1Passwordは創業から約14年。これまで創業者らはベンチャーキャピタルから多額の資金調達をせず、昔ながらの方法で会社を成長させてきた。だがここに至りベンチャーキャピタルからの出資を受け入れる決断をした。11月14日、同社はAccelからのシリーズAで2億ドル(220億円)を発表した。1件の投資としてはAccelの35年の歴史の中で最大となった。
同社はDave Teare(デイブ・ティア)氏とRoustem Karimov(ルステム・カリモフ)氏が2005年にトロントで立ち上げた。当時、ユーザーにとって大きな悩みの種だったパスワード作成・管理に関するツールを提供し、初日から利益を上げていた。最初からこれほど順調にいくスタートアップの例はあまり耳にしない。
現在、Jeff Shiner(ジェフ・シャイナー)氏がCEOを務める。着任した2012年には20人だった従業員数が174人にまで成長した。成長の過程で巨大な市場機会を見いだしたと同氏は言う。ベンチャー投資を受け入れた理由がそれだ。
「過去5年かけて洗練したビジネスツールを開発し、実際に販売する準備が整った。これまでより2倍も3倍も経営資源を投入し、迅速かつ広範に我々のツールを売り込み、ユーザーとなる企業はもちろん、企業の顧客の認知度も高める」とシャイナー氏は説明した。
同氏は、ユーザーが欲しくなるプロダクトを開発し、ユーザーへのサポート体制を構築する自社の能力に自信を持っている。ただ、より速く成長し、市場での可能性を顕在化するには、ビジネス面の支援を必要とする。「営業、マーケティング、財務チームが一体となって市場開拓した経験がほとんどない。我々は単に成長するのではなく、アグレッシブに成長したい。人材を確保するだけでなく、適切なパートナーを得て、成長を導く良いリーダーを見つけなければならない」と同氏は言う。
Accelには、資金調達の経験がない成熟企業への投資実績があり、今回の投資は同社にとって珍しいことではない。同社のパートナーであるArun Mathew(アラン・マシュー)氏は、1Passwordのような会社に出会うことはあまりないと言う。「AtlassianやQualtricsのように、1Passwordは迅速に事業を拡大できただけでなく、初日から利益を上げるビジネスを構築した点が印象的だった。だから我々は1件ではAccelの35年の歴史で最大の投資に踏み切ったのだ」 とマシュー氏は声明で述べた。
1Passwordの創業者らは2005年に事業のアイデアを思いついた。創業前はウェブ開発コンサルタントだったが、複数のウェブサイトへのログインという長年の問題解決を決意し創業した。
問題を解決するツールを公開したとき、多くの人々が同じ問題を抱えていることに気づいた。結局ウェブコンサルタント会社を畳んで、1Passwordを立ち上げることになった。そして会社の歴史が始まった。
画像クレジット:anyaberkut / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)