工場や倉庫で活躍する産業用ロボットの制御システムを手がけるボストンのRealtime Roboticsが約34.6億円調達

ボストンを拠点とするRealtime Robotics(リアルタイム・ロボティクス)は米国時間6月3日朝、3140万ドル(約34億6000万円)の資金調達を発表した。これは同社がかなり前となる2019年末に1170万ドル(約12億9000万円)の調達を発表したシリーズAラウンドの一部で、投資家にはHAHN Automation(ハーン・オートメーション)、SAIC Capital(上汽投資)、Soundproof Ventures(サウンドプルーフ・ベンチャーズ)、Heroic Ventures(ヒロイック・ベンチャーズ)、SPARX Asset Management(スパークス・アセット・マネジメント)、Omron Ventures(オムロン・ベンチャーズ)、Toyota AI Ventures(トヨタAIベンチャーズ)、Scrum Ventures(スクラム・ベンチャーズ)、Duke Angels(デューク・エンジェルス)などが名を連ねている。

Realtime Roboticsは、産業用ロボットの制御システムを手がける数多くのスタートアップ企業の1つだ。具体的には、限られたプログラムのシステムを導入する企業を助け、一度に複数のシステムに機能する適応性の高い制御を提供することを目的としている。

今回のラウンドは、同社がこれまで調達した資金の約2倍に相当する。これは世界的な新型コロナウイルスの流行を背景に、ロボット工学に対する関心が高まっていることを示すものだ。新たな資金は同社の製品開発を加速させ、世界のより多くの市場に製品を提供するために使われることになる。

「世界有数の製造会社や自動化技術企業による今回の投資は、ロボット導入の価値提案を劇的に改善する当社の能力を証明するものです」と、Peter Howard(ピーター・ハワード)CEOはリリースで述べている。「導入の初期段階ですでに成功を実感した幅広い顧客やパートナーは、私たちと協力して機能やユーザー体験を改善し、当社の技術をエンジニアリング、工場、倉庫へ積極的に導入しようとしています」。

Realtime Roboticsが提供するシステムは、ピック&プレース、パッケージング、パレタイズなど、幅広い分野におけるさまざまな産業用ロボットのタスクに役立っている。

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

DHLが2022年までにLocus Roboticsのユニットを2000台配備する計画を発表

米国時間6月2日、DHLはマサチューセッツを拠点とするLocus Roboticsとの間ですでに進行しているパートナーシップを今後拡大すると発表した。2020年にDHLはLocusのロボットを1000台配備する計画を発表していた。この台数が2022年までに2000台と、2倍の計画になった。これによりDHLはLocusにとって他社に大差をつけて最大の顧客となる。

両社は2021年から共同でロボティクスの試験運用をしているが、コロナ禍でオートメーションに対する関心は大幅に高まった。その理由はたくさんあるが、中でもロボットは休業中も稼働し、世界的に感染が拡大していても感染を媒介する恐れが低いことが挙げられる。

DHLのグローバルサプライチェーンCOO / CIOであるMarkus Voss(マルクス・フォス)氏は、以下のように数字を示している。

これまでに500台以上のピッキング支援ロボットが米国、ヨーロッパ、英国のDHLの倉庫ですでに実際に使用されています。2021年末までにさらに500台のロボットを20カ所以上の拠点に追加する予定です。最新の倉庫業務において、共同開発しているピッキング技術の有効性と信頼性は明らかに実証されました。2022年にさらに配備する予定のロボットについても、導入拠点は具体的な実装ロードマップですでに決まっています。DHLの倉庫におけるピッキング支援ロボットの全般的な可能性はさらに大きく、我々はLocus Roboticsとともに設定した目標を達成できると確信しています。

LocusはDHLの複数のロボティクスパートナーの1社だ。DHLは2018年後半にこの分野に3億ドル(約329億円)を投資する計画を発表し、2020年時点では全米の倉庫に20万台以上のロボットを配備したと述べた。これはライバルであるAmazonのロボティクスの取り組みに匹敵する数字だ。

Locusはこの計画に加え、現金の調達でも問題はなかったようだ。2021年2月に同社は10億ドル(約1097億円)のバリュエーションで1億5000万ドル(約164億5000万円)のシリーズEを発表した。

カテゴリー:ロボティクス
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画像クレジット:Locus Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

物流や倉庫で使用されるロボット用コンピュータービジョンソフトのPlus Oneが約36億円調達

サンアントニオを拠点とするPlus One Roboticsは米国時間4月27日、3300万ドル(約36億円)のシリーズBを発表した。このラウンドは2018年に発表した830万ドル(約9億円)のシリーズAに続くもので、同社の資金調達総額は4000万ドル(約43億円)を超えた。今回のラウンドはMcRock CapitalとTransLink Venturesが主導し、既存の投資家にくわえてBMWi Ventures、Kensington Capital Partners、Ironspring Venturesが参加している。

2016年に設立されたPlus Oneは、物流や倉庫で使用されるロボット用コンピュータービジョンソフトウェアに主に注力している。多くの企業がバックエンドの自動化を目指す中で、この分野は明らかに注目を集めているカテゴリーだ。具体的にはこのシステムはさまざまなロボットアームやグリッパーに対応できるように設計されており、エンドユーザーの異なるニーズを満たすことができる。

Plus Oneは今回の資金調達により、急速に高まるロボット需要に対応するため海外での事業拡大を計画している。またこのシステムでは、最大50台のロボットを一度に制御するグループ管理も可能だ。

CEO兼共同創業者のErik Nieves(エリック・ニーブス)氏は「私たちは国内外の顧客とともに成長していくことに興奮しています」。と述べている。「この強力な組み合わせにより、Plus Oneは今後も国際的なインストールベースを拡大し続けることになります」。

今回のこのラウンドではMcRock CapitalのWhitney Rockley(ホイットニー・ロックリー)氏とTransLinkのToshi Otani(トシ・オオタニ)氏がPlus Oneの取締役に加わった。

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タグ:Plus One Robotics物流倉庫資金調達

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(文:Brian Heater、翻訳:塚本直樹 / Twitter

RFID位置特定技術のRFルーカスが3億円を調達、無人走行ロボットとの組み合わせで在庫管理のさらなる効率化を目指す

2021年4月26日、RFID(Radio Frequency IDentification)タグによる在庫・物品管理システム「Locus Mapping」を運営するRFルーカスが3億円を調達したことを発表した。引受先は安田倉庫と三井不動産だ。

そもそもRFIDとは何かというと、電波でデータを読み取る技術のことだ。これまで商品や備品の管理にバーコードやQRコードなどが使われてきたが、近年はそうしたものの代わりにRFIDの導入が進んでいる。RFIDなら個別に読み取らなくても、数秒で大量のタグをまとめて、しかも段ボールなどに入ったままでも読み取れるという利点がある。

ただ、まとめて複数のタグが読み取れるのは便利なものの、位置情報までは分からないのがRFIDの課題だったとRFルーカスの取締役COOを務める浅野友行氏は説明する。例えば、店舗で商品のRFIDタグを読み取れば、どの商品がどれだけあるかは確認できるが、個別の商品がそれぞれどの棚にあるのかまでは分からない。

RFルーカスは独自の「電波位相解析」により、RFIDタグの正確な位置特定を実現した。RFルーカスの位置を自動取得してデジタルマップ上に表示する「Locus Mapping」はこの技術を活用している。具体的なサービス内容についてはサービスローンチの記事に詳しく書いてあるので、そちらも参照して欲しい。

RFルーカスの技術を導入することで、店舗や倉庫での入出庫や検品、棚卸し、在庫の探索、ピッキングなど、これまで目視確認やバーコード読み取りで行っていた作業を大幅に削減できると浅野氏は説明する。

RFルーカスはこの技術の特許を日本、米国、欧州で取得済みで、現在アパレル業をはじめ、製造業や物流倉庫などで採用が進んでいるそうだ。

2015年8月に設立したRFルーカス。2018年4月にシードラウンドとしてSTRIVEから1億円、2019年6月にプレシリーズAラウンドとしてSTRIVE、りそなキャピタル、テクノスジャパン、AGキャピタル、みずほキャピタルから2億円を調達し、今回のシリーズAで累計調達額は6億円以上となった。

「これまで製品開発に注力してきましたが、ここからは本格的に拡販に入っていこうと考えています」と浅野氏は話す。今回調達した資金は拡販に向けた人材採用に加え、さらに付加価値の高い機能開発を進める考えだという。具体的には自動走行ロボットやドローンと組み合わせて、タグを無人読み取りする機能などを検討しているそうだ。今まで人がハンディリーダーでタグを読み込んでいたところを、自動走行ロボットが夜間に読み取って管理するような形で在庫管理にまつわる作業の自動化、効率化を進めていく。すでに技術的な検証を行っていて、今後プロダクトとして実装していく考えだそうだ。

自動走行ロボットによる無人読み取り

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:RFルーカス資金調達倉庫物流RFID(Radio Frequency IDentification)日本

画像クレジット:RFルーカス

米スーパーKrogerが初の大規模ロボット化フルフィルメントセンターをオハイオに開設

ほぼ3年前、提携の契約を交わした米国のスーパーチェーンKroger(クローガー)と英国のオンライン食料雑貨販売店Ocado(オカド)は米国時間4月15日、この契約による最初の主力製品を公開した。Krogerは、Ocadoの技術を使った顧客向けフルフィルメントセンターを、オハイオ州シンシナティの郊外、モンローに開設した。約3万5000平方メートルにおよぶその巨大な倉庫では、Krogerのオンライン店舗で受けた注文に応じて、何千種類もの商品を梱包して消費者に配達する。

Ocadoは自社の倉庫のことを「Shed」(シェッド、納屋)と呼んでいるが、ここでも他のシェッドと同様に、床には巨大なグリッドが描かれ、その上で1000台ほどのロボットと400人の従業員が、商品の棚出し、分類、移動を行うことになる。年間、実店舗20件に相当する7億ドル(約760億円)の売り上げにつながる処理が見込まれている。

注文を受けた商品は、Ocadoのバンをモデルに米国で製造されたKroger Delivery(クローガー・デリバリー)バンで配達される。これは温度管理が可能で、一度に20件分の荷物を積むことができる。この車両はまた、マッピング・アルゴリズムで最も早く、最も燃料を節約できるルートを割り出し、配達を最適化するOcadoのソフトウェアによって制御される。

画像クレジット:Kroger

KrogerとOcadoの提携関係は長い時間をかけて築かれてきたが、そこから生み出されるもへの関心は、2020年のオンラインショッピングの激増を受けて、今、最も熱くなっているに違いない。新型コロナウイルスのパンデミックと、社会的距離の確保を強要される事態から、実際の店舗へ出かけるより、食料品も生活必需品も丸ごとオンラインで注文したいと考える大勢の人々が、インターネットへ駆け込んだ。

その傾向は、この分野での競争も激化させた。Amazon(アマゾン)、Walmart(ウォルマート)をはじめ、昔ながらの食料雑貨販売業者もデジタル戦略を着々と進め、オンライン業界のプレイヤーたちは、今やオンラインでの買い物を受け入れるようになった消費者の市場をわずかでも確保しようと奮闘している。

この潮流はKrogerの船も浮き上がらせた。本日開催された記者発表会で、Krogerの会長兼CEOのRodney McMullen(ロドニー・マクマレン)氏は、Krogerの配達事業は、2020年150パーセントの成長を見せたと話した。

新型コロナが終息すれば(そう願いたい)、実店舗でのショッピングに戻る人もいるだろうが、業界では、壷から魔人が現れたと信じる向きは多い。オンラインショッピングに接した人の多くは、少なくとも一部はそのまま残るため、その新しい需要に応えるための新たなインフラを構築する時期に来たというのだ。

これを裏づけるデータはいくつもある。OcadoのCEOで共同創設者のTim Steiner(ティム・スタイナー)氏は、パンデミック以前のOcadoでの平均注文金額は105ポンド(約1万6000円)だったが、2020年は180ポンド(約2万7000円)となり、現在は120ポンド(約1万8000円)だと述べている。

多くの実店舗プレイヤーと同じく、Krogerもデジタル戦略における前線を複数築いている。同社はOcadoと協力して、たとえばShelf Engine(シェルフ・エンジン)などの企業と提携するなどして、倉庫内の業務の効率化を高める技術に投資してきた。さらに、Instacart(インスタカート)と食料雑貨の配達で手を結んだ。

KrogerとInstacartとの提携はまだ続いている。特に、Ocadoのアプローチよりもずっと広いエリアをカバーしているからだ。Ocadoは現在シンシナティで活動しており、フロリダに進出するという話も聞く。Krogerは本日、消費者向けフルフィルメントセンター(CFC)の規模はそれぞれ異なり「モジュール」という考え方に基づいて建設されると話していたが(ちなみにモンローの倉庫は7モジュールで構成されている)、これは、Instacartのモデルと比較するとまだ資本集約的なアプローチであるため、全体的に展開が遅く、おそらくその有効性が発揮されるのはKrogerの密度の高い市場に限られる。

「この2つの提携は、Krogerと私たちのお客様にとって極めて重要なものです」とKrogerのCIOであるYael Cosset(ヤエル・コセット)氏は本日の記者発表で語っていた。「私たちは、InstacartとOcadoとの戦略的パートナーシップで密接に協力できることを期待しています」。

Ocadoは、英国で2000年にスタートした初期のプレイヤーであり、多くの人たちからは、オンライン専用の食料雑貨販売ビジネスの構築と運用の業界標準と見られている。

だがOcadoは、食料雑貨直販ビジネスを英国外で展開して成長を目指すことはせず、むしろ自社のために開発したテクノロジーを活かし、それを商品化することでリーチを伸ばしてきた。商品化については、今も進行中だ。現在は、棚出しのロボット化やその他の自動化システム、さらには配達サービスの高効率化のためのテクノロジーの開発を進めている。

自社用に開発したテクノロジーを商品化して他社に販売するというOcadoの「AWS」戦略は実を結んだ。今では、オンライン食料雑貨販売サービスと、特にフルフィルメントセンター(日本ではイオン、フランスではCasino、カナダではSobeysと提携)でのパートナーシップが実現している。これは、Krogerの展開モデルが実証されたことを意味する。しかし、同社にとって米国進出は極めて重要な一手であり、同時に、WalmartやAmazonといった同国の巨大プレイヤーたちと戦うにはどうしても欠かせないインフラの一部をKrogerにもたらすものとなる。

そこに関しては、Ocadoの支援による巨大なインフラを、Krogerは他のプロジェクトにも応用するのか、するとしたらどんなかたちになるのかには大変に興味が湧く。同社は、Mirakl(ミラクル)と共同でサードパーティーの小売り業者のための独自のマーケットプレイスを開発中だ。これは同様のサービスを展開している企業、そう、AmazonとWalmartとの真っ向勝負となる。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:KrogerOcadoeコマース倉庫フルフィルメント物流ロボットオハイオ

画像クレジット:Kroger

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:金井哲夫)

アマゾンがトイレに行く時間もなく「ペットボトルに排尿」を否定したツイートについて謝罪と釈明

Amazon(アマゾン)は、歴史的な労働組合結成の賛否を問う投票の終盤に展開したソーシャルメディアによる攻勢をわずかに後退させて、この週末の連休を迎えた。以前のコメントは、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏がより攻撃的な戦略を推し進めているときに出たものだと報じられている。

Amazon News(アマゾン・ニュース)のTwitter(ツイッター)アカウントは、Bernie Sanders(バーニー・サンダース)上院議員とElizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)上院議員に加えて、Mark Pocan(マーク・ポーカン)下院議員とも対決することになった。このウィスコンシン州選出の民主党議員は、Amazonの顧客部門でCEOを務めるDave Clark(デイブ・クラーク)氏のコメントに反応して、Amazonの従業員がトイレに行く時間もなく、仕方なくボトルに小便をしているという、過去に報道された話を引用した。

すると、Amazon Newsのアカウントは「ボトルにおしっこをするという話を本当に信じているわけではないですよね?もしそれが本当なら、誰も私たちのために働かないでしょう。真実は、世界中で100万人以上のすばらしい従業員が、自分たちの仕事に誇りを持ち、初日からすばらしい賃金と健康管理を受けています」と、ツイートした。

デイブ・クラーク

(労働組合結成に向けた投票を行っているAmazonの従業員に会うために、サンダース氏がアラバマ州バーミンガムを訪れるという報道に対し)サンダース氏をバーミンガムに歓迎し、進歩的な職場を求める同氏の姿勢に感謝します。私はよく、我々は雇用主のバーニー・サンダースだと言っていますが、実際には我々は進歩的な職場を提供しているので、それは正しくありません。https://businessinsider.com/bernie-sanders-visiting-amazon-workers-unionizing-alabama-2021-3

マーク・ポーカン

労働者に時給15ドル(約1660円)を支払っても、労働組合を潰したり、労働者にペットボトルに小便をさせたりしているようでは「進歩的な職場」とは言えないでしょう。

Amazon News

ボトルにおしっこをするという話を本当に信じているわけではないですよね?もしそれが本当なら、誰も私たちのために働かないでしょう。真実は、世界中で100万人以上のすばらしい従業員が、自分たちの仕事に誇りを持ち、初日からすばらしい賃金と健康管理を受けています。

議員の最初の反応は、簡潔で的を射たものだった。「そうです。私はあなた方の従業員の話を信じています。あなた方は信じていないのですか?」。

その後、これらの話をさらに強化する報道が続いた。ある報道では、Amazonのドライバーの間で排尿の問題が「広範囲に渡っている」としており、さらに「排便も問題になっている」と付け加えた。これらを受け、Amazonは米国時間4月2日「ポーカン議員に謝罪しなければなりません」と述べ、ある種の非を認めた。

だが、そこから先は少々様子が変わってくる。アマゾンの謝罪文では、労働者がボトルに排尿していたことを認めているが、それはドライバーに限ったことで、今回の大規模な組合活動の中心となっている配送センターのスタッフには当てはまらないと、暗に示しているように思われた。さらに、ドライバーがボトルに排尿するのは「業界全体の問題であり、Amazonに限ったことではない」と付け加えている。

同社は親切にも、ギグエコノミーの告発やブルーカラー労働者の扱いを非難するリンクやツイートのリストを掲載している。基本的にAmazonは、自社に問題の一部があることを認めつつ、その責任を明らかにシステムに欠陥のある業界全体に分散させようとしているのだ。

労働者がボトルに小便をするという話は、ドライバーだけでなく、倉庫で働く従業員も厳しいノルマをこなすために行っていたという報告もある。

Amazonは、この個人名が表記されていないスタッフによる投稿の中で「典型的なアマゾンのフルフィルメントセンターには、何十ものトイレがあり、従業員はいつでも自分の仕事場から離れることができます。もしフルフィルメントセンターの従業員が異なる経験をした場合は、上司に相談することをお勧めします。我々は解決に向けて努力します」と書いている。

同社のアラバマ州ベッセマー倉庫では、先週から労働組合結成に向けた投票が行われている。この結果は、Amazonと業界全体に広範な影響を与える可能性がある。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazon労働組合物流倉庫労働問題

画像クレジット:PATRICK T. FALLON/AFP / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ボストン・ダイナミクスの次期商用ロボットは退屈な倉庫仕事をこなす「Stretch」

Handleの後継機種のStretchは物流に活躍の場を見出す

Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)が、長い年月をかけてロボットの研究会社から、ハードウェアを製品化して販売する会社へと変遷してきた様子は、とても興味深いものだった。その過程では、結局世界のほとんどのロボットは、ありふれた仕事に使われることになるという、現実的な教訓を教える厳しいレッスンもあった

関連記事:MSCHFがSpotにリモコン式ペイントボール銃搭載、ボストン・ダイナミクスは嫌な顔

もちろん同社は、自社の技術の結晶がオールディーズに合わせて踊ってみせる、楽しいバイラルビデオを世間に向けて発信し続けるだろう。しかし、実際にロボットを販売するという話になると、そのターゲットは、人間がやりたがらない退屈で汚くて危険な(dull, dirty, dangerous、3D)仕事であるということは変わらない。あるいは、以前から私が言っているように、ロボットは、明らかにクールではないタスクを実行するための、クールなテクノロジーであることが多いのだ。

同社のSpot(スポット)は検査ロボットとして成功を収めている。この4脚ロボットは、油田や原子力発電所など、多くの人ができれば滞在時間を制限したいと考える場所に配備されている。3D仕事のうち、危険(dangerous)な部分はこれで片づいたが、同社の2台目の商用ロボットは、退屈(dull)な部分を狙っていると言ってもいいだろう。

画像クレジット:Boston Dynamics

運送・物流がいかに巨大な産業であるかについては、たくさんの統計を引用するまでもないだろう。また、多くの注文がオンラインに移行しているために、規模は拡大する一方なのだ。Locus(ローカス)、Fetch(フェッチ)、Berkshire Grey(バークシャー・グレイ)などの多くのロボット企業が、この種の自動化に事業全体を振り向けていることには理由があるのだ。LocusのCEOが最近語ったように、誰もがAmazon(アマゾン)とその強大なロボット軍団に対抗するための技術を探し求めている。

(現在はプロトタイプの)Stretch(ストレッチ)は、同社が4年あまり前にYouTubeの動画で紹介したロボットHandle(ハンドル)の商用化を目指したものだ。この車輪つきロボットは、動画で紹介された最初期型は滑走しながらバランスを保ち、さまざまな障害物を乗り越えることができる、非常に汎用性の高いロボットだった。またそのときは、100ポンド(約45kg)の木箱を拾うこともできた。当時はこれが将来の進化の基礎になるとは、ほとんど想像することはできなかった。

実際、Handleの箱持ち上げの歴史はもっと古く、同社のヒューマノイドロボットAtlas(アトラス)を使ったビデオにまでさかのぼることができる。Boston Dynamics のプロダクト・エンジニアリング担当副社長であるKevin Blankespoor(ケビン・ブランクスポーア)氏は、TechCrunchに対して「私たちはそこで、Atlasが箱を移動する様子を紹介しましたが、それには倉庫関係の方々からの大きな関心が寄せられたのです」と語った。「実際、Atlasに働いて欲しいという声が挙がりました。その声を受けて私たちは、倉庫での作業をこなすことのできる、もっとシンプルなロボットを設計できると考え、そこからHandleが生まれました。実際にその時点で、Atlasプロジェクトから分離したのです」。

ブランクスプール氏によれば、Handleは「車輪と脚を組み合わせたい」という同社の長年の願望から生まれたもので、倉庫内で物を移動させるためのロボットを設計するという初期の実験のための基礎になったという。

画像クレジット:Boston Dynamics

「私たちはHandleを倉庫に置いて、お客様と実験を始めました。そこでHandleはいくつかの異なるタスクをこなしました。1つ目はパレットからの荷下ろしで、これはかなり良い結果を出せました。2つ目の応用は、トラックからの荷下ろしでした。ここでHandleは仕事をこなすことはできましたが、それはかなり遅いものでした。狭い空間で、たくさんの操作をしなければならず、動作が遅すぎたのです」。

2019年に公開された「Handle Robot Reimagined for Logistics」と題された動画では、上部に取り付けられた大きなアームに、複数の吸盤で構成されたグリッパーを装備した、車輪型ロボットが紹介されている。その動画では、2台のロボットが連携して、1つのパレットから別のパレットに箱を移動させている。しかし、Stretchの画像を見ると、Boston Dynamicsが商業的実用化に向けて、ロボットをどれだけ劇的に見直したかがわかる。

真っ先に目につくのは、Handleの2つの大きな車輪がなくなったことだ。車輪があった場所には、大きくて黒い台がある。「移動の基盤となるのは、その底部です」とブランクスポーア氏はいう。「パレットの大きさに合わせて設計されているので、倉庫内でパレット置ける場所ならどこでも操作を行うことができます」。

本体にはまだ車輪が付いているものの、ほぼ目立たなくなっている。2つだった車輪は4つになり、底部の内側に隠されている。どの方向にも動けるので、移動範囲が広く、このサイズのロボットとしては比較的コンパクトな旋回が可能だ。また、アームの横には「パーセプションマスト」(知覚柱)があり、自律的な移動やピッキングを行うために、ロボットの目として効率的に機能している。

画像クレジット:Boston Dynamics

このロボットは、現在約100名のスタッフが働くBoston Dynamicsの倉庫部門で設計されたものだ。その中には、2019年にKinema Systems(キネマ・システムズ)の買収の一環として同社が雇用した従業員も含まれているが、Kinama Systemsの3D視覚技術が取り込まれて、Stretchのピッキング性能を向上させている。

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初期の応用例としては、トラックからの荷降ろしやオーダービルディング(商品を1つのパレットに効率的にまとめること)などがある。将来的には、トラックへの積み込みなどの応用も考えられているが、現在はまだ初期段階だ。システムの特性は、Berkshire-Greyのようなゼロから自動化を組み上げる企業のものよりも、よりプラグアンドプレイに近いものだ。また、他の倉庫システムとも互換性を持つことができるようにしている最中だ。

Boston Dynamicsは、この夏に最初のユニットを製造し、2022年にはStretchを販売する予定だ。価格についてはまだ公表されていないものの、ブランクスポーア氏は「普通工場で見かける、床にボルトで固定された従来のロボットシステムと、同等のものになるでしょう」と語っている。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Boston Dynamics倉庫物流

画像クレジット:Boston Dynamics

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)

倉庫業務の自動化を手がけるNimble Roboticsが約54.6億円調達

倉庫の自動化を手がけるNimble Robotics(ニンブル・ロボティクス)は米国時間3月11日、シリーズA資金調達ラウンドで5000万ドル(約54億6000万円)を調達したと発表した。

DNS Capital(DNSキャピタル)とGSR Ventures(GSRベンチャーズ)が主導し、 Accel(アクセル)とReinvent Capital(リインヴェント・キャピタル)が参加したこのラウンドで調達した資金は、同社が2021年中に従業員数を倍増させるために使われる予定だ。

スタンフォード大学の博士課程に在籍していたSimon Kalouche(サイモン・カルーシュ)氏が設立した同社のシステムは、深層模倣学習を利用している。これはロボット工学の研究では一般的な概念で、システムが模倣によってマッピングされ、改善されていく仕組みだ。

「研究室に5年間置いておき、このロボットのアプリケーションを作り上げてから最終的に現実世界で展開するのではなく、私たちは今日、展開しています」と、カルーシュ氏は語る。「これは完全な自律型ではなく、現時点では90〜95%程度の自律型です。残りの5~10%は人間のオペレーターが遠隔操作でサポートしますが、初日から信頼性が高く、1万日後も信頼性が高いと思います」。

Nimble Roboticsは、新型コロナウイルス感染流行による追い風を受けたロボット企業の1つだ。ウイルスの流行は、電子商取引の爆発的な成長と自動化に対する関心の高まりを引き起こし、倉庫のフルフィルメント業務に関するテクノロジーが著しく盛り上がる要因となった。Nimbleは、自社のシステムを迅速に展開したことからも利を得ている。

「私たちは、独自のロボットによる荷物の選別、配置、梱包を手がけた最初の企業というわけではありませんが、当社は急速に成長し、多くのロボットを現場に配備しています」と、カルーシュ氏はTechCrunchに語った。「多くの人は、ロボットを倉庫の隅に置いています。今、私たちは大量のロボットを導入しており、その数は急速に増えています。これらのロボットは現場で、それぞれのお客様のために、毎日何万もの実際の注文を処理しています」。

同社は今回、大規模な資金調達に加えて、取締役会に2人の目覚ましい人物を迎えた。スタンフォード大学でコンピュータサイエンスのセコイアプロフェッサーという地位に就くFei-Fei Li(李飛飛)氏と、Udacity(ユダシティ)の共同設立者でKitty Hawk(キティホーク)のCEOでもあるSebastian Thrun(セバスチアン・スラン)氏だ。

シード投資家でもある李氏は、このニュースに関連したリリースの中で、次のように述べている。「Nimbleは、信頼性と統合性の問題をどちらも解決します。同社のロボットは、いくつかの世界最大級の小売業者のために、1年以上にわたって、現場で信頼性の高い大規模なピッキング業務を行っています。彼らが開発しているAIを搭載した製品は、顧客である小売業者のために迅速で摩擦のない統合を実現します」。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Nimble Robotics資金調達倉庫

画像クレジット:Nimble Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フレキシブルな倉庫自動化ソリューションのLocus Roboticsが欧州、アジア進出に向け約159億円調達

マサチューセッツ拠点のLocus Robotics(ローカス・ロボティクス)は米国時間2月17日、1億5000万ドル(約159億円)のシリーズEを発表した。Tiger Global ManagementとBondがリードした本ラウンドによってLocus Roboticsの累計調達額は2億5000万ドル(約265億円)、バリュエーションは10億ドル(約1059億円)となった。Locusは競合他社(Berkshire Greyなど)よりもフレキシブルな、倉庫自動化のためのモジュラー式ソリューションを提供することで知られている。Locusは主にロジスティック自動化のためのロボティック車両リースしている。

関連記事:激化する小売業向けロボティクス競争の中、Berkshire Greyが289億円調達

「当社は飛行機が飛んでいる間に翼を交換できます」とCEOのRick Faulk(リック・フォーク)氏は話す。基本的には他社にはそんなことはできない。企業はフレキシブルな自動化を欲している。もしあなたがサードパーティのロジスティック企業経営者なら、2年、3年あるいは4年の契約を結んでいる場合、最も避けたいのは大がかりなソリューションを購入するために2500万〜5000万ドル(約26〜52億円)を投資、設置し、その前払い費用で首が回らなくなることだ。

Locusは現在80カ所の施設にロボット4000基を展開している。そのおおよそ80%が米国内で、残り20%が欧州だ。今回調達した巨額資金の一部は海外での展開に充てられる。ここには欧州でのさらなる拡大、そして同社がほとんど手をつけていないAPAC(アジア太平洋)地域への進出が含まれる。

LocusはまたR&D、営業、マーケティングにも投資し、従業員数も来年には現在の165人から75人増やす。

パンデミックは明らかに、現在「自動化」に向けられている関心の原動力であり、多くの企業がロボティクス活用を模索している。

「間違いなく新型コロナウイルスはオンライン注文の成長を後押しし、おそらくこれは4〜5年分の飛躍となります」とフォーク氏は話す。「eコマースのトレンドに目をやると、堅調な増加傾向が見られます。2020年は11%の成長でしたが、新型コロナのため16〜17%に押し上げられました。この傾向はしばらくこのまま続くでしょう」。

今回の資金調達はまた、Kiva SystemsがAmazon Roboticsに取り込まれたような、大手による買収をLocusが望んでいないことを示している。

「当社は買収されることに興味はありません」とフォーク氏は話す。「当社は独立して操業することで最大の価値を生み出すことができると確信しています。Amazonと競合するとされていない企業をサポートするために投資したいという投資家はいます」。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Locus Robotics資金調達倉庫物流

画像クレジット:Locus Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi