小さなカーリングロボットのCurlyがストーンをみごとに投げた

最近はロボットがいろいろなスポーツで活躍しているが、本質的に得意とするのは特定の動作を繰り返すスポーツだ。ある種のスポーツ、例えばカーリングではタスクが限定された動きなのでロボットに非常に適している。韓国とドイツの研究者チームは国際大会に出場できるレベルでストーンを投げるロボットを開発した。

カーリングは氷の上に描かれた的に向かってストーンを投げるゲームだ。やったことないなら残念だが、大変おもしろい。ストーンを滑らせて押し出す動作は簡単に見えるが、適切な戦略を立ててスピード、方向とスピンを微妙にコントロールしなければならない。

ストーンは家庭で使う大型のやかんぐらいの大きさの非常に重い石で、これを氷上に描かれたサークルの中心にできるだけ近い位置に止めなければならない。このとき敵チームのストーンを弾き飛ばしたり、味方のストーンに当てて位置を動かしたりすることがテクニックとなる。ロボットのCurlyはまさにこれができるので驚きだ。

ソウルの高麗大学とドイツのベルリン工科大学(Berlin Institute of Technology)の研究者は「流動的な現実環境に応じて対話的に人工知能を利用するシステム」の実験としてCurlyを開発したという。つまりロボットは常に変化する的の状況を認識し、それに応じて自己の戦略を決定し、高い精度で実行しなければならない。

Curlyは2つのシステムで構成されるロボットだ。一つは的の状況を観察し戦略を決定するスキップの役割だ。もうひとつのシステムが実際にストーンを投げる。今のところ氷をホウキで掃いてストーンの進路を調整するスウィーパーはおらず、「ハード、ハード!」という叫びも聞かれない。しかし将来はスウィーパーロボットも開発されるのだろう。

このロボットのAIはストーンと氷の相互作用を物理的にシミュレーションしたカーリングのコンピューターゲームで訓練された。こうしたシミュレーションの成否はモデル化の正確さにかかっている。Curlyの場合これが極めてうまくいっているようだ。各ラウンドの第一投で氷の状況を確認し、それに応じて以後の戦略が決定される。

 

ロボットの動作は非常に優秀で、韓国の女子カーリングチームのトップや車椅子カーリングの国際試合の代表チームのレベルだ(4戦して3勝している)。スイーパーを含めた場合試合の結果がどう変わるかは興味のあるところだが、現時点では十分な成果とみていいだろう

ロボットの開発チームによれば、人間と試合をして好成績を収めたということよりも、現実のダイナミックな状況を認識し、リアルタイムで適切な戦略を決定できたことが重要なのだという。開発チームがロボットにいちいち新しい状況に応じた動作をプログラムしているわけではない。つまりロボティックスにとっての成果である一方、AIが自ら状況を認識してリプログラミングするという能力を実現できたことが大きい。最近までこのような複雑な状況をAIによって認識、分析することは極めて困難だった。

CurlyのAIその他エンジニアリング上の詳細についてはScience Roboticsに掲載された論文を参照 。

画像:Korea University

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

まったく新しい手法で新薬開発を進めるInsitro、「デジタル生物学は素晴らしい分野」と創業者が力説

「生物学とコンピューティングが交わるところでの研究開発は、テクノロジストにとっていま最もエキサイティングな領域かもしれません」。

Insitro(インシトロ)の創業者兼CEOのDaphne Koller(ダフニー・コラー)氏はそう語る。このバイオテック企業は、立ち上げからわずか2年で2億4300万ドル(約254億円)余りの資金を調達した。

TechCrunch取材のバーチャルカンファレンスであるDisrupt 2020で講演したコラー氏は連続起業家でもあり、以前は教育系スタートアップのCoursera(コーセラ)を共同創業し、Alphabetの子会社で健康と長寿にフォーカスしたCalico(カリコ)のチーフ・コンピューティング・オフィサー(CCO)を短期間務め、「現在ではデジタル生物学が次の大きな技術革新だ」同氏は見ている。

インタビューでコラー氏は「今現在デジタル生物学は最高に素晴らしい分野だ」と述べた。確かにそれは、同氏にとってまたとない好機だ。現在の同氏の仕事は、神経疾患が疑われる症状の治療法の開発や、Gilead Pharmaceuticals(ギリアド製薬)と共同で進めている肝炎関連の短期的な研究開発事業など多岐にわたっている。

コラー氏の企業のInsitroという名前は、生物学の研究における2つの相異なる方法を組み合わせている。1つは「in vitro」で、これは試験管の中でという意味だ。生体の上ではなく生きた標本を研究室の中で実験観察し研究する。そしてもう1つの「silico」はシリコンに由来し、文字どおりコンピューターの上で実験やシミュレーションなど実行する。

Insitroは、この2つの研究手法を組み合わせて、新薬発見の方法を根本的に変え、大量のデータをふるいにかけることによって、一定の条件の現れの中にパターンを探す。パターンが認められたら、その現れに結びついている経路や機構を調べ、治療のターゲットを判定する。そして、病状の進行を逆転または停止するために使える新しい分子の開発を追究し、病状の進行に結びついている生物学的な機構の停止を目指す。

コラー氏は「弊社には人間の疾患と関係のある大量のデータがあります。機械学習は、データの意味を理解するための多くのツールを私たちに与えました」と語る。

同社は、それらの条件の現れを変えるかもしれない新たな患者集団や新たなインターベンション(カテーテルを血管に挿入して行う治療法の総称)、新たな薬を同定できる。「私たちは機械学習の利用という非常に長い旅の最初の段階にいると自覚しています」とコラー氏。

ギリアドと共同で進めている肝炎に関する研究では、コラー氏のチームがギリアドの試験から小さくて高品質なデータ集合を取得し、患者データの時系列を見ながら病気の進行を分析する。進行を見ることによって同社は、組織の損傷を起こす繊維症の進行の直接の原因を突き止める。そして同社はそれらのターゲットを始点として、疾患の進行を遅らせるための因子を見つける。

「同社が研究しているのは、コンピューターを使って生物学と、シャーレの中でその生物学を形にするバイオテクノロジーと、そのさまざまな形から違いを作り出すインターベンションを理解することなのです」と同氏。

コラー氏は「いま私たちが進めようとしていることは、これまでの製薬企業のやり方とまったく違いますし、似てもいないものです。弊社は何十万もの人たちが働いているこれらの企業の軌道を変え、その文化をいま真の挑戦になりつつあるテクノロジーの文化に変えようとしているのです」と説明する。

同氏が大手製薬企業に入らずに自分の企業を立ち上げたのもこの目的のためであり、それは革新者のジレンマの古典的な例でもある。そして、Insitroのようなテクノロジーの破壊的パワーは、Disruptカンファレンスの命名者であるClayton Christensen(クレイトン・クリステンセン)氏の理論でもある。

「革新者のジレンマとともに重要なのは、これまでとはまったく違ったやり方でやるという心構えです。新薬発見はますます高コストで、失敗の多い事業になりつつあるので、まったく違うやり方のほうがよい結果が得られる可能性があります」とコラー氏は締めくくった。

画像クレジット:Insitro

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

機械学習のモデルの履歴を辿れて最新データで実動試験もできるVertaが10億円を調達

Vertaの創業者でCEOのManasi Vartak(マナシ・バルタク)氏は、MITの大学院在籍時に、機械学習のモデルのバージョン履歴を追跡するオープンソースのデータベースプロジェクトであるModelDBを構想した。卒業後、彼女はそのビジョンをさらに拡張して、モデルのバージョンを追うだけでなく、それらを実際に使用できる方法を提供したいと考え、Vertaが誕生する。

米国時間8月25日、Vertaはステルスを脱し、Intel Capitalが率いるシリーズAのラウンドで1000万ドル(約10億6000万円)を調達した。参加したGeneral Catalystは、同社の170万ドル(約1億8000万円)のシードラウンドをリードしている。

バルタク氏はModelDBでモデルのバージョン履歴を提供するだけでなく、多くの企業にとって難しいことだった、データサイエンティストたちがこれらのモデルをプロダクション(本番使用)へデプロイするためのプラットフォームを作りたかった。さらに彼女はプロダクションであるからには、対象データが過去のものでなく、現在のデータを正確に反映していることも望んだ。

「Vertaはモデルが今でも有効か調べることができ、モデルのパフォーマンスが急に変化したら警告を出す」と同社は説明している。

画像クレジット:Verta

バルタク氏によると、オープンソースのプロジェクトにしたため、会社を早期に投資家たちに売り込むことができ、多くの顧客を惹きつけるという期待感を彼らに持たせることができたという。「シードラウンドも、私が単独かつ初めて起業し、しかも学校を出たばかりの創業者として調達した。これは一般的な資金調達とはまったく違っていたが、それに関してもオープンソースのプロジェクトであることが有利に働いた」と彼女は語る。

確かに、今回のリード投資家であるIntel Capitalの副社長で専務取締役のMark Rostick(マーク・ロスティック)氏は、Vertaが機械学習のモデル制作における基本的な問題を解こうとしていることを理解していた。「Vertaは、企業がAIを採用するときに直面する重要な問題の1つに取り組んでいる。その問題とは、データサイエンティストとデベロッパーの間にあるギャップを橋渡しして、機械学習のモデルのデプロイメントを加速することだ」とロスティック氏はいう。

バルタク氏は、現在の初期的段階で何社の顧客がいるかなどについて語ろうとしなかったが、このプラットフォームを利用している企業はモデルのプロダクションへの移行をかなり速く行えると述べた。

現在、同社社員は9名だが、この早い段階から彼女はダイバーシティに真剣に取り組んでいる。社員構成はインド人4名、白人3名、ラテンアメリカ系1名、アジア系1名だ。すでにかなり多様である。今後、会社が成長していくときも、このような多様性を維持したいと彼女はいう。2020年はさらに15名を採用し、2021年は倍増を予定している。

バルタク氏は、ジェンダーに関しても半々であることを望んでいる。MITの学生時代は、さまざまなプロジェクトでそれを達成できたため、自分の会社でもそうしたいという。雇用の多様化のために、サードパーティであるSweat Equity Venturesの協力を求めている。

彼女によるとプラットフォームの構築は一気にではなく、いろんな機能を実験しながら段階的にやりたい、小さなチームのときからそうしたいという。現時点では、そんなやり方のためにさまざまな既存の機械学習ツールとの相互運用性を試している。例えばオープンソースの機械学習パイプラインツールであるAmazon SageMakerやKubeflowなどだ。

「顧客の成熟度のレベルに合った仕事をすることが重要だ。そこで最近の2つの四半期では、相互運用性のあるシステムの構築に力を入れてきた。それにより、まるでLogoのブロックのようにコンポーネントを選んで拾い上げ、エンドツーエンドまでシームレスに動くシステムを作れる」とバルタク氏は語った。

画像クレジット: Verta

原文へ
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

視覚障がい者のためのAI視覚をテーマとするSight Tech Globalカンファレンス開催

テクノロジーに関わる者にとって視覚にハンディキャップがある人々を助けるツールの開発に挑戦することはこの上ない喜びだ。シリコンバレーの伝説的なビジョナリーであるRay Kurzweil(レイ・カーツワイル)は1976年にテキスト読み上げデバイスを発表している。この種の製品として商業的に初の試みだった。視覚障害者団体、NFB(National Federation of the Blind)のプレスカンファレンスで卓上に置く複写機のような箱型の機械であるカーツワイル・リーディン・マシンが披露された。 当時の価格で5万ドルだった。

カーツワイルの製品をはじめとするこうしたパイオニア的なデバイスはテクノロジーにもビジネスにも非常に大きな影響を与えていった。現在、リーディングマシンの後継にあたるのはMicrosoft(マイクロソフト)のSeeing AIアプリだ。これはAIを利用した機械視覚でカーツワイルの時代には想像もできなかったような正確さでテキストを認識し、読み取ることができる。しかもスマートフォンさえ持っていれば誰でも無料で使えるのだ。

こうした急速なテクノロジーの進歩がSight Tech Globalカンファレンスを可能にした。2020年12月2日と3日に開催されるこのバーチャルイベントには世界中からこの分野の最新のテクノロジーが結集し、専門家がAI視覚的によるアクセシビリティーを助けるテクノロジーの驚くべき進展が今後世界をどのように支えていくか討論する。

Microsoft Seeing AIは、自動運転車や人間と混じって安全に作業ができるロボットを可能にしたのと同じテクノロジーに基づいている。その昔シリコンバレーのトップエンジニアにとってさえ難問だった人に代わってコンピュータに対象を認識させるという課題だ。

視覚を失った人々の立場からすると、現在のテクノロジーは驚くべきものだ。 わずか10年前に予想もできなかったほどのレベルに達している。コンピュータースクリーンを読み上げてくれるJAWSやSeeing AIのような専用アプリは素晴らしいツールだ。同時にこれを可能にしているモバイルネットワークやスマートフォンやマートデバイス、マップやナビアプリなどはハンディキャップの有無に関わらず人々の生活を一変させた。しかしながら、こうした豊富なテクノロジーは十分にその可能性を活かされておらず、危険の種類、アクセシビリティに関する公的基準によっても異なるが、視覚的ハンディキャップのある人々のバリアを十分に取り除くには至っていない。視覚障害者は未だに杖や盲導犬あるいは目の見える人の介助に頼らざるを得ず、ウェブサイトを使おうとしても大きな困難に直面するし、大勢の人々が集まる席でも見えないことによって孤立を感じている。

今や高速道路ならコンピューターは人手を借りずに時速110kmで安全に車を走らせることができる。ところが歩道で目の見えない人を安全に時速4kmで歩かせることができるデバイスは手に入らない。

ソーシャルメディアサービスは瞬時に数十億人のユーザーから一定の基準で対象を選び出すことができる。しかし目の見えない人は自分の前に立っている人物が誰でどんな様子であるか簡単に知ることができない。現代の優れたテクノロジーの多くは AIを活用しているが、簡単に手に入り、生活を明るいものにし、現実に役立つような次世代ツールとして現実化されていない。なるほどマイクロソフトやApple(アップル)のような大企業、有名大学からスタートアップまでさまざまな研究、開発が進められている。しかしこうした研究が困難であり歩みも遅いことは否定できない。視覚的なハンディキャップを持つ人々はかつて SF作家のWilliam Gibson(ウィリアム・ギブソン)が述べたように、「未来はすでにそこに来ている。ただし公平に分配されていないだけだ」という世界に生きている。

こうした状況がSight Tech Globalカンファレンスにインスピレーションを与えた。カンファレンスに参加するのはこの分野のトップに加えて人間とコンピューターの相互作用の専門家、プロダクトデザイナー、ベンチャー起業家、ビジョナリーなどの多様なエキスパートだ。参加者は介助テクノロジーの未来と同時にアクセシビリティのあるべき姿を検討する。これらのエキスパートの多くは自分自身も視覚に障害を持つ人々だ。イベントの主催者はどんな議論であれプロダクトの開発であれ、視覚障害を持った人々のコミュニティが直接関わるのでなければ役に立つものになることはできないと固く信じている。シリコンバレーには優れたテクノロジーがあるが、こうしたコミュニティを直接に持っているわけではない。

2日間のプログラムは、すべてオンライン上で展開される。バーチャルのメインステージは世界に公開されライブあるいは録画でストリーミングされる。視聴は無料だ。一方、25ドル(約2660円)で販売されるプロパスは新製品の紹介、講演者などとのQ&A、バーチャルネットワーキングなどのスペシャルセッションへの参加が可能となる。カンファレンスへの参加申し込みは近く開始されるが、TechCrunchはこのスレッドで新しい情報をアップデートする。

現在、アクセシビリティの増進のために様々なイベントが世界中で開催されており、 そうしたイベントの主催者、スポンサー、関係者に深く敬意を表するものだ。Sight Tech Globalはこうした既存のイベントを補完するものであり、高度なテクノロジーとそれを利用するプロダクトやサービスが将来どのような現実の体験の変化をもたらしていくのかという困難な質問に答えることを目的としている。もちろん開発にあたっては障害を持つ人々のコミュニティと手を携えなければならないし、使い勝手やメンテナンス、販路と価格などのプロダクト的、社会的要素もとても大きなものとなる。

いろいろな意味でSight Tech Global カンファレンスはTechCrunchがこの4年間、マサチューセッツ工科大学やカリフォルニア大学バークレー校と提携しAIやロボティクスをテーマに開催してきたカンファレンス(未訳記事)のフォーマットに大きなヒントを得ている。こうしたカンファレンスではTechCrunchの編集者、ライターがトップエクスパートに厳しい質問をぶつけるという形をとってきた。 質問はオートメーションの将来から機械の自律化、職が奪われるという副作用のリスク、AIモデル作成にあたっての人間のバイアスなど広く分野のすべてに及んだ。TechCrunchの編集者、ライターは他のエキスパートと並んで今回のカンファレンスでもモデレーターを務める。

Sight Tech Globalのファウンダーとして私、Ned Desmond(ネッド・デズモモンド)はTechCrunchで8年間にわたってカンファレンスを組織してきた経験を生かしていく。TechCrunchと親会社のVerizon Mediaは多くの面で重要な援助を与えてくれた。私が視覚障がい者コミュニティとの関連を深めたのは妻であるJoan Desmond(ジョーン・デズモンド)が法的に視覚障害者であることに大きく負っている。

スポンサーからの協賛金およびチケットの売り上げはシリコンバレーで75年前から視覚障がい者のために活動してきたNPOであるVista Center for the Blind and Visually Impairedの収入となる。Vista CenterはSight Tech Globaイベントの主催者であると同時に同団体の執行理事長であるKarae Lisle(カレー・ライル)氏がイベントの実行委員長を務める。我々はプログラムの企画と運営にあたって経験豊富なボランティアチームを編成しており12月の2日と3日は濃密な意義ある時間となるはずだ。

我々は様々な形でのスポンサーを歓迎しており、ブランドサポートからコンテンツ提案に至るまで様々な協賛のオプションがある。関心がある場合は次のアドレスにメールされたい。

sponsor@sighttechglobal.com

カンファレンスは現在企画の途中であり、ここ数週間のうちに講演者、セッションがさらに具体化される予定だ。プログラミング委員会にはBenetech / TechMattersのJim Fruchterman(ジム・フルクターマン)氏、Verizon MediaのLarry Goldberg(ラリー・ゴールドバーグ)氏、FacebookのMatt King(マット・キング)、UC Santa CruzのRoberto Manduchi(ロバート・マンドゥキ教授)が加わっている。提案、意見などあれば、info@sighttechglobal.comまで。

質問やプロモーションへの協力のアイディアについても info@sighttechglobal.comへのメールをお願いしている。

関連記事:自身も視覚障がいを持つ開発者がMicrosoft Seeing AIによるアクセシビリティ改善について語る

カテゴリー:イベント情報

タグ:アクセシビリティ 人工知能

画像クレジット:Sight Tech Global

原文へ
(滑川海彦@Facebook

物議を醸したClearview AIがまたまた米政府機関と顔認識ソフトウェアで契約

物議を醸し出している顔認識ソフトウェアのメーカーであるClearview AIが、こちらも物議を醸し出している米国の政府機関ICE(移民・関税執行局)と新たな契約を結んだ。Clearviewはトランプ政権における厳しい移民政策の実施で強く批判されている国土安全保障省の下部組織に協力していることですでに知られている。新しい契約は両者の関係が継続していることを明確にしており、同社は、テクノロジー企業が連邦政府との契約を獲得するための収益性の高い取り組みに、一役買っているだけではない。

テクノロジー業界の監視役を自称するTech Inquiryが最初に見つけたその契約(Twitter投稿)は総額22万4000ドル(約2400万円)に上るが、契約内容は「Clearviewのライセンス」としか書かれていない。同社のソフトウェアサービスにアクセスするという意味だろう。同社の落札通知(米国総務局リリース)によると、資金の出どころはHomeland Security Investigations(HSI、国家安全保障捜査)となっているが、これはICE内部の部局でドラッグや人身売買を含む「国境を越えた犯罪行動」にフォーカスしている。入札に参加したのは4社だ。

関連記事:セキュリティーの欠如で顔認識スタートアップClearviewのソースコードがすべて漏洩

Clearviewは論争の的になっている。同社の謎めいた顔認識技術(The New York Times記事)では、クライアントが誰かの写真をアップロードすると、ソーシャルネットワークを含むオンラインソースからかき集めた大規模な写真データベースと照合する。人権グループは、Clearviewの技術をプライバシーの悪夢と呼んでいるが、人を調べることが仕事である法執行機関にとっては夢のような技術だ。

それまで無名に近かったClearviewは、2020年1月に全国紙の記事になって(The New York Times記事)からは、プライバシー保護団体や大手テクノロジー企業から絶えず批判されている。Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)、Linkedin、Twitter(ツイッター)それにYouTubeなどは揃ってClearviewを批判し(Gizmodo記事)、自分たちのプラットフォームからデータを勝手に流用していることを非難した。一部の企業は、利用規約に違反しているとして停止命令の書簡を送った。

2020年5月にACLU(アメリカ自由人権協会)は、プライバシー侵害でClearviewを訴えていると発表した。訴訟ではイリノイ州のBiometric Information Privacy Act(生体認証情報私権法、BIPA)を同社に適用しているが、以前にはこの同じ法律で、イリノイ州住民がフェイスブックとの5億5000万ドル(約586億2500万円)の和解を引き出したこともある。

ACLUの上級常勤弁護士であるNathan Freed Wessler(ネイサン・フリード・ウェスラー)氏は、その訴訟について「Clearview AIのような企業は私たちのプライバシーをなきものにしてしまうため、止めさせなければならない」と述べている。

関連記事:顔認識スタートアップのClearview AIがイリノイ州法違反で集団訴訟に発展

カテゴリー:人工知能・AI

タグ:人工知能 Clearview AI プライバシー

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

原文へ
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マップがなくてもロボットが物体を認識し自らをナビする研究をカーネギーメロン大学が披露

カーネギーメロン大学(CMU)が、ロボットの移動やナビゲーションに関する新しい研究(CMUリリース)を披露した。同大学はFacebook AI Research(FAIR)の協力により、ロボットが見慣れた物体を認識しながら動いていくセマンティックナビゲーションを設計した。

SemExpというこのシステムは、最近行われたHabitat ObjectNav ChallengeコンテストでSamsung(サムスン)を破って優勝したが、機械学習を利用して物体を認識させる訓練を行う。認識するのは、単純な表面的特徴だけではない。CMUが挙げた例では、ロボットがエンドテーブルとキッチンテーブルを区別し、それがどの部屋にあるかを推定する。しかし冷蔵庫は個性的で区別しやすく、置き場所が限定されるので部屋の見分けはもっと簡単だ。

「常識的に、冷蔵庫を探しているならキッチンに行くべきだ。しかし従来のロボットナビゲーションシステムは、障害物を示すマップを作ってからスペースを調べる。それによってロボットは、どこへ行くべきかを理解するが、そのルートが遠回りになることもある」と機械学習博士課程のDevendra S. Chaplot(デベンドラ・S・シャプロ)氏はリリースで述べている。

CMUによると、同大がロボットにセマンティックナビゲーションを応用するのは、今回が初めてではないが、これまでの取り組みは、物体がどこにある可能性が高いかを推論させるのではなく、物体がどこにあるかを記憶することに大きく依存していたという。

画像クレジット:Carnegie Mellon University

原文へ
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

自律型ドローンのスタートアップSkydioが約107億円を調達、初の商用ドローン「X2」を発売

SkydioがシリーズCのラウンドで1億ドル(約107億円)を調達した。ラウンドをリードしたのはNext47で、新たな投資家としてLevitate CapitalとNTTドコモ・ベンチャーズが参加、また既存の投資家であるa16z、IVP、およびPlaygroundらも参加した。新たな資金は、製品開発の迅速化と消費者向けアプリケーションだけでなく企業や公共部門向けドローン技術に市場開拓に充当される。またSkydioは、米国時間7月13日に商用利用向けに設計されたドローンであるX2ファミリーを発表した。

2014年に創業されたSkydioは、これまでに総額1億7000万ドル(約182億円)を調達し、消費者向けドローンを2機種発売している。どちらも人工知能技術による自律的なナビゲーション機能を有している。これはドローンが人や物体を追跡するだけでなく、木や送電線といった障害物などを回避できるというものだ。それにより、プロの撮影クルーがヘリコプターから撮ったような映像を、一般消費者市場で1000ドル(約10万7000円)足らずで提供している。

2018年に登場した初代ドローンであるR1(未訳記事)は、2499ドル(約27万円)だった。そのインテリジェンスと追跡能力は印象的で、その後のソフトウェアのアップデートや2019年に発売された現在でも注文可能な第2世代のハードウェアによって改良は進んでいる。

Skydioの新しいドローンプラットフォーム「X2」は企業向けで、2020年の第4四半期に出荷される予定とのこと。X2ドローンは360度のスーパーズームカメラとFLIR 320×256解像度の赤外線サーマルカメラを搭載し、バッテリー駆動時間は35分、最大航続距離約10kmとなっている。またドローン用のSkydio Enterprise Controllerもありタッチスクリーン、ハードウェアコントロール、そしてまぶしさを防ぐ保護フードを避けるための日よけフードがある。

コンシューマーからエンタープライズへの移行は、Skydioにとってとても理に適ったものだ。まず、コンシューマーの世界で賞賛を受けてきた衝突回避や容易な操縦性は、エンタープライズでもそのまま使える。同社によると、その衝突回避機能は精度が高く、相当な近接撮影が可能なので、リモートでのインフラや機器装置類の点検に適しているという。人が乗ったヘリでは、危険すぎてそれだけの近接撮影はできないだろう。

X2は、自身の真上180度を撮影できるので、橋の下部のような頭上にある構造物をさまざまな角度から調べるのに適している。これは従来のドローンでは難しかった。また赤外線撮影を利用すれば昼夜連続の観察も可能であり、目的物のヒートマップを記録することもできる。

Skydioは今後もコンシューマー市場にもサービスを提供していくだろうが、同社の短い歴史の中での変化進歩は、投資家にとってとても魅力的なようだ。最初は高価だが高機能で、限られた人しか手を出せないコンシューマー製品から、その後、高度な機能のまま買いやすい価格の製品を出し、そして今度は同社がその技術で実現した経済性を、はるかに利益を生む可能性があるエンタープライズ向けハードウェアとソフトウェアへ転換しているようだ。

画像クレジット: Skydio

原文へ
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NVIDIAのAmpere GPUがGoogle Cloudで提供開始、大手クラウドサービスとしては初

Nvidiaが今日、同社のAmpereベースのデータセンター用新型GPU「A100 Tensor Core GPU」を、Google Cloud上でアルファ版として公開したと発表した。その名か示すようにこれらのGPUはAIのワークロード、データの分析やハイパフォーマンスコンピューティングソリューション向けに設計されている。

A100は、前世代機に比べて大幅なパフォーマンスの向上を約束している。NVIDIAによると、A100はトレーニングと推論のパフォーマンスを前世代機の20倍以上アップする。実際のベンチマークの成績では6〜7倍ぐらいだろう。単精度のパフォーマンスでは19.5 TFLOPs、Tensor Float 32のワークロードでは156 TFLOPsに達する。

画像クレジット:NVIDIA

Google Cloudのプロダクト管理のディレクターであるManish Sainani(マニッシュ・サイニ)氏は、本日の声明で「Google Cloudのお客様は、AIや科学的コンピューティングのワークロードでイノベーションを推進するために、最新のハードウェアとソフトウェアのサービスを提供する当社を利用することが多い。新しいVM系列のA2では、私たちがNVIDIA A100 GPUsを市場に提供する初めての大手クラウドプロバイダーになることを誇りに思う。NVIDIAのT4 GPUsでも、私たちが最初だった。新しい機能でお客様がどのようなことをするのか、今から楽しみだ」と述べている。

Google Cloudのユーザーは最大16までのA100 GPUsのインスタンスにアクセスできる。合計640GBのGPUメモリと1.3TBのシステムメモリを利用可能だ。

画像クレジット: NVIDIA

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa