「鼻」でも味わえるBlack Sheep Foodsの植物由来肉、ラムなど植物由来ジビエを開発

植物由来の伝統的ないつもの肉やジビエを製造するフードテック企業Black Sheep Foodsが、特許出願中の風味化合物の開発を継続するため、525万ドル(約6億1000万円)のシード資金を獲得した。

共同設立者のSunny Kumar(サニー・クマール)氏は、TechCrunchの取材に対し、植物由来肉の中には、口で生み出す味に頼っているものがあると指摘する。彼の会社では、鼻で適切なタイミングで感じる味を作り出している。

「口で感じる味は初歩的なものです。私たちは、鼻で感知できる化合物を研究しています。人は狩猟や採集をするときに、鼻を使ったのです」と彼はいう。

2019年からBlack Sheep Foodsは、エンドウ豆のタンパク質と脂肪酸からなる化合物を作り、それをどのように提供するのがベストなのかと研究開発に取り組んでいる。

近年、植物性の鶏肉や牛肉が人気だが、地中海、インド、中東、アフリカの食生活でよく食べられるラムなどのジビエは、このトレンドに取り残されているとクマール氏は考えている。

そんな偏ったトレンドを作り出しているのが、2020年で66億7千万ドル(約7700億円)に達している植物由来肉の世界市場だ。今後、食べ物を意識する人がもっと増えて、サステナブルな方法で生産された食品を求めるようになると、その市場は2026年に167億ドル(約1兆9276億円)になるという。

今回の資金調達により、同社は植物由来の肉類をより多くの消費者、特にラム肉を食べたことがありその味が気に入らなかった人に提供する機会を得た。

Black Sheep Foodsの出資者には、AgFunder、Bessemer Venture Partners、TastybitesのMeeraとAshok Vasudevan、New Crop Capital、Siddhi Capital、Smita Conjeevaramがいる。

同社は2021年、植物由来のラム肉を、ベイエリアのSouvlaなど、ギリシア料理レストランとパートナーして試してみた。それは、Souvlaにとって7年ぶりの新メニューだった。2022年には、同社のミートボールがデルタ航空のファーストクラスとビジネスクラスの機内食で提供される。

2022年1月は、植物製ラム肉がベイエリアのRooh、Chezchez、Beit Rima、Joyride、Mazra、Monica’s、Ettanなどでも提供される予定だ。

クマール氏の計画では、資金は、実際の市場規模を知るためのマーケティングの市場調査にも当てたいという。またR&Dでは合成生物学の分野を追究するとともに、その一環として、イノシシなどその他の風味も実現したい。

「最大のハードルは多くの人にサンプルを試食してもらうことです。2021年は、パートナーのレストランのシェフたちに販売するだけで売り切れになった。競合他社がどれだけ売っているのか知りたいですし、私たちはその数字を超えたいです」とクマール氏はいう。

画像クレジット:Nicola Parisi

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

風味と言語の総合変換を行う日本酒ソムリエAI「KAORIUM for Sake」を京都酒蔵館が導入

風味と言語の総合変換を行う日本酒ソムリエAI「KAORIUM for Sake」を京都酒蔵館が導入

香りを言語化するAIシステムであらゆるものに情緒的な体験価値をプラスする香りのビジネスデザイン集団SCENTMATIC(セントマティック)は、香りと言葉の相互変換を行うAIシステム「KAORIUM」(カオリウム)の技術を用いた日本酒ソムリエAI「KAORIUM for Sake」を、10月1日より、京都42酒蔵の日本酒が楽しめる居酒屋「京都酒蔵館」に関西で初めて導入した。

「KAORIUM for Sake」は、インターネット上の膨大な言語表現、ユーザーの1万件以上の感性データ、酒ソムリエ赤星慶太氏の感性を学習した、日本酒の風味を言葉で可視化するAIシステム。今まで感じ取ることが難しかった奥深い味わいが感じられる体験を提供するという。

日本酒を「すずしげ」、「ふくよか」、「あたたかみ」の3要素のバランスに加え、香りや印象、情景に喩えた表現や言葉で可視化することで、日本酒の特徴がわかりやすくなり、好みの酒が選びやすくなる。SCENTMATICによれば、「キーワードを見ながら言葉を意識して味わうことで、今まで感じることのでき なかった風味や味わいに気付くことができます」とのことだ。同時に、客がタブレットで酒の印象を表す言葉をタップれば、さらにAIの学習が進む。

「接客を頑張りたい」が人的に限界があり悩んでいたという京都酒蔵館は、「KAORIUM for Sake」の画面を見ながら酒を楽しむ客の姿を見て、客と会話ができなくとも日本酒の魅力が伝えられるようになったと話している。

お香と抹茶のサブスクD2Cブランド「S.E.N」が開始、日本香堂と共同開発した香木セットなど毎月送付

お香と抹茶のサブスクD2Cブランド「S.E.N」が開始、日本香堂と共同開発した香木セットなど毎月送付

「自分と向き合う時間と空間をつくる」ことを目指すSENは8月16日、リラックスに特化したお香と抹茶のライフスタイル提案型D2Cブランド「S.E.N」(エス・イー・エヌ)をスタートしたと発表。オンラインストアにおいて、日本香堂と共同開発したお香、抹茶は創業270年の京都の老舗とコラボした抹茶などの販売を開始した。

ラインナップ(抜粋)

  • The OKOH Modern:直販価格2480円(税込)。容量18本(1種類9本×2種類)。月替わりで2種類のお香を毎月送付
  • The OKOH Authentic:直販価格3280円(税込)。容量21本(1種類7本×3種類)。白檀・沈香・伽羅の3種類の高級お香を桐箱に入れて毎月送付
  • The MATCHA Modern:直販価格2480円(税込)。月替わりで2種類の「フレーバー抹茶」が届く定期便。1751年創業の老舗カネ七畠山製茶、京都宇治のおくみどり、やぶきた抹茶を使用。本格的な京都の宇治抹茶にフルーツやチョコなどの香りを付加した新感覚の抹茶
  • The MATCHA Authentic:価格3980円(税込)。パリで金賞を受賞した最高級抹茶(ごこう・濃茶)の定期便。1751年創業の京都宇治茶の老舗カネ七畠山製茶のオーガニック・有機抹茶を使用。上品な甘さの讃岐和三盆をセットにして送付
  • The OTEMAE:価格1万4800円(税込)。有田焼の工房と共同開発したS.E.Nオリジナルお茶碗、1751年に創業した京都宇治・老舗カネ七畠山製茶の有機抹茶(20g)、讃岐和三盆(10個)、お盆、茶筅マドラー、茶杓のセット製品

「The OKOH Authentic」「The OKOH Modern」

SENと日本香堂は、「The OKOH Authentic」「The OKOH Modern」のお香2製品を共同開発。The OKOH Authenticは、高級香木の白檀(ビャクダン)、沈香(ジンコウ)、伽羅(キャラ)の3種類のお香を組み合わせた、リラックスに特化したプロダクトという。同商品に同封している、呼吸を整えるためのマインドフルネスコンテンツと同じ時間(約12分)で消えるよう設計したそうだ。

お香と抹茶のサブスクD2Cブランド「S.E.N」が開始、日本香堂と共同開発した香木セットなど毎月送付

The OKOH Modernは、より現代的な香りが楽しめる製品。牡丹、日本茶、梅、松、金木犀としゃぼん玉など、現代人のライフスタイルにもなじみやすいスタイリッシュな香りを楽しめるとしている。The OKOH Authenticと同様、同封のマインドフルネスコンテンツとあわせて約12分間で消えるようにデザインした。

お香と抹茶のサブスクD2Cブランド「S.E.N」が開始、日本香堂と共同開発した香木セットなど毎月送付

「The MATCHA Authentic」「The MATCHA Modern」

抹茶の商品開発では、創業1751年の京都の老舗抹茶店とコラボし、「The MATCHA Authentic」「The MATCHA Modern」の2製品を展開。The MATCHA Authenticは、2019年フランス・パリで開催された日本茶コンクール「ジャパニーズティー・セレクション・パリ」の玉露・抹茶部門で金賞を受賞した高級抹茶を採用。ストレス軽減の効果があるテアニンとアルギニンの含有量が多く、仕事の合間のリラックスに最適としている。

お香と抹茶のサブスクD2Cブランド「S.E.N」が開始、日本香堂と共同開発した香木セットなど毎月送付

The MATCHA Modernは、気軽に、日常的に抹茶を楽しめる、本格的な京都の宇治抹茶にフルーツやチョコなどの香りを付加した新感覚のフレーバー抹茶の商品シリーズ。京都宇治のおくみどり、やぶきた抹茶を仕様しており、しっかりとした抹茶の味わいの中に、ほのかに香るフレーバーを楽しめるという。お香と抹茶のサブスクD2Cブランド「S.E.N」が開始、日本香堂と共同開発した香木セットなど毎月送付

The OTEMAE

The OTEMAEは、有田焼の工房と共同開発したS.E.Nオリジナルお茶碗をはじめとする抹茶の入門セット。1751年に創業した京都宇治・老舗カネ七畠山製茶の有機抹茶(20g)、讃岐和三盆(10個)、お盆、茶筅マドラー、茶杓を同梱している。お香と抹茶のサブスクD2Cブランド「S.E.N」が開始、日本香堂と共同開発した香木セットなど毎月送付

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カテゴリー:その他
タグ:香り / 匂い(用語)サブスクリプション(用語)食品 / 食料品 / 食材 / 食品加工(用語)SEN(企業)D2C(用語)緑茶 / 抹茶(用語)日本(国・地域)

AIで心を癒すあなただけのアロマを調合、コードミーが「香りのトータルコーディネート」など新展開

AI技術を駆使してパーソナライズされた香りを届ける「CODE Meee ONE」が人気だ。同サービスを提供するコードミーは2017年4月に創業。BtoC向けにフレグランス関連商品の企画・開発・販売を、BtoB向けに香りの空間デザインなどを展開している。2020年度はBtoC、BtoB合わせて、売上ベースで対前年比約400%増になったという。コードミーの太田健司代表に、事業内容や新たな展開について話を聞いた。

コードミーが扱う「香り」とは

誰でも、ある香りを嗅いだ瞬間、その香りにまつわる記憶が一瞬でよみがえるといった経験があるのではないだろうか。国内最大手の香料会社で10年間フレグランス開発などを行ってきた太田氏は「人間の五感で唯一、嗅覚は感情と記憶に直接結び付いています」と説明する。

脳には、喜怒哀楽などの感情や記憶をつかさどる器官を持つ大脳辺縁系がある。大脳辺縁系には、匂いだけがダイレクトに伝達される。このため、香りを嗅げば無意識のうちに、過去の情景が呼び起こされるといった現象が起きるのだという。

太田氏は「香りはパワフルなツールですが、まだ完全には解明されていない部分も多いものです。例えば、人が亡くなるとき、最後に残っている感覚は嗅覚だといわれています。原始的で神秘的な香りの可能性は、とても大きいと思っています」と話す。

ストレス課題の解消を狙う「CODE Meee ONE」

CODE Meee ONEは、毎月アロマが届くサービスだ。サブスク型で1カ月税込1800円。年齢や性別の他、睡眠不足・疲労・二日酔いといった自身のストレス課題、香りの好みなどをウェブ診断で答えれば、3000パターン以上の中からパーソナライズされた3つのアロマが提案される。

サービス利用中は香りの再診断もできる。「季節や自身のライフステージに合わせ、抱えるストレス課題や、香りの好み、香りに期待する機能性などは変化するという前提です。その時々の診断結果に合わせて『今のあなたに最適な香りが作られる』ことになります」と太田氏はいう。なお、お試しとして単発でも購入可能で、その場合は税込2800円となる。

CODE Meee ONEでのウェブ診断後、パーソナライズされたアロマの代表的な素材3つがユーザーに表示されるようになっているが、それぞれの配合比なども個人によって変わる。

太田氏は「CODE Meee ONEで出来上がるアロマは、その人にしかない香りになります。素材の配合比や濃度など細かく分けていけば、実質的にそのパターンは無限に近くなります」と語った。

また、パーソナライズのためにサービスをTwitterと連携することもできる。直近の投稿データ200件分をAIが解析し、現在の精神状態をグラフでビジュアル化。この結果に基づいてさらにアロマをもう1つ提案している。

太田氏は「Twitterによる分析は、IBMの人工知能『Watson』と連携しています。直近の投稿データ200件分に出てくる単語ごとに分析しています。『Twitterは本心ではなく、建前も多い』とよく言われますが、人は使う単語にクセが出ます。本人も意識していない、しっかりとしたインサイトが単語から分析できるのです」と説明する。

CODE Meee ONEはサービスローンチから2年近く経つが、新型コロナが蔓延する中、顧客の幅が一気に広がったという。「コロナ禍で『自分の心身を労わろう』という考えが広がり、家の中でより豊かな時間を感じたいと、新たに香りに着目している人が増えました」と太田氏はみる。現在、数千人がサービス利用している。

CODE Meee ONEで蓄積したユーザーデータはパーソナライズの精度を上げることはもちろんだが、BtoB事業にも活かしている。

「BtoB向けの空間デザインでは、ターゲット層に対して、香りによって『集中力を上げる』『リラックスする』などの機能を期待したいといったとき、蓄積したデータを活用しながら、香りを開発しています」と太田氏。

BtoB向けの空間デザインも基本的にはサブスク型で提供し、価格は企業や案件によりその都度カスタマイズする。コードミーは東急不動産ホールディングスなど、すでに数十カ所以上で空間デザインを行っている。

科学に裏打ちされたデータに基づく香り

コロナ禍において、コードミーはマスク専用のプレミアムアロマスプレーの販売も始めた。

太田氏は「マスクに吹きかけるアロマスプレー自体はすでに世の中にありました。ただ、それらは単にいい香りがするというものが多いです。我々は、脳波を測定し、感性科学的に『快適度の向上』『ストレス値の軽減』といった結果が出たオリジナルの調合香料を開発しました。科学に裏打ちされたアロマスプレーとして人気が集まり、売上向上にもつながりました」と説明する。

コードミーでは2017年の創業時から、バイタルデータと香りの相関性を重要視し、研究を進めてきた。バイタルデータの中でも特に着目しているのが脳波だ。2019年には電通サイエンスジャムとの連携により、脳波による感性把握技術に基づく香りで、快適な職場環境をデザインする実証実験も行った。

さらに2020年には、東京・江戸川病院と連携し、臨床研究も始めた。医療・介護施設には、疾患や薬剤などに関連する医療現場特有の匂いがある。特にがん医療の現場では、がん組織に由来する特有の腫瘍関連の匂いが日常生活に関わる問題となっていながらも、いまだに根本的な解決策は確立されていないという。

コードミーではコロナ渦の過酷な状況で働く医師、看護師、介護士らを対象に、マスク専用プレミアムアロマスプレーを提供して効果検証を行った。

太田氏は「結果として、総合的な快適度が上がり、医療施設特有の匂いに対するネガティブな感覚も改善傾向が見られたことが、定性と定量の両データで示されました。今後はデータに基づくソリューションフレグランスを、医療施設内の空間デザインへと展開し、患者様、ご家族などのQOL(生活の質)向上に対する取り組みを計画中です」と述べた。

新たな「香りのトータルコーディネート」

コードミーは新たな展開として、生活のあらゆるシーンにパーソナライズした香りで寄り添う「香りのトータルコーディネート」を展開する。2021年内にはファーストプロダクトも出す予定だという。

シャンプーや石鹸、洗剤、柔軟剤、ルームフレグランス、ハンドクリームなど、日々の暮らしの中で香りを感じる場面は多くある。これらの商材をパーソナライズして提案し、好みの香りを1日を通して楽しめるようにするのだ。

現在はウェブ診断などの質問項目や販売方法なども検討段階だ。入浴剤などはサブスク型でも良いが、香水はそれほど利用率が高くないため、プロダクトにあったカタチで販売方法を検討する必要があるとする。

太田氏は「ウェブ診断でも、例えば香水なら『どんな自分を表現したいか』といったように、設問も大きく変えていく必要があります。このサービスは、完成形に至るまで時間がかかるかもしれません。ただ、年末にはまず新しいプロダクトを、また来年以降にもいくつか出せるよう動いていきます」と語った。

その上で「香料会社で培ったスキルと経験がある私だからこそできることがしたいと考えています。パーソナライズされた香りのトータルコーディネートが実現すれば、日本初のサービスになると思います」と太田氏は自信を見せる。

カテゴリー:その他
タグ:コードミー香りパーソナライズ人工知能Watson日本

画像クレジット:コードミー