iPhone 8のカメラには、A11 Bionicという新しいチップが載っていて、それは6-coreチップを上回るパワーを秘めているが、今日(米国時間9/12)の発表でいちばん重要なのは、たぶんそこではない。
AppleがiPhone 8に載せたのは、独自に設計したGPUなのだ。GPUの、大量のコアの配列を動員する高速かつ強力な計算力は、自然言語処理や画像認識など機械学習のタスクにうってつけだ。ハイスペックなGPUはもちろんゲームにも向いているが、デバイスの配列をベースにしてSiriのエコシステムに人びとを閉じ込めたいAppleにとっても、これ〔カスタムGPU〕は大きな一歩だ。
ここまでの道も、長かった。4月には、AppleがiPhone用の独自のGPUを設計している、と囁(ささや)く声があった。機械学習のためにカスタムハードウェアやGPUを作って、ハードウェアをそのニーズに向けて最適化しようとしているのは、Appleだけでなない。しかしAppleにとっては、Siriとカメラと今後の機械学習ツールのために最適化されたツールを作ることが目的だ。
それにまたこれは、拡張現実におけるAppleの取り組みにとっても重要だ。デベロッパーには、拡張現実を開発するためのツールを提供して彼らの気を引きたい。またスマートフォンが高品質な消費者体験をサポートして、その魅力を一層高めれば、それもより多くのデベロッパーの心を捉える。
一方A11 Bionicの重要な特長は、下図に‘表示’されている:
Appleは通常、スマートフォンのアプリやそれが取り扱うプロセスの高度化ニーズに対応して、プロセッサーの高速化と効率化に努めてきた。でも今回独自のGPUを使うようになったことは、長年その部分を独り占めしてきたNvidiaを袖にすることだから、重大事件だ。しかもそれは今後、デベロッパーにとっても重要な意味を持つ。
今回本誌TechCrunchは、iPhoneイベントの記事やライブブログがめちゃめちゃ多いから、ぜひお楽しみいただきたい。