった個人情報項目は「会社名」「部署名」「会社URL」「お名前」「フリガナ」「電話番号」「メールアドレス」「お問合せ内容」の一部の計8項目。

同件が起こった原因は、サーバー増強を目的とするサーバープラットフォームの移行に伴うシステム設定の不備によって、同フォームに投稿したキャッシュが残ってしまうケースがあり、過去の記載内容を意図せず露出してしまう不具合が発生していたことによるもの。同件発覚後、キャッシュが残らないようシステムの修正措置を施し、併せて管理体制を強化した。また、個人情報の閲覧の対象となった顧客には、ネットマーケティングより個別にお詫びと経緯の説明を5月23日よりメールなどで行っているという。

またシステム対応を行った結果、同フォームにおいて現在顧客の個人情報が他顧客から閲覧されることはなく、対応以降の指摘もなく、問題なく利用できるとしている。

婚活アプリ「Omiai」のネットマーケティングがコーポレートサイト「お問い合わせフォーム」不具合により個人情報を閲覧できる状態になっていたと報告

関連記事
マッチングアプリ「Omiai」が退会会員含め171万件の年齢確認書類への不正アクセス公表、運転免許証・健康保険証・パスポート・マイナンバーカード

カテゴリー:セキュリティ
タグ:omiaiネットマーケティング(企業)

マッチングアプリ「Omiai」が退会会員含め171万件の年齢確認書類への不正アクセス公表、運転免許証・健康保険証・パスポート・マイナンバーカード

マッチングアプリ「Omiai」が退会会員含め171万件の年齢確認書類への不正アクセス公表、運転免許証・健康保険証・パスポート・マイナンバーカードネットマーケティングは5月21日、同社が提供する恋活・婚活マッチングアプリ「Omiai」外部からの不正アクセスを受けたことを明らかにしました。

4月28日15時頃、「Omiai」サービスの会員様情報を管理するサーバーにおいて意図されていない挙動が観測されました。

社内点検の結果、ユーザーの年齢確認書類の画像データに対する不正アクセスの痕跡が発見されました。このデータは退会された旧会員の書類も含みます。

対象となる情報は2018年1月31日~2021年4月20日の期間に年齢確認審査書類を提出した171万1千756件分の年齢確認書類の画像データです。具体的には運転免許証、健康保険証、パスポート、マイナンバーカード等で、約6割を運転免許証の画像データが占めています。

コーポレートニュースには、以下のようなユーザーへの謝罪と注意喚起が掲載されています。

今回の対象のお客様におかれましては、万が一身に覚えのない連絡や、心当たりのないコンタクトがあった場合、念のためご注意をお願いいたします。また、何かお気づきの点がございましたら、下記≪お客様相談センター≫までご連絡いただきますようお願い申し上げます。

当社は、本件を厳粛に受け止め、社会に信頼される企業としての責務を再認識し、個人情報保護の強化を改めて誓います。また、今後の再発防止策の徹底と万全なセキュリティ体制の再構築を目指し、会員様の信頼回復に向けて努めていく所存です。

【お客様相談室】

■お電話でのお問い合わせ

お客様相談センター TEL:0120-535-850 対応時間AM9~PM6時

https://www.omiai-jp.com/inquiry/questionお問い合わせフォーム

(Source:ネットマーケティングEngadget日本版より転載)