ワーナーがアニモカブランズ傘下のメタバースThe Sandboxで「音楽テーマパーク」構築へ、ライブや新しい音楽体験を提供

ワーナーがアニモカブランズ傘下のメタバースThe Sandbox内で「音楽テーマパーク」を構築へ、ライブや新しい音楽体験を提供

The Sandbox

「メタバース」はその概念ばかりが話題にのぼる一方、実態がなかなかはっきりと見えてこないのがもどかしいところですが、メタバースを具現化した成功例のひとつといえるのがゲーム『Fortnite』内で何度か開催されている音楽イベントの類いです。

そして、ワーナーミュージックグループ(WMG)は、これに触発されたかのような音楽パフォーマンスステージを、香港拠点の「Animoca Brands」(アニモカブランズ)傘下、有力なメタバースプラットフォームのひとつである『The Sandbox』との提携により構築しようとしています。

3大メジャー音楽レーベルのひとつであるWMGは、エド・シーラン、Green Day、デュア・リパなど有力なアーティスト多数と契約しており、それらの一部が、今後The Sandbox内のバーチャルステージでコンサートを開催し、ユーザーがそれを体験できるようにしていく予定とのこと。また、The Sandboxは熱心な音楽ファン向けにプラットフォーム内のWMGセクションの仮想不動産を販売する予定もあるとしました。

The Sandboxはすでにスヌープ・ドッグやDeadmau5、スティーブ・アオキらと独自に契約しているものの、メジャー音楽レーベルとの提携は当然ながら過去最大規模のコンテンツ資産がこのプラットフォームで活用されるようになることを意味し、膨大な数のアーティストがその中でバーチャルなイベントを定期的に開催するとなれば、ファンには無視できない新しい音楽メディアの形になるかもしれません。

当然、ワーナーだけでなく、ライバルのユニバーサルミュージックグループなどもレーベル所属アーティスト公式のアバターを公開するなどして、メタバースへの進出を図ろうとしています。

ワーナーのメタバース内テーマパークがユーザーへのサービスを開始する時期はまだ示されていませんが、それが誰もが驚く次世代音楽体験の場になるのか、子供騙しのバーチャルハリボテに閑古鳥が鳴く結果に終わるのか、見守っていきたいところです。

(Source:Warner Music GroupEngadget日本版より転載)

Tencent Musicがワーナーと提携、これで3大レコードレーベルとジョイントレーベルを運営

Tencentの音楽ストリーミング事業が、主要ライセンスパートナーである「3大」レコードレーベル企業との結びつきを強めている。現地時間3月23日、Tencent Music Entertainment(TME)はWarner Music Group(WMG)と新たなジョイントレーベルを設立したと発表した。これは2018年1月にSony Music Entertainmentと、2020年8月にUniversal Music Group(UMG)と開始したのと同様の取り組みだ。

TMEは発表の中で、この提携は「Warner Musicのグローバルなリソースとアーティストのキャリアをサポートしてきた経験、そして中国の音楽とエンターテインメント市場におけるTMEの巨大な影響力」のメリットを活かすものになるだろうと述べている。

UMGとのジョイントレーベルも同様に、国際的なアーティストを急速に成長する中国の音楽市場で展開し、中国のミュージシャンを海外に広めることを狙っている。

TMEとWMGはジョイントレーベルに加えて複数年のライセンス契約にも合意し、10年間にわたる両社の提携をさらに延長した。

TMEは3大レコードレーベルと継続的なライセンス契約を結んでおり、一部では資本関係を構築している。2021年1月にTencentが主導するコンソーシアムはUMGの持株比率を20%に増やした。

TMEは中国で人気のオンライン音楽サービスも運営している。系列の音楽ストリーミングアプリにはQQ Music、Kugou Music、Kuwo Musicがあり、TMEは2020年第4四半期に合計6億2200万人の月間モバイルアクティブユーザーを獲得している。

ただし有料ユーザーの割合は依然として低く、2020年第4四半期では9%が有料ユーザーだ。しかし前年同四半期の6.2%からは増加している。

しかしTMEにはSpotifyなど欧米のストリーミングサービスとは異なる主要な収入源がある。それはソーシャルエンターテインメントだ。このジャンルにはカラオケアプリのWeSingがあり、バーチャルギフトの販売で収益化している。バーチャルギフトとはユーザーが購入して気に入ったパフォーマーに贈るもので、現実世界のファンとアイドルの関係性を再現している。

2020年第4四半期に、サブスクリプションとデジタル音楽販売の売上が4億2300万ドル(約460億円)だったのに対し、ソーシャルエンターテインメントは8億5400万ドル(約930億円)と売上に貢献した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Tencentワーナーミュージック音楽ストリーミング中国

画像クレジット:TME

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(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)

生産性と睡眠を向上させるパーソナルな「音環境」を生み出すEndelが5.3億円調達

ベルリンに拠点を置くEndel(エンデル)の売り文句は単刀直入だと、共同創設者でCEOのOleg Stavitsky(オレグ・スタビッツキー)氏は言う。

「私はEndelを説明するとき、いつもこう言います。これは集中とリラックスと睡眠を助けるテクノロジーですと」と。「もちろん、実際にやっていることは、もうちょっと複雑ですが」と同氏。

このスタートアップは米国時間9月23日、500万ドル(約5億3000万円)のシリーズA投資を獲得したことを発表した。主導したのはTrue VenturesKevin Rose(ケビン・ローズ)氏。そこに、SleepScore Ventures、Techstars Ventures(EndelはTechstars Music Acceleratorに参加していた)、Impulse Ventures、Plus 8 Equity Partners、Waverley Capital、Amazon Alexa Fund、Target Global、その他さまざまな投資家が参加している。

同社のメンバーは子供向けアプリの会社Bubl(バブル)でともに働いていた仲間だとスタビッツキー氏は教えてくれた。Bublを売却した後、彼らはサウンド関連の仕事を探し始めたのだが、やがて「睡眠や集中力、さらには成長などを助けるようデザインされた、マインドフルネスアプリのプレイリストが伸びていることを知った」とスタビッツキー氏は言う。

「仕事を始めた当初は、環境音楽を生成する機械を作ろうと考えていました」と彼は振り返る。しかしリサーチを進めると「パーソナルなものでないとダメだ。ひとつの曲や、ひとつのプレイリストや、ひとつの音風景では実現しない。それは、自分だけの宇宙に強く依存するからだ」と気付いたそうだ。

そしてそれが、Endelの製品となった。彼らのテクノロジーであるEndel Pacific(エンデル・パシフィック)が作り出す「音環境」は、集中、睡眠、リラックスをしたいとき、または外に出かけるときであっても、それぞれの人に応じてデザインされる。この環境は、時刻や天気、またはユーザーの心拍数や動作などによって、部分的に変化する。

画像クレジット:Endel

ローズ氏は、「リアルタイムのフィードバックを利用して、肉体を非常にポジティブな方向にコントロールし変化させる、閉ループシステムというアイデア」に興奮を覚えたという。そしてEndelは「科学に裏打ちされている」と強調する。

Endelのアプローチは、いくつかの科学分野から引き出されている」とスタビッツキー氏。概日リズム(毎日の睡眠周期の中の今どこにいるかを把握)、ペンタトニック音階(心地よいサウンド)、サウンドマスキング(気が散る音を小さくする)に関する研究だ。

このアプローチを支える科学の検証を強化するために同社はパートナー企業と協力しているが、すでにxフローの概念を提唱し関連本も執筆している心理学者であるMihaly Csikszentmihalyi(ミハイ・チクセントミハイ)氏が開発した経験サンプリング法を用いて、その音環境が集中力を6.3倍高め、不安を3.6倍鎮めることを確認できているという。

私も試してみた。昨日仕事中にEndelがミキシングした心地よい音楽とホワイトノイズを聞いた。もちろん、この原稿を書きながらも聞いている。活力や集中力が即座に、また劇的に高まった感じがしたとは言えない。しかし、時が経ち、いつもより長い時間、気が散ったり疲れたりせずに仕事が続けられていたことに気がついた。

EndelのCEOを務めるオレグ・スタビッツキー氏

Endelは、iOS、Apple Watch、macOS、Amazon Alexa、Android用にアプリをリリースしている。ダウンロードは200万回近くに達する。サブスクリプションの料金は1年で49.99ドル(約5300円)だ。

スタビッツキー氏はまた、例えば日本の全日空と協力してこの技術を飛行機に応用するといった大規模な事業にも着手していると話している。さらに自動車メーカーやスマートスピーカーのメーカーとの提携も考えているという。

さらに、歌やアルバムをアルゴリズムで制作するために、Warner Music(ワーナー・ミュージック)との契約(The Verge記事)に署名した。スタビッツキー氏は、ミュージシャンとの協力も望んでいる。彼らが新しいアルバムをリリースするとき、従来型のアルバムと同時に「仕事をしたり眠りたいときの音風景として使える機能性と適用性のあるアルバム」も同時に出せるようにとの考えだ。

「大きな展望としては、最終的にはサウンドを超えることです」と彼は言う。その手始めに、今年末からApple TV用アプリとして動画も取り入れる。

Endelは、現在までに合計710万ドル(約7億5000万円)を調達している。

関連記事:Kevin Rose on health apps, crypto and how founders get through this time with their sanity intact(未訳記事)

画像クレジット:Jasper James  / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)