モトローラ・モビリティ・ジャパンはスタイラスを内蔵したAndroid 10搭載6.4型スマートフォン「moto g PRO」を10月26日に発表、10月30日に発売した。ペン内蔵スマートフォンといえばGalaxy Noteシリーズが圧倒的なシェアを獲得しているが、moto g PROは直販価格税込3万5800円という低価格が魅力。また、2世代のOSアップグレードと2年間のセキュリティーアップデートが保証されたAndroid One端末なので、長く安心して利用できる点も特徴だ。今回、moto g PRO実機をモトローラから借用したので、ペン機能にスポットを当ててレビューをお届けしよう。
モトローラの6.4型「moto g PRO」。Android 10搭載でスタイラスペンを内蔵。直販価格は税込3万5800円
SoCはミドルレンジクラス、トリプルカメラは変則構成
moto g PROはOSにAndroid 10、SoCに「Qualcomm Snapdragon 665」を採用。メモリー(RAM)は4GB、ストレージ(ROM)は128GBを搭載しており、最大512GBのmicroSDメモリーカードを装着可能だ。
通信機能は2G/3G/4G、Wi-Fi 5(11ac)、Bluetooth 5.0、NFCをサポート。nanoSIMカードを2枚装着可能で、デュアルSIMデュアルVoLTEに対応する。ただし、2枚目のnanoSIMカードとmicroSDメモリーカードは排他利用だ。
ディスプレイは6.4インチのFHD+ IPS液晶(2300×1080ドット、19:9)。輝度や色域、コントラスト比は公表されていない。
カメラは4800万画素メイン(F1.7、1.6um)、200万画素マクロ(F2.2)、1600万画素117度広角アクションカメラ(F2.2、2.0um)、1600万画素イン(F2.0、1um)という構成。ただし、4800万画素メインカメラは4つの画素を合わせて1200万画素相当の明るい静止画を撮影する「クアッドピクセルテクノロジー」が採用されており、最大解像度は4000×3000ドットとなる。また、1600万画素117度広角アクションカメラは動画専用だ。
最大解像度は「12MP(推奨)48MP/クアッドピクセル」
本体サイズは158.55×75.8×9.2mm、重量は約192g。バッテリーは4000mAhを内蔵。バッテリー駆動時間、バッテリー充電時間は公表されていない。
生体認証は本体背面に指紋認証センサーが用意されている。また、通常のインカメラを使うが顔認証機能も利用可能だ。
6.4インチのFHD+ IPS液晶ディスプレイはパンチホール仕様
モトローラのロゴ部分に指紋認証センサーを内蔵
本体下面にUSB Type-C(USB 2.0)、3.5mmイヤフォン・マイク端子、スタイラススロットを配置
本体右側面にボリュームボタン、電源ボタン、本体左側面にnanoSIMカード&microSDメモリーカードスロットを用意
パッケージには本体以外に、クリアケース、充電器、USBケーブル、ヘッドセット、イヤピース、SIMピン、クイックスタートガイド、LG(法令/安全/規制)が同梱されている
クリアケースは軟らかなTPU素材
充電器の仕様は入力100-240V~0.6A、出力5V/3.0A、9V/2.0A、12V/1.5A、容量18W
ヘッドセットには大、中、小の3種類のイヤピースが付属
パームリジェクション非対応ながらペンの使い勝手は◎
moto g PROのスタイラスペンはパッシブ方式で、手のひらなどの接触を無視する「パームリジェクション」機能は搭載されていない。また筆圧検知も非対応だ。しかしスタイラスペンで描画しているときに指で線を描いてみると、一瞬表示されるもののすぐに指で描いた線は消去される。パームリジェクション機能は実装されていないものの、ソフトウェア的に誤描画を防止する仕組みを取り入れているようだ。
また、Galaxy Noteシリーズほど多機能ではないが、スタイラスペンを抜き出せば対応アプリのアイコンがフローティング表示され、そこから専用メモアプリ「Motoメモ」の新規ページ、スクリーンショットへの書き込み、「Motoメモ」のページ一覧、Google製メモアプリ「Google Keep」などを起動できる。「メモスマホ」として十分実用的だ。
スタイラスペンを抜くと対応アプリのアイコンがフローティング表示される。つまり2アクションでメモ書きを始められる
これは専用メモアプリ「Motoメモ」。ペン先は軟らかめ。適度な摩擦があって個人的には好みの書き味だ
上からふたつ目のアイコンをタップするとスクリーンショットが撮影される。さらに左下のサムネイルをタップすると、画像にスタイラスペンで注釈などを書き込める
moto g PROがロックされているときにスタイラスペンを抜くと、そのままMotoメモの新規ページが開かれ、すぐにメモ書き可能。Galaxy Noteシリーズの「画面オフメモ」と同等の機能だ
ミドルレンジ向けSoC搭載スマホとして順当なパフォーマンス
パフォーマンスについては、定番ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」を実行したところ、総合スコアが178200、CPUが70650、GPUが34802、MEMが38648、UXが34100という結果になった。記事執筆時点(11月26日)のランキングトップが総合スコア647919の「ROG Phone 3」だ。つまりmoto g PROは、ROG Phone 3の約28%のパフォーマンスということになる。
ミドルレンジ向けSoC搭載スマホとして順当なスコアであり、ウェブ閲覧、SNS利用、動画視聴、音楽鑑賞などの一般的な用途であれば処理性能に不満を感じることはないはずだ。
定番ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」の総合スコアは178200、CPUベンチマーク「Geekbench 5」のMulti-Core Scoreは1376、「3DMark」のSling Shot Extreme – OpenGL ES 3.1は1125
見たままの色で撮影できる素直なカメラ
moto g PROのカメラは基本的に見たままの色で撮影でき、非常に使いやすく感じた。また、4800万画素メインカメラで4画素を合わせて明るい1200万画素相当の静止画を撮影する「クアッドピクセルテクノロジー」の効果は、夜景モードの「ナイトビジョン」などで実感できる。3.6万円弱のスマホの夜景モードとしては高いレベルだ。
ただし、「料理」モードを有効にしたら、驚くほど色が引っ張られてしまった。オフにすれば普通においしそうに撮れるが、適度な補正効果に改善されることを期待したい。
背面カメラは、4800万画素メイン(F1.7、1.6um)、200万画素マクロ(F2.2)、1600万画素117度広角アクションカメラ(F2.2、2.0um)のトリプル構成
4800万画素メインカメラで撮影
1600万画素117度広角アクションカメラで撮影した動画を画像として書き出し
4800万画素メインカメラで撮影(8倍デジタルズーム)
200万画素マクロで撮影
4800万画素メインカメラで撮影(ナイトビジョン)
上が料理モードオフ、下が料理モードオン
ペン搭載スマホを安価に手に入れたい方にもってこいの1台
カメラの構成はちょっと変則的だが、画質は基本的に良好。スタイラスペンも必須機能はしっかり押さえており、メモ帳として便利に活用できる。Galaxy Noteシリーズと比較すると及ばない性能、足りない機能は多々あるものの、3.6万円弱という価格を考えるとコストパフォーマンスでは優劣つけがたい。
ペン搭載スマホをできるだけリーズナブルな価格で手に入れたいという方に、これ以外に選択肢はないと言い切れるほどもってこいな1台だ。
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