ノーコード開発ツールのスタートアップ重視のAccelの投資戦略を分析する

この記事は株式市場とベチャーキャピタルのトレンドについてのコラムだ。基本的に私のExtra Crunch記事(有料)の再録だが無料だ。

パンデミックを含め大変動が続いたスタートアップのビジネスシーンの中で、私はノーコードないしほとんどコードを書く必要のない開発スタイルを実現しようとするサービスにもっと注意を払うべきだと主張してきた。投資家、起業家、上場企業幹部らとの最近の会話を簡単にまとめると、「ノーコード/ローコード開発がテクノロジー・マーケット全般に急速に一般化しつつある」ということになる。

その理由は、これも多少乱暴にまとめてしまえばこうだ。マーケティング、セールスなど事業部のニーズと実際に内製、外注を問わずソフトウェアを提供する開発チームとの間のギャップがますます広がりつつあるからだ。これはビジネスシーンにおいて大きな頭痛の種となっている。様々な解決法が探られているが、いずれにせよ金がかかる。

そこでノーコード/ローコード開発環境を提供しようとするスタートアップの出番となる。大企業でもこうしたツールを目指す動きが目立つ。これらはユーザー自身がプログラミングの知識なしにソフトウェアを作成できるようにすることが狙いだ。

私は先週、Accelのパートナー、アルン・マシュー(Arun Mathew)氏と話した。Accelは有力ベンチャーキャピタルで、読者が聞いたことがあるようなありとあらゆる会社に投資している。例えばWebflowは8月にシリーズAで7200万ドルの調達に成功しているが、これもマシュー氏がリードしたラウンドだ(Webflowに興味がある場合、われわれの記事はこちらこちら)(いずれも未訳)。

もちろんこれは一例に過ぎない。重要なのはAccelがノーコードスタートアップ重視の投資戦略を作り上げている点だ。マシュー氏によれば、 Accelはスタートアップといってもすでに相当の規模に成長しており市場ニーズへの適合性も実証されているQualtricsなどに多額の投資をしている。Webflowへの投資もこの戦略に沿ったものだという。

しかしマシュー氏は「Webflowは当初から自社をノーコード開発企業と考えていたわけではない」という。Webflowは「Webサイト構築のために非常にシンプルで使いやすいドラッグ&ドロップのテクノロジーを開発した。次にWeb サイトだけでなくあらゆるソフトウェアを開発できるようテクノロジーを拡張した。つまりノーコード開発というトレンドに極めてタイミングよく乗ったわけだ」と説明する。

これに似た経緯でAccelは「ヨーロッパにおいても初期段階、成長段階双方のノーコード開発企業に対する投資を行っている」という(インドでもさらに数件の投資をしている)。ノーコード開発自体を重要な動きであるとみているのは当然だが、投資家の立場から見ると、初めからノーコードであるという理由に基づいた投資ではなく、たまたま優秀な起業家を発見したために行われたものもあった。「われわれが興味を持っていた分野で優れたファウンダーに出会い、彼らのビジョンに共鳴したからでもある」という。

Accelは「ここ1年ないし1年半にノーコード分野のスタートアップ7、8社に投資した」という。この間にノーコード戦略は次第に練り上げられていった。 「現在Accelは世界に10人以上の専任者を置き、時間をかけて有望なノーコード分野のスタートアップを探している」とマシュー氏は付け加えた。

以上、まとめというにはやや長くなったが、マシュー氏との会話はトレンドに追いつく上で非常に参考になった。当初ノーコードとローコード(これも重要だ)をカバーし始めたときにすでに十分な知識があったわけではないが、その後トレンドにだいぶ追いついた。さらにWebflowのラウンドを取材して以後、ノーコード分野のスタートアップに注意を払うことが重要だという考えがはっきりしてきたわけだ。

画像:Nigel Sussman

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滑川海彦@Facebook

Webサイト用検索ボックスの最高傑作Algoliaが$18.3を獲得、CrunchBaseも使ってるぞ

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リアルタイム検索をSaaSで提供しているAlgoliaがこのほど、Accel Partnersが指揮するラウンドにより1830万ドルを調達し、AccelのパートナーPhilippe Botteriを取締役会に迎えた。同社としては、120万ドルのシード資金の次の、本格的な資金導入である。Algoliaは、Webサイトが備える使いやすい検索ボックスを提供し、その快適な使い心地は、OS XのSpotlightをWebで使ってるような感じだ。

また、AlgoliaはSaaSなので、ユーザが自分のWebサイトに実装するのがとても簡単だ。たとえば自分のデータベースのための検索ボックスを同社の検索エンジンで実装するためには、同社のAPIをJSON形式のデータで呼び出すコードを、ほんの数行書くだけだ。その際、ニーズに合わせたカスタマイズもできる。それだけで、ユーザはそのWebサイトで検索ができるようになる。検索ボックスはページの上辺にあるから、ユーザは今のページにいながらにして検索ができる。Algoliaはデータセンターを地球上の12箇所に置き、グローバルな応答性を確保しようとしている。

Webサイトで検索をしようとすると、苦痛な経験に終ることが多い。どんなクェリを入力すればよいのかも、分からない。[Enter]を押すと、急に、結果表示用の別のページへ連れて行かれる。しかもそのページに、かんじんの、自分が探しているものがないことが多い。そこでしぶしぶ、Googleの検索を立ち上げ、クェリの後ろに’site:’オプションをつけて検索する始末だ。

AlgoliaとほかのWebサイトを比べると、月とスッポンだ。Algoliaでは、結果が今見てるページの上にドロップダウンリストで出るから、その中のどれかをクリックするのはGoogleの場合よりもはやい。機能もたくさあり、人気や地理的な位置、タグ、日付などで結果を絞り込むこともできる。

Webサイトの検索機能にイライラしたときは、いつも、Algoliaを使えばよいのに!と思う。今では600社がAlgoliaを使っており、毎月40億件あまりのクェリを処理している。CrunchBase、Genius.com、Vevo、Medium、WeWork、Teespring、Arc’teryx、Product HuntなどもAlgoliaのユーザ企業だ。

フランス生まれの企業だが、今はサンフランシスコに本社がある。これまでの投資家Alven Capital、Point Nine Capital、それにStorm Venturesも今日のラウンドに参加した。そのほか、Edge CapitalやParseのIlya Sukhar、DockerのSolomon Hykes、Kevin Rose、SplunkのErik Swanなどなども。新たな資金で同社は開発のサイクルを早め、また新たな顧客獲得のための営業活動も活発化するだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

トップVCのAccelがスタートアップを顧客とする新しいB2BとしてAPIビジネスに着目、早くもカンファレンスを

UberはUberだけではない。それはGoogle Mapsでもあるし、バックグラウンドチェッカーのCheckrでもあり、支払決済のBraintreeでもあり、Twilioのテキストメッセージングでもある。ビジネスの最良の構築方法は、すべてを自分でやらないことだ。成績上位の企業は近年ますます、いろんな専門企業のAPIを寄せ集めて自分のビジネスを組み立てている。彼らは車を再発明せず、むしろ既存の何かに、ユニークな付加価値をつけて売り出すのだ。

こういう、APIによるビルディングブロックがビッグビジネスに育ってくると、それ自体の課題もいろいろ生まれる。APIを多くの企業に使ってもらうには、どうしたらいいのか? デベロッパのエコシステムをどうやって支援するのか? APIの課金体系の適正な決め方は? 等々。

そこで、著名なVCのAccel Partnersが、そんな‘APIビジネス’に手を差し伸べることになった。同社は、BraintreeやSegment.ioやSlack、Checkrなどへの投資から、そのことを学んだ。でも、TwilioやHerokuなど、VCとしての投資の好機をのがした企業もある。同社は、もっと多くのAPIビジネスを惹きつけ、その知恵を共有するために、“APX”と名づけた新たな投資枠組みを創設した。APXとは、ビジネスのAPI化(API-ification of business)という意味だ。

Accel APXのパートナー、(左)Rich Wong、(右)Vas Natarjan

AccelのパートナーRich Wongはこう語る: “APXは現代のつるはしとシャベルだ”。ゴールドラッシュの時代にいちばん儲けたのは、採鉱ツール…削岩ハンマーと大型スコップ…を売る商人たちだったのだ。

パートナー仲間のVas Natarjanと共に、WongはAccelの資金をAPXにつぎ込むつもりだ。両者ともすでにこの分野に投資しているが、これからはこのファンドの公式のテーマになる。

まず3月19日に、Accelはサンフランシスコで初のAPXカンファレンスを開催する。APIを多用している消費者向けサービスの役員たちがゲストスピーカーとして招かれ、またAPIを提供している側のスタートアップも集まる。FacebookやAmazon、Dropbox、Twitterなどの大物と、URX、Checkr、Chainなどの若手企業が来席する。

ビルディングブロックを買うこと

デベロッパは、買うか作るか?という疑問をつねに抱えている。専門的機能を持ったAPIをお金を払って使った方が得か、それとも自前のリソースを投じて内製すべきか。でも、プロジェクトが複雑で、人材は争奪戦が激しいときは、内製は遅いしお金もかかりすぎる。

Natarjanはこう言う、“優秀なデベロッパを探(さが)しまくって、彼らに作ってもらう必要はない。必要な機能はすべて、信頼性の高いAPIにアウトソースすればよい。それはある種、人間の才能を売買するビジネスだ”。

Wongが続ける、“支払決済機能や、その記録分析機能、地図の機能などは、すでに良いAPIがいろいろあるから、自分で一から書くのは馬鹿げている”。


たとえばバックグラウンドチェックの場合は、InstacartやHomejoyのようなオンデマンドの共有経済スタートアップが、配達要員がネコババ(横領)をしない誠実な人間であることを確認しなければならない。これまで彼らは、自分で警察の監視対象リストや前科記録などを見て、人物をチェックしていた。

でも、彼らのビジネスは食料品の配達や家のお掃除であり、バックグラウンドチェックではない。そんなビジネスが、人をチェックするための部署を設けるのは、馬鹿げている。そこで、Natarjanは言う、“Checkrを利用すれば、その面倒な仕事が、APIを使うという単純な仕事へと、一挙に縮減する。どこかに、それをもっと上手にやってるところがあるのに、わざわざ自作する必要はない。これまでプロダクトの差別化努力に1%のリソースしか割けなかったのを、これからは100%割けるようになるのだ”。

売ることよりデベロッパの洗脳が重要

今は、APIのつぎはぎ細工のような企業、HotelTonightやUberやInstacartが栄えている時代だ。AccelのようなVCが、そんな部品に投資対象として目をつけるのも当然である。でもなぜ、AccelがAPXをやるのか?

“APIビジネスをスケールしようとすると、‘売る’という部分がハードルになってくる”、とWongは力説する。


そこでAccelは、次のような方面でAPIビジネスをアシストしたい、と考えている:

  • APIビジネスの市場開拓 デベロッパへの売り込みは、ITのトップをワインとディナーで接待することとは全然違う。“売り込むというよりむしろ宗教の伝道行為に近いね”、とNatarjanは言う。
  • デベロッパのエコシステムの活性化 Wongによると、“デベロッパは個性が強くて頭が良い”ので、“自分の方が良いものを作れる”と思いがちだ。だからとにかく、APIを試用してもらうことが重要。“理想的には、デベロッパの顧客がAPIビジネスに次に何が必要かを教える、という形が良い”、ということだ。すなわち顧客を巻き込めば、デベロッパも顧客の言うことには関心を持たざるをえない。
  • APIの料金体系 Natarjanはこう言う、”デベロッパは慢性的に、買うか作るかの決断を迫られている”。だから、“‘買う’を決断してもらうためには、長期的な料金体系がデベロッパにとって抵抗感のないものであることが重要だ”。
  • スケール(大規模化)とエンタプライズ対応 新しい顧客が一つ増えたな、と思っていたら、翌日からAPIビジネスの技術面の負荷が一挙に急増することもある。大きな負荷に対し、アップタイムを維持し続けるためには、雇用とオペレーション管理の戦略が重要だ。

APX Conferenceでは、Accelのポートフォリオに載ってる企業と載ってない企業の両方を対象に、上記の各トピックに関するセッションを行う。Bessemerなど他のVCもAPIビジネスへの投資に力を入れ始めているので、こんなカンファレンスで、競争に勝つことを意識することが重要だ。

“ここでは、スタートアップの心をつかむというよりも、デベロッパの心をつかむことが重要になる”、とWongは言う。“GoogleやMicrosoftやAmazonも、今では同じトレンドに着目しているから、彼らのようなモンスター企業も今、早期にコースを修正しようとしている(APIビジネスに本格的に取り組むこと)”。

Wongはこう語る: “4〜5年前までは、スタートアップにサービスを提供することが大きなビジネスになる、なんて誰も思わなかった。でも、今は違うね”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


Dockerコンテナのデータ管理サービスを提供するClusterHQが$12Mを調達

ClusterHQが今日(米国時間2/5)、シリーズAで1200万ドルの資金を調達した。このラウンドの幹事会社はAccel Partners London、これにCanaan Partnersと既存の投資家たちが参加した。

同社はまだほとんど無名に近いかと思われるが、しかしそのFlockerツールはデベロッパたちにとって気になる存在になりつつある。このツールを利用すると、Dockerコンテナの中で動くアプリケーションとそれらのデータを、容易に移動できるようになるからだ。基本的にDockerは、ステートレスなサービスを扱う技術だ。つまりアプリケーションのロジックは扱うが、データには無関心だ。

そこで、FlockerはDockerのエコシステムを拡大して、デベロッパがDockerのクラスタの中でデータボリュームを管理できるようにし、それらをDockerコンテナと同じようにポータブルにする。それは、よく使われているデータベースのほとんどと、キー-ヴァリューストア、それにメッセージキューイングサービスをサポートし、ほとんどのクラウドコンピューティングプラットホームの上で使える。近くCoreOSとCloud FoundryとMesosphereもサポートされる。

Flockerのほかに、同社はPowerstripも作っている。こちらはDockerのエクステンションのプロトタイプを作るためのツールだ。

同社は、コンテナが騒がれ始めた2013年に100万ドルのシード資金を調達した。CEOのMark Davisは前にストレージサービスのVirsto Softwareの協同ファウンダだったが、それは2013年にVMwareに買収された。ClusterHQの協同ファウンダでCTOのLuke Marsenは、TweetDeckのインフラストラクチャエンジニアだった。

Davisによると、同社のビジネスモデルはそのほかのオープンソース企業とよく似たものになるだろう、という。すなわち、いくつかの有料ツールとコンサルティングサービスの組み合わせだ。そこで今回の資金も主に、技術開発と並んで市場開拓のためにも使われる。とくに目の前の課題は、Flockerの機能の増強だ。また今後は、“コミュニティと一緒にいろんなプロジェクトに積極的に取り組んで、いずれはいくつかのパートナーシップも芽生えるだろう”、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))