Visual Studio 2013の三度目のアップデートではGitベースの開発をより優遇、Azureの統合も充実

MicrosoftVisual Studioは、だいたい二年ごとにニューバージョン、あいだにサービスパック、というパターンを守ってきたが、しかしVisual Studio 2013以降は、アップデートのペースが早くなった。そして今日Microsoftは、Visual StudioとTeam Foundation Server 2013の三度目のアップデートリリースした。前回のアップデートはVisual Studioのクロスプラットホームな開発機能の強化が中心だったが、今日のローンチはIDE本体の機能に力が向けられたようだ。

このリリースでデベロッパに喜ばれそうな機能は、CodeLensがGitのリポジトリをサポートしたことだろう(Visual Studio Ultimateのユーザの場合)。MicrosoftはこのところGitとVisual Studioの統合に邁進してきたが、これもまたその一つだ。CodeLensはIDEの中で、目の前のコードに関する情報(この関数はほかにどこで使われたか?最後にそれをエディットしたのは誰か?などなど)を見せてくれる。これまでそれは、MicrosoftのTeam Foundation Serverと一緒でないと使えなかったが、今度からはGitベースのシステムを使っているときでも、そんな情報が得られる。


Visual Studioのこの三度目のアップデートでは、診断ツールの充実も図られた。たとえば、アプリケーションのCPUとメモリ利用を追跡するツールがアップデートされた。また、すでに展開されているアプリケーションをモニタリングするための新しいツールApplication InsightsがVisual Studio本体に組み込まれ、ユーザが今何をやっているかを見ながらコードの問題を診断できるようになった。

Azureの機能…Push Notifications(プッシュ通知)やAzure Mobile Serviceなどを使うためのツールも提供される。たとえばプッシュ通知のアップデートにより、Visual Studioの中からデバイスの登録を管理できるようになった。これはとくに、開発フェーズにおいて重宝するだろう。

プロジェクトでAzure Mobile Serviceを利用することも、容易になった。そのほかのAzure関連のアップデートとしては、32ビットの仮想マシンをリモートでデバッグする、ストレージのアクティビティログをチェックする、Azure上のストレージをリードオンリーに設定するなどを、アップデートされたAzure SDKによりVisual Studioからできるようになった。

例によって、今回のアップデートも機能山盛りで、新たなdevopsツール、ASP.NETのアップデート、ハイブリッドアプリケーションを書くデベロッパのための新機能、などなどもある。機能の完全なリストは、ここにある。

おっと、それから、Visual Studio 2013ではすべてのメニューが大文字なのが嫌だった人、あなたの苦悩もやっと終わりだ。この三度目のアップデートでは、メニューにタイトル書体を使えるようになった。人によっては、これだけでもアップデートする十分な動機になるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Microsoft、パートナー・カンファレンスでクラウド戦略を説明―「未来ではなく今の話だ」と強調

今朝(米国時間7/14)、Windowsパートナー・カンファレンスMicrosoftは会場のクライアントに向かって多様なクラウド・サービスを利益と顧客を増加させる有力な手段であると説明し、「クラウドは未来の話ではない。現在の話だ」と強調した。

今回のMicrosoftのプレゼンでは、市場の支配者というより、むしろ古い市場を捨てて新しい市場のシェアを獲得しようとする新参の反逆者のような表現が注目された。

ハードウェア

COOのKevin Turnerは「パソコンのエコシステムは依然として3億台の規模だ。Microsoftはそのうちの90%のシェアを握っている。しかしモバイルを含めた全デバイス市場ではわれわれのシェアはそれよりはるかに小さく、14%に過ぎない。現在Microsoftが全力を挙げているのが、このより広いデバイス市場でのシェアを獲得することだ」と述べた。

Turnerはさらに「90%のシェアを握っている場合、その姿勢は守りになる。しかし14%のシェアしか持っていない場合、ものの見方は少々変わってくる」と指摘した。

カンファレンスの全体を通じてMicrosoftは新しいデバイス、サービスに関するアグレッシブな姿勢を貫いた。プレゼンではSurface Pro 3、Windows Phone、OEMのWindowsタブレットなどのモバイルデバイス、Office 365、CRMツール、Sharepoint、Windows Azureなどのクラウドベースのソフトウェアが終始強調された。

ソフトウェア

TechCrunchが1年近く前に指摘したように、クラウド化、サービス化にともなってMicrosoftのビジネス構造には大きな重心の変化が起きている。Turnerによれば、Sharepointの売上は20億ドルに達しており、Office 365は「われわれの商用プロダクト中で最速の成長ぶりを示している」という。またAzureは2014年度に入って新たに4万2000のユーザーを獲得し、現在毎日1000件の新規契約があるという。

Turnerは「この変革への対応な容易なことではない」と認めた。たとえば「9インチ未満のスクリーンのWindowsデバイスにはロイヤリティを課さないという決断は辛いものだった」という。しかし「この新方針のためにメーカーがWindowsベースの小型のデバイスを開発する動きが加速された」とTurnerは述べた

戦略

ある分野ではMicrosoftはクラウド化をリードしている。Office 365はエンタープライズ・ソフトウェアの分野における大ヒットとなった。Azureも好調だ。だが新しいデバイス分野における競争では依然として遅れをとっている。モバイル戦略の中心となるWindows Phoneも成長はしているが、十分な速さとはいえない。これが「全デバイスを通算すると14%」という残念な数字の原因になっている。Windowsタブレットも市場を支配するようなシェアは獲得できていない。Microsoftはこの状況を打開するために、Windows搭載の低価格のノートとタブレットを今年後半に市場に投入する計画だ。

Microsoftの新プロダクトは非常に多岐にわたっているので、点数を付けるのは難しい。しかし同社の戦略ははっきりしている。Microsoftはあらゆるプラットフォーム上でクラウド・サービスを販売しようとしている。同時に、向こう5年程度で、ハードウェア、ソフトウェア双方でMicrosoft独自のプラットフォームを構築するというビジョンを抱いている。

下は今回のプレゼンの最後に表示された「2015年度のわれわれの攻勢計画」と題されたスライドだ。

〔日本版〕 1:クラウドに全力、2:モバイルで勝利、3:各分野で挑戦者に、4:顧客満足度向上 という目標を掲げている。

今日のイベントはマイクロソフトと提携してプロダクトを開発、販売するパートナー企業が対象だった。Microsoftは依然として伝統的なチャンネルを通じて伝統的なプロダクトを販売し、膨大な売上を得ている。しかしMicrosoftは、今後はサービスを販売することで、より多くの収益を得られるものと考えており、現在そのことをパートナーに納得させようと努力しているところだ。

画像; FLICKR USER ROBERT SCOBLE UNDER CC BY 2.0 LICENSE (IMAGE HAS BEEN CROPPED)

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


MicrosoftがAzureの合衆国政府専用インスタンスを発表, 次期CEOに関する質問には答えず

Yammerのサンフランシスコオフィスで今日(米国時間10/7)、MicrosoftのSatya Nadellaが、同社のクラウドプロダクトAzureの合衆国政府顧客専用のインスタンスを発表した。このプロダクトはこれまで”Windows Azure US Government Cloud”と呼ばれていたもので、単独のサービスとして合衆国国内でホストされ、合衆国の国民にしか管理できない。この発表の前には、Microsoftはそのプロダクトを政府に売るための特殊な認可をもらった、というニュースが流れた。

合衆国の政府顧客用のAzureは、最近相次いで暴露された政府諜報部門の、国民に対する密かなスパイ行為などに照らすと、強烈な皮肉だ。そういう悪いことをしている政府が、自分を守るためにAzureの特別のインスタンスを必要とするなんて、ブラックユーモアだね。

もちろん、Microsoftが悪いわけではない。同社はサービスを、それを必要とする者に売りたいだけだし、政府に売るためにAzureを手直しする必要があったとしても、べつに問題はない。テクノロジに関していつも遅れてばかりいる政府部内で、クラウドの需要がどれぐらい大きいのか分からないけど、今度調べてみよう。

同じ席でNadellaはもう一つ、Skypeは再編成によりその多くのプロセスをAzureの上で動かせるようになった、と声明した。でも、たぶんいちばんおもしろかったのは、データセンターのグローバルな展開を伴うAzureぐらいのサイズのパブリッククラウドの構築費用は50から60億ドル、とNadellaが言ったことだ。相当高いハードルだ。ローカルなクラウドはもっと小額で立ち上げられるが、AWSやAzureの規模を達成するためには、“10億(billion)”のオーダーの投資が必要なのだ。しかも今後のパブリッククラウドの成長を支える、成長資金も必要だ。

Microsoftの今日の発表では、10月にHDInsight on Azureをリリースする。これはApacheのオペレーティングシステムのためのHadoopベースのサービスで、Microsoftの最近始まったばかりの、オープンソースへの傾斜の、また一つの現れだ。

今日行われたイベントは、Microsoftのエンタプライズ&クラウドグループのアップデート総合発表会(fusillade of updates and notes)と呼ばれる。Nadellaは次期CEOに関する質問をはぐらかし、Steve Ballmerは今でも”リッパに”同社のCEOだ、と言った。それを言ったあと彼は、瞬(まばた)き一つしなかった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Windows Azureにもやっとオートスケール機能–‘エラスティック’になれるかな

Microsoftは今日(米国時間6/27)、同社のデベロッパカンファレンスBuildで、クラウドコンピューティングプラットホームAzureにオートスケーリングを導入する、と発表した。これは、Azure上のサーバの容量を、必要に応じて自動的にスケールする機能だ。ただしユーザはあらかじめ、サーバの最少数と最大数を決めておく。

この機能を有効にするには、Azureの管理コンソールで数か所クリックし、またサーバに関しては台数のほかに、各サーバのCPUの負荷を指定できる。すると、アプリケーションが大きなCPUパワーを必要とするようになったり、ストレージのキューがとても長くなった場合には、新たなサーバが立ち上がる。

オートスケーリングはアプリケーションの応答性を良くするだけでなく、費用節減効果もある。つまり、最初から多めのサーバ容量を契約しなくてもすむのだ。この機能を有効にすると、その場合のおおまかな節約額をAzureは教えてくれる。

このAutoscale for Windows Azure機能は目下プレビュー段階で、一定期間無料で利用できる。

ただし忘れてならないのは、Amazon Web ServicesのコンピューティングプラットホームEC2(エラスティックコンピュートクラウド)*には相当前からオートスケール機能があることだ。だからクラウドコンピューティングに遅れて参入したMicrosoftにとってこれは、追いつくための努力の一環である。〔* Amazon Elastic Compute Cloud…最後に’C'が“2つ”ある。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))