テック企業のロビー活動を行ってきた米国のInternet Associationが解散

シリコンバレーの大手企業を代弁する業界団体が解散することになった。テクノロジー業界がワシントンで規制監視の新時代に突入する中でのことだ。

Internet Association(インターネット協会)は、過去9年間、ワシントンでテック企業の利益のために戦ってきたロビー活動グループだ。Facebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)、Google(グーグル)、Airbnb(エアビーアンドビー)、Uber(ウーバー)、Twitter(ツイッター)、eBay(イーベイ)、Spotify(スポティファイ)、Zillow(ジロウ)など、特に知名度の高い大企業から下位の企業まで、合わせた利益を発展させるために議員に働きかけてきた。この団体が店仕舞することになったと、Politico(ポリティコ)が最初に報じた

「インターネット協会が10年近く前に設立されて以来、私たちの業界は驚異的な成長と変化を遂げてきました。この進化にともない理事会は2021年末に組織を閉鎖するという困難な決定を下しました」と、同グループが発表した声明文には記されている。「【略】インターネット協会は、自由でオープンなインターネットを通じて、イノベーションを育み、経済成長を促進し、人々に力を与えるという使命において、大きな進歩を遂げてきました」。

近年、インターネット協会のメンバーの中には、ポリシーに関する問題で直接対立している企業もある。この不和は、インターネット協会で最大の企業同士でさえ、特徴的な題目に関しては拡大しているようだ。インターネット協会は、通信品位法(Communications Decency Act)の第230条を現状のまま維持することを支持しているが、インターネット協会のメンバーで現在のFacebookの親会社あたるMeta(メタ)は最近「第230条の保護を得る」ために、法律を変えることに前向きであると議員に語っている。

この団体はAI、ブロードバンド、コンテンツ・モデレーション、プライバシーなどの問題についてメンバー企業を代理しているものの、業界の最近の歴史の中では最も関連性が高く、結果的に重要なポリシーを巡る対話になる独占禁止法についての議論に対しては、明らかに避けていた。

議員たちがテック企業に新たな規制を課そうとしている独占禁止法についての問題は、テクノロジー業界の大手企業と、市場支配に関する懸念を指摘する中小企業の両方に影響を与えるような、他のほとんどのポリシーに関する懸念を凌駕し続けることだろう。

2014年にインターネット協会に加盟したYelp(イェルプ)は、かつて意見の相違により同団体を脱退した。「この団体は、何年も前に時価総額が5億ドル(約5700億円)を超える企業(GAFA)を追い出すことで、自らを救うことができたはずです」と、Yelpのシニア・パブリック・ポリシー・バイスプレジデントであるLuther Lowe(ルーサー・ロウ)氏はツイートした。「数年前に協会の上層部にこの提案をしたのですが、却下されたので脱退しました」。

Yelpは、独占禁止の問題について議会で証言し、以前はインターネット協会で仲間だったGoogleが、不当に自社製品に検索結果を優遇させる独占的企業であると主張している。

2020年、インターネット協会の会長を長年務めてきたMichael Beckerman(マイケル・ベッカーマン)氏は、退任してTikTok(ティックトック)のパブリックポリシー責任者に就任した。先月にはMicrosoft(マイクロソフト)とUberが同協会を脱退している。これは現在のテクノロジー業界におけるポリシーの問題に関しては、インターネット協会の有用性が薄れていることを示している。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブッックを内部告発したフランセス・ハウゲン氏、今度はプラットフォームの免責保護で証言へ

Facebookの内部告発者であるFrances Haugen(フランセス・ハウゲン)氏が今週、再び議会の出て、今度は、通信品位法230条関連で、同社のモデレーションとポリシーの失敗に関する独自の見解を述べる。この条項は、オンラインプラットフォームがユーザーが作ったコンテンツを掲載する際の、プラットフォーム側の責任を免除する重要な法的保護だ。

下院の通信と技術委員会のエネルギーと商業小委員会が行なうこのヒアリングは「Holding Big Tech Accountable: Targeted Reforms to Tech’s Legal Immunity(大手テクノロジー企業の有責化:テクノロジー企業の法的免責を標的とする改革)」と題され、米国東部標準時12月1日午前10時30分から行われる。Color of Changeの理事長Rashad Robinson(ラシャド・ロビンソン)氏とCommon Sense MediaのCEOであるJames Steyer(ジム・スタイアー)氏も、同日に証言する。

このヒアリングは、下院の委員会が行なう230条に関する議論として最新のものだ。3月にはFacebookとGoogleとTwitterが議員たちの前で、誤報や偽情報と戦うために彼らが行っている対策を擁護した。この2つの粗悪情報に対する懸念が民主党議員たちの関心を目覚めさせ、テクノロジー業界の長年の免責隔壁を再検討することになった。

10月の上院でのヒアリングではハウゲン氏は、プラットフォームがアルゴリズムによって特定のコンテンツを目立つようにしている件ではプラットフォームを有責とするよう230条の改正を提議した。今日のソーシャルメディアの病根に対してハウゲン氏は法的ソリューションのエキスパートではないが、長年Facebookの、その後解体されたシビックインテグリティチームにいた彼女は、アルゴリズムによって増幅されたコンテンツの危険な社会的影響についての洞察を、議員たちに提供できるユニークな立場にいる。

「ユーザーが作るコンテンツは、企業のコントロールがなかなか及ばないものです。しかし企業は、自らのアルゴリズムは100%のコントロールできます。人気が急上昇したり、バイラルで拡散されたり、公共の安全を害するようなコンテンツを、Facebookが思いどおりに選べるべきではありません」と彼女はいう。

Facebookの元ニュースフィードのトップで、現在Instagramを率いるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏も、初めて来週上院で証言し、同社の事業が、一部の若く傷つきやすいユーザーのメンタルヘルスに危害を及ぼしていたとする遺漏文書の内容について述べる予定だ。

下院エネルギー・商業委員会は、発表で現在、議会が審議している4つのテクノロジー改革法案を挙げている。

最初の法案を提出したのは、水曜日のヒアリングを行なう委員会で、この法はプラットフォームがアルゴリズムを使って「意図的または無謀にも」有害なコンテンツを推奨したときには、230条の免責保護を撤廃する。

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画像クレジット:Photo by Matt McClain-Pool/Getty Images/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

トランプ氏がソーシャルメディア企業を訴える、「訴訟」という新たなツイートで世界に発信か

ソーシャルメディアのプラットフォームが、彼を締め出したのは間違いだと主張するトランプ氏による厳しい3つの訴訟は、前大統領にメディアの一時的な関心を集めることに成功したが、話はそれで終わりだろう。

トランプ氏は在任中に、通信品位法の230条を無効にしようとする、ドンキホーテ的で結局空しいクエストに取り組んだが、今回の新しい訴訟は単なる空騒ぎで、それを支える法的実体もない。

訴訟は、TwitterとFacebookとYouTubeが彼をそのプラットフォームから追い出すことで、トランプ氏の憲法修正第1条の権利を侵害したと主張しているが、修正第1条の意図は政府の検閲から国民を護ることであり、私企業が対象ではない。当時トランプ氏自身が連邦政府のトップだったという皮肉は、この訴訟が誰の手に委ねられても消えることはないだろう。

この訴訟は、TwitterとFacebookのCEOであるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏とMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏、およびGoogleのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏を名指しして(YouTubeのSusan Wojcicki[スーザン・ウォジスキ]氏がまた漏れている!)、3つの企業が「立法府からの脅威と通信品位法230条への誤った依拠、および連邦政府関係者との共同行為への故意の参加に由来する許されざる検閲行為に関与した」と非難している。

訴訟はまた、これらテクノロジー企業が「民主党議員」とCDC(米疾病予防管理センター)およびAnthony Fauci(アンソニー・ファウチ)博士と結託した、と主張している。ファウチ氏は当時、トランプ政権の一員だった。

この議論の核心は、テクノロジー企業と国会議員と連邦政府とのコミュニケーションが、なぜかFacebook、Twitter、YouTubeを「国家の行為者(state actors)」に変えてしまった、という主張だ。その壮大なる飛躍は次のとおりだ。

被告Twitterの地位はかくして、いち私企業のそれを超えて国の行為者の地位になり、被告はそれが行なう検閲の決定において修正第1条の権利に束縛される。

トランプ氏が最高裁判事に指名したBrett Kavanaugh(ブレット・カバノー)氏は、2年前の本件と関連する訴訟で裁判所の意見書を発表した。それは、ニューヨークで公共テレビを放送している非営利団体が、修正第1条に縛られる「国家の行為者」の資格を持ちうるか検討しているものだ。裁判所は、一般公開される公共テレビを運営していることが、その非営利団体を政府機関に変えることはない、独自の編集意思決定を行なういち民間団体としての権利を保有するという判決を下している。

その判決でカバノー判事は「その資産を他による言論のために開く私企業が、その事実のみをもってして、国家kの行為者に変えられることはない」と述べている。

政府に話をしたことや、なぜか政府に脅迫されたことが、TwitterやYouTubeやFacebookを国家の行為者に変えると法廷が判決することもありえないだろう。

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トランプvs.230条(再掲)

修正第1条については、そもそも議論すべきことがあまりないが、ソーシャルメディアのプラットフォームは通信品位法230条で守られている。その簡潔な条文によって彼らは、彼らがホストするユーザー生成コンテンツだけでなく、削除するコンテンツを決めるモデレーションの意思決定においても責任を免除される。

テクノロジーの法的な保護に対するトランプ氏の激しすぎる軽蔑と歩みを合わせるかのように、この訴訟も230条を何度も痛罵している。訴訟は、議会が230条によるテクノロジー企業の保護を取り消すと脅したために、彼らはトランプ氏を禁じることを強制され、それによりどういうわけかソーシャルメディアが政府の一部になり、修正第1条の制約に縛られるという論理を主張しようとしている。

もちろん230条の撤回は、共和党議員トランプ自身の政権がしつこく迫っていたが、意味のない議論であるため何かが変わるわけでもない。

訴訟が主張しているのは、修正第1条によって保護されてしまう言論もありうるため、言論を意図的に検閲できるために議会が230条を工作したとする説だ。この法律ができた1996年には遍在的なソーシャルメディアなど存在しておらず、他の目的もあったことを、訴訟は無視している。

大統領だった4年間でトランプ氏は、ソーシャルメディア、中でもTwitterを利用して、その日のイベントを国と世界に告げてきた。その他の世界の政治指導者たちは、自分のアクションを伝えて宣伝するためにソーシャルメディアを使ったが、トランプ氏のTwitterアカウントはそれ自体がアクションだった。

ソーシャルメディアを禁じられた日以降、前大統領はインターネット全体にコミュニケーションする手段を再建できていない。5月に彼は「From the Desk of Donald J. Trump」という名前のブログを立ち上げたが、多くの関心を集めることができずに、1カ月後に閉鎖した。

トランプ派のソーシャルプラットフォームはいくつかあるが、言論の自由に関する極端な主張が嫌われ、アプリストアのコンテンツモデレーションの要求と苦戦している。しかし、それに懲りない最新の挑戦であるGettrは先週、波乱の多いローンチを迎えた

見方によっては、訴訟はトランプ氏のプラットフォームだ。それは彼自身を、自分の罪のせいで彼を切り離したオンラインの世界へ再び発信するための、最新の方法だ。その意味では訴訟は成功したようだが、その他の点ではだめだ。

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タグ:TwitterFacebookYouTubeSNSドナルド・トランプ通信品位法230条

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

訴訟を受けてSnapchatは物議を醸したスピードフィルターを削除

最近はSnapchatの3D漫画レンズが大好評で、友だちがみんなピクサーのキャラクターみたいになってしまう。しかし2013年以降、短時間で消える写真を共有するそのアプリの主な機能であるフィルターがスピードフィルターになってしまい、写真や動画を撮ったときの移動の速さを誇示するものになってしまった。米国時間6月17日、Snapchatはアプリからそのフィルターを取り去ることにした。

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このニュースを最初に報じたNPRは、その機能に対するSnapの最初の擁護をくつがえす「劇的な逆転」と呼んでいる。最近の数年間で、そのフィルターの使用に関連した複数の事故が起き、負傷者だけでなく死者も出ている。例えば2016年、運転中にSnapchatで自撮りをしていた18歳の少年が、時速172kmで他のクルマにぶつかった。被害者のMaynard Wentworth(メイナード・ウェントワース)氏は脳に外傷を負い、Snapを訴えた。彼の弁護士によると、その18歳は「クルマを時速160kmで走らせてその映像をSnapchatに投稿したかっただけだ」という。

Snapchatのフィルター関連の罪は、これの前にも後にもある。2020年の奴隷制廃止記念日である6月19日にSnapchatは、ユーザーに「笑って鎖を壊しましょう」というフィルターをリリースした。2016年4月20日には、Snapchatはボブ・マーリーの遺産管理団体と提携して、ユーザーのヘアーをドレッドロックスにし、黒い肌にする機能「committing blackface」をリリースした。しかもSnapchatのスピードフィルターで死亡事故が起きた後にもフィルターはアプリに残り「運転中は撮影禁止」という警告が付いただけだ。

Snapの広報担当者は、フィルターの削除を発表する声明で次のように述べている。「ステッカーはもうあまり使われていないため、完全に削除することにしました」。その機能はすでに運転時のスピードでは利用できないようになっている、と付け加えていた。同社はフィルターの削除を始めたが、すべてなくなるまでには数週間かかるだろう。

Snapのこの新しい態度は、2021年5月に米国第9巡回区控訴裁判所が、同社には死亡事故の被告適格ありと裁定した後に出てきた。

一般的には、通信品位法230条がウェブサイトないし「対話的コンピューターサービス」をこのような訴訟から護り、その上にポストされたサードパーティコンテンツからの免責を提供している。しかし2019年には、衝突事故で死亡した2人の子どもの親であるLanden Brown(ランデン・ブラウン)氏とHunter Morby(ハンター・モービー)氏が、もう1件の訴訟を起こした。それによると、原告は「アプリの『怠慢な設計』(何よりもそれはスピードフィルターのことだ)が衝突の原因」と主張している。カリフォルニアの裁判官たちは230条に依拠してその訴訟を却下したが、連邦巡回区控訴裁では3名の判事が、この場合は230条の対象にならないと裁定した。すなわち、触法とされたのはSnapchatのソーシャルメディアプラットフォームとしての役割ではなく、アプリの設計であり、それには危険性を十分証明できるスピードフィルターがあった。

そこで、スピードフィルターの突然の削除は、たまたまに見えても決してそうではない。230条による防御が万能ではなくなったのだからフィルターを維持するという法的リスクに勝ち目はない。フィルター関連の事故があっただけでも、Snapchatがフィルターをやめる理由として十分ではなかったか、とも思えるが、正義は遅くなってもないよりマシである。

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タグ:SnapSnapchat通信品位法230条

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アルゴリズムに焦点を当てた第230条の改正に向け米議員が公聴会で討議

米国時間4月25日に行われたアルゴリズムに関するビッグテック公聴会では、CEOをこき下ろす攻撃的な自由参加の討論会というよりも、話を聞くことを目指し、そういった意味では、ほとんど成功を収めたと思う。

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珍しいことに、公聴会はFacebook(フェイスブック)、YouTube(ユーチューブ)、Twitter(ツイッター)の最高経営責任者ではなく、ポリシー担当主任(ポリシーリード)からの証言を中心に行われた。数時間に及んだ討議では、大きな進展はなかったが、それでも世界で最も影響力を持つ者が一貫して「その件については後ほど説明する」に終始するよりは実りがあったと言えるだろう。

公聴会で議員たちはソーシャルメディアのエコーチャンバーと、アルゴリズムによる、完全に人の行動を再形成することができるプラットフォームを通じたコンテンツの拡散方法について嘆いた。

「この高度技術は、我々の時間と注意をソーシャルメディアに引き付けるよう設計されたアルゴリズムに用いられており、その結果として、子どもたちの注意範囲や、公開講演の質、公衆衛生、ひいては民主主義そのものに危害が及ぶ可能性がある」とChris Coons(クリス・クーンズ )上院議員(民主党・デラウェア州)は言及した。クーンズ上院議員はこの公聴会を開いた、プライバシーとテクノロジーに関する上院司法小委員会会長を務めている。

クーンズ上院議員は、アルゴリズムはイノベーションを推進するが、そのダークサイドには大きな代償があると述べた。

これはもちろん今に始まったことではないのだが、議会の解決に向けての動きは非常に遅く、同じような公聴会が毎回繰り返されている。火曜日の公聴会では、超党派合意のいくつかの領域が強調された。これにより民主党によって厳しく制御される上院を通過する技術改正法案の可能性が定まるかもしれない。クーンズ上院議員は「広範的に超党派の解決策」に到達できるかもしれないという楽観的な見方を示した。

それはどのようなものなのか?おそらくは 通信品位法第230条の改正だろう。これについては何年も前から大々的に記事にしてきている。この法律はユーザーが作成したコンテンツに関する責任からソーシャルメディア企業を保護するもので、バイデン政権の新しい民主党主導の上院と、以前のトランプ政権に影響された共和党主導の上院の両方に共通する、技術規制に関する話題である。

米国時間2021年4月27日、米国ワシントンDCで行われた上院司法小委員会の公聴会にリモート参加し、発言するTwitter Inc.の米国公共政策部長Lauren Culbertson(ローレン・カルバートソン)氏(画像提供: Al Drago/Bloomberg / Getty Images)

壊れたビジネスモデル

公聴会で、議員たちは問題の核心として大手ソーシャルメディア企業が利益を得る方法に固有の欠陥について指摘した。特定の欠陥について企業を批判するのではなく、ソーシャルメディアの多くの問題が噴き出るコアビジネスモデルに主に重点を絞ったのだ。

Ben Sasse(ベン・サッセ)上院議員(共和党・ネブラスカ州)は「本当に複雑で質的な問題には、簡単な量的解決策があるという考えを押しのけることが非常に重要だと思う」と語った。ソーシャルメディア企業は、ユーザーを自社製品に夢中にさせ続けることで利益を得ているため、本当の解決策ではそのビジネスモデルともどもなくす必要があると主張した。

Josh Hawley(ジョッシュ・ホーリー)上院議員(共和党・ミズーリ州)は「こうした企業のビジネスモデルは中毒である」と同意し、ソーシャルメディアを意図的な「注目のトレッドミル」と呼んだ。

Google(グーグル)元社員でテック評論家のTristan Harris(トリスタン・ハリス)氏は、自身の証言において、テック企業がその中心的な設計の信条についてどのように納得させるのかについて歯に衣着せることなく語った。「それはまるで、人質の動画で人質の話を聞くようなものだ」として、エンゲージメントを探すビジネスモデルを舞台裏で突き付けている銃に例えた。

第230条に対する世間の注目

議員がこのような深く根付いたインセンティブを破壊するために提案する1つの大きな方法は何であろう?ソーシャルメディア企業が享受している第230条の保護にアルゴリズムに焦点を置いた例外を追加することだ。そのアプローチを取る法案がいくつか上がっている。

法案の1つは、2020年に John Kennedy(ジョン・ケネディ)上院議員(共和党・ルイジアナ州)、Paul Gosar(ポール・ゴーサー)下院議員(共和党・アリゾナ州)、Tulsi Gabbard(トゥルシー・ギャバード)下院議員(民主党・ハワイ州)が提案した、1000万人以上のユーザーを持つプラットフォームに対し、第230条の保護を継続させたい場合には、ユーザーの行動やデモグラフィックデータに基づくコンテンツを提供する前にユーザーの許可を得ることを求めるものだ。これはユーザーが特別にそのように選択しない限り「ユーザーの見解を分極する情報をユーザーに提供する」ことでエンゲージメントを向上させるプラットフォームから第230条の免責を取り消すのが狙いだ。

また別の法案「Protecting Americans from Dangerous Algorithms Act(危険なアルゴリズムから米国民を守る)法令」では、Anna Eshoo(アンナ・エシュー)下院議員(民主党、カリフォルニア州)とTom Malinowski(トム・マリノウスキー)下院議員(民主党、ニュージャージー州)が、第230条の保護の禁止と「企業のアルゴリズムがオフラインの暴力に繋がる誤報を増幅する場合」にその企業の責任が問われることを提案している。

第230条の擁護者たちは、不十分に対象を絞った法律の変更により、現在の近代的なインターネットは混乱に陥り、その結果意図した改正の努力範囲を超えて連鎖的に悪影響がおよぶと主張している。法律の完全な廃止はほぼ確実に提案されることはないが、わずかな調整でさえ、良くも悪くも、インターネットビジネスが完全に再編される可能性があるとしている。

ホーリー上院議員は、利益を追求するためにアルゴリズムを使用する企業に対してより広い提案をした。「行動広告やアルゴリズムによる増幅を行うプラットフォームから第230条の保護を単に廃止すべきでは」と問い、法律の完全廃止に反対ではないと付け加えた。

上院の反トラスト小委員会委員長を務めるAmy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員(民主党・ミネソタ州)は、アルゴリズムの問題をテック業界の反競争的行為に結び付け「ある企業がその傘下にある全員を買収しているのであれば、その企業が付加製品を開発して誤情報を提供できたかどうか知ることは決してありません。なぜなら競争がないのですから」と語った。

小委員会メンバーのクロブシャー上院議員とMazie Hirono(メイジー・ヒロノ)上院議員(民主党・ハワイ州)は独自の主要な第230条改正法案「Safe Tech Act(安全なテクノロジーに関する法令)」を出しているが、この規制ではアルゴリズムは広告や有料コンテンツよりも問題とされていない。

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アルゴリズムのレンズを通じて第230条を鑑みる主要法案は少なくとももう1つある。ビックテック批判で有名なDavid Cicilline(デビッド・シシリン)下院議員(民主党、ロードアイランド州)が第230条の法案を提案する予定だ。これは、エンゲージメントを向上させ、私腹を肥やすためにアルゴリズムに依存する企業に対し、免責を廃止するものとなる。

「これは非常に複雑なアルゴリズムで、エンゲージメントを最大化して広告価格を吊り上げ、企業にさらなる利益をもたらすように設計されている」と シシリン下院議員は2021年3月Axios(アクシオス)に語った。「これは一連のビジネス上の決定であり、企業が責任を問われるべきだと主張するのは簡単なのかもしれない」。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:FacebookTwitterYoutubeアメリカ通信品位法230条Google

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

テック業界に対するリナ・カーン氏の時宜を得た懐疑論はFTCの承認公聴会を新鮮かつ友好的な方向に導くものだ

近ごろの承認公聴会がどう進むかは誰にもわからない。現状と大企業に挑みながらも重要な地位に指名された若い部外者にとっては特にそうだ。FTC委員のポジションに就く予定のLina Khan(リナ・カーン)氏はまさにそのような人物だが、米国時間4月22日に行われた上院商業委員会の承認公聴会で、意外なほど快適な時間を過ごした。おそらく、反トラストに対する彼女の因習打破的なアプローチが昨今の政策を良い方向に導いているからであろう。

コロンビア大法科大学院の准教授であるカーン氏は「Amazon’s Antitrust Paradox(アマゾンの反トラスト・パラドックス)」という鋭敏な論文を通じてテクノロジー業界で一躍有名になった。(同氏は最近、テクノロジー政策に関する下院の報告書にも寄稿している。)

2018年に同論文が発表されたとき、Amazonが自社の立場を乱用し始めたという印象は、一部の業界では常識化していたが、連邦議会ではあまり認識されていなかった。しかし、自由放任主義や不十分な規制がAmazon、Google、Facebookに(手始めに)モンスターを生み出しているという意識の高まりは、これらの新進企業を元の場所に戻す何らかの方法を見つける必要があるという、超党派の稀有な合意につながった。

それが今度は、目的を共有しているという感覚と、承認公聴会での仲間意識をもたらした。この公聴会はトリプルヘッダーで行われ、カーン氏はNASAの責任者に指名されたBill Nelson(ビル・ネルソン)氏、商務省の法律顧問に就任予定のLeslie Kiernan(レスリー・キーナン)氏とともに、実に有意義な、3時間ほどの短い会話を交わした。

カーン氏はバイデン政権の中で、ビッグテックなど手に負えなくなったビジネスに立ち向かうための新たなアプローチを提示している人物の1人だ。両陣営の上院議員から誠実な印象の質問が寄せられ、自信に満ちたカーン氏から真摯な申し分のない回答が提示された。

セクション230や、不正な委員会、上院議員に関するものを含め巧妙にカーン氏を導くいくつかの動きを避けながら、その回答は主に、こうした秘密主義の強力な企業に対する規制のアプローチにおいて、FTCは十分な情報を得てより先制的な行動を取るべきだという同氏の専門家としての意見を再確認するものとなった。

以下に、いくつかの主要な問題に対する同氏の見解を示す質疑応答を抜粋して紹介する(回答はわかりやすくするために若干編集されている)。

FTCがGoogle、Facebook、ニュースプロバイダーの争いに介入したことについて。

「すべてが議論の対象になる必要があります。明らかにローカルジャーナリズムは危機に瀕しており、新型コロナウイルス感染症を巡る現下の情勢は、信頼できるローカルニュースの情報源がない場合に引き起こされる、民主主義の深刻な緊急事態を浮き彫りにしていると思います」。

同氏はまた、広告市場の集中化や、業界全体に広範な影響を及ぼす可能性があるアルゴリズム変更などの恣意的な性質についても言及した。

画像クレジット:Graeme Jennings/Washington Examiner/Bloomberg / Getty Images

ソーシャルメディア企業は「一般通信事業者」と見なされるべきだというClarence Thomas(クラレンス・トーマス)氏の困惑する提案について。

「それは多くの興味深い議論を引き起こしたと思います」と彼女は極めて慎重に語った。「Amazonの論文の中で、私はこれらの支配的なデジタルプラットフォームについて考える際の2つの潜在的な道筋を特定しました。その1つは、競合法を施行し、これらの市場が競争的であることを確実にすることです」(独占禁止法の使用など)。

「もう1つは、規模の経済やネットワークの外部性があるために、これらの市場が少数の企業によって支配され続ける可能性があることを認識した場合、別のルールを適用する必要があるということです。私たちには、集中度が高い場合にどのような種類の規制を適用できるかについて考えてきた長い法的伝統があり、一般通信事業として捉えることはそうしたツールの1つです」。

「これらの企業の一部は現在、非常に多くの市場に統合されているため、どの特定市場を対象としているかによって、異なるツールのセットに対応する可能性があることを明確にしておく必要があります」。

(これは、一般通信事業や既存の独占禁止規則がこの問題の対処にまったく適さないということを表す非常に丁寧な言い方だ)。

FTCが承認した過去の企業合併を再検討する可能性について。

「同委員会のリソースは、経済の規模の拡大や、同委員会が検討している案件の規模と複雑度の増大に追いついていませんでした」。

「デジタル市場は特に急速に動いているため、市場への潜在的な集中を気にする必要はないという前提がありました。なぜなら、どんな力の行使も参入や新たな競争によって規律づけられるからです。もちろん今では、市場には実際に大きなネットワーク外部性があり、それによって市場をより厄介なものにしていることが理解されています。後から振り返ってみると、これらの合併レビューは機会を逸したものだったという感覚が高まっているのです」。

(ここでは、Blackburn[ブラックバーン]上院議員[共和党・テネシー州選出]がスペクトラムプラン ― 不正な委員会、上院議員について尋ねる前にカーン氏の「ポジション就任における経験の欠如」を指摘するという、数少ないネガティブな瞬間の1つが見られた)。

Facebookに対する指令のようなものを強制することの難しさについて。

「課題の1つは、これらの企業と執行機関や規制機関との間に存在する情報の非対称性です。いくつかのケースでは、当局が根底にあるビジネスの現実や、これらの市場がどのように機能しているかという経験的な現実に追いつくのに少し時間がかかっていることは明らかです。ですから、少なくとも、当局がペースを保つためにできることを確実に行っていくことが重要になります」。

関連記事:FacebookはFTCの反トラスト法違反訴訟にビッグテックの荒削りな戦略で反論

「ソーシャルメディアにはブラックボックスアルゴリズムという独自のアルゴリズムがあり、実際に何が起こっているのか把握するのを困難にすることがあります。FTCは情報収集能力を活用して、こうしたギャップの一部を緩和する必要があります」。

子どもをはじめとする脆弱なグループに対する保護をオンラインで強化することについて。

新型コロナウイルスのパンデミックにより、家族や子どもたちがこうした[教育に関わりのある]テクノロジーに特に依存するようになっていることを考えると、その危険性は高まっています。そのため、ここでは特に注意を払う必要があります。従来のルールは、離れたところではなく、近いところに置くべきです。

全般的に見て、党派を超えた議論はほとんど見られず、双方において、カーン氏はその職務での実務経験がないとしても(FTC委員のような要職では珍しいことではない)、誰もが求めるような能力を備えた候補者だとの認識が多勢を占めていた。さらに独占禁止法や競合の問題について彼女が高く評価され、かなり断定的な立場をとっていることは、すでに規制の独走状態にあるAmazonとGoogleを一旦は守勢に立たせるのに役立つかもしれない。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:FTCアメリカ反トラスト法AmazonGoogleFacebookセクション230

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

通信品位法230条の改定法案に対し同法擁護者は重大な悪影響について警鐘を鳴らす

バイデン政権にとって最初の主要法案となる230条改正案が提出された。新しい法案の中で上院民主党のMark Warner(マーク・ワーナー)議員(民主党、バージニア州選出)、Mazie Hirono(メイジー・ヒロノ)議員(民主党、ハワイ州選出)、Amy Klobuchar(エイミー・クローブチャー)議員(民主党、ミネソタ州選出)は通信品位法230条(セクション230)の改正を提案しており、これは近代的なインターネットを育て上げたと評価されている1996年の法律を根本的に見直す内容となっている。

セクション230は、FacebookやTikTok、Amazonのレビューやコメントのセクションなどのユーザー生成コンテンツから、そのホスティングを提供するインターネット企業を法的に保護するものだ。SAFE TECH Actと称される新しい法案では、その仕組みを変えるためにいくつか変更が加えられている。

まず、この変更はセクション230の中核をなす言語を根本的に変更することになるだろう。そもそも、現行法にいかに簡潔な言語が使われていたかを考えれば、どのような変更も大きな変化である。新しい改正案の下では、230条は支払いをともなう場合には保護措置を提供しないことになる。

現行は以下のようになっている。

インタラクティブ(双方向性)コンピューターサービスの提供者または使用者は、他の情報コンテンツ提供者が提供する情報言論の発行者(Publisher)または表現者(Speaker)として扱われないものとする。

SAFE TECH Actによる変更点は次のとおりである。

インタラクティブコンピューターサービスの提供者または使用者は、他の情報コンテンツプロバイダーによって提供された情報言論の発行者または表現者として扱われないものとする。ただし、提供者または使用者が、言論を利用可能にするための支払いを受け入れた場合、または全体若しくは一部においてスピーチを作成、若しくはスピーチの作成に資金を提供した場合はこの限りでない。

(B) (c)(1)(A)は、他の情報コンテンツプロバイダーから提供された言論に関して、インタラクティブコンピューターサービスプロバイダーがその言論の発行者または表現者であり、インタラクティブコンピューターサービスプロバイダーが証拠の優位性により立証責任を有するとする主張に対する積極的抗弁となる。

大したことではないように思えるが、大きな変化をもたらす可能性がある。ワーナー上院議員は法案を推進するツイートの中で、オンライン広告を「あらゆる種類の詐欺や詐欺の主要な媒介物」と表現しており、広告におけるプラットフォームの乱用に焦点を当てることが表向きの目標となっている。しかし現在の文言では、SubstackやPatreonなどの有料オンラインコンテンツからウェブホスティングまで、他の多くの種類の有料サービスが影響を受ける可能性がある。

「優秀な弁護士なら、これは有料広告をはるかに超える多種多様な取り決めをカバーしていると主張できるでしょう」と、米海軍アカデミーのサイバーセキュリティ法教授でセクション230に関する書籍を執筆したJeff Kosseff(ジェフ・コセフ)氏はTechCrunchに語った。「プラットフォームは、言論を一般に『利用可能』にする過程で幅広い当事者からの支払いを受け入れている。法案はプラットフォームが表現者からの支払いを受け入れる場合の例外を定めていない」。

インターネット企業の大小を問わず、その運営はセクション230による保護に依存しているが、新法案で提案された規則が成立した場合、事業を再考しなければならない企業が出てくるかもしれない。セクション230の原執筆者の1人であるRon Wyden(ロン・ワイデン)上院議員(民主党、オレゴン州選出)は、新法案には善意の意図があることを指摘しながらも、その意図しない結果によって引き起こされる可能性のある反動に対して強い警鐘を鳴らした。

「残念なことに、すでに述べたようにこれはオープンなインターネットのあらゆる部分を破壊し、オンライン上の言論に大きな副次的損害をもたらすでしょう」とワイデン上院議員はTechCrunchに語っている。

「すべての商業的関係に責任を負わせることは、ウェブホスト、クラウドストレージプロバイダー、さらには有料の電子メールサービスまでもが、議論を呼ぶ発言をネットワークから一掃することになります」とワイデン上院議員は続けた。

Fight for the FutureのディレクターであるEvan Greer(エヴァン・グリア)氏も、法案は善意に基づくものだが、同じ懸念を持っているという意見を述べている。「……残念なことにこの法案は、すでに述べられているように、人権と表現の自由に甚大な意図せぬ結果をもたらすことになるでしょう」とグリア氏は語る。

「この変更によりセクション230は広告だけでなく、ウェブホスティングや(コンテンツ配信ネットワーク)などの有料サービス、さらにはPatreon、Bandcamp、Bandcamp、Etsyなどの小規模サービスにも多大な影響を与えるでしょう」。

その焦点が広告や企業による支払いの受け入れに当てられていることを踏まえると、この法案が効果的な改革を提供するには、規模が大きすぎると同時に狭すぎるかもしれない。オンライン広告、特に政治広告は最近のプラットフォームの取り締まりに関する議論でホットな話題になっているが、暴力的な陰謀や誤報、組織的な憎悪の大部分はオーガニックコンテンツによるものであり、有料コンテンツによるものではない。また、Anna Eshoo(アンナ・エシュー)下院議員(民主党、カリフォルニア州選出)とTom Malinowski(トム・マリノフスキ)下院議員(民主党、ニュージャージー州選出)が下院で提案した小規模なセクション230改定提案で特に重視されているアルゴリズムの役割についても触れていない。

新たな例外

SAFE TECH Actの他の部分では、Anti-Defamation League、Center for Countering Digital Hate、Color of Changeを含む多くの市民権団体からの賛同を得て、名誉毀損防止や差別などの問題に対応しようとしている。セクション230に補遺を追加するこの新たな法案により、一部のケースではインターネット企業に民事責任を問うことが可能になり、サイバーストーカー、標的型嫌がらせ、差別、不法死亡の被害者が、訴訟を起こす機会を与えられるようになる。

またSAFE TECH Actは、インターネット企業が掲載するコンテンツが「回復不能な損害」を引き起こす可能性がある場合に、個人が裁判所の命令を求めることができるようにしたり、海外での人権侵害について米国のインターネット企業を相手取って米国の裁判所で訴訟を起こすことも可能にするだろう。

ワーナー議員はプレスリリースで、この法案は1996年の法律を最新のニーズに合わせて改正するものだと述べた。

「現行のセクション230は、サービスプロバイダーが効果的にコンテンツを規制するためのツールやポリシーを開発することを奨励するためのものでありながら、自社製品やサービスの悪用による、予見可能で明白かつ繰り返し起こる有害行為に何の対処もしない場合でも、オンラインプロバイダーに完全な免責を与えているのです」とワーナー議員はいう。

セクション230の改革についてのアイデアは数多くあり、党派を超えて議論されている。例えばBrian Schatz(ブライアン・シャッツ)上院議員(民主党、ミシガン州選出)とJohn Thune(ジョン・スーン)上院議員(共和党、サウスダコタ州選出)による超党派のPACT法は、コンテンツ規制の透明性に重点をおき、連邦政府や州の規制に対する企業への保護を狭めることに焦点を当てている。Lindsey Graham(リンジー・グラハム)上院議員(共和党、サウスカロライナ州選出)とRichard Blumenthal(リチャード・ブルメンタール)上院議員(民主党、コネチカット州選出)は広範な改革であるEARN IT法を提案しているが、この法案はセクション230の擁護論者とインターネットの自由の支持者からは、憲法違反なだけでなく過度に広範で重大な悪影響をおよぼすとものとみなされている。

セクション230の改正案がすでに数多く浮上している中で、SAFE TECH Actのような法案が優先される保証はまったくない。唯一確実なのは、私たちが今後、現代のインターネットに多大な影響を与える小さな法律の断片について、さらに多くの情報を耳にするだろうということである。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)