現実空間をホロデッキにしてしまう仮想現実ゲームプラットホーム, SulonのCortexがデベロッパキットを予約受付

仮想現実(virtual reality, VR)は必ず未来のゲームの一部になるだろう。そこでトロントのSulon Technologiesはサンフランシスコで行われたGDC(Game Developer’s Conference)で、彼ら独自のVR技術を披露した。彼らがCortexと名づけたゲームプラットホームは完全にイマーシブな(immersive, 没入型の)ゲーム体験を提供し、そのためにどんな物理空間でもホロデッキ変えてしまう。使うものは、空間スキャナと処理ユニットと専用バイザーで、バイザーをスマートフォンにつなぐと眼前に立体像が映し出される。

同社は今朝(米国時間3/19)から、開発キットの予約受付を開始しており、デベロッパ向けのハードウェアの発売は今年の最終四半期を予定している。Oculus Riftなどとの最大の違いは、AR/VRの像だけでなく、プレーヤーのまわりの実際の物理環境をゲームに利用することだ。そしてそのために、プレーヤーのスマートフォンをCortexの処理ユニットにBluetoothでつなぎ、画像をバイザーに表示する。

バイザー(を着けたプレーヤー)との通信はワイヤレスなので、自由に歩き回れる。Sulon Cortexの初期のバージョン(当時はGVXと呼ばれた)のアクションを下のビデオで視られる。デベロッパはまわりの現実空間を大々的に利用できるし、あるいは最小限だけ利用してもよい。また、Oculusなどのように、完全な仮想現実にしてもよい。バイザーを着けたプレーヤーの視界は、本人の動きで変わる。場所や方角だけでなく、姿勢(屈み込むなど)も視界に反映される。

仕掛けが大げさなわりには、スマートフォンなど既存のデバイスを使うので、そんなに高価にはならないし、デベロッパもとっつきやすいはずだ、とSulon Techは言っている。今はAndroidだけだが、近いうちにiOSにも対応する予定だ。

リアルとバーチャルのハイブリッド、そしてホロデッキが提供する充実した対話性が、何か大きな可能性を感じさせる。今後の最大の課題は、これらの仕掛けを、シンプルですっきりとした(そしてトラブルや故障などのない)消費者製品に仕上げることだ。またもちろん、発売初期のタイトルの充実も重要。今のベータテストの現状から、そこまでの道のりは、相当長いと思われる。じっくりと、見守りたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


営業がiPadで持ち歩く3D電子カタログをAR(拡張現実)化するAugment…大きな家具などに好適

拡張現実(augmented reality, AR)が登場してからしばらく経つが、Augmentはそれで稼ぐことをねらっている。同社が今日(米国時間8/30)リリースしたBusiness Catalogは、営業マン/ウーマンのためのツールだ。月額30ドルの使用料を払うと、いつも持ち歩いているカタログをすべてAR化してiPadに収め、客先の“現実”(部屋など)の中で似合う・似合わないなどを見てもらえる(下図)。このやり方はとくに、家具や雑貨、美術品などに向いているだろう。

協同ファウンダでCEOのJean-François Chianettaによれば、“うちより強いのは、お客の家で必ず実物を見せる営業だね”、という。“うちのプラットホームを使えば、(既製のアプリで作った)3Dモデルをほんの数分で拡張現実のオブジェクトとしてアップロードできる”。

今では3D化したカタログをスマートフォンやタブレットで持ち歩く営業は多い。実機にダウンロード済みだから、ネット接続は要らない。ただしそんなサービスも、無料アカウントでは限られた数の品物しか見せられないことが多いし、ネットに接続してないと使えないサービスもある。そんな3D電子カタログのAR化は、たぶん今回が初めてだ。

Business Catalogの有料バージョンはこれまでの2か月ベータをやっていて、3000人あまりのユーザが試用した。しかし今週からは、正規に有料制で一般公開される。

Augmentを利用するのはどんな企業か、と聞くと、その答えは単純明解だ。“今すでに3Dモデルを使っているところだね”、と協同ファウンダでCMOのMickaël Jordanは言う。“Augmentがサポートするファイルタイプは、3ds MaxとMayaとSketchUpの三種だ”。

Curioosは、デジタルアートの販売にAugmentを利用している。お客はそれ(ARオブジェクト)を見て、自分の部屋に合うサイズを注文したり、部屋のどこに飾るのがベストか、検討できる。

Augmentのビジネスには、別の側面もある。それは、ARを利用する広告キャンペーンだ。たとえばスーパーマーケットの一角で発売直後のDVDの宣伝販売をやるとすると、そこでARを使って、お客が人気スターと一緒に並んで立っている写真を撮ってあげられる。そのスターの像はもちろん、Augmentのアプリにより3D化されている。ふつう、こういうキャンペーンをやろうとすると広告代理店にでかい仕事を発注することになるが、Augmentを使えばとても簡単にできる。

このフランスのスタートアップは4月に、複数のエンジェルから30万ドル(22万ユーロ)を調達した。数か月後に、また新たな資金調達を予定している。今すでに黒字だから、VCたちにとっては魅力的な企業だろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


iPhone用3D撮影アダプタPoppyがゲーム機に変身, 今デベロッパたちがARゲームに挑戦中

Poppyを覚えてるかな? そう、あのデバイス、今やKickstarterに出てるけど、iPhoneを使って3Dの写真やビデオを撮ったり見たりできるやつさ。デジタル時代のViewmaster、とでも呼ぼうか。

同社がKickstarterに出たことを初めて記事にしてから、その後いろんなことが起きた。出資支援者は2500名近くになり、目標額40000ドルに対して15万ドルが集まった。色が白でやや高価なバージョンも発表された…ファッションを気にする人向けかな。

資金募集が大成功したPoppyは、その製品を使ってできる、そのほかのことを考える余裕ができた。3Dの写真やビデオを撮って見るだけでなく、お客さんに3Dのゲームも提供できるのではないか。そこで、ゲームデベロッパたちにその辺をお願いすることにした。

ファウンダのJoe HeitzebergとEthan Lowryは、Poppyで拡張現実(augmented reality, AR)や仮想現実(virtual reality, VR)のゲームができるのではないか、と考えている。目を着けたのが、撮影時に使うビューファインダーだ。そこから覗く像に、ARの層をかぶせられるだろう。ゲームのコントローラは? iPhoneの上部にあるボリュームボタンを、コントローラとして使えるのではないか。Heitzebergは曰く、わずか49ドルだから、さしずめ貧乏人のOcculus Riftだ。カジュアルゲームなら、これで十分。

しかも、このデバイスには、ゲームの開発は無理と言えるほどの障壁はない。特殊なAPIとかもない。要するに二つの画像がビューファインダの中で重なれば3DやARになる、ということだけ意識すればよい。

デベロッパたちに無料でどんどん貸し出して、いろいろテストしてもらうのもよいだろう。資金集めに成功した今は、製造に専念することになるから、発売は今年のクリスマス商戦に間に合う。

Kickstarterの締切り日まではあと一週間ある。一台欲しければ、ここへ行くべし。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


colARは驚異的なAR―子供の塗り絵がiPad/Androidタブレットから飛び出してスーパーリアルに動き出す

もっと早くこの記事を書きたかったのだが、ようやく時間がとれた。このアプリはすごい。

colARは塗り絵帳だが、まさに未来の塗り絵帳だ。伝統的な塗り絵とAR〔拡張現実〕テクノロジーを融合させて、子供(いや大人でも)の絵を魔法のようにフル3Dのアニメに変えててみせる。

ライターが仕事だからこの後もあれこれ説明するが、実は下のビデオさえ見てもらったら言葉はいらなかいくらいだ(BGMはちょっとダサいが)。

colARのアプリは無料で、塗り絵1枚がついてくる(将来は追加の塗り絵は有料になるらしいが、7月28日まではすべて無料)。つまり3D化できるのは、colARがあらかじめ用意した塗り絵パターンに限られる(いくらなんでもユーザーが描いた任意の絵をいきなり3Dアニメ化するのは無理だ)。

パソコンでcolARのサイトを訪問して好みの塗り絵をプリントアウトする。昔使った12色の色鉛筆の箱を探してきて好きなように色を塗る。もちろんマーカーやクレヨンでもよい。

塗り絵が完成したらアプリを開いてPlayボタンを押す。するとタブレットのカメラが起動する。カメラで塗り絵を写すと、なんと、動き出すではないか! 描いた塗り絵が3Dアニメなっている。塗り絵の鳥が3次元モデルになって歩きまわり、虫をついばむ。飛行機だったら雲の間をびゅんびゅん飛ぶ。

実は私自身、以前ちょっとしたARおもちゃを開発したことがある。しかしcolARはダントツで優秀だ。ARの使い方もうまい。つまりARを使わなければまず不可能な現象を見せることに成功している。感心した。

テクノロジーとしては、3DレンダリングにはUnityのエンジン、画像認識にはQualcomm’s Vuforiaフレームワークを使っているようだ。

アプリはiOS App StoreGoogle Playストアで公開されている。どちらも無料だ。

(今日は記事の数が少ないな、と感じたら、それはTechCrunchのスタッフが塗り絵に夢中になっているせいかもしれない。)

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Canon、プロのデザイナー向け混合ARシステム、MREALをリリース―超リアルなプロトタイピングが可能に

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今日、Canon〔アメリカ法人〕は混合拡張現実システム、 MREALをリリースした。ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザーは周囲の現実の中に3次元の仮想物体を置いて観察するることができる。デザイナーにとってはまさに夢の実現だ。

ARは一般ユーザー向けの応用としてはまだこれといって目立った成果を挙げていないが、工業デザインの分野では画期的な飛躍となるかもしれない。CanonのMREALの価格は12万5000ドルで、当然プロの使用を前提としている。

MREALのヘッドセットはGoogle Glassのように軽量で洒落たデザインではない。透過式で情報を表示するのではなく、ヘッドセットに装備されたカメラで正面の映像を取り込み、その上にバーチャル物体を重ねて表示するようコンピュータが処理する。バイザー内には2台のディスプレイがあり、リアルタイムで3D動画ストリームが表示される。Glassのように長時間装着することを前提にしたシステムではない。しかし極めて高精細度の3D動画で、現実の周囲の状況に重ねて仮想物体を見ることができる。たとえば自動車デザイナーはショールームに置かれた車体がその照明の下でどのように見えるか限りなくリアルに体験できる。〔キヤノンのMRシステムの紹介ページ

20130221_hiRes_3dcardemo本体12万5000ドル、プラス年間2万5000ドルのメンテナンス料金では一般人が気軽に買うというわけにはいかないが、プロのデザインのあらゆる分野に大きなインパクを与えそうだ。デザイナーやエンジニアが用いるのはもちろん、開発中の製品に対する消費者の反応を得るためにも大いに役立つ。また発明家が投資家に対して「完成すればこうなる」とアイディアを売り込む際にも威力を発揮しそうだ。もちろんiPhoneのケースを作るというならこんな高価なシステムを使っては引き合わないだろうが、Lit Motorsのように次世代電気自動車を開発しているなら、十分に合理的な投資といえる。

GoogleがGlassを発表したインパクトでサードパーティーが眼鏡タイプの情報デバイスの開発を始めたのと同様、Canonのような世界的有名企業からこうした画期的システムがリリースされたことは、ステートアップが似たような機能でもっと安価なソリューションを探し始めるきっかけになるに違いない。ARが小規模なビジネスでも利用できるような価格になることを期待したい。

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