ビットキーが手がけるスマートロックとhomehubをレオパレス21が採用、2022年6月より44万戸に設置

ビットキーは1月24日、同社が開発・販売するスマートロックと、様々なサービスを自宅でシームレスに利用できるコネクトプラットフォーム「homehub」(ホームハブ)について、レオパレス21が管理する物件に採用されたことを発表した。2022年6月よりレオパレス21が管理する物件の約8割となる44万戸を対象に設置を開始する。

レオパレス21では、以前から非対面・非接触対応を目指し、新築物件に対してスマートロック「Leo Lock」(レオロック)の設置を進めていたものの、設置条件や初期投資額などの障壁、入居者専用サービス「レオネット」といった各種システムとの連携が困難な点から普及と拡大に課題があったという。今回、ビットキーのスマートロックおよびhomehubによってそうした課題が解消され、採用に至ったとのこと。

スマートロックは、スマートフォンの専用アプリやICカードテンキーでの暗証番号入力など複数の手法で鍵の解錠が行えるシステムで、入居者はキーレス環境を享受できる。ICカードや暗証番号はセカンドキーとしての利用を目指している。

また、入居者以外でも利用時間や回数制限のある「ワンタイムチケット」「ワンタイムパスコード」を発行してもらうことで、暗証番号やスマートフォンによる解錠・入室が可能。オートロック機能や施解錠履歴管理機能を備えているため、セキュリティ対策にもなる。

なおこのワンタイムチケットでは、一時的な解錠が許可されるため、お部屋探し中の顧客に対して、営業スタッフの同行なく単独での完全非対面かつ鍵の貸出の手間を省いた内見を提供できる。

homehubはIoT架電や置き配・家事代行サービスなどと連携可能な暮らしのコネクトプラットフォーム。また、不動産管理会社などへ鍵の発行システムや内見予約システムを提供しており、前述のワンタイムチケットとあわせて内見予約に連動した鍵の自動発行など、業務を効率化できる。

スマートロック「bitlock」やHome・Work・Experienceコネクトプラットフォームを手がけるビットキーが32億円調達

スマートロック「bitlock」やHome・Work・Experienceコネクトプラットフォームを手がけるビットキーが32億円調達

新しい分散テクノロジーで世界をつなぎ、「誰にも改ざんできないインフラストラクチャー」を構築するビットキーは6月16日、プレシリーズBラウンド1stにおいて、第三者割当増資による32億円超の資金調達を実施したと発表した。引受先は、オカムラ、サンケイビル、ダイキン工業、東京建物、日鉄興和不動産、パナソニック、プライム ライフ テクノロジーズ、スパークス・グループが運営する「未来創生2号ファンド」。現在は、プレシリーズBラウンド2ndを進めている。2018年の創設から2年9カ月で累計資金調達額が約90億円となった。

ビットキーは2019年、サビスクリプション型のスマートロック「bitlock」シリーズの提供を開始。2020年には「住宅やオフィスなど多様な領域において、人・モノ・サービス・空間をつなげることで新しい価値を生み出すプラットフォーム事業」として、サービスとモノの間にある分断を排除し、IoT家電・置き配・家事代行など、あらゆるサービスを自宅でシームレスに利用できるコネクトプラットフォーム「homehub」(ホームハブ)と、さまざまな職場用に機能を充実させた「workhub」(ワークハブ)をリリースした。

これらは、ビットキーの根幹である「分散システム」「分権所有」という考え方に基づくコア技術であり、「世界中のあらゆるものを柔軟につなぐID連携・認証、権利処理のデジタルキープラットフォーム」としての「bitkey platform」に支えられている。

「これらはインフラ事業であり、あらゆる業種の企業やそのアセット、サービス、プロダクトとの連携により創る必要があります」と話すビットキーは、今回資本業務提携を結んだ8つの企業と事業共創を進めてゆく。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:ビットキー資金調達(用語)日本(国・地域)

ビットキーがID連携・認証などの基盤「bitkey platform」をハードウェア開発企業向けに提供

ビットキーがID連携・認証などの基盤「bitkey platform」をハードウェア開発企業向けに提供

ビットキーは12月18日、スマートロック「bitlock」シリーズで活用してきたデジタルコネクトプラットフォーム「bitkey platform」およびデジタル化に必要な技術・製品を、ハードウェア開発企業向けに提供開始すると発表した。

あわせて、コネクトパートナーとして総合ロックメーカー「アルファ」が2021年9月発売予定としている次世代型スマートロックでの採用が決定したと明らかにした。

bitkey platformとは、認証・認可、ID連携、分散システム、暗号化技術などを研究し、独自に組み合わせて応用・開発した「世界中のあらゆるものを柔軟につなぐ」ID連携・認証、権利処理のデジタルコネクトプラットフォーム。旧来の、IDをひとつに「統合」する考えとは異なり、各事業者の提供するサービスそれぞれのIDは残したまま、ID-Hubを提供することで様々なサービスを「つなぐ」ことができる新しい概念を備えているという。

近年、ハードウェアメーカーは「モノ」から「コト」への転換を加速させ、製品を販売して完結するのではなく、より利用者のニーズに応えられるよう、IoT化を含めたデジタル対応や、会社を超えた連携などを進めている。一方で、利用者を認証する仕組みの構築、インターネットに接続することによるハッキングリスク、他製品と連携させる際に必要なシステム改修が頻発するなど、開発負担が課題となっている。

これら課題を受け同社は、テクノロジーパートナーとしてbitkey platformを核とするコネクト技術を提供することで、様々な製品が「安心・安全・便利」につながるハードウェアメーカーの「コト」化への転換を支援する。

ハードウェア製品のデジタル化を目指す企業は、ビットキーの技術提供により、デジタルコネクトを実現するコストを削減できると同時に、対「複数」の連携を想定した開発により、他社製品との連携時にも個別開発の負担が軽減されるとしている。

ビットキーが提供するデジタルコネクトテクノロジーの特徴

  • オフラインでも利用可能:セキュリティ上インターネットと接続することに抵抗がある製品や、インターネット環境が十分でない、地下や山間部での利用にも対応
  • 「コネクト」のための総合的な技術・製品提供:bitkey platformを核としたID認証・連携、スマホアプリやSaaSシステム、組み込みにおける電気回路基板、ファームウェアなど、新製品開発、既存製品のアップデート共に対応可能な、技術および製品を提供
  • ユーザーエクスペリエンス・ユーザーインターフェースの向上:ビットキーはユーザーの利用「体験」を軸に、home/暮らし・生活、work/働く、experience/非日常の3領域であらゆる製品・サービスをつなげることが可能なhubシリーズを開発。これにより、hubシリーズを通してハードウェアを利用するユーザーの体験性向上も実現可能

bitkey platformと連携するための提供技術/製品

  • 電子回路基板
  • ファームウェア
  • API

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:ビットキー日本(国・地域)

ビットキーが集合住宅向けの顔認証入退館システムを開発、マスク装着状態の認証にも対応へ

ビットキーは6月11日、集合住宅向けに「レジデンス向け顔認証ソリューション」を公開した。第1弾として、エントランスのオートロックを顔認証で解錠可能にするシステムを販売する。なお、同システムはすでに東京都江東区の「プラウドタワー東雲キャナルコート」での実証実験が始まっている。

この顔認証ソリューションを導入するには、顔認証用のタブレット端末とカメラの設置のほか、オートロックシステムと連動させるための工事が必要となる。顔の登録自体は同社の指定アプリもしくはウェブサイト上で実行可能だ。

同社では今後、集合住宅での入退館以外の用途についても顔認証を利用できるように、自社での製品開発はもちろん、他社製品やシステムとの連携を進めるとのこと。また、2020年7月にはマスクをつけたままでの顔認証を可能にするほか、今後はパスワードなどの複数の認証方法を組み合わせた多要素認証にも対応するという。

ビットキーは、スマートロックの「bitlock」シリーズを展開するスタートアップ。製品の販売だけでなく、カギのシェアが可能なスマートロックの特徴を生かして、居住者が不在時の宅配・家事代行・クリーニングなどのサービスも展開している。スマートロック自体の目標としては、2020年中にシリーズ累計で100万台の受注を目指す。

なお、顔認証のシステム自体は台湾拠点のサイバーリンクが開発した「FaceMe」を利用している。FaceMeは、認識速度が最速0.2秒以下、本人識別率が最高99.7%のAI顔認証エンジン。カメラに対して角度がついた状態で正しく顔を認識する広い認識範囲が特徴とのこと。具体的には垂直(上下)は50度、左右(水平)は60度の範囲で認識可能だ。

対応OSも幅広く、Windows、Android、iOS、Linux(Ubuntu x86、Ubuntu ARM、RedHat、CentOS、Yocto、Debian、JetPack)などで利用可能なので、認証端末にはWindowsタブレットやAndroidタブレット、iPadなどを利用できる。

スマートロックをサブスクで提供するビットキーが39億円超の資金調達、ID連携・認証などの基盤も整備

通販サイトで注文した商品が、今日配送できると通知が来た。あなたは配送業者に、配達時間帯の一度きりのオートロック解除の許可を送り、自宅マンションの玄関ドア前まで届けてもらうよう指定する。今夜は楽しみにしていた人気アーティストのコンサートがあり、帰宅は遅くなる予定だからだ。

終業時間になり、オフィスを出る。ライブ会場はオフィスから地下鉄で数駅。駅のゲートは最近、顔認証に対応したので、ゲートを通るだけで運賃が自動的に電子マネーで精算されるようになった。あなたは会場の最寄り駅で降り、コンビニエンスストアに立ち寄る。少し喉が渇いたので、商品の水を棚から取り、店を出た。万引きしたわけじゃない。ここでも精算は顔パスになっているのだ。

コンサートチケットを顔認証とひも付けておいたので、ライブ会場への入場もゲートを通るだけ。スマートフォンの電子チケットを確認して席に着く。と、スマホから軽いアラート音が響く。どうやら1列ズレた席に座ってしまったようだ……。

——こんな感じの未来を、デジタルID連携・認証と権利処理のプラットフォームで実現しようとしているスタートアップがある。独自の「鍵」テクノロジーを開発するビットキーだ。

写真左からビットキー代表取締役CEOの江尻祐樹氏、代表取締役COOの福澤匡規氏

スマートロックにちょっと詳しいTechCrunchの読者なら、ビットキーは初期費用ゼロのサブスクリプションモデルで電子錠を提供する、IoTハードウェア企業としてのイメージが強いかもしれない。だが「カギとトビラ」はビットキーがやりたいことのほんの一面に過ぎない。

1月23日、ビットキーはシリーズAラウンドで総額39億300万円の資金調達を、2019年12月末に完了したと発表した。ゴールドマン・サックスをはじめとする10社を引受先とした約34.4億円の第三者割当増資と、りそな銀行、みずほ銀行からの4.6億円の融資が調達金額の内訳だ。2018年8月創業(会社設立は同年5月)の同社の累計調達額は約50億円となった。

シリーズAラウンドで第三者割当増資に参加した企業・ファンドの一覧は下記の通りだ(五十音順)。

  • HHP共創ファンド1号投資事業有限責任組合
    (阪急阪神不動産のCVCファンド)
  • グッドパッチ
  • グローバル・ブレイン7号投資事業有限責任組合
  • ゴールドマン・サックス
  • サイバニクス・エクセレンス・ジャパン1号投資事業有限責任組合
    (CYBERDYNE子会社のCEJキャピタルが運用するファンド)
  • 新生ベンチャーパートナーズ1号投資事業有限責任組合
    (新生企業投資が運営に関与するファンド)
  • フルタイムシステム
  • マーキュリア・ビズテック投資事業有限責任組合
    (マーキュリアインベストメントが伊藤忠商事と共同組成したファンド)
  • 31VENTURES Global Innovation Fund 1号
    (三井不動産が運営するCVCファンド)
  • 他1社

物理扉+デジタル上のカギ認証・ID連携も支える「鍵テック」

2019年4月にビットキーが発売を開始したスマートロック「bitlock LITE(ビットロック ライト)」は、初期費用なし、月額300円(年間一括払いの場合・税別)の低費用のサブスクスタイルとしたことが功を奏し、9カ月で12万台を受注。国内でのシェアを一気に拡大した。

また、同社のコアプラットフォームで、bitlock LITEをはじめとする「bitlockシリーズ」にも応用されている、ID連携・認証と権利処理のデジタルキー基盤「bitkey platform(ビットキープラットフォーム)」は、2019年2月にプロトベータ版が発表された後、開発が進み、12月には正式版が公開されている。

ビットキー代表取締役CEOの江尻祐樹氏は、bitkey platformを「安全で、便利に、気持ちよく、鍵の共有やID連携・認証、権利の受け渡しができるようにする基盤」と説明する。技術的には各種のP2P・分散技術や暗号化技術を組み合わせて開発されているbitkey platformだが、「何に使えるか」を説明した方が分かりやすいだろう。

「カギとトビラ」の領域では、bitkey platformは自宅やオフィスなどの出入りのほかに、自宅不在時の配達や家事代行業者の入室、不動産の物件のセルフ内見、民泊など宿泊施設の鍵システムなどに応用できる。ここまでは他社の提供するスマートロックでカバーできる範囲でもあり、想像も付きやすいところだ。

さらにbitkey platformでは、物理的な「トビラ」を開くだけでなく、デジタルな認証によりセキュリティのゲートを開くID認証、各サービスのIDをセキュアにつなぐID連携と、ユーザーの持つ権利を安全・正当に保証・移動する基盤としての利用が構想されている。具体的には、金融取引でのID認証とセキュリティの強化、クルマや交通機関などのモビリティや買い物での利用、チケット購入者の本人確認などへの応用が考えられている。CES 2020でのトヨタによる発表で話題となったスマートシティも、ID連携・認証が活用できそうな舞台のひとつだ。

「bitkey platform」の4つの機能

今回の調達資金について、江尻氏はまず「bitlockシリーズをあらゆる扉に物理的に広げていくために、セールス、マーケティング体制の強化を図る」と使途を説明している。サブスクリプションモデルで提供するbitlockのカスタマーサクセスおよびサポートを充実させるため、人材やシステム、仕組み面も強化していくという。スマートロックのプロダクトそのものについても「9カ月の展開でノウハウが蓄積してきた」として、「ハードウェア面でも、ソフトウェア面でも、さらに開発を進める」と江尻氏は述べ、「2020年中にbitlockシリーズの受注台数100万台を狙う」と話している。

さらにビットキーでは、bitkey platformを活用できるような事業者を対象にした、提携先の拡大も重視している。「(デジタル完結型の)SNSが勃興した2000年代に比べて、2010年代は、AirbnbやUBERなどのシェアリングエコノミーをはじめ、入口はデジタルで出口がリアル、というサービスが広がった時代だった。今後一般にもこの流れが広まると見ている。不動産会社やECサイトなどで、入口がデジタルなサービスを展開する企業をパートナーとして連携し、bitkey platformをリアルの出口につなげるID連携・認証のハブとして提供するため、研究・開発も進めていきたい」(江尻氏)

bitkey platformはプロトベータ版公開以降、国内外から想定以上の引き合いがあり、正式版リリースから1カ月ほどだが「既にかなり多くのパートナーが決まっている」(江尻氏)とのこと。今後、システムやオペレーション体制を整えて、連携を実装していくと江尻氏は述べている。

その他、スマートロック開発の中で採用しようとしている、顔認証などの生体認証についても研究・開発がなされているところだと江尻氏。「生体認証は個人情報の固まり。システムなどを整備して情報保護に強い仕組みを作ろうとしている。これができれば、KYC(Know Your Custmer:顧客の本人確認)についてもbitkey platformで、ID認証とeKYCの仕組みを入れて実現することができる。チケット認証のためのスマートIDなどについては、数カ月で実装したいと思っている」(江尻氏)

「データセラーはやらない」「強者総取りは目指さない」

江尻氏は「初期費用ゼロのbitlockばらまきが注目されがちだが、ビットキーは創業以来、最初からBtoBに力を入れてきた企業だ」と語る。「社会インフラとしてのデジタルキープラットフォームを展開するために、強い営業力で取り組み、事業提携を実現してきた」(江尻氏)

toBでの強さの実例として江尻氏が挙げたのが、集合住宅のオートロックを解除できるbitlock GATEの普及ペースだ。2019年7月、月額2000円からの定額制で発売されたbitlock GATEは、既に数千を受注しているという。「販売数が数万レベルになれば、オートロックを顔認証で開くことも実現できるようになるだろう」(江尻氏)

競合について江尻氏は、アメリカのAmazonで不在配達の課題を解消するために取り入れられたスマートロック「Amazon Key」など「局所競合はある」というが、「いずれもオープンな取り組みではなく、エコシステムやプラットフォームの一部が被っているだけ」と話している。そして「ビットキーでは、それぞれの入口となるサービスを倒すつもりはない。またパートナーが別のパートナーと組んでもよいと考えている」として、各サービスと手を結び、そのハブとしての役割を担いたいとの考えを強調した。

スマートID、スマートシティの行き着く先として「スマート国家」のようなものも考えられる。実際、日本でも出入国審査で顔認証が導入されたし、中国では顔認証その他の生体認証によるIDチェックが広がっている。ただ、その活用が「政府、または企業によるプライバシーの把握、管理」にまで及ぶと、ディストピアっぽい気持ち悪さが拭えない。

江尻氏は「データセラーはやらないと決めているし、社内にもそれを徹底している」とビットキーのポリシーを宣言。今後もこのポリシーは貫くつもりだ、と述べている。加えて「サービサーをインフラ(プラットフォーム)に従わせるのは良くないと考える」とも話している。「強者総取りでなく、緩くつながることを目指す。1社による囲い込みではなくオープンにすることで、サービス提供者は互いの許諾さえあれば連携でき、コントロール権はそれぞれにある形が作れる。これなら、国をまたいでも連携がしやすくなる」(江尻氏)

この考え方はハードとして提供するスマートロックにも及んでいる。「bitlockシリーズも良いものにしたいとは考えているし、そのための開発もしているが、ビットキーのベースはそこではない。僕らとしては他社とも組んで、プラットフォームを提供したいと考えている。パートナリングが進めば進むほど、ネットワーク外部性が効いてきて、事業者間の連携も作りやすくなる。そこで各社をブリッジする存在になりたい」(江尻氏)

月額300円のサブスクスマートロック開発のビットキーが約7.4億円調達

ビットキーは6月20日、森トラストおよび複数の事業会社経営者、エンジェル投資家を引受先とする第三者割当増資により、総額約7.4億円の資金調達を実施した。累計調達額は約10.8億円となる。

同社はスマートロックの「bitlock LITE」(ビットロック ライト)を手がけている企業。bitlock LITEは発売から2カ月で5万台以上を受注したとのこと。スマートフォンからBluetooth経由で施錠と解錠ができる製品で、製品本体は既存のドアの内側に強力な粘着テープで貼り付けることで固定できる。初期費用は0円で、年払い税別3600円(月あたり300円)、月払い税別360円のサブスクリプションサービスとして利用できる点が特徴だ。なお施錠/解錠については、別売りの専用ボタン「bit button」も利用できる。

今回の資金調達により、量産・供給体制を拡充するほか、営業人員体制およびカスタマーサクセス人員体制も強化するとのこと。これらの体制強化によって、2019年中に流通合計数20万台以上を目指す。なお今夏には、マンションや集合住宅向けのオートロック対応の新製品やbitlockの上位モデル、ICカードでの施錠/解錠を可能にするカードリーダーなどの周辺製品も順次販売するという。

分散型の次世代認証基盤を使った「鍵」を開発するビットキーがVOYAGEなどから3.4億円を調達

ブロックチェーンに似た分散技術などを活用し、独自の電子鍵テクノロジーを開発するスタートアップ、ビットキーは12月26日、総額3.4億円の資金調達を実施したことを明らかにした。第三者割当増資の引受先はVOYAGE VENTURESと、複数の事業会社経営者、エンジェル投資家だ。

ビットキーのキーテクノロジー「ビットキー」は、次世代ID/Keyとして、スマートコントラクトやスマートオラクルを応用した各種分散技術、暗号化技術などを活用した、同社独自のデジタルキー基盤だ。分散技術でもブロックチェーンは使わず、独自でブレイクスルーした技術を用いているという。

ビットキーは「改ざん不可能で、複数間で安全にやり取りでき、コスト面にも優れたID・電子鍵のプラットフォーム」として、サービス提供を目指している。また同社はビットキーを搭載した、物理的なスマートロックデバイスの開発も行っており、まずはBtoC領域で提供していく構えだ。

同社は2018年8月創業(会社設立は5月)。ビットキー代表取締役 CEOの江尻祐樹氏は、リンクアンドモチベーショングループでコンサルタント業務に従事した後、ワークスアプリケーションズへ入社。コンサルタントとして活動しながら、旧知のエンジニアたちとともに、2017年末にブロックチェーン/分散システム研究会を立ち上げた。

その後、ブロックチェーン/P2Pや分散技術を活用した、新しいデジタルID認証/キー基盤を開発し、事業化するべくビットキーを設立。江尻氏がワークスアプリケーションズで出会った、共同代表でCOOの福澤匡規氏と、同じく共同代表でCCOの寳槻昌則氏とともに、研究会の参加者を中心にしたメンバーでスタートした。

ビットキー代表取締役 CEO 江尻祐樹氏

江尻氏は会社設立の動機について「ちょっと壮大に聞こえるかもしれませんが、デジタル化が進む現代において、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)やBAT(Baidu、Alibaba、Tencent)などのジャイアントに独占、支配、依存することで生じている社会問題の解決です」と語る。

つまり、巨大デジタル企業の台頭により起きるデータ寡占の問題を、分散型テクノロジーを使うことで、解決したいということだ。

「裏を返すと、より安全で利便性の高い、デジタル社会のID・権利・取引のプラットフォームを生み出して、世の中を前進させたいともいえます」(江尻氏)

ビットキーでは今回の資金調達により、開発体制の強化を図る。また、今後の正式リリースに備え、セールスやマーケティング、カスタマーサクセスなどの体制づくりも行っていく。

またその後の展開について、江尻氏は「2019年には、スマートロックほか関連プロダクトの『Tobira事業』でロケットスタートを切り、世界一のシェア、出荷台数を1年で実現したい。2020年には日本で、家、オフィス、ホテルなど、どこの扉もビットキーを使って開けるのが当たり前、というのを目指す」と話している。

2020年はTobira事業以外でも、モビリティやスマート行政などの領域にも進出し、可能であればオリンピックでも活用してみたい、と江尻氏はコメント。2021年にはメディカルや自動運転車などとの連携、グローバルへの本格進出も目指すとしている。

「中国、アメリカ(企業の進出の仕方)とは違う、コミュニティの仲間を増やし手を取り合う形で、さまざまな国と連携して、世界の“デジタル社会インフラ”にしていきたい。初めはアジア、ヨーロッパへの展開を想定しています」(江尻氏)

またR&Dの面でも「政府や大学・研究機関と連携し、よりセキュアでセーフティの高いプラットフォーム化や、生体認証・AIと連携した、デバイスすらいらない認証基盤・デジタルキープラットフォーム化についても少し話をし始めている」と江尻氏は述べていた。