Adobe MaxカンファレンスにLightroom 10登場、カラーグレーディングホィールなど新ツール多数

Adobeは10月20日に開催されたMAXカンファレンスでフォトグラファー必携の写真編集ツール、Lightroomをリニューアルした。新機能のハイライトはカラーグレーディングツールだ。これはAdobe PremiereやBlack MagicのDaVinci Resolveなどのビデオ編集ツールにある色彩調整ツールに近い。また著作権管理のための画像透かしなどの機能も追加された。クラウド版の Lightroomには複数の編集結果の自動保存機能が登場した(デスクトップ版のClassicではサポートされない)。

Adobeではこのカラーグレーディング機能を先月からテストしていた。フォトグラファーの多数が使っている人気アプリに重要な変更を加えるアップグレードだけに慎重を期したのだろう。なんといっても色調調整は写真編集のメインとなる機能の一つだ。

 

新機能は簡単に言えば従来の明暗別色補正(split toning)を強化し3種類のカラーホイールに置き換えるものだ。

AdobeのMax Wendt(マックス・ウェント)氏は今日のバーチャルイベントで「カラーグレーディングは従来の明暗別色補正の大幅な強化です。今までできたことはもちろん全てできます。既存の明暗別色補正のプリセットもすべて保存されるのでユーザーは使い慣れた明暗別色補正からスタートすることができます」と説明した。

従来の明暗別色補正はハイライトとシャドウに色調を導入するツールだ。私の印象ではこれまで明暗別色補正を利用してきたLightroom のユーザーは新しい強力なカラーホイールの使い方を理解するまでに多少の慣れが必要だろうと思う。もっとも新しいカラーホイールの方がはるかに直感的に操作可能だ。現在の明暗別色補正は複雑すぎて無視するユーザーも多かった。

カラーホィールはクラウド版の Lightroomだけでなくデスクトップ版のLightroom Classicと単独のRAW現像アプリ、Camera Rawでも利用できる。

Lightroom 10でAdobe が紹介した新機能には画像による透かしの挿入(Windows、Mac、iOS、iPadOS、Android Chrome OSをサポート)がある。これは従来の文字による透かしを強化するものだ。この機能を設定している場合、ユーザーが画像を共有ないし書き出しすると自動的に適用される。

 

Lightroomユーザーの作業を楽にしてくれる目玉は自動バージョン管理だろう(こちらもWindows、Mac、iOS、iPadOS、Android Chrome OSをサポート)。新機能は複数の編集結果を簡単に複数のプラットフォームに保存し、同期する。ユーザーは多数の編集結果を往復して見比べることができ、必要があれば編集を破棄することもできる。

 

「ベスト写真」機能はAdobe の AI システムを利用している(iOS、iPadOS、Android、Chrome OS、ウェブをサポート)。システムは露光量その他の技術的側面、フレーミングに加えて被写体が人物の場合、顔の向き、赤目やまばたきの有無などをチェックする。ユーザーはスライダーを操作してこれらの条件を厳しくしたり緩めたりすることができる。

キヤノンのカメラのユーザーには朗報があった。Lightroom Classicがライブのテザリング撮影をサポートした。ユーザーは撮影中のテザリング中の映像をライブで見ることができるようになったため複数のメンバーを含む撮影チームの共同作業が容易になる。他のメーカーのカメラも近くサポートされる。

画像:Adobe

【TechCrunch Japan編集部】AdobeサイトにLightroom 10の日本語の紹介が掲載されている。

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滑川海彦@Facebook

Adobe Lightroom、Sensei AIを利用して写真を改善――CC、Classicとも「自動設定」追加ずみ

今日(米国時間12/12)、Adobeは各種アプリでアップデートを実施した。この中には写真の現像と管理のための人気アプリ、Lightroomに対するメジャー・アップデートが含まれる。Adobeは写真の編集・調整に機械学習を利用した自動設定機能を追加した。

新しい自動設定はAdobeのSensei AIテクノロジーを用いてユーザー写真を分析し、プロが編集した似た写真(おそらくAdobe Stockの写真が含まれるのだろう)と比較して、写真を改善するために最適の編集設定を探し出すというものだ。

このアップデートは最新のLightroom CC、Lightroom CC for iOS、 Lightroom CC for Android、 Lightroom CC on the web、Lightroom Classic、 Adobe Camera Raw (ACR)で行われた〔日本語版もアップデートずみ〕。

こうしたAI利用ツールの追加は各種サービスにいっそう高度な判断機能を加えていくというAdobeの全社的戦略に合致するものだ。今年開催されたAdobe MAXカンファレンスでCTO、Abhay Parasnisは「Adobeは総合的なAIを構築することには興味がない。しかしデザインやイラストレーション、ビデオの制作にあたってクリエーティブなプロフェッショナルがどんな表現を求めているかについてわれわれには深い理解がある」と指摘した

つまりここ数十年にわたるクリエーティブな領域における知識を活用しようというのがAdobeのAIプロジェクトが目指すビジョンだという。Paransnisは「この分野で最高のアーティストが写真に適切な設定を加えるためにPhotoshopeで何時間も費やしている。しかしアーティストには他にやるべきことが多々あるはずだ。われわれは最近の深層学習の進歩を利用し、クリエーティブなプロフェッショナルの効率的なパートナーとなることを目指した」という。

Lightroomがデスクトップでの利用を中心とする従来型のLightroom Classicとクラウド中心のLightroom CCに分割されて以来、今回が最初のメジャーアップデートだ。クラウド型のLightroom CCにはこれまでトーンカーブ調整などいくつかの機能が欠けていたが、今日のアップデートでそれも解消された。これでLightroom CCは名実ともに写真処理でもっとも頻繁に使われるツールの地位を取り戻すだろう。また新しいLightroom CCには新しいフルスクリーン表示やタイムゾーンをまたいで旅行した場合、写真のタイムスタンプを自動的に調整する機能も追加された。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

iOSとAndroidでRAW HDR撮影が可能に―Lightroom Mobileが新機能追加

ポケット・フォトグラファー諸氏に朗報だ。AdobeがLightroom Mobileの最新のアップデートをしたおかげでお気に入りのスマートフォンやタブレットが一段と強力なカメラになる。 iOSとAndroid版のLightroomアプリがRAW HDRをサポートした。ただしこの機能をサポートするのは以下のようなデバイスだ。iOSではiPhone 6s以降、iPad Pro 9.7インチ、AndroidではGalaxy S7、S7 Edge、Google PixelのユーザーならさっそくRAW HDRを試すことができる。

自分のスマートフォンはもうHDR撮影をサポートしているといぶかるユーザーもいるかもしれない。しかしRAWは通常のjpgファイルに比べてはるかに多くの撮影情報を保持している。Lighroomに内蔵されている機能でスナップを3枚自動的に連写することができる。この場合1枚は適正露光、1枚はオーバー、1枚はアンダーで撮影される。

通常のjpg HDRは通常2枚しか撮影しない。またjpgファイルということは保存の際に強力な圧縮が掛けられることを意味し、大量の情報が失われる。その結果出来栄えはこの処理を反映したもの―つまり不自然になりやすい。

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ユーザーがCreative Cloudの契約者である場合、RAWファイルは自動的に出ストップに同期される。つまりiPhoneで撮った写真を後でデスクトップのLightroomで自由に編集することもできるわけだ。またRAWファイルをそのままiOSの写真アルバムに追加することができるので、必要なら他のアプリに送ったり、コンピューターにダウンロードしたりできる。つまりCreative Cloudの契約者でなくても他のアプリで編集可能だ。

モバイル版Lightroomは登場以来着実に機能を増やし、デスクトップ版の強力な補完アプリとなっている。フォトグラファーは出先で自由に編集できるので、そのつどデスクトップに縛られずにすむのは非常に便利だ。Lightroomが強化されるにつれて、プロ、マニアともにモバイル・デバイスで高品位な写真が撮れると納得するようになってきた。専用カメラを家に置いて外出する機会が増えるに違いない。

〔日本版〕フィーチャー画像は洞窟の中から海を撮ったもので極端な明暗差があるため通常では黒ツブレするか白トビする。また通常のHDRではペンキを塗ったような独特の描写になるが、この写真はかなり自然。ただしAdobeがRAW HDRをサポートしているのは記事中のデバイスのみ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Adobeが次世代型フォトエディターProject Nimbusをプレビュー、最初からクラウド生まれ

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今日(米国時間11/2)のMAXカンファレンスでAdobeは、クラウド生まれのLightroomふうフォトエディターProject Nimbusをプレビューした。それは、Adobeの従来からの旗艦製品的写真管理/編集アプリケーションから大量の複雑性を取り除いた、シンプルでスマートな(お利口な)ツールだ。まだ一般公開の予定はないが、来年にはベータが登場することだろう。

最近のAdobeは、モバイルアプリに力を入れている。多くの点でProject Nimbusは、Adobeがモバイルから学んだものの多くをデスクトップに還元したものだ、と言えよう。

同社が今日のデモで強調したのは、Nimbusが同社のそのほかのツールとシームレスに協働できることだ。画像やライブラリの形式はクラウド上のCreative Cloudスイートの仲間たちと共有できる形式であり、画像の編集は非破壊的かつ、複数のアプリケーションに反映される。Nimbusの基本設計方針のひとつが、ユーザーがデスクトップとモバイルをシームレスに行き来できること、だった。

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このツールは、Adobeの最新の機械学習サービスも利用している。たとえば、ユーザーは自分のライブラリ中の画像を、自然言語で見つけることができる。GoogleもGoogle Photosでそれをやっているが、しかしLightroomでは、それらを再び見つけるためには写真にタグを付けておく必要があった。またNimbusの写真修正ツールは、クラウド上のCreative SDKや人工知能サービスAdobe Senseiを使っている。

Adobeは、同社の今後の成長路線が、ユーザーがいろんなデバイスやアプリケーションにまたがって仕事ができるようにすることにある、と信じている。モバイルアプリではすでにそれができているが、そこで学んだクロスプラットホームの重要性を、デスクトップにも持ち帰りたいのだ。

Project Nimbusは、まだ、その位置づけがぎごちない。なぜなら、だいたいの写真編集機能はLightroomで間に合うからだ。Nimbusは(最終的に名前がどうなっても)、Lightroomの消費者バージョン、という位置づけかもしれない。しかしある部分では、Lightroom の次世代バージョンとして、長期的には古いツールに置き換わる製品、という感もある。

おっと、ややこしい話だが、Adobeにとってこれは、二度目のProject Nimbusなのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

500pxの新アプリRAWは、写真の編集だけでなくライセンス供与や仕事も仲介

500px

プロのカメラマン向け写真共有サービスの500pxは、本日新しいモバイルアプリをローンチした。このアプリは利用者の要望に応えて、編集ツールと同時に、利用者の画像を同社のカスタム写真サービスを通して外部にライセンスする機能を提供する。

同社は昨年、グローバルな写真撮影のオンデマンドサービスを一部の顧客に提供していたが、このRAWという名の新しいアプリによって、同社のより広い顧客層がそのサービスにアクセス可能になる。

アプリには、写真家がファイルをRAW形式で取り込んで編集する機能が含まれている、Adobeが自身のiOS向けLightroom Mobileアプリに対して類似の改良を発表したわずか数日後だ。新しいAdobeのアプリは、AdobeのDigital Negative (DNG)ファイル形式を使用した写真の取り込みと編集機能も提供している。

どちらのリリースも、プロの写真家によって使用されることが可能になるように、携帯電話に加えられた様々な改良点を活かすことを目指している。

生のバイ500pxなど、ライブラリ

RAW形式の写真を編集することに加えて、新しい500pxのアプリは、色相、彩度、輝度コントロール、そしてカスタムフィルタ(500pxコミュニティによって作られたものも含む)の作成と利用、などの様々な編集ツールを用意している。

編集プロセスが完了したら、ユーザーは500pxコミュニティへ自分の写真をアップロードして(ソーシャルネットワークなどへも同時に)、写真のライセンスを提供することができる。彼らはまた、自身の写真のモデルリリースを作成し、エクスポートし、添付することができる。

生のバイ500pxなど、フィルター

同社はまた、写真家が仕事を見つける手助けをするためにアプリを利用することを計画していると話している。ほどなく「アサインメント」セクションに、オプトインした写真家に対しては、近隣の写真の仕事についての通知が届くようになる。同社はすでに複数のパートナーと提携していて、そこにはAirbnb、Google、そしてLonely Planetなどが含まれている。同社は、アサインメントで800万人のユーザーとオンデマンドジョブを結びつける計画だと述べている。

アプリはiTunesで無料でダウンロードできる。

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(翻訳:Sako)

Adobe LightroomのiOSバージョンは編集結果をオリジナルのRAWにシンクできる

写真をやる人なら、AdobeのLightroomを知っているだろう。いわばそれはデジタルの暗室で、写真編集が楽にできる。とくにRAW編集では、露出、シャープネス、カラーバランスなどjpeg画像などにはない豊富な情報をきめ細かく操作できる。今回はAdobe LightroomのチームリーダーTom Hogartyが、近く出るiOSバージョンのデモをしている(Engadgetより)が、なかなかよろしいようだ。

そのLightroomのデモはThe GridのEpisode 94(13/05/02)に登場し、初期のベータバージョンをiPad 2の上で動かしている。このモバイルバージョンは、Adobeが4月にLightroom 5ベータに導入したSmartPreviews機能を使っている。それは、写真のプレビューをソースファイルに接続していなくても編集できる機能だ。編集結果は再度接続したときに元のRAWファイルに適用される。だから、iOSデバイスに巨大なファイルを載せた状態であちこち行く必要がないし、しかもモバイルデバイスの上でLightroomのデスクトップバージョンと同じ多彩なな編集作業ができる。

この、編集結果をデスクトップバージョンとシンクできる機能が、今回のiOSバージョンの最強の機能だろう。iOS用のRAWエディタはすでにいくつかあるが、業界標準ともいえるAdobe製品がAppleのモバイルデバイスに来たことは、とくにプロの写真家にとって朗報だ。リリースの日程はまだ発表されていないが、ベータの様子から見るとほぼ完成に近い状態のようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))