Facebookが人種問題に取り組む団体に11億円を寄付、従業員からは不満の声も

Facebook(フェイスブック)がプラットフォーム上の暴力的な表現や誤情報の監視に不介入のアプローチをとっているちょうどの時に、同社は米国で「人種問題を正そうと取り組んでいるグループ」に1000万ドル(約11億円)を寄付する。同社CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)が米国5月31日夜の投稿で明らかにした。

寄付の約束は、警察による残忍な行為に対して米国中で起こっている抗議デモを受けてのものだ。抗議はミネアポリスで警官に殺されたアフリカ系米国人George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の死を撮影したビデオがFacebook上で拡散したことに端を発している。

ザッカーバーグ氏の寄付の約束は、何人かの名の知れたFacebook従業員がTwitterの対応と比較して自社の対応に不満を表明した後に出てきた。また、寄付の表明があってから数時間後に多くの従業員がバーチャルストを実行した。

「私はFacebookで働いているが、Facebookの対応は自慢できるものではない」と同社でプロダクト管理ディレクターを務めるJason Toff(ジェイソン・トォフ)氏はツイートした。「私が話した同僚の大半が同じように感じている。我々は声を上げている」。

いくつかのテック企業が抗議デモや直面している組織的な不公平への連帯のメッセージを出した(未訳記事)が、そうした中でザッカーバーグ氏も声明を発表した。

Facebookへの投稿の中でザッカーバーグ氏は、フロイド氏が殺される様子をとらえたビデオがFacebookに投稿された事実に行を割いた。

「人々の安全を守り、また我々のシステムが偏見を増幅させないことを確かなものにするために、Facebookには取り組むべきことがあるのは明らかだ」とザッカーバーグ氏は書いた。「正義と戦う組織は資金を必要としている。よってFacebookは人種問題に取り組むグループに1000万ドルを提供する。地域、あるいは全国的な組織の中でどこがこの資金をいま最も有効活用できるか、公民権アドバイザーや従業員と検討している」。

今回の寄付とは別に、Facebookは人種不平等と戦う組織に「ここ数年毎年」4000万ドル(約43億円)を拠出している。Anand Giridharadas(アナンド・ギリダラダス)氏のような批判家は「Facebookの金庫からの寄付は同社のビジネスモデルが抱える問題や、同社のサービスが誤情報を拡散するという問題を十分に解決できていないという事実をなかったことにはしない」と指摘する。

「ザッカーバーグ氏のお返しは、さほど大きな違いを生まないような取るに足りない寄付ではない。実際は、彼の有害なビジネスモデルに余裕や政治的資本を金で加えることで物事が一層悪化する」とギリダラダス氏は書いている。

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(翻訳:Mizoguchi

ザッカーバーグが毎年恒例の挑戦に代えて「2030年への希望」を語る

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、2020年をネクタイを締めて過ごすつもりも、中国語を習うつもりも、Facebookを改修するつもりもない。「毎年恒例のチャレンジではなく、世界と私の生活が2030年にどうあってほしいかを考えようと思う」と米国時間1月9日にFacebookに書いた。ただしご想像のとおり、ザッカーバーグ氏の世界をよくするビジョンには、Facebookのファミリー製品が数多く含まれている。

本日の発言の主旨はは以下のとおり。

    • AR(拡張現実):スマートフォンは今後10年のほとんどの間、主要なコンピューティングプラットフォームになるだろうが、ARが人と人との間からデバイスを取り払い、一緒に存在できるようになる。FacebookはARゴーグルを作っている。
    • VR(仮想現実):VR技術の進歩によってどこからでも仕事ができるようになり、住宅危機を救う可能性がある。FacebookはOculusをつくっている。
    • プライバシー:インターネットがつくったグローバルコミュニティーでは、人々が独自性を確立することが難しくなったが、小さなオンライングループをつくることによって再び特別な存在と感じられるようになる。Facebookはプライベートグループやメッセージングの方法を増やしている。
    • 規制:テクノロジーが直面している大きな問題は、民間企業が単独で対処するには厄介すぎるので、政府が選挙、コンテンツ管理、データポータビリティ、プライバシーなどに介入する必要がある。Facebookはこうした問題を含めあらゆる場面で自主規制することで、厄介な法律の制定を防ごうとしている
      Zuckerberg Elections

いずれも理にかなった予言と提案である。しかしザッカーバーグ氏の投稿は、2010年代に広まったFacebookのさまざまなサービスも、自身の提起する問題の多くに寄与していることについてほとんど言及していない。

      • 孤立 :FacebookやInstagramでの受動的なスクロールの連続は、友達との真のやり取りを経ることなく社交的でいられる手段を作った。
      • ジェントリフィケーション :シャトルバスで通勤するFacebook社員が住むことによって、世界中の都市、中でもベイエリアの家賃は急騰した。
      • 嫉妬:Facebookのアルゴリズムは、華やかでInstagramに値する生活をしている以外の人々の重要性を排除しねない。アカウントはハッカーに盗まれる可能性があり、管理システムが過ってアカウントを停止しても補償はほとんどない。
      • 怠慢: 成長第一のメンタリティーによって、Facebookのポリシーと安全性はその影響力に後れを取り、その結果民主主義、コンテンツ、反競争的行為、プライバシーなどに関わる問題が生まれている。

ザッカーバーグ氏の投稿で目に見えて欠けているのは、物議をかもしているFacebookのサービスや取組みについての明確な説明だ。「機会の非中央集権化」に関して小企業に販売ツールを与えることを書いているが、暗号通貨やブロックチェーンやリブラに関する直接の言及はない。代わりに、Instagramの店舗機能やMessengerによるカスタマーサポートやWhatsAppの送金機能で十分だと言っているように見える。さらに同氏氏はPortalも無視している。これはFacebookが作った遠くの家族を近くに感じさせるスマート端末だが、監視とデータ収集のツールと見る向きもある。

ザッカーバーグ氏が公人として、また人間の基本的インフラの運用者としての役割を果たそうとしていることを私はうれしく思う。彼が四半期利益を重要視するだけでなく、長期的問題について考えようとする意欲は重要だ。存在しないものを作るためには楽観が必要だ。

それでも、もし同氏が2030年を今よりよい世界にしたいのであれば、そしてもっとFacebookにやさしい世界にしたいのであれば、暗黒の未来を予言している懐疑派や反対派をもっと呼んでくるべきかもしれない。欲望とうぬぼれへの人間の衝動を理解している人々だ。Facebook製品がもたらす可能性のある社会的問題に関する彼らの予言は、ザッカーバーグチームの理想主義者たちが将来の可能性と現在へのリスクのバランスを取れる会社を作るのに役立つだろう。

Facebookが理想主義だけでは成功しないことについては、以下の記事も参照してほしい。

関連記事:Zuckerberg asks forgiveness, but Facebook needs change

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ザッカーバーグの2019年の目標はテックと社会に関する公開討論を開くこと

2018年の目標のようにFacebookの問題に注力するより、今年マーク・ザッカーバーグは彼の深い考えを見えるようにし、また他人の考えも取り込みたいようだ。今日、ザッカーバーグは2019年の目標が「社会におけるテクノロジーの未来ー機会、挑戦、希望、懸念などーをテーマにした公開討論を開催すること」と発表した。彼は、異なる分野のリーダーや専門家、地域社会の人とさまざまな形式や場所で討論の場を持つ計画だ。そうした討論は全てFacebookとInstagramのアカウント、そして従来のメディアを通じても視聴できるようにする。

ザッカーバーグは過去にも一連の公開討論を開催していて、今回初めてではない。彼は、ユーザーから直接質問を受けるために2014年と2015年にコミュニティQ&Aセッションを開いている。“いいね”のような感情を表現するためのFacebookのリアクションボタンのアイデアはそうした討論の場から出てきた。

だが、2019年の目標の初期構想から察するに、ザッカーバーグはFacebookを社会が抱えている多くの問題に対する答えとみなしているようだ。「我々が住み続けたいと考えている世界、そしてテクノロジーが取り込まれているこの世界については多くの大きな問題がある。我々はテクノロジーを使って多くの人が発言し続けられるようにしたいのか、それともどんな考えが表現されるべきかを従来の門番がコントロールするのか。暗号や他の手段でもって権力を人々により持たせることで、我々は当局を分権化させるべきか。現実社会の多くのコミュニティが弱くなっている世界で、社会組織を強化するのにインターネットはどんな役割を果たすのか」と彼は疑問を投げかけている。

ここで暗に示された答えは、「人々はFacebookを通じて発言すべきだ」「人々はFacebookの暗号化されたチャットアプリWhatsAppを使うべきだ」「人々はFacebookのGroupsを通じて協力するべきだ」となる。願わくば、討論でソーシャルメディアがいかに対立や自己イメージ中心に多大な影響を及ぼしているかも取り上げることを期待したい。

[アップデート:ザッカーバーグは、投稿へのコメントで私に形式や発言者についての提案を尋ねてきた。私のアイデアは以下の通りだ:

・ザッカーバーグと市民との、フォーマルだが忌憚のない討論

・事前打ち合わせや一般からの質問の選別なしに、独立したモデレーターがザッカーバーグに質問する

・社会やテクノロジーに関する大きな問題を議論するとき、ザッカーバーグが“Facebook”という言葉を決して発しないようにする討論

・ザッカーバーグがFacebook最大の陰謀論と呼んだ怪しい説についての討論。ザッカーバーグとジャック・ドーシーとの公開討論

・ザッカーバーグが質問を尋ねたり尋ねられたりする投票。この投票では市民は複数の選択肢から答えを選べるようにし、公にされた集計結果についてザッカーバーグと議論する

・Facebookのカルチャーや優先順位がいかに変わったかについて、Ruchi SanghviやLeah Pearlman、Naomi GleitといったFacebookの初期の従業員との議論

・慈善活動へのアプローチについてのBill GatesやWarren Buffetとのトーク

・次世代が抱えるプライバシーやインターネットについての懸念をテーマにした、優秀な高校生と膝を交えた話し合い

・Messengerの責任者(Stan Chudnovsky)、Instagramの責任者(Adam Mosseri)、WhatsAppの責任者(Chris Daniels)との、Facebookのそれぞれの部門がどのように協業するかについての話し合い

・FacebookのGroupとPageを管理するトップが登壇し、アプリの最も熱心なユーザーがこのプロダクトに求めていることについて語るパネルディスカッション]

世界の現職リーダーの一人が自身の考えをより明るみに出すというのは素晴らしい。しかし、ザッカーバーグが自身の論点にこだわる傾向があることを考えると、このCEOに事前に質問をバラさないモデレーターが仕切る討論の方が、人々が得るものは大きい。

「世界をより緊密なものにする」「世界をよりオープンでつながったものにする」という固有のトレードオフについてのザッカーバーグの率直な考えを聞くことで、ユーザーはザッカーバーグが心底でどんなことに関心を向けているのかを判断できるかもしれない。

ザッカーバーグの過去の新年の目標は以下の通りだ。

2009ー毎日ネクタイを着用する

2010ーマンダリン(中国語)を学ぶ

2011ー自分で殺した動物だけを食べる

2012ーコードを毎日書く

2013ーFacebookの従業員でない初対面の人と毎日会う

2014ー感謝のメモを毎日書く

2015ー2週間ごとに新しい本を読む

2016ーアイロンマンのJarvisのような人工知能を搭載したホームアシスタントを構築する

2017ー人々と会ったり話したりするために全50州に足を運ぶ

2018ーFacebookの問題を直す

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(翻訳:Mizoguchi)

「問題はFacebookそのものだ」 9カ国の議員が非難

9カ国の議会の代表者による大委員会の公聴会は、Facebookのマーク・ザッカーバーグが欠席のまま今日開催された。Facebookの創業者は“フェイクニュース”と呼ばれる民主主義への悪影響を含め、悪意のある汚い、不適当なソーシャルメディアプラットフォームの使用についての質問に答えるよう、これまでに何回も議会に召喚されたが、にべなく断ってきた。

英国のDCMS委員会はFacebookにデータ誤使用スキャンダルと選挙干渉の責任をとらせようと非難を主導してきたーそうした動きに世界各国の議員が加わった。しかし、それでもザッカーバーグは欠席した。

計9カ国の議員が、ザッカーバーグの代理人でポリシー担当副社長Richard Allanに質問をぶつけるために集まったーその質問には以下のようなものが含まれる。南米で政治に関する偽情報を広めるのにWhatsAppが使われているのをやめさせるためにFacebookは何をしているのか。スリランカでかなり炎上した反ムスリムヘイトスピーチのコンテンツの削除を、同国がプラットフォームへのアクセスを封鎖するまでなぜ拒否したのか。ベルギーにおける非ユーザーをFacebookはどうやって追跡しているのか。また、そうした行為を欧州の厳しい新ルールGDPRのもとでどう正当化するのか。プライバシーと信用のスキャンダルを抱えているFacebookが言うことを現時点で人々がなぜ信用しなければならないのか。

選ばれた議員たちは、英国、アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、カナダ、フランス、アイルランド、ラトビア、シンガポールの国民4億5000万人のために自由闊達に考えを述べた。彼らの口から最も多く繰り返された質問は、なぜザッカーバーグがここにいないのか、だ。

Allanは不在のボスの代理であることで居心地悪そうにみえた。そしてソーシャルメディアの反社会的、反民主的影響を統制する“正しい規制”を議員とともに模索したいと語った時など、あらゆるハンドジェスチャーを使っていた。

カナダの議員Bob Zimmerはその場を代表して、Allanが防衛の拠りどころとしていることに切り込んだ:「またしても我々はFacebookの謝罪を聞いているー‘ほら、我々を信用してください、みなさんは我々を規制しているでしょう、我々は実のところグローバルのスキームにさほど影響を与えていません’。この部屋にいる我々は4億人超の人々に関係する規制を扱っている。そこの席にCEOが座っていないというのは、この部屋にいる我々全員への攻撃であり、我々の市民への攻撃でもある」。

「[BlackBerry共同創業者の]Jim Balsilleは、我々の委員会で私が質問した時、監視資本主義に対処するためにカナダで法律を変えなければ、我々のデモクラシーは危機を迎えるのではないか、と述べた」。さらにZimmeは続けた。「彼は何の疑いもなく言った。あなたはどう思うか」ーこの発言に対し、Allanは時間を稼ぐために、「サービス利用規約が必要だ」と言い、そしてFacebookが多くの“ツール”で処理しようとしている“多くの問題を抱えるベクター”について語った。

今回の喚問は、かなり不満に満ちた曖昧な言葉で多くの時間が費やされた。というのもAllanが委員会の質問をそらし、牙を抜き、緊張をやわらげようとしたからだーAllanはNew York Timesが最近報道した“delay, deny, deflect(遅い、否定する、歪める)”戦略を何回も繰り返し、そうした態度は何回も議員に非難された。

Allanはそうではないと主張したー問題を“認めている”と主張した。しかし彼の横の空席はぶざまだった。

終わり間際には、カナダのCharlie Angusが、Allanは問題の根本的な原因から議員の目をそらそうとしていると非難し、Facebookの大風呂敷を吹き飛ばしたーAngusはその根本的原因はFacebookそのものだと鋭く定義した。

「我々がFacebookに関して抱えている問題は、責任のなさだーだから私は、我々が規制について語るとき、おそらくベストな規制は独占禁止だと言っておく」とAngusは述べた。「なぜならFacebookが嫌いな人はーWhatsAppが利用できる。しかし、WhatsAppは南米で問題を抱えている。アフリカでもだ。そして私たちは今日ここにいないマーク・ザッカーバーグに戻らざるをえないからだ」。

「私の娘たちはFacebookをやめることができる。しかし彼女たちはInstagramへと走る。しかし今やInstagramはFacebookがコントロールしている。おそらく最もシンプルな規制の形式は、Facebookを分解することだ」。

「だから我々が規制について議論するとき、あなたの友人のザッカーバーグ氏に独占禁止についてディスカッションできるか、と尋ねる気はあるだろうか」。

Allanは「我々が解決しようとしている問題にもよる」とだけ答えた。

「問題はFacebookだ」とAngusは言い返した。「我々は現在起こっていることについて語っているが、問題は社会的な議論やコミュニケーションのあらゆる形式にかかる前例のない経済コントロールだ。それがFacebookだ。これこそが我々が取り組む必要のある問題だ」。

委員会の委員長Damian Collinsはまた、Allanの質問の言葉を言い換えて混乱させようとする試みを、「私が思うに、我々はインターネットとFacebookが必ずしも同じ意味ではないと識別している」と言葉を挟むことで容赦なくやっつけたーAllanは議員が“インターネットをオフにしろ”と言っているとした(しかしAngusは実際にはこう主張した:信頼できる民主主義的な対応をFacebookから得る方法)。

会場はそれに賛同した。

公聴会の冒頭、Collinsは「そうする立場にない」と言いながら、2015年からFacebookを訴えていたスタートアップの創業者から週末にドラマチックに差し押さえた文書について、少なくとも今は公開するつもりはないと明らかにした。

しかしながらいくつかの点で、公聴会中にDCMS委員会のメンバーはこれらの文書から得た新たな詳細を“チラ見せ”した。たとえば、Facebookはデベロッパーがプラットフォーム上で広告がとれるように今までにAPIに手を加えたことがあるか、といった質問だ。

Allanはない、と答えたーそして、委員会が読んだかもしれない電子メールは、Facebookのデスクトップベースのビジネスモデルをいかにモバイルファースト時代に合わせて発展させるかについての“普通の”内部ディスカッションに伴うものだったと思わせようと試みているようにみえた。

Collinsもまた、差し押さえた文書から引っ張ってきたとわかる新たな情報ー特に2014年10月以降、Facebookエンジニアから送られた内部電子メールからだーの一部について、かなり公共の関心を引くだろうと表現した。

「Facebookのエンジニアが2014年10月に、ロシアのIPアドレスのエンティティが、フレンズAPIを通じて1日に30億のデータポイントを寄せるためにPinterestのAPIキーを使っている、と会社に報告した」と、彼は明らかにした。そしてAllanに、“当時これが外部に報告されたかどうか”を尋ねた。

Facebookの副社長は、“敵意のある訴訟当事者”経由の情報源であることを理由に、差し押さえた文書に含まれる情報は“部分的だ”とした。

Collinsは「訴訟当事者を攻撃するためだけにこの機会を活用してほしくない」と言い返した。「私はあなたに質問に答えてほしい…エンジニアから会社に報告されたとき、Facebookはどのような内部プロセスをとったのか。Facebookは外部の機関にこのことを知らせたのか。なぜなら、もしロシアのIPアドレスがプラットフォームからの膨大な量のデータを寄せていたとしたら、レポートするか、もしくはそのままにするかであり、多くの場合それは身内内にとどめ、そのことについては語らない、となる」。

Allanは「電子メールの中に含まれたあなたが見た情報は、せいぜい一部分であり、最悪の場合ミスリーディングしている」と答えた。

「信じるかどうかはさておき、ロシアによる活動があったという特定の問題については、継続中の我々の調査に基づいてあらためて回答したい」。

我々はPinterestに、PinterestのAPIキー乱用をFacebookが今までに知らせてきたかどうか問い合わせている。この記事を執筆している時点で、Pinterestからコメントはない。

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(翻訳:Mizoguchi)

‘フェイクニュース’に関する7カ国議会喚問、ザッカーバーグの代わりに副社長出席へ

Facebookに、オンラインフェイクニュース危機とデータ誤使用スキャンダルについて問いただすため、世界7カ国の議会の代表者22人で構成されるという前例のない国際大委員会は、来週ロンドンで開かれる。

しかしFacebookの創業者マーク・ザッカーバーグは何も答えない。同社はこれまで何回もザッカーバーグが議会で質問に答えることを拒んできた。

その代わり、EMEAポリシーに明るい、ロンドンを拠点とするポリシー担当副社長リチャード・アランが、部屋いっぱいのいらついた議員に対面することになる。

アランは来週、英国議会のデジタル・文化・メディア・スポーツ委員会(DCMS)と、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、アイルランド、ラトビア、シンガポールの議会から選ばれた議員の前で証言する。

実は8カ国の議会が参加する予定だったが、7カ国になったーオーストラリアがロンドンに来れないためだ。

DCMS委員会の広報はFacebookがザッカーバーグ出席の要求を拒否したことを認め、TechCrunchに対し次のように述べた:「委員会はザッカーバーグ氏にビデオでの証言の機会も打診したが、こちらも拒否された。Facebookはポリシーソリューション担当の副社長リチャード・アランの出席を提案し、委員会はこれを受け入れた」。

「委員会はまだ、プライバシー、安全性、セキュリティ、シェアリングにかかる重要な質問に答えるのはマーク・ザッカーバーグが適切だと考えている」と広報は付け加えた。「最近のニューヨークタイムズ紙の調査で、このほどあったデータ流出がFacebook内でどのように対処されたのか、上級のリーダーシップチームがいつデータ流出とロシアの誤情報の拡散を把握したのかといったさらなる疑念が生じている」。

DCMS委員会は、Facebookに一連の大きなデータスキャンダルに関する説明責任を果たさせようと先頭に立ってきて、ここに同様の懸念を抱える世界中の議会が加わった。その懸念の一つは、今年DCMS委員会を忙しくしている、オンライン誤情報の民主主義への影響だ。

DCMS委員会は、Cambridge Analyticaの件が今年4月にグローバル規模の大スキャンダルになって以来、特に忙しい。しかしながら今年、Facebookの悪いニュースはそこでとどまらなかった。


アランの喚問は11月27日午前11時半(GMT)、英国議会で行われる(その様子は英国の議会テレビウェブサイトでライブ配信される予定だ)。

その後記者会見が予定されていて、DCMSによると、7議会の代表が‘インターネットにかかる法律の国際原則’に署名する見込みだ。

この原則は“参加する議会の将来の行動についての宣誓”となるーソーシャルメディア規制に関する国際的な動きと総意を形成する意思を表している。

今夏まとめられたDCMSのフェイクニュース危機に関する予備レポートでは、政府に対し緊急の対応を求めているーここには、民主主義を守るためにソーシャルメディアに課税するという案も含まれている。

しかしながら英国の大臣は行動に移すことはせず、‘様子を見る’という生ぬるい反応しか示していない。国際的な行動を先導するといのが、DCMSのもう一つのアクションプランとなっている。

来週の記者会見で、大委員会のメンバーはアランの喚問後に質問を受け付け、そこではFacebookのごまかし、誤った方向性、質問のはぐらかしについての非難が予想される(Facebookの回避的な態度パターンはすでにDCMSのメンバーに非難されている)。

先週のニューヨーク・タイムズ紙の報道ではまた、フェイクニュース危機に直面した2016年以降のFacebookの戦略を、‘遅い、否定する、ゆがめる’と特徴づけている。

大委員会はまた、他の参考人からも話を聞く。その参考人には、Cambridge Analyticaスキャンダル後に実施された幅広いエコシステム調査について最近レポートを行なったDCMSの前メンバーで、英国の情報コミッショナーであるElizabeth Denhamも含まれる。

Facebookはプラットフォームがどのように使われるのかについて“大きな責任”を負う必要がある、と彼女は述べていて、Facebookがプライバシーを犠牲にするビジネスモデルを徹底的に見直さない限り、ユーザーの信頼を永久に失うことになる、とも警告している。

そのほか、来週の証言者は次の通りだ:副情報委員Steve Wood;セントクリストファー・ネイビスの前首相Denzil L Douglas(Cambridge Analytica/SCL選挙が同国で行なったことに関して);PersonalData.IO共同創業者Paul-Olivier Dehaye。

Dehayeは以前にも委員会で証言しているーFacebookへのデータ主体のアクセス要求をした経験の詳細を語った。Dehayeは、Facebookが持つ自身に関するデータの入手を試みたが失敗に終わっている。

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(翻訳:Mizoguchi)

ザッカーバーグ、5カ国の議会からの呼び出しを拒否

FacebookはまたしてもCEOを英国議会での証言に送り出すことを却下したー今回は5カ国の議会の代表者で構成される大委員会からの呼び出しだった。

アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、アイルランド、英国の議会は、Facebookの創設者、マーク・ザッカーバーグに世界情勢や民主主義プロセスにおけるプラットフォームの悪意ある使用について問いただすためにプレッシャーをかけようと手を携えてきた。

今年多くの時間をオンライン偽情報の調査に費やしてきた英国議会のデジタル・文化・メディア・スポーツ委員会(DCMS)は昨日、Facebookからの最新のつれない返事を明らかにした。返事は先週あり、ザッカーバーグが面と向かって質問に答えるという大委員会の召喚を却下している。

召喚を拒否するDCMSへの手紙に、Facebookは次のよう記している:「大委員会へのお招きありがとうございます。11月2日付の手紙で説明した通り、ザッカーバーグ氏は11月27日に聴取のあるロンドンに伺うことはできません。お詫び申し上げます」。

「委員会の偽ニュースと選挙に関連する問題検証に伴う調査には引き続き協力いたします」と、Facebookの英国におけるパブリックポリシー責任者Rebecca Stimsonは“Facebookが昨年取り組んできたいくつかのこと”を総括する前に付け加えている。

これは、選挙干渉、政治広告、偽情報とセキュリティに関連する一連のFacebookの活動と検証に要約される。しかし、Facebookがいかに、そしてどのような行動をとってきたかを知るための新たな情報やデータ要素の提供はなかった。

また手紙では、ザッカーバーグがなぜ、ビデオコールなどを使って遠隔から委員会の質問に答えることもできないのか、その理由は書かれていない。

この拒絶に対し、DCMSの委員長Damian Collinsは失望の意を表し、プレッシャーをかけ続けることを約束した。

「Facebookの手紙はまたもやかなり失望するものだ」と彼は書いている。「顧客の個人情報に絡むデータ保護法違反について知っていることを、そしてFacebookがなぜ誤情報のソース、特にロシアの情報機関からのものを特定して行動をとらないのか、マーク・ザッカーバーグは答えるべだと我々は確信している」。

「英国の委員会に対してだけでなく、いまや前例のない国際的な大委員会に対しても証言を拒否し続けるという事実は、彼が何かを隠していると思わせることになっている」。

「我々はこの問題を放置したりはしない。手紙を返すという形式的なものでは決して懸念はぬぐいきれない」とCollinsは加えた。「ミシガン大学がFacebookの“不確か指数”は最近改善してる、としている事実は、Facebookデータ流出の被害にあった人には何の意味もない」。

「我々は11月27日に大委員会を開くという計画を進め、新たに加わる代表者の名前と公聴会の計画を間もなく発表する」としている。

イメージクレジット: Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

ザッカーバーグ、英国とカナダの両議会から共同召喚

英国とカナダのそれぞれの議会の委員会が、前例のない国境を超えた共同の召喚状をFacebookのCEOマーク・ザッカーバーグに送った。

両国の委員会は、民主プロセスにおけるオンライン偽情報の影響を調査していて、今年綿密な取り調べが行われてきたCambridge AnalyticaとFacebookによるユーザーデータ悪用スキャンダルに関連する質問について、ザッカーバーグに回答してほしいと考えている。

さらに広げていうと、両委員会はソーシャルメディアプラットフォームを通じたオンライン偽情報の拡散に関連する民主的な影響と経済的なインセンティブの調査を続けるにあたり、Facebookのデジタルポリシーと、情報ガバナンスの実践についてさらなる詳細を求めているーこれは少なからず最近のデータ流出に基づいている。

今日Facebook創業者に送られた手紙の中で、英国のデジタル・文化・メディア・スポーツ省(DCMS)委員会と、カナダの情報アクセス・プライバシー・倫理常任委員会(SCAIPE)の委員長、Damian CollinsBob Zimmerは、“偽情報とフェイクニュースについて国際的な委員会”を組織するため、11月27日に“ウェストミンスター国会議事堂で特別な共同の議会公聴会”を開催する意向だと記している。

そして「これは我々委員会が主導するが、他にも多くの議会が出席するだろう」と続けている。「このような共同の公聴会はこれまで開かれたことがない。Facebookを“修理”する、世界の事案や民主プロセスにおけるプラットフォームの悪用を防ぐ、という自己宣言した目標を考慮し、この公聴会に出席する機会を提供したい」としている。

両委員会とも、オンライン偽情報に関する最終的なレポートを12月末までに出す予定だ。

DCMS委員会は、Facebookの代表やデータ専門家など呼び出してかなりの公聴会を開いたのち、すでに予備レポートをこの夏に発表している。レポートの中で、オンライン偽情報と闘い、またデモクラシーを守るために政府に早急な対策を求めている。また、レポートにはデジタルリテラシーについての教育プログラムの費用を賄うためにソーシャルメディアプラットフォームに課税する、という提案も含まれている。

しかしながら英国政府はこれまでのところ、委員会の提案の多くを却下しているー明らかに‘待って証拠を集める(そして/または政治的に緊迫した問題を茂った草の中に蹴り込む)アプローチを好んでいる。

一方で、いわゆる‘フェイクニュース’が引き起こした民主主義へのダメージに対するカナダの関心は、Cambridge Analyticaに関係していたデータ会社AIQにより大きくなった。AIQはCambridge Analyticaのデータ取り扱いとシステムデベロッパーを担う企業の1社でーCA問題を暴露したChris Wylieは、彼の元雇用主にとって不可欠な部門だったと表現しているー汚れ仕事を引き受けていた。

SCAIPE委員会はすでに、AIQの代表者に尋問する複数回の激しいセッションを設けたーこれは少なくとも大西洋の向こうの議員からかなりの関心が寄せられた。

同時にDCMS委員会は、オンライン偽情報について数カ月にわたる調査の中で、FacebookのCEOを呼び出そうと繰り返し試みたが、失敗に終わった。その代わり、Facebookは何人ものそう高い地位でないスタッフを差し出し、ついにCTOのMike Schroepferの出番となった。Schroepferは見るからにイラついた委員会のメンバーに5時間にもわたって火あぶりにされた。だが、そこでSchroepferが答えた内容は満足するものではなかった。

選挙干渉に関する政治的な懸念が今年になって急に高まり、ザッカーバーグは4月、米国の上院と下院であったセッションに出席したー議員の質問に向き合うためだ(しかし必ずしも答える必要はない)。

彼はまた欧州議会の会議にも出席したーそこでは疑念をはらすために議員に質問ぜめにされた。

しかし英国議会はずっと冷たく扱われてきた。とうとう、DCMS委員会はザッカーバーグが次に英国の土を踏んだ時には正式な召喚状を発行するかもしれないとの発言に及んだ(当然ザッカーバーグは英国を訪れていない)。

そして委員会はいま、別の策を試みているー国際的な議員による大連立というものだ。最低2カ国、それ以上になる可能性もある。

英国とカナダの委員会の委員長が、ザッカーバーグが“すべての議会”に出席することができないのは理解しているとしながらも、他の国にいるFacebookユーザーはザッカーバーグの組織の一連の説明責任を、直接的にはザッカーバーグの説明責任を必要としているとし、加えて「我々は、この責任はあなたが負いたいものであると考えている。両委員会はこの件に関して2018年12月末までに最終レポートを出す計画だ。あなたの証言の聴聞はすでに遅れていて、急を要する」と述べている。

「我々は、この歴史的な機会を活用してあなたが大西洋両サイドの国々の議員に、プラットフォームでの偽情報の拡散を抑止するために、そしてユーザーデータを保護するために取っている方策について語ることを求める」とも書いている。

しかしながらこれまでのところ、米国外でザッカーバーグとの面会を確保できたのは、欧州連合の28加盟国の代表議員だけだ。

それを考えると、今回の召喚も冷たく扱われる可能性はかなりある。

「我々は委員会の手紙を受け取り、期日までにMr Collinsに返事をする」とFacebookの広報は、TechCrunchが今回はザッカーバーグが出席するのかと訪ねた時にこう答えた。

委員会は11月7日までに返事するよう求めている。

おそらくFacebookは新しいグローバルポリシー責任者のNick Cleggを送り込むだろうー彼は以前、英国の副首相を務めていて、少なくとも英国の議員にはかなり馴染みある人物だ。

たとえCollinsの最新の策がザッカーバーグを呼び出せなくても、どこかの国よりも大きなスケールのユーザーベースを抱えるFacebookのような世界的プラットフォームを監視する政府のチャレンジを考えた時、2つの委員会が現在とっている国際連合というアプローチは興味深い。

もし2つの委員会が共同公聴会に他国の議員を誘っていたらーたとえば、Facebookのプラットフォームが部族間抗争をエスカレートさせたとの非難があるミャンマーなどー召喚はザッカーバーグにとってかなり無視できないものになっていたかもしれない。

Facebookは主張している。「我々は説明する義務がある」。そしてザッカーバーグはCEOだ。(しかしながらFacebook/ザッカーバーグが誰に対して責任があると感じているのかは示されていない)。

国際的な共同の委員会を設けるというのは新たな戦略だが、英国とカナダの議員、そして当局はすでに何カ月にもわたって協働しているーそれぞれの質問や調査の一部のための動きで、彼らは複雑なデータ追跡の糸口を探し、超国家企業の構造を理解している。

(意図した結果となるような世論の操作で)政治とソーシャルメディアが衝突したもつれたウェブをみるとき、一つのことがますます明らかになる。インターネットの相互接続、クロスボーダーという性質だ。特に資金たっぷりのデジタル政治キャンペーンと噛み合った時に鮮明だ。実際、個人データが入ったバケツは、従来の法体系に国家レベルでかなりの負担をしいている。

英国の法律がそうであるように、国の選挙法は選挙運動費のようなものへの規制に頼っていて、共同の作業は実際に金を追跡し純粋に流れの地図をつくれなければ効果はないだろう。

英国のデータ番犬が警告したように、オンラインの政治ターゲット広告での個人データ使用が懸念される場合、倫理が真っ先に、そして中心にこなければならない。

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(翻訳:Mizoguchi)

裕福な観光客を哀れむバーニングマンの本当の価値

私が、バーニングマンでいちばん面白いと感じる点は、ポスト希少性社会の叩き台になっているところだ。ただ、膨大な費用と資源を必要とし、非常に過酷で不便な場所で行われる実験というのも皮肉な話だ。そこまで行かなければ、世界の金銭的または希少性の階級構造から抜け出すことはできないというわけだ。

もちろん、それだけではない。世界最大級の、もっともクレイジーでもっとも壮大なパーティーであり、巨大なエレクトロニック・ダンス・ミュージックのフェスティバルであり、圧倒的な野外アートギャラリーであり(はかなく、同時に永遠で、美術館のキュレーターも足を運び、コレクションに加える作品を物色する)、実験的コミュニティーであり、世俗的異教徒の儀式であり、幻覚剤の「セットとセッティング」であり、友人との再会、または共に過ごす休日、などなど。これをヒッピーのイベントだと、からかい半分に誤解している人は多い。火炎放射器とギターの比率は100対1で、「安全第三」や「バーニングマンは常に死と隣り合わせであるべき」といった言葉がモットーになっている。またときには、大変に奇妙なことだが、シリコンバレーの休日のハッカソンの延長だと誤解している人もいる。

その最後の誤解は教訓的だ。今年のイベントリストには、いわゆる「ベンチャー投資家および起業家ネットワーキング・イベントとピッチセッション」というものがあった。私は参加しなかったが、親しい友人が参加して教えてくれたところによると、「あれは究極のポーの法則イベントだったよ。……それがジョークだとわかったとき、大勢の人間が本当にがっくりしていた」とのことだった。どうやら、現状の外の世界の社会的階級構造にはあまり反発する様子がないようだ。むしろ興味深いのは、それを真横から見ていることだ。人によっては、理解が難しいところだ。

たしかに、このStanford Newsの素晴らしい記事が伝えているように、バーニングマンはシリコンバレーに大きな影響を与えている。驚くべきテクノロジーがそこで見られるのは事実だ。壮麗な600機ものドローンが群をなして飛んだり、6メートルの高さのテスラコイルが2基並んでいたり、ロボットが勢揃いしていたり。しかし、その作者たちは、自分たちのコミュニティーに作品を見せたいだけであって、不浄な金儲けを企んでいるわけではない。

勘違いしないで欲しいのは、この砂漠の実験的コミュニティーにも、独自の階級構造があり、独自の社会資本があり、そこにたかろうとする者もあり、独自の不文律が大量にあり、大変に人気の(みんなの誇りになっている)独自のロゴもある。しかし少なくとも、みんなで働く、みんなで建てる(テント一張でもいい)、みんなが砂埃と戦って、そして負けて、みんなで物や行動を、受け取るのではなく寄付して社会資本を増やす、そしてみんなが、火を吐く巨大なアートカーの上に乗ったり、バスでやってきて寝る場所がない人たちに狭いテントの寝場所を分け与えたりする同等の参加者となり、近くにいる知らない人を助けたり、協力し合ったり、またはみんなが楽しめるアート作品や技術プロジェクトを作ったりする、という理想はある。

外の世界の階級社会に直交すること、つまり奪うのではなく与える競争は、その他の実験的コミュニティーの中でも、ポスト希少性社会の実質的な叩き台としては魅力的だ。だからこそ、そこに来てコミュニティーにまったく参加しようとしない人は、ひどく軽蔑され、嫌われ、侮蔑される。

もちろん私は、あの悪名高い「ターンキー・キャンプ」のことを言っている。金持ちの(ときには大金持ち)の人たちが、お金を払って六角形のユルトを建てさせ、食事を用意させ、ガイドや学芸員を雇って見物してゆく。あの壮大な光景の傍観者となるためにだ。バーニングマンの参加者とは異質の存在だ。外の世界での高い階級をプラヤに持ち込み、我々の叩き台に、古い退屈な資本主義を感染させようとしている。

裕福な人たち、とくにシリコンバレーから来た人たちが、バーニングマンで大そう贅沢な時間を長々と過ごしていくのは事実だ。2001年、Googleの共同創設者ラリーとセルゲイがエリック・シュミットをGoogleのCEOに選んだ理由のひとつは、候補者のなかで、彼が唯一バーニングマンの参加経験を持つということだった。マーク・ザッカーバーグは、一度、ヘリコプターで飛んで来て、グリルチーズ・サンドウィッチを無料で配って午後を過ごしていったことがある。イーロン・マスクは、彼がバーニングマンで見たようなシリコンバレーの側面が描かれていないと、れテレビ番組『シリコンバレー』を批判した。それでも彼らは、自分で行動している。その体験が、パッケージとして販売されるようになった(とされている)のは、ここ数年のことだ。

それには、みんな非常に腹を立てている。思うに、その最大の理由は、恐れだ。資本主義は「ボーグ」と同じだ。接触したものすべてに感染して、仲間に組み入れてしまう。バーニングマンは、ただの大きな祭になってしまう。それが恐ろしい。実験的なコミュニティーでも、ましてやポスト希少性社会の叩き台でもなくなってしまう。

それなのになぜか私は、とても清潔で裕福な、ターンキー・キャンプから来た大勢の人たちと土曜日の夜を共に過ごすはめになった。短パン姿の老人たちや、染みひとつないピカピカの何千ドルもしそうなバーニングマン風衣装を着た若者たち、それに、「こっちを見ないで、私はセレブなんかじゃありません」的な特注の黄金の面をつけた女性もいた。彼らは昔ながらのツアー観光客のように振舞っていた。ただ違うのは、ガイドが掲げる彼らの目印は旗ではなく、持っているのは旗ではなく、先端に点滅するLEDのハートを付けた長さ3メートルの6ミリ径鉄筋だったことだ。

そして、最初に抱いた彼らへの怒りが収まったあと、私がいちばん強く感じたのは、彼らへの哀れみだった。私は、前述のバスキャンプの中の、砂だらけのみすぼらしい場所で一人でキャンプをしていた。だが、それが何よりもずっと面白く、楽しい時間だった。たしかに、私は(比較的)このイベントを多く経験したベテランだが、初めてだったとしても、そうしていただろうと思う。それに、ここに集まった7万人の人たちの中には、とても裕福で、ターンキー・キャンプに泊まれる人たちも大勢いるのだが、それでもあえて大変な苦労や実験に身を投じ、巨大な像を作ったり、複雑な機械を組み立てたり、比類なく立派なアート作品を創造したりしていた。それは、大きな喜びという報酬を期待しているからだ。あの嫌われ者の観光客たちにも、そこをわかって欲しかった。

だから、そんな観光客は気にしない。バーニングマンは資本主義のボーグと戦う強力なレジスタンスとして生き残ると、私は期待している。だからそこは、文化、コミュニティー、テクノロジーのための、そして近未来のための、面白い実証実験の場所なのだ(同時に、完全にいかれた人たちに埋め尽くされた完全にいかれたパーティーという側面も、またその顔のひとつ)。ターンキー・キャンプの観光客たちが改心することなど、私は期待していない。彼らはその階級にしがみついているからだ。それに対して私たちは、テクノロジーによって可能となる文化とコミュニティーの非常に面白い実験の時と生きている。そして、バーニングマンがそう見える、また現にそうであるように、馬鹿みたいに弾け過ぎたそうした実験が、真実の価値を持つと私は強く信じている。

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(翻訳:金井哲夫)

FacebookがCNNやFox News、Univisionのニュース番組配信へ

Facebookは動画配信サービスWatchの専用セクションで流すニュース番組の第一弾ラインナップを発表した。Watchは昨年始まった、オリジナル動画を流すサービスだ。

配信されるニュース番組はメディアが制作するが、その制作費をもつのはFacebookだ。ニュースパートナーシップの責任者Campbell Brownはブログへの投稿で、1月の発表にあった通り、ニュース事業者のコンテンツをもとに意義あるソーシャルインターラクションとなることを優先すると述べた。

今回の取り組みはニュース事業者への支払いが伴うが、Brownは「フィードに流れるニュースは少なくなるかもしれない。しかし、大事なのは“信用がおけ、また有益で、地域に根ざしていること”」と語り、マーク・ザッカーバーグCEOの考えを代弁した。

Brownは第一弾について以下のように説明している。

配信されるニュース番組の第一弾ラインナップは、放送会社からニュースサイトまで、大手もあればローカルもある。番組は、賞をとったジャーナリストが司会をすることもあれば、新人が司会を務めることもある。1日のダイジェスト版、ニュース深く掘り下げるウィークリー番組、ニュース速報などフォーマットは多様だ。番組の配信は今夏後半に始まる予定で、数週間以内に追加の番組を発表する。こうした取り組みがうまくいくかどうか、Facebookはニュース配信事業者と緊密に協力する。番組の編集権はニュース事業者が持つ。

番組は下記のものを含む。

・ABCニュースの毎日のニュース

・アラバマAdvance Localの番犬ジャーナリストにインタービューするシリーズ“Chasing     Corruption”

・ATTNのウィークリー解説番組

・Anderson Cooperとゲストが展開するCNNの週間ニュースダイジェスト“Anderson Cooper Full Circle”

・Fox NewsのShepard Smithとその他による最新情報

・Micの週2回の番組

・UnivisionのJorge Ramosがさまざまな背景を抱えた移民にインタビューする“Real America with Jorge Ramos”。また、Univisionは毎日のニュースのまとめをスペイン語で案内する

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

FacebookがCNNやFox News、Univisionのニュース番組配信へ

Facebookは動画配信サービスWatchの専用セクションで流すニュース番組の第一弾ラインナップを発表した。Watchは昨年始まった、オリジナル動画を流すサービスだ。

配信されるニュース番組はメディアが制作するが、その制作費をもつのはFacebookだ。ニュースパートナーシップの責任者Campbell Brownはブログへの投稿で、1月の発表にあった通り、ニュース事業者のコンテンツをもとに意義あるソーシャルインターラクションとなることを優先すると述べた。

今回の取り組みはニュース事業者への支払いが伴うが、Brownは「フィードに流れるニュースは少なくなるかもしれない。しかし、大事なのは“信用がおけ、また有益で、地域に根ざしていること”」と語り、マーク・ザッカーバーグCEOの考えを代弁した。

Brownは第一弾について以下のように説明している。

配信されるニュース番組の第一弾ラインナップは、放送会社からニュースサイトまで、大手もあればローカルもある。番組は、賞をとったジャーナリストが司会をすることもあれば、新人が司会を務めることもある。1日のダイジェスト版、ニュース深く掘り下げるウィークリー番組、ニュース速報などフォーマットは多様だ。番組の配信は今夏後半に始まる予定で、数週間以内に追加の番組を発表する。こうした取り組みがうまくいくかどうか、Facebookはニュース配信事業者と緊密に協力する。番組の編集権はニュース事業者が持つ。

番組は下記のものを含む。

・ABCニュースの毎日のニュース

・アラバマAdvance Localの番犬ジャーナリストにインタービューするシリーズ“Chasing     Corruption”

・ATTNのウィークリー解説番組

・Anderson Cooperとゲストが展開するCNNの週間ニュースダイジェスト“Anderson Cooper Full Circle”

・Fox NewsのShepard Smithとその他による最新情報

・Micの週2回の番組

・UnivisionのJorge Ramosがさまざまな背景を抱えた移民にインタビューする“Real America with Jorge Ramos”。また、Univisionは毎日のニュースのまとめをスペイン語で案内する

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(翻訳:Mizoguchi)

GDPR施行、“同意の強制”でさっそくFacebookとGoogleに対し初の提訴

2年の移行期間を経て個人データの保護を目的とした、欧州の新しいプライバシーフレームワークGDPR(EU一般データ保護規則)が施行された。これを受け、長らくFacebookのプライバシー侵害を批判してきたMax Schrems(日本語版編集部注:Schremsは弁護士である)は、‘同意するか、利用をやめるか’をユーザーに迫るテック企業を相手どり、すかさず4つの訴状を提出した。

この訴状は、不特定の個人を代表していて、Facebook、Facebook傘下のInstagram、同じくFacebook傘下のWhatsApp、そしてGoogleのAndroidに対するものだ。

Schremsは、これらの企業がユーザーの個人情報の使用を続けるために、ユーザーに“同意を強制する”戦略をとっていると批判している。その主張は、サービスを提供するにあたり同意が厳密に求められる場合を除き、ユーザーは自由な選択を与えられる、とする法律に準拠している(この点について、Facebookは同社の主なサービスは広告ターゲッティングのための個人情報蓄積ではなく、ソーシャルネットワーキングであると主張している)。

「これは極めて明快なことだ。同意は、サービスに必要なものではない。全てに対し、ユーザーはイエスかノーの選択権を持っているべきだ」とSchremsはコメントしている。

Schremsはさらに「Facebookはこれまで、同意しないユーザーのアカウントを強制ブロックしさえしてきた。つまり、最終的にユーザーはアカウントを削除するか、同意ボタンを押すかを選ばなければならなかった。それは自由な選択とはいえず、北朝鮮の選挙プロセスを思わせるようなものだ」と付け加えた。

我々は、訴状が出された4社にコメントを求めていて、反応があればアップデートする。[アップデート]Facebookは個人情報保護管理者Erin Eganの名で次のようなコメントを出した:FacebookはGDPRを順守すべく、18カ月にわたり準備を進めてきました。ポリシーをより明確なものにし、プライバシー設定も簡単に見つけられるようにしました。また、アクセスやダウンロード、情報の削除などができる、より良いツールも導入しました。こうしたプライバシーを改善する取り組みは5月25日でもって終わり、というわけではありません。例えば、現在、我々は履歴削除の機能の追加にも取り組んでおります。この機能では、ユーザーは、サービス使用の情報を我々に送るウェブサイトやアプリを確認でき、またそうしたサービス使用情報をアカウントから削除することができます。ユーザーの閲覧データの保存機能をオフにすることもできます。

Schremsはつい最近、GDPR発効に伴い、戦略的提訴にフォーカスした非営利のデジタル人権団体を立ち上げた。今回の提訴はクラウドファンディングで設立されたこのNGOを経由してのものだ。NGOの名称はnoyb(none of your businesssの略)だ。

これまでのGDPRの解説で指摘してきたように、今回の規則では、重要なことに関しては個人情報の強制収集を認める一方で、noybのような非営利団体が個人を代表して提訴を行うことを認める法の履行を強化している。つまり、大企業と個人消費者の権利の間に横たわっている不均衡を正そうとしているのだ。

GDPR にある不均衡是正の条項は、EUの加盟各国が適用を除外することもできる。なぜ4社への提訴がオーストリア、ベルギー、フランス、ドイツのハンブルグで行われたのかの理由はまさしくここにあり、こうした国々ではプライバシーの権利を守るための強力なデータ保護当局がある。

提訴されたFacebookとFacebook傘下の会社が欧州本部をアイルランドに置いていることを考えると、アイルランドのデータ保護当局もこの提訴に巻き込まれる可能性が高い。データ保護という点において、欧州内ではアイルランドの評判は高いものではない。

しかし、共通する懸念や国境を超えたサービスの場合、GDPR では異なる管轄でもDPAs(追訴延期合意)の適用を可能にしている。つまり、noybの提訴は、この新しい体制を試す狙いもあるといえる。

GDPRの罰則体系では、大きく違反した場合、その違反した企業の収益の最大4%にあたる罰金を科すことができる。FacebookやGoogleに当てはめて考えると、違反すればそれぞれ10億ユーロ超の罰金を科せられる可能性があるということだ。

少なくとも今回の初提訴に限っていえば、EUの新規則は法の執行をソフトに展開することになる。というのも、もし新ルールを満たしていないようであれば、企業はそれに応じたものになるよう見直すことができるからだ。

しかしながら、企業が法を意図的に自己解釈して歪めようとしているとなった場合は、それを取り締まるためにすみやかに行動に移す必要があると判断することになる。

「すぐさま数十億ユーロもの罰金を科すわけではない。しかし、企業が意図的にGDPRを反故にした場合には罰金が科せられるはずだ」とSchremsは述べている。

つい先日、Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグはパリで開かれたVivaTech会議のステージで、FacebookはGDPR順守のために抜本的な変更を実施したわけではない、Facebookユーザーの“大方”は新たな同意フローを経てターゲット広告を喜んで選択している、と主張した。

「我々は、5月25日に間に合うよう、何週間にもわたってGDPRに合致するフローを展開してきた。その中で興味深かったのは、ユーザーが使っているウェブサイトやアプリから送られてくるデータを、私たちが広告を最適化するために使うことについて、人々の多くがよしとみなしていることだ。これはなぜかというと、もしあなたが、使っているサービスの中で広告を喜んで見ようという人であれば、関連のあるいい広告をのぞむからだ」と述べている。

ソーシャルネットワーク業界において圧倒的存在であるFacebookだが、ターゲット広告を受け入れるか、却下するかという、選択の提供は行わない、とは彼は言わなかった。FacebookがGDPR施行前に明らかにした新たな同意の流れでは、ターゲット広告を受け入れたくないという人にFacebookを完全にやめるという選択肢を用意しているだけだ。それが意味するのは、この強力なネットワークは人々にさほどの選択を与えていないということだ(加えて、Facebookが引き続き非ユーザーの追跡を行うということは、指摘するに値するだろう。というのも、たとえFacebookのアカウントを削除しても、Facebookがあなたの個人データを使用することを止めるという保障は得られないからだ)。

今回の新規則でFacebookのビジネスモデルがどれくらい影響を受けるかについて、ザッカーバーグは特に大きな変化ないと主張した。「なぜなら、自分のデータがどのように使われるかというコントロール権を人々に与えるというのは、サービス開始時からのFacebookの基本原則だからだ」。

「GDPRによっていくつかの新たなコントロールが加えられ、そこには我々が応じるべきものもあった。しかし全体的には、これまで我々が過去に取り組んできたことと大きな差はない」「軽視しようとしているわけではない。この新ルール順守のためにやらなければならないことはたくさんある。ただ、全体として、このルールの真意は私たちがとってきた姿勢と大きく変わるものではない」と述べている。

「人々が望む方法でつながるツールを提供し、GDPRのような規則に込められた理想の社会を築くために、どれくらい長い間考慮したことか。よって、受け入れるべき新ルールに消極的でいようとは思っていない。しかし、同時に、この手のことをどう考えてきたかという点でこの規則が大きな出発点となる、というふうには考えていない」。

ザッカーバーグはこうしたテーマで、今週はじめにあったEU議会との会合でかなり手厳しく、そして多岐にわたる質問を受けたが、意味のある回答は避けた

ゆえに、EUの議員はさっそく気概を試すことになりそうだ。その気概というのは、例えば、Facebookという巨大テック企業がビジネスモデルにおいて法を自己解釈した場合に、法的措置をとるかどうかということになる。

プライバシー法というのは欧州では特段目新しいものではない。しかし強力な拘束力を持たせたという点において風穴をあけた。少なくとも、GDPRには罰則体系が導入された。この罰則は威力を持つと同時にインセンティブをも与える。またSchremsやnoybといった先駆的な存在もあることから企業は訴訟も意識せざるを得なくなった。

Schremsは、GDPRが是正をサポートすべきかという賛否両論はあるものの、同意を得るためにユーザーに「同意するか、利用をやめるか」と迫るような強引なやり方を大企業はとることができる一方で、スタートアップや地方の企業はできないだろうと指摘する。

「同意強制に反対する取り組みは、企業がユーザーに同意を強制できないようにすることを保証するものだ。これは、独占企業が中小企業に対し優位に立つことにはならないという点で、とりわけ重要だ」と述べている。

イメージクレジット:noyb.eu

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(翻訳:Mizoguchi)