アップルのAppStoreと30%の手数料は独占禁止法違反?米最高裁にて審議がスタート

eng-logo-201511月26日(米現地時間)、米最高裁にてアップルのAppStoreとアプリ価格の30%もの手数料が独占禁止法違反に当たるか否かを審議する一環として、口頭弁論が行われることが報じられています。

今回の審議は、すでに今年6月に実施が決まっていたもの。議論の入り口は、まず「原告の消費者団体が、独占禁止法によりアップルを訴えられるのか」という当事者適格が問われることになります。

2008年のサービス開始以来、アップルはAppStore以外でのアプリ配信を認めていません。これが独占禁止法違反に当たるとして、初めて訴訟が提起されたのが2011年のこと。原告はアップルがアプリ販売価格の30%もの手数料を徴収していることを、独占権の行使だと主張しています。

2013年にはカリフォルニア州の連邦裁判所は、独占禁止法には当たらないとして訴えを棄却。そして昨年、サンフランシスコの第9巡回控訴裁判所が判決を覆し、アップルが独占禁止法に抵触しているとの判断を下しました。さらにアップルが訴訟の棄却を求めて上訴した結果が、今回の最高裁での審議というわけです。

そもそもアップルが「原告である消費者団体が、独占禁止法に基づいて訴えることができない」と主張する根拠は、1977年の米最高裁によるイリノイ・ブリック判例(Illinois Brick Doctrine)です。

米Reutersによれば、判例に基づくアップルの主張は「独占禁止法違反による損害賠償の訴える原告適格は、直接に代金を支払った者に限られており、間接的に負担した者は含まれない」とのこと。

これは要するに「アップルは開発者を代理してアプリを販売しているが、自らがアプリを買い取って再販売しているのではない」ということです。アップルが徴収した手数料がアプリ価格に上乗せされたとしても、あくまで消費者は開発者からアプリを買っている…..という論理となります。

アップルは、こうした訴訟が米国内で年間数億ドルもの電子商取引を脅かす可能性があるとコメント。さらにトランプ大統領もアップルを支持していることに加えて、全米商工会議所も「訴訟のリスクとコストの増加は、技術革新を減速させ、商取引を阻害し、開発者や小売業者、消費者にダメージをもたらすだろう」との声明を発表しています。

このためアップルが敗訴する可能性は低いと思われますが、今回の訴訟が一部の動きに限られるのか、全世界に渦巻く不満の中で氷山の一角に過ぎないのかは不明です。

2016年にはAppStoreの月額課金制に関して手数料のルールが改訂されましたが、今回の訴訟がアップルのビジネスモデルに及ぼす影響を見守っていきたいところです。

Engadget 日本版からの転載。

AmazonのAppstoreでデベロッパはHTML5のWebアプリケーションを売れるようになった

Amazonが今日(米国時間1/28)、同社のAppstoreのポリシーの変更を発表した。それによるとこれからは、デベロッパは自分が作ったHTML5アプリケーション(Webアプリケーション)に、ネイティブのアプリケーションと同じく値段をつけて売れるようになる。それまではHTML5アプリケーションはすべて、自動的に“無料”のアプリケーションとしてAppstoreに載った。そのためデベロッパのやる気をそぎ、将来的には尻すぼみになるかもしれなかった。

Amazonは今年の8月に、Appstoreの門戸をHTML5アプリケーションに対しても開き、それらのWebアプリケーションやモバイルサイトをアプリ化して、Androidスマートフォンやタブレットだけでなく、Kindle Fireなどからでもダウンロードできるようにした。

デベロッパがこのオプションを利用すると、自分はまったくネイティブアプリの開発をしなくてすむ。WebアプリケーションのURLをAmazonに教えてやると、アプリへの変換とパッケージング、必要なメタデータの添付(画像、プロダクトの説明など)などのすべてをAmazonがやってくれる。

Amazonとしてはそれは、Appstoreの成長策のつもりだ。多くのデベロッパが今でも、先にiOSバージョンから開発を開始するが、しかし同時に彼らは、応答性の良いWebサイトをAndroidの上で(アプリとして)動かしたいと願っている。

一般消費者にとっては最近ますます、ネイティブティアプリケーション/アプリとHTML5アプリケーションの区別が困難になっている。また両者はAppstoreの上で同一のリストに載っているから、どれがネイティブでどれがHTML5かも分からない。今後自分のWebアプリケーションをAmazonのオプションを利用してアプリ化するデベロッパが増えれば、全体的にもAndroidへ流れるデベロッパが急増するだろう。

ただし今日の発表でAmazonは、今あるHTML5アプリケーションの数を明かしていない。それは、まだそんなに多くない、という意味か。Amazonに問い合わせたが、数は発表しない、という答が返ってきた。

今度のポリシー変更で、HTML5のデベロッパが自分のアプリケーションを売れるようになっただけでなく、AmazonのFree App of the Day(FAD)(今日の無料アプリ)プロモーションに参加して露出度を上げ、トラフィックとダウンロードを稼げる。iTunes App Storeのやり方と同じだ。

FADプロモーションに選ばれたアプリは、モバイルデバイスやKindle FireやAmazonのGold Box Best Dealsページの上で目立つようになり、FacebookやTwitterでも言及されるようになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


クリスマスにモバイルアプリケーションのダウンロード数が増加する傾向に歯止め?!

広告プラットフォームを運営し、モバイル分析も行っているFlurryから、2013年クリスマス近辺のアプリケーションダウンロード動向についての年次レポートがリリースされた。例年のように、やはりクリスマスのアプリケーションダウンロード数は大幅に増加している。プレゼントにもらったiPadを開封して、そしてソフトウェアをダウンロードするという振る舞いがあちこちで行われているわけだ。但し、「クリスマスといえばアプリケーション」という動きは、徐々に落ち着きを見せ始めるのかもしれないという数値も出ているのだそうだ。

アプリケーションのダウンロード数で見ると、今年も過去最高を達成し、そしてクリスマス当日のダウンロード数も2012年比で11%の伸びとなった。しかしこの数字、ここ数年の伸び率に比べると大いに減ってしまっているのだ。たとえば2011年と2012年を比較すると、クリスマスのダウンロード数は90%の増加となっていた。また12月全体で見ても、2011年に比べて2012年は97%増となっている。しかし今年は、クリスマス当日についてはさきほどの通り11%。12月全体で見ても25%という数値になっているのだ。

Flurryは、数値的な減少傾向を、先進国におけるスマートフォンおよびタブレット市場が成熟期に入っていることによるものだと結論づけている。「飽和」しているという言葉は使っていないが、スマートフォンやタブレットが世に出てきてそれなりの年月が経過している。しかも毎年毎年、かなりの数が販売されてきた。そうであってみれば、今後の市場成長見通しについて、懐疑的になるむきもある。

クリスマス当日のダウンロード数と、12月中クリスマス前のダウンロード数を比べると、クリスマス当日のダウンロード数が91%の増加を示している。やはりプレゼントが貰える日は、皆が喜んでアプリケーションをダウンロードしているのだ。但しこれも「落ち着き」が見られる状況ではあるようだ。すなわち2011年や2012年においては、クリスマス当日のダウンロード数は通常の日の2倍以上になっていたのだ。今年はこの指標に届かなかったということになる。

ダウンロード数の変化が落ち着きつつあるというデータが、すなわちスマートフォン市場が停滞しつつあるということを意味するものではない。クリスマス当日のダウンロード数が思ったほどに増加しないのも、これはスマートフォンがより日用品化していることの現れであるとみることもできる。アプリケーションストアも生活の一部に入り込んでいるのだとみる見方だ。以前はプレゼントしてもらって、説明を受けながらアプリケーションをダウンロードして試してみるという人も多かった。しかし今ではいつでも自分でアプリケーションを購入するというスタイルが広まっていると見ることもできる。新しいデバイスがアクティベートされるのは、やはりクリスマスが多いようだ。しかしこちらでも普段の日との差は縮まりつつある。

ディベロッパー側の話とすれば、ホリデー期間に価格を下げるなどのセールスを行うことの有効性は間違いないと思われる。しかし大幅な値下げを行って、販売額の低下を量で補おうという考えはうまくいかなくなりつつあるのかもしれない。この傾向が続いて、クリスマスといえども普通の日と変わらないというところまでいくのか、それとも、普段の日との差は小さくなりつつも、それでもクリスマスのダウンロード数は他の日を凌ぎ続けるのかどうか、これから数年はデータを楽しみにみていきたいと思う。

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(翻訳:Maeda, H


デベロッパが自分のアプリの利用状況をチェックできるApp Engagement ReportsをAmazon Appstoreが提供

モバイルアプリのデベロッパ向けに数々のサービスを連射しているAmazonが今日(米国時間5/24)は、App Engagement Reportsを発表した。これは、アプリの利用状況を報告する無料のアプリケーションで、今度から同社のMobile App Distribution Portalに含まれることになる。Amazon Appstoreのデベロッパがアプリのパフォーマンスや売上などに関する情報を知りたいときに、このアプリケーションを使う。

同社の発表時の説明によると、このレポートには、各日各月のアクティブデバイス数、アプリのインストール数、アプリの実動セッション数、デバイス一台あたりの平均売上、ユーザ保持率(リテンションレート)などの数値データがあり、それをマーケットプレース別にフィルタしてチャート形式で見たり、CSVでダウンロードしたりできる。また期間を区切って時系列でデータを見ることもできる。

提供されるEngagement Reports(エンゲージメントレポート)は、次の6種類だ:

  • 概要: あなたのアプリやゲームの主な利用状況データ
  • 平均売上: アプリ内アイテムのデバイス一台あたり各日各月平均売上(Average Revenue per Device, ARPD)と有料ユーザ一人当たり平均売上(Average Revenue per Paid User, ARPPU)
  • リテンション(ユーザ保持率): 1日3日7日の日別保持率と1週2週3週の週別保持率
  • アクティブデバイス数: 各日アクティブデバイス(Daily Active Devices, DAD)、各月アクティブデバイス(Monthly Active Devices, MAD)、スティッキーファクター(Sticky Factor(DAD/MAD), 継続率)
  • アプリ実動セッション: 各日総セッション数とデバイス一台当たり平均セッション数
  • アプリのインストール: 各日インストール数とアンインストール数

当面、レポートが得られるのは2012年10月25日以降に提出したアプリのみだ。それ以降に更新のないデベロッパは、アプリを再パブリッシュするかアップデートを提出して、レポート機能を有効にする必要がある。ただしアプリのコードに変更は必要なく、ほかのソフトウェアを統合する必要もない。

Amazon Appstoreのアプリの最新バージョンの、一般的なAndroidデバイス上での使用状況のほかに、Kindle FireやFire HDなどAmazonのデバイスで動くアプリもレポートに含まれる。

アプリの売上や利用状況に関するデータはAmazonのAppstoreにかぎらず、マーケットプレースサービスが提供するサービスの一環としてきわめて重要だから、Google PlayストアやAppleのiTunesではすでに標準の機能になっている。多くのデベロッパがサードパーティのSDKを統合して詳細なレポートを得ているが、だからAmazon自身が提供しなくもてよい、ということにはならない。Amazonはこの機能について、“デベロッパからのリクエストがとても多かった”、と言っているが、なにしろマーケットプレースが必ず持つべき機能の一つだ。

このEngagement Reportsの提供の前にも、AmazonはAppstoreの機能増強に努めている。そのグローバル展開だけではなく、アプリ内決済、サブスクリプション(会費制)、そしてAmazon独自の仮想通貨Amazon Coinsまで導入してきた。いずれも、デベロッパの収益性を高めるための布陣だ。

デベロッパにはこういう機能を実験しているひまが、なかなかなかったが、でもARPU(ユーザ一人当たり平均売上)やリテンション(保持率)などは、アプリの今後の改良の強力な動機を導くデータだから、必ずレポートを見るという習慣をつけた方が良い。

レポートの項目の詳細については、ここに説明がある。またEngagement ReportsのFAQには、いろいろと具体的な質問とそれらへの答えが載っている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))