Facebookのアルゴリズム変更によって閉鎖に追い込まれたと主張するLittleThings

Facebookが最近アルゴリズムを変えたことによって、著名なサイトに犠牲者が生じたようだ。女性のための生活のヒントやハウツーを紹介しているLittleThingsが、昨日(きのう)(米国時間2/27)閉鎖した。

同社については、2016年に書いたことがあるが、それはCity National Bankからの融資を得たときだった。当時の同社は好調なようで、最大のライフスタイルサイトのひとつになろうとしていた。そして2015年にはFacebook上のトップ人気のポストでもあった。

しかしここ数か月は、厳しい状況だった。そのことを、Business Insiderに載ったCEO Joe Speiserのスタッフ宛メモが記している。どうやら8月には“特別に大きな後退”があり、LittleThingsは“それへの対応と事業の立て直し”に追われる中、Speiserは大手メディアに買収について語り始めた。

当時Facebookはアルゴリズムの大きな変更を行い、ニュース発行者のコンテンツよりも友だちや家族からのコンテンツを優先する、とした。Speiserによると、これによってLittleThingsのインフルエンサーと、最も貴重なトラフィックであるオーガニックなトラフィックが75%減った。

“これほどまでに壊滅的な効果をもたらすアルゴリズムのアップデートは過去になかった”、とSpeiserは書いている。“それはわれわれを悲惨な状況に突き落とした。LittleThingsを買収する気だった企業はみな怖気(おじけ)づき、買い手から降りた。われわれは融資返済の目途が立たなくなり、最終的にわれわれのすばらしいストーリーに、早すぎる終止符を打つことになった”。

Speiserは、将来的にはLittleThingsブランドの再建策を見つけたい、と言っている。しかし現状では、同社は終わっている。

画像提供: LittleThings

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

イーロン・マスクの「火炎放射器」はすでに350万ドル分の予約注文を確保

ロゴ入り帽子の次火炎放射器だった。イーロン・マスクのBoring Companyは地下に高速でトンネルを掘削するベンチャーというより今のところライフスタイル企業として実績を挙げている(奇妙なライフスタイルだが)。ともあれ相当の売上が立っている。

20ドルの帽子は5万個売れ、Boring Co.の売上はなんと100万ドルとなった。昨日(米国時間1/28)注文の受付を開始した火炎放射器は1台500ドルで最大2万台を準備しているという。昨晩予約はすでに7000台となった。つまり350万ドルの売上だ。この記事の執筆時点でもまだ予約可能なので、売り切れてはいないのだろう。

火炎放射器2万台が売り切れる総額100万ドルの売上になる。ロゴ入り帽子の10倍だ。 マスクのもうひとつの事業、Teslaの場合も電気自動車を手に入れるには予約しなければならず、その際にかなりの内金(といっても最終的な販売価格に比べれば割合は小さい)を支払う必要がある。

Boring Companyの場合は地下トンネルを予約販売できない(少なくとも難しい)のでマスクのブランド価値が高いことを利用してライフスタイル製品のマーケットにハイパーループ顔負けの超高速で参入したに違いない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

悟りもアプリで開ける時代?ーー拡大するマインドフルネスのスタートアップ企業

【編集部注】執筆者のJoanna GlasnerはCrunchbaseの記者。

 

インターネットに接続している生活が良いとは限らない。スマホを片手に時間を浪費し、人と接する機会を失い、即座に得られる満足感を求める悪しき習慣ができつつある。そう感じることがあまりにも多い。

この問題を解決できるアプリがあればいいのに。できれば1日中使えて、人間とのやりとりを必要としないのなら尚良い。数分でダウンロードできるのなら言うことなしだ。

ようこそ、マインドフルネスとウエルネスの世界に。ここ1年ほどで投資家が、マインドフルネスや幸福、理想的な精神状態の促進を目的としたアプリやツールの開発を行うスタートアップ企業を支援した数は20以上になる。Crunchbaseのデータによると、これらの企業は今日までで1億5000万ドル以上を調達。最も高額なラウンドのいくつかはここ数カ月で行われ、その資金のほとんどはカリフォルニア州に本拠を置くスタートアップ企業に投じられる。

瞑想マネー

深呼吸をしたら、その金がどこに注ぎ込まれているのかを説明しよう。

今のところ、資金調達において最高額なのはHeadspace。瞑想の技術を学ぶ人気アプリを開発した企業だ。サンタモニカに本拠を置く同社は、今年6月に3700万ドルの資金を調達し、現在までの調達額は7500万ドルとなった。ビジネスモデルは至って単純で、ユーザーは無料レッスンから使用開始して、継続したい場合はサブスクリプション費用を支払う。

Headspaceは自社のアプリを、1800万ダウンロード超えの世界で最も人気のある瞑想アプリと称している。だが、その会社のミッションはアプリのユーザー数より遥かに大きい。

「瞑想は序章に過ぎない」。Headspaceの最高執行責任者であるRoss Hoffmanはそう述べる。創業7年目のHeadspaceはこれから「生まれてから死ぬまでの健康と幸福に関する包括的なガイド」を作成したいと考えている。

Headspaceは事業拡大にも励み、幸せの輪を広げるためにも尽力している。人材募集のページには、ニット生地の布張りソファがある開放的なオフィスと、サラダとご飯を口にする幸せそうなスタッフが掲載されている。Headspaceの求職者には、世界の健康と幸福を向上するという企業理念に対し、応募する役職を通してどのように貢献できるかが問われる。

潤沢な資金を調達した健康促進に取り組むスタートアップ企業はまだ他にもある。「すべての感情的なニーズに対処するべく、ユーザーの意欲を引き出すようデザインされた」デジタルツールとプログラムを開発するHappify Healthは2500万ドルを調達。オンラインでヨガ、瞑想、フィットネスのレッスンを提供するGrokker2200万ドルを獲得している。

シードファンドや初期段階のファンドを調達している興味深い企業は他にも多くある。それにはHeadspaceの競合Calmや、モチベーションが高まるテキストメッセージを届けるShine、多忙な人の燃え尽き症候群を防ぐThrive Globalなどがある。

こうした動きは何を意味するのだろう?

冒頭の不機嫌さはさておき、よりバランスの取れた生活を送るために設計されたアプリは、インターネットで過剰に繋がった世界の隙間市場を埋めているようだ。また、過度なデジタルの刺激を電子機器で治すのは皮肉といえど、そこには論理性もある。

「テクノロジーは、この惑星にあるすべてのものに対する意識を広げてくれるかけ橋となった…しかし、テクノロジーは同時に我々をマルチタスカーにし、数千人の友達がいるのにもかかわらず、孤独にした」。社会的意識の高いマイクロVC、Mindful Investorsの共同設立者Stuart Rudickはそう語る。MIndfulのポートフォリオには、変化する気象音を使用して、ユーザーの瞑想をガイドする脳波計ヘッドバンドの開発企業Museも名を連ねる。

Rudickは、マインドフルネスと瞑想のツールに対する投資家の興味をより広域な健康的生活への関心と見ている。特に瞑想は十数年まえのヨガと似た成長をたどっており、より多くの人口に普及しつつある。

投資家の視点から見ると、ヨガやフィットネス、健康的な生活などへの投資は良いリターンと高評価の企業を生み出した。元々ベンチャー支援を受けて10年前に上場したヨガのアパレルメーカーLululemonは、現在80億ドル相当の評価額を誇る。ユニコーン企業を挙げると、屋内サイクリングブームの火付け役であるPelotonは、前回のラウンドで12億5000万ドルの評価額をつけた。(こちらにその他数社をまとめた)。

同様に失望もあった。最近の事例で言えば、未公開株式ファンドの支援を受けたヨガスタジオチェーンのYogaWorks。同社の株価は上場時すでに予想額を下回り、8月のIPOから3分の1まで落ち込んだ。

スターの力

 

だが、マインドフルネス界の投資家は単に金銭的リターンを求めている訳ではない。Rudickのようなダブルボトムライン・インベスターと呼ばれる投資家は、潜在的利益に加えて社会的利益をもたらす企業を探している。

瞑想やマインドフルネスはセレブからの人気も集めており、著名な支援者からスタートアップ企業が資金を確保するのに役立っているようだ。Headspaceの投資家にはRyan Seacrestジェシカ・アルバ、そしてJared Letoなどがいる。Museは支援者にアシュトン・カッチャーを持つ。一方Thriveは、有名なメディア起業家Arianna Huffingtonによって設立された。

とは言え、セレブからのサポートが活気のない企業をユニコーン企業に変えることはないだろう。しかし、セレブが勢ぞろいコンテンツを端末で眺め、我々がどれだけの時間を浪費しているかを考慮すれば、数分でも時間とって、気持ちをスッキリしようと提案するセレブに耳を傾ける方がおそらく利口だろう。

 

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(翻訳:Keitaro Imoto / Twitter / Facebook

給与が最も高いのはテック業界とコンピューターサイエンス専攻――LinkedIn調査

スタートアップ企業によって調達された膨大な資金や、大手テック企業の高額な株価を見ればおそらく予想がつくかもしれない。しかし、本日(米国時間8/30)LinkedInが発表したデータは、テック業界における収入のさらなる詳細を明らかにした。ITとソフトウェア業界は給料が1番高い業界であり、ハードウェアとネットワークがその次にランクイン。両業界とも年収の中央値は100万ドル超えだった。

この調査は、今やMicrosoft傘下のLinkedInが昨年11月から収集しているデータの副次的なものだ。LinkedInの給与トラッカーでは、地理や勤続年数などの値を基に同じ業界で働く人の給料の相場を知ることができる。LinkedInは、詳細な情報を提供した約200万人のメンバーの匿名データを使用し、このレポートを作成したと述べる。データは不正確と思われる数値を破棄するため、他のデータとの比較もされた。

キャリアの将来性を高めたいユーザーに向けコンテンツを充実させる。そのLinkedInの戦略の一部である今回のデータは、業界や経験、性別、地理の違いによる給与の差に関心がある人には興味深い内容。以下は調査の中でも際立った数点だ。

テック企業は一般カテゴリーで首位に立つが、職業単体で見ると特定の仕事としては医療系の給与が最高額となった。医療系の職業は上位6位を独占し、整形外科医が年収45万ドルでトップ、次に心臓医が38万2000ドルで2位にランクイン。(これらの額にはボーナスも含まれる)。他には金融、営業、取締役、租税専門家などが名を連ねるが、これらの職業の業界は特定されていない。

当然のように聞こえるかもしれないが、経験の浅いポジションとして得られる給料では金融が1番だった。テック業界におけるエントリーレベルの仕事では、UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナーとプロダクトエンジニアの給料が最高額で、順に7万2000ドルと6万8000ドルだった。

調査対象となった業界の仕事をすべて考慮すると、テクノロジーがトップに立つ。事実、テック関連の業界は給与の中央値において10万ドル超えをしている唯一の業界であり、3位に入った製造業の年収の中央値は8万5000ドルだ。メディアと情報産業は比較的下位に位置し、もどかしい事実だが、教育は最下位だった。

テック業界が高収入であると同時に、最も高収入な専攻分野もコンピューターサイエンスだった。調査によると、コンピューターサイエンス専攻の平均年収は9万2300ドル。産業工学やビジネスなどの関連分野も上位にランクインした。また興味深いことに、ビジュアルアーツが僅差で2位に入っている。おそらく、LinkedInの調査に回答する売れない芸術家は少ないからだろう。

テック業界の男女格差は社会全体で最悪の業界の1つだ。テック業界の多様性の欠如に対し失望している人たちにとって、LinkedInの調査結果は深刻かもしれない。建設業、製造業、輸送・物流業は女性社員の割合が最も低く、女性1人あたりに対する男性従業員は順に4.7人、3.2人、2.6人だったが、その次は僅差でテック業界だった。ITとソフトウェア業界は女性1人あたり男性が2.4人の割合で、ハードウェアとネットワーク業界は2.3人の割合だった。デザイン業はほぼ男女比がほぼ同等で、賃金の少ない仕事は女性の割合が多かった。(ここで規則性を感じないだろうか?)

男女格差と同じように明白なのが、LinkedInがこの調査に含めなかった要素、人種だ。同社は白人社員と有色人種間の賃金の差に関する数字は一切示していない。筆者は現在この理由を尋ねており、わかり次第情報を更新する。

地理的に給与が一番高いのはサンフランシスコ。サンフランシスコ・ベイエリアが世界で最も物価の高い場所の1つであるため、給料もそれを反映している。同地域の最大産業であるテック業界と同様に、ベイエリアはLinkedIn調査で10万ドル越えをしている唯一の地区だ。

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(翻訳:Keitaro Imoto / Twitter / Facebook

テクノロジーで私たちの住む場所が変わる

High Angle View Of Modern Cityscape During Sunset

【編集部注】執筆者のDan Laufer氏は、RentLingo.comの共同設立者。

カリフォルニア州知事のJerry Brown氏は、最近提出した法案をもとに、同州中で大規模都市開発を行うための道筋を整備しようとしている。同法案は、サンフランシスコで増加中の住宅供給量に大きな影響を与える可能性がある。具体的には、デベロッパーに対して事前に行われる冗長なレビュープロセスや、NIMBY(Not In My Back Yard)主義者から反対を受けているようなプロジェクトにその影響が及ぶと考えられている。

同法案が成立すれば、住宅の供給量増加に拍車がかかり、家賃上昇を抑えることができる。それ自体は良いことなのだが、結局のところはあまり関係がないのかもしれない。あと5年もすれば新たな技術革新で、人が居住地として選ぶ地域に大きな変化が起こり、嬉しい副産物として、法律とは無関係にサンフランシスコの住宅危機を解消することが見込まれているからだ。

まず歴史的な文脈から考えてみたい。1900年にはアメリカ人の30%が都市部に住んでいたが、2010年までにその数は81%へと増加した。1900年当時は、農家が労働力の40%を占めていたにも関わらず、今日ではその数が2%へと減少しており、人は仕事を求めて都市部へ移動してきたことがわかる。明らかに仕事が都市部へと移っていったことで、人口集中のサイクルが出来上がり、既に都市部に住んでいる人に対してサービスを提供する人員(レジ担当、ウェイターなど)が必要となった。そして人は職場の近くに住みたがる。問題はサンフランシスコで生活できる人口にも限界があるということだ。

しかし、もしもサンフランシスコに住む恩恵を全て受けられて、さらには海辺の家で目を覚まし、都市部と比べて半分の家賃で済むとすると、ほとんどの人が悩むことなくその選択肢をとるだろう。これはCraigslist上の詐欺広告ではないし、まだ選択肢としては存在していない。それでも、そのうちすぐに私たち全員が正にその選択をできるようになる。ある3つのテクノロジーが、私たちの不動産に対する見方を完全に変え、この理想的なシナリオを実現してくれるのだ。そのテクノロジーとは、自動運転車、ハイパーループ、そして仮想現実(VR)だ。

今後はテクノロジーの力を利用して、人はそれぞれ散らばって住むようになる。

自動運転車が早くも実現しようとしている。大手自動車メーカー各社は、2020年までの自動運転車実用化を公約しており、TeslaやGoogleにいたってはそれ以前に実用化を達成しようとしている。普及曲線に関してあれこれ言うこともできるが、それよりも私自身は、必要なときに目的地まで自分を運んでもらいたいと同時に、自分で運転するよりも安く抑えたい。これは恐らく私に限ったことではないだろう。

自動運転車の普及で2つの大きな変化が予想される。それは、1)駐車場のスペースを大規模に減らしてもっと有意義なことに使えるようになること、そして、2)「運転手」が効率的になり、さらには道路上を走る車の数が減ることで車詰まりや事故が解消され、結果的に交通渋滞が無くなるということだ。

アメリカの都市部のほとんどで、駐車場が地表面積の少なくとも25%を占めると言われている。そのうち全てのスペースが新たな開発に使えるわけではないし、開発自体にももちろん時間がかかるため、すぐにはその影響が現れないだろう。しかし、現在ある駐車場の4分の1だけでも、2〜3年の間に利用可能となれば、住宅供給量が急速に増加する要因となるだろう。もっと重要なのが渋滞の解消だ。学校や職場への移動、また、あるひとの社会的役割に応じた「便利な」場所という定義自体が、今日に比べて今後劇的に広がっていく。

例えばハーフムーンベイ(Half Moon Bay)は素晴らしい街ではあるが、現状の通勤の不便さから、シリコンバレーで働く人の中で真剣に引っ越しを考える人はほとんどいない。だが、もしもドア・ツー・ドアで30分しかかからず、さらには移動中に本を読んだり、テレビを見たりできるとなれば事情は変わってくるだろう。実際のところ、自分の活動の中心地から40マイル(65km)内にある場所であれば、どの場所でも理想的な居住地候補となり得る。それに伴って、住宅需要がもっと広いエリアに散らばり、中心から離れたハーフムーンベイやナパ(Napa)などの地域では家賃上昇が予想されるが、同時にサンフランシスコまたはシリコンバレー中心部の家賃が下がることとなる。

次の技術的なブレイクスルーが、ハイパーループだ。馴染みがない人向けに説明すると、ハイパーループは、銀行のドライブスルーに設置してあるチューブを等身大の大きさにしたもので、これを使うと最高時速700マイル(時速1100km)で移動できると言われている。もしもハイパーループの技術が実用化されれば、サンフランシスコからロサンゼルスまで約30分で移動できるようになる。

まだまだ実用化に向けて様々なハードルが残っているものの、誕生間もないプレイヤーのひとつであるHyperloop Oneもハイパーループの建設に挑戦している。Hyperloop Oneは、最近ラスベガス郊外でそのコンセプトを証明し、2021年までに人を運べるようにするというゴールを掲げている。

サンフランシスコで生活できる人口にも限界がある。

ハイパーループを自分の思いのままに動かせる自動運転車と組み合わせることで、シリコンバレーで働きつつも、「便利な」場所と呼べる地域をさらに広げることができる。その結果、住む場所が活動の中心地から半径40マイル以内にある必要はなくなり、活動地に繋がるハイパーループのいずれかの乗口から40マイル圏内に住めばよくなる。そうすると実質的に、太平洋沿岸地域のどこにでも住めるようになり、ハイパーループと自動運転車を使うことで、現在サンフランシスコからサンノゼに車で向かうよりも短い時間でドア・ツー・ドアの移動ができるようになる。その上、移動時間を全て運転以外の活動に使うことができるのだ。

うっとりするような街並みのエンシニータス(Encinitas)であれば、サンフランシスコ市内の家賃の60%で住むことができるし、デル・マー(Del Mar)であれば約半分で済む。高級住宅地のラホヤ(La Jolla)にだってサンフランシスコと同じ家賃で住むことができ、シリコンバレーへの通勤も今に比べると快適になるだろう。

最後に、VRの登場が生活のイメージを一変させ、恐らく通勤という概念自体を昔のものにしてしまうだろう。FacebookがOculusを20億ドルで買収したのには理由がある。Facebookは、未来の社会的交流はVRを介して行われると考えているのだ。Microsoftは既に関連デモを発表しており、デモビデオの中では、物理的に全く異なる地点にいる人同士がホログラムのように現れて違和感なく交流する姿が、若干気味悪くも素晴らしく映しだされている。(Microsoftはその様子をホロポーテーションとピッタリの名前で呼んでいる)

Gallupによれば、在宅勤務を断続的に行う人の割合は、1995年に9%だったのが、2015年までに37%へと増加した。しかし現在のテクノロジーを利用した場合、在宅勤務には欠点がある。一般的に、在宅勤務よりも同じ部屋で同僚と仕事をした方が何かと便利なのだ。その状況をVRは変えようとしており、在宅勤務者の割合は今後劇的に増えることが予想される。

恐らく同僚との友情を深めるために(バーチャルビールを一緒に飲むというのはそんなに楽しくないだろうし)、パートタイムでオフィスに居たいと思い続ける人もいるだろうが、週5日の通勤は被雇用者にとっても、雇用者にとっても望ましいものではない。雇用者にしてみれば、通勤をなくすことで優位な採用条件を提示できるようになり、被雇用者の就業可能時間も増えることとなる。

今日のように人口が密集した都市で生活する代わりに、今後はテクノロジーの力を利用して、人はそれぞれ散らばった場所にずっと安く住めるようになる。そして、サンフランシスコだけでなく全ての大都市で不動産価格にも変化が出てくるだろう。結果的に、普遍的な魅力(海辺や山の麓など)を持つ地域にもっと多くの人が移り住むようになるのだ。

Jerry Brown知事の法案に関しては、家の数が増えること自体は良いことだし、可決されてほしいと考えている。将来どのようなことが起きるか分からないし、手頃な家は、遠い将来ではなくすぐに必要になる。しかし、私は向こう10年のうちに今の状況を振り返って、結局法案自体は関係無かったよねと言うことになると信じている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

小鳥と天候観測装置と私:訓話

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それは2羽の小鳥から始まった。

4月以来スズメの一家が我が家の寝室の窓の外の雨どいの中に巣を作った。最初、小鳥たちは幸せそうなつがいだったが、何週間も経つ頃には味気ない、壊れたおもちゃか退屈した子供を思い起こさせるピーピー声を発するようになった。ピーピー声が際限なく続く中、朦朧とした頭の半分はまだ夢を見ているような状態でよく目を覚ましたものだ。

その小鳥たちは排水口の中にいたので、雨が嫌いだった。それで、私はいつ雨が降るのか、そしてついには鳥たちを巣から追い出してくれないかと思うようになった。雨が降って鳥が静かだと私はご機嫌だったが、それは長続きせず、鳥たちは戻ってきた。それで私は雨が降るかどうか、毎日知りたいと思うようになった。

まあ、これは現代人にとっては簡単なことだろう。

「スマホに聞いてみたら」と妻が言った。「鳥は気にならないわ、可愛いし」

その鳥は可愛くなかった。実際、その鳥たちは本当にきれいな鳥を追い払っていしまった。以前は明るい色彩のカーディナルなどが毎年夏になれば現れてテレビアンテナにとまって鳴いていたのだが。

私はSiriを呼んで尋ねた。

「今日、雨降るかな?」

「今日の予報では雨は降りません」とSiriは答えた。

しかし、それでは本筋を外しているというべきだろう。つまりアプリをチェックしたかった訳ではないのだ。いつ雨が降るのか予測をしたかったのだ。そして、その予想を持ってすれば、自分の睡眠が鳥どもの激しいわめき声に妨害されるかどうか真に予測できるというものだ。私は自分のことは自分でやりたかった、つまり自然のままの人間対自然のままのイライラ、と言う訳だ。でも気象学を勉強したい訳でもなかった。

鍵となるのは天候測定装置を設置することだと考えた。そのような装置なら色々見たことがあった。それらは屋外に設置するセンサーと屋内に設置するディスプレーから構成されている。しばらくの間そのようなものを使っていたことがあった。私の最初の「天候測定装置」は単に屋外の温度を測定し最高気温と最低気温を記録するだけのものだった。ちょうど鳥たちがやってくる前の、先の2月に故障し、何か替わりが欲しいと思っていたところだったのだ。
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最初に試してみたのが「Acu-Rite 5-in-1 Color Weather Station」というモデルでデータは「カラー」のタブレット状のスクリーンに表示された。カラースクリーンというのはちょっとごまかしで、実は測定値はポケット電卓でよくあるような液晶表示だ。149ドルにしてはよく出来ていて降水量、気圧、気温、風速、そして体感温度を測定可能だ。しかしながら、その装置は単刀直入に雨を予報することはしなかったが、私の気圧を読む能力(というほどでもないのだが)により、雨が到来を察知することができた。つまり、雨が近づいてくると気圧が低下する傾向があるということだ。

2番目に試したモデルは最初のものよりずっと多機能なモデルだった。「Ambient Weather WS-1001-WiFi Observer」という機種で、WiFiに接続して測定データをWundergroundという、人気の気象情報を扱う独立系サイトに送信する。スクリーンは小さなタブレット状で驚くほどの量の情報や明瞭な気圧の変化を示すグラフなどを表示する。このモデルも先と同様に降雨量、気温、湿度を測定する。とりわけ素晴らしいのは、このモデルは屋内用無線温度計が付随するのでガレージや地下室の状況をモニターすることが可能だ。このモデルであれば天気を予測し鳥達を追い払うという目標にぐっと近づくことができるのではないかと思えた。
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お天気コミュニティーでの良い市民たるべく、私は自分のシステムをインターネットに繋げて、取得したデータをお天気コミュニティーの同志と共有した。まさに猫好きが猫動画を共有するが如くだ。これで怖いものなしだ。

今回試した2つのモデルは両方ともボート型のセンサーアレイが付属する。そこには小型の風速測定用カップと、内蔵電池に頼らないで電源供給ができるようソーラーパネルが付いている。興味深いことにAmbientの方は充電池が付随し、Acu-Riteの方は2年間電池が持つらいしい。私がセンサーを設置していると隣人がフェンスの方まで歩み寄ってきて、屋根に何を設置したのか聞いてきた。

「寝室からあれが見えるんだけど」と彼女は言った。私は、あれにはカメラは内蔵されていないことを保証しなくてはならなかった。彼女は完全には納得していないようだったが、何とか尋問を取り下げてくれた。

しかしながら、両方のモデルともに、一番の問題はセンサーアレーの設置だろう。高い位置に設置しなくてはいけないが、我々にとってそのような唯一の場所は、ブルックリンの小さなガレージの屋根の上だった。センサーを設置するためには、旗を垂直の壁に立てるのに使う旗立を購入し流用した。壁の代わりに、その旗立をガレージの屋根にネジで据え付け、近所の人がくれた金属棒を穴に差し込んだ。こうして、若干不安定だがまずまずの強度のセンサーアレー用のスタンドができた。センサーは時間とともにやや傾いてきたが、落ちてはこなかった。

私の壮大な天気予測実験は1週間が経過し、鳥は相変わらずピーチクと鳴き続け、計測結果を理解し気に留めているのは私だけであった。非常に一般的な意味では雨を予報することはできたが、私はむしろ収集したデータに魅了されていた。 自らを定量化する時代に、私には定量化するガレージがあるのだ。その情報は何者にも束縛されず、エキサイティングで、当のうるさい小鳥たちとはほぼ何の関係もないものだった。

居間にいると妻が怒ってぶつぶつと言った。

「あなたのご立派な機械に、今日雨が降るかどうか聞いてみてくれる?」と彼女は台所からどなった。妻は測定値を見ていた。

「さあね」私はどなり返した。

そして、私はSiriに囁いた。

「雨、降るかい?」と私は聞いた。

「今日の予報では雨は降りません」とSiriは言った。私は音声を落とした。

私は台所に行き気圧計を指差した。

「今日はふらないね」と、私は勝ち誇ったように言った。

春の太陽が排水管の忌々しい小さな巣を乾かし、鳥たちのさえずりが、飽くことなく単調かつ執拗に続いている以外は、空は澄み渡り雨ははるか彼方に押しやられているのだった。

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(翻訳:Tsubouchi)

アメリカの子供が最初のスマートフォンを持つ平均年令は10.3 歳というレポート

2016-05-20-kids

今週、Influence Centralから『子供たちとテクノロジー:現代のデジタル・ネイティブの進化』(Kids & Tech: The Evolution of Today’s Digital Natives)という新しい調査レポートのレビュー用コピーを受け取った。

このレポートは全米の母親500人を対象に実施中の詳細なレポートの一部だという。受け取ったレポートには現代のアメリカの子供たちとテクノロジーの関わりが詳しく調査されていた。中でも興味を惹かれたポイントは以下のようなものだ。

  • 平均的な子供たちが最初のスマートフォンを手にする年齢は10.3歳
  • 車に乗っている時間に子供たちの好むデバイスとしてタブレットは26%から55%にアップして1位。スマートフォンは39%から 45%にアップして2位(2012年との比較).
  • 64%の子供たちが自身のノートパソコンまたはタブレットを通じてインターネットにアクセスできる(2012年には42%)
  • 39%の子供たちがソーシャルメディアのアカウントを持ち、取得した平均年令は11.4歳。うち11%は10歳以下の年齢でアカウントを取得
  • 2012年には85%の子供たちが家族と共有のスペースからインターネットにアクセスしていたが、現在では76%に下がっている。24%の子供たちが寝室からプライベートにインターネットを利用できる(2012年には15%)

私はInfluence Centralについて知識がなかったので、レポートを読んだ後で同社のCEO、ファウンダーのStacy DeBroffに電話でコンタクトしいくつか質問してみた。

DeBroffは「他社のレポートについてはコメントできない」としながらも、Influence Centralの調査では「あなたが子供たちのためにスマートフォンないしフィーチャーフォンを購入したとき、子供たちは何歳でしたか?」という質問をしていることを明らかにした。つまりこのレポートで示されたのは子供たちが単にスマートフォンを利用し始めた年齢ではなく、自分のものとして所有し始めた年齢だとわかった。

【略】

ひとつ付け加えておくべき点は、Influence Centralはマーケティング代理店であり、この調査はブランドがビジネスを行う上での参考になることを狙ったものだという点だ。ビジネスはモバイル化に急速に馴染みつつある。

ノスタルジックな記憶によると、われわれは子供のころ泥まみれで地面に穴を掘ったり、自転車に乗ったり、サッカーをしたり、1人で町を探検したりしたものだ。しかし近頃の子供は(両親同様)いつもスマートフォンに顔を埋めているらしい。もっとも最近の子供のほうが物事がずっとよくできるし、手に入る便利なツールを使いこなそうとしているだけだというのも否定できない。こうしたツールを禁止したとしても意味はないだろう。

なにごともバランスが大切だと思う。私自身がスマートフォンに中毒気味で、スマートフォンと自分のデータ・アカウントを持つ10歳の子供を父親だ。そういうわけで、子育てに重要なのはあれだこれだと指導者ぶった口をきくつもりはない。しかし今回のレポートは無視してしまうには惜しい内容だったの一端を公開した。

原注:Influence Centralがレポートを一般公開したときはリンクを追加する。

画像: panco971/Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

これらの新しい居住コミュニティ…新型未来型の‘団地’?…があなたの生き方を変える

monopolyhouses

[筆者: Brad Hargreaves](CommonのCEO。)

生活コミュニティ(living community, -ies)と、それらを作った人びとは、それぞれユニークだが、共通点も多い。1)プライベートスペースと公共スペースが混在していること、2)一連のルールを共有し、高層マンションなどにありがちな匿名性と人づきあいのぎごちなさよりも、友好(friendliness)と思いやり(warmth)の心を重視すること。

複数の人が一緒に住むための住み方を、新しく模索することはとても難しいが、その努力の報酬は大きい。いくつかのグループが、これまでの人間生活の限界を押し広げて、未来のコミュニティを作ろうとしている。その例を、見てみよう:

田舎暮らしふうミニ団地
Serenbe

ジョージア州の農村地帯に展開するSerenbeは、2004年に始まり、今では400名が暮らしている。The New York Timesが“新しい形の都市生活(New Urbanism)の実験”と呼んだSerenbeは、田舎ふうの家とタウンホームのミックスで、25エーカーの有機栽培農園やコーヒーショップ、農家の産直マーケット(farmers’ markets)、ギャラリー、いろんな定期的イベント、などがある。準郊外(exurban)の味気ないスプロールの対極としてSerenbeは、計画的に作られるコミュニティのあり方を根本的に変えようとしている。

完全な逃避生活を楽しみ心身を蘇生する
Maderas Village

ホテルとリゾートとしてスタートしたものが、アーチストたちのコロニー(colony, 集団居住区)とライフスタイルに変わった。#maderaslifeは、Instagramだけでも11000あまりのポストがある。サーファーやクリエイティブやフーディー*たちがニカラグアの太平洋岸の丘にある村に一週間から数か月エスケープする。招待されたゲストは部屋を共有して一緒に生活するか、または自分のプライベートなカバーナを予約する。そこでの暮らし方のオプションやライフスタイル、予算などはきわめて多様だが、すべての文化に共通しているのは、持続可能性とサーフィンとマイペースで生きることだ。〔*: フーディー, foody, -ies; 食べ物や料理のマニア、‘食べ物おたく’〕

別人になってテクノロジーとアルコールのない暮らしに没入
Camp Grounded

大人のサマーキャンプが再流行してきた。多くの大人たちが、サマーキャンプサーキットを毎年の生活行事にしている。たぶんもっとも敬愛されているキャンプが、Camp Groundedだ。完全に素面(しらふ)の週末を、どんな形のテクノロジーにもアクセスせずに過ごす。そこには二つのユニークなルールがある: 仕事の話をしない、そして、そこだけの新しい名前を使う。

さまざまな生活コミュニティの中でもとくにユニークなCamp Groundedには、企業やチーム向けの堅固な設備もある。AirbnbやYelp、Tom’s Shoesなどが、社員たちに仕事を忘れさせ、リラックスさせるために利用している。

しばらく遺跡の町に家を借りて住む
YesNomads

YesNomadsは特別のアクティビティメニューを持つFacebookグループで、500名あまり〔現在639名〕のグローバルなnomadたち(遊動民)たちが、ニューヨークやロサンゼルスやロンドンやベルリンから、トゥルムやイビザやジャクソンホールへ行ったり来たりする。信頼性は高く、レンタル料金はリーズナブル、そして家のスワップ(短期取替えっこ)が奨励されている。

山奥のスキーリゾートで文化教養イベント満載
Summit

Summitは完全招待制で、招待されたらPowder Mountainにセカンドホームを持ち、話の上手なスピーカーや、自然食の食事、有意義な会話などで日々を過ごす。最初は起業家やクリエィティブのためのイベントシリーズとして企画され、今でもSummit at Seaが有名だが、Summitはユタ州に恒久的なコミュニティを築いていて、そのテーマ(スローガン)は、イノベーションと起業家精神とアートとそして利他主義*だ。〔*: 利他主義, altruism, エゴイズムの反対。〕

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これらの事業は、それぞれが独自のコミュニティだ。自由でオープンな精神を尊ぶものもあれば、逆に排他的なものもある。でも、これらのすべてが、規範の外で何かをやろうとしている。そしてそれによって、ステータスクォーに無感覚になり、もっと遊動民的でもっとクリエイティブなライフスタイルを求める人たちに、アピールしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))