アップルはハイエンドなモジュラー式ノイキャンヘッドフォンを開発中か

Apple(アップル)は、人気の高いボーズやソーニ―の製品のような、オーバーイヤー式のノイズキャンセリング機能付きヘッドフォンと競合する製品を独自に開発していると、Bloomberg(ブルームバーグ)が報告している。AirPodsやAirPods Proに使われているのと同様の技術を搭載するものだという。このヘッドフォンには、パーツを交換可能なデザインも採用されているようだ。たとえば、トレーニングや長時間装着する際など、特定の用途別にカスタマイズ可能なアクセサリーを用意しているという。

この新しいヘッドフォンのプロトタイプデザインは、今年の後半に発表される可能性もある。ただしCOVID-19危機が続いているため、タイミングは定かではない。それにアップルは、いろいろな要因によって予定をあれこれ変更する傾向がある。Bloombergは「レトロな外観」になるとしている。ヘッドバンドから伸びる細いアームに、楕円形のイヤーカップが直接取り付けられたようなものだという。交換可能なパーツとしては、イヤーパッドや、ヘッドバンドのクッションがある。いずれも、磁石を利用してヘッドフォンのフレームに取り付けられるようになっているようだ。

アクティブ・ノイズキャンセル機能やタッチ式のコントロールだけでなく、Siriのサポートも内蔵している。しかしiOSとmacOSのユーザーにとって最も重要なのは、AirPodsシリーズや、アップル製Beats製品の一部のヘッドフォンと同様、複数のデバイスに対し、非常に簡単に接続できることだろう。

アップルはすでにBeatsブランドで、AirPodsと同様にノイキャン機能を内蔵し、複数デバイスへの接続性の高いヘッドフォンを、オーバーイヤータイプとオンイヤータイプの2種類発売している。Bloombergのレポートは、新しいヘッドフォンがBeatsブランドになりそうだとは言っていない。いずれにせよ、カスタマイズできるという特徴は、アップルの既存の製品には見られない新機軸と言える。

Bloombergは以前にも、アップルが、より小型のHomePodスピ−カーを製品ラインナップに加えるのではないかと報告していた。また今週公開された、FCCに対する新たな申請は、完全ワイヤレスのインイヤースポーツイヤフォン、PowerBeats Proの後継機の発売が近づいていることを示している可能性もあるという。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

ミニジャック接続も可能なAirFly ProはAirPodsのアクセサリに理想的

TwelveSouthは優秀なガジェットメーカーで、さまざまなニッチに巧みに対応するプロダクトを多数発売している。最近発売されたAirFly Pro(54.99ドル)はBluetooth経由でオーディオソースを送受信できるオーディオトランスミッターだ。3.5mmヘッドフォンジャックを備えているので利用範囲が非常に広い。

メーカーのサイトとAmazonだけでなくAppleストアでも発売されるのは理由がある。AirPods Proのアクセサリとして理想的なのだ。たとえば飛行機のエンターテインメントシステムのように有線接続しかできない場合でもAirPods Proで音楽を楽しめる。

AirFly ProはAirPods ProだけでなくBluetoothヘッドフォンならすべて接続できる。ただしノイズキャンセリングでも音質でもAirPodsで最も効果的に作動するようだ。iPhoneを利用するユーザーは機内その他有線接続のオーディオシステムに接触する機会が多いだろうから理想的だ。ただしAirFly
ProはProというだけあってさらにいくつかの便利な機能を備えている。

このプロダクトはTwelveSouthとして最初の入力、出力双方が可能なオーディオストリーミングデバイスだ。たとえばAux入力ジャックしか備えていないカーオーディオでもiPhoneから音楽を流せる。AirFly ProはBluetooth機能がないオーディオシステムでもミニジャックが接続できればBluetoothによるオーディオ信号を入力することができる。

AirFly Proにはもうひとつ、オーディオ共有という便利な機能がある。2組のヘッドフォンを接続して2人が同時に同じ音楽を聞くことができる。この機能自体は最近のiOSのアップデートによりAirPodですでにサポートされているが、AirFlyの場合はiPhoneだけでなくBluetoothヘッドフォンすべでサポートされる。カップルで旅行する場合などたいへん便利な機能だろう。

AirFly Proを実際にテストしてみたが、つくりはしっかりしており、信頼性にも問題なさそうだった。ペアリングなどの設定操作も簡単で3.5mmミニジャックのキャップにはキーチェーンリングがつけられるので携帯に便利だ。充電はUSB-C経由でUSB-A、USB-C変換ケーブルが同梱されている。内蔵バッテリーで16時間以上作動するので電源がなくてもフライト中に音楽を楽しむには十分だろう。自宅でiPadを使っている場合でもオーディオトランスミッター機能は便利だ。

TwelveSouthではAirFly Proと同時にAirFly DuoとAirFly USB-Cをリリースしている。Proとの違いはワイヤレス入力機能が省略されている点だ。ただしバッテリー作動時間は4時間長くなる。USB-Cモデルは3.5mmジャックがなくUSB-C端子のみ備えたオーディオデバイスが利用できる。これらのモデルはPro同様、2組のヘッドフォンが共有できる。Duo、USB-Cとも価格はProより5ドル安く49.99ドルだ。

【Japan編集部追記】AirFly Proは日本のアップルオンラインストアでは税別6180

原文へ

滑川海彦@Facebook

AirPods Proはワイヤレスイヤホンの価格水準を引き上げる

「この250ドル(日本では2万7800円)のイヤホンは、なかなかいい」というのは、私が新しいAirPodsを箱から出して装着してみた直後に同僚に伝えたメッセージだ。ニューヨーク市の歩道、地下鉄の中、それからいくつかのカフェで試した後も、その第一印象はまったく変わらなかった。

もう少し言葉を付け加えるなら、これはかなり快適だ。私は、これまでにさまざまなBluetoothイヤホンを使ってきた。それは私の仕事の約得のようなもの。その中でも、不可解な複数形を含む名前を別にすれば、AirPods Proがたぶん最も快適だった。唯一の例外があるとすれば、それはApple(アップル)の子会社のBeatsが販売しているBeats Powerbeats Proくらいだろう。ただしPowerbeats Proは、もっと多くのプラスチック部品を使用した、完全なオーバーイヤーフック型として、独自の装着感を実現している。

関連記事:アップルがワイヤレスイヤフォンのAirPods Proを発表、ノイキャン機能搭載

新しいAirPodsは、耳に差し込むだけで快適にフィットする。いろいろなタイプのイヤフォンを試して、どれもしっくりこなかったという人にとっては朗報だ。そういう人も少なからずいるだろう。もちろん、人の耳は2つと同じ形のものがない、美しい雪の結晶のようなものであり、誰でも同じ体験が味わえるというわけではない。とはいえアップルは、オリジナルのAirPodsに対して寄せられたさまざまな苦情を基に、それらを解消するための多くの修正を盛り込んできた。より人間工学的なデザインを採用するとともに、ついにシリコン製のイヤーチップを採用するという妥協に踏み切ったのだ。

なぜ、これまでずっとアップルは、イヤーチップの採用を見送ってきたのか。私には理解できないが、同社もようやく自らの判断で採用を決めたのだ。AirPods Proには、スモール、ミディアム、ラージという3種類のイヤーチップが2個ずつ、合計6個付属している。購入時にはミディアムが装着されている。しかし、これらは標準的な形状のシリコンチップではない。それでも強く引っ張れば外れる。イヤホン本体と噛み合う部分は固くなっている。

アップルによれば、このような独自形状のイヤーチップによって、優れたフィット感が得られるという。もう1つの利点は、本体との結合が、より強固なものになること。これは間違いなく重要だ。私も、ニューヨークの歩道にイヤホンのイヤーチップを、うっかり落としてしまったことがある。これなら、ポケットから取り出すときにも、外れてしまう可能性がずっと低くなる。もし紛失してしまったとしても、アップルはおそらく1ドル程度でスペアを販売することになるだろう。

イヤホンの耳に入る部分は大きくなったのに対し、軸の部分は短くなったことに気付くだろう。これはアップルが、より多くの電子部品を上部に集約できるようになったから。軸は、イヤホンを手で持つための部分として残っている。また、軸にはハプティクボタンも内蔵しており、従来のAirPodsのタップ操作を置き換えている。軸を強めにつまむようにすると、わずかなクリック音を発して応答する。

標準設定では、1回つまむとトラックの再生/停止が可能だ。長押しすると、アクティブ・ノイズキャンセリングモードと、外部音取り込みモードが切り替わる。これらの設定は、iOS(またはiPadOS)13.2がインストールしてあるデバイスで変更可能だ。iOSデバイスとのペアリングは相変わらず簡単で、iPhoneまたはiPadの近くでケースのフタを開くだけ。Androidデバイスやデスクトップ機とは、通常のBluetooth機器と同じ手順でペアリングできる。

設定は、「設定」→「Bluetooth」の順にタップして、AirPods Proのアイコンの横にある「i」をタップする。そこからは、「ノイズコントロール」モードを切り替えたり、左右のAirPodsのボタンに、それぞれ異なる機能を割り当てたり、「イヤーチップ装着状態テスト」を起動したりすることができる。 このテストでは、再生ボタンを押すと、音漏れをテストするための短い音楽が再生される。適切なイヤーチップを装着していれば、「密閉されています」と表示される。何か問題がある場合には、「イヤーチップを調整するか、ほかのチップにしてください」と表示されるので、指示に従う。

人によって耳の形が異なるのはもちろん、一人の人間でも右と左で差がある場合もある。私の場合は、箱から取り出したまま、つまり標準のミディアムのチップでうまくフィットした。それは私の場合であって、私の耳が標準的ということだろう。当然ながら、人によって結果は異なる。

AirPods Proの音質は素晴らしい。私がこれまでに試した中で、最高の音質のイヤフォンの1つと言える。同じ価格帯のソニーWF-1000XM3と同等のレベルだ。この2つは特に抜きん出ている。Echo Budsとは異なり「設定」でレベルを調整することはできないが、AirPods Proは、まざまなジャンルの音楽に合うように、標準状態でうまくチューニングされている。いろいろと試してみるために、これまでのところ、坂本龍一、Danny Brown、The Hold Steady、Electric Youth、Sunn 0)))などを聴いてみた。どれも豊かで充実したサウンドを再生し、250ドルのイヤフォンに期待できるレベルには十分到達している。

ノイズキャンセリング性能も、ソニーと同等レベル。Appleは、オーバーイヤータイプのBeatsのヘッドフォンと同様の適応性を実現している。つまり、常にマイクで周囲の音をモニターし、それに応じて調整を加えている。オーバーイヤータイプのヘッドフォンのような、完全な遮断効果が得られるわけではないが、密閉度が高いので、必要に応じて周囲の音をかき消すのには、非常に優れた効果を発揮する。

周囲に注意を払う必要がある場合には、外部音取り込みモードを利用すればいい。内蔵マイクが周囲の音を拾ってくれる。このモードでは、再生中の音楽を完全に消音してしまうことなく、ほどよいバランスで、環境音とミックスしてくれる。この点に関して、Echo Budsでは問題があると感じていた。エアコンのノイズのようなものまで増幅してしまう。繰り返しになるが、Echo Budsのようにレベルを調整するのではなく、外部音取り込みモードをオン/オフすればいいのだ。

ちょっと余談になるが、AirBuds Proは、前のモデルと同様、イヤフォンを着けたまま人と話ができるという点で、もしかすると社会規範を変えていく可能性がある。こうしたことを見ると、私としては、今日の子供たちにアンディ・ルーニー(Andy Rooney、米国の辛口のコメンテーター)のような態度で接したいと思ってしまうのだが。

ノイズキャンセリングも、外部音取り込みモードも、同様にバッテリーの持続時間をじゃっかん短くする。それらがオフの状態では5時間連続再生できるところが、オンでは30分ほど短くなる。充電ケースを利用した場合、ノイキャンも外部音取り込みもオフの状態なら、Appleは24時間使えるとしている。来週初めに飛行機でアジアに行く際には、これを限界まで試してみようと、今からワクワクしている。快適さについてもテストしたい。今日も、今のところ数時間使っているが、すべて良好だ。

ケースはオリジナルのAirPodsより、じゃっかん大きめ。それでもBeatsやSonyの製品ほどではなく、ポケットに入れて普通に持ち運びできる。縦横の比率は入れ替わっている。今回のものは、長さよりも幅の方が広い。AirPods本体の軸部分が短くなったからだ。新しいデザインでは、ケースにしまうのが、やや難しくなっている。とはいえ、2、3回試してみれば、すぐに理解できるだろう。

AirPods 2と同様、ケースはLightningポート経由でも、ワイヤレスでも充電できる。充電中にケースをタップすると、LEDが点灯する。黄色または緑色に光って、充電状況を表示する。

そう、半日も使っていれば、魅了されてしまう。そこには、何の不思議もない。250ドルという価格は、高すぎると感じる人も多いだろう。しかし、2、3時間も使っていれば、もう手放すのが難しくなる。

近いうちに、もう少し長いレビューを掲載予定だ。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)