自動運転スタートアップのTuSimpleがトラック製造大手のNavistarとタッグ、2024年までに自動運転トレーラーを生産

Navistar(ナビスター)とTuSimple(トゥーシンプル)は米国時間7月15日、2年間の提携関係を結び、2024年までに自動運転セミトレーラーを開発し生産を開始すると発表した。

この戦略的提携では、Navistarが額面は非公開ながら自動運転トラックのスタートアップTuSimpleの株式を取得する。この計画の目的は、Navistar International(ナビスター・インターナショナル)の商用トラックに現在のTuSimpleのシステムを後付けする方式から脱却し、自動運転での運用を主体とするセミトレーラーを開発することだ。

「自動運転技術は私たちの業界にも浸透しつつあり、それには私たちの顧客の業務を根底から変えるインパクトがあります」とNavistaのCEO兼社長のPersio Lisboa(パージオ・リズボア)氏は声明の中で述べている。さらに、この提携により同社は、顧客のニーズに合致した製品の開発と提供のリーダーとして位置づけられることになるとも話している。

この完全自動運転トレーラーは、米国、カナダ、メキシコにあるNavistarの従来の販売チャンネルで購入できると、同社は7月15日に明らかにした。

今回の取り決めは、両方の企業にとって重要なものとなる。TuSimpleは、安全で結果的に利益を生む本格的な無人商用運用を開始するときのために、その技術プラットフォームを投入できる独自のトラックメーカーを必要としている。そしてNavistarは、Daimler Trucks North America(ダイムラー・トラックス・ノース・アメリカ)やVolvo Group(ボルボ・グループ)といったOEM競合相手に差をつけ突出させてくれる企業としてTuSimpleを見込んでいる。

TuSimpleの社長、Cheng Lu(チェン・ルー)氏も、両社がひとつになることで、クラス8の自動運転大型トラックを大規模に商品化する道が開けると、この提携に大変な自信を見せている。ただし、この道を追求しているのはNavistarとTuSimpleだけではない。Ike(アイク)やKodiak(コディアク)といった自動運転トラックのスタートアップが、ここ数年大量に登場してきている。さらに、Aurora(オーロラ)やWaymo(ウェイモ)といった自動運転技術の企業には、無人トラックに軸足を伸ばしたり、人の輸送も行うロボタクシーなどのビジネスモデルから移行するものも多い。

Sina(新浪)、Nvidia(エヌビディア)、UPS(ユーピーエス)、同社の一次サプライヤーであるMando Corporation(マンドー・コーポレーション)からも支援を受けるTuSimpleは、アメリカで40台の自動運転トラック群を運用していて、アリゾナとテキサスの間でテストや荷物の輸送を行っている。このトラックには、かならず2名の安全担当エンジニアが乗車している。

この戦略的提携は、TuSimpleが少なくとも2億5000万ドル(約267億円)の資金を新規に調達しようとしているときと重なった。同社は、資金調達を実現されるために投資銀行Morgan Stanley(モーガン・スタンレー)と契約している。

またこの資金調達と同時に、TuSimpleは、2024年までに全米に展開を予定している自動運転トラック運用のための輸送路線ネットワークと専用にデザインされたターミナルの計画を公開した。2024年は、Navistarが自動運転トレーラーの生産開始を目指している時期と同じだ。

TuSampleの少数株を保有するUPS、U.S. Xpress(ユーエス・エクスプレス)、Penske Truck Leasing(ペンスキー・トラック・リーシング)、Berkshire Hathaway(バークシャー・ハサウェイ)の食料品およびフードサービスのサプライチェーン企業McLane Company(マクレーン・カンパニー)は、そのいわゆるAutonomous Freight Network(自動運転運輸ネットワーク、AFN)の初期パートナーだ(未訳記事)。

TuSimpleのAFNは、自動運転トラック、デジタルマッピングされた路線、運輸ターミナル、自動運転トラックの運用状況と荷物の配送状況をリアルタイムでモニターするシステムという4つの要素で構成される。TuSimpleは、完全な無人運用を2021年にデモンストレーションする予定だと話している。

画像クレジット:TuSimple

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(翻訳:金井哲夫)

日本郵便がメルカリらと連携、個人間配送サービスを提供——匿名配送やコンビニ受け取りにも対応

日本郵便は、フリマアプリやオークションサイトとのシステム連携による、個人間の配送サービス「e発送サービス」を6月20日から提供開始すると発表した。

e発送サービスでは、フリマアプリやオークションサイトで取引が成立すると日本郵便のシステムに連携。出品者は受け取ったQRコードを使えば宛名書きが不要、全国約1000店の郵便局または約1万2000店舗のローソンで送り状の発行と商品の発送ができる仕組みだ。

対象となるのは「ゆうパック」「ゆうパケット」による配送で、配送料金の決済はサイト上で完結、料金は一部をサイトの運営者が負担する(負担額はサイトにより異なる)。また利用するサイトによっては、出品者・購入者が互いに匿名で商品を配送するサービスや、商品の受け取り場所をコンビニエンスストア、郵便局、宅配ロッカー「はこぽす」に指定するサービスも利用できる。

6月19日現在、e発送サービスの導入を表明しているのは「フリル」、「メルカリ」、「モバオク」、「ヤフオク!」、「ラクマ」の各サイト。このうちメルカリとラクマでは6月20日から新しい配送サービスを追加、フリルでは7月上旬からの提供を予定している。

メルカリの新配送サービス「ゆうゆうメルカリ便」は全国一律料金で利用でき、通常のゆうパケットやゆうパックの配送料金との差額はメルカリが負担する。A4サイズ・厚さ3cm・1Kg以内のゆうパケットのサイズであれば、メルカリ便の中でも最安値の175円(税込)で発送できる。出品者も購入者も住所・氏名のやり取りをせずに匿名で利用でき、購入者は郵便局、ローソン、ミニストップ、はこぽすでの受け取りが可能だ。

これまでメルカリでは、ゆうゆうメルカリ便と同じく、宛名書きが不要で匿名配送が可能、全国一律送料の配送サービス「らくらくメルカリ便」をヤマト運輸との連携で提供してきたが、自宅以外での商品受け取りが可能となるのは、ゆうゆうメルカリ便が初めてだ。

ラクマも、これまでヤマト運輸との提携で提供してきた全国一律送料の配送サービス「ラクマ定額パック」に、ゆうパケットと「らく得パック」を追加する。ゆうパケットの利用料金は全国一律180円(税込)、縦・横・高さの合計が100cm以内で30Kgまでのサイズのらく得パックは全国一律680円(税込・2017年内に料金改定予定)となる。ラクマ定額パックでも、ゆうパケットおよびらく得パック利用の場合は、郵便局、ローソン、ミニストップ、はこぽすで受け取ることができるようになる。

フリルでも、ヤマト運輸のネコポス、宅急便コンパクト、宅急便を利用できる全国一律送料の配送サービス「かんたんフリルパック」を提供してきた。7月上旬からスタートする「かんたんフリルパック(日本郵便版)」では、ゆうパケットの料金は全国一律179円となる予定だ。

小規模ビジネス向け配送サービスのWeengsがLocalGlobeなどから270万ドルを調達

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小規模の小売店やオンラインショップ向けの配送サービスを展開するイギリスのWeengsが220万イギリスポンド(米ドル換算で約270万ドル)を調達した。同社のサービスを利用すれば手間のかかる商品の配送を一手に引き受けてくれる。ロンドンでサービスを展開する同社は、今回調達した資金を利用して他のヨーロッパ諸国への事業拡大を目指す。

今回のシードラウンドにはRobin KlevinとSaul Klevinが率いるLocalGlobe、Seedcamp、ドイツのCherry Ventureなどが参加している。その他にも、匿名のエンジェル投資家が数名と、ギリシャを拠点とするVCであるVentureFriendsも本ラウンドに参加した。2015年7月創業のWeengsは、これまでにエンジェル投資家などから1万7500イギリスポンド(約2万1300ドル)を調達している。

Eコマースの商品配送という点にフォーカスし、それにかかる手間と時間をできるだけ省くことを目指すWeengsは、スマートフォン・アプリを通じてパッケージングおよび配送サービスを提供している。アプリの利用はとてもシンプルで、商品の写真を撮り、配送先の住所を入力し、最後にピックアップを頼むだけでいい。

すると、1時間も経たないうちにWeengsの「エンジェル」たちが商品を受け取りにやってくる。「エンジェル投資家」と間違えそうな名前だが、投資家である彼らがこのように自分の手を汚すことなどないだろう。商品を受け取ったエンジェルは、Weengsが所有する商品管理用の倉庫にその商品を届け、そこで専門のスタッフが商品を梱包する。梱包に使われるのはカスタマイズされたパッケージだ。

パッケージ済みの商品は最終的にWeengsと提携するRoyal Mail、DHL、DPDなどの配送業者によって配送される。Weengsの利用料は1回のピックアップにつき5ポンド(約6ドル)で、それに配送料が加わる。

Weengsの共同創業者であるGreg Zontanosは、「小規模の小売店やオンラインショップが頭を抱える問題は商品のパッケージングと配送です。彼らには大企業のようにハイクオリティな配送サービスを展開できるだけのリソースや経験がなく、そのせいで商品の到着が遅れたり、梱包が不十分で商品が傷ついてしまったりといった問題が発生してしまいます。だからこそ、私たちは大規模な配送サービスを手ごろな料金で提供しているのです」と話す。

「まだ梱包されていない状態の商品をユーザーの店舗や自宅まで取りに行き、専門のスタッフが自社製のパッケージで商品を梱包し、信頼のおける配送業者が格安な料金で商品を配送します。これにより、当日配達が可能になるだけでなく、丁寧に梱包された商品を傷ひとつない状態で顧客に届けることができます。そしてユーザーは時間とお金を節約できるのです。また、Weengsは国際配送にも対応しており、カスタマイズされたパッケージングと配送サービスを低いコストで提供し、面倒な税関手続きを代行することで、ユーザーはより大きな市場にもアプローチができるようになるのです」。

Weengsの収益モデルは優れたものになる可能性がある。同社の収益となるのは配送する荷物の数に大きく左右される利用料金と配送料だけではない。大量発注によって価格が下がった配送コストと、実際にユーザーから受け取る配送料金との差額もWeengsが得るマージンとなるのだ。もちろん、このビジネスモデルを機能させるためには事業規模を拡大していくことが最も重要となるだろう。

そのため、Ebayで何度も商品を販売する人や、Trouvaに掲載されているようなブティック洋品店などがWeengsの典型的なユーザーだ。「このようなショップを運営しているのは1人か2人の個人であり、彼らが8時間以内などというように制限された時間のなかで、商品を梱包するパッケージを探したり、実際に梱包したり、パッケージに貼るラベルを購入したり、郵便局に並んだり、在庫を調整したりといった作業をこなすのは難しいのです。Weengsを使えば、彼に必要なのは写真を撮り、配送先の住所を入力し、ピックアップを要請するのに必要な時間だけなのです」とZontanosは語る。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Amazonに対抗、Googleの宅配サービスがアメリカの75%の地域で利用可能に

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Googleは本日、自社の宅配ショッピングサービスGoogle Expressのサービス対象地域を拡大すると発表した。Google Expressは東海岸の広い地域で利用可能になった。オンラインの買い物客は、電化製品、洋服、医療用品、美容用品、インテリア、さらには乾物食品をウェブや専用のモバイルアプリから購入することができる。今回の拡張で、Google Expressは東側を中心とする12以上の州で利用できるようになり、7000万人にサービスを提供できるようになるとGoogleは伝える。

本日から、 Google Expressは下記の州で利用可能となる。
デラウェア州、マリーランド州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ペンシルベニア州、バージニア州、ウェストバージニア州、コネチカット州、マサチューセッツ州、メーン州、ニューハンプシャー州、ロードアイランド州、バーモント州だ。

この地域の買い物客は、コストコ、 Kohl’s、L’Occitane、PetSmart、Stop & Shop / Giant Food (地域による) Sur La Table、Ulta Beauty、Payless、 Adorama、Road Runner、Vitamin Shoppe、Whole Foods、TRU/BRU、Paragonなどの多様な小売店から商品を購入することが可能だ。

主要都市部の買い物客は、品物の同日配送を依頼することができる。郊外エリアや地方の場合、配送は翌日か2日後になる。

これにより、GoogleはAmazonと直接的に競合するようになるだろう。AmazonのPrime Nowサービスは、アメリカの主要都市においてすでに同日配送サービスを提供していて、Primeメンバーシップの会員なら誰でも、何百万とある対象商品の翌日配送を行っている。それは都市に住む人に限らない。

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一方Google Expressは、牛乳、果物、野菜といった生鮮食品や他の冷蔵、冷凍商品の配送を取り止めることにした。

サービス地域の拡大する前にGoogleは戦略を変更し、生鮮食品の配送サービスを停止することを決断した。Google ExpressはAmazonFreshやInstacart、Peapodとの競争は止め、スケールしやすい事業に注力することを選んだのだ。

また、多くの買い物客はまず最初にAmazonのサイトに向かうようになっている流れがある。Googleが対抗しようとしている潮流だ。最近のアンケート調査によると、アメリカのオンラインの買い物客の半数以上(55%)は、商品を探すのに最初からAmazonのサイトを使うことを示した。昨年より44%増加している。一方で、GoogleやYahooといった検索エンジンでの商品検索は減少している。Googleでは、ウェブの買い物客が自社サイトから検索を始める人が昨年の34%から28%に低下した。

Google Expressは、非会員の購入から得ている配送料4.99ドルと、定期購入者向けの年間95ドルのプランで収益を得ている。だいたいPrime会員の価格と同じくらいだ。買い物客は各店舗の最小購入額を超えて買い物する必要がある。通常15ドルだが、最大で35ドルの店もある。これ未満の買い物には追加料金がかかる。

Googleは各注文ごとの手数料も得ている。配送自体は、宅配事業者やデリバリーサービスが担う。

本日より、アメリカ本土の75%の地域でGoogle Expressが使用できるようになるとGoogleはTechCrunchに伝えた。

しかしこのサービス地域からは、どのくらいの人がGoogle Expressを知っていて、実際にそこで買い物をしているかは分からない。Googleは収益の詳細や処理した配送件数、他のサービスのトラクションやグロースを示す情報は公表していない。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website